説明

ハイブリッド式暖房装置

【課題】 燃料切れに対応することができて、しかも燃料切れが原因で電気ヒータ装置による暖房が行われていることをユーザに気付かせることができるハイブリッド式暖房装置を提供する。
【解決手段】 燃料切れ検出センサ11が燃料切れを検出すると、指令発生部8が、燃焼停止指令をバーナ装置3に出力し、その後電気ヒータ装置5の通電回路SCに通電開始指令を出力する。通電開始指令が通電回路SCに出力された後予め定めた最小通電期間が経過すると、指令発生部8は通電回路SCに通電停止指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料燃焼用バーナ装置と電気ヒータ装置の両方を備えたハイブリッド式暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平7−318167号公報(特許文献1)には、液体燃料燃焼用バーナ装置と電気ヒータ装置の両方を備えた温風暖房器が開示されている。この温風暖房器では、液体燃料(石油)燃料切れを検知すると、バーナ装置を停止し、電気ヒータ装置への通電を開始する技術が開示されている。また特開平7−318166号公報(特許文献2)には、液体燃料(石油)燃料切れを検知すると、バーナ装置を停止し、一定時間経過後に電気ヒータ装置への通電を開始する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−318167号公報
【特許文献2】特開平7−318166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように、電気ヒータ装置に切り換わった後に、電気ヒータ装置による暖房を継続すると、燃料切れが発生して電気ヒータ装置に切り換わったことをユーザが忘れた場合には、液体燃料の補給が遅くなり、使用電気量を不必要に増大させてしまう問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、燃料切れに対応することができて、しかも燃料切れが原因で電気ヒータ装置による暖房が行われていることをユーザに気付かせることができるハイブリッド式暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド式暖房装置は、基本的な構成要素として、液体燃料燃焼用バーナ装置と電気ヒータ装置と指令発生部とを備えている。液体燃料燃焼用バーナ装置は、燃焼開始指令を受信すると燃焼を開始し、燃焼停止指令を受信すると燃焼を停止し、燃焼量制御指令を受信すると該燃焼量制御指令により指令された燃焼量で燃焼を行うように構成されている。また電気ヒータ装置は、通電開始指令を受信するとヒータ部への通電を開始し通電停止指令を受信するとヒータ部への通電を停止するように構成されている。指令発生部は、燃焼開始指令及び燃焼停止指令並びに通電開始指令及び通電停止指令を予め定めた制御モードに従って出力する。本発明のハイブリッド式暖房装置は、更に燃料切れを検出する燃料切れ検出センサを備えている。そして指令発生部は、燃料切れ検出センサが燃料切れを検出すると燃焼停止指令を出力し、その後通電開始指令を出力し、通電開始指令が出力された後予め定めた最小通電期間が経過すると通電停止指令を出力する燃料切れ対応モードを制御モードに含んでいる。本発明によれば、従来と同様に、燃料切れが発生した後は、電気ヒータ装置による暖房に切り換わる。しかしその後、予め定めた最小通電期間が経過すると通電停止指令が出力されて電気ヒータ装置による暖房が停止する。その結果、本発明によれば、電気ヒータ装置による暖房が停止することにより、燃料の補給の必要性をユーザに知らせることができる。なおこの最小通電時間は、少なくとも液体燃料の補給ができる時間に定めればよい。液体燃料を充填した予備タンクがあると過程すると、この最小通電時間は1時間程度あれば十分である。
【0007】
