説明

バイリングの栽培方法

【課題】バイリングの短期栽培方法、およびバイリングの効率的で省資源的な栽培方法を提供することである。
【解決手段】バイリングの菌床栽培において、種菌を接種し培養によって栽培容器内に蔓延させた状態の蔓延菌糸体からなる菌床表面に、別途培養され低温処理されて熟成状態に至った熟成菌糸体を移植して両菌糸体同士を接合させて発芽させ、子実体を育成することを特徴とするバイリングの短期栽培方法である。また、バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる菌床表面に、別の培養によって形成された幼子実体を移植し当該幼子実体を生育させることを特徴とするバイリングの栽培方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色で肉厚の食用きのこであるバイリングの短期栽培方法、および効率的で省資源的な栽培方法に関する。
ヒラタケ属の食用きのこ「バイリング(白霊茸、Bailinggu)」の学名は、海外ではPleurotus nebrodensis (Inzenga) Queletとされているが、国内ではエリンギPleurotus eryngii (DC.:Fr.)Quel.の変種とされることもある。また、商品名としては「白霊茸(ハクレイタケ)」や「雪嶺茸(ユキレイタケ)」などと呼ばれている。学名として必ずしも統一されていないため、本明細書では上記名称で示されるきのこを総じて「バイリング」と呼ぶ。
【背景技術】
【0002】
バイリングは、栽培容器として栽培ビンや栽培袋を用いた菌床栽培によって生産されている。バイリングは国内生産が始まって間もないため、栽培法が未だ確立されていない状況であるが、現在の一般的な栽培方法は以下のとおりである。
【0003】
(1)スギおがくず、米ぬか、ふすま等からなる混合培地に種菌を接種する。
(2)相対湿度70〜75%、温度約20℃で、約45日間培養して、栽培容器内に菌糸体を蔓延させる(「1次培養」あるいは「菌糸培養」という)。
(3)次いで、5〜10℃の低温にて約45日間の培養を行う(「低温処理」あるいは「低温培養」という)。かかる低温処理は、菌まわり段階後の菌糸体の熟成工程であり、発芽可能な熟成菌糸体が得られる。
(4)良好な原基形成のため菌掻きを行う。その後、湿度90〜95%、温度14〜16℃に管理された芽出し室にて約15日間の発芽工程(子実体の形成)を経た後、幼子実体の芽かき(いわゆる間引き)作業を行う。この段階では100ルックス(lux)で1時間/日程度の光照射を行う。
(5)それから、湿度70〜80%、温度14〜16℃の生育室にて10日間ほど子実体の生育を行う。この段階では300ルックス(lux)で2時間/日程度の光照射を行う。傘径が6〜12cmに成長した時点で収穫する。
【0004】
上記のとおりバイリングの栽培においては、1次培養に45日間、低温処理に45日間、すなわち培養期間として計90日間、発芽(子実体の形成)に15日間、生育に10日間を要しており、栽培期間が合計115日となる。従って、1年間の培養サイクルが3回転となることから生産性が悪いことが指摘されており、栽培期間を短縮して栽培容器の回転効率を高める必要があった。全栽培工程の中でも培養工程は90日の長期間である。培養工程の中でも、特に低温処理の工程は培養室を5〜10℃の低温に保持する必要があるため、コスト高の大きな要因でもあり、従って、培養期間の短縮、特に低温処理を短縮乃至省略できる栽培方法の提供が要望されていた。
【0005】
特許文献1は、熟成期間の種菌を植菌することによって熟成期間を短縮できるきのこの栽培方法を提唱している。しかしながら、かかる文献において実質的な対象はバイリングとは別種の「ブナシメジ(シロタモギタケ)」であり、しかもバイリングの場合は通常のきのこ栽培には見られない特殊な低温処理が必要なので、本方法をそのままバイリングに適用して同様の効果が奏されるか否かは全く予想できない。
【0006】
