説明

パケットデータネットワークにおけるデータ伝送の最適化

本発明は、通信ネットワーク、特に、GPRS、CDMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANのようなパケットスイッチ電話通信の実装におけるデータ伝送の最適化方法に関する。前記ネットワークは、電話通信ネットワークへのアクセスを提供する少なくとも第一のアクセスノードを備える。パフォーマンス強化プロキシ機能を備える少なくとも第一の最適化ノードは、電話通信ネットワークのコアと、前記少なくとも第一のアクセスノードの間に位置する。データは、前記コアから前記少なくとも第一のアクセスノードの方向に少なくとも送信され、データは、アクセスノードへのアクセスリンク経由で電話通信ネットワークへのアクセスを有する少なくとも第一のクライアントに少なくとも送信される。前記アクセスリンクは、変化するデータ伝送能力を有する。本発明による方法は、少なくとも次のステップを含む。少なくとも第一のアクセスリンクの実際に使用可能なデータ伝送能力を示す最適化情報は連続して監視される。前記最適化情報は、前記少なくとも第一の最適化ノードに転送される。コアから前記少なくとも第一のアクセスリンクへのデータフロー速度は、最適化ノードにあるパフォーマンス強化プロキシ機能により、監視されたデータ伝送能力に適応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に基づく通信ネットワークにおけるデータ伝送最適化のための方法、および、請求項23に基づく通信ネットワークにおけるデータ伝送最適化のためのネットワーク要素に関する。特に、本発明は、アクセスネットワークからトラフィック最適化ノードへの一定のフロー制御情報の転送による、通信ネットワークにおけるデータ伝送最適化のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電話通信ネットワークは、利用者Aと利用者Bとの間で音声信号を運ぶというような単なる通信方法から、マルチメディアサービスを提供するネットワークへと一層発展している。また、これは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)のようなスタンドアロン型の情報処理方法と携帯電話のような電話通信方法との合体の結果でもある。従って、現代の電話通信ネットワークは、デジタル化した視覚および聴覚情報を含む上記のデジタル音声データやマルチメディアデータのような、どの種類でも可能である大量のデジタルデータを転送する。
【0003】
しかしながら、このデータ伝送の重要な側面は、利用者の端末で実行しているさまざまなアプリケーションが、ネットワークがデータを供給する速度に関係するさまざまな必要性を有することにある。一定標準の品質の提供には、一定の転送速度、特にデータ処理をリアルタイムで実行する場合、一定のデータ伝送最低速度が必要である。ネットワーク容量は常に制限要素となるので、ネットワークオペレータは、単独利用者のニーズに応じてデータ伝送の最高可能速度を与えることと、アクセスしている全利用者にサービスを提供することとのバランスを最適化することを目的として、制御方法に適用する。従って、データ伝送最適化は、現代のどのような電話通信ネットワークにおいても重要である。最終利用者の経験を改善するどのような小さい努力でも、ネットワークオペレータにとっては極めて喜ばしい。
【0004】
電話通信ネットワークには、大きく分類して、回線交換ネットワークと、パケット交換ネットワークの2つがある。回線交換ネットワークでは、通信のための一定の回線が、データ伝送の開始前に確立される。従って、送信データの送信先に関する情報は、指定した回線IDに含まれる。これは、一定の回線のすべての機能が利用者に属するため、利用者の立場からは利点である。しかしながら、誰も話していない音声電話のように、送信する情報がないにもかかわらず、回線が保留されると、このようなネットワークの機能の割り当て技術はネットワークの機能を無駄にする。
【0005】
接続のないパケット交換ネットワークでは、基本的に、転送ネットワークの回線がすべての利用者に共通である。データはパケットで送信され、すべてのパケットは送信先に関する情報を含む。転送の開始前に通信のために転送リソースを割り当てる必要はない。送信する情報がないと、パケットは転送されないので、ネットワーク機能は無駄に保留されない。パケットに含まれる送信先に関する情報を基に、それぞれのネットワーク要素は、そのパケットを次のネットワーク要素に送る。さらに、利用者Aから利用者Bへの通信中に送られるすべてのパケットは、必ずしも、ネットワークで同じ経路を通過する必要はない。
【0006】
接続指向のパケット交換技術では、仮想回線の確立が知られている。仮想回線は、一定の接続で送られた各パケットにより、ネットワーク要素間で事前に決定されたレグを含む。このように、データは、回線交換ネットワークに類似した経路で送られるが、仮想回線の通信機能は、2つの通信者に独占的に保留されない。つまり、送信するデータがなけれは、ネットワーク機能は全く無駄にならない。各パケットは、その仮想回線に関する情報を含み、仮想回線の各ネットワーク要素は、周知の仮想回線によりパケットをどこへ送るか、また、次のレグでどの識別子を使用するかを命令するコンテキスト情報を含む。
【0007】
現代の無線アクセスネットワークは、ネットワーク仮想回線交換が部分的に適用された無線アクセスにおいて、仮想サーキット交換と接続のないパケット交換両方を兼ね備える。仮想回線を利用するこのような電話通信ネットワークの一例は、汎用パケット無線システム(GPRS)であり、欧州通信規格協会(ETSI)により標準化されている。
【0008】
GPRSネットワークの基本構造は、データフローの経路を中心に図1に描かれている。示されている要素は、サービスしているGPRSサポートノード(SGSN1、SGSN2)、ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN1、GGSN2)、および、基地局コントローラ(BSC1、BSC2)と多数の基地局(BS1、BS2、BS3、BS4)を含む基地局であり、無線アクセスネットワークの無線アクセスセル(セル1、セル2、セル3、セル4)を構成する。インターネットプロトコル(IP)を使用するインターネットのようなコアネットワークへの接続があり、どこかでコンテンツサーバ(CONTENT)に接続される。さらに、GPRSネットワークは、例えば、加入者サービスに関する情報を保存するホームロケーションレジスタ(HLR)を含む。加入者は、クライアントデバイスとして移動局(MS)経由でGPRSネットワークにアクセスする。
【0009】
