説明

バーンイン装置及びバーンインボード

【課題】判定結果を判定結果メモリに格納するのに要する時間を短縮し、バーンイン試験時間の短縮化を図ることのできるバーンイン装置を提供する。
【解決手段】バーンイン装置は、バーンイン試験において、第1基準信号に同期して、テスト信号を生成し、複数の被試験デバイスに供給する、テスト信号生成回路と、前記テスト信号に基づいて前記複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する、判定回路と、被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリと、前記判定回路から順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する、判定結果格納回路と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーンイン装置及びバーンインボードに関し、特に、テスト時間の短縮化を図ったバーンイン装置及びそのバーンインボードに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等のデバイスの初期不良を顕在化し、初期故障品の除去を行うためのスクリーニング試験の一種であるバーンイン(Burn-In)試験を行う装置として、バーンイン装置が知られている。このバーンイン装置では、被試験デバイス(Device Under Test)である電子部品を複数挿入したバーンインボードを恒温槽のチャンバ内に収容し、所定の電圧や所定のテスト信号を印加して電気的ストレスを与えるとともに、恒温槽内部の空気を加熱して所定の温度の熱ストレスを与えることにより、初期不良を顕在化させる。
【0003】
このようなバーンイン装置では、数時間から数十時間に亘る長時間のバーンイン試験が行われることから、試験効率を向上させるために、複数の被試験デバイスを1枚のバーンインボードに挿入するとともに、このバーンインボードを複数毎、バーンイン装置に収納して、バーンイン試験を行うのが一般的である。
【0004】
また、このバーンイン試験においては、被試験デバイスを高温雰囲気或いは低温雰囲気に置いて、テスト信号を印加して、正常な出力データが得られるかどうかを判定する。この判定結果は、バーンイン試験を行いながら、各被試験デバイス毎に順次、判定結果メモリに格納される。したがって、バーンイン試験が終了した後に、この判定結果メモリに格納されている判定結果を見ることにより、どの被試験デバイスが誤ったデータ出力をしているのかを容易に峻別することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーンイン試験においては、極めて多くの被試験デバイスの試験が同時に行われるため、判定結果メモリに格納すべき出力データの判定結果の数も多くなっている。従来においては、この出力データの判定結果の判定結果メモリへの保存は、ソフトウェア(ファームウェア)により行われていたため、被試験デバイスが出力データを出力する速度よりも、判定結果を判定結果メモリに格納する速度の方が遅くなってしまっていた。このため、判定結果を判定結果メモリに格納し終えるまで、被試験デバイスへのテスト信号の印加を待たなければならない事態が生じ、バーンイン試験に要する時間がその分、長くなってしまうという問題が生じてした。
【0006】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、判定結果を判定結果メモリに格納するのに要する時間を短縮し、バーンイン試験時間の短縮化を図ることのできるバーンイン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るバーンイン装置は、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して、テスト信号を生成し、複数の被試験デバイスに供給する、テスト信号生成回路と、
前記テスト信号に基づいて前記複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する、判定回路と、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリと、
前記判定回路から順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する、判定結果格納回路と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記判定結果メモリには、被試験デバイス毎に1つのアドレスが割り当てられており、前記判定結果格納回路は、この割り当てられているアドレスに、対応する被試験デバイスの判定結果を格納するようにしてもよい。
【0009】
また、前記判定結果格納回路は、前記出力データと前記期待値データとが一致しなかった回数を、前記判定結果メモリにフェイル回数として格納するようにしてもよい。
【0010】
この場合、前記判定結果格納回路は、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて前記被試験デバイス毎に割り当てられている領域から、対応する被試験デバイスのフェイル回数を読み出し、この被試験デバイスの前記出力データと前記期待値データとが一致しなかった場合には、この読み出したフェイル回数に1を加算して、再び、同じ領域に格納するようにしてもよい。
【0011】
