説明

ドアセンサ及びそのドアセンサを備えたドア

【課題】ドア本体にスイング側センサ等の所謂安全センサを取り付ける構成に対し、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を招くことのないドアセンサ及びそのドアセンサを備えたドアを提供する。
【解決手段】自動スイングドアのドア本体にドアセンサ6,7を取り付ける。ドアセンサ6,7に、地磁気センサで成るドア位置検出手段67,77を備えさせ、センサ6,7自体がドア本体の開閉動作位置を検出できるようにする。ドア本体の開閉動作時、検出したドア本体の開閉動作位置に応じて、検出した物体が検知対象とする物体であるか否かを判別し、検知対象とする物体であるとき、ドア本体の開閉動作を停止または減速させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイングドア等に備えられるドアセンサ及びそのドアセンサを備えたドアに係る。特に、本発明は、ドアセンサの構成の簡素化を図るための対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的な自動スイングドアは、ドアに人が近づいていない状態では、ドア本体がドア開口を閉じる閉鎖位置に位置している。そして、ドアの一方側であるアプローチ側から人が近づいて来た場合には、ドア本体をアプローチ側とは反対側であるスイング側にスイングさせて、ドア開口を開放して通行を可能にする。
【0003】
このような開放動作を行わせるために、この種のドアでは、ドア開口の上縁を構成する無目のアプローチ側の面にアプローチ側センサが設けられている。つまり、アプローチ側から人が近づいて来たことをアプローチ側センサによって検知し、この検知に伴ってドア駆動機構を駆動させて、ドア本体をスイング側にスイングさせるようにしている。
【0004】
また、このドア本体のスイング動作時に、スイング領域内に人が存在する場合には、ドア本体が人に接触しないようにスイングを停止させたりスイング速度を減速させる必要がある。このため、無目のスイング側の面にはスイング側センサが設けられ、ドア本体のスイング側における人の存在の有無を検知できるようになっている。
【特許文献1】特開2002−116266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来の自動スイングドアにあっては、ドア本体のスイング動作時には、スイング側センサの検知エリア内をドア本体が通過することになる。
【0006】
このため、検知エリアのうち、この通過するドア本体によって隠されてしまう領域に対してはスイング側センサによる検知を行うことができず、場合によっては、スイング領域内に人が存在しているにも拘わらず、それを検知できなくなる可能性があった。
【0007】
この不具合を解決するための手段として、ドア本体にスイング側センサを取り付けることが掲げられる。これによれば、ドア本体のスイング動作に伴ってスイング側センサも移動するため、スイング側センサの検知エリア内をドア本体が通過することはない。
【0008】
しかし、この構成では、ドア本体のスイング動作に伴ってスイング側センサの検知エリアが変化していくことになる。このため、ドア周辺にある構造物等であってドア本体のスイング領域から外れた位置(ドア本体がスイングしても接触しない位置)にある物体(壁面やガードレール等)までをも検知してしまうことになる。
【0009】
従って、このようにドア本体にスイング側センサを取り付ける構成を採用する場合には、ドア本体のスイング動作位置を認識し、スイング側センサが検知した物体は、検知対象とすべき物体であるのか否かをドア本体のスイング位置に応じて判別できるようにしておく必要がある。
【0010】
しかしながら、これまで、この判別動作として、簡単な構成で十分な信頼性を得ることができる提案は未だなされていない。
【0011】
たとえば、ドア駆動機構(駆動モータなど)にドアの回転角度位置認識機能を備えさせ、その出力信号をスイング側センサが受け、このスイング側センサが検知した物体に対し、ドア本体の回転角度位置に応じて、その物体が検知対象とすべき人等の物体であるか否かを判別する構成が考えられる。
【0012】
しかし、この構成では、ドア駆動機構に回転角度位置認識機能といった新たな機能を付加する必要があると共に、ドア駆動機構からの出力信号をスイング側センサに送信するための配線が必要になり、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を招いてしまう。また、既に設置されている自動スイングドアでは、そもそもドア駆動機構が回転角度位置認識機能を備えていないため、この構成を採用することは現実的に不可能である。つまり、この構成は、既存の自動スイングドアに対して後付けにより実現できるものではない。
