説明

ハニカム構造体の製造方法

【課題】良好な研削性能が長期間保持されるとともに長寿命な研削部材を用いて、排ガス中の微粒子捕集フィルタ等に好適に用いられるハニカム構造体を効率よくかつ低コストで製造することが可能なハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】研削部材10を用いて、多孔質のセラミックスからなる粗形ハニカム構造体20の外周を加工して、所定形状のハニカム構造体30を得るハニカム構造体の製造方法であって、研削部材10として、ダイヤモンド砥粒の、粒度が40〜150であり、集中度が80以上であるとともに、ダイヤモンド砥粒の表面に、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。さらに詳しくは、良好な研削性能が長期間保持されるとともに長寿命な研削部材を用いて、排ガス中の微粒子捕集フィルタ等に好適に用いられるハニカム構造体を効率よくかつ低コストで製造することが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガス中の微粒子の捕集フィルタ等にハニカム構造体が用いられている。このような目的で使用されるハニカム構造体は、排気ガスの急激な温度変化や局所的な発熱によってハニカム構造体内の温度分布が不均一となり、構造体にクラックを生ずる等の問題があった。特に、ディーゼルエンジンの排気中の粒子状物質(パーティキュレート)を捕集するフィルタ(以下、「DPF」ということがある)として用いられる場合には、溜まったカーボン微粒子を燃焼させて除去し再生することが必要であり、この際に、局所的な高温化が避けられないため、大きな熱応力によってクラックが発生し易かった。
【0003】
このため、ハニカム構造体を複数に分割したセグメントを接合材により接合して粗形ハニカム構造体を形成し、この外周を所定形状に加工することによってハニカム構造体を製造することが行われている。具体的には、フィルタとして機能する多孔質のセラミックス隔壁により仕切られた流体の流路となる複数のセルがその中心軸方向に並設されたハニカムセグメントを得、得られたハニカムセグメントの複数を一体化して粗形ハニカム構造体を得、得られた粗形ハニカム構造体の外周を所定形状に加工することによって製造されている。このようにして製造されたハニカム構造体は、金属製の缶体等に収納して使用されるため、金属製の缶体等の内部形状に対応した形状を有するものである必要がある。すなわち、前述の粗形ハニカム構造体の外周を、収納すべき金属製の缶体等の内部形状に対応した形状に加工してハニカム構造体とする必要がある。
【0004】
このような粗形ハニカム構造体の外周を加工してハニカム構造体を製造する方法としては、研削盤、例えば、カム研削盤、円筒研削盤等で加工する方法が知られている。例えば、円板(ハブ)の円周部分に砥石層が配設された研削部材を用いて、多孔質セラミック材料を様々なサイズ及び形状に削り取ることによりハニカム構造体を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、用いられる研削部材(例えば、ボンド材中にダイヤモンド砥粒が分散、固定された砥石層を備えた研削部材)の、特にボンド材の摩耗速度が速く、ダイヤモンド砥粒が殆ど摩耗することなしに脱落してしまい、研削能力が低下するとともに工具としての寿命が短く、コスト的に有利ではないという問題があった。このようなダイヤモンド砥粒のボンド材からの脱落を防止するため、ダイヤモンド粒子の表面が全体的に遷移金属の炭化物で被覆された、金属系ボンド材との結合力が改善されたダイヤモンド砥粒が開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−191240号公報
【特許文献2】特開2003−55649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなダイヤモンド砥粒を用いた研削部材は、ダイヤモンド砥粒のボンド材からの一定の脱落防止効果を発揮することは可能であるものの、粗形ハニカム構造体の外周を所定形状に加工することによってハニカム構造体を製造する場合のような、乾式でかつ時間当たりの研削量が多く、加工対象が研磨剤に近いという加工条件の場合、ボンド材の磨耗速度が極めて大きくなることから、必ずしも十分に満足し得ることにはならなかった。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、良好な研削性能が長期間保持されるとともに長寿命な研削部材を用いて、排ガス中の微粒子捕集フィルタ等に好適に用いられるハニカム構造体を効率よくかつ低コストで製造することが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって、以下のハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0008】