一方、栽培きのこ全般に共通している事象であるが、芽出しが悪くなったり、収量性の低下や品質の劣化が起こり商品価値を失う場合がある。そこで、安定した収量を確保すべく発芽不良や発芽率の低下した培地の収量減を最小限にするなど、生産性を向上させる工夫が常に要求されている。発芽不良や発芽率の低下した培地中には熟成菌糸体が生き残っているものの、現在は利用性がないとして廃棄処分されている。
また、バイリングに関しては、傘が大きくて柄の太い大型の子実体が消費者に好まれ、商品価値が高い。従って、そうしたものを生産するために、密生して発芽した幼子実体のなかで有望な茎を残し他は切り取る「芽かき」が一般的であり、間引かれた幼子実体は廃棄されているのが現状である。
【特許文献1】特開平5−49346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、培養期間、中でも菌糸体熟成のための低温処理期間を大幅に短縮乃至省略し、栽培サイクルを短縮化して生産性を高めることができるバイリングの短期栽培方法、並びに、発芽不良すなわち発芽不能又は発芽率の低下した培養基の収量性を改善でき、収穫歩留まりを向上させて収量の向上を図ることのできるバイリングの効率的な栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、熟成菌糸体を別の栽培容器内の蔓延状態の菌糸体に接合(融合とも言う)させることによって一次培養および低温処理からなる培養期間の短縮、とりわけ低温処理(熟成)期間を大幅に短縮乃至省略できること、並びに、間引いた幼子実体を発芽不良の菌床に移植することによって幼子実体を正常に生育させ、且つ発芽不良の菌床(培地)を有効利用できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、バイリングの菌床栽培において、種菌を接種し培養によって栽培容器内に蔓延させた状態の蔓延菌糸体からなる菌床表面に、別途培養され低温処理されて熟成状態に至った熟成菌糸体を移植して両菌糸体同士を接合させて発芽させ、子実体を育成することを特徴とするバイリングの短期栽培方法である。
【0010】
また、本発明は、バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる菌床表面に、別の培養によって形成された幼子実体を移植し当該幼子実体を生育させることを特徴とするバイリングの栽培方法である。
【0011】
また、本発明は、バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる発芽不良の菌床表面に、別の培養によって正常に形成された幼子実体を移植し当該幼子実体を生育させることを特徴とするバイリングの栽培方法である。
【0012】
さらに、本発明は、バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる発芽不良の菌床を、幼子実体を生育させるための養分供給源として使用することを特徴とするバイリングの栽培方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下の効果を奏する。
(1)培養期間を短縮することにより栽培サイクルを短縮することができる。すなわち、第1に移植先の1次培養(菌糸体蔓延)のための期間について、従来は45日を要しているが、それを31日〜35日に短縮可能である。第2に、従来は45日を要していた低温処理(熟成)期間を移植後は9日〜15日(1/5〜1/3)に大幅に短縮、或いは省略できる。こうした短期栽培によって、従来の年間3回の栽培回数を年間5回に増加することができ、生産性を顕著に高めることができるので効率的である。また、低温処理に必要な電気エネルギーコストを大幅に低減できる。
(2)バイリングは幼子実体を間引くのが通常であり、従来は間引かれて廃棄されている幼子実体を有効利用することができるので効率的であり省資源的である。
(3)従来、発芽不良の菌床(培地)はそのまま廃棄されてきた。しかし、生き残っている熟成菌糸体に間引かれた幼子実体を移植することで、幼子実体生育の養分補給源として有効利用できるので効率的であり省資源的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)熟成菌糸体の菌床表面への移植