給油延長入力部を設けて、燃料を補給するまでの期間を延ばすために、給油延長入力部を操作することにより、液体燃料燃焼用バーナ装置における燃焼量を少なくする運転をするようにしてもよい。このような場合に対応するために、給油延長対応モードを制御モードに含めることができる。給油延長対応モードでは、ユーザによる給油延長入力部の操作により給油延長指令が指令発生部に入力されると、液体燃料燃焼用バーナ装置における燃焼量を最小にする燃焼量制御指令を出力し、燃料切れ検出センサが燃料切れを検出すると燃焼停止指令を出力し、その後通電開始指令を出力し、通電開始指令が出力された後最小通電期間よりも長い延長通電期間が経過すると通電停止指令を出力する。ユーザが給油の延長を指示する操作をすることは、燃料の補給が直ぐにできない状況(保存している液体燃料が無い等)を意識をした操作である。このような状況下では、ユーザが燃料の補給の必要性を忘れていることは殆どない、そしてこの状況下では、暖房をできるだけ延長することをユーザが望んでいる。またこのような状況下では、燃料切れが検出されたとしても、直ぐに燃料の補給ができないことが多い。そこで通電開始指令が出力された後、最小通電期間よりも長い延長通電期間が経過すると通電停止指令を出力するようにすれば、燃料切れの発生を意識しているユーザに、電気ヒータ装置による暖房の中止によって、不快な思いをさせることを極力防止できる。なおこの延長通電時間は、8時間や半日のように、液体燃料の購入が可能になる長い時間とすることが好ましい。
【0008】
また室内温度を検出する温度センサを更に備えていてもよい。そしてこの場合において、液体燃料燃焼用バーナ装置は燃焼を開始する前に燃焼部における液体燃料を事前に加熱するプレヒータと、燃焼部に燃焼用空気を供給する第1の送風機と、燃焼部に液体燃料を供給する電動ポンプとを備えているものを用い、電気ヒータ装置として、発熱量制御指令により指令された発熱量に応じてヒータ部を発熱させる発熱量制御部と、ヒータ部で発生した熱を放出するためにヒータ部に空気流を供給する第2の送風機とを備えたものを用いる。そして燃焼開始指令には、プレヒータに予め定めた予熱通電時間通電を行うことを指令するプレヒータ通電指令、第1の送風機に送風動作を開始させる送風開始指令、電動ポンプに燃料供給動作を開始させる燃料供給開始指令を含める。そして制御モードには、燃焼開始指令を出力し且つ電気ヒータ装置に通電開始指令と所定の発熱量を指令する発熱量制御指令を出力し、その後室内温度が予め定めた基準温度(電気ヒータ装置による暖房が必ずしも必要ない温度)を越えると通電停止指令を出力する運転開始モードを含めるのが好ましい。この運転開始モードでは、プレヒータによる予熱と並行して電気ヒータ装置により暖房が行われる。したがってこのようにすれば、燃焼部で本格的な燃焼が始まるまで、電気ヒータ装置による暖房を行って、早期に室内の温度を上げることが可能になる。
【0009】
なお予熱通電時間が終了するまでは最大発熱量よりも少ない発熱量で電気ヒータ装置が発熱することを指令し、予熱時間が終了したら最大発熱量で電気ヒータ装置が発熱するように発熱量制御指令のシーケンスを定めると、プレヒータに通電している予熱時間において大電流が流れることなく、プレヒータに必要十分な電流を通電することができる。そしてその後予め定めた時間が経過すると、電気ヒータ装置を最大発熱量で発熱させる。これにより、バーナ装置の燃焼が十分なものとなるまで、電気ヒータ装置により最大発熱量で暖房を行う。その後室内温度が基準温度(電気ヒータ装置による暖房が必ずしも必要ない温度)を越えると、電気ヒータ装置への通電を停止し、以後はバーナ装置により暖房を行う。このようにするとバーナ装置を確実に運転開始できるとともに、バーナ装置の燃焼が本格的なものとなるまでは、電気ヒータ装置による暖房で、バーナ装置による暖房を補助することができる。そして室内温度がバーナ装置だけで暖房を継続するのに十分な温度を越えると電気ヒータ装置による暖房を停止するので、使用電力を低減できる。
【0010】
なお発熱量制御指令は、予熱時間が開始する時点(プレヒータに通電が開始される時点)から最大発熱量で電気ヒータ装置を発熱させるようにしてもよいのは勿論である。このようにすると最も早く室内温度を基準温度まで上昇させることが可能になる。さらに発熱量制御指令は、プレヒータ通電指令を出力してから所定時間経過した後に通電開始指令及び発熱量制御指令を出力するように構成されていてもよい。すなわちプレヒータへの通電開始から所定時間遅れて電気ヒータ装置への通電を開始すると、プレヒータへの通電開始時に大きな突入電流が発生するのを防止することができる。