【0013】
そこで、本発明の発明者は、上記ドア本体にスイング側センサを取り付ける構成の実用性を高めるためには、ドア駆動機構を従来構成のまま(回転角度位置認識機能を備えないもの)としながらも、ドア本体の回転角度位置に応じて、検知物体が検知対象とすべき人等の物体であるか否かを判別できるようにしておく必要があることに着目し、本発明に至った。
【0014】
また、上記の不具合は、自動スイングドアに限らず、自動回転ドア、折り畳み式自動ドア、跳ね上げ式ゲートドアなどにおいても同様に生じる可能性がある。更には、この種のドアにおいて、閉鎖動作時に安全センサとして機能するドアセンサ(上記アプローチ側センサを安全センサとして機能させる場合など)に適用する場合においても同様の不具合は生じるものである。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドア本体にスイング側センサ等の所謂安全センサを取り付ける構成に対し、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を招くことのないドアセンサ及びそのドアセンサを備えたドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、ドア本体に取り付けられるセンサ自体にドア本体の開閉動作位置を検出する機能を備えさせ、外部機器からドア位置情報を受けることなしにドア本体の開閉動作位置を認識し、それに応じてドア本体の移動制御を行うようにしている。
【0017】
−解決手段−
具体的には、ドア位置検出手段、物体検出手段、物体判定手段を備えさせている。ドア位置検出手段は、開閉自在なドア本体に取り付けられ、このドア本体の開閉動作位置を検出可能となっている。物体検出手段は、ドア本体に取り付けられ、検知エリア内の物体の有無を検出するものである。物体判定手段は、ドア位置検出手段及び物体検出手段からの出力を受け、物体検出手段によって検出した物体が検知対象とする物体であるか否かをドア本体の開閉動作位置に応じて判定するようになっている。
【0018】
この特定事項により、ドアセンサ自身がドア本体の開閉動作位置を検出することになり、外部機器(例えば、ドア駆動機構)からドア位置情報を受けることなしにドア本体の開閉動作位置を認識し、それに応じたドア本体の移動制御を行うことができる。このため、ドア駆動機構等の外部機器に回転角度位置認識機能を新たに付加する必要がなくなり、且つその外部機器からの出力信号をドアセンサに送信するための配線作業も必要なくなる。このため、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を回避することができる。また、既に設置されている自動スイングドア等のドアに対しても、本ドアセンサをドア本体に取り付けるのみで、ドア本体の開閉動作位置に応じたドア本体の移動制御を行うことができることになり、既存のドアに対し後付けすることで上記作用を得るドアを構築することができる。
【0019】
上記ドア位置検出手段として、具体的には、回転動作によって開閉自在とされたドア本体に取り付けられてドア本体の回転角度位置を検出可能に構成されたものを採用する。より具体的には、地磁気センサまたはジャイロセンサにより構成される。本構成は、例えば自動スイングドアや自動回転ドア等に本発明を適用する場合に適している。また、スライド式ドアに本解決手段を適用する場合には、スライド機構のローラやカムの回転を検出できるようにセンサを取り付けておけばよい。
【0020】
ドア本体の開閉動作位置の認識に伴うドア本体の移動制御を行うための構成としては以下のものが掲げられる。つまり、ドアセンサを、ドア本体の開放動作時における移動方向側に向く面に取り付ける。そして、物体検出手段によって検出した物体が検知対象とする物体であるとき、ドア本体の開放動作を停止または減速するドアコントローラを備えさせている。
【0021】
また、ドアセンサを、ドア本体の閉鎖動作時における移動方向側に向く面に取り付ける。そして、物体検出手段によって検出した物体が検知対象とする物体であるとき、ドア本体の閉鎖動作を停止または減速するドアコントローラを備えさせている。
【0022】
前者の構成(ドアセンサをドア本体の開放動作時における移動方向側に向く面に取り付けた構成)の場合には、ドア本体の開放動作時に、このドア本体が人などに接触してしまうことを回避でき、後者の構成(ドアセンサをドア本体の閉鎖動作時における移動方向側に向く面に取り付けた構成)の場合には、ドア本体の閉鎖動作時に、このドア本体が人などに接触してしまうことを回避できる。特に、後者の場合には、ドアセンサとして起動センサを兼用したものとすることも可能である。