図1に基づいて説明する。
栽培ビン(10)に種菌を接種し、1次培養に続き低温処理して熟成した状態の菌糸体(11)を得る。次いで、熟成菌糸体(11)の上部に位置する種菌(12)を掻き落す菌掻きを行って熟成菌糸体(11)を露呈させ、熟成菌糸体(12)の全部又は一部(13)を切り取る。
一方、別の栽培ビン(14)を用い、これに種菌を接種し1次培養して菌糸体をビン(14)内に蔓延させた状態の菌糸体(15)を得ておく。次いで、蔓延菌糸体(15)を露呈するためその上部の種菌を掻き取る。
次いで、前記切り取った熟成菌糸体(13)を、蔓延菌糸体(15)からなる菌床表面に移植(植え継ぎ)する。
【0015】
移植先の栽培ビン(14)において、低温処理を兼ねた活着期間、すなわち蔓延菌糸体(15)と熟成菌糸体(13)の両菌糸体同士を接合させる期間、を経過した後、栽培ビン(14)を発芽工程に移行させると、正常に発芽し子実体が成長する。詳しくは、移植した熟成菌糸体(13)から発芽し、蔓延菌糸体(15)は発芽および子実体が成長するために必要な養分供給源として機能するのである。そして、活着期間の経過により、移植したものが下部培地とより接合が良くなるので収量、形質の向上につながるのである。
【0016】
移植を受ける蔓延菌糸体は、従来法における45日又はそれ以下の期間の1次培養で得られたものを使用することができる。
移植する熟成菌糸体は、低温処理が終了したもの、1次培養開始時から70日以上経過したものが活着が良いので好ましい。
【0017】
(2)幼子実体の菌床表面への移植
バイリングの栽培においては、おがくず等を主体とする培地素材に米ぬか等の必要な栄養素を添加し、水分調整をしたものを常法により殺菌釜で殺菌し、接種、培養を行う。1次培養期間45日を経過した後、低温処理を45日間施し、発芽(芽出し)工程に移行して通常15日間の発芽期間を要する。この発芽工程の10日目には発芽の良し悪しを確認することができる。この時、発芽不良、すなわち発芽率が低下したり、発芽しない栽培ビンの発生を確認できる。
【0018】
この発芽不良ビンを使用して幼子実体の移植を行うのである。すなわち、図2に示すように、別の栽培ビン(20)で得られた正常に発芽した培地上の幼子実体(22)を下部培養基の部分から切り取り、その切り取った幼子実体(23)を不発芽ビン(24)内の熟成菌糸体(25)からなる菌床上に移植する。これにより幼子実体(23)と熟成菌糸体(25)とが接合し、幼子実体(23)は熟成菌糸体(25)から養分供給を受けてそのまま成長する。熟成菌糸体(25)は発芽に関しては不良ではあるが、子実体生育のための養分供給源として機能し続けるのである。
これにより栽培上の障害から起こりうる収量低下や、品質劣化を改善して、歩留まりを向上させて効率的な栽培を継続することができる。
【0019】
さらに、前記熟成菌糸体の菌床表面への移植と幼子実体の菌床表面への移植との組み合わせ、すなわち、菌糸体の移植を行って培養期間を短縮し、その後に子実体を移植することにより、1次培養期間の短縮および低温処理工程の短縮乃至省略と同時に、生育不良による収量減を軽減する栽培法が可能となる。
【0020】
子実体の移植において、発芽能力に欠ける菌床(培養物)であっても、移植した子実体の菌糸体がその能力を伴っていれば、菌床中の熟成菌糸体と子実体下部の菌糸体同士とを接合(融合)することにより、発芽工程での発芽誘導及び養分供給のそれぞれの役割を互いに補完することが可能であり、本発明方法により栽培を継続し、ロスを少なくした効率的、省資源的なバイリングの生育が可能となる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1:熟成菌糸体の移植<1>〕
(1)試験に供した菌系
試験菌系は、京都菌類研究所(所在地:京都府京都市山科区御陵平林町1−55)が保有するバイリング菌株「KMI−KPE−6」を供試した。なお、この菌株は、現在、中野市農業協同組合が栽培し、市場に出荷しているバイリングと同一株である。