【0011】
また前記制御モードに、液体燃料燃焼用バーナ装置を単独で運転している状態で、温度センサが設定温度Tより所定の温度分t1だけ室内温度が上昇したことを検出すると燃焼停止指令を出力し、その後室内温度が所定の温度分t1より低い温度分t2低下すると通電開始指令を出力し、その後室内温度が設定温度T以下になると燃焼開始指令を出力するとともに通電停止指令を出力する燃料節約運転モードを含めてもよい。この燃料節約運転モードによれば、室内温度が高くなった後は、電気ヒータ装置による暖房で室内温度を所定の温度幅t1の範囲内に維持する。したがって燃料を比較的必要とする液体燃料燃焼用バーナ装置の運転開始動作回数を減らすことができ、液体燃料の節約と、液体燃料燃焼用バーナ装置の運転・停止による臭気と、燃焼によるCO2の発生を少なくすることができる。
【0012】
また制御モードに、液体燃料燃焼用バーナ装置を単独で運転している状態で、室内温度が基準温度以下であることを温度センサが検出すると、通電開始指令を出力、その後室内温度が基準温度に達したことを検出すると通電停止指令を出力する並行運転モードを含めてもよい。この並行運転モードを用いると、外気温が下がって、室内温度があまり上昇しないときには、液体燃料燃焼用バーナ装置による暖房を電気ヒータ装置による暖房で補助して室内温度を基準温度以上にすることが可能になる。
【0013】
なお指令発生部が、設定温度の変更に応じて基準温度を変更する機能を有していてもよい。このようにすると設定温度に対応した適切な基準温度に基づいて、制御が行われるため、より適切な制御を行うことができる。
【0014】
液体燃料燃焼用バーナ装置と電気ヒータ装置の配置構成は任意である。例えば、液体燃料燃焼用バーナ装置と電気ヒータ装置が収納されるハウジングの内部を仕切壁によって仕切り、仕切壁の下に位置する第1の空間領域に液体燃料燃焼用バーナ装置を収納し、仕切壁の上に位置する第2の空間領域に電気ヒータ装置を収納するようにしてもよい。そしてハウジングの前面には、第1の空間領域と連通する第1の吹き出し口を設け、第1の吹き出し口の上に、第2の空間領域と連通する第2の吹き出し口を設け、第2の空間領域を、第2の吹き出し口から吹き出される温風が、第1の吹き出し口から吹き出される温風を設置面に向けるように構成するのが好ましい。このようにすると電気ヒータ装置による暖房で液体燃料燃焼用バーナ装置による暖房を補助する際に、液体燃料燃焼用バーナ装置からの温風が早期に上昇するのを防いで、室内各部の温度差をできるだけ小さいものとすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のハイブリッド型暖房装置の実施の形態の一例の縦断面図である。
【図2】本実施の形態の制御系の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明のハイブリッド型暖房装置の実施の形態の一例の縦断面図であり、図2は本実施の形態の制御系の一例を示すブロック図である。本実施の形態のハイブリッド式暖房装置は、基本的な構成要素として、液体燃料燃焼用バーナ装置3と、電気ヒータ装置5と指令発生部8を含む制御装置7とを備えている。液体燃料燃焼用バーナ装置3は、燃焼開始指令を受信すると燃焼を開始し、燃焼停止指令を受信すると燃焼を停止し、燃焼量制御指令を受信すると該燃焼量制御指令により指令された燃焼量で燃焼を行うように構成されている。また電気ヒータ装置5は、通電開始指令を受信するとヒータ部への通電を開始し通電停止指令を受信するとヒータ部への通電を停止するように構成されている。
【0017】