【0023】
具体的なドアセンサの全体構成としては、センサパッケージを備え、ドア位置検出手段、物体検出手段、物体判定手段がこのセンサパッケージ内に収納されている。このため、本ドアセンサをドアに取り付ける作業としては、センサパッケージをドア表面に貼着等の手段によって取り付ければよく、取り付け作業が容易である。
【0024】
また、物体検出手段を、検知エリアを切り換え可能に構成する一方、ドア位置検出手段からの出力を受け、ドア本体の開閉動作位置に応じて物体検出手段の検知エリアを切り換えるエリア切り換え手段を備えさせている。
【0025】
この特定事項により、ドア本体の開閉動作位置に応じ、検知対象とすべきでない物体を回避しながら物体検出手段の検知エリアを切り換えることが可能になる。また、ドア本体の開閉動作位置に応じて、ドアセンサを一時的に起動センサとして機能させ、その他では安全センサとして機能させるといったように、ドアセンサの利用形態の拡大を図ることができる。
【0026】
上記各解決手段のうち何れか一つのドアセンサがドア本体に取り付けられ、このドアセンサの物体検知動作に連動してドア本体の開閉動作を行うドアも本発明の技術的思想の範疇である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、ドア本体に取り付けられるセンサ自体にドア本体の開閉動作位置を検出する機能を備えさせ、外部機器からドア位置情報を受けることなしにドア本体の開閉動作位置を認識し、それに応じてドア本体の移動制御を行うようにしている。このため、ドア駆動機構等の外部機器に回転角度位置認識機能を新たに付加する必要がなくなり、且つその外部機器からの出力信号をドアセンサに送信するための配線作業も必要なくなる。その結果、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を回避することができる。また、既に設置されている自動スイングドア等のドアに対しても、本ドアセンサをドア本体に取り付けるのみで、ドア本体の開閉動作位置に応じたドア本体の移動制御を行うことができることになり、既存のドアに対し後付けすることで上記効果を奏するドアを構築することができ、実用性の高いドアセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。本形態は自動スイングドアに本発明を適用した場合である。
【0030】
図1は本形態に係る自動スイングドア1の斜視図であって、(a)はドア閉鎖状態を、(b)はドア開放状態をそれぞれ示している。図2は自動スイングドア1のドア閉鎖状態における側面図である。図3はこの自動スイングドア1の制御系を示すブロック図である。
【0031】
−自動スイングドア1の全体構成の説明−
図1及び図2に示すように、この自動スイングドア1では、床面Fに所定間隔を存して垂直に配置された一対の方立21,21と、これら2つの方立21,21の上端部間に跨る無目22とによってドア開口2が形成されている。そして、このドア開口2に、これを閉じる形状のドア本体3が取り付けられている。このドア本体3がドア開口2を閉じる位置を閉鎖位置という(図1(a)参照)。
【0032】
このドア本体3は、一方(図1における右側)の方立21の近傍において鉛直方向に延びる図示しない回転軸を有し、この回転軸回りにスイングするようになっている。このスイングは、ドア開口2を人Mが通過することができる位置まで行われ、スイングを停止した位置を開放位置という(図1(b)参照)。
【0033】
尚、以下の説明では、図1における手前側及び図2における左側をスイング側と呼び、図1における奥側及び図2における右側をアプローチ側と呼ぶ。また、ドア本体3がスイングする際に通過する領域をスイング領域と呼ぶ。
【0034】
ドア本体3をスイングさせるために、無目22内には、駆動装置4が設けられている。この駆動装置4は、例えば図3に示すように、モータ51と、このモータ51を制御するためのドアコントローラ52とを有している。
【0035】
なお、方立21,21のスイング側には、ガードレール23,23が設けられている。
【0036】
−自動スイングドア1の制御系の説明−
本形態に係る自動スイングドア1のドア本体3の両面には、パッケージ内に後述の各手段が収納されて構成されるドアセンサ6,7が取り付けられている。各ドアセンサ6,7はドア本体3の上端近傍位置であって、上記回転軸によって支持されている一側縁とは反対側の側縁付近に取り付けられている。
【0037】
