説明

データ処理方法、プログラムおよびシステム

【課題】管理データベース設計レスおよび管理システム設計レスが可能なデータ処理方法、プログラムおよびシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】端末10や、サーバ11や、RFIDタグ14や、カメラ13などを有するシステム1によるデータ処理方法であって、端末10や、サーバ11が、RFIDタグ14や、カメラ13などから取得したデータなどを基に、当該データが格納されているメッセージ20を生成し、システム1内のメッセージ20を送信し、メッセージ20を受信した端末10や、サーバ11が、メッセージ20内のデータを処理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理方法、プログラムおよびシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、図6に示すように、一般的な大規模システム1aでは、リーダ12を介してサーバ11に収集されたRFID(Radio Frequency Identification)タグ14のデータや、サーバ11に収集されたカメラ13のデータ、あるいは端末10から入力されたデータは、管理サーバ52によって管理データベース51に集中的に収集される。そして、ユーザが各端末10を使用して、必要なデータを管理データベース51から抽出・取得し、加工などをし、場合によってはデータベース15にデータを格納することによって、システム運用が行われる。
【0003】
このような、大規模なシステムを構築する際には、いわゆる、PDCA(plan-do-check-action)サイクルを用いたシステム構築が、しばしば実施される。このようなシステム構築の際には、図7に示すように、現場ヒアリング(S301)→管理データベース51の設計(S302)→管理データベース51の構築(S303)→管理システム(管理サーバ52)設計(S304)→管理システム構築(S305)→システム1aの運用(S306)→システム1aの改善(S307)→現場ヒアリング(S301)→・・・を繰り返すことによりシステムの構築(完成形に至る)を行う。
【0004】
例えば、特許文献1には、運用作業項目、運用要件、サービスレベルを格納する運用要件DB(Data Base)を有し、運用要件DBの内容を画面表示し、設計項目を入力することによって、入力した設計項目を基に、コストの算出、設計ドキュメントの作成を行う運用設計支援システム、その方法およびプログラムが開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、過去の運用設計のノウハウや、ドキュメントテンプレート、実際の運用において気付いたポイントなどを登録・蓄積することができるため、PDCAサイクルを形成でき、運用の品質を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75961号公報(請求項1,段落0024)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示すようなサイクルを用いてシステムを構築するとき、管理データベース51の設計(S302)〜管理システム構築(S305)に時間がかかることが多く、人員・予算などで開発が待たされ、結果としてビジネスの機会を損失することが多々ある。このため、リアルタイム性に欠け、進歩するデータ加工技術や、現場の情報への追従が遅れたり、現場へのすばやいフィードバックも困難となるといった問題がある。
このような問題の1つの解決方法として、管理データベース51や、管理サーバ52などの管理システムを使用しないで構築することが考えられる。
【0007】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、管理データベース設計レスおよび管理システム設計レスが可能なデータ処理方法、プログラムおよびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の処理装置および複数の機器を有するシステムによるデータ処理方法であって、前記処理装置が、前記システム内の機器から取得したデータ、前記処理装置自身の記憶部に格納しているデータ、前記処理装置の入力部から入力されたデータ、および前記処理装置で処理されたデータのうち、少なくとも1つを基に、当該データが格納されているメッセージを生成し、一方の前記処理装置から、他方の前記処理装置へ、前記メッセージを送信し、前記メッセージを受信した前記処理装置が、前記メッセージ内のデータを処理することを特徴とする。
その他の解決手段については、実施形態中で適宜説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理データベース設計レスおよび管理システム設計レスが可能なデータ処理方法、プログラムおよびシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る処理装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係るメッセージの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るシステムの処理手順を示すフローチャートであり、(a)はメッセージ送信時の処理手順を示し、(b)はメッセージ受信時の処理手順を示している。
【図5】本実施形態に係るメッセージを用いた応用例を示す図である。
【図6】従来の大規模システムの例を示す図である。