具体的な構造を示す図1において、ハウジング1の内部には、液体燃料燃焼用バーナ装置3と、電気ヒータ装置5と指令発生部8を備えた制御装置7(図2)と、温度センサ9と燃料切れ検出センサ11(図2)とが収納されている。図2に示した指令発生部8は、燃焼開始指令及び燃焼停止指令並びに通電開始指令及び通電停止指令を含む各種の指令を予め定めた制御モードに従って出力する。室内温度を検出する温度センサ9は、ハウジング1の背面パネル1Cに設けられた通気孔の近くに配置されている。燃料切れ検出センサ11(図2)は、燃料タンク内の液面を検知する液面検出器によって構成することができる。ハウジング1の前方パネル1Aの上部領域には、各種のスイッチと表示部を備えた入力操作部13を備えている。なお図示していないが、ハウジング1の内部には入力操作部13の近くにマイクロコンピュータを含む制御装置7(図2)が配置されている。なお図2に示すように入力操作部13には、少なくとも運転開始スイッチSW1と、ヒータ単独運転スイッチSW2と給油延長スイッチSW3を備えている。
【0018】
ハウジング1の内部は、仕切壁1Bによって仕切られており、仕切壁1Bの下に位置する第1の空間領域2Aに液体燃料燃焼用バーナ装置3が収納され、仕切壁1Bの上に位置する第2の空間領域2Bに電気ヒータ装置5が収納されている。ハウジング1の前面には、第1の空間領域2Aと連通する第1の吹き出し口2Cが設けられ、第1の吹き出し口2Cの上に、第2の空間領域2Bと連通する第2の吹き出し口2Dが設けられている。
【0019】
また液体燃料燃焼用バーナ装置3は燃焼を開始する前に燃焼部(バーナ)における液体燃料を事前に加熱するプレヒータPHと、バーナ部3A及び燃焼室3Bからなる燃焼部3Cに燃焼用空気を供給する遠心ファンからなる燃焼用送風機(第1の送風機)F1と、燃焼室3Bに風を送る軸流ファンからなる第1の送風用送風機F2と、燃焼部3Cのバーナ部3Aに燃料を供給する電動ポンプP(図2)とを備えている。なお本実施の形態では、燃焼用送風機F1と第1の送風用送風機F2とが、同じ軸にそれぞれ羽根が装着された構造を有している。
【0020】
なお図1に示す第2の空間領域2Bは、第2の吹き出し口2Dから吹き出される温風が、第1の吹き出し口2Cから吹き出される温風を暖房装置の設置面に向けるように構成されている。このようにすると電気ヒータ装置5による暖房で液体燃料燃焼用バーナ装置3による暖房を補助する際に、液体燃料燃焼用バーナ装置3からの温風が早期に上昇するのを、室内各部の温度差をできるだけ小さいものとすることが可能になる。
【0021】
電気ヒータ装置5は、発熱量制御指令により指令された発熱量に応じてヒータ部Hを発熱させるように通電回路SCを制御する発熱量制御部HC(図2)と、ヒータ部Hで発生した熱を放出するためにヒータ部Hに空気流を供給する遠心ファンからなる第2の送風用送風機F3とを備えている。本実施の形態ではヒータ部HとしてPTC(Positive Temperature Coefficient)セラミックヒータを用いている。具体的に使用したヒータ部Hは、400WのPTCセラミックヒータを2本備えている。発熱量制御部HCは、指令発生部8から最大発熱量(800W)でヒータ部Hを発熱させる発熱量制御指令を受信すると、その指令に応じて2本のヒータを通電回路SCからの通電により発熱させる。また最大発熱量よりも少ない通常発熱量でヒータ部Hを発熱させる発熱量制御指令を発熱量制御部HCが受信すると、発熱量制御部HCはその指令に応じて1本のヒータを通電回路SCからの通電により発熱させる。
【0022】
なお指令発生部8は、発熱量制御部HCが最大発熱量(800W)でヒータ部Hを発熱させる場合には、第2の送風用送風機F3を最大風量になるように回転させる回転指令を第2の送風用送風機F3に与える。また指令発生部8は、発熱量制御部HCが通常発熱量(400W)でヒータ部Hを発熱させる場合には、第2の送風用送風機F3を最大風量よりも少ない風量で回転させる回転指令を第2の送風用送風機F3に与える。そして指令発生部8は、通電停止指令を電気ヒータ装置5の通電回路SCに与えるのと同時に第2の送風用送風機F3に与えていた回転指令の出力を停止する。
【0023】