また、前記第2基準信号は前記第1基準信号より短い周期の基準信号であってもよい。
【0012】
本発明に係るバーンイン装置用のドライバーボードは、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して供給されたテスト信号に基づいて複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する、判定回路と、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリと、
前記判定回路から順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する、判定結果格納回路と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、バーンイン装置は、このようなドライバーボードを複数備え、前記複数の被試験デバイスが載せられたバーンインボードが、前記ドライバーボードのそれぞれに接続されるようにしてもよい。
【0014】
この場合、バーンイン装置は、前記複数のドライバーボードに前記テスト信号を供給することにより、前記複数の被試験デバイスに前記テスト信号を供給する、テスト信号生成回路を、さらに備えるようにしてもよい。
【0015】
本発明に係るバーンイン装置の制御方法は、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリを有するバーンイン装置の制御方法であって、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して、テスト信号を生成し、複数の被試験デバイスに供給する工程と、
前記テスト信号に基づいて前記複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する工程と、

順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るドライバーボードの制御方法は、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている判定結果メモリを有するドライバーボードの制御方法であって、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して供給されたテスト信号に基づいて複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとを取得するステップと、
前記取得した出力データと期待値データとが一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力するステップと、
順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納するステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るバーンイン装置10の全体的な正面図であり、図2は、図1に示したバーンイン装置10の全体的な側面図である。
【0019】
これら図1及び図2に示すように、バーンイン装置10には、複数のバーンインボードBIBが挿入される。バーンイン装置10に挿入されるバーンインボードBIBの枚数は任意であり、1枚でも複数枚でもよい。
【0020】
本実施形態に係るバーンイン装置10の内室であるチャンバ20は、断熱壁等により区画されており、バーンインボードBIBが収納される。本実施形態の例では、バーンインボードBIBを支持するためのスロット30が、15段×4組で配置されており、合計60枚のバーンインボードBIBを、このチャンバ20内に収納することが可能である。但し、このチャンバ20内におけるバーンインボードBIBの配置は、その枚数に応じて、任意に変更可能である。
【0021】
また、バーンイン装置10には、ドア40が設けられており、ドア40を開状態にすることにより、バーンインボードBIBをチャンバ20から出し入れできるようになり、一方、ドア40を閉状態にすることにより、チャンバ20が閉空間を構成するようになる。このチャンバ20は、例えば、単なる閉空間を構成するだけの箱でもよいし、内部空間の温度を一定に維持する機能のある恒温槽でもよいし、内部空間を除湿したり冷却したりする機能のある箱でもよい。
【0022】
図3は、図1のバーンイン装置10にバーンインボードBIBを挿入した状態おける、挿入方向に沿ったバーンイン装置10の部分的な断面を示す図である。ここで、バーンインボードBIBをスロット30に挿入する方向を挿入方向と定義し、反対に、バーンインボードBIBをスロット30から抜去する方向を抜去方向と定義する。
【0023】
図3に示すように、スロット30に挿入されたバーンインボードBIBは、その挿入方向の端部が、それぞれ、エキステンションボード32に挿入され、電気的に、エキステンションボード32に接続される。このエキステンションボード32は、それぞれ、チャンバ20を構成する断熱壁22の後壁を貫通して、ドライバーボードDRBに接続されている。ドライバーボードDRBは、バーンインボードBIBに挿入された被試験デバイスのテストをするのに必要な電源やテスト信号を、エキステンションボード32を介して、バーンインボードBIBに供給する。但し、バーンインボードBIBを、エキステンションボード32を介さずに、直接、ドライバーボードDRBに接続するように構成することも可能である。
【0024】
