説明

ニンニク等の球根植え付け装置

【課題】ニンニク等の植え付け装置において、構造が簡単で傷などのダメージを与えることがなくニンニク等の球根を確実に植え付け可能な球根植え付け装置を提供する。
【解決手段】球根装填手段5は、ホルダー上下反転手段6により球根植え付けホルダー4が上方を向いた中心位置と略同軸上に位置して垂直方向に昇降自在であり、球根載置プレート3上の球根を下方へ押し出すプッシュロッド50を有していて、
該プッシュロッド50による球根装填手段5には、プッシュロッド50の押し出し方向に作用する弾性部材を介在させた緩衝手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク等の球根を畑の畝の所定の位置に植え付ける球根植え付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニクの植え付けは、一般的に図22に畝の断面説明図として示すように110cm程度の幅の畝に4条に植え付けられるため条列Lの間隔LLは、約25cm前後である。また、図23に畝Mの平面図として示すように一つの条列Lの前後の植え付け位置Nの間隔NLは、15cm乃至17cmと条列間の幅よりは狭い。
【0003】
ニンニク等の球根G類は、図19及び図20に示すように将来の発芽部分である先の尖った出芽部Aと、発根部分でありやや平面状である発根底部Bとを有し、出芽部Aと発根底部Bは、互いにほぼ反対側に位置している。そしてニンニクの球根については、出芽部Aと発根底部Bとの間の外周部がほとんど一つの曲面部Cと、二つの平面部Dとを有し、二つの平面部D,D間は鋭角な角度である稜線部Eを形成している。
【0004】
そして、ニンニク等の球根類は、発根底部Bを下にし、出芽部Aを上にして植え付けるが、植え付け後に発芽し、さらに芽が葉Fとして成長すると稜線部Eを中心線としておおよそ左右に分かれ弧状に伸び垂れ下がる。(図21参照。なお図21は説明図であり実際は、葉が成長し始めると元の球根は小さく消滅し、図示していない新たな球根が成長している。)
【0005】
そのため、理想的な植え付けとしては、全てのニンニク等の球根を、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植え付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植え付けることが望ましい。
【0006】
公知のニンニク等の球根植え付け機としては、特開2006−211998号公報(従来技術1)に「エンジンが搭載された走行機体に球根を所定の姿勢に保持して圃場に植え付けるための球根植え付け装置を備えた球根植え付け機において、球根植え付け装置には球根を着脱可能に把持する把持アームを備える。把持アームは、走行機体の前進動に連動して、エンジンの動力により把持アームの先端で球根を受け取るときの受け取り姿勢と前記先端部を圃場面に突き刺すときの植え付け姿勢とに間欠的に姿勢切り替え移動するように構成する。把持アーム16は、受け取り姿勢の時に、先端部を走行機体のうち球根植え付け装置よりも後方の操縦部に向けて臨ませる」が開示されている。
【特許文献1】特開2006−211998号公報(従来技術1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ニンニク等の球根類の植え付け作業を全て手作業として行うと、理想的な向きや深さで植え付けることは可能であるが、作業者の腰への負担等が大きく、特に専業的なニンニクの収穫を目的とする一つの畝に複数列、通常4条列を植え付けるような広い作付け面積の圃場の場合は、大勢の人手と長時間作業が必要となり作業者の負担が非常に大きくなり現実的には困難であった。このため前記従来技術1のような植え付け機が開示されている。
【0008】
しかし、ニンニク等の球根を、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植え付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植え付けるためには、各機構においてニンニク等の球根を確実に固定して保持するとともに、球根に傷等のダメージを与えないことが必要となるが、従来技術においては不確実な部分があった。
【0009】
従来技術1には、「各掴み爪54は、当該掴み爪54のリング部とこれに対応した支持バー53の先端のリング部とを繋ぎ合わせること、及び自らの弾性力により、固定アーム51の延びる方向から見て半径方向に開閉回動(広狭回動)可能」に構成されている球根保持部に「作業者は植え付けるべき球根の姿勢や向きを確認しながら、当該球根を前記把持手段の先端部にスムーズに把持させる」ことが記載されているが、この場合、把持手段に作業者が直接球根を把持させるため、把持手段が作業者のほうに向いた瞬間に把持作業を行う必要があるため、作業速度を上げることに限界があると共に作業者は熟練を要する。