指令発生部8内で使用される制御モードには、運転開始モードと、燃料切れ対応モード、給油延長対応モードと、燃料節約運転モードと、並行運転モード等が含まれている。指令発生部8は、運転開始スイッチSW1がオン状態になると、運転開始モードを選択し、指令発生部8は燃焼開始指令を液体燃料燃焼用バーナ装置3に出力する。この燃焼開始指令には、プレヒータPHに予め定めた予熱通電時間通電を行うことを指令するプレヒータ通電指令、燃焼用送風機F1に送風動作を開始させる送風開始指令、電動ポンプPに燃料供給動作を開始させる燃料供給開始指令が含まれる。
【0024】
なお本実施の形態では、第1の送風用送風機F2も燃焼用送風機F1と一緒に送風動作を開始する。そして運転開始モードでは、前述の燃焼開始指令と同時にまたは若干遅れて、電気ヒータ装置5の通電回路SCに通電開始指令を出力し、発熱量制御部HCに最大発熱量よりも少ない発熱量(通常発熱量)で発熱することを指令する発熱量制御指令を出力する。その後予め定めた時間(例えば、15乃至20秒)が経過すると、電気ヒータ装置5の発熱量制御部HCに最大発熱量で発熱することを指令する発熱量制御指令を出力する。これは運転開始時に過電流が流れることを防止するためである。その後温度センサ9で検出した室内温度が予め定めた基準温度(例えば17℃〜19℃)を越えると通電回路SCに通電停止指令を出力する。この運転開始モードでは、液体燃料燃焼用バーナ装置3においてプレヒータPHへ予め定めた予熱通電時間通電を行っているときには、電気ヒータ装置5での発熱量を少なくしている。そのため運転開始時に大電流が流れることなく、プレヒータに必要十分な電流をプレヒータPHに通電することができる。そしてその後予め定めた時間(燃焼が開始するのに必要な時間:例えば20秒)経過すると、電気ヒータ装置5を最大発熱量で発熱させる。これにより、バーナ装置の燃焼が十分なものとなるまで、電気ヒータ装置5により最大発熱量で暖房を行う。その後室内温度が基準温度(電気ヒータ装置5による暖房が必ずしも必要ない温度:例えば18℃)を越えると、指令発生部8は電気ヒータ装置5に通電停止指令を出力し、以後はバーナ装置3により暖房を行う。このようにするとバーナ装置3を確実に運転開始できるとともに、バーナ装置3の燃焼が本格的なものとなるまでは、電気ヒータ装置5による暖房で、バーナ装置3による暖房を補助することができる。そして室内温度がバーナ装置3だけで暖房を継続するのに十分な温度(例えば18℃)を越えると電気ヒータ装置5による暖房を停止するので、使用電力を低減できる。
【0025】
運転開始モードは、本実施の形態で使用するシーケンスに限定されるものではない。プレヒータPHへの予熱通電時間中における電気ヒータ装置での発熱量をどのように定めるか、電気ヒータ装置への通電開始時期の設定は任意である。例えば、予熱通電時間が長い場合等には、プレヒータPHへの通電開始と同時に電気ヒータ装置5において最大発熱量で発熱を行ってもよい。このようにすると最も早く室内温度を基準温度まで上昇させることができる。またプレヒータPHへの通電を開始した後、所定の時間経過した後に電気ヒータ装置5への通電を開始するようにしてもよい。さらに予熱通電時間が短い場合には、プレヒータPHへの予熱通電中は、電気ヒータ装置5に通電せず、プレヒータPHへの通電が終了した後に電気ヒータ装置5への通電を開始するようにしてもよい。
【0026】
制御モードに含まれる燃料切れ対応モードでは、燃料切れ検出センサ11が燃料切れを検出すると、指令発生部8が、燃焼停止指令をバーナ装置3に出力し、その後電気ヒータ装置5の通電回路SCに通電開始指令を出力する。通電開始指令が通電回路SCに出力された後予め定めた最小通電期間(例えば1時間)が経過すると、指令発生部8は通電回路SCに通電停止指令を出力する。燃料切れ対応モードによれば、従来と同様に、燃料切れが発生した後は、電気ヒータ装置5による暖房に切り換わる。しかしその後、予め定めた最小通電期間が経過すると、指令発生部8から電気ヒータ装置5に通電停止指令が出力されて電気ヒータ装置5による暖房が停止する。このように最小通電時間が経過すると、電気ヒータ装置5による暖房が停止することにより、燃料の補給の必要性をユーザに知らせることができる。なおこの最小通電時間は、少なくとも液体燃料の補給ができる時間に定めればよい。液体燃料を充填した予備燃料タンクがあると仮定すると、この最小通電時間は1時間程度あれば十分である。
