説明

バッテリ監視システム

【課題】太陽光パネルで発電される電力を蓄電し、蓄電した電力を負荷に供給するバッテリの劣化状態を検出するバッテリ監視システムを提供する。
【解決手段】ローカル局には、太陽光パネル21と、この太陽光パネルで発電された電力を充電するバッテリ34と、バッテリに充電された電力が供給されて駆動する負荷24が設けられ、更に、バッテリの劣化状態を検出する劣化判定回路32及びRFIDタグ31が設けられる。そして、バッテリが放電されているときに、バッテリの劣化状態を検出し、劣化状態検出信号をRFIDタグより送信する。その後、各RFIDタグより送信された劣化状態検出信号は、監視装置13の送信機42よりデータセンタ14に送信され、該データセンタでは、各バッテリの劣化状態をディスプレイ54に表示する。これにより、データセンタに駐在する作業者は、各バッテリの劣化状態を認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル等の自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を充電し、充電した電力を負荷に供給するバッテリの、充電状態を監視するバッテリ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外用照明、電子看板、監視カメラ等の、主として屋外に設置される電気機器を太陽光パネル等の自然エネルギーを利用して作動させる装置が多く用いられている。例えば、電子看板の近傍に太陽光パネル及びバッテリからなる電源ユニットを設置し、昼間の太陽光が照射されている時間帯に、太陽光パネルで発電された電力によりバッテリに電力を充電する。また、夜間にはバッテリに充電された電力を電子看板に供給して電子看板を明灯させる。このような電源ユニットでは、自然エネルギーを利用してバッテリを充電しており、電力を購入する必要がないので、コストを削減でき且つ環境負荷が軽減されるという利点がある。
【0003】
ここで、バッテリは使用頻度、使用条件、及び経年変化により劣化し、バッテリが劣化した場合には太陽光パネルで発電された電力を効率良く蓄電することができず、また、所定の電圧を出力できず、電子看板等の電気機器を正常に作動させることができなくなる場合がある。従って、バッテリに劣化の兆候が確認された場合にはいち早くこれを検出して、バッテリをメンテナンスするか、或いは交換する必要がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、通信回線を介して顧客から業者にバッテリの検査依頼信号が送信された場合に、業者がオンラインで顧客側の電源装置に設けられたバッテリの内部抵抗、環境温度を測定し、バッテリの交換の要否を判断する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−123847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例では、商用電源の予備電源として設置するバッテリの状態をオンラインで検出する構成であり、自然エネルギーを利用して発電される電力を蓄電するバッテリの状態を検出するものではない。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、太陽光パネル等の自然エネルギーを利用した発電機で充電された電力を蓄電して、負荷に駆動用の電力を供給するためのバッテリの状態を検出し、作業者に報知するバッテリ監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、ローカル局に設けられ、自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を充電するバッテリの状態を、センタ局で監視するバッテリ監視システムであって、前記ローカル局は、前記バッテリの状態を検出するバッテリ状態検出手段(例えば、検出器33)と、前記バッテリ状態検出手段にて検出されるバッテリ状態信号を、前記センタ局に送信する送信手段(例えば、送信機42)と、を有し、前記センタ局は、前記ローカル局より送信される前記バッテリ状態信号を受信する受信手段(例えば、受信機51)と、受信した前記バッテリ状態信号に基づいて、前記バッテリの状態を報知する報知手段(例えば、ディスプレイ54)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ローカル局は、複数のバッテリを備え、且つ、前記バッテリ状態検出手段は前記各バッテリ毎に設けられ、更に、前記各バッテリ毎に設けられ、各バッテリを識別するためのIDを設定すると共に、前記バッテリ状態検出手段で検出されたバッテリ状態信号を送信する第1通信部(例えば、RFIDタグ31、RFIDユニット81)と、前記各第1通信部より送信されるバッテリ状態信号を受信する第2通信部(例えば、RFID受信機41、RFID送受信機71)と、を有し、前記送信手段は、前記第2通信部で受信した各バッテリ状態信号を送信し、前記報知手段は、前記受信手段で受信される前記バッテリ状態信号のIDに基づき、前記各バッテリのIDを特定してバッテリの状態を報知することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記ローカル局は、時計回路を更に備え、前記送信手段は予め設定された時刻に、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記第2通信部は、前記各第1通信部に対して、任意のタイミングで検出開始要求信号を送信し、前記各第1通信部は、前記検出開始要求信号を受信した場合に、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記バッテリ状態検出手段で検出される前記バッテリの状態は、バッテリの劣化状態を含み、前記送信手段は、前記バッテリが劣化していると判定されたバッテリが存在する場合にのみ、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記バッテリ状態検出手段は、前記バッテリに放電電流が流れているか否かを検出する機能を備え、バッテリに放電電流が流れている場合に、前記バッテリの状態を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記バッテリの状態は、バッテリに流れる電流、バッテリの出力電圧、バッテリの内部抵抗、バッテリ温度、及びバッテリの劣化状態のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記発電装置は、太陽光パネルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るバッテリ監視システムでは、自然エネルギーを利用した発電装置で発電した電力を蓄積するバッテリの状態(例えば、劣化状態)を迅速、且つ高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1〜第3実施形態に係るバッテリ監視システムの、センタ局の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るバッテリ監視システムにおける、バッテリ監視処理の操作手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るバッテリ監視システムにおける、バッテリ監視処理の操作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るバッテリ監視システムにおける、バッテリ監視処理の操作手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るバッテリ監視システムにおける、バッテリ監視処理の操作手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るバッテリ監視システムにおける、バッテリ監視処理の操作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態の説明]