【0010】
このため本考案の目的は、ニンニク等の植え付け装置において、構造が簡単で傷などのダメージを与えることがなくニンニク等の球根を確実に植え付け可能で、植え付け工程における球根の姿勢変化を無くして、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さを所定の深さにして植え付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植え付けるための球根植え付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ニンニク等の球根を載置する球根載置プレートと、ニンニク等の球根の球根植え付けホルダーと、球根載置プレートに載置されたニンニク等の球根を球根植え付けホルダーに装填する球根装填手段と、水平軸を回転中心として球根植え付けホルダーを上下反転させるホルダー上下反転手段と、球根植え付けホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段と、球根植え付けホルダーを進行する前後方向に移動させるホルダー前後移動手段と、球根植え付けホルダーに装填された球根をホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段とを有するニンニク植付け装置において、球根装填手段は、ホルダー上下反転手段により球根植え付けホルダーが上方を向いた中心位置と略同軸上に位置して垂直方向に昇降自在であり、球根載置プレート上の球根を下方へ押し出すプッシュロッドを有し、該プッシュロッドからなる球根装填手段には、プッシュロッドの押し出し方向に作用する弾性部材を介在させた緩衝手段が設けられているニンニク植付け装置である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッドが、プッシュロッドの保持部に対して軸方向移動自在であるとともに弾性部材により下方に付勢され保持されていて、弾性部材の付勢力に抗して球根を押し出すように構成された緩衝手段である請求項1記載のニンニク植付け装置である。
【0013】
更に、請求項3の発明は、弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッド先端部に設けた弾性部材である請求項1又は請求項2記載のニンニク植付け装置である。
【0014】
更にまた、請求項4の発明は、弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッド駆動手段とプシュロッド保持手段との間に介在させたコイルスプリングである請求項1又は請求項2又は請求項3記載のニンニク植付け装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1のように構成すると、ニンニク等の球根を載置する球根載置プレートと、ニンニク等の球根の球根植え付けホルダーと、球根載置プレートに載置されたニンニク等の球根を球根植え付けホルダーに装填する球根装填手段とを設けた構成のため、作業者は球根載置プレートに予め複数の球根を装填しておくことができるため、作業に余裕ができることで作業者の負担が軽減されるとともに、作業速度を早くすることが可能となる。また、球根装填手段は、球根植え付けホルダーが上方を向いた中心位置と略同軸上に位置して垂直方向に昇降自在であり、球根載置プレート上の球根を下方へ押し出すプッシュロッドを有していて、プッシュロッドの押し出し方向に作用する弾性部材を介在させた緩衝手段が設けられていることにより、球根を押し出す時の押し出し力により球根に傷や潰れなどのダメージを与えることがない。
【0016】
また、請求項2の発明のように構成すると、プッシュロッドが球根を押し付ける時、弾性部材の軸方向へ伸縮する緩衝効果により球根への傷などのダメージを与えることがない。
【0017】
更に、請求項3の発明によると、球根に直接当接するプッシュロッドの先端部に弾性部材を設けたため、弾性部材の柔軟性による緩衝効果によって球根に傷などのダメージを与えることがない。
【0018】
更にまた、請求項4の発明によると、プッシュロッド駆動手段とプシュロッド保持手段との間に介在させたコイルスプリングの伸縮により、プッシュロッドによる押し付け力に緩衝効果をもたらすため、球根を押し出す時の球根への傷や潰れなどのダメージを与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の平面図である図1、正面図である図2、この発明のニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である図3乃至図10、同じく左側面図を示す図11、同じく左側から見た内部作動を示す図12、同じく球根装填手段の作動状態を示した要部の左側面図である図13乃至図15、同じくホルダー前後動手段の後進速度が、走行装置の前進速度と略同速度となるようにホルダー前後動手段と走行装置とを同調させる機構の説明図である図16、同じく球根保持部に球根を保持した状態を示す図17、同じく孔開け装置の斜視図を示す図18に基づいて説明する。