図4は、本実施形態に係るバーンインボードBIBとドライバーボードDRBの構成を説明するための要部ブロック図である。したがって、本実施形態に係るバーンイン装置10の動作を説明するのに不用な部分は、図4から省いている。また、上述したエクステンションボード32も省略している。
【0025】
この図4に示すように、本実施形態に係るドライバーボードDRBは、判定結果格納回路110と、判定回路120と、判定結果メモリ130と、コントローラ140と、選択デコーダ150とを備えて構成されている。また、このドライバーボードDRBには、テスト信号生成回路200とCPUコントローラ210とが接続されている。本実施形態においては、30枚のドライバーボードDRBに対して、1つのテスト信号生成回路と1つのCPUコントローラ210とが設けられている。
【0026】
テスト信号生成回路200は、バーンイン試験において、様々なパターンのテスト信号TSIGNALを生成し、ドライバーボードDRBを介して、バーンインボードBIBに載せられた被試験デバイスに供給する。本実施形態に係るバーンインボードBIBには、例えば288個の被試験デバイスDUT0〜DUT287が装着される。このため、テスト信号生成回路200で生成されたテスト信号TSIGNALは、これら288個の被試験デバイスDUT0〜DUT287に供給される。
【0027】
被試験デバイスDUT0〜DUT287は、入力されたテスト信号TSIGNALに基づいて、所定の演算や動作を行い、それぞれ、出力データを出力する。但し、本実施形態においては、バーンインボードBIBには、72本の信号線を有するデータバスしか設けられていない。このため、各被試験デバイスDUT0〜DUT287は、4回の異なるスキャンで、出力データを出力する。具体的には、1回目のスキャンで被試験デバイスDUT0〜DUT71が出力すべきデータを出力データDOUT0〜DOUT71として出力し、2回目のスキャンで被試験デバイスDUT72〜DUT143が出力すべきデータを出力データDOUT0〜DOUT71として出力し、3回目のスキャンで被試験デバイスDUT144〜DUT215が出力すべきデータを出力データDOUT0〜DOUT71として出力し、4回目のスキャンで被試験デバイスDUT216〜DUT287が出力すべきデータを出力データDOUT0〜DOUT71として出力する。このように1本の信号線を複数の被試験デバイスで共用することにより、データバスの信号線の本数を抑制している。これらの出力データDOUT0〜DOUT71は、この72本の信号線を有するデータバスを介して、ドライバーボードDRBへ出力される。
【0028】
ドライバーボードDRBにおいては、これら出力データDOUT0〜DOUT71は、判定回路120に入力される。判定回路120には、テスト信号生成回路200から期待値データEDも入力されており、この期待値データEDと出力データDOUT0〜DOUT71とが比較され、両者が一致するかどうかが判定される。なお、本実施形態においては、出力データDOUT0〜DOUT71の期待値データEDはいずれも同じであるように設定しているので、期待値データEDは1つ(1ビット)である。但し、各出力データDOUT0〜DOUT71がそれぞれ異なるように設定しても良く、この場合、各出力データDOUT0〜DOUT71に対する期待値データをテスト信号生成回路200が生成し、判定回路120に供給する必要がある。
【0029】
判定回路120は、出力データDOUT0〜DOUT71と期待値データEDとを比較した判定結果を、それぞれ、判定結果信号STATUS0〜STATUS71として、判定結果格納回路110に出力する。
【0030】
コントローラ140には、同期をとるための基準信号であるクロック信号CLOCK、サイクルレート信号CRATE、スキャンインクリメント信号SINCがテスト信号生成回路100から入力されており、コントローラ140は、これらの基準信号に同期して、必要な制御信号を判定結果メモリ130と選択デコーダ150に出力する。選択デコーダ150は、入力された制御信号に基づいて、判定結果格納回路110に、制御信号を出力する。これら具体的な制御信号の内容は後述する。
【0031】
判定結果格納回路110は、判定結果信号STATUS0〜STATUS71を、判定結果メモリ130にリアルタイムに格納する。具体的には、各被試験デバイスDUT0〜DUT287毎に、フェイルした回数を累積的にカウントし、そのカウント結果を判定結果メモリ130に各被試験デバイスDUT0〜DUT287毎に格納する。この判定結果メモリ130は、例えば、RAMやEEPROMなどにより構成することができる。
【0032】
判定結果メモリ130に保存された判定結果、つまり、フェイルした回数は、CPU210が任意に読み出すことが可能である。すなわち、ユーザは、このCPU210を介して、各ドライバーボードDRBの判定結果メモリ130のデータを調べることができ、被試験デバイスの不良を検出することができる。
【0033】
バーンイン試験における概略的なデータ処理は以上であるが、次に、バーンイン試験におけるデータ処理について、より詳細に説明する。
【0034】
図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bは、バーンイン試験における各信号の動作波形の一例を示す図である。図5A及び図5Bでは、1周目のスキャン1の動作波形を例示しており、特に、図5Aでは前半の4サイクルの動作波形を例示しており、図5Bでは図5Aに続く後半の4サイクルの動作波形を例示している。また、図6A及び図6Bでは、1周目のスキャン2の動作波形を例示しており、特に、図6Aでは図5Bに続く前半の4サイクルを例示しており、図6Bでは図6Aに続く後半の4サイクルを例示している。
