説明

データ伝送システムおよび遠隔測定システム

【課題】遠隔地にある油入変圧器等の被監視設備の状態を監視できる、メンテナンスの手間が少なく、外部ノイズによる誤動作がなく、かつシステムコストが安価な監視システムおよび液晶光スイッチを提供する。
【解決手段】ホスト装置11は光ファイバF1を介して複数の端末装置12にレーザ光Lを送出し、端末装置12は光ファイバF1を2光路に分離し、一方の光路を介して受光したレーザ光Lの一部Lを電力に変換し、他方の光路を介して受光したレーザ光Lの他の一部Lを送信データに対応する時系列光データSDに変調し、時系列光データSDを光ファイバF1またはデータ伝送専用光ファイバF3を介してホスト装置11に送信するデータ伝送システム1であって、ホスト装置11は、レーザ装置111と光データ受信器112とを備え、ひとつ以上の端末装置12は光分岐器121と光電変換器122と液晶光変調器123と液晶光変調器制御回路124とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置から遠隔地にある端末装置に光ファイバを介してレーザ光を送り、端末装置側でレーザ光の一部を光電変換して電気回路を駆動する一方、上記電力を用いて送信データの変調を行いこれをホスト装置に送信することができるデータ伝送システム、およびこのデータ伝送システムを用いてホスト装置側から遠隔地にある対象の動作状態を測定する遠隔測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、ホスト装置から遠隔地にある油入変圧器等の監視対象の状態(たとえば、絶縁油面の値、絶縁油温度の値)を監視するシステムが知られている(特許文献1等参照)。
この種の監視システムでは、ホスト装置により遠隔地の油入変圧器の状態を監視しており、油入変圧器には、監視回路、絶縁油面の値を検出する油面センサ、絶縁油温度を検出する温度センサ、およびデータ伝送回路が備えられている。監視回路は、油面センサや温度センサから信号を取り込むことで変圧器の状態を監視し、この監視結果をデータ伝送回路が、ホスト装置に送信する。
【0003】
ところが、上記監視システムでは、監視結果の伝送路が電気信号ケーブルにより構成されるため、電気信号ケーブルへの雑音混入により、ホスト装置では誤った監視結果を取得することがある。また、電気信号ケーブルは、落雷に弱く、また経時劣化も生じやすいため、メンテナンス等に手間がかかる。
【0004】
この不都合を解消するべく、本発明者等は、この監視システムでは、電気信号ケーブルを使用する従来の監視システムに比べて、メンテナンスの手間が少なくなり、また外部ノイズによる誤動作を解消でき、さらにシステムを低コストで構築できる監視システムを先に提案した(特許文献2参照)。この監視システムでは、レーザ光の光ファイバ上に、レーザ光を光電変換して得られた電力により駆動される光信号開閉器を設け、異常時に光信号開閉器への駆動電力の供給を制御することで、ホスト装置側で遠隔地設備の異常の有無を知ることができる。
また、従来、制御装置に光源を備え、センサ装置の電気回路を前記光源からの光エネルギーにより駆動するシステムも知られている(特許文献3)。この技術では電磁障害を解消するとともに、センサと制御装置間の配線の重量を小さくすることができる。
【特許文献1】特開2001−196231公報
【特許文献3】特開2006−120008公報
【特許文献3】特開平7−151563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遠隔地設備の中には単に異常の有無の検出だけでなく、動作の良否レベル、危険度を詳細に知りたい場合もある。しかし、特許文献1に記載の技術では動作の良否レベル、危険度を詳細ができず、十分な監視がなされているとはいえない場合が生じる。
また、特許文献3の技術では、光エネルギーを光−電力変換器により電気エネルギーに変換した後、さらにデータ送信に際しては電気エネルギーを電気−光変換器(発光ダイオード)により光エネルギーに変換するため、エネルギー変換効率が極めて悪く、遠隔監視システムへの適用には不向きである。
【0006】
本発明は、ホスト装置から遠隔地にある端末装置に光ファイバを介してレーザ光を送り、端末装置側でレーザ光の一部を光電変換して電気回路を駆動する一方、上記電力を用いて極めて小さい電力で送信データの変調を行いこれをホスト装置に送信することができるデータ伝送システム、およびこのデータ伝送システムを用いて、ホスト装置側から遠隔地にある対象の動作状態を測定する遠隔測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデータ伝送システムは(1)〜(6)を要旨とする。