[1]所定形状のボンド材中にダイヤモンド砥粒が含有、固定された砥石層を備えた研削部材を用いて、多孔質のセラミックスからなる粗形ハニカム構造体の外周を加工して、所定形状のハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法であって、前記研削部材として、前記ダイヤモンド砥粒の、粒度が40〜150であり、集中度が80以上であるとともに、前記ダイヤモンド砥粒の表面に、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるものを用いることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【0009】
[2]前記粗形ハニカム構造体の外周を、回転速度(周速)が30〜150m/secの高速乾式で加工する前記[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0010】
[3]フィルタとして機能する多孔質のセラミックス隔壁により仕切られた流体の流路となる複数のセルがその中心軸方向に並設されたハニカムセグメントを得、得られた前記ハニカムセグメントの複数を一体化して前記粗形ハニカム構造体を得、得られた前記粗形ハニカム構造体の外周を加工して所定形状の前記ハニカム構造体を得る前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[4]前記粗形ハニカム構造体の外周の加工を、前記粗形ハニカム構造体をその中心軸を中心として回転させ、前記粗形ハニカム構造体の外周面側から前記研削部材を押し当てることによって行う前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[5]前記粗形ハニカム構造体の外周を、その中心軸に垂直な平面で切断した断面形状が、円形、長円形、楕円形、三角形、多角形又はこれらの形状の一部を変形させた形状となるように加工する前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によって、良好な研削性能が長期間保持されるとともに長寿命な研削部材を用いて、排ガス中の微粒子捕集フィルタ等に好適に用いられるハニカム構造体を効率よくかつ低コストで製造することが可能なハニカム構造体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法の実施の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明のハニカム構造体の製造方法は、研削部材10を用いて、多孔質のセラミックスからなる粗形ハニカム構造体20の外周を加工して、所定形状のハニカム構造体30を得るハニカム構造体の製造方法であって、研削部材10として、ダイヤモンド砥粒の、粒度が40〜150であり、集中度が80以上であるとともに、ダイヤモンド砥粒の表面に、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるものを用いることを特徴とする。本発明においては、研削部材10の一の具体例として、図2に示す研削部材10を用いることができる。
【0016】
図2に示すように、本発明のハニカム構造体の製造方法においては、研削部材10として、所定形状のボンド材1中にダイヤモンド砥粒2が分散、固定された砥石層10bを備えた研削部材10であって、ダイヤモンド砥粒2の、粒度が40〜150であり、集中度が80以上であるとともに、ダイヤモンド砥粒2の表面に、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるものを用いることができる。本発明に用いられる研削部材10は、砥石層10bの円周部分の角部に面取り(C又はR)が施されていることが好ましい。なお、図2中、符号10aは円板(ハブ)を、符号10cは回転シャフト接続用孔をそれぞれ示す。
【0017】
研削部材10に用いられるボンド材1としては、例えば、メタルボンド、レジンボンド、電着ボンド、ビトリファイドボンドを挙げることができる。中でも、耐磨耗性に優れることから、メタルボンド、電着ボンドが好ましい。
【0018】