【0027】
制御モードに含まれる給油延長モードでは、燃料を補給するまでの期間を延ばすために、入力操作部13に設けた給油延長スイッチSW3が押されると、液体燃料燃焼用バーナ装置3における燃焼量を少なくする運転をする。具体的に、給油延長対応モードでは、ユーザによる給油延長スイッチSW3(給油延長入力部)の操作により給油延長指令が指令発生部8に入力されると、指令発生部8は液体燃料燃焼用バーナ装置3における燃焼量を最小にする燃焼量制御指令を電動ポンプPに出力し、燃料切れ検出センサ11が燃料切れを検出すると燃焼停止指令を電動ポンプP及び燃焼用送風機F1に出力する。その後指令発生部8は、通電開始指令を電気ヒータ装置5の通電回路SCに出力する。通電開始指令が出力された後、前述の最小通電期間(例えば1時間)よりも長い延長通電期間(例えば8時間)が経過すると、指令発生部8は通電停止指令を出力する。ユーザが給油の延長を指示する操作をすることは、燃料の補給が直ぐにできない状況(保存している液体燃料が無い等)を意識しているからである。このような状況下では、ユーザが燃料の補給の必要性を忘れていることは殆どない、そしてこの状況下では、暖房をできるだけ延長することをユーザが望んでいる。またこのような状況下では、燃料切れが検出されたとしても、直ぐに燃料の補給ができないことが多い。そこで給油延長モードでは、指令発生部8から電気ヒータ装置5に通電開始指令が出力されて電気ヒータ装置5による暖房が開始された後、最小通電期間よりも長い延長通電期間(例えば8時間)が経過するまで電気ヒータ装置5単独での暖房が継続される。そして延長通電期間が経過するまでに、運転開始スイッチのオフ操作により停止指令が入力されなければ、指令発生部8は通電停止指令を出力して電気ヒータ装置5による暖房を停止する。このようにすると、燃料切れの発生を意識しているユーザに、電気ヒータ装置5による暖房の早期中止によって、不快な思いをさせることを極力防止できる。なおこの延長通電時間は、8時間や半日のように、液体燃料の購入が可能になる長い時間とすることが好ましい。
【0028】
また制御モードに含まれる燃料節約運転モードでは、液体燃料燃焼用バーナ装置3を単独で運転している状態で、温度センサ9が図示しない温度設定手段により設定した設定温度Tより所定の温度分t1(例えば3〜5℃)だけ室内温度が上昇したことを検出すると、指令発生部8は燃焼停止指令を電動ポンプP及び燃焼用送風機F1に出力する。すなわち液体燃料燃焼用バーナ装置3により暖房を継続して制御しても設定温度以上になってしまう場合に、液体燃料燃焼用バーナ装置3による暖房を停止する。そしてその後は、室内温度が所定の温度分t1より低い温度分t2(例えば1〜2℃)低下すると、指令発生部8は電気ヒータ装置5に通電開始指令を出力する。これにより液体燃料燃焼用バーナ装置3を停止した後少し温度が下がった場合においては、電気ヒータ装置5による単独暖房を行う。その後室内温度が設定温度T以下になると、指令発生部8は液体燃料燃焼用バーナ装置3に燃焼開始指令を出力するとともに電気ヒータ装置5に通電停止指令を出力する。これにより再度液体燃料燃焼用バーナ装置3による暖房が再開され、電気ヒータ装置5による単独暖房が停止される。室内温度が設定温度T以下にならなければ、電気ヒータ装置5による暖房が継続される。このように液体燃料燃焼用バーナ装置3と電気ヒータ装置5とを併用すると、液体燃料燃焼用バーナ装置3の運転と停止を繰り返すことにより温度制御をする場合よりも液体燃料を節約することができる。液体燃料燃焼用バーナ装置3の運転と停止による臭気と、燃焼によるCO2の発生を少なくすることができる。
【0029】
また制御モードに含まれる並行運転モードでは、液体燃料燃焼用バーナ装置を単独で運転している状態で、室内温度が基準温度以下であることを温度センサが検出すると、指令発生部8は電気ヒータ装置5に通電開始指令を出力する。その結果、以後、液体燃料燃焼用バーナ装置3と電気ヒータ装置5を併用した暖房が実行される。その後室内温度が基準温度に達したことを検出すると、指令発生部8は通電停止指令を電気ヒータ装置5に出力し、電気ヒータ装置5を停止する。この並行運転モードを用いると、外気温が下がって、室内温度があまり上昇しないときには、液体燃料燃焼用バーナ装置3による暖房を電気ヒータ装置5による暖房で補助して室内温度を基準温度以上にすることが可能になる。