(1)「ひとつ以上の端末装置から時系列光データを取得するホスト装置と、前記ホスト装置から遠隔地に配置された前記ひとつ以上の端末装置とからなり、前記ホスト装置は光ファイバを介して前記ひとつ以上の端末装置にレーザ光を送出し、前記ひとつ以上の端末装置は光ファイバを2光路に分離し、一方の光路を介して受光した前記レーザ光の一部を電力に変換し、他方の光路を介して受光した前記レーザ光の他の一部を送信データに対応する前記時系列光データに変調し、当該時系列光データを前記光ファイバまたはデータ伝送専用光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記ホスト装置は、
前記レーザ光を発生するレーザ装置と、
前記時系列光データを受信する光データ受信器とを備え、
前記ひとつ以上の端末装置は、
前記レーザ光を前記2光路に分離する光分岐器と、
前記受光したレーザ光の一部を電力に変換する光電変換器と、
前記光電変換器から電力の供給を受け、前記受光したレーザ光の他の一部を送信データに対応する前記時系列光データに変調する液晶光変調器と、
前記光電変換器からの電力の供給を受け、前記液晶光変調器を変調制御信号により制御する液晶光変調器制御回路と、
を備えたことを特徴とするデータ伝送システム。」
【0008】
(2)「前記ホスト装置は、前記光増幅用レーザを発生する光増幅用レーザ装置を備え、
前記光増幅用レーザ装置からの発振光(光増幅用レーザ)は、光増幅用光ファイバを介して前記光ファイバ上の前記ひとつ以上の端末装置の前側に備えた光増幅器に送出されることを特徴とする(1)に記載のデータ伝送システム。」
【0009】
(3)「前記液晶光変調器制御回路は、当該液晶光変調器制御回路にかかる端末装置の識別データが前記送信データに埋め込まれるように前記液晶光変調器を制御し、かつ前記光データ受信器は受信した前記識別データを認識処理する回路を有することを特徴とする(1)または(2)に記載のデータ伝送システム。」
【0010】
(4)「前記ひとつ以上の端末装置が前記時系列光データを前記光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記液晶光変調器は、前記受光したレーザ光の他の一部を前記送信データに応じて通過させる液晶装置と、前記通過したレーザ光を前記液晶装置に向けて反射させる反射ミラーとを備え、
前記ホスト装置は、前記ひとつ以上の端末装置が送信した前記送信データを光データ受信器側に分離する光分離器を備え、
たことを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載のデータ伝送システム。」
【0011】
(5)「前記ひとつ以上の端末装置が前記時系列光データを前記データ伝送専用光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記液晶光変調器は、前記受光したレーザ光の他の一部を前記前記時系列光データに応じて通過させる液晶装置を備えたことを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載のデータ伝送システム。」
【0012】
(6)「前記レーザ装置は、前記レーザ光として波長が異なる電力用レーザ光と信号用レーザ光とを発生する2つのレーザ光源を備え、
前記光分岐器は、前記電力用レーザ光を前記光電変換器側に送出し、前記信号用レーザ光を前記液晶光変調器側に送出することを特徴とする(1)から(5)の何れかに記載のデータ伝送システム。」
本発明の遠隔測定システムは(7)または(8)を要旨とする。
【0013】
(7)「(1)から(6)の何れかに記載のデータ伝送システムを用いた遠隔測定システムであって、
前記ひとつ以上の端末装置がさらに測定対象の状態を検出するセンサを備え、
前記液晶光変調器制御回路は、前記センサによる検出結果を前記時系列光データに変換して前記液晶光変調器を制御することを特徴とする遠隔測定システム。」
【0014】
(8)「さらに、前記ホスト装置は、前記光データ受信器により受信した前記時系列光データを処理するデータ処理回路および前記データ処理回路による処理結果を画像情報および/または音声情報として出力する情報出力装置を備えたことを特徴とする(7)に記載の遠隔測定システム。」
【発明の効果】