研削部材10の形状としては、ホイール形状、カップ形状等を挙げることができる。ホイール形状の場合、その直径は、150〜500mmであることが好ましい。具体的には、研削部材10は、例えば、ステンレス、炭素鋼材等製の直径が150〜500mmのハブ10aの円周部分の表面に、ボンド材1中にダイヤモンド砥粒2が分散、固定された砥石層10bが配設されることによって構成されていることが好ましい。砥石層10bの厚さとしては、例えば、0.1〜10mmであることが好ましく、3〜10mmであることがさらに好ましい。
【0019】
研削部材10に用いられるダイヤモンド砥粒2は、その粒度が通常40〜150であり、好ましくは、40〜120であり、さらに好ましくは、60〜100である。ここで、粒度とは、砥粒の細かさを意味する。粒度が40未満であると、破砕しやすく、150を超えると、脱粒しやすいことがある。
【0020】
研削部材10に用いられるダイヤモンド砥粒2は、その集中度が通常80以上であり、好ましくは、100以上であり、さらに好ましくは、150以上である。ここで、集中度とは、単位面積当たりのダイヤモンド砥粒の重さ(集中度100=4.4カラット/cm2)を意味する。集中度が80未満であると、ボンド材が磨耗しやすい。
【0021】
研削部材10に用いられるダイヤモンド砥粒2の表面には、上述のように、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるが、中でも、結合力を強化する理由から、Tiが被覆されてなることが好ましい。
【0022】
本発明においては、粗形ハニカム構造体20の外周を、回転速度(周速)が30〜150m/secの高速乾式で加工することが好ましく、40〜150m/secの高速乾式加工であることがさらに好ましい。回転速度(周速)が30m/sec未満であると、砥粒の摩滅が発生することがあり、150m/secを超えると、ボンド材の磨耗が早まることがある。
【0023】
図3に示すように、本発明で得られるハニカム構造体30は、フィルタとして機能する多孔質のセラミックス隔壁6により仕切られた流体の流路となる複数のセル5がその中心軸方向に並設されたハニカムセグメント3を一体化して粗形ハニカム構造体20(図1参照)とし、さらに粗形ハニカム構造体20の外周面を加工して所定形状の外周面4を有するハニカム構造体30としたものである。
【0024】
図1に示すように、粗形ハニカム構造体20の外周の加工方法としては、例えば、粗形ハニカム構造体20をその中心軸を中心として回転させ、粗形ハニカム構造体20の外周面側から研削部材10を押し当てることによって行うことを挙げることができる。
【0025】
本発明においては、粗形ハニカム構造体20の外周を、その中心軸に垂直な平面で切断した断面形状が、収納すべき金属製の缶体等の内部形状に対応した形状となるように、又は後述する粗加工ハニカム構造体25(図4参照)の形状となるように、円形、長円形、楕円形、三角形、多角形又はこれらの形状の一部を変形させた形状となるように加工することが好ましい。
【0026】
図4に示すように、粗形ハニカム構造体20の外周を研削部材10(図1参照)によって加工する前に、例えば、線状カッター41を備えたビーズソー40によって粗加工して、粗形ハニカム構造体20を粗加工ハニカム構造体25(最終的に得られるハニカム構造体30(図1参照)の形状よりも一回り大きな形状)とし、この粗加工ハニカム構造体25の外周を研削部材10によって仕上げ加工することが好ましい。特に、粗形ハニカム構造体20の形状が研削部材10による外周側からの加工によって破損し易い構造の場合(例えば、ハニカムセグメント3の複数を一体化して構成された直方体形状である場合)に、有効である。すなわち、このように、加工を二段階に分け、まず、破損の生じ易い粗形ハニカム構造体20の外周加工を、破損を発生させることなく加工が可能なビーズソーを用いて粗加工して、加工代を減少させた粗加工ハニカム構造体25を形成し、次いで、粗加工ハニカム構造体25をカム研削盤に取り付けた研削部材10よって仕上げ加工してハニカム構造体30を得ることによって、加工代の減少で破損の発生を未然に防止することができるとともに、高精度の外周加工を実現することができる。
【0027】
ハニカムセグメント3を形成する方法としては特に制限はなく、一般に、ハニカム構造を有するものを製造する方法を用いることができ、例えば以下の方法で製造することができる。
【0028】
ハニカムセグメントの原料として、強度、耐熱性等の観点から、主成分(ここで、主成分とは成分の80質量%以上を占め、主結晶相となるものを意味する)が、例えば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミニウムチタネート及びチタニアからなる群から選ばれる少なくとも一種のセラミックス、Fe−Cr−Al系金属、ニッケル系金属、又は金属SiとSiC等を用い、これにメチルセルロースやヒドロキシプロポキシルメチルセルロース等のバインダー、界面活性剤及び水等を添加して、可塑性の坏土を作製する。