【0035】
これら図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bに示すように、本実施形態に係るバーンイン装置10では、データバスから72ビットの出力データDOUT0〜DOUT71がサイクルレート信号CRATEに同期して並列に出力される。すなわち、テスト信号生成回路200がサイクルレート信号CRATEに同期してテスト信号を被試験デバイスに供給するので、被試験デバイスもサイクルレート信号CRATEに同期して出力データを出力する。
【0036】
本実施形態では、1つのスキャンの中に、サイクルレート信号CRATEが8サイクル含まれている。したがって、例えばスキャン1の間に、被試験デバイスDUT0〜DUT71は、それぞれ、8個の出力データを出力することになる。
【0037】
図7は、出力データDOUT0〜DOUT7に関する判定回路120と判定結果格納回路110の回路構成の一例を示す図である。本実施形態では、データバスから出力される出力データは全72ビットであるので、図7に示すような回路が1枚のドライバーボードDRBに9セット設けられていることになる。以下では、図7に基づいて、出力データDOUT0〜DOUT7に関する回路構成と処理内容を説明するが、他の出力データDOUT8〜DOUT71についても、同様である。
【0038】
この図7に示すように、本実施形態に係るドライバーボードDRBにおいては、判定結果格納回路110は、8個のAND回路112と、1個のOR回路114と、演算回路116とを備えて構成されており、判定回路120は、8個のデジタルコンパレータ122を備えて構成されている。
【0039】
コントローラ140には、サイクルレート信号CRATEと、クロック信号CLOCKと、ストローブ信号STROBEと、スキャンインクリメント信号SINCとが入力されている。これらの信号は、いずれも、テスト信号生成回路200から入力される。
【0040】
図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bからも分かるように、クロック信号CLOCKは、サイクルレート信号CRATEよりも短い周期の基準信号であり、例えば本実施形態では、クロック信号CLOCKは10ns(100MHz)の周期であり、100ns(10MHz)の周期のサイクルレート信号CRATEの1/10の周期である。テスト信号生成回路200は、サイクルレート信号CRATEに同期してテスト信号を被試験デバイスに供給し、被試験デバイスもこのサイクルレート信号CRATEに同期して出力データを出力するが、判定結果格納回路110や判定回路120は、クロック信号CLOCKに同期して判定や判定結果の格納を行う。ストローブ信号STROBEは、判定回路120が判定結果信号を出力するトリガーとなる信号である。スキャンインクリメント信号SINCは、スキャンを1、2、3、4と順次インクリメントする信号である。
【0041】
図7にも示すように、バーンインボードBIBから出力された出力データDOUT0〜DOUT7は、サイクルレート信号CRATEに同期して、それぞれ、デジタルコンパレータ122に入力される。これらデジタルコンパレータ122には、サイクルレート信号CRATEに同期して、期待値データED0〜ED7も入力されている。上述したように、本実施形態では、すべての期待値データED0〜ED7は、同じ期待値であるので、図4及び図5A及び図5Bでは、単に、期待値データEDとして表示している。
【0042】
デジタルコンパレータ122は、それぞれ、出力データDOUT0〜DOUT7と期待値データED0〜ED7とが一致するかどうかを判定して、ストローブ信号STROBEに同期して、判定結果信号STATUS0〜STATUS7を出力する。本実施形態では、両者が一致した場合は判定結果信号STATUS0〜STATUS7はローレベルを示し、両者が一致しなかった場合は判定結果信号STATUS0〜STATUS7はハイレベルを示す。
【0043】
この判定結果信号STATUS0〜STATUS7は、それぞれ、判定結果格納回路110のAND回路112に入力される。これらAND回路112には、それぞれ、選択信号SEL0〜SEL7も入力されている。この選択信号SEL0〜SEL7は、選択デコーダ150が、コントローラ140から入力される3ビットのアドレス信号A〔0:2〕に基づいて、1つだけハイレベルにする信号である。このため、AND回路112からは、選択信号SEL0〜SEL7に同期して、判定結果信号STATUS0〜STATUS7が順番に出力される。
【0044】
なお、コントローラ140は、このコントローラ140に入力されているストローブ信号STROBEがトリガーとなり、3ビットのアドレス信号A〔0:2〕を、000〜111まで順番にカウントアップし、選択デコーダ150に出力する。また、このアドレス信号A〔0:2〕のカウントアップは、クロック信号CLOCKに同期させる。
【0045】
AND回路112から出力された判定結果信号STATUS0〜STATUS7は、OR回路114に入力される。したがって、このOR回路114からは、判定結果信号STATUS0〜STATUS7のいずれかがハイレベルになると、ハイレベルの判定結果信号を出力する。
【0046】