【0015】
本発明では、ホスト装置から遠隔地にある端末装置に光ファイバを介してレーザ光を送り、端末装置側でレーザ光の一部を光電変換して電気回路を駆動する一方、上記電力を用いて液晶装置をオン・オフ駆動することでもとのレーザ光を変調してこれをホスト装置に光データとして戻すので、小さいエネルギーで効率の高い光データ伝送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
《第1実施形態》
図1は本発明のデータ伝送システム1を遠隔測定システム2に応用した第1実施形態を示す説明図である。図1において、データ伝送システム1はホスト装置11と、ホスト装置11から遠隔地に配置された端末装置12(k)(k=1,2,・・・,N)と、光増幅器13とからなり、遠隔測定システム2は、データ伝送システム1と、このシステムに追加されたセンサ125、データ処理回路114および情報出力装置115とにより構成されている。
図1において、ホスト装置11は、レーザ装置111と、光データ受信器112と、光増幅用レーザ装置113とを備えており、レーザ装置111は、光ファイバF1を介して端末装置12(k)に向けてレーザ光L(波長λ)を送出する。
光増幅用レーザ装置113は、光増幅用レーザ光ALを発生し、この光増幅用レーザ光ALは光増幅用光ファイバF2を介して光ファイバF1上の端末装置側に備えた光増幅器13に送出される。光増幅器13により光ファイバF1における伝播光の減衰を補償することができる。
【0017】
端末装置12(k)は、光分岐器121と、光電変換器122(P/E)と、液晶光変調器123と、液晶光変調器制御回路124と、センサ125とを備えている。光分岐器121は、光ファイバF1を介して送出されるレーザ光Lを2光路に分離し、一方の光路を伝播するレーザ光Lの一部(LA)は光電変換器122に向けて送出され、他方の光路を伝播するレーザ光Lの一部(LB)は液晶光変調器123に向けて送出される。
【0018】
光電変換器122は、受光したLAを電力に変換し、この電力を液晶光変調器123および液晶光変調器制御回路124に供給する。液晶光変調器制御回路124は、液晶光変調器123を変調制御信号により制御し、液晶光変調器123は光電変換器122から電力の供給を受け、受光したレーザ光の他の一部を送信データに対応する時系列光データSDに変調する。この送信データは、センサ125により検出された温度等の検出データである。
【0019】
本実施形態では、液晶光変調器制御回路124には、図示しない記憶装置(ROM等)に液晶光変調器制御回路124にかかる端末装置12(k)の識別データ(ID)が記録されており、液晶光変調器制御回路124はこの識別データが送信データに埋め込まれるように液晶光変調器123を制御する。これにより、本実施形態では、時系列光データSDのヘッダに、上記識別データ(ID)が埋め込まれる。
液晶光変調器123は、極めて小さい電力で駆動される。しかも、液晶光変調器123により変調されてホスト装置11に戻されるレーザ光は、もともと光ファイバF1を伝播してきたホスト装置11からの光であり、電気エネルギーから作られたものではない。したがって、特許文献3に記載された技術のように、信号送信のために大きな電力を必要とするといった不都合は生じない。
このようにして変調されたレーザ光LBは時系列光データSDであり、この時系列光データSDは光ファイバF1またはデータ伝送専用光ファイバF3(送専用光ファイバF3を破線で示す)を介してホスト装置11に戻される。ホスト装置11に備えられた光データ受信器112は、時系列光データSDを受信し、データ処理装置114はこれを復元して情報出力装置115により画像情報や音声情報として出力する。
データ処理装置114は、受信した時系列光データSDから、当該時系列光データSDのヘッダから端末装置12(k)の識別データを抽出する機能を備えており、受信した時系列光データSDがどの端末装置12(k)からの信号であるかを認識することができる。
《第2実施形態》
【0020】
図2は図1の第1実施形態の遠隔測定システム2を具体化した第2実施形態の説明図である。図2において、ホスト装置11には光分離器116がさらに備えられている。図2において、光ファイバF1の端末装置12(k)側には、光結合器131(m)(m=1,2,・・・,N−1)が備えられている。
レーザ装置111から端末装置12(k)に向けて光ファイバF1を介して搬送されるレーザ光L(波長λ)は、光結合器131(1)に入射され、光結合器131(1)は、レーザ光Lを端末装置12(1)と光結合器131(2)に向けて出射する。