例えば、MSは、セル識別子(CELL ID)を有するセルであるセル1にあり、MSにより命令または送信される各パケットは、同じBS、BS1、同じBSC、BSC1、同じSGSN、SGSN2、同じGGSN、GGSN2を通過して転送される。図1では、点線の矢印は、MSとコンテンツサーバであるCONTENTとの間のデータパケットの経路を描く。MSは、使用したSGSNがこのMSのコンテキスト情報を保持していなければ、GGSNへの接続を確立できない。MSは、無線インターフェイスにより、基地局BS1と通信する。BS1、BSC1とSGSN2の間では、仮想接続が確立され、すべてのパケットはこの経路で転送される。SGSNとGGSNの間でインターネットプロトコル(IP)を使用している接続のないパケット交換ネットワークでは、異なるパケットの転送は異なる経路を使用する場合がある。
【0010】
移動体MSとSGSNの間のリンクは、経路領域RA(非表示)と一時的論理リンクID(TLLI)により固有に識別される。経路領域は、1つ以上のセルから構成される。GPRS移動体管理(MM)は、有効な接続のない待機状態の移動体のためのロケーション情報として経路を使用する。TLLIは、ある1つの経路範囲内で接続を明示的に識別する。移動体は、X.25やIPのようなさまざまプロトコルを使用して、同時に複数の接続を有することができる。さまざまなプロトコルを使用する接続は、ネットワークサービスアクセスポイント識別子(NSAPI)を使用して、区別される。
【0011】
MSのアプリケーション層は、サブネットワーク依存収束プロトコル(SNDCP)層を、例えば、IPパケットが可能である、パケットデータプロトコルのパケットデータユニット(PDP PDU)に送信する。SNDCP層では、PDUは、SNDCPパケットにカプセル化され、ヘッダーにどのNSAPIであるかが示される。この結果、SNDCPパケットは、論理リンク制御(LLC)層へ送信されるので、TLLIはLLCヘッダーに含まれる。その後、LLCフレームは、無線リンク制御(RLC)プロトコルにより無線インターフェイスを経由してBS/BSC、および、基地局のサブシステムGPRSプロトコル(BSSGP)によりBSCとSGSNの間へ運ばれる。ダウンリンクパケットの場合、基地局サブシステム(BSS)は、BSSGPヘッダーに示されたセルのIDを確認して、パケットを適切なBSへ送る。アップリンクパケットの場合、BSCは、送信元BSを基にするMSのセルIDをBSSGPヘッダーに含む。
【0012】
SGSNとGGSNの間で、SGSNとGGSNアドレスと、GGSNとSGSNの接続を識別するトンネル識別子であるTIDが、リンクを識別する。SGSNとGGSNの間のリンク上で、GPRSトンネルプロトコル(GTP)が使用される。つまり、GPRSは、仮想接続がMSとGGSNの間で使用されるシステムである。これらの仮想接続は、MS−SGSNリンクとSGSN−GGSNをリンクする2つの別のリンクから構成される。MSとGGSNは、そのMSのためのSGSN保留コンテキスト情報を使用しなければ、相互に通信できない。
【0013】
次に、MSからのデータパケットの方法、つまり、移動体から送信された(MO)パケットや、MSへのデータパケット、つまり、移動体に送信された(MST)パケットを簡単に説明する。MOパケットの場合、MSは、TLLI、NSAPI、利用者のデータを含むデータパケットをBSSに送信する。MSとSGSNの間のリンク上で、SNDCPプロトコルとLLCプロトコルが使用される。簡単な実装では、1つのBSCは常に同じSGSNを使用するので、その機能は、多くのBSと1つのSGSNの間のパケットに送ることである。複雑な実装では、BSCは、複数のSGSNに接続されるので、その機能は、さらに、TLLIの助けにより、正しいSGSNを識別することである。このような実装では、MS、BS、SGSN、GGSNは、すべて、接続に属しているパケットの経路に必要なコンテキスト情報を保持する。この情報は、BSSの参照テーブルに格納される。
【0014】
各SGSNは、処理する各移動局に関するコンテキスト情報を保持する。GPRSでは、コンテキスト情報は、移動体管理(MM)とパケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト部分に分けることができる。基本的に、MM部分は、MSの存在場所、および、アイドル、待機、準備完了など、さまざまなプロトコルを使用するさまざまなパケットデータサービス全体に共通な状態に関する情報を提供する。PDP部分は、経路情報や使用したPDPアドレスなど、問題のサービスに特定した情報を提供する。コンテキスト情報を基に、SGSNは、SGSNとMSの間のリンクで使用したTLLIとNSAPIの識別を、GGSNアドレスとTIDにマッピングし、SGSNとGGSNの間の接続を識別する。GGSNは、PDP PDUをパケットデータコアネットワーク、つまり、図1ではインターネットに送信する。
【0015】
MTパケットでは、GGSNは、どのSGSNがMSの接続、そして、TIDを処理するかを知っており、SGSN内での接続を識別する。このように、パケットはMSを処理するSGSNに送信され、SGSNは、TID、TLLI、NSAPI、経路領域IDのRAから、セル識別子がすでに知られているかどうかを取得する。これを基に、SGSNはパケットを正しいBSSに送信できる。TLLI、経路領域、セルID、BSSは、パケットを正しいMSに転送できる。NSAPIは、さまざまなパケットデータプロトコルを区別できるために、MSに必要である。
【0016】
伝送制御プロトコル(TCP)は、多くのインターネットやイントラネットアプリケーションにより、トランスポート層プロトコルとして使用されている。しかしながら、ある環境では、TCPやその他の高度な層のプロトコルのパフォーマンスは、環境のリンク特性により制限される。例えば、連続して到着するTCP応答(ACK)により、大量のTCPデータセグメントがデータチャネルにたまると、リンクのパフォーマンス悪化が起こり得る。さらに、データセグメントは、ネットワーク経路において、例えば、エラーやパケットの切断などにより、失われる可能性があるので、データセグメントは再伝送されなければならない。従って、高ビットエラーレート(BER)のリンクでは、ほとんどのリンク機能は、再伝送に浪費される。無線アクセスネットワーク(RAN)では、無線インターフェイス、つまり、無線接続のネットワークのアクセスリンクは、ダウングレードされたリンクデータ伝送能力によりデータのフローが失われる最も重要な経路である。さらに、これは、最終利用者が経験する品質に大きい影響を与える。
【0017】
無線インターフェイス転送機能に送られる周知の手順は、基地局サブシステムGPRSプロトコル(BSSGP)のフロー制御である。BSSGPフロー制御は、過負荷からBSCを保護しようとする。SGSNは、データパケットがBSCに送信できない場合、データパケットをバッファすることにより、データを制御する。SGSNは、バッファが多すぎると、パケットを切断する(REDを利用する)。しかしながら、パケットの切断は、混雑を阻止する望ましい方法ではない。
