説明

パノラマ画像距離算出装置

【課題】パノラマ画像における2点間の三次元距離を算出することが可能なパノラマ画像距離算出装置を提供する。
【解決手段】パノラマ画像距離算出装置30は、第一の単眼パノラマ画像データ及び第二の単眼パノラマ画像データを生成する単眼パノラマ画像データ生成部34と、第一の単眼パノラマ画像データ及び第二の単眼パノラマ画像データを表示装置40へ出力する画像データ出力部35と、ユーザによる入力装置20の操作に応じて、第一の単眼パノラマ画像における始点及び終点を取得するとともに、第二の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点を取得する始点終点取得部36と、第一の単眼パノラマ画像における始点及び終点並びに第二の単眼パノラマ画像における始点及び終点に基づいて、始点と終点との三次元距離を算出する三次元距離算出部37と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パノラマ画像における2点間の三次元距離を算出するパノラマ画像距離算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パノラマ画像関連技術として、複数の画像を繋げるように合成することによってパノラマ画像を生成する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−050795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる技術は、建築物の内部をディスプレイすることはできるが、建築物内に設置された家具の幅、扉の幅等、パノラマ画像における2点間の実際の三次元距離を算出することはできない。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであり、パノラマ画像における2点間の三次元距離を算出することが可能なパノラマ画像距離算出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のパノラマ画像距離算出装置は、第一の単眼撮影装置によって撮影された複数の第一の単眼画像データと、前記第一の単眼撮影装置から所定距離離間した第二の単眼撮影装置によって撮影された複数の第二の単眼画像データと、が記憶される画像データ記憶部と、記憶された複数の前記第一の単眼画像データを読み出し、仮想空間に配置したパノラママップを構成する複数の板モデルにマッピングすることによって、第一の単眼パノラマ画像に関する第一の単眼パノラマ画像データを生成するとともに、記憶された複数の前記第二の単眼画像データを読み出し、前記複数の板モデルにマッピングすることによって、第二の単眼パノラマ画像に関する第二の単眼パノラマ画像データを生成するパノラマ画像データ生成部と、生成された前記第一の単眼パノラマ画像データ及び前記第二の単眼パノラマ画像データを表示装置へ出力する画像データ出力部と、ユーザによる入力装置の操作に応じて、前記第一の単眼パノラマ画像における始点及び終点を取得するとともに、前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点を取得する始点終点取得部と、取得された前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点並びに前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点に基づいて、前記始点と前記終点との三次元距離を算出する三次元距離算出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によると、各単眼パノラマ画像における始点及び終点に基づいて、始点と終点との間の三次元距離を算出することができる。
【0008】
前記第一の単眼撮影装置及び前記第二の単眼撮影装置の焦点をf、前記第一の単眼撮影装置と前記第二の単眼撮影装置との間の間隔をd、前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点の二次元座標を(x11,y11)、前記第一の単眼パノラマ画像における前記終点の二次元座標を(x12,y12)、前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点の二次元座標を(x21,y21)、前記第二の単眼パノラマ画像における前記終点の二次元座標を(x22,y22)、前記始点の三次元座標を(x,y,z)、前記終点の三次元座標を(x,y,z)、としたとき、前記三次元距離算出部は、
SE={(x−x+(y−y+(z−z1/2
ただし、
=d・x11/(x11−x12)、y=d・y11/(x11−x12)、z=d・f/(x11−x12)、x=d・x21/(x21−x22)、y=d・y11/(x21−x22)、z=d・f/(x21−x22)、によって、前記始点と前記終点との三次元距離DSEを算出する構成とすることができる。
【0009】
前記画像データ生成部は、取得された前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点又は前記終点に基づいて、前記第一の撮影装置と前記始点又は前記終点とを通る線分を前記第二の単眼パノラマ画像に描画するように前記第二の単眼パノラマ画像データを加工し、取得された前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点又は前記終点に基づいて、前記第二の撮影装置と前記始点又は前記終点とを通る線分を前記第一の単眼パノラマ画像に描画するように前記第一の単眼パノラマ画像データを加工する構成であってもよい。