m=2,3,・・・,N−2として、順次、光結合器131(m)に入射されたレーザ光Lは、端末装置12(m)と光結合器131(m+1)に向けて送出される。
光結合器131(N−1)に入射されたレーザ光Lは端末装置12(N−1)と端末装置12(N)に入射される。
【0021】
端末装置12(k)は、光分岐器121と、光電変換器122(P/E)と、液晶光変調器123と、液晶光変調器制御回路124と、センサ125とを備えている。光分岐器121は、入射したレーザ光Lを2光路に分離する。2光路に分離された光路の一方を伝播するレーザ光LAは、光電変換器122に送出され、光電変換器122は受光した光のエネルギーを電力に変換し、この電力を液晶光変調器123および液晶光変調器制御回路124に供給する。
【0022】
また、2光路に分離された光路の他方を伝播するレーザ光LBは、液晶光変調器123に向けて送出される。液晶光変調器123は、液晶装置1231と反射ミラー1232とからなり、液晶装置1231は、液晶光変調器制御回路124が生成する変調制御信号により制御される。すなわち、液晶装置1231は、光電変換器122からの電力によりアクティブとなっており、送信データに対応する変調制御信号により変調駆動(オン・オフ駆動)される。液晶装置1231を通過したレーザ光LBは反射ミラー1232により反射され、液晶装置1231を介して、もと来た光路(光ファイバF1)をホスト装置11に向けて戻される。
【0023】
反射ミラー1232により反射されてホスト装置11に戻されるレーザ光LBは、時系列光データSDである。ホスト装置11の光分離器116は、時系列光データSD(送信データ)を光データ受信器112側に分離し、実施形態1と同様、光データ受信器112は、時系列光データSDを受信し、データ処理装置114はこれを復元して情報出力装置115により画像情報や音声情報として出力する。
《第3実施形態》
【0024】
図3は図1の第1実施形態の遠隔測定システム2を具体化した第3実施形態の説明図である。図2の第2実施形態では、液晶光変調器123を液晶装置1231と反射ミラー1232とにより構成し、液晶装置1231を通過したレーザ光LBを反射ミラー1232によりホスト装置11に戻したが、本実施形態では、液晶装置1231を通過したレーザ光LBを、データ伝送専用光ファイバF3を介してホスト装置11に戻している。
【0025】
すなわち、本実施形態では液晶光変調器123は液晶装置1231からなり、液晶装置1231は送信データに対応する変調制御信号により変調駆動(オン・オフ駆動)され、通過したレーザ光は、光結合器131(1),131(2),・・・,131(N−1)により統合され、データ伝送専用光ファイバF3を介して時系列光データSDとしてホスト装置11に戻される。実施形態1と同様、光データ受信器112は、時系列光データSDを受信し、データ処理装置114はこれを復元して情報出力装置115により画像情報や音声情報として出力する。
《第4実施形態》
【0026】
図4は図2の遠隔測定システム2を変形した第4実施形態の説明図である。図4において、レーザ装置111は、レーザ光Lとして波長が異なる電力用レーザ光LA(波長λA)と、信号用レーザ光LB(波長λB)とを発生する2つのレーザ光源111A,111Bを備えている。
光分岐器121は、光ファイバF1を伝播するレーザ光Lをレーザ光LA(波長λA)と、レーザ光LB(波長λB)とに分離し、反射ミラー1232は、液晶装置1231を通過したレーザ光を当該液晶装置1231に向けて反射する。ホスト装置11の光分離器116は、時系列光データSD(送信データ)を光データ受信器112側に分離し、光データ受信器112は、時系列光データSDを受信し、データ処理装置114はこれを復元して情報出力装置115により画像情報や音声情報として出力する
《第5実施形態》
【0027】
図5は図3の遠隔測定システム2を変形した第5実施形態の説明図である。図5において、レーザ装置111は、レーザ光Lとして波長が異なる電力用レーザ光LA(波長λA)と、信号用レーザ光LB(波長λB)とを発生する2つのレーザ光源1111,1112を備えている。
光分岐器121は、レーザ光LA(波長λA)と、レーザ光LB(波長λB)とに分離する。液晶装置1231を通過したレーザ光は、データ伝送専用光ファイバF3を介してホスト装置11に送出される。
《液晶光変調器制御回路の具体例》
【0028】