【0018】
ネットワークリンク又は経路のサブネットワークにより、パフォーマンスに問題のある本来のネットワーク経路でのインターネットプロトコル(IP)のパフォーマンスを向上するために、パフォーマンス強化プロキシ(PEP)を使用することが知られている。このようなPEPは、データ伝送を最適化しようとするが、しかしながら、上記の環境では、PEPは、例えば、考えられる移動局のデータのリークレートを予想することさえできないため、非常に困難である。さらに、データのリークレートは、無線アクセスネットワークの混雑状況により、変化し、非常にばらつきがあることがよくある。例えば、あるとき、MSは30kbit/sのスループット(又はデータ伝送能力)であるが、次の瞬間には、コールサーバ(CS)側はセルからすべてのタイムスロットを「盗んで」、MSデータのスループットはゼロに減少する。
【発明の開示】
【0019】
本発明の目的は、電話通信ネットワークにおいて、ネットワークからクライアントへの能率的データのスループットの増加に役立つデータ伝送最適化のための方法を提供することである。特に上記のクライアントは、無線接続のような無線アクセスリンク経由で接続した移動体クライアントである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、無線アクセス接続の実際のデータ伝送能力に関して無線アクセス接続経由でネットワークにアクセスするクライアントに対して、電話通信ネットワークからのデータフローレートに適応するデータ伝送最適化のためのネットワーク要素を提供することである。
【0021】
本発明の基本的概念は、無線アクセスネットワーク、特に、事実上連続して変化するデータ伝送能力を有する無線アクセスリンクのデータスループットを最適化することである。ネットワークからアクセスネットワーク又はアクセスリンクの提供したデータ伝送能力データフローを適応するためのアクセスネットワーク又はアクセスリンクの実際のデータ伝送能力を示す情報を使用することにより、無線アクセスネットワークのデータのスループットが全体的に改善される。アクセスネットワーク又はアクセスリンクの実際のデータ伝送能力を示す情報は、パフォーマンス強化プロキシ(PEP)機能を備えるネットワーク要素に伝送される。このようなPEP機能は、例えば、ゲートウェイのネットワークサポートノード又は近接のエンティティに組み込むことができる。アクセスネットワーク又はアクセスリンクの実際のデータ伝送能力に関する変化した情報をREP機能に直ちに送信することにより、状況を変化させた手段にさらに速く対応できる。さらに、データ伝送の間の長い中断を回避できる。つまり、ちょうど十分だが多すぎないデータをネットワークのゲートウェイノードに送信することにより、バッファの超過によるデータ切断や不必要な再転送が回避できるため、データ伝送全体が最適化に近づく。
【0022】
従って、本発明は、電話通信ネットワークにおけるデータ伝送の最適化のための方法を提供する。ネットワークは、電話通信ネットワークへのアクセスを提供する少なくとも第一のアクセスノード、パフォーマンス強化プロキシ機能を有する少なくとも第一の最適化ノードを備える。少なくとも第一の最適化ノードは、電話通信ネットワークのコアと、前記少なくとも第一のアクセスノードの間に位置する。データは、前記電話通信ネットワークのコアから、前記少なくとも第一のアクセスノードの方向へ、少なくとも送信される。少なくとも第一のアクセスノードから、データは少なくとも第一のクライアントへ送信される。クライアントは、少なくとも第一のアクセスノードへのアクセスリンク経由で、電話通信ネットワークへのアクセスを有する。アクセスリンクには、さまざまなデータ伝送能力がある。
【0023】
本発明の実施の一例では、少なくとも第一のクライアントから少なくとも第一のアクセスノードへのアクセスリンクは無線接続である。変化する伝送状況、混雑状況などにより、無線接続は、変化するデータ伝送能力を有する。本発明の別の実施例では、少なくとも第一のクライアントから電話通信ネットワークへのアクセスリンクは、例えば、アクセスネットワークの構成条件の変化により、変化するデータ伝送能力を有するアクセスネットワークである。
【0024】
データ伝送最適化方法は次のステップを含む。
・ 最適化情報を連続的に監視するステップ。基本的に最適化情報は、少なくとも第一のクライアントのアクセスリンクの実際に利用可能なデータ伝送能力を示す。
・ 最適化情報を少なくとも第一の最適化ノードに転送するステップ。
・ 最適化ノードにあるパフォーマンス強化プロキシ機能により、コアから監視したデータ伝送能力へのアクセスリンクへのデータフローレートに適応する。
【0025】
本発明を実装可能なあるネットワーク環境では、電話通信ネットワークは、パケット交換電話通信ネットワーク、特に、GPRSネットワーク、符合分割多重(CDMA)ネットワーク、UMTSネットワーク、無線LAN(WLAN)である。ここで、少なくとも第一のクライアントは移動局である。少なくとも第一のアクセスノードは、基地局サブシステムの基地局であり、基地局の領域が無線アクセスセルを定義する。そして、アクセスリンクは、少なくとも第一の移動局と少なくとも第一の基地局の間の無線接続である。
【0026】
本発明の第一の実施例に応じて、少なくとも第一の最適化ネットワークは、ゲートウェイサポートノードで、パフォーマンス強化プロキシ機能を備える。本発明の2番目の実施例では、ゲートウェイサポートノードは、基地局サブシステムと少なくとも第一の最適化ネットワーク要素の間に位置する。
【0027】
さらに、第一のサービスサポートノードは、ゲートウェイサポートノードと基地局サブシステムの間にある。
【0028】
本発明の1つの側面として、少なくとも第一のアクセスノードが位置する場所で、現在、サポートネットワークノードをサービスしている電話通信ネットワークは基地局サブシステムからフロー制御データを既に受信しているので、1つの実施例では、サービスサポートノードは、既に転送された情報を所有しており、その後、パフォーマンス強化プロキシ機能に送られる。有利にも、少なくとも第一のゲートウェイサポートノードでも、関連情報をさらに転送するために大きな変更は必要ない。
【0029】
本発明はさらに、パフォーマンス強化プロキシ機能を有し、電話通信ネットワークのコアと、前記電話通信ネットワークの少なくとも第一のアクセスノードとの間に位置する前記電話通信ネットワークにおけるデータ伝送最適化のためのネットワーク要素であって、最適化情報を受信するように構成されるネットワーク要素を提供する。前記最適化情報は、前記アクセスリンクにおける実際に使用可能なデータ伝送能力を示す。さらに前記データ伝送最適化のためのネットワーク要素は、電話通信ネットワークのコアから少なくとも第一のアクセスリンクへ向かうデータフローレートを、実際に監視されたデータ伝送能力に適応させるように構成される。