具体的には、ドア本体3のアプローチ側の面に取り付けられているセンサ6は、アプローチ側から人が近づいて来た場合にそれを検知してドア本体3にスイング動作を行わせるための起動センサとして機能するアプローチ側センサ6である。
【0038】
一方、ドア本体3のスイング側の面に取り付けられているセンサ7は、ドア本体3のスイング動作時にスイング領域内に人が存在する場合にそれを検知して、ドア本体3が人に接触しないようにスイング動作を停止させたりスイング速度を減速させるための安全センサとして機能するスイング側センサ7である。
【0039】
図3に示すように、各センサ6,7は、投光部61,71及び受光部62,72を有している。投光部61,71は、例えば複数の赤外線発光ダイオードを備え、これらはCPU63,73の制御に従って、床面Fに向けて光を投射する。図1の破線Aは、アプローチ側センサ6の投光部61の投光エリアを示しており、図1の破線Bは、スイング側センサ7の投光部71の投光エリアを示している。この光の反射光が受光部62,72で受光される。この受光信号がCPU63,73に供給され、この受光信号の値として、それぞれ予め定めた基準値と許容値とに基づいて決定された許容領域内に受光信号の値が存在するか否かCPU63,73に備えられた物体検出手段65,75が判断し、許容領域内に受光信号の値が存在しなければ、物体を検出したと判断して、この物体検出手段65,75が物体検出信号を発生する。
【0040】
一方、ドア本体3の閉鎖位置から開放位置まで所定角度ずつ回転した各位置である各ドア位置ごとに、上記基準値が設定されている。これら基準値は、EEPROM等で構成される記憶手段64,74に記憶されている。これら基準値は、スイッチ、例えば学習スイッチの操作に応動して学習動作(ティーチング)が行われ、この動作によって決定される。つまり、検知エリア内に人などが存在しない状態で、ドア本体3の閉鎖位置から開放位置まで所定角度ずつ回転させていき、その際の受光部62,72の受光量の変化を認識し、それによって基準値を設定して、検知対象とすべきでない壁面などの物体を誤認識しないようにしたり、床面の光反射状態の変化が悪影響を及ぼさないように、各回転位置での基準値を記憶手段64,74に記憶する。
【0041】
また、各センサ6,7には、ドア位置検出手段67,77が備えられている。このドア位置検出手段67,77は、ドア本体3の開閉動作位置、つまりドア本体3の回転角度位置を検出可能に構成されている。具体的には、このドア位置検出手段67,77は地磁気センサによって構成されている。つまり、ドア本体3の開閉動作(回転動作)と共に移動することで、地磁気の変化を認識し、それによってドア本体3の回転角度位置を検出できるようになっている。
【0042】
尚、自動スイングドア1の設置位置の環境が、ドア位置検出手段67,77によって地磁気の変化を認識できる程度の十分な磁場が存在している場合には、特に問題ないが、十分な磁場が存在していない場合には、自動スイングドア1の設置位置やその周辺の地面に磁石等の磁場発生手段を埋め込むなどして、適切な磁場が存在するようにしておく。
【0043】
物体判定手段66,76は、上記ドア位置検出手段67,77及び物体検出手段65,75からの出力と記憶手段64,74に記憶されている情報とを受信するよう構成されている。そして、この物体判定手段66,76が各信号を比較し、検出した物体は人体などの検出対象とすべき物体であるのか、上記ティーチングにおいて認識した壁面やガードレール23などの検出対象とすべきはない物体であるのかを、ドア本体3の回転角度位置に応じて判別する。
【0044】
そして、アプローチ側センサ6にあっては、検出対象とすべき物体であると判別した場合には物体検出信号がドアコントローラ52に供給される。これにより、ドア本体3のスイング動作が開始されることになる。
【0045】
一方、スイング側センサ7にあっては、ドア本体3の開放方向へのスイング動作中に検知した物体が検出対象とすべき物体であると判別した場合にのみ物体検出信号がドアコントローラ52に供給される。これにより、ドア本体3のスイング動作を停止させたりスイング速度を減速させる。
【0046】
更に、上記アプローチ側センサ6にあっては、ドア本体3の閉鎖方向へのスイング動作中に検知した物体が検出対象とすべき物体であると判別した場合にも物体検出信号がドアコントローラ52に供給される。これにより、ドア本体3の閉鎖方向へのスイング動作を停止させたりスイング速度を減速させる。
【0047】
以上のように自動スイングドア1の制御系が構成されているため、自動スイングドア1の開閉動作は以下のように実行される。
【0048】