【0020】
この発明のニンニク等の球根植え付け装置1は、この実施形態ではクローラ走行部20で走行する走行装置2に着脱可能に載置されているが、他の実施形態では人力走行する装置に載置しても作業は可能である。この走行装置2の左右のクローラ走行部20の幅間隔は、球根植え付け畝Мを跨いで走行可能な幅に設けられている。21は走行装置の運転操作部であり、運転操作部21は、走行装置2の後部左右に設けられている2つの作業者用シート22に挟まれて設けられる。23はエンジン、24は変速機であり、エンジン出力プーリ25と変速機入力プーリ26をベルトによって伝動する。
【0021】
この発明のニンニク等の球根植え付け装置1は、ニンニク等の球根を載置する球根載置プレート3と、ニンニク等の球根の球根植え付けホルダー4と、球根載置プレート3に載置されたニンニク等の球根を球根植え付けホルダー4に装填する球根装填手段5と、水平軸を回動中心として球根植え付けホルダー4を上下反転させるホルダー上下反転手段6と、球根植え付けホルダー4を垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段7と、球根植え付けホルダー4を進行する前後方向に移動させるホルダー前後移動手段8と、球根植え付けホルダーに装填された球根をホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段9と、球根植え付け畝Мを被覆しているマルチフイルムに球根植え付け用の孔を開ける孔開け装置10とを有する。
【0022】
球根載置プレート3は、複数の上下貫通孔からなる載置部31を有する水平方向に間欠的に回転可能な複数の円形板状体30と、円形板状体30を円形板状体回転軸33を中心に間欠的に回転させる回転駆動部32とからなり、走行装置2に備え付けられた場合は、作業者用シート22の前に設けられる。この実施形態では円形板状体30は4つ横方向に並設されており、それぞれの円形板状体30は、その外周部分に90度角間隔で載置部31を設けている。それぞれの載置部31は、球根Gを上下方向にした状態で保持可能であるとともに、作業者が載置部31へ球根を載せる位置と、円形板状体30の上方に位置する球根装填手段5によって載置部31の球根Gを球根植え付けホルダー4へ装填する位置とを水平方向へ間欠的に回転する。この実施形態では作業者が載置部31へ球根を載せる位置と球根植え付けホルダー4へ装填する位置とは180度角の間隔に設けられており90度角ごとの回転によって間欠的に停止する。間欠移動角度及び載置部31の数は、作業速度に合わせて任意に設定することができる。
【0023】
載置部31は、薄板で円形に構成された円形板状体30に上下貫通孔が設けられ、この貫通孔内周に球根を保持可能な弾性部材で構成された保持部材311が設けられていて、球根を差し込むと弾性部材の変形により姿勢を変化させずに保持され、さらに押し込むと球根に傷等のダメージを与えることなく保持部材311から外れて下方へ移動可能に構成されている。
【0024】
球根植え付けホルダー4は、球根Gを保持可能な凹状の球根保持部40と、球根保持部40の中心から放射状に外周に配置され中心方向へ付勢されている外周保持部41とを有する。球根植え付けホルダー4は、球根載置プレート3の載置部31の下方の位置で球根保持部40の凹状開口を上方に向けた状態で位置しており、ホルダー上下反転手段6によって球根保持部40の凹状開口を下方に向けた状態に上下180度回動し、ホルダー上下動手段7によって垂直方向に上下動する。
【0025】
外周保持部41は、この実施形態では中心方向へ付勢される複数本の棒状スプリング材からなり、球根保持部40の外周に固定されて設けられる。球根保持部40は、球根Gの先端側を凹状の内方向へ向けて載置され得る凹状部を有し、外周保持部41の外周内側で外周保持部41の先端側から基部方向の中側に位置している(図17参照)。球根保持部40が図17の位置のときに球根保持部40の球根Gは、その外側を外側から外周保持部41によって保持されている。球根保持部40は、押出しシャフト90によって外周保持部41の先端方向へ移動し、更に押出しシャフト90は外周保持部41によって保持されていた球根Gを、外周保持部41の先端から外に押し出し、土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。
【0026】
球根植え付け手段9は、押出しシャフト90とモータであるシャフト駆動部91からなり、シャフト駆動部91により押出しシャフト90は、球根植え付けホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ往復移動可能である。押出しシャフト90は、球根植え付けホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。