図6および図7は、端末装置12の液晶光変調器制御回路124の説明図である。また、図8(A)は時系列光データSDのデータ構造図、図8(B)は時系列光データSDのビットストリームを示す図である。
図6では液晶装置1231と反射ミラー1232とからなる液晶光変調器123を駆動する場合を示し、図7では液晶装置1231からなる液晶光変調器123を駆動する場合を示すが、液晶光変調器制御回路124の動作は同じである。
図6および図7において、液晶光変調器制御回路124は、マイクロプロセッサ1241と、発振器1242と、スイッチ回路1243と、タイマー1244とからなる。これらは、光電変換器122から電力の供給を受けて駆動される。ここでは、光電変換器122は駆動電圧VDを生成しており、液晶光変調器制御回路124のほか、センサ125も駆動している。
発振器1242は、液晶装置1231を駆動周波数(fLCD)で駆動し、マイクロプロセッサ1241は、スイッチ回路1243をfLCDより十分に低い周波数で変調する。
タイマー1244は、送信回ごとにリセットされて、最新の送信からの時間を計数することができる。
液晶光変調器制御回路124は、タイマー1244の計数値を参照して、時間間隔を置いて、液晶光変調器123を制御してホスト装置11に時系列光データSDを送信するように構成できる。
たとえば、液晶光変調器制御回路124は、たとえば、送信ごとにランダムに選らばれる時間間隔X秒(60から90秒の範囲内の時間)ごとにホスト装置11に時系列光データSDを送信するように構成できる。
これにより、ホスト装置11は、端末装置12(k)のうち複数から同時に時系列光データSDを受信する可能性が低くなる。また、仮に複数の端末装置12(k)が同時に時系列光データSDを送信したために正常な受信ができない場合であっても、次の回の受信では、それぞれの端末装置12(k)の送信のタイミングが変わる。したがって、時系列光データSDを正常に受信できる可能性が極めて高くなる。なお、液晶光変調器制御回路124に、精度が高いタイマーを内蔵しておき上記時間間隔(X秒)を送信回ごとに変更するようにしてもよいし、もともと精度が低いタイマーを内蔵しておき、所定制御なしに送信回ごとに上記時間間隔(X秒)が変更されるようにしてもよい。
もちろん、液晶光変調器制御回路124は、常時時系列光データSDを送信すする必要はなく、センサ125により検出された温度等がある範囲内に変化したとき(良否レベル、危険度がある範囲になったとき)に液晶光変調器123を制御して、ホスト装置11に時系列光データSDを送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のデータ伝送システムを遠隔測定システムに応用した第1実施形態の説明図である。
【図2】図1の第1実施形態の遠隔測定システムを具体化した第2実施形態の説明図である。
【図3】図3は図1の第1実施形態の遠隔測定システムを具体化した第3実施形態の説明図である。
【図4】図2の遠隔測定システムを変形した第4実施形態の説明図である。
【図5】図3の遠隔測定システム2を変形した第5実施形態の説明図である。
【図6】液晶装置と反射ミラーとからなる液晶光変調器を駆動する場合の端末装置の液晶光変調器制御回路の説明図である。
【図7】反射ミラーを備えない液晶光変調器を駆動する場合の端末装置の液晶光変調器制御回路の説明図である。
【図8】(A)は時系列光データSDのデータ構造図、(B)は時系列光データのビットストリームを示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 データ伝送システム
2 遠隔測定システム
11 ホスト装置
12(k) 端末装置
114 データ処理回路
115 情報出力装置
111 レーザ装置
112 光データ受信器
113 光増幅用レーザ装置
122 光電変換器
123 液晶光変調器
124 液晶光変調器制御回路
125 センサ
121 光分岐器
131(m) 光結合器
1241 マイクロプロセッサ
1242 発振器
1243 スイッチ回路
1244 タイマー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひとつ以上の端末装置から時系列光データを取得するホスト装置と、前記ホスト装置から遠隔地に配置された前記ひとつ以上の端末装置とからなり、前記ホスト装置は光ファイバを介して前記ひとつ以上の端末装置にレーザ光を送出し、前記ひとつ以上の端末装置は光ファイバを2光路に分離し、一方の光路を介して受光した前記レーザ光の一部を電力に変換し、他方の光路を介して受光した前記レーザ光の他の一部を送信データに対応する前記時系列光データに変調し、当該時系列光データを前記光ファイバまたはデータ伝送専用光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記ホスト装置は、