OR回路114から出力された判定結果信号は、演算回路116に入力される。この演算回路116には、判定結果メモリ130から出力されたB0〜B31の32ビットのデータも、読み出しデータRdt〔0:31〕として入力されている。
【0047】
図8は、本実施形態に係る判定結果メモリ130のメモリマップの一例を示す図である。この図8に示すように、本実施形態に係る判定結果メモリ130では、1つのアドレスにつき、B0〜B31の32ビットのデータ領域が確保されている。また、ここでは、1つのアドレスが1つの被試験デバイスの判定結果を格納するための領域として割り当てられている。
【0048】
本実施形態では、アドレスとしてA0〜A8の9ビットが用意されている。すなわち、9ビットのアドレスA0〜A8により、1つの格納領域を指定する。また、本実施形態では、図7に示すような回路が9セット設けられているので、判定結果メモリ130のメモリエリアも9個のサブエリア0〜サブエリア8に区分されている。但し、ここでは、1枚のバーンインボードBIB上の被試験デバイスの数が288個の場合を想定しているので、必要なビット数はA0〜A4の5ビットである。
【0049】
例えば、スキャン1の出力データDOUT0〜DOUT7の判定結果は、サブエリア0のアドレス「000000000」から「000000111」に格納される。具体的には、本実施形態では、1つの被試験デバイスから複数回の出力データを取得して、1つの被試験デバイスが何回フェイルしたかをカウントし、そのカウント回数が、各アドレスのB0〜B31に対応するデータ領域に格納されていく。
【0050】
また、本実施形態におていは、B0〜B31の32ビットのうち、最上位ビットB31は、オーバーフロービットであり、B0〜B30のカウントがオーバーフローした場合に、1になるビットである。
【0051】
また、アドレスA0〜A2の3ビットは、コントローラ140から選択デコーダ150に入力されているアドレス信号A〔0:2〕に対応しており、このアドレス信号A〔0:2〕により指定される。さらに、アドレスA3〜A8は、コントローラ140から判定結果メモリ130に出力されるアドレス信号A〔3:8〕に対応しており、このアドレス信号A〔3:8〕により指定される。
【0052】
また、判定結果メモリ130には、コントローラ140からイネーブル信号ENと書き込みイネーブル信号WEとが入力されている。イネーブル信号ENは、判定結果メモリ130に書き込み、又は読み出しを許可された場合にハイレベルになる信号である。書き込みイネーブル信号WEは、判定結果メモリ130に書き込みが許可されている間だけ、クロック信号CLOCKと同期して駆動するクロック信号となる。
【0053】
したがって、判定結果メモリ130は、アドレス信号A〔3:8〕で指定されたアドレスA3〜A8領域のデータを、書き込みイネーブル信号WEの駆動に同期して、アドレスA0〜A2をカウントアップし、これらA0〜A8で指定されるアドレスのデータを、読み出しデータRdt〔0:31〕として、演算回路116に出力する。
【0054】
演算回路116では、入力された読み出しデータRdt〔0:31〕に、OR回路114から出力された値を加算して、判定結果メモリ130に出力する。すなわち、OR回路114から出力された判定結果信号がハイレベルであれば、読み出しデータRdt〔0:31〕に1を加算して、書き込みデータWdt〔0:31〕として判定結果メモリ130に出力する。OR回路114から出力された判定結果信号がローレベルであれば、読み出しデータRdt〔0:31〕の値をそのまま、書き込みデータWdt〔0:31〕として判定結果メモリ130に出力する。
【0055】
読み出しデータRdt〔0:31〕、書き込みデータWdt〔0:31〕、及び、OR回路114からの判定結果信号の同期は、コントローラ140がとっていることになる。すなわち、OR回路114から出力されている判定結果信号の被試験デバイスと、判定結果メモリ130から読み出した読み出しデータRdt〔0:31〕の被試験デバイスとの対応は、コントローラ140が出力するアドレス信号A〔0:2〕とアドレス信号A〔3:8〕と書き込みイネーブル信号WEにより確保されていることになる。
【0056】
判定結果メモリ130では、演算回路116から入力された書き込みデータWdt〔0:31〕を、再び同じアドレスのデータ領域に書き込む。これにより、複数回の試験を行った場合におけるフェイルの回数を累積的に加算した値が、判定結果メモリ130に保存されることとなる。
【0057】
図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bの例では、1つのスキャンにサイクルレート信号CRATEの8サイクルが含まれているので、8回の判定結果を反映したフェイル回数が、判定結果メモリ130に格納される。例えば、アドレス「000000111」に対応する被試験デバイスDUT7は、8回ともフェイルしているので、スキャン1が終了した時点では、フェイル回数には8が格納されることになる。
【0058】
そして、上述したように、この8サイクルのスキャン1が終了すると、次のスキャン2に移行し、被試験デバイスDUT72〜DUT143に同じく8サイクル分のテスト信号が印加され、8サイクル分の判定結果が得られ、そのフェイル回数が図8に示した判定結果メモリ130のスキャン2のために用意された領域に格納されていく。
【0059】
この図8からも分かるように、本実施形態に係る判定結果メモリ130では、9ビットで1つのアドレスが指定される。このため、本実施形態では、理論上、最大2×9組=4608個の被試験デバイスの試験結果を保存することができる。換言すれば、1つのバーンインボードBIBに最大4708個の被試験デバイスを載せることができる。