図1、図2は、本発明の第1実施形態に係るバッテリ監視システムの構成を示すブロック図であり、図1はローカル局の構成を示すブロック図、図2はローカル局と無線で通信可能なセンタ局の構成を示すブロック図である。そして、図1、図2に示すようにこのバッテリ監視システムは、ローカル局の電源装置12に設けられた各バッテリ34の劣化状態を示す劣化状態検出信号をデータセンタ14(センタ局)に送信し、データセンタ14にて、劣化しているバッテリのIDを特定して作業者に通知するシステムである。
【0020】
図1に示すように、ローカル局は、負荷回路11と、複数のバッテリ34を備えて負荷回路11に電力を供給する電源装置12と、各バッテリ34の劣化状態を監視し、劣化状態検出信号を送信する監視装置13と、を備えている。
【0021】
負荷回路11は、例えば屋外に設置される電子看板等の負荷24を駆動する回路であり、太陽光を受光して直流電力を生成する太陽光パネル21と、充放電制御回路22、及びインバータ回路23を備えている。
【0022】
充放電制御回路22は、太陽光パネル21で発電された電力を電源装置12に設けられた各バッテリ34に充電し、且つ各バッテリ34に充電された電力をインバータ回路23に出力する制御を実行する。即ち、該充放電制御回路22は、タイマ回路(図示省略)を備え、予め設定した放電の時間帯(例えば、夜間の時間帯)には、バッテリ34より出力される電力をインバータ回路23に出力し、充電の時間帯(例えば、昼間の所定の時間帯)には、太陽光パネル21で発電された電力をバッテリ34に充電する制御を行う。なお、上記した充電の時間帯において、太陽光パネル21で発電された電力をバッテリ34に出力すると共に、この発電電力をインバータ回路23にも出力し、負荷24に供給するようにしても良い。
【0023】
インバータ回路23は、バッテリ34より出力される直流電力を、所定周波数、所定レベルの交流電力に変換して負荷24に出力する。
【0024】
また、図1に示す電源装置12は、複数(例えば、100個)のバッテリ34を備えている。各バッテリ34は、複数個(例えば、5個)が直列接続され、且つこの直列接続が複数列(例えば、20列)で並列接続されている。また、各バッテリ34毎に該バッテリ34の状態を検出する検出器33が設けられ、該検出器33で検出されるバッテリ状態のデータは、各列毎に設けられる劣化判定回路32に出力される。ここで、「バッテリの状態」とは、バッテリ34の出力電圧、バッテリ34に流れる電流、バッテリ34の内部抵抗、バッテリ34の温度、及びバッテリの劣化状態のうちの少なくとも1つである。
【0025】
劣化判定回路32は、各バッテリ34に設けられた検出器33で検出されるバッテリ状態のデータに基づいて、バッテリの劣化状態を検出する。例えば、バッテリ34の出力電圧と、バッテリ34に流れる電流から内部抵抗を算出し、更に、この内部抵抗を温度補正してバッテリ34の劣化状態を検出する。この劣化状態は、一例として「良好」「劣化注意」「要交換」の3段階に区別して検出することができる。そして、検出した劣化状態を、劣化状態検出信号としてRFID(Radio Frequency IDentification)タグ31に転送する。なお、バッテリ34の劣化判定はこの手法に限定されるものではなく、他の手法を採用することも可能である。
【0026】
RFIDタグ31(第1通信部)は、劣化判定回路32による判定結果である劣化状態検出信号に各バッテリ34を識別するためのIDを付して、監視装置13に送信する。
【0027】
監視装置13は、電源装置12に設けられた各RFIDタグ31より送信された劣化状態検出信号を受信するRFID受信機41(第2通信部)と、時計回路44と、RFID受信機41で受信された劣化状態検出信号を記憶し、所定の時刻となった際に(例えば、15分毎に設定した時刻となった際に)各バッテリ34のIDが付された劣化状態検出信号を出力するコントローラ43と、該コントローラ43より出力された劣化状態検出信号を所定の通信フォーマットで送信する送信機42(送信手段)を備えている。
【0028】
また、図2に示すデータセンタ14は、受信機51と、コントローラ52と、ディスプレイ54、及び警報器53を備えている。そして、第1実施形態及び後述する第2,第3実施形態では、監視装置13より送信された劣化状態検出信号を受信機51で受信し、各バッテリ34のIDとこのバッテリ34の劣化状態を照合し、各バッテリ34の劣化状態をディスプレイ54に表示して作業者に報知する。これにより、データセンタ14に駐在する作業者は、遠隔地に設置された電源装置12内に設けられているバッテリ34の劣化状態をリアルタイム(例えば、15分毎の更新周期)で認識することが可能となる。また、劣化の度合いが高く「要交換」と判断されたバッテリ34が存在する場合には、警報器53より警報を発して作業者に注意を喚起する。
【0029】
また、後述する第4,第5実施形態では、上記の機能に加えて、監視装置より送信されるバッテリ状態信号に基づいて、各バッテリの状態(例えば、バッテリに流れる電流、バッテリの出力電圧、バッテリの内部抵抗、バッテリの温度等)を示す情報をディスプレイ54に表示する。
【0030】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係るバッテリ監視システムの処理手順を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0031】
初めに、負荷回路11の充放電制御回路22は、負荷の駆動開始のタイミングであるか否かを確認する(ステップS11)。この処理では、バッテリ34に充電された電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動させる時間帯であるか否かを確認する。
【0032】
そして、負荷24を駆動する時間帯であると判断された場合には(ステップS11でYES)、電源装置12内に設けられる各バッテリ34の放電を開始する(ステップS12)。その結果、各バッテリ34より出力される電力がインバータ回路23に出力され、該インバータ回路23で所望周波数で所望レベルの交流電力に変換されて負荷24に出力される。従って、電子看板(負荷24)を明灯させることができる。
【0033】