先ず、図1(a)に示す如くドア本体3が閉鎖状態にあるとき、アプローチ側から人が近づいて来た場合、アプローチ側センサ6の物体検出手段65が物体検出信号を発生する。それに伴い、ドアコントローラ52の制御によってモータ51が起動し、ドア本体3の開放方向へのスイング動作が開始される。
【0049】
このとき、スイング側センサ7はスイング側の検知エリア内の物体検知を行っている。そして、検知エリア内に人等の物体が存在しない場合には、そのまま開放位置までドア本体3のスイング動作が継続される。このとき、ドア本体3のスイング動作に伴ってスイング側センサ7の検知エリア内にガードレール23が入り込むことになるが、予め上述したティーチング動作によって、このガードレール23の検出信号はキャンセルされる。
【0050】
そして、このドア本体3の開放方向へのスイング動作中に検知した物体が検出対象とすべき人体などの物体である場合には、物体判定手段76から物体検出信号がドアコントローラ52に供給される。これにより、ドア本体3のスイング動作の停止またはスイング速度の減速が行われ、スイング側領域に存在する人など物体に対するドア本体3の衝突が回避される。そして、このスイング側領域に存在する人など物体が検知エリア外に移動した後に、ドア本体3は開放状態までスイングされる。
【0051】
ドア本体3の開放状態が所定時間継続された後に、ドア本体3の閉鎖方向へのスイング動作が開始される。この際には、アプローチ側センサ6はアプローチ側の検知エリア内の物体検知を行う。そして、検知エリア内に人等の物体が存在しない場合には、そのまま閉鎖位置までドア本体3のスイング動作が継続される。このとき、ドア本体3のスイング動作に伴ってアプローチ側センサ6の検知エリア内にガードレール23が入り込むことになるが、この場合にも、予め上述したティーチング動作によって、このガードレール23の検出信号はキャンセルされる。
【0052】
そして、このドア本体3の閉鎖方向へのスイング動作中にアプローチ側センサ6が検知した物体が検出対象とすべき人体などの物体である場合には、物体判定手段66から物体検出信号がドアコントローラ52に供給される。これにより、ドア本体3のスイング動作の停止またはスイング速度の減速が行われ、スイング側領域に存在する人など物体に対するドア本体3の衝突が回避される。そして、このアプローチ側領域に存在する人など物体が検知エリア外に移動した後に、ドア本体3は閉鎖状態までスイングされる。
【0053】
以上説明したように、本形態では、各センサ6,7自身がドア本体3の開閉動作位置を検出することになり、駆動機構4から情報を受けることなしにドア本体3の開閉動作位置を認識し、それに応じたドア本体3の開閉制御を行うことができる。このため、駆動機構4に回転角度位置認識機能を新たに付加する必要がなくなり、且つ駆動機構4からの出力信号をドアセンサ6,7に送信するための配線作業も必要なくなる。その結果、構成の複雑化や設置作業の煩雑化を回避することができる。また、既に設置されている自動スイングドア1に対しても、本ドアセンサ6,7をドア本体3に取り付けるのみで、ドア本体3の開閉動作位置に応じたドア本体3の移動制御を行うことができることになり、既存のドア1に対して容易に後付けることが可能である。
【0054】
(第1実施形態の変形例)
上述した第1実施形態では、アプローチ側センサ6及びスイング側センサ7の両方に本発明を適用した場合について説明したが、スイング側センサ7のみに本発明を適用してもよい。この場合、アプローチ側センサ6は起動センサとしての機能のみを有することになるが、アプローチ側センサ6とは別に、ドア本体3の閉鎖動作時に安全センサとして機能する手段を備えさせることが好ましい。また、この場合、アプローチ側センサ6は必ずしもドア本体3に取り付けておく必要はなく、無目22等に取り付けてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本形態は自動回転ドアに本発明を適用した場合である。
【0056】
図4は本形態に係る自動回転ドア1の平面図である。図5はこの自動回転ドア1の制御系を示すブロック図である。
【0057】
本形態の自動回転ドア1は4枚のドア本体3,3,...が90度の角度間隔を存して回転一体に連結されて構成されている。また、本自動回転ドア1では、各ドア本体3に、上記第1実施形態におけるスイング側センサと略同一構成のドアセンサ7が取り付けられている。具体的には、各ドア本体3における幅方向の略中央部の上端位置近傍に配設されている。ここでは、上述した第1実施形態におけるスイング側センサとは異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