【0060】
また、図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bのタイミングチャートにおいては、図5A及び図5Bが1周目のスキャン1における各信号の波形を示しており、図6A及び図6Bが1周目のスキャン2における各信号の波形を示しているが、例えば、2周目(スキャン1〜スキャン4が終了した後のスキャン1からの試験)のスキャン1における各信号のタイミングチャートは図9A及び図9Bに示すようになり、2周目のスキャン2における各信号のタイミングチャートは図10A及び図10Bに示すようになる。
【0061】
これら図9A及び図9B並びに図10A及び図10Bから分かるように、2周目の試験においては、1周目における各アドレスのフェイル回数が読み出され、フェイルが発生している場合は、読み出されたフェイル回数に累積的にカウントアップされる。1つの被試験デバイスに対して何回、テスト信号を印加するかは任意であり、このため、このスキャンを何周するかも任意である。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るバーンイン装置10によれば、被試験デバイスの試験結果を判定結果格納回路110がリアルタイムで判定結果メモリ130に保存するようにしたので、判定結果を判定結果メモリ130に保存し終えるまで、被試験デバイスへのテスト信号の印加を待たなければならないという事態が生じないようにすることができる。すなわち、例えば、バーンイン試験において、スキャン1が終了した後、試験結果保存のための待ち時間を設けることなく、スキャン2に入ることができる。このため、バーンイン試験に要する時間を短くすることができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態では、判定結果格納回路110と判定回路120を別々の回路であるように説明したが、これら判定結果格納回路110と判定回路120は、1つの回路として1つのICに集積化されていてもよい。
【0064】
また、判定結果格納回路110と判定回路120と判定結果メモリ130との間で同期をとる方法は、上述した例に限るものではなく、様々な方法を採用することが可能である。すなわち、判定回路120が出力している被試験デバイスの判定結果信号と、判定結果メモリ130における被試験デバイスのフェイル回数が格納される領域との対応関係が正しく維持できるように、同期をとればよい。
【0065】
また、上述したクロック信号CLOCKの周期とサイクルレート信号CRATEの周期とは一例に過ぎず、被試験デバイスの個数やデータバスの信号線の本数などに応じて、任意に設定することが可能である。すなわち、サイクルレート信号CRATEの1サイクルの間に、データバスから出力されている出力データの判定結果のすべてが、判定結果メモリ130に格納できるようにクロック信号CLOCKの周期を設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係るバーンイン装置の正面図。
【図2】本実施形態に係るバーンイン装置の右側面図
【図3】本実施形態に係るバーンイン装置における挿入方向に沿った部分断面図。
【図4】本実施形態に係るバーンインボードとドライバーボードの回路構成の一例を示す図。
【図5A】バーンイン試験の1周目におけるスキャン1の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(前半の4サイクル)。
【図5B】バーンイン試験の1周目におけるスキャン1の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(後半の4サイクル)。
【図6A】バーンイン試験の1周目におけるスキャン2の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(前半の4サイクル)。
【図6B】バーンイン試験の1周目におけるスキャン2の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(後半の4サイクル)。
【図7】本実施形態に係る判定結果格納回路と比較回路の回路構成の一例を示す図。
【図8】本実施形態に係る判定結果メモリのメモリマップの一例を示す図。
【図9A】バーンイン試験の2周目におけるスキャン1の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(前半の4サイクル)。
【図9B】バーンイン試験の2周目におけるスキャン1の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(後半の4サイクル)。
【図10A】バーンイン試験の2周目におけるスキャン2の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(前半の4サイクル)。
【図10B】バーンイン試験の2周目におけるスキャン2の各種信号波形の一例を示すタイミングチャートを示す図(後半の4サイクル)。
【符号の説明】
【0067】
10 バーンイン装置
20 チャンバ
30 スロット
32 エキステンションボード
40 ドア
110 判定結果格納回路
120 判定回路
130 判定結果メモリ
140 コントローラ
150 選択デコーダ
200 テスト信号生成回路
210 CPUコントローラ