また、電源装置12の各バッテリ34毎に設けられた検出器33は、各バッテリ34の放電電流を計測する(ステップS13)。そして、放電電流が検出されると劣化判定回路32は、バッテリ34の劣化状態の判定を開始する(ステップS14)。この処理では、上述したように、検出器33で検出されるバッテリ34の電流値、電圧値、及び周囲温度を取得し、これらのデータに基づいて、所定の演算手法を用いてバッテリ34の劣化状態を検出する。
【0034】
更に、上記の処理で検出された劣化状態検出信号をRFIDタグ31に転送する(ステップS15)。RFIDタグ31は、この劣化状態検出信号に各バッテリ34を識別するためのIDを付して、無線通信により監視装置13に送信する(ステップS16)。
【0035】
その後、監視装置13のRFID受信機41は、各RFIDタグ31より送信された劣化状態検出信号を受信して内部メモリ(図示省略)内に記憶し(ステップS17)、更に、全てのバッテリ34に対応するRFIDタグ31より劣化状態検出信号が受信されたか否かを判定する(ステップS18)。例えば、電源装置12内に100個のバッテリ34が設置されている場合には、100個の各バッテリ34に対応するIDの劣化状態検出信号が受信されているか否かを確認する。
【0036】
そして、全てのバッテリ34についての劣化状態検出信号が受信されたと判断された場合には(ステップS18でYES)、時計回路44で認識される現在時刻に基づき、所定の時刻となった場合に、内部メモリに記憶した全ての劣化状態検出信号を送信機42に転送する。この劣化状態検出信号は、該送信機42より送信される(ステップS19)。
【0037】
次いで、データセンタ14の受信機51は、監視装置13より送信された劣化状態検出信号を受信し(ステップS20)、この劣化状態検出信号と、この劣化状態検出信号に対応するIDに基づいて、各バッテリ34毎の劣化状態をディスプレイ54に表示する(ステップS21)。従って、データセンタ14に駐在する作業者は、ディスプレイ54に表示された劣化状態のデータを見ることにより、複数(例えば、100個)のバッテリ34のうち劣化していると判断されたバッテリを認識することができる。
【0038】
また、データセンタ14のコントローラ52は、劣化の度合いが大きく「要交換」と判断されたバッテリ34が存在するか否かを判定し(ステップS22)、交換が必要なバッテリ34が存在する場合には、警報器53を作動させて音声、ランプの点灯等により交換が必要なバッテリが存在することを作業者に知らせる(ステップS23)。こうして、電源装置12内に設けられる各バッテリ34の劣化状態をリアルタイムで検出し、劣化の度合いが大きいと判断されたバッテリが存在する場合には、データセンタ14で監視している作業者にいち早く知らせることが可能となる。
【0039】
一方、ステップS11の処理で、負荷24を駆動するタイミングでないと判断された場合には、太陽光パネル21により発電された電力を各バッテリ34に充電する処理を行う(ステップS24)。
【0040】
このようにして、本発明の第1実施形態に係るバッテリ監視システムでは、太陽光パネル21等の自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を複数のバッテリ34に充電し、且つ、バッテリ34に充電した電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動する場合に、各バッテリ34の劣化状態を、負荷24(例えば、電子看板)の設置場所から離れた場所であるデータセンタ14で監視する。そして、劣化の度合いが大きいバッテリ34が存在する場合には、リアルタイムで劣化したバッテリ34のIDを特定して作業者に通知することができるので、作業者はいち早くバッテリ34の交換作業、或いはメンテナンス作業に取りかかることができ、バッテリ34が劣化して負荷24を駆動できなくなるという従来の問題を解決することができる。
【0041】
また、各バッテリ34に取り付けられた検出器33にてバッテリ34の放電電流が検出された場合に、劣化判定回路32がバッテリ34の劣化状態を検出するので、太陽光パネル21で発電されている電力がバッテリ34に充電されている時間帯に劣化状態を検出することを回避できる。つまり、太陽光パネル21によるバッテリ34の充電が行われていないときに、各バッテリ34の劣化状態を検出するので、バッテリ34の劣化状態を高精度に検出することができ、且つ誤検出を防止できる。
【0042】
また、データセンタ14では、劣化の度合いが大きいと判断されたバッテリ34が存在する場合には、警報器53により警報を発して作業者に通知するので、劣化したバッテリ34が存在することを確実に作業者に知らせることができる。
【0043】
ここで、上述した第1実施形態では、監視装置13により、各バッテリ34の劣化状態検出信号を予め設定したタイミングでデータセンタ14に送信する構成としたが、監視装置13のコントローラ43により各バッテリ34の劣化状態を監視し、少なくとも一つのバッテリ34が劣化していると判断された場合に、各バッテリ34の劣化状態検出信号をデータセンタ14に送信する構成とすることも可能である。このような構成とすることにより、監視装置13とデータセンタ14との間の通信回数を低減することが可能となり、通信負荷を軽減することができる。
【0044】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。なお、センタ局に設けられるデータセンタ14は、前述した第1実施形態で示した図2と同一の構成であるので、図示を省略する。第2実施形態に係るバッテリ監視システムは、前述した第1実施形態と同様に、ローカル局の電源装置12aに設けられた各バッテリ64の劣化状態を示す劣化状態検出信号をデータセンタ14(センタ局)に送信し、データセンタ14にて劣化しているバッテリ64のIDを特定して作業者に通知するシステムである。これに加えて、第2実施形態では、監視装置13aより任意のタイミングでバッテリ状態の検出開始要求信号を送信し、電源装置12aでは、この検出開始要求信号が受信された際に、各バッテリ64の劣化状態を検出する構成としている。
【0045】
以下、第2実施形態に係るバッテリ監視システムの構成について説明する。図4に示すように、ローカル局は、負荷回路11と、複数のバッテリ64を備え負荷回路11に電力を供給する電源装置12aと、各バッテリ64の劣化状態を監視し、劣化状態検出信号を送信する監視装置13aと、を備えている。
【0046】
負荷回路11は、前述した第1実施形態と同様に、例えば屋外に設置される電子看板等の負荷24を駆動する回路であり、太陽光を受光して直流電力を生成する太陽光パネル21と、充放電制御回路22、及びインバータ回路23を備えている。
【0047】
また、電源装置12aは、複数(例えば、100個)のバッテリ64を備えている。各バッテリ64は、前述した第1実施形態と同様に、複数個(例えば、5個)が直列接続され、且つこの直列接続が複数列(例えば、20列)で並列接続されている。また、各バッテリ64毎に該バッテリ64の状態を検出する検出器63が設けられ、該検出器63で検出されるバッテリ状態のデータは、各列毎に設けられる劣化判定回路62に出力される。
【0048】