【0029】
この坏土を、例えば、押出成形し、図3に示すように、多孔質の隔壁6により仕切られた流体の流路となる複数のセル5が軸方向に並設されたハニカム成形体を成形し、これを、例えば、マイクロ波や熱風等で乾燥した後、焼成することにより、図3に示すようなハニカムセグメント3を製造することができる。
【0030】
ハニカムセグメント3のセル密度(単位断面積当たりのセルの数)としては特に制限はないが、例えば、0.9〜310セル/cm2(6〜2000セル/平方インチ)が好ましい。また、セルの断面形状(セル形状)も特に制限はないが、三角形、四角形や六角形等の多角形、円形、楕円形、コルゲート形等を挙げることができる。中でも、製作上の観点から、三角形、四角形及び六角形が好ましい。また、隔壁の厚さも特に制限はないが、例えば、50〜2000μmであることが好ましい。
【0031】
また、ハニカムセグメント3の形状としては特に制限はないが、例えば、図3に示すような四角形の断面形状を有する柱状体(四角柱)を挙げることができる。また、扇形の断面形状を有する柱状体としてもよい。
【0032】
ハニカムセグメント3を製造した後、これらのハニカムセグメント3を、例えば、接着剤9によって接合し一体化して粗形ハニカム構造体20(図1参照)を形成することができる。
【0033】
なお、ハニカムセグメント3を一体化した粗形ハニカム構造体20の形状としては特に制限はないが、例えば、図3に示すような、断面形状が四角形の柱状体(直方体)を挙げることができる。その他に、断面形状が円形、長円形、楕円形、多角形、三角形等の柱状体であってもよい。
【0034】
粗形ハニカム構造体20を形成する具体的な方法としては、例えば、一体化すべき二つのハニカムセグメント3の対向する接着面の少なくとも一方に接着剤9を施与し、接着面を接着させることを挙げることができる。この際、接着するハニカムセグメント3を押圧して接着することが、簡便でかつ良好な接着力を得ることができるため好ましい。この場合、ハニカムセグメント3間の接着層9の厚さを均一の厚さとし、寸法精度の不良が少ないハニカム構造体30を得るために、例えば、無機物又は有機物からなるスペーサを介在させてもよい。
【0035】
接着剤9の種類としては特に制限はなく、ハニカムセグメント3の材質に適合した公知の接着剤を用いることができる。例えば、セラミックファイバー等の無機繊維、セラミック粉等の無機粉体、及び有機、無機のバインダー等を混合したもの等が好ましい。さらに、Siゾル等のゾル状物質を含んだものであってもよい。また、複数の種類の接着剤を用いてもよく、接着層を複数の層としてもよい。また、接着剤の種類によっては、さらに乾燥及び/又は焼成することにより、より強固な接着力を得ることができる。接着層の厚さについては特に制限はないが、例えば、0.1〜3.0mmが好ましい。
【0036】
また、ハニカム構造体をフィルタ、特に、DPF等に用いる場合には、セル5の開口部の端面を封止材により交互に市松模様状となるように目封止することが好ましい。封止材による目封止は、目封止をしないセルをマスキングし、原料をスラリー状として、ハニカムセグメントの開口端面に施与し、乾燥後焼成することにより行うことができる。目封止材の材料は、前述のハニカムセグメントの好ましい原料として挙げた群の中から好適に選ぶことができるが、ハニカムセグメントに用いる原料と同じ原料を用いることが好ましい。
【0037】
また、粗形ハニカム構造体又はハニカム構造体に触媒を担持させてもよい。この方法としては特に制限はないが、例えば、触媒スラリーをウォッシュコートして乾燥、焼成することにより触媒を担持させる方法を挙げることができる。この工程もハニカムセグメントの成形後であればどの時点で行ってもよい。ハニカム構造体を触媒担体として、内燃機関、ボイラー、化学反応機器、燃料電池用改質器等に用いる場合、ハニカム構造体が触媒能を有する金属を担持していることが好ましい。触媒能を有する代表的なものとしてはPt、Pd、Rh等を挙げることができる。これらのうちの少なくとも一種をハニカム構造体に担持させることが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法を実施例によってさらに具体的に説明する。
【0039】
(実施例1)
図1に示す粗形ハニカム構造体20(粗加工ハニカム構造体25)を研削して、ハニカム構造体30を得る研削加工において、直径が340mmの炭素鋼、ステンレス製のハブの円周部分の表面に、メタルボンド製のボンド材中に、その粒度が#100、集中度が100であるとともに、その表面にTiが8〜50μmの厚さで被覆されてなるダイヤモンド砥粒が分散、固定された砥石層が5mmの厚さで配設された、外径寸法が350mmのホイール研削部材を120m/sの周速で使用して加工を行った(表5参照)。