【図7】システム構築に係るPDCAサイクルの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
システム1は、機器である複数の端末10、サーバ11、RFIDタグ14からの信号を受信するリーダ12や、カメラ13や、データベース15などによって構成されている。このうち、端末10や、サーバ11や、データベース15などは互いに接続されている。また、図1の例ではリーダ12や、カメラ13はサーバ11と接続されている。本実施形態において、特徴的な構成は、これらの端末10や、サーバ11間の通信手段として、詳細を後記するメッセージ20が用いられる点である。本実施形態に係るシステム1では、メッセージ20を受信した端末10や、サーバ11などが処理することにより、図6における管理データベース51や、管理サーバ52の構築を不要とすることを特徴とするものである。
【0013】
なお、図1に示すシステム1は一例であり、図6に示す、管理データベース51や、管理サーバ52を備えるか否かにかかわらず、システム1内の機器間をメッセージ20によって、情報を送受信する構成であればよい。
【0014】
(処理装置構成)
図2は、本実施形態に係る処理装置の構成例を示す図である。
なお、図2に示す処理装置100は、図1に示す端末10や、サーバ11などに相当する装置である。
処理装置100は、外部の装置へデータを送信する送信部121、外部の装置からデータを受信する受信部122、キーボードや、マウスなどの入力部123、ディスプレイなどの表示部124、データを処理する処理部110、データを保存する記憶部125を有している。
【0015】
また、処理部110は、データ取得部111、メッセージ生成部112、データ抽出部113、データ処理部114を有している。データ取得部111は、受信部122が受信したカメラ13や、リーダ12からのデータを取得したり、記憶部125からデータを取得したりする機能を有する。メッセージ生成部112は、データ取得部111が取得したデータを基にメッセージ20を生成する機能を有する。データ抽出部113は、受信部122が受信したメッセージ20からデータを抽出する機能を有する。データ処理部114は、入力部123などからの指示に従って、データ抽出部113が抽出したデータを加工するなど、各種のデータ処理を行う機能を有する。
【0016】
なお、各110〜114は、図示しないROM(Read Only Memory)や、図示しないHD(Hard Disk)に格納されたプログラムが、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されることによって具現化する。
【0017】
(メッセージ構成)
図3は、本実施形態に係るメッセージの構成例を示す図である。
メッセージ20は、発信元情報、データ数値、宛先情報、単位名、生成日時、閾値1、閾値2、プロセス条件、加工装置情報、作業者名などの各種データが格納されている。なお、図3に示すメッセージ20の構成は一例であり、格納されるデータは図3のものに限らないし、格納される順序も図3の順序に限らない。
なお、メッセージ20に格納されるデータの先頭には、例えば、先頭以降何バイト分のデータが、何のデータであるかなどを表すヘッダ情報が付いていてもよい。あるいは、メッセージ20の一番頭に格納されているデータの順序や、構成などをまとめて記したヘッダ情報が付いていてもよい。
なお、メッセージのデータ形式は文字列であることが望ましいが、XML(Extensible Markup Language)などで記述されていてもよい。
【0018】
(フローチャート)
図4は、本実施形態に係るシステムの処理手順を示すフローチャートであり、(a)はメッセージ送信時の処理手順を示し、(b)はメッセージ受信時の処理手順を示している。
まず、図4(a)を参照して、メッセージ送信時の処理手順を説明する(適宜、図1〜図3参照)と、データ取得部111が、リーダ12や、カメラ13で収集したデータを受信部122から取得したり、記憶部125から必要なデータを取得する(S101)。
次に、メッセージ生成部112が、ステップS101で取得したデータを基に、図3に示すようなメッセージ20を生成する(S102)。このとき、メッセージ20には、ステップS101で取得したデータのすべて、あるいは可能な限り(少なくとも1つ)のデータが格納される。
そして、送信部121がステップS102で生成したメッセージ20を送信する(S103)。メッセージ20の送信は、システム1内の端末10や、サーバ11に対するブロードキャスト送信が望ましいが、必要に応じてマルチキャストで送信したり、ユニキャストで送信してもよい。なお、メッセージ20は、メールなどと異なり、カメラ13や、RFIDタグ14からデータを取得したサーバ11や、端末10が、自動的にメッセージ20の生成・送信を行ってもよい。
【0019】
次に、図4(b)を参照して、メッセージ受信時の処理手順を説明すると、まず、受信部122がメッセージ20を受信する(S201)。なお、この段階でメッセージ20が処理装置100内の記憶部125に一次保存されてもよい。
次に、データ抽出部113が、受信したメッセージ20からデータを抽出する(S202)。
そして、ユーザが、入力部123を介して、ステップS202で抽出したデータから必要なデータを選択、加工、保存、あるいは破棄などの指示を入力し、データ処理部114が入力された指示に基づいて、ステップS202で抽出したデータを処理する(S203)。
【0020】