【0030】
本発明によるネットワーク要素の第一の実施例では、ネットワーク要素は、パケット交換電話通信ネットワーク、特にGPRS、CDMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANのゲートウェイサポートノードである。
【0031】
本発明によるネットワーク要素の2番目の実施例では、ネットワーク要素は、電話通信ネットワークのコアと、パケット交換電話通信ネットワーク、特にGPRS、CSMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANのゲートウェイサポートノードとの間に位置するパフォーマンス強化プロキシである。
【0032】
一般的に、本発明を実装することにより、ネットワークオペレータはより明確なネットワークアーキテクチャを実現し、ほとんどの必要な最適化はネットワークの別のエッジ、つまり、GGSN自体や近接ノード(REP内)で実施されるため、コアや無線ネットワークのパフォーマンスが改善され、つまりアクセスネットワークが改善される。さらに、本発明によるデータ伝送最適化は、電話通信ネットワークにより、混雑に対応するための多くの方法を与える。本発明により、例えば、TCPフローは、混雑が前もってわかっていれば、スループットが改善され、データフローは、変化した状況に合わせて事前に調整できる。
【0033】
また、電話通信ネットワークへのアクセスを有する最終利用者、つまり、ネットワークオペレータの顧客にも本発明の多くの利点がある。アクセスネットワークにおけるデータ伝送の強化により、最終利用者、つまりクライアントは、コンテンツサーバへのアクセス時間が速くなる。特に、本発明により、データレートがネットワークの変化により速く適応すれると、スループットの向上により、コンテンツのダウンロード時間の短縮が可能になる。さらに、オンラインのリアルタイムのストリーミングコンテンツにより、最終利用者が経験する障害が少なくなる。さらに、ネットワークオペレータが、利用無線時間又は利用量を基本とする料金体系を使用すれば、使用料金を安くすることも可能である。
【0034】
また、本発明には、特に電話通信ネットワークオペレータのための多くの利点もある。TCP以上の層での不必要な再伝送が回避できるため、ネットワークのデータ伝送の能率が向上する。さらに、アクセスやダウンロード時間が速くなるということは、その他の最終利用者にとって使用可能な時間が増えるということである。つまり、アクセスネットワークの同じ使用可能なデータ伝送能力でより多くの利用者をサービスできる。さらに、圧縮データレートは、ネットワークの変化に迅速に適応するので、オペレータは最終利用者の受けるサービスの品質を許容レベルに保つために容量を大きくし過ぎる必要がなく、新しいネットワーク要素への投資のために節約できる。さらに、本発明は、アクセスネットワーク条件に関する情報がGGSNまたはPEPに迅速に転送される、つまり、必要な最適化情報を収集するために外部ノードに投資する必要のない統合ソリューションを提供する。
【0035】
本発明の上記およびその他の目的、機能、利点は、対応する図面とともに提示される以下の好ましい実施例の説明により、明確になる。図面では、同じ又は同等な部分は、同じ参照番号である。すべての図面は、本発明のいくつかの側面および実施例を図説するためである。さらに、異なる実施例の場合、相違点だけが詳細に説明される。すべての代替例や選択肢が示されていないため、本発明は対応する図面の内容に限定されないことを理解されたい。
【実施形態の説明】
【0036】
以下に、本発明は対応する次の図面を参照しながら例を挙げて詳細に説明する。
【0037】
図2に、電話通信ネットワーク、特に、無線利用者端末が無線ネットワークを経由して電話通信ネットワークに接続された移動局10である場合の利用者端末とのデータフローの一般的方法を説明する。図2の下の部分には、図2の上の部分からのOSIモデルによる最初の4つの層のネットワーク要素を詳細に表す。この実施例の電話通信ネットワークは、本発明の実施例によるGPRS電話通信ネットワークである。
【0038】
ここで、図2は、移動局(MS)10と、インターネットプロトコル(IP)を使用してインターネット60にどこかで接続されているコンテンツサーバ70の間の接続を示す。コンテンツサーバ70のIPアドレスは212.212.212.212と想定する。MS10のIPアドレスは232.232.232.232と想定し、無線インターフェイス経由で基地局(BS)20に接続される。BS20は、経路領域RA(図2には非表示)に属する。
【0039】
MS10が、コンテンツサーバ70に移動体から送信された(MO)IPパケットをGPRSネットワーク経由で送信すると、まず、IPパケットはサブネット依存競合プロトコル(SNDCP)パケット、つまり、SNDCPプロトコルによるデータパケットにカプセル化される。そして、SNDCPパケットは、サービスしているGPRSサポートノード(SGSN)40とMS10との間のリンクを経路領域RA内で明示的に識別する一時論理リンクID(TLLK)と、使用したプロトコルを指定するネットワークサービスアクセスポイント識別子を含む論理リンク制御(LLC)フレームに入れられる。その後、LLCフレームはBS20に送信される。
【0040】
BS20は、基地局コントローラ(BSC)30に接続される。MS10により送信されたすべてのパケットは、BSC30を経由して送られる。BS20からパケットを受信すると、BSC30は、そのパケットをBS20の範囲のセルのセルIDであるCELL IDをパケットに付加する。BSC30は、パケットが送信される特定のSGSN、ここでは、SGSN40に関する情報を保持する。図2では、経路領域RAから来ているすべてのパケットはSGSN40に送信すると想定される。
【0041】
SGSN40は、処理する各接続に関する特定のコンテキスト情報をさらに含む。MS10が待機状態、又は、1つのセルの場合にはMS10が準備状態にある場合に、MS10の場所に関する情報を経路範囲1つの正確度で維持する。BSC30からLLCフレームを受信すると、SGSN40は、パケットを送信したMS10として移動局を識別する。この情報、パケットに含まれたNSAPI、SGSN40でのMS10に関するSGSNコンテキスト情報の助けにより、SGSN40は、SNDCPパケットに含まれた利用者のデータパケットを一定のゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)に送信することを決定する。図1の場合には、SGSN40から来ているすべてのパケットは、GGSN50に転送される。コンテキスト情報も、トンネル識別子(TID)を含み、MS10のためにSGSN40とGGSN50の間のリンクを識別する。SGSN40は、利用者のデータパケット、GGSN50とTIDのアドレスなどのGPRSトンネルプロトコル(GTP)パケットを生成して、GGSN50に送信する。