【0027】
球根装填手段5は、球根載置プレート3の上方に設けられた装填用プッシュロッド50と、これを支える連結部54と、連結部54が垂直方向に昇降するためのガイド部材である垂直方向に設けられた昇降棒53と、フレーム100に支持され昇降棒53を支持する支持部51と、連結部54を昇降させるための駆動源のモータである昇降駆動部52と、昇降駆動部52と連結部54とを連結するリンク材とで構成されている。
【0028】
プッシュロッド50は、連結部54に垂直方向にスライド自在に保持されていると共に、弾性部材であるスプリング55により下方に付勢されて保持されている。スプリング55は、本例においては圧縮スプリングであり、プッシュロッド50外周に挿入されるとともに、連結部54の保持部下方側に位置させ、下方をプッシュロッド50に固定したストッパーリング502により係止させるとともに、連結部54の保持部から上方に貫通させたプッシュロッド50の端部には、ストッパーリング501が係止されていて、これが連結部50の保持部に当接し、プッシュロッドの下方への抜けを阻止していて、プッシュロッド50はスプリング55により下方に付勢された状態で保持されている。球根Gを押すときは、この付勢力に抗して球根Gが押し出されることになり、スプリング55が緩衝手段となり傷や潰れ等のダメージを防止する。
【0029】
連結部54は、フレーム100に垂直方向に固定され設けられた昇降棒53によってガイドされ昇降自在であり、連結部54はコイルスプリング56の一端と連結されていて、コイルスプリング56の他端は駆動源のモータである昇降駆動部52の回転軸に固着されたリンクアーム51の回動端に連結され、昇降駆動部52が回転するとコイルスプリング56が連結部54を昇降させ、プッシュロッド50を昇降させる。球根Gを押し出すときにはコイルスプリング56が引張られ緩衝手段となり球根Gの傷や潰れ等のダメージを防止する。
【0030】
プッシュロッド50の下方端には、弾性部材で形成されたプッシュヘッド57が固着されていて、プッシュヘッド57のクッション効果により球根Gとの緩衝手段となって傷や潰れ等のダメージを防止する。
【0031】
球根装填手段5のプッシュロッド50は、球根載置プレート3の載置部31の上方に位置し、下降することで載置部31に置かれているニンニク等の球根Gを上から押し出して、載置部31の下方に位置する球根植え付けホルダー4の球根保持部40に装填する。押し出しする場合には、前記緩衝手段である弾性部材のスプリング55とコイルスプリング56とプッシュヘッド57のそれぞれの付勢力に抗して球根Gは下方に押し出される。
【0032】
前記緩衝手段である弾性部材のスプリング55とコイルスプリング56とプッシュヘッド57は、それぞれ単独で使用してもよく、また、それぞれ組み合せて使用してもよい。図13は球根装填手段5のプッシュロッド50が上方で待機状態で、図14は球根Gを押し出し中の状態で、図15はさらに押し出され球根植え付けホルダー4に球根が装填された状態を示したものである。
【0033】
ホルダー上下反転手段6は、水平軸60を回動中心として上下反転駆動部61によって球根植え付けホルダー4を上下反転させる。
【0034】
ホルダー上下移動手段7は、フレーム101に設けられるピニオン70と、ピニオン70と噛合し垂直方向に上下移動するラック71からなる。ピニオン70は、モータからなる駆動部72によって回転し、ラック71に球根植え付けホルダー4、植え付け手段9が連結固定して設けられている。
【0035】
ホルダー前後移動手段8は、図16に示すように走行装置2のクローラ走行部20の車軸27を駆動させる変速機24と連結しているユニバーサルジョイント80、電磁クラッチ81、第1スプロケット82、ローラーチェーン83、第2スプロケット84、クランクアーム85、及び連結ロット86からなる。なお、図16はホルダー前後移動手段8と走行装置2とを90度異なる視点で描いた図であり、ホルダー前後移動手段8は側方向から見た図、走行装置は前後方向から見た図である。これはホルダー前後移動手段8が、同調する走行装置2のクローラ走行部20の車軸27を図示するためである。変速機24は、エンジン23に連結しておりクローラ走行部20の車軸27を回転させるとともに、その同じ回転数をユニバーサルジョイント80、電磁クラッチ81、第1スプロケット82、ローラーチェーン83、第2スプロケット84を介してクランクアーム85に伝動し、クランクアーム85を回転させる。クランクアーム85の回転に伴い球根植え付けホルダー4、押出しシャフト90等を備えているフレーム100は、クランクアーム85と連結ロット86で連結されて前後に移動可能である。このホルダー前後移動手段8により球根植え付けホルダー4、押出しシャフト90等の後進速度が、走行装置2の前進速度と略同速度となるように走行装置2を同調させている。電磁クラッチ81は、各作動機構とのタイムラグを調整するためにON・OFF作動する。