劣化判定回路62は、各バッテリ64に設けられた検出器63で検出されるバッテリ状態のデータに基づいて、バッテリの劣化状態を検出する。例えば、バッテリ64の出力電圧と、バッテリ64に流れる電流から内部抵抗を算出し、更に、この内部抵抗を温度補正してバッテリ64の劣化状態を検出する。この劣化状態は、第1実施形態と同様に「良好」「劣化注意」「要交換」の3段階に区別して検出することができる。そして、検出した劣化状態を、劣化状態検出信号としてRFIDタグ61に転送する。
【0049】
RFIDタグ61(第1通信部)は、劣化判定回路62により出力される劣化状態検出信号にIDを付して、監視装置13aに送信する機能を備えると共に、監視装置13aより送信される検出開始要求信号を受信する機能を備える。
【0050】
監視装置13aは、電源装置12aに設けられた各RFIDタグ61より送信された劣化状態検出信号を受信し、且つ各RFIDタグ61に向けてバッテリ状態の検出開始要求信号を送信するRFID送受信機71(第2通信部)と、時計回路74と、RFID送受信機71で受信された劣化状態検出信号を記憶し、所定の時刻となった際に(例えば、15分毎に設定した時刻となった際に)各バッテリ64に対する劣化状態検出信号を出力するコントローラ73と、該コントローラ73より出力された劣化状態検出信号を所定の通信フォーマットで送信する送信機72を備えている。
【0051】
次に、上述のように構成された第2実施形態に係るバッテリ監視システムの動作を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。初めに、監視装置13aのコントローラ73は、内部に設けられる夜間タイマ(図示省略)を作動させ(ステップS31)、任意のタイミングでポーリングを開始する(ステップS32)。
【0052】
そして、RFID送受信機71と、各RFIDタグ61との間で通信が可能となった場合に、RFID送受信機71は各RFIDタグ61にバッテリ64の劣化状態の検出開始要求信号を送信する(ステップS33)。
【0053】
その後、電源装置12aの各バッテリ64に対応する劣化判定回路62では、検出開始要求信号を受けて、各バッテリ64の劣化状態を検出し(ステップS34)、劣化状態検出信号をRFIDタグ61に転送する(ステップS35)。次いで、該RFIDタグ61は、転送された劣化状態検出信号を、無線通信にて監視装置13aのRFID送受信機71に送信する(ステップS36)。
【0054】
そして、監視装置13aのRFID送受信機71では、各RFIDタグ61より送信された劣化状態検出信号を受信して内部メモリ(図示省略)内に記憶し(ステップS37)、更に、全てのバッテリ64に対応するRFIDタグ61からの劣化状態検出信号が受信されたか否かを判断する(ステップS38)。例えば、電源装置12a内に100個のバッテリ64が設置されている場合には、100個の各バッテリ64に対応するIDの劣化状態検出信号が受信されているか否かを確認する。
【0055】
そして、全てのバッテリ64についての劣化状態検出信号が受信されたと判断された場合には(ステップS38でYES)、時計回路44で認識される現在時刻に基づき、所定の時刻となった場合に、内部メモリに記憶した全ての劣化状態検出信号を送信機72に転送する。この劣化状態検出信号は、該送信機72より送信されることになる(ステップS39)。
【0056】
次いで、データセンタ14の受信機51は、監視装置13aより送信された劣化状態検出信号を受信し(ステップS40)、この劣化状態検出信号とこの劣化状態検出信号に対応するIDに基づいて、各バッテリ64のID毎の劣化状態をディスプレイ54に表示する(ステップS41)。従って、データセンタ14に駐在する作業者は、ディスプレイ54に表示された劣化状態のデータを見ることにより、複数のバッテリ64のうち劣化していると判断されたバッテリを認識することができる。
【0057】
また、データセンタ14のコントローラ52は、劣化の度合いが大きく「要交換」と判断されたバッテリ64が存在するか否かを判定し(ステップS42)、交換が必要なバッテリ64が存在する場合には、警報器53を作動させて音声、ランプの点灯等により交換が必要なバッテリが存在することを作業者に知らせる(ステップS43)。こうして、電源装置12a内に設けられる各バッテリ64の劣化状態をリアルタイムで検出し、劣化の度合いが大きいと判断されたバッテリが存在する場合には、データセンタ14で監視している作業者にいち早く知らせることが可能となる。
【0058】
このようにして、第2実施形態に係るバッテリ監視システムでは、監視装置13aからバッテリ劣化状態の検出開始要求信号が出力された際に、劣化判定回路62による各バッテリ64の劣化状態の検出が行われる。従って、検出開始要求信号に対して、全てのRFIDタグ61より、対応するバッテリ64の劣化状態検出信号が送信されない場合には、検出開始要求信号を繰り返して送信することにより、全てのバッテリ64の劣化状態検出信号を得ることができるので、予め設定した時刻において、全てのバッテリ64の劣化状態を確実に検出することができ、バッテリ劣化の検出精度をより一層向上させることができる。
【0059】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。なお、センタ局に設けられるデータセンタ14は、前述の第1、第2実施形態で示した図2と同一の構成であるので、図示を省略する。第3実施形態に係るバッテリ監視システムは、ローカル局の電源装置12bに設けられた1つのバッテリ87の劣化状態を示す劣化状態検出信号をデータセンタ14(センタ局)に送信し、バッテリ87が劣化している場合には、データセンタ14に駐在する作業者に通知するシステムである。
【0060】
以下、第3実施形態に係るバッテリ監視システムの構成について詳細に説明する。電源装置12bは、太陽光パネル21で発電した電力を充電すると共に、負荷24を駆動させる場合には充電されている電力を負荷24に供給するバッテリ87を備えている。更に該バッテリ87のバッテリ状態を検出する検出器86、及びバッテリ87に流れる電流、バッテリ87の電圧、及び周囲温度に基づいて該バッテリ87の劣化状態を検出する劣化判定回路85を備えている。そして、劣化判定回路85は、有線または無線にて監視装置13bのコントローラ96に接続されている。
【0061】
監視装置13bは、時計回路97と、劣化判定回路85より送信される劣化状態検出信号を一旦記憶し、所定の時刻に記憶した劣化状態検出信号を読み出して送信機95に転送するコントローラ96と、転送された劣化状態検出信号を送信する送信機95を備えている。
【0062】
次に、上述のように構成された第3実施形態に係るバッテリ監視システムの処理手順を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0063】
初めに、負荷回路11の充放電制御回路22は、負荷の駆動開始のタイミングであるか否かを確認する(ステップS51)。この処理では、バッテリ87に充電された電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動させる時間帯であるか否かを確認する。
【0064】