【0042】
GGSN50は、GTPパケットを受信すると、TIDとGGSN50のGGSNコンテキスト情報を基に、移動局MS10がパケットを送信したことを知る。その後、GGSN50は、図2ではIPベースのインターネット60である、外部のパケットデータネットワークを経由して、IPパケットをコンテンツサーバ70に送信する。
【0043】
コンテンツサーバ70は、応答する場合、MS10のアドレスである232.232.232.232宛ての移動体で受信される(MT)IPパケットを送信する。MS10のIPアドレスを基に、IPパケットは、まず、インターネット60経由でGGSN50に送られる。GGSNのコンテキスト情報を基に、GGSN50は、そのアドレスがMS10に属すること、MS10がSGSN40により処理されること、GGSN50とMS10の間の接続があるTIDによりSGSN40で識別されること、を知る。これを基に、GGSN50は、SGSN40にコンテンツサーバ70により送信されたIPパケットと一定のTIDを含むGTPパケットを送信する。
【0044】
SGSN40では、GTPパケットのTIDは、経路領域RA、セルIDのCELL ID,TLLI、NSAPIを取得するために使用される。MS10があるセルのセルIDがわからなければ、MS10は、その経路領域のすべてのセルで呼び出される。NSAPIとTLLIは、LLCフレームの利用者データといっしょに含まれ、その後、正しいBSC30を通過してMS10へ送信される。正しいBSC30は、基地局サブシステムGPRSプロトコル(BSSGP)のヘッダーにあるBSC30に示されているセルIDのCELL IDから取得される。BSC30は、BS20経由でLLCフレームをMS10に転送し、MS10は、IPパケットをLLCフレームからカプセル解放を行う。
【0045】
MS10とBS20の間の無線インターフェイス(または無線接続)は、ほとんどの状況で、コンテンツサーバ70からMS10へのデータ経路全体のボトルネックである。まず、無線アクセスネットワークの一定のセルのデータ伝送能力が制約される。さらに、無線アクセスネットワークの無線インターフェイスの可能なデータフローレート(又はデータ伝送能力)は、移動体クライアントMS10が移動している場合、環境要素からにも依存する。その上、セルの混雑、つまり、アクセスしたネットワークノードのデータ伝送能力を共有しなければならないクライアントが2つ以上存在する通常の状況は、セルの一定の接続のデータレートにも影響を与える。この結果、無線アクセスネットワークの無線インターフェイスは連続的にビットパイプを変更する。
【0046】
MS10とBS20の間の無線インターフェイスの変化するビットパイプに対応する方法は、それぞれのSGSNのデータパケットをバッファすることである。例えば、BSSGPフロー制御は、BSC30が過負荷になることを防ごうとする。SGSN40は、BSC30に送信できない場合、パケットをバッファすることによりフローを制御する。バッファが多すぎると、例えば、ランダム初期検出(RED)を利用することにより、SGSN40はパケットを切断する。しかしながら、パケットの切断は、ある場合にはMS10の利用者がサービスの品質低下を経験することになるので、混雑を回避する好ましい方法ではない。
【0047】
この問題を緩和するために、パフォーマンス強化プロキシ(PEP)機能をGGSN50で使用する。又は、図2に示されるように、GGSN50とインターネット60の間の近接エンティティであるPEP100で使用できるこのようなPEP機能は、データ伝送を最適化するが、REP機能がある移動局に関して、起こり得るリークレートの予想さえもわからない場合は、非常に困難である。さらに、リークレートは、無線アクセスネットワークの状況により変化し、さまざまである。例えば、あるとき、MS10は30kbit/sのスループットであるが、次の瞬間にはコールサーバ(CS)側はセルからすべてのタイムスロット(TSL)を取り上げるので、MS10のスループットはゼロに減少する。
【0048】
本発明によれば、一定の最適化情報をREP100(および/又はGGSN50のREP機能により提供されるTCP最適化メカニズム)に直ちに送信することにより、混雑状況により迅速に対応できるので、データ伝送の長い中断が回避される。
【0049】
従って、PEP100(またはGGSN50)は、アクセスネットワークのSGSN40又はBSC30からさまざまな種類の事前に処理済み情報を受信する。データ伝送最適化に関連する最適化情報は次から構成されることができる。
移動局のリークレート、移動局の場所(例えば、セルIDやその他の場所情報)、アクティビティ情報、MS無線アクセス機能(例えば、GPRSやUMTS機能、ブラウザタイプや画面サイズなどのデュアルバンド機能や移動体端末機能、可能性のあるアクセスネットワークサポート)を含む移動局のステータス。
セルの負荷、セルのリークレート、可能性のある混雑表示、例えば、強化データGSM環境(EDGE)にあるようなセルのステータス。
SGSNおよびBSC又はRNCバッファ負荷や過負荷/混雑ステータス。
【0050】
本発明の実施例によるGPRSネットワークでは、BSC30は、フロー制御情報をSGSN40に報告する。これは、BSSGPRSプロトコル(BSSGP)に関連する3GPP TS 48.018の標準R5/R4/R99に詳しく説明される。本発明では、SGSN40がわずかに変更したこの情報をGGSN50に転送する場合もある。
【0051】
図3の処理と信号図は、BSC30からの最適化情報が、SGSN40に転送され、SGSN40から処理後にGGSN50に転送される場合に、取られるステップを時間系列で示す。つまり、最初のステップ1「フロー制御情報」はBSC30からSGSN40へ送信される。SGSN40が「Flow−Control−Information」を受信した後、ステップ2で、応答信号「Flow−Control−Information−ACK」をBSC30に送信する。ステップ3では、SGSN40は、本発明に応じて受信したフロー制御情報を処理する。つまり、以下でさらに説明するように、オプションや条件要素をなくすことによりコンテンツをわずかに変更する。その後、ステップ4では、SGSN40は、変更したフロー制御情報を「MS−Flow−Control−Report」として正しいGGSN50に送信する。その後、GGSN50は、それに応じてデータフローに適応するために(図3には非表示)、適用情報をパフォーマンス強化プロキシ(PEP)100に与える、又は、パフォーマンス強化プロキシ機能がGGSN50に含まれている場合は、最適化情報をそれ自体が使用する。