【0036】
走行装置2は、マルチフイルム上面位置検出手段200と、球根植え付けホルダー上下移動制御手段(図示せず)とを設けている。マルチフイルム上面位置検出手段200は、球根植え付けホルダー4の支持フレーム204に一端が回動部203によって上下回動自在に設けられるとともに、他端にマルチフイルム上面をトレースするマルチフイルム上面当接部202を有するセンサーアーム201を有する。マルチフイルム上面当接部202はローラからなる。
【0037】
球根植え付けホルダー上下移動制御手段(図示せず)は、センサーアーム201と支持フレーム204との回動部203の回動角の変化により検出した角度信号を、ホルダーを上下移動手段7に伝達して、球根植え付けホルダー4の上下移動の位置制御をマルチフイルム上面を基準に制御する。
【0038】
球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフイルムに孔を開ける孔開け装置10は、畝に4条に植え付けられる条列L数、通常は4つの孔開け部18を走行装置2の幅方向に設けられているベースプレート15上に並設して設けられており、各孔開け部18は連動ロッド16により作動は連動されている。ベースプレート15は、パンダグラフ17によってフレーム100に取り付けられ上下動することで孔開け装置10は作動する。
【0039】
それぞれの孔開け部18は、植え付け予定位置の中心から周辺方向へ移動しつつマルチフイルム上面を破る複数の爪11、この実施例では4本の棒状の爪11と、爪11を作動させる爪作動アーム12と、爪作動アーム12の作動ピン14と長円孔によって係合し爪作動アーム12を時間差的に作動させ得るように連結するリンク状の爪作動リンク13と、爪作動リンク13を回動させる連結リンク19とを設けている。
【0040】
上述した各駆動部は、この実施例ではモータであるが、シリンダー装置を使用してもよい。
【0041】
次にこの考案の実施形態である走行装置2に備え付けられたニンニク等の球根植え付け装置1の作動について図1及び図3乃至図10に基づいて説明する。
【0042】
作業者は、走行装置2の作業者用シート22に通常2人が座り、どちらかの人が走行装置2の運転操作部21を操作して操縦する。運転操作部21の操作によってエンジン23が掛かり変速機24、車軸27を介してクローラ走行部20を回転させ、走行装置2を走行させる。走行装置2は、畝Mを跨ぐように畝間にクローラ走行部20を走らせる。
【0043】
ニンニク等の球根植え付け装置1は、図3において球根載置プレート3の載置部31には球根Gが姿勢と向きを保持されて載置されており、球根装填手段5のプッシュロッド50は、載置部31の上方に位置し、球根植え付けホルダー4の球根保持部40は、載置部31の下方に位置している。作業者が2人の場合は、それぞれ作業用シート22の前の球根載置プレート3を二つずつ受け持って球根Gを、載置部31に出芽部Aを下にして稜線部Eを一定方向に向かせて挿入する。このとき球根載置プレート3の回転は停止されている。
【0044】
次に、球根装填手段5の昇降駆動部52が作動し、連結部54が昇降棒53を下降する。連結部54が降下し始めると、これに保持されているプッシュロッド50も下降し(図4)、プッシュロッド50が載置部31に載置されていた球根Gを下方に位置する球根植え付けホルダー4の球根保持部40まで押し出し装填する(図5参照)。
【0045】
プッシュロッド50は、球根植え付けホルダー4の球根保持部40に球根Gを装填する位置まで下降後、直ぐに連結部54が昇降棒53を上昇し始めプッシュロッド50を元の位置に停止させる(図6参照)。
【0046】
プッシュロッド50が載置部31から上方に位置すると、球根載置プレート3の円形板状体30が、90度角回転し、球根Gを載置した次の載置部31をプッシュロッド50の下方位置に位置させる。この球根載置プレート3の円形板状体30の回転とともに、ホルダー上下回転手段6と、電磁クラッチ81がONとなりホルダー前後移動手段8が作動し始め、球根植え付けホルダー4が取り付けられているフレーム100が、前進方向へ移動し始めるとともに水平軸60を中心に上下反転し始める。そして球根植え付けホルダー4が取り付けられているフレーム100は最前位置に移動し、球根植え付けホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は、下方を向いた状態になるため、球根Gの先端部Aは上方を向く(図7参照)。
【0047】
このとき、ホルダー前後移動手段8は、クローラ走行部20の車軸27を駆動させる変速機24と連結しており、車軸27の回転速度と同調した動きをクランクアーム85に伝え、クランクアーム85の回転により連結ロット86を前進及び後退させる。電磁クラッチ81は、クランクアーム85が1回転するとOFFとなり前後移動が停止し次サイクルの待機状態となる。
【0048】