そして、負荷24を駆動する時間帯であると判断された場合には(ステップS51でYES)、電源装置12b内に設けられるバッテリ87の放電を開始する(ステップS52)。その結果、バッテリ87より出力される電力がインバータ回路23に出力され、該インバータ回路23で所望周波数で所望レベルの交流電力に変換されて負荷24に出力される。従って、電子看板(負荷24)を明灯させることができる。
【0065】
また、電源装置12bのバッテリ87に設けられた検出器86は、該バッテリ87の放電電流を計測する(ステップS53)。そして、放電電流が検出されると劣化判定回路85は、バッテリ87の劣化状態の判定を開始する(ステップS54)。この処理では、上述したように、バッテリ87に流れる電流値、バッテリ87の電圧値、及び周囲温度に基づいて、所定の演算手法を用いてバッテリ87の劣化状態を検出し、「良好」「劣化注意」「要交換」の3段階に区分した検出結果を決める。
【0066】
更に、検出結果である劣化状態検出信号を、監視装置13bのコントローラ96に出力する(ステップS55)。
【0067】
その後、監視装置13bの送信機95は、劣化判定回路85より出力された劣化状態検出信号を受信して内部メモリ(図示省略)内に記憶し、更に、時計回路97による現在時刻に基づき、所定の時刻となった場合に、内部メモリに記憶した劣化状態検出信号を送信機95に転送する。この劣化状態検出信号は、該送信機95より送信されることになる(ステップS56)。
【0068】
次いで、データセンタ14の受信機51は、監視装置13bより送信された劣化状態検出信号を受信し(ステップS57)、この劣化状態検出信号に基づいて、バッテリ87の劣化状態をディスプレイ54に表示する(ステップS58)。従って、データセンタ14に駐在する作業者は、ディスプレイ54に表示された劣化状態のデータを見ることにより、バッテリ87が劣化しているか否かを認識することができる。
【0069】
また、データセンタ14のコントローラ52は、バッテリ87の劣化の度合いが大きいと判断された場合に(ステップS59でYES)、警報器53を作動させて音声、ランプの点灯等により劣化の度合いが大きいバッテリが存在することを作業者に知らせる(ステップS60)。こうして、電源装置12b内に設けられるバッテリ87の劣化状態をリアルタイムで検出し、該バッテリ87が劣化していると判断された場合には、データセンタ14で監視している作業者にいち早く知らせることが可能となる。
【0070】
一方、ステップS51の処理で、負荷を駆動するタイミングでないと判断された場合には、太陽光パネル21により発電された電力をバッテリ87に充電する処理を行う(ステップS61)。
【0071】
このようにして、本発明の第3実施形態に係るバッテリ監視システムでは、太陽光パネル21等の自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を1つのバッテリ87に充電し、且つ、バッテリ87に充電した電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動する場合に、バッテリ87の劣化状態を、負荷24(例えば、電子看板)の設置場所から離れた場所であるデータセンタ14で監視する。そして、バッテリ87の劣化の度合いが大きい場合には、リアルタイムでバッテリ87が劣化していることを作業者に通知することができる。このため、いち早くバッテリ87の交換作業、或いはメンテナンス作業に取りかかることができ、バッテリ87が劣化して負荷24を駆動できないという従来の問題を解決することができる。
【0072】
また、バッテリ87に取り付けられた検出器86で、放電電流が検出された場合に、劣化判定回路85が劣化状態を検出するので、太陽光パネル21で発電されている電力がバッテリ87に充電されている時間帯に劣化状態を検出することを回避できる。つまり、太陽光パネル21によるバッテリ87の充電が行われていないときに、該バッテリ87の劣化状態を検出するので、バッテリ87の劣化状態を高精度に検出することができる。
【0073】
また、データセンタ14では、バッテリ87が劣化していると判断された場合には、警報器53により警報を発して作業者に通知するので、作業者はバッテリ87が劣化したことを迅速且つ確実に認識することができる。
【0074】
[第4実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。なお、センタ局に設けられるデータセンタ14は、前述の第1〜第3実施形態で示した図2と同一の構成であるので、図示を省略する。第4実施形態に係るバッテリ監視システムは、ローカル局の電源装置12cに設けられた各バッテリ84の状態を示すバッテリ状態信号をデータセンタ14(センタ局)に送信し、データセンタ14にて、各バッテリのIDを特定して、そのバッテリ状態を作業者に通知するシステムである。バッテリ状態は、例えば、バッテリ84の出力電圧、バッテリ84に流れる電流、バッテリ84の内部抵抗、バッテリ84の温度等である。
【0075】
図8に示すように、ローカル局は、負荷回路11と、複数のバッテリ84を備えて負荷回路11に電力を供給する電源装置12cと、各バッテリ84の状態を監視し、バッテリ状態信号を送信する監視装置13cと、を備えている。
【0076】
負荷回路11は、前述した第1〜第3実施形態と同様に、太陽光パネル21、充放電制御回路22、及びインバータ回路23を備えている。
【0077】
また、図8に示す電源装置12cは、複数(例えば、100個)のバッテリ84を備えている。各バッテリ84は、複数個(例えば、5個)が直列接続され、且つこの直列接続が複数列(例えば、20列)で並列接続されている。また、各バッテリ84毎に該バッテリ84の状態を検出する検出器83が設けられ、該検出器83で検出されるバッテリの状態を示す信号(以下これを「バッテリ状態信号」と言う)は、各列毎に設けられるRFIDユニット81に出力される。
【0078】
RFIDユニット81は、検出器83より出力される各バッテリ状態信号を取得し、このバッテリ状態信号に基づいてバッテリ84の劣化状態を検出する。そして、バッテリ状態信号及び劣化状態検出信号に、各バッテリ84を識別するためのIDを付して、監視装置13cに送信する。
【0079】
監視装置13cは、電源装置12cに設けられた各RFIDユニット81より送信された劣化状態検出信号を受信するRFID受信機41(第2通信部)と、時計回路44と、RFID受信機41で受信された劣化状態検出信号を記憶し、所定の時刻となった際に(例えば、15分毎に設定した時刻となった際に)各バッテリ84のIDが付された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を出力するコントローラ43と、該コントローラ43より出力された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を所定の通信フォーマットで送信する送信機42(送信手段)を備えている。
【0080】
また、図2に示すデータセンタ14は、監視装置13cより送信される劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号に基づいて、各バッテリの状態を示す情報をディスプレイ54に表示する。
【0081】