本形態におけるドアセンサ7の特徴は、検知エリアが切り換え可能に構成されていることにある。つまり、投光部71による光の照射エリアが切り換えられるように構成されている。具体的には、図5に示すように、ドア位置検出手段77からの出力を受け、ドア本体3の回転位置に応じて物体検出手段75が設定する検知エリア(投光部71の投光エリア)を切り換えるエリア切り換え手段78が備えられている。
【0059】
以下、このエリア切り換え手段78によって切り換えられる各検知エリアについて説明する。
【0060】
先ず、図4に示す状態において、出入口11に臨む位置にないドア本体3A,3Cでは、ドアセンサ7の検知エリアは、ドア本体3A,3Cの回転方向下流側のみに設定される(図4に破線で示す投光エリアC1)。つまり、ドア本体3A,3Cの回転方向下流側に人などの物体が存在していないか否かのみの検出を行うように検知エリアが設定される。
【0061】
一方、出入口11に臨む位置にあるドア本体3B,3Dでは、ドアセンサ7の検知エリアは、ドア本体3の回転方向下流側と、出入口11の開口縁周辺部に設定される(図4に破線で示す投光エリアC2及びD)。つまり、ドア本体3の回転方向下流側に人などの物体が存在していないか否かの検出を行うと共に、そのままドア本体3B,3Dが回転しても、このドア本体3B,3Dと出入口11の開口縁との間に人が挟まれてしまうことがないか否かの検出を行うように検知エリアが設定される。
【0062】
このように、本形態では、自動回転ドア1の各ドア本体3A〜3Dの回転位置を地磁気センサで成るドア位置検出手段77によって検出し、その検出された回転位置に応じて検知エリアを切り換えるようにしている。このため、出入口11に臨む位置にないドア本体3A,3Cに備えられたドアセンサ7,7が壁面を検知し、これを検知すべき物体であると誤認識してしまったり、ドア本体3B,3Dと出入口11の開口縁との間に人が存在しているにも拘わらず、これを検知することができないといった状況を回避することができる。
【0063】
(第2実施形態の変形例)
上述した第2実施形態では、ドア本体3には、起動センサを取り付けない構成としていた。つまり、図示しないが、無目や方立て等に起動センサを取り付けた構成としていた。
【0064】
本発明はこれに限らず、図6に示すように、各ドア本体3に取り付けられているドアセンサ7の検知エリアとして、出入口11側(アプローチ側)に向かう検知エリアを設定するようにしてもよい。つまり、図6に示す状態において、出入口11に臨む位置にないドア本体3A,3Cでは、ドアセンサ7の検知エリアは、上記第2実施形態の場合と同様に、ドア本体3A,3Cの回転方向下流側のみに設定される(図6に破線で示す投光エリアC1)。
【0065】
一方、出入口11に臨む位置にあるドア本体3B,3Dでは、ドアセンサ7の検知エリアは、ドア本体3B,3Dの回転方向下流側と、出入口11の方立て周辺部と、アプローチ側のエリアに設定される(図5に破線で示す投光エリアC2、D及びA)。つまり、ドア本体3B,3Dの回転方向下流側に人などの物体が存在していないか否かの検出を行うと共に、そのままドア本体3B,3Dが回転しても、ドア本体3B,3Dと出入口11の方立てとの間に人が挟まれてしまうことがないか否かの検出を行い、更に、アプローチ側から人が近づいてきていないかの検出を行うように検知エリアが設定される。
【0066】
他の変形例としては、図7に示すように、各ドア本体3A〜3Dにおける回転方向側に向く面に取り付けられているドアセンサ7の検知エリア及びその切り換えは上記第2実施形態の場合と同様であるのに対し、ドア本体3A〜3Dの外縁側の端縁に外周側に向かって投光を行うアプローチ側センサ6を取り付けるようにしてもよい。つまり、このアプローチ側センサ6は、ドア本体3A〜3Dが出入口11に臨む位置まで回転した場合にのみ投光を行って、アプローチ側から人が近づいてきていないかの検出を行うように構成されている。このため、ドア本体3A〜3Dが出入口11に臨まない位置まで回転した際に、壁面を検知してしまい、これを検知すべき物体であると誤認識してしまうことを回避できる。
【0067】
図8は、この変形例における制御系を示すブロック図である。この図に示すように、各センサ6,7には上記第2実施形態の場合と同様のエリア切り換え手段78が備えられている。つまり、各ドア本体3A〜3Dにおける回転方向側に向く面に取り付けられているドアセンサ7の構成は、上記第2実施形態のものと同一である。また、ドア本体3A〜3Dの外縁側の端縁に外周側に向かって投光を行うアプローチ側センサ6の構成は、上記第1実施形態のものにエリア切り換え手段68を備えさせた構成となっている。
【0068】
−その他の実施形態−