【0052】
例えば、Flow−control−MS PDUは、フロー制御メカニズムにより、GbインターフェイスのMSの最高許容スループットのステータスをSGSN40で通知する。つまり、SGSN40から基地局への接続は、BSC30とBS20から構成される。また、Gbインターフェイスは、3.GPP TS 48.018の標準R5/R4/R99で詳しく説明される。
【0053】
次の表1Aから1Cには、Flow−Control−BVC PDU(表1A)、Flow−Control−MS PDU(表1B)、Flow−Control−PPFC PDU(表1C)のコンテンツが示されるが、それぞれの情報要素に対して、Mは「必須」、Cは「条件付」、Oは「オプション」を示す。各情報要素のコード化方法は、TLV、すなわち「Type−Length−Value」とV、すなわち「値(固定長)」により与えられる。
【0054】
【表1A】

表1A FLOW−CONTROL−BVC PDUコンテンツ
【表1B】

表1B FLOW−CONTROL−MS PDUコンテンツ
【表1C】

表1C FLOW−CONTROL−PVC PDUコンテンツ。
【0055】
テーブルから、Flow−Control−BVC PDU(表1A)、Flow−Control−MS PDU(表1B)、Flow−Control−PPFC PDU(表1C)のように、SGSN40は、フロー制御メッセージを単に転送する代わりに、変更する可能性のあることが明確である。従って、SGSN40は、メッセージを処理して、転送した必要性の低いオプションおよび/又は条件の情報要素にいくつかの変更を適用する。
【0056】
つまり、SGSN40は必要性の低い情報を切断して、もっと有用な情報をフロー制御メッセージのコンテンツに入れる。例えば、国際移動体通信加入者識別番号(IMSI)、TEID(Tunnel Endpoint Identifier)、パケットフロー識別子(PFI)、セルIDなどのようなMSおよび/又はPDPコンテキスト識別子をメッセージを含む場合がある。さらに、GGSN50にセル状況を知らせる場合、BSSGP仮想接続(BCV)Bucket Size、BCV Bucket Leak Rate、セルにあるすべて又は選択したサブセットの移動局の情報を含む場合がある。
【0057】
本発明によれば、GGSN50により、又は、パフォーマンス強化プロキシ100により、アクセスネットワークのスループットや応答時間を最適化する方法は他にもある。まず、MS/PFC/BVCフロー制御情報(BSC30から受信される)は、さらに、各クライアント、つまり、加入者および/又は各TCPフローの転送最適化目的で使用できる。2番目に、BVC「混雑」の場合、GGSN50は、例えば、コールサーバ(CS)側がタイムスロットの主要部分を取る場合、BVCがブロックされる、又はその他の内部エラーが発生する場合、又は無線インターフェイスがなんらかの理由で停滞した場合に、通知される。混雑した無線アクセスセルにあるMS(又はTEID/PDPコンテキスト)のリストとともに通知が送信される。3番目に、MS/PFC「混雑」の場合、GGSN50は、MS又はPFCのリークレートが、例えば10%のように規定の値より増加又は減少した場合に、通知されて、例えばPFI又はTEIDのようなIMSI又はPDPコンテキスト識別子がメッセージに付加される。
【0058】
本発明の1つの実施例によれば、移動局のリークレートはGGSN50に配信される。この効果により、SGSN40は、下の表2に示したように、そのMSリークレートおよび/又はパケットフローコンテキスト(PFC)リークレートをGGSN50に送信するだけである。
【表2】

【0059】
本発明の別の実施例によれば、セル識別子と移動局情報はGGSN50に配信される。SGSN40は、BVCリークが大幅に変化すると、BSC30から通知を受信する。また、オプションで、このメッセージを少し違う形式でGGSN50に送信することも可能である。このようなメッセージは、例えば、「セル混雑通知」(CCN)と呼ぶことができる。CCNメッセージは、セル識別子や移動体のリスト、つまり、無線アクセスセルのIMSIやTEIDを運ぶことができる。
【0060】
SGSN40は、BVCリークレートが、以前の値より、例えば20%のようなトリガー値を超えて増減したことに気づくと、GGSN50への通知が送信される。通知には、GGSN50又はPEP100でMS又はPDPコンテキストが識別できるように、セル識別子、IMSI、TEIDを含む。トリガー値は、上記のようにネットワークオペレータが構成可能であることを理解されたい。
【0061】
本発明のさらなる開発において、SGSN40は、セル識別子とMSリークレートを無線アクセスセルの移動局のリストとともにGGSN50に送信する。この情報により、GGSN50は、それぞれ、セルが非常に混雑した場合にデータを転送できるコンテキスト又は移動局をいくつか選択できる。例えば、一時的なクライアント、つまり、アクセスネットワークオペレータの加入者ではないクライアントからのパケットは、ダウングレード又は廃棄できる。SGSN40は、処理する各セルに対して特別なテーブルを管理する必要のあることに注意する。そのテーブルは下の表3に示した形式を有する場合がある。
【表3】

【0062】
最後に、重要な点として、GPRSネットワークである電話通信ネットワークへの本発明の起こり得る実装を説明する。ただし、データ伝送になんらかの形で関与して、本発明により最適化されるネットワーク要素だけを検討する。構造をよく説明するために、実装は図2を参照しながら説明する。
【0063】
GPRSネットワークの基地局コントローラBSC30として、BSC30は全く変更する必要がない。従って、BSC30は、以前のようにフロー制御情報を報告するだけである。
【0064】
ゲートウェイGPRSサポートノードであるGGSN50は、独自の方法により移動局MS10から情報を受信する。このような情報は、リークレート情報のあるMS又はPDPコンテキスト識別子から構成される。さらに、セル情報はGGSN50に送信される場合もある。サービスしているGPRSサポートノードであるSGSN40から負荷情報を受け取ると、GGSNは、このような機能がGGSN50に実装されていない場合、その情報をPEPエンティティであるPEP100に転送する。さらに、GGSN50(又はPEP100)は、優先度の高いフローが帯域幅を取得し、優先度の低いフローがダウングレードされるように、単独利用者の、又は異なる利用者の間でトラフィックフローを優先する。さらに、GGSN50は、特にローミング加入者、つまり加入者以外のクライアントにPDPコンテキストQoSをダウングレードする場合がある。また、GGSN50は、リソースがなければ、加入者を切断する場合もある。さらに、GGSN50はトランスポート層を最適化する場合がある。このため、トランスポートプロトコル、例えばTCPを分離して、ワイヤレスプロフィールTCP(WTCP)やMSとGGSN間で変更したTCPやTCPサーバへの正常なTCPを利用する場合がある。