【0010】
かかる構成によると、一方の単眼パノラマ画像における始点又は終点に基づいて、他方の単眼パノラマ画像において始点又は終点を通る線分が描画されるので、ユーザによる始点及び終点の指定及び修正が容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パノラマ画像における2点間の三次元距離を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るパノラマ画像表示システムを示すブロック図である。
【図2】(a)は、三次元座標の算出原理を説明するための図であり、(b)は(a)のx−z平面図である。
【図3】単眼パノラマ画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るパノラマ画像距離算出装置を建築物内部のパノラマ画像表示に適用した場合を例にとり、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るパノラマ画像表示システム1は、建築物内部の全方位パノラマ画像を生成して表示するシステムであって、複眼撮影装置10と、入力装置20と、パノラマ画像距離算出装置30と、表示装置40と、を備える。
【0015】
<複眼撮影装置10>
複眼撮影装置10は、デジタルカメラである単眼撮影部(第一の単眼撮影装置)11a及び単眼撮影部(第二の単眼撮影装置)11bと、単眼撮影部11a,11bの撮影方向を変更するための駆動部12と、単眼撮影部11a,11b及び駆動部12を駆動制御する制御部13と、を備える。
単眼撮影部11a,11bは、焦点距離fのデジタルカメラであって、光軸間の距離が間隔dとなるように固定されてユニット化されている。
【0016】
制御部13は、駆動部12を移動させたりすることによって、単眼撮影部11a,11bを所望の撮影方向に向け、かかる状態で単眼撮影部11a,11bのシャッタを制御することによって撮影し、撮影画像に関する撮影画像データをパノラマ画像データ生成装置30へ出力する。
また、制御部13は、撮影順序(すなわち、撮影方向)に基づくIDを撮影画像データに付与し、IDが付与された撮影画像データをパノラマ画像距離算出装置30へ出力する。
【0017】
<入力装置20>
入力装置20は、キーボード、マウス等からなり、ユーザの操作に応じて、複眼パノラマ画像から単眼パノラマ画像への切換指示、単眼パノラマ画像における始点指示及び終点指示等をパノラマ画像距離算出装置30へ出力する。
【0018】
<パノラマ画像距離算出装置30>
パノラマ画像距離算出装置30は、CPU、ROM、RAM、入出力回路等から構成されており、機能部として、撮影画像データ記憶部31と、記憶部32と、複眼パノラマ画像データ生成部33と、単眼パノラマ画像データ生成部34と、画像データ出力部35と、始点終点取得部36と、三次元距離算出部37と、を備える。
【0019】
≪撮影画像データ記憶部31≫
撮影画像データ記憶部31には、制御部13から出力された複数の撮影画像に関する複数の撮影画像データが入力されて記憶される。
【0020】
≪記憶部32≫
記憶部32には、単眼撮影部11aの複数の撮影画像に基づいて第一の単眼パノラマ画像を生成する際に用いられる第一の単眼パノラママップと、単眼撮影部11bの複数の撮影画像に基づいて第二の単眼パノラマ画像を生成する際に用いられる第二の単眼パノラママップと、が予め記憶されており、さらに、単眼撮影部11a,11bの間隔dと、単眼撮影部11a,11bの焦点距離fと、が予め記憶されている。また、記憶部32には、各単眼パノラママップとその二次元座標との関係が予め記憶されている。
【0021】
パノラママップは、複数の板モデルを仮想空間に配置して構成されている。板モデルは、各撮影画像の撮影範囲に対応している。すなわち、板モデルは、撮影画像と同数であり、隣り合う板モデル間のピッチは、隣り合う撮影画像間のピッチと同一であり、各板モデルの縦横比は、各撮影画像の縦横比に対応している。また、各板モデルには、撮影画像データと同様にIDが付与されている。後記する複眼パノラマ画像データ生成部33及び単眼パノラマ画像データ生成部34は、撮影画像データに付与されたIDと板モデルに付与されたIDとに基づいて、撮影画像データを対応する板モデルにマッピングすることによって、複眼パノラマ画像データ及び単眼パノラマ画像データを生成する。
【0022】
≪複眼パノラマ画像データ生成部33≫
複眼パノラマ画像データ生成部33は、撮影画像データ記憶部31から複数の撮影画像データを読み出し、読み出された撮影画像データに基づいて、複眼パノラマ画像に関する複眼パノラマ画像データを生成する。
具体的には、複眼パノラマ画像データ生成部33は、記憶部32に予め記憶された二つの単眼パノラママップを読み出し、二つの単眼パノラママップの板モデルに撮影画像データをマッピングすることによって、二つの単眼パノラマ画像データを生成する。そして、複眼パノラマ画像データ生成部33は、生成された第一の単眼パノラマ画像データと第二の単眼パノラマ画像データとに基づいて、第一の単眼パノラマ画像と第二の単眼パノラマ画像とが交互に表示されるように、複眼パノラマ画像データ(動画像データ)を生成する。
【0023】
≪単眼パノラマ画像データ生成部34≫
単眼パノラマ画像データ生成部34は、撮影画像データ記憶部31から出力された複数の撮影画像データを読み出し、読み出された撮影画像データに基づいて、単眼パノラマ画像に関する単眼パノラマ画像データを生成する。