次に、上述のように構成された第4実施形態に係るバッテリ監視システムの処理手順を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0082】
初めに、負荷回路11の充放電制御回路22は、負荷の駆動開始のタイミングであるか否かを確認する(ステップS71)。この処理では、バッテリ84に充電された電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動させる時間帯であるか否かを確認する。
【0083】
そして、負荷24を駆動する時間帯であると判断された場合には(ステップS71でYES)、電源装置12c内に設けられる各バッテリ84の放電を開始する(ステップS72)。その結果、各バッテリ84より出力される電力がインバータ回路23に出力され、該インバータ回路23で所望周波数で所望レベルの交流電力に変換されて負荷24に出力される。従って、電子看板(負荷24)を明灯させることができる。
【0084】
また、電源装置12cの各バッテリ84毎に設けられた検出器83は、各バッテリ84の状態を検出する。この処理では、各バッテリ84に流れる電流、各バッテリ84の出力電圧、各バッテリ84の内部抵抗及び温度を検出する(ステップS73)。そして、この検出結果として得られるバッテリ状態信号をRFIDユニット81に転送する。
【0085】
RFIDユニット81は、検出器83より転送されたバッテリ状態信号に基づいて、バッテリ劣化の判定を開始する。この判定は、前述した第1実施形態と同様に、バッテリ84の電流、電圧、及び温度に基づき、所定の演算手法を用いて該バッテリ84が劣化しているか否かを、「良好」「劣化注意」「要交換」の3段階に区別し、この結果を劣化状態検出信号とする(ステップS74)。
【0086】
RFIDユニット81は、上記の処理で取得した劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号に、各バッテリ84を識別するためのIDを付して無線通信により監視装置13に送信する(ステップS75)。
【0087】
その後、監視装置13cのRFID受信機41は、各RFIDユニット81より送信された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を受信して内部メモリ(図示省略)内に記憶し(ステップS76)、更に、全てのバッテリ84に対応するRFIDユニット81より劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号が受信されたか否かを判定する(ステップS77)。例えば、電源装置12c内に100個のバッテリ84が設置されている場合には、100個の各バッテリ84に対応するIDの劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号が受信されているか否かを確認する。
【0088】
そして、全てのバッテリ84についての劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号が受信されたと判断された場合には(ステップS77でYES)、時計回路44で認識される現在時刻に基づき、所定の時刻となった場合に、内部メモリに記憶した全ての劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を送信機42に転送する。この劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号は、該送信機42より送信される(ステップS78)。
【0089】
次いで、データセンタ14の受信機51は、監視装置13cより送信された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を受信し(ステップS79)、受信した信号と、この信号に対応するIDに基づいて、各バッテリ84毎の状態をディスプレイ54に表示する(ステップS80)。即ち、各バッテリ84に流れる電流、各バッテリ84の出力電圧、各バッテリ84の内部抵抗及び温度、各バッテリ84の劣化状態がディスプレイ54に表示される。
【0090】
従って、データセンタ14に駐在する作業者は、ディスプレイ54に表示された各バッテリ84の状態のデータを見ることにより、複数(例えば、100個)のバッテリ84の状態、及び各バッテリ84うち劣化していると判断されたバッテリを認識することができる。
【0091】
また、データセンタ14のコントローラ52は、劣化の度合いが大きく「要交換」と判断されたバッテリ84が存在するか否かを判定し(ステップS81)、交換が必要なバッテリ84が存在する場合には、警報器53を作動させて音声、ランプの点灯等により交換が必要なバッテリが存在することを作業者に知らせる(ステップS82)。こうして、電源装置12c内に設けられる各バッテリ84の状態をリアルタイムで検出し、データセンタ14で監視している作業者にいち早く知らせることが可能となる。
【0092】
一方、ステップS71の処理で、負荷24を駆動するタイミングでないと判断された場合には、太陽光パネル21により発電された電力を各バッテリ84に充電する処理を行う(ステップS83)。
【0093】
このようにして、本発明の第4実施形態に係るバッテリ監視システムでは、太陽光パネル21等の自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を複数のバッテリ84に充電し、且つ、バッテリ84に充電した電力を負荷24に供給して該負荷24を駆動する場合に、各バッテリ84の状態を、負荷24(例えば、電子看板)の設置場所から離れた場所であるデータセンタ14で監視する。従って、各バッテリ84の状態(電流、電圧、内部抵抗、温度、劣化状態等)をデータセンタ14に駐在する作業者に通知することができ、データセンタ14にて各バッテリ84の状態を集中して管理することができる。
【0094】
また、劣化の度合いが大きいバッテリ84が存在する場合には、リアルタイムで劣化したバッテリ34のIDを特定して作業者に通知することができるので、いち早くバッテリ84の交換作業、或いはメンテナンス作業に取りかかることができ、バッテリ84が劣化して負荷24を駆動できなくなるという従来の問題を解決することができる。
【0095】
また、各バッテリ84に取り付けられた検出器83にてバッテリ84の放電電流が検出された場合に、RFIDユニット81がバッテリ84の劣化状態を検出するので、太陽光パネル21で発電されている電力がバッテリ84に充電されている時間帯に劣化状態を検出することを回避できる。つまり、太陽光パネル21によるバッテリ84の充電が行われていないときに、各バッテリ84の劣化状態を検出するので、バッテリ84の劣化状態を高精度に検出することができ、且つ誤検出を防止できる。
【0096】
また、データセンタ14では、劣化の度合いが大きいと判断されたバッテリ84が存在する場合には、警報器53により警報を発して作業者に通知するので、劣化したバッテリ84が存在することを確実に作業者に知らせることができる。
【0097】