【0023】
(2)培地基材の調製
すぎおがくず45g、米ぬか100g、特ふすま50gを混合したものを培地とし、これを含水率65%に調整した後、ポリプロピレン製栽培ビン(容量800cc、52口径)に520gずつ充填して滅菌(温度121℃、30分間)した後、無菌室にて放冷して培地基材を調製した。
【0024】
(3)種菌および培養
上記バイリング菌株を栽培ビンAの培地基材に接種した。
1次培養(菌糸体の蔓延)は温度が20℃、湿度が60〜70%に設定された培養室にて行い、菌糸体を栽培ビン内に蔓延させた。
35日間の1次培養を行った後、移植に備えて、蔓延菌糸体の上部にある接種した種菌をいわゆるブッカキ法にて全て掻き取り、蔓延菌糸体を露呈させた。
【0025】
(4)熟成菌糸体の移植
栽培ビンAとは別途に、同様の菌株、培地基材を使い、栽培ビンBにて1次培養を行い、さらに低温処理(処理温度:5〜10℃)を行って培養齢121日の発芽可能な熟成菌糸体を得た。
移植に備えて栽培ビンB内の熟成菌糸体上部の種菌を掻き取り、熟成菌糸体を露呈させた。その熟成菌糸体を一部切り取って、これを前記栽培ビンAの蔓延菌糸体からなる菌床表面に移植した。
蔓延菌糸体と熟成菌糸体とを接合させるための猶予期間である「活着期間」として15日間、25日間、35日間の3区を設定した。
栽培ビンAを低温処理用培養室(温度5〜10℃)に入れて、それぞれの期間を経過させた(試験例1〜3)。
【0026】
(5)発芽および生育
移植した栽培ビンAをその後15日間、温度15℃、相対湿度95%に設定した芽出し室の中に入れて発芽させた。
さらに10日間、温度15℃、相対湿度80%に設定した生育室の中に栽培ビンAを入れて生育させ、子実体を収穫した。
また、比較のために35日間の1次培養を経た後、熟成菌糸体の移植を行わず、低温処理を15日間、25日間、35日間行ったものを対照とした(対照例1〜3)。
【0027】
【表1】

【0028】
どの試験区においても、通常の45日間よりも短期間の低温処理を行った対照例1〜3では発芽せず生育もできなかった。
一方、熟成菌糸体を移植して接合させた試験例1〜3については、1次培養が従来(45日)よりも10日短い35日間で、しかも低温処理が従来(45日)に比べ大幅に短期間(15〜35日)であるにもかかわらず高い確率で発芽し、その後の生育も通常の栽培工程と同じ10日間で生育を完了し収穫することができた。
品質は従来法により栽培されたバイリングと同等のA規格品であった。また、試食したところ味覚も従来品と差異は無かった。
【0029】
〔実施例2:熟成菌糸体の移植<2>〕
実施例1と同様のバイリング菌株と培地基材を使用した。
種菌を接種後、栽培ビンCを1次培養(31日間)した後、接種種菌を掻き取って蔓延菌糸体を露呈した。
一方、別の栽培ビンDにて1次培養し低温処理(処理温度5〜10℃)を行って培養齢87日の発芽可能な熟成菌糸体を得た。次いで、この熟成菌糸体の上部にある種菌を掻き取り熟成菌糸体を露呈させた。最後に、栽培ビンDの熟成菌糸体を切り取り、それを栽培ビンCの蔓延菌糸体からなる菌床表面に移植した。
実施例1と同様に、活着期間(蔓延菌糸体と熟成菌糸体を接合させる猶予期間)として、低温処理の培養室で9日間経過させた。その後、実施例1と同様に発芽および生育を行った。
【0030】
また比較のため、31日間の1次培養工程を経た後、熟成菌糸体を移植せず低温処理を9日間行ったものを対照例として同様に発芽させ生育した。
対照例では発芽工程においてまったく発芽が見られなかった。
一方、熟成菌糸体を移植した場合は15日間の発芽工程に付したところ90%以上の確率で発芽し、その後の生育に関しても、通常の栽培工程と同じ10日間で生育を完了した。すなわち、1次培養を従来の45日から31日に短縮し、また、低温処理も従来の45日から9日に著しく短縮することができ、培養期間は僅か40日間であった。
【0031】
栽培に要した日数は、培養期間40日、発芽15日及び生育10日であり、これらを合計した栽培期間は65日となり、従来法による期間(115日)のほぼ半分に短縮することができた。