【0030】
なお指令発生部8が、設定温度の変更に応じて基準温度を変更する機能を有していてもよい。例えば、設定温度に対して所定温度(2〜3℃)低い温度を基準温度に変更する機能を指令発生部8が備えていてもよい。例えば、設定温度を20℃として場合には、基準温度を18℃とし、設定温度を25℃とした場合には、基準温度を23℃とする等のように設定温度の変更にあわせて基準温度を変更する。このようにすると設定温度に適した基準温度に基づいて、より適切な制御を行うことができる。
【0031】
本実施の形態では、制御モードに、上記の各モードの他に、予め定めた時間が経過すると液体燃料燃焼用バーナ装置3と電気ヒータ装置5の運転を停止するために、指令発生部8が運転停止指令と通電停止指令を出力する消し忘れ防止モードと、燃料タンクを抜いて給油するときに液体燃料燃焼用バーナ装置3と電気ヒータ装置5の運転を停止するために、指令発生部8が運転停止指令と通電停止指令を出力する給油時消火モードが更に含まれている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、燃料切れが発生した後は、電気ヒータ装置による暖房に切り換わるが、その後予め定めた最小通電期間が経過すると通電停止指令が出力されて電気ヒータ装置による暖房が停止する。その結果、本発明によれば、電気ヒータ装置による暖房が停止することにより、燃料の補給の必要性をユーザに知らせることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ハウジング
1C 背面パネル
1A 前方パネル
1B 仕切壁
2A 空間領域
2B 空間領域
3 液体燃料燃焼用バーナ装置
3A バーナ部
3B 燃焼室
3C 燃焼部
3 再度液体燃料燃焼用バーナ装置
5 電気ヒータ装置
7 制御装置
9 温度センサ
8 指令発生部
9 温度センサ
11 燃料切れ検出センサ
13 入力操作部
SW1 運転開始スイッチ
SW2 ヒータ単独運転スイッチ
SW3 給油延長スイッチ
PH プレヒータ
F1 燃焼用送風機
F2 第1の送風用送風機
F3 第2の送風用送風機
P 電動ポンプ
H ヒータ部
SC 通電回路
HC 発熱量制御部
PH プレヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼開始指令を受信すると燃焼を開始し、燃焼停止指令を受信すると燃焼を停止し、燃焼量制御指令を受信すると該燃焼量制御指令により指令された燃焼量で燃焼を行う液体燃料燃焼用バーナ装置と、
通電開始指令を受信するとヒータ部への通電を開始し通電停止指令を受信すると前記ヒータ部への通電を停止する電気ヒータ装置と、
前記燃焼開始指令及び前記燃焼停止指令並びに前記通電開始指令及び前記通電停止指令を予め定めた制御モードに従って出力する指令発生部とを備えたハイブリッド式暖房装置であって、
燃料切れを検出する燃料切れ検出センサを備え、
前記燃料切れ検出センサが燃料切れを検出すると前記燃焼停止指令を出力し、その後前記通電開始指令を出力し、前記通電開始指令が出力された後予め定めた最小通電期間が経過すると前記通電停止指令を出力する燃料切れ対応モードが前記制御モードに含まれていることを特徴とするハイブリッド式暖房装置。
【請求項2】
給油延長入力部を更に備え、
ユーザによる前記給油延長入力部の操作により給油延長指令が前記指令発生部に入力されると、前記液体燃料燃焼用バーナ装置における燃焼量を最小にする前記燃焼量制御指令を出力し、前記燃料切れ検出センサが前記燃料切れを検出すると前記燃焼停止指令を出力し、その後前記通電開始指令を出力し、前記通電開始指令が出力された後前記最小通電期間よりも長い延長通電期間が経過すると前記通電停止指令を出力する給油延長対応モードが前記制御モードに含まれていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド式暖房装置。