ここで、第4実施形態では、監視装置13cにより、各バッテリ84の劣化状態検出信号を予め設定したタイミングでデータセンタ14に送信する構成としたが、監視装置13cのコントローラ43により各バッテリ84の劣化状態を監視し、少なくとも一つのバッテリ84が劣化していると判断された場合に、各バッテリ84の劣化状態検出信号をデータセンタ14に送信する構成とすることも可能である。このような構成とすることにより、監視装置13cとデータセンタ14との間の通信回数を低減することが可能となり、通信負荷を軽減することができる。
【0098】
[第5実施形態の説明]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図10は、第5実施形態に係るバッテリ監視システムの、ローカル局の構成を示すブロック図である。なお、センタ局に設けられるデータセンタ14は、前述した図2と同一の構成であるので、図示を省略する。第5実施形態に係るバッテリ監視システムは、前述した第4実施形態と同様に、ローカル局の電源装置12dに設けられた各バッテリ94の状態を示すバッテリ状態信号をデータセンタ14(センタ局)に送信し、データセンタ14にて、各バッテリのIDを特定して、そのバッテリ状態を作業者に通知するシステムである。
【0099】
これに加えて、第5実施形態では、監視装置13dより任意のタイミングでバッテリ状態の検出開始要求信号を送信し、電源装置12dでは、この検出開始要求信号が受信された際に、各バッテリ94の状態を検出する構成としている。
【0100】
図10に示すように、ローカル局は、負荷回路11と、複数のバッテリ94を備えて負荷回路11に電力を供給する電源装置12dと、各バッテリ94の状態を監視し、バッテリ状態信号を送信する監視装置13dと、を備えている。
【0101】
負荷回路11は、前述した第1〜第4実施形態と同様に、太陽光パネル21、充放電制御回路22、及びインバータ回路23を備えている。
【0102】
また、図10に示す電源装置12dは、複数(例えば、100個)のバッテリ94を備えている。各バッテリ94は、複数個(例えば、5個)が直列接続され、且つこの直列接続が複数列(例えば、20列)で並列接続されている。また、各バッテリ94毎に該バッテリ94の状態を検出する検出器93が設けられ、該検出器93で検出されるバッテリ状態信号は、各列毎に設けられるRFIDユニット91に出力される。
【0103】
RFIDユニット91は、検出器93より出力される各バッテリ状態信号及びバッテリの劣化検出信号を取得し、各バッテリ94毎に識別用のIDを付して、監視装置13dに送信する。
【0104】
監視装置13dは、電源装置12dに設けられた各RFIDユニット81より送信された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を受信し、且つ各RFIDユニット91に向けてバッテリ状態の検出開始要求信号を送信するRFID送受信機71(第2通信部)と、時計回路74と、RFID送受信機71で受信された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を記憶し、所定の時刻となった際に(例えば、15分毎に設定した時刻となった際に)各バッテリ94のIDが付された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を出力するコントローラ73と、該コントローラ73より出力された劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を所定の通信フォーマットで送信する送信機72(送信手段)を備えている。
【0105】
また、図2に示すデータセンタ14は、監視装置13dより送信されるバッテリ状態信号に基づいて、各バッテリ94の状態を示す情報をディスプレイ54に表示する。
【0106】
次に、上述のように構成された第5実施形態に係るバッテリ監視システムの動作を、図11に示すフローチャートを参照して説明する。初めに、監視装置13dのコントローラ73は、内部に設けられる夜間タイマ(図示省略)を作動させ(ステップS101)、任意のタイミングでポーリングを開始する(ステップS102)。
【0107】
そして、RFID送受信機71と、各RFIDユニット91との間で通信が可能となった場合に、RFID送受信機71は各RFIDユニット91にバッテリ94の状態の検出開始要求信号を送信する(ステップS103)。
【0108】
その後、電源装置12dの各RFID91は、検出開始要求信号を受けて、各バッテリ94に対応する検出器93で検出されるバッテリ状態信号を取得する(ステップS104)。そして、このバッテリ状態信号に基づいて各バッテリ94の劣化状態の検出を開始する(ステップS105)。
【0109】
次いで、RFIDユニット91は、検出した劣化状態検出信号及びバッテリ状態信号を、無線通信にて監視装置13dのRFID送受信機71に送信する(ステップS106)。
【0110】
そして、監視装置13dのRFID送受信機71では、各RFIDユニット91より送信された劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号を受信して内部メモリ(図示省略)内に記憶し(ステップS107)、更に、全てのバッテリ94に対応するRFIDユニット91からの劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号が受信されたか否かを判断する(ステップS108)。例えば、電源装置12d内に100個のバッテリ94が設置されている場合には、100個の各バッテリ94に対応するIDの劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号が受信されているか否かを確認する。
【0111】
そして、全てのバッテリ94についての劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号が受信されたと判断された場合には(ステップS108でYES)、時計回路74で認識される現在時刻に基づき、所定の時刻となった場合に、内部メモリに記憶した全ての劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号を送信機72に転送する。この劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号は、該送信機72より送信される(ステップS109)。
【0112】
次いで、データセンタ14の受信機51は、監視装置13dより送信された劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号を受信し(ステップS110)、この劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号とこの信号に対応するIDに基づいて、各バッテリ94のID毎のバッテリ劣化状態、及びバッテリ状態をディスプレイ54に表示する(ステップS111)。従って、データセンタ14に駐在する作業者は、ディスプレイ54に表示されたバッテリ劣化状態、及びバッテリ状態のデータを見ることにより、複数のバッテリ94のうち劣化していると判断されたバッテリを認識することができる。
【0113】