【0065】
Gnインターフェイス上のSGSN40とGGSN50の間の情報交換では、専用拡張情報要素(IE)を使用できる。このようなIEは、任意のGTP信号メッセージに含めることができる。さらに、1つの信号メッセージは2つ以上の専用拡張タイプのIEを含む場合がある。専用拡張IEのデータ構造は自由に設計できる。有用な設計は、IEが更新PDPコンテキスト要求に含まれる場合である。また、それに新しいメッセージタイプを作成することも可能である。
【0066】
フロー制御は現在の無線アクセスネットワーク(RAN)には実装されていないため、RANは2GネットワークシステムのBSC30のようには詳しくリークレートなどを報告できない。しかしながら、無線ネットワークコントローラ(RNC)は、例えば、GGSN50へのPDCPバッファ負荷を報告できる。
【0067】
現在のGPRSネットワークでは、2G−SGSNはBSSからフロー制御情報を受信する。フロー制御情報は、上記のように、MS、BVC、PFCフロー制御メッセージから構成される。本発明によれば、さらに、SGSN40は、Gbバッファ(TCとTHP)負荷割合の情報を送信できる。さらに、SGSN40は、簡単な形式の情報をGGSN50に送信する。情報は、単独メッセージのグループ、又は1つの組み合わせたメッセージで送信される場合がある。SGSN40自体は、以前のようにフロー制御情報を使用する。さらに、SGSN40は、特に、別の公共地上移動体ネットワーク(PLMN)でGGSN50を使用するローミング加入者に対して、PDPコンテキストQoSをダウングレードする場合がある。また、SGSN40は、加入者にリソースがなければ、加入者を切断する場合もある。
【0068】
3G−SGSNでは、3G−SGSNは、RNCからGGSN50への独自情報を転送することだけが必要である。転送された情報は後で定義される。GGSN50がinvPLMNであれば、3G−SGSNは、QoSを減少するように、又は最悪の場合はMSを切断するように強制される場合がある。
【0069】
PEP機能では、GGSN50に含まれたPEP機能、又は、GGSN50に近接した単独エンティティのPEP100としてのPEP機能は、トラフィック最適化の実際の場所である。変化した環境でのパフォーマンスを向上させるように、アプリケーションの振る舞いを調整する場合がある。必要な場合にはフローをバッファする場合があり、それにより、サーバから受信したリークレートを減少させる。さらに、GGSN50は、トランスポート層も最適化する場合がある。このために、トランスポートプロトコル(例えばTCP)を分割して、MS10とGGSN50とTCPサーバへの通常のTCPの間でWTCPを利用する場合がある。
【0070】
本発明は、電話通信ネットワーク、特にGPRS、CDMA2000、UMTS電話通信ネットワーク、WLANのようなパケット交換電話通信ネットワークにおいて、データ伝送最適化のための方法を導入した。前記ネットワークは、電話通信ネットワークへのアクセスを提供する少なくとも第一のアクセスノードを含む。パフォーマンス強化プロキシ機能を備える少なくとも第一の最適化ノードは、前記電話通信ネットワークのコアと、前記少なくとも第一のアクセスノードとの間に位置する。データは、少なくとも、コアから前記第一のアクセスノードの方向へ送信され、データはアクセスノードへのリンク経由で電話通信ネットワークへのアクセスを有する少なくとも第一のクライアントに送信される。前記リンクは、変化するデータ伝送能力を有する。本発明による前記方法は、次のステップを含む。前記少なくとも第一のアクセスネットワーク(またはリンク)の実際の利用可能なデータ伝送能力を示す最適化情報は、連続的に監視される。前記最適化情報は、前記少なくとも第一の最適化ノードへ転送される。前記コアから前記少なくとも第一のアクセスノードへのデータフローは、前記最適化ノードの前記パフォーマンス強化プロキシ機能により、前記監視されるデータ伝送能力に適応させられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】GPRSネットワークの基本的構造、特に本発明に応じた方法とネットワーク要素を実装できる無線アクセス部分を示す。
【図2】本発明によるトラフィック最適化の実装の実施例を表す。また、図2の下の部分にはネットワーク要素に加わるデータフローのネットワーク層を詳細に示す。
【図3】本発明の実施例によるBSCから2G−SGSNを通過してGGSNへの基本的最適化情報転送を示す処理と信号の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話通信ネットワークにおけるデータ伝送最適化のための方法であって、前記方法は、
前記電話通信ネットワークへのアクセスを提供する少なくとも第一のアクセスノードと、パフォーマンス強化プロキシ機能を有し、前記電話通信ネットワークのコアと前記少なくとも第一のアクセスノードとの間に位置する少なくとも第一の最適化ノードと、を備え、
さらに前記方法において、データは、少なくとも、前記コアから前記少なくとも第一のアクセスノードの方向へ送信され、そこから前記データは、前記少なくとも第一のアクセスノードへのアクセスリンク経由で前記電話通信ネットワークへのアクセスを有する少なくとも第一のクライアントに送信され、前記アクセスリンクは、変化するデータ伝送能力を有し、さらに前記方法は、
・ 前記アクセスリンクの実際に利用可能なデータ伝送能力を示す最適化情報を連続的に監視するステップと、
前記最適化情報を前記少なくとも第一の最適化ノードに転送するステップと、