上述した各実施形態及び変形例では、自動スイングドア及び自動回転ドアに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動折り畳み式ドアや自動跳ね上げ式ゲートドア等への適用も可能である。図9は、自動折り畳み式ドア1Aに本発明に係るドアセンサ7を取り付けた状態を示しており、(a)は閉鎖状態であり、(b)は開放状態である。図10は、駐車場などに設置される自動跳ね上げ式ゲートドア1Bに本発明に係るドアセンサ7を取り付けた状態を示しており、(a)は閉鎖状態であり、(b)は開放状態である。これら構成によっても、ドアセンサ7自身がドア本体3A,3Bの開閉動作位置を検出することになり、ドア駆動機構からドア位置情報を受けることなしにドア本体3A,3Bの開閉動作位置を認識し、それに応じたドア本体3A,3Bの移動制御を行うことができる。これら図に示すものでは、検知対象とすべきはない物体は、自動折り畳み式ドア1Aでは壁面Wであり、自動跳ね上げ式ゲートドア1Bでは屋根Rである。
【0069】
また、上述した各実施形態及び変形例では、自動ドア1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、手動式のドアにも適用可能である。例えば、手動式のスイングドアのスイング側の面に本発明に係るドアセンサを取り付けておき、アプローチ側からドアを開放しようとしたときに、スイング側に人などが存在する際には警告音を鳴らして注意を喚起したり、ドアの開放を強制的に禁止するロック機構を作動させる構成としてもよい。尚、両開きタイプの手動式のスイングドアの場合には、スイングドアのスイング側及びアプローチ側の各面に本発明のドアセンサをそれぞれ取り付けることが好ましい。
【0070】
更に、ドア位置検出手段67,77としては、地磁気センサに限らずジャイロセンサを採用することも可能である。つまり、ドア本体の回転を検知することによってその回転角度位置を検出可能なセンサであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る自動スイングドアの斜視図であって、(a)はドア閉鎖状態を、(b)はドア開放状態をそれぞれ示す図である。
【図2】自動スイングドアのドア閉鎖状態における側面図である。
【図3】自動スイングドアの制御系を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る自動回転ドアの平面図である。
【図5】第2実施形態に係る制御系を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態の変形例に係る図4相当図である。
【図7】第2実施形態の他の変形例に係る図4相当図である。
【図8】第2実施形態の他の変形例に係る制御系を示すブロック図である。
【図9】本発明を自動折り畳み式ドアに適用した場合の平面図であって、(a)は閉鎖状態を、(b)は開放状態をそれぞれ示す図である。
【図10】本発明を自動跳ね上げ式ゲートドアに適用した場合の側面図であって、(a)は閉鎖状態を、(b)は開放状態をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 自動スイングドア
3 ドア本体
52 ドアコントローラ
6 アプローチ側センサ
7 スイング側センサ
65,75 物体検出手段
66,76 物体判定手段
67,77 ドア位置検出手段
68,78 エリア切り換え手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作以外によって開閉自在なドア本体に取り付けられるセンサパッケージ内に収納されているドアセンサであって、
このドア本体の開閉動作位置を外部機器からドア位置情報を受けることなく検出可能なドア位置検出手段と、
検知エリア内の物体の有無を検出する物体検出手段と、
上記ドア位置検出手段及び物体検出手段からの出力を受け、物体検出手段によって検出した物体が検知対象とする物体であるか否かをドア本体の開閉動作位置に応じて判定する物体判定手段とを備えていることを特徴とするドアセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−241972(P2006−241972A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153316(P2006−153316)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【分割の表示】特願2002−199802(P2002−199802)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】