【請求項3】
室内温度を検出する温度センサを更に備え、
前記液体燃料燃焼用バーナ装置は燃焼を開始する前に燃焼部における液体燃料を事前に加熱するプレヒータと、前記燃焼部に燃焼用空気を供給する第1の送風機と、前記燃焼部に前記液体燃料を供給する電動ポンプとを備え、
前記電気ヒータ装置は、発熱量制御指令により指令された発熱量に応じて前記ヒータ部を発熱させる発熱量制御部と、前記ヒータ部で発生した熱を放出するために前記ヒータ部に空気流を供給する第2の送風機とを備え、
前記燃焼開始指令には、前記プレヒータに予め定めた予熱時間通電を行うことを指令するプレヒータ通電指令、前記第1の送風機に送風動作を開始させる送風開始指令、前記電動ポンプに燃料供給動作を開始させる燃料供給開始指令が含まれており、
前記燃焼開始指令を出力し且つ前記電気ヒータ装置に前記通電開始指令と所定の発熱量を指令する前記発熱量制御指令を出力し、その後前記室内温度が予め定めた基準温度を越えると前記通電停止指令を出力する運転開始モードが前記制御モードに含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド式暖房装置。
【請求項4】
前記発熱量制御指令は、前記予熱時間が終了するまでは最大発熱量よりも少ない発熱量で前記電気ヒータ装置が発熱することを指令し、前記予熱時間が終了すると前記最大発熱量で前記電気ヒータ装置が発熱することを指令するシーケンスを有している請求項3に記載のハイブリッド式暖房装置。
【請求項5】
前記発熱量制御指令は、前記予熱時間が開始する時点から前記最大発熱量で前記電気ヒータ装置が発熱することを指令する請求項3に記載のハイブリッド式暖房装置。
【請求項6】
前記運転開始モードは、前記プレヒータ通電指令を出力してから所定時間経過した後、前記通電開始指令及び前記発熱量制御指令を出力する請求項3に記載のハイブリッド式暖房装置。
【請求項7】
前記液体燃料燃焼用バーナ装置を単独で運転している状態で、前記温度センサが設定温度Tより所定の温度分t1だけ前記室内温度が上昇したことを検出すると前記燃焼停止指令を出力し、その後前記室内温度が前記所定の温度分t1より低い温度分t2低下すると前記通電開始指令を出力し、その後前記室内温度が前記設定温度T以下になると前記燃焼開始指令を出力するとともに前記通電停止指令を出力する燃料節約運転モードが前記制御モードに含まれている請求項3に記載のハイブリッド式暖房機。
【請求項8】
前記液体燃料燃焼用バーナ装置を単独で運転している状態で、前記室内温度が前記基準温度以下であることを前記温度センサが検出すると、前記通電開始指令を出力し、その後前記室内温度が前記基準温度に達したことを前記温度センサが検出すると前記通電停止指令を出力する並行運転モードが前記制御モードに含まれている請求項3に記載のハイブリッド式暖房機。
【請求項9】
前記指令発生部が、設定温度の変更に応じて基準温度を変更する機能を有していることを特徴とする請求項7または8に記載のハイブリッド式暖房機。
【請求項10】
前記液体燃料燃焼用バーナ装置と前記電気ヒータ装置が収納されるハウジングの内部が仕切壁によって仕切られて、前記仕切壁の下に位置する第1の空間領域と前記仕切壁の上に位置する第2の空間領域とに分けられており、
前記第1の空間領域に前記液体燃料燃焼用バーナ装置が収納され、前記第2の空間領域に前記電気ヒータ装置が収納され、
前記ハウジングの前面には、前記第1の空間領域と連通する第1の吹き出し口が設けられ、前記第1の吹き出し口の上には、前記第2の空間領域と連通する第2の吹き出し口が設けられ、
前記第2の空間領域は、第2の吹き出し口から吹き出される温風が、前記第1の吹き出し口から吹き出される温風を設置面に向けるように構成されている請求項1に記載のハイブリッド式暖房機。

【図1】
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【図2】
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