前記レーザ光を発生するレーザ装置と、
前記時系列光データを受信する光データ受信器とを備え、
前記ひとつ以上の端末装置は、
前記レーザ光を前記2光路に分離する光分岐器と、
前記受光したレーザ光の一部を電力に変換する光電変換器と、
前記光電変換器から電力の供給を受け、前記受光したレーザ光の他の一部を送信データに対応する前記時系列光データに変調する液晶光変調器と、
前記光電変換器からの電力の供給を受け、前記液晶光変調器を変調制御信号により制御する液晶光変調器制御回路と、
を備えたことを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項2】
前記ホスト装置は、光増幅用レーザを発生する光増幅用レーザ装置を備え、
前記光増幅用レーザ装置からの発振光は、光増幅用光ファイバを介して前記光ファイバ上の前記ひとつ以上の端末装置の前側に備えた光増幅器に送出されることを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送システム。
【請求項3】
前記液晶光変調器制御回路は、当該液晶光変調器制御回路にかかる端末装置の識別データが前記送信データに埋め込まれるように前記液晶光変調器を制御し、かつ前記光データ受信器は受信した前記識別データを認識処理する回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ伝送システム。
【請求項4】
前記ひとつ以上の端末装置が前記時系列光データを前記光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記液晶光変調器は、前記受光したレーザ光の他の一部を前記送信データに応じて通過させる液晶装置と、前記通過したレーザ光を前記液晶装置に向けて反射させる反射ミラーとを備え、
前記ホスト装置は、前記ひとつ以上の端末装置が送信した前記送信データを光データ受信器側に分離する光分離器を備え、
たことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のデータ伝送システム。
【請求項5】
前記ひとつ以上の端末装置が前記時系列光データを前記データ伝送専用光ファイバを介して前記ホスト装置に送信するデータ伝送システムであって、
前記液晶光変調器は、前記受光したレーザ光の他の一部を前記時系列光データに応じて通過させる液晶装置を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のデータ伝送システム。
【請求項6】
前記レーザ装置は、前記レーザ光として波長が異なる電力用レーザ光と信号用レーザ光とを発生する2つのレーザ光源を備え、
前記光分岐器は、前記電力用レーザ光を前記光電変換器側に送出し、前記信号用レーザ光を前記液晶光変調器側に送出することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のデータ伝送システム。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載のデータ伝送システムを用いた遠隔測定システムであって、
前記ひとつ以上の端末装置がさらに測定対象の状態を検出するセンサを備え、
前記液晶光変調器制御回路は、前記センサによる検出結果を前記時系列光データに変換して前記液晶光変調器を制御することを特徴とする遠隔測定システム。
【請求項8】
さらに、前記ホスト装置は、前記光データ受信器により受信した前記時系列光データを処理するデータ処理回路および前記データ処理回路による処理結果を画像情報および/または音声情報として出力する情報出力装置を備えたことを特徴とする請求項7に記載の遠隔測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−335987(P2007−335987A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162616(P2006−162616)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】