・ 前記最適化ノードにおける前記パフォーマンス強化プロキシ機能により、監視される前記データ伝送能力に応じて、前記コアから前記アクセスリンクへのデータフローレートを適応させるステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記アクセスリンクは、変化するデータ伝送能力を有する電話通信ネットワークのアクセスネットワークである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセスリンクは、変化するデータ伝送能力を有する無線接続である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも第一のクライアントは移動局、前記少なくとも第一のアクセスノードは基地局サブシステムの基地局であり、基地局の適用範囲は無線アクセスセルを定義する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも第一の最適化ネットワークノードは、パフォーマンス強化プロキシ機能を備えるゲートウェイサポートノードである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ゲートウェイサポートノードは、前記基地局サブシステムと前記少なくとも第一の最適化ネットワーク要素の間に位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも第一のサービスサポートノードは、前記ゲートウェイサポートノードと前記基地局サブシステムの間に位置する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記電話通信ネットワークは、パケット交換電話通信ネットワーク、特にGPRS、CDMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANである、上記請求項いずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記最適化情報を監視するステップは、前記サービスネットワークにより実施される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記最適化情報を監視するステップは、前記基地局サブシステムにより実施される、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記データフローレートを適応させるステップは、加入者以外のクライアントからのパケットをダウングレード又は廃棄することにより実施される、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記データ伝送最適化のための方法が、前記少なくとも第一のアクセスノードに接続したそれぞれ又は選択したクライアントのデータフローレートを個々に適応させるステップをさらに含む、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記最適化情報を転送するステップが、前記基地局サブシステムにおいて、又は前記電話通信ネットワークの前記第一のサービスサポートノードにおいて、標準メッセージを処理することにより、前記電話通信ネットワークのネットワーク要素間で使用される標準メッセージに最適化情報を実装するステップを含む、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記最適化情報は、前記少なくとも第一のアクセスノードの前記無線セルの混雑に関する情報である、請求項4から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最適化情報を転送するステップが、前記少なくとも第一のアクセスノードの前記無線アクセスセルに位置するすべて又は選択したクライアントを識別するデータを含むリストを付加した通知を送信することにより実施される、請求項4から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記最適化情報は、前記移動局に関するフロー制御情報、パケットフロー制御情報、または前記基地局サブシステムGPRSプロトコルの仮想接続に関するフロー制御情報である、請求項8から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記最適化情報を転送するステップが、アクセスリンクのためにタイムスロットの既定の番号が利用可能でない場合に実施される、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記最適化情報を転送するステップが、基地局サブシステムGPRSプロトコルの仮想接続がブロックされている場合に実施される、請求項8から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記最適化情報を転送するステップが、前記アクセスリンクの前記データ伝送能力を低下させる内部エラーが発生した場合に実施される、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記最適化情報を転送するステップが、前記アクセスリンクが停滞している場合に実施される、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記フロー制御情報を転送するステップが、前記アクセスリンクのデータリークレート又はデータフロー制御リークレートが既定の値分より増減する場合に発生する、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
国際移動体通信加入者識別番号(IMSI)又はパケットデータ制御(PDP)コンテキスト識別子が前記最適化情報に付加される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
パフォーマンス強化プロキシ機能を有し、電話通信ネットワークのコアと、前記電話通信ネットワークの少なくとも第一のアクセスリンクとの間に位置する前記電話通信ネットワークのデータ伝送最適化のためのネットワーク要素であって、
前記少なくとも第一のアクセスリンクにおいて実際に利用可能なデータ伝送能力を示す最適化情報を受信するように、また、前記コアから前記少なくとも第1のアクセスリンクへ向けられたデータフローレートを、前記アクセスリンクの前記監視されたデータ伝送能力に適応させるように構成される、ネットワーク要素。
【請求項24】
前記ネットワーク要素は、パケット交換電話通信ネットワーク、特にGPRS、CDMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANのゲートウェイサポートノードである、請求項23に記載のネットワーク要素。
【請求項25】
前記ネットワーク要素は、電話通信ネットワークのコアと、パケット交換電話通信ネットワーク、特にGPRS、CDMA2000またはUMTS電話通信ネットワーク、又はWLANのゲートウェイサポートノードの間に位置するパフォーマンス強化プロキシである、請求項23に記載のネットワーク要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−520901(P2007−520901A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515297(P2006−515297)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001624
【国際公開番号】WO2005/002149
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】