また、データセンタ14のコントローラ52は、劣化の度合いが大きく「要交換」と判断されたバッテリ94が存在するか否かを判定し(ステップS112)、交換が必要なバッテリ94が存在する場合には、警報器53を作動させて音声、ランプの点灯等により交換が必要なバッテリが存在することを作業者に知らせる(ステップS113)。こうして、電源装置12d内に設けられる各バッテリ94の劣化状態及びバッテリ状態をリアルタイムで検出し、劣化の度合いが大きいと判断されたバッテリが存在する場合には、データセンタ14で監視している作業者にいち早く知らせることが可能となる。
【0114】
このようにして、第5実施形態に係るバッテリ監視システムでは、監視装置13dからバッテリ状態信号の検出開始要求信号が出力された際に、RFIDユニット91による各バッテリ94の劣化状態の検出が行われ、且つ、バッテリ状態信号の送信が行われる。従って、検出開始要求信号に対して、全てのRFIDユニット91より、対応するバッテリ94の劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号が送信されない場合には、検出開始要求信号を繰り返して送信することにより、全てのバッテリ94の劣化状態検出信号、及びバッテリ状態信号を得ることができるので、予め設定した時刻において、全てのバッテリ94の状態を確実に検出することができ、バッテリの状態の検出精度をより一層向上させることができる。
【0115】
以上、本発明のバッテリ監視システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0116】
例えば、上述した第1〜第5実施形態では、データセンタ14にて一つのローカル局のバッテリを監視する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のローカル局より送信される劣化状態検出信号に基づいて、各ローカル局に設置されたバッテリの劣化状態を総括的に監視するように構成することも可能である。
【0117】
また、上述した第1〜第5実施形態では、負荷24として電子看板を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、屋外用照明、監視カメラ等の他の電気装置とすることも可能である。
【0118】
更に、自然エネルギーを利用した発電装置として太陽光パネル21を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、風力発電、振動を利用した発電等の他の発電装置を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、自然エネルギーを利用して発電した電力をバッテリに充電して負荷を駆動する電源装置の、バッテリの劣化状態を認識することに利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
11 負荷回路
12,12a,12b,12c,12d 電源装置
13,13a,13b,13c,13d 監視装置
14 データセンタ
21 太陽光パネル
22 充放電制御回路
23 インバータ回路
24 負荷
31,61 RFIDタグ
32,62,85 劣化判定回路
33,63,83,86,93 検出器
34,64,84,87,94 バッテリ
41 RFID受信機
42,72,95 送信機
43,52,73,96 コントローラ
44,74,97 時計回路
51 受信機
53 警報器
54 ディスプレイ
71 RFID送受信機
81,91 RFIDユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカル局に設けられ、自然エネルギーを利用した発電装置で発電された電力を充電するバッテリの状態を、センタ局で監視するバッテリ監視システムであって、
前記ローカル局は、
前記バッテリの状態を検出するバッテリ状態検出手段と、
前記バッテリ状態検出手段にて検出されるバッテリ状態信号を、前記センタ局に送信する送信手段と、を有し、
前記センタ局は、
前記ローカル局より送信される前記バッテリ状態信号を受信する受信手段と、
受信した前記バッテリ状態信号に基づいて、前記バッテリの状態を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とするバッテリ監視システム。
【請求項2】
前記ローカル局は、複数のバッテリを備え、且つ、前記バッテリ状態検出手段は前記各バッテリ毎に設けられ、更に、
前記各バッテリ毎に設けられ、各バッテリを識別するためのIDを設定すると共に、前記バッテリ状態検出手段で検出されたバッテリ状態信号を送信する第1通信部と、
前記各第1通信部より送信されるバッテリ状態信号を受信する第2通信部と、を有し、
前記送信手段は、前記第2通信部で受信した各バッテリ状態信号を送信し、
前記報知手段は、
前記受信手段で受信される前記バッテリ状態信号のIDに基づき、前記各バッテリのIDを特定してバッテリの状態を報知することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視システム。
【請求項3】
前記ローカル局は、時計回路を更に備え、前記送信手段は予め設定された時刻に、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のバッテリ監視システム。
【請求項4】
前記第2通信部は、前記各第1通信部に対して、任意のタイミングで検出開始要求信号を送信し、前記各第1通信部は、前記検出開始要求信号を受信した場合に、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のバッテリ監視システム。
【請求項5】
前記バッテリ状態検出手段で検出される前記バッテリの状態は、バッテリの劣化状態を含み、前記送信手段は、前記バッテリが劣化していると判定されたバッテリが存在する場合にのみ、前記バッテリ状態信号を送信することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のバッテリ監視システム。
【請求項6】
前記バッテリ状態検出手段は、前記バッテリに放電電流が流れているか否かを検出する機能を備え、バッテリに放電電流が流れている場合に、前記バッテリの状態を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のバッテリ監視システム。
【請求項7】
前記バッテリの状態は、バッテリに流れる電流、バッテリの出力電圧、バッテリの内部抵抗、バッテリ温度、及びバッテリの劣化状態のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のバッテリ監視システム。
【請求項8】
前記発電装置は、太陽光パネルであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のバッテリ監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−254651(P2011−254651A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127698(P2010−127698)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】