次に図8に示すようにマルチフイルム上面位置検出手段200のローラーからなるマルチフイルム上面当接部202がマルチフイルム上面をトレースすることで、マルチフイルム上面とクローラ走行部20が走行する畝間面との高さ相違が生じた場合でも、マルチフイルム上面を基準として支持フレーム204とセンサーアーム201の回動部203の角度が変化し、その角度変化に対応して、球根植え付けホルダー上下移動制御手段(図示せず)が作動し、ホルダー上下移動装置7を作動させるとともにその下降距離を調整する。ホルダー上下移動装置7の下降により球根植え付けホルダー4の球根保持部40の位置が、マルチフイルム上面に近接した高さまで降下して停止する。
【0049】
ホルダー上下移動装置7の下降に同調して、孔開け装置10が作動して球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフイルムに球根植え付け用の孔を開ける。孔開け装置10は、4本の棒状の爪11を植え付け予定位置の中心へ突き刺した後、中心から周辺方向へ移動しつつマルチフイルム上面を破る。
【0050】
次に球根植え付け手段9のシャフト駆動部91が作動し、押出しシャフト90を球根植え付けホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ下降させる。押出しシャフト90は、球根植え付けホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける(図9参照)。
【0051】
球根植え付け手段9の押出しシャフト90の下降及び上昇作動をしている時間は、ホルダー前後移動手段8が作動して走行装置2の前進速度と略同速度で球根植え付けホルダー4、押出しシャフト90を後進させているため、押出しシャフト90、植え付けホルダー4は、球根植え付け位置で前後移動を停止し上下移動することができる
【0052】
図10に示すように押出しシャフト90は、一定の深さまで下降して土中に球根Gを植え付けた後、上昇し土中から出ると、再びホルダー上下反転手段6が作動して球根植え付けホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は上方を向いた状態になる。同時にホルダー上下移動手段7が作動して球根植え付けホルダー4を上昇させるとともにホルダー前後移動手段8の後進を停止する。この状態で図3の位置に各部材、装置は戻る。
【0053】
この作動を一つの植え付けサイクルとして、走行装置2の走行とともに順次ニンニクを植え付けていく。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この考案は、ニンニク等の球根類の植え付け作業を行う植え付け装置に利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置を走行装置に取り付けた状態の平面図
【図2】同じく走行装置の駆動部、変速機などを省略した正面図
【図3】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図4】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図5】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図6】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図7】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図8】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図9】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図10】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図
【図11】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の左側面図
【図12】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の左側から見た内部作動を示す説明図
【図13】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根装填手段の作動状態を示した要部の左側面図
【図14】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根装填手段の作動状態を示した要部の左側面図
【図15】この考案の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根装填手段の作動状態を示した要部の左側面図