【0040】
(実施例2〜7、比較例1〜25)
実施例1において、研削部材として、ダイヤモンド砥粒の集中度、粒度、砥石周速、ダイヤコーティングの有無を表1〜5に示すように変えたものを用いて、加工を行ったこと以外は実施例1と同様にした。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
(評価)
比較例6の仕様の研削部材を使用したときの、研削部材が使用不可能になるまでのハニカム構造体の加工量(加工可能量)を100として、実施例1〜7及び比較例1〜25で得られた研削部材の性能(研削可能量)を評価し、その結果を表6に示す。
【0047】
【表6】

【0048】
表6から、実施例1〜7の加工可能量が他の比較例に比較して群を抜いて多いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、排ガス中の微粒子を捕集するためのフィルタを必要とする各種産業分野で有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施の形態を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に用いられる研削部材の一の具体例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法で得られるハニカム構造体の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施の形態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1…ボンド材、2…ダイヤモンド砥粒、3…ハニカムセグメント、4…ハニカム構造体の外周面、5…セル、6…隔璧、9…接着剤、10…研削部材、10a…円板(ハブ)、10b…砥石層、10c…回転シャフト接続用孔、20…粗形ハニカム構造体、25…粗加工ハニカム構造体、30…ハニカム構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状のボンド材中にダイヤモンド砥粒が含有、固定された砥石層を備えた研削部材を用いて、多孔質のセラミックスからなる粗形ハニカム構造体の外周を加工して、所定形状のハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法であって、
前記研削部材として、前記ダイヤモンド砥粒の、粒度が40〜150であり、集中度が80以上であるとともに、前記ダイヤモンド砥粒の表面に、Ti、Ni、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも一種が被覆されてなるものを用いることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記粗形ハニカム構造体の外周を、回転速度(周速)が30〜150m/secの高速乾式で加工する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
フィルタとして機能する多孔質のセラミックス隔壁により仕切られた流体の流路となる複数のセルがその中心軸方向に並設されたハニカムセグメントを得、得られた前記ハニカムセグメントの複数を一体化して前記粗形ハニカム構造体を得、得られた前記粗形ハニカム構造体の外周を加工して所定形状の前記ハニカム構造体を得る請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記粗形ハニカム構造体の外周の加工を、前記粗形ハニカム構造体をその中心軸を中心として回転させ、前記粗形ハニカム構造体の外周面側から前記研削部材を押し当てることによって行う請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記粗形ハニカム構造体の外周を、その中心軸に垂直な平面で切断した断面形状が、円形、長円形、楕円形、三角形、多角形又はこれらの形状の一部を変形させた形状となるように加工する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−320806(P2006−320806A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144895(P2005−144895)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】