このように、データ発生源(RFIDタグ14や、カメラ13など)に接続しているサーバ11や、端末10などからデータをメッセージ20の形式にして直接システム1内の端末10などに送信し、メッセージ20の処理を受信した端末10や、サーバ11側に任せることで、図6に示す管理サーバ52や、管理データベース51を不要とすることができる。さらに、管理サーバ52や、管理データベース51を不要とすることにより、図7に示す管理データベース51の設計(S302)〜管理システム構築(S305)も不要となるため、システム1の構築期間を短縮することができる。特に、PDCAサイクルを用いたシステム1の構築においては、システム1の構築期間の大幅な短縮を可能とすることができる。これにより、システムの構築から運用までのリアルタイム性を確保することができ、進歩するデータ加工技術や、早い現場の情報への追従や、現場へのすばやいフィードバックを可能とすることができる。
【0021】
(応用例)
図5は、本実施形態に係るメッセージを用いた応用例を示す図である。
図5は、内部に端末10や、サーバ11や、カメラ13や、RFIDタグ14や、リーダ12や、データベース15などを有する独立したシステムA〜Cが存在する大規模システムを示す。
これらのシステムA〜Cは、WAN(Wide Area Network)などのネットワークで接続されている。一般的には、システムA〜Cは、それぞれ閉じていることが多く、データ処理は、それぞれのシステムA〜C内で完結し、外部のシステム1に存在する端末10からは処理の結果を見ることしかできないことが多い。
【0022】
本実施形態に係るメッセージ20−1を用いることにより、例えば、リーダ12に接続しているサーバ11が、RFIDタグ14から取得したデータをメッセージ20−1の形式にしてシステムA内の端末10に送信すると同時に、システムB,C内の端末10や、サーバ11にもブロードキャスト送信する。メッセージ20−1を受信した端末10や、サーバ11では、必要に応じてメッセージ20−1内のデータの加工、保存、破棄などの処理を行う。さらに、加工したデータをメッセージ20−2の形式にして、システムA〜C内の端末10や、サーバ11に送信し、このメッセージ20−2を受信した端末10や、サーバ11では、メッセージ20−2内のデータの加工、保存、破棄などの処理を行う。図5の例では、システムB内の端末10aがメッセージ20−2の生成を行い、同じシステムB内の他の端末10へメッセージ20−2を送信するとともに、システムAおよびシステムC内の端末10や、サーバ11へメッセージ20−2を送信している。
これにより、すなわち、各端末10、サーバ11間をピア・トゥ・ピアの方式でメッセージを送受信することにより、システムA〜Cを、あたかも1つのシステム1のように使用することができる。
【0023】
なお、図1に示すシステム1に辞書サーバを設け、メッセージ20(図1)内の用語のチェックを行わせてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 システム
10 端末(処理装置)
11 サーバ(処理装置)
12 リーダ(機器)
13 カメラ(機器)
14 RFIDタグ
15 データベース
20 メッセージ
100 処理装置
110 処理部
111 データ取得部
112 メッセージ生成部
113 データ抽出部
114 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理装置および複数の機器を有するシステムによるデータ処理方法であって、
前記処理装置が、前記システム内の機器から取得したデータ、前記処理装置自身の記憶部に格納しているデータ、前記処理装置の入力部から入力されたデータ、および前記処理装置で処理されたデータのうち、少なくとも1つを基に、当該データが格納されているメッセージを生成し、
一方の前記処理装置から、他方の前記処理装置へ、前記メッセージを送信し、
前記メッセージを受信した前記処理装置が、前記メッセージ内のデータを処理する
ことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項2】
前記処理装置が、
前記メッセージを前記システム内の前記処理装置へ向けてブロードキャスト送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記処理装置には、前記機器としてRFIDタグリーダまたはカメラが接続されており、
前記機器から取得したデータとは、前記RFIDタグリーダから取得したRFIDタグのデータ、または前記カメラから取得したデータである
ことを特徴とする請求項1にデータ処理方法。
【請求項4】
前記処理装置が、
前記RFIDタグリーダまたはカメラから、データを取得するとともに、前記データを基に前記メッセージを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデータ処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
複数の処理装置および複数の機器を有するシステムであって、
前記処理装置は、
前記システム内の機器から取得したデータ、前記処理装置自身の記憶部に格納しているデータ、前記処理装置の入力部から入力されたデータ、および前記処理装置で処理されたデータのうち、少なくとも1つを基に、当該データが格納されているメッセージを生成し、
一方の前記処理装置から、他方の前記処理装置へ、前記メッセージを送信し、
前記メッセージを受信した前記処理装置が、前記メッセージ内のデータを処理する
ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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