【図16】この考案のホルダー前後動手段の後進速度が、走行装置の前進速度が略同速度となるようにホルダー前後動手段と走行装置とを同調させる機構の説明図
【図17】同じく球根保持部に球根を保持した状態を示す拡大図
【図18】同じく孔開け装置の斜視図
【図19】ニンニク等の球根の正面図
【図20】ニンニク等の球根の側面図
【図21】ニンニク等の球根の正面から見た成長後の説明図
【図22】ニンニク等の球根を植え付ける畝の横断面説明図
【図23】ニンニク等の球根を植え付ける畝の平面説明図
【符号の説明】
【0056】
1 ニンニク等の球根植え付け装置
100 フレーム
101 フレーム
2 走行装置
20 クローラ走行部
21 運転操作部
22 作業者シート
23 エンジン
24 変速機
25 エンジン出力プーリ
26 変速機入力プーリ
27 車軸
200 マルチフイルム上面位置検出手段
201 センサーアーム
202 マルチフイルム上面当接部
203 回動部
204 支持フレーム
3 球根載置プレート
30 円形板状体
31 載置部
311 保持部材
32 回転駆動部
33 回転軸
4 球根植え付けホルダー
40 球根保持部
41 外周保持部
5 球根装填手段
50 プッシュロッド
501,502 ストッパーリング
51 支持部
52 昇降駆動部
521 リンクアーム
53 昇降棒
54 連結部
55 スプリング(弾性部材)
56 コイルスプリング(弾性部材)
57 プッシュヘッド(弾性部材)
6 ホルダー上下反転手段
60 水平軸
61 上下反転駆動部
7 ホルダー上下移動手段
70 ピニオン
71 ラック
72駆動部
8 ホルダー前後移動手段
80 ユニバーサルジョイント
81 電磁クラッチ
82 第1スプロケット
83 ローラーチェーン
84 第2スプロケット
85 クランクアーム
86 連結ロット
9 球根植え付け手段
90 押出しシャフト
91 シャフト駆動部
10 孔開け装置
11 爪
12 爪作動アーム
13 爪作動リンク
14 爪作動ピン
15 べースプレート
16 連動ロッド
17 パンダグラフ
18 孔開け部
G ニンニク等の球根
A ニンニク等の球根の出芽部
B ニンニク等の球根の発芽底部
C ニンニク等の球根の曲面部
D ニンニク等の球根の平面部
E ニンニク等の球根の稜線部
F ニンニク等の球根の葉
L ニンニク等の球根を植える畝の条列
LL 条列の間隔
M ニンニク等の球根を植える畝
MF マルチフイルム上面
N ニンニク等の球根を植える位置
NL 球根の畝長手方向の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク等の球根を載置する球根載置プレートと、ニンニク等の球根の球根植え付けホルダーと、球根載置プレートに載置されたニンニク等の球根を球根植え付けホルダーに装填する球根装填手段と、水平軸を回転中心として球根植え付けホルダーを上下反転させるホルダー上下反転手段と、球根植え付けホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段と、球根植え付けホルダーを進行する前後方向に移動させるホルダー前後移動手段と、球根植え付けホルダーに装填された球根をホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段とを有するニンニク植付け装置において、
球根装填手段は、ホルダー上下反転手段により球根植え付けホルダーが上方を向いた中心位置と略同軸上に位置して垂直方向に昇降自在であり、球根載置プレート上の球根を下方へ押し出すプッシュロッドを有し、
該プッシュロッドからなる球根装填手段には、プッシュロッドの押し出し方向に作用する弾性部材を介在させた緩衝手段が設けられていることを特徴とするニンニク植付け装置。
【請求項2】
弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッドが、プッシュロッドの保持部に対して軸方向移動自在であるとともに弾性部材により下方に付勢され保持されていて、弾性部材の付勢力に抗して球根を押し出すように構成された緩衝手段であることを特徴とする請求項1記載のニンニク植付け装置。
【請求項3】
弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッド先端部に設けた弾性部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のニンニク植付け装置。
【請求項4】
弾性部材を介在させた緩衝手段は、プッシュロッド駆動手段とプシュロッド保持手段との間に介在させたコイルスプリングであることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のニンニク植付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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