BIB バーンインボード
DRB ドライバーボード
DOUT0〜DOUT287 被試験デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して、テスト信号を生成し、複数の被試験デバイスに供給する、テスト信号生成回路と、
前記テスト信号に基づいて前記複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する、判定回路と、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリと、
前記判定回路から順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する、判定結果格納回路と、
を備えることを特徴とするバーンイン装置。
【請求項2】
前記判定結果メモリには、被試験デバイス毎に1つのアドレスが割り当てられており、前記判定結果格納回路は、この割り当てられているアドレスに、対応する被試験デバイスの判定結果を格納する、ことを特徴とする請求項1に記載のバーンイン装置。
【請求項3】
前記判定結果格納回路は、前記出力データと前記期待値データとが一致しなかった回数を、前記判定結果メモリにフェイル回数として格納する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバーンイン装置。
【請求項4】
前記判定結果格納回路は、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて前記被試験デバイス毎に割り当てられている領域から、対応する被試験デバイスのフェイル回数を読み出し、この被試験デバイスの前記出力データと前記期待値データとが一致しなかった場合には、この読み出したフェイル回数に1を加算して、再び、同じ領域に格納する、ことを特徴とする請求項3に記載のバーンイン装置。
【請求項5】
前記第2基準信号は前記第1基準信号より短い周期の基準信号である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバーンイン装置。
【請求項6】
バーンイン装置用のドライバーボードであって、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して供給されたテスト信号に基づいて複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する、判定回路と、
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリと、
前記判定回路から順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する、判定結果格納回路と、
を備えることを特徴とするドライバーボード。
【請求項7】
請求項6に記載のドライバーボードを複数備え、前記複数の被試験デバイスが載せられたバーンインボードが、前記ドライバーボードのそれぞれに接続される、ことを特徴とするバーンイン装置。
【請求項8】
前記複数のドライバーボードに前記テスト信号を供給することにより、前記複数の被試験デバイスに前記テスト信号を供給する、テスト信号生成回路を、さらに備えることを特徴とする請求項7に記載のバーンイン装置。
【請求項9】
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている、判定結果メモリを有するバーンイン装置の制御方法であって、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して、テスト信号を生成し、複数の被試験デバイスに供給する工程と、
前記テスト信号に基づいて前記複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとが、一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力する工程と、

順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納する工程と、
を備えることを特徴とするバーンイン装置の制御方法。
【請求項10】
被試験デバイス毎に判定結果を格納する領域が割り当てられている判定結果メモリを有するドライバーボードの制御方法であって、
バーンイン試験において、第1基準信号に同期して供給されたテスト信号に基づいて複数の被試験デバイスから出力された出力データと、その期待値データとを取得するステップと、
前記取得した出力データと期待値データとが一致するかどうかを第2基準信号に同期して判定し、その比較結果を、判定結果として順次出力するステップと、
順次出力された前記判定結果を、前記第2基準信号に同期して、前記判定結果メモリにおいて被試験デバイス毎に割り当てられている領域に格納するステップと、
を備えることを特徴とするドライバーボードの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2007−155658(P2007−155658A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354844(P2005−354844)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(391061185)日本エンジニアリング株式会社 (32)
【Fターム(参考)】