なお栽培ビンDの移植用熟成菌糸体の形成、すなわち1次培養並びに低温処理は予め行っておくのであり、したがって移植用熟成菌糸体の形成期間は上記栽培期間に算入されていない。
【0032】
〔実施例3:幼子実体の移植〕
実施例1と同様のバイリング菌株、培地基材を使用して培養を行った。培養期間(温度20℃)45日を経過した後、低温処理(処理温度5〜10℃)を45日間施した。芽出し工程に移行して通常15日間の発芽期間を要するが、10日目には発芽の良し悪しを確認することができる。
この時、熟成菌糸体が形成されているにもかかわらず発芽率が低下したり、発芽しないビンの発生を確認できるが、このような発芽不良のビン(以下「不発芽ビン」と言う)を16本集めた。
【0033】
別の栽培ビン内で正常に発芽した幼子実体の一部を下部培養基の部分から切り取り、不発芽ビンの熟成菌糸体からなる菌床上に移植することにより、幼子実体の菌糸体と不発芽ビン内の熟成菌糸体との接合が確認され、幼子実体はそのまま成長した。接合が14本で確認され(接合率88%)、幼子実体はそのまま成長した。
収量を比較するために、対照区として16本を栽培し、正常な発芽、生育をしたものについて平均収量の算出を行った。
【0034】
【表2】

【0035】
上記試験結果から、栽培上の障害から起こりうる収量低下や、品質劣化を改善して、歩留まりを向上させて栽培を継続できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】熟成菌糸体の移植の一例を示す側面図である。
【図2】幼子実体の移植の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 熟成菌糸体の栽培ビン
11 熟成菌糸体
12 種菌
13 切り取った熟成菌糸体
14 蔓延菌糸体の栽培ビン
15 蔓延菌糸体
20 発芽状態の栽培ビン
21 熟成菌糸体
22 幼子実体
23 切り取った幼子実体
24 不発芽ビン
25 熟成菌糸体
a 種菌の菌掻き
b 熟成菌糸体の切り取り
c 切り取った熟成菌糸体の蔓延菌糸体への移植
d 幼子実体の一部切り取り
e 切り取った幼子実体の移植

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイリングの菌床栽培において、種菌を接種し培養によって栽培容器内に蔓延させた状態の蔓延菌糸体からなる菌床表面に、別途培養され低温処理されて熟成状態に至った熟成菌糸体を移植して両菌糸体同士を接合させて発芽させ、子実体を育成することを特徴とするバイリングの短期栽培方法。
【請求項2】
バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる菌床表面に、別の培養によって形成された幼子実体を移植し当該幼子実体を生育させることを特徴とするバイリングの栽培方法。
【請求項3】
バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる発芽不良の菌床表面に、別の培養によって正常に形成された幼子実体を移植し当該幼子実体を生育させることを特徴とするバイリングの栽培方法。
【請求項4】
バイリングの菌床栽培において、種菌を接種して培養し低温処理によって得られる熟成状態の菌糸体からなる発芽不良の菌床を、幼子実体を生育させるための養分供給源として使用することを特徴とするバイリングの栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−209303(P2007−209303A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35318(P2006−35318)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年8月15日 日本きのこ学会発行の「日本きのこ学会第9回大会講演要旨集」に発表
【出願人】(500149522)中野市農業協同組合 (13)
【出願人】(506050248)
【出願人】(506050259)
【Fターム(参考)】