具体的には、単眼パノラマ画像データ生成部34は、記憶部32に予め記憶された二つの単眼パノラママップを読み出し、二つの単眼パノラママップの板モデルに撮影画像データをマッピングすることによって、二つの単眼パノラマ画像データを生成する。そして、単眼パノラマ画像データ生成部34は、生成された第一の単眼パノラマ画像と第二の単眼パノラマ画像とに基づいて、第一の単眼パノラマ画像と第二の単眼パノラマ画像とが並んで表示されるように、単眼パノラマ画像データを生成する。
【0024】
≪画像データ出力部35≫
画像データ出力部35は、パノラマ画像データを表示装置40へ出力するものであって、本実施形態では、複眼パノラマ画像データ生成部33から出力された複眼パノラマ画像、又は、単眼パノラマ画像データ生成部34から出力された第一の単眼パノラマ画像データ及び第二の単眼パノラマ画像データを表示装置40へ出力する。
【0025】
≪始点終点取得部36≫
始点終点取得部36は、入力装置20から出力された、第一の単眼パノラマ画像における始点指示及び終点指示と、第二の単眼パノラマ画像における始点指示及び終点指示と、を取得する。また、始点終点取得部36は、取得した始点指示及び終点指示を用いて記憶部32に記憶された単眼パノラママップとその二次元座標との関係を参照することによって、第一の単眼パノラマ画像における始点の二次元座標及び終点の二次元座標、並びに、第二の単眼パノラマ画像における始点の二次元座標及び終点の二次元座標を取得し、三次元距離算出部37へ出力する。
【0026】
≪三次元距離算出部37≫
三次元距離算出部37は、始点終点取得部36から出力された、各単眼パノラマ画像の始点及び終点の二次元座標を取得し、取得された各二次元座標に基づいて、始点と終点との間の三次元距離を算出する。
【0027】
(三次元座標の算出原理)
ここで、図2を参照して、三次元座標の算出原理について説明する。以下では、単眼撮影部11a,11bの配列方向をX軸、単眼撮影部11a,11bの光軸方向をY軸、X軸及びZ軸と直交するY軸からなる三次元座標空間について考えるものとする。単眼撮影部11aを三次元座標における原点に配置し、左側の単眼撮影部11aと右側の単眼撮影部11bとの間隔をdとすると、単眼撮影部11aの三次元座標O及び単眼撮影部11bの三次元座標Oは、以下のようになる。
=(0,0,0)
=(d,0,0)
【0028】
三次元座標M=(x,y,z)に位置する対象物を単眼撮影部11a,11bを用いて撮影し、かかる対象物が単眼撮影部11aによる第一の撮影画像の二次元座標N=(x,y)に写っており、単眼撮影部11bによる第二の撮影画像の二次元座標N=(x,y)に写っているとする。
ここで、三角形MOと三角形MNとは相似であるため、以下の関係が成立する。
=d・x/(x−x
=d・y/(x−x
=d・f/(x−x
すなわち、予め定められた焦点距離f及び間隔dと、撮影画像の二次元座標の値と、を用いることによって、所望の位置の三次元座標を算出することができる。
【0029】
三次元距離算出部37は、第一の単眼パノラマ画像における始点(x11,y11)及び終点(x21,y21)と第二の単眼パノラマ画像における始点(x12,y12)及び終点(x22,y22)とを取得し、前記した原理を用いて、始点の二次元座標(x11,y11)及び(x12,y12)に基づいて始点の三次元座標を算出するとともに、終点の二次元座標(x21,y21)及び(x22,y22)に基づいて終点の三次元座標を算出し、これら始点及び終点の三次元座標に基づいて、始点と終点との間の三次元距離を算出し、単眼パノラマ画像データ生成部34へ出力する。そして、単眼パノラマ画像データ生成部34は、算出された三次元距離を表示するように単眼パノラマ画像データを加工し、加工された単眼パノラマ画像データを画像データ出力部35へ出力する。このようにすることで、算出された三次元距離が、後記する表示装置40のスクリーン42に表示される。
【0030】
なお、第一の単眼パノラママップにおける複数の板モデルと、第二の単眼パノラママップにおける複数の板モデルと、には、同一の座標系における二次元座標が付与されている。
【0031】
<表示装置40>
表示装置40は、パノラマ画像距離算出装置30から出力された各パノラマ画像データを用いてパノラマ画像を表示するものである。
【0032】
照射部41は、画像データ出力部35から出力された画像データを取得し、取得された画像データに応じた光をスクリーン42に照射する。スクリーン42には、照射部41から照射された光によって、各パノラマ画像が表示される。
【0033】
複眼パノラマ画像の表示に際して、照射部41は、時分割シャッタ方式の立体視を行う場合には、ユーザが装着した液晶シャッタメガネ(図示せず)と同期して右眼用画像光と左眼用画像光とを交互に照射する。また、偏光方式の立体視を行う場合には、照射部41は、右眼用画像光および左眼用画像光を2台の3次元画像光照射装置で照射する。2台の3次元画像光照射装置は、互いに直交する偏光(直線偏光または円偏光)板を通して右眼用画像光と左眼用画像光をそれぞれ照射する。ユーザは、左右が互いに直交する偏光メガネ(図示せず)を装着して3次元画像を観察する。なお、立体視をせずに3次元画像を表示する場合には、照射部41及びスクリーン42に代えて、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用することができる。また、立体視対応のディスプレイを使用することもできる。
【0034】
<動作例>
続いて、本発明の実施形態に係るパノラマ画像表示システム1の動作例について、図1,3を参照して説明する。
【0035】
まず、制御部13は、駆動部12を移動させたりすることによって、単眼撮影部11a,11bを所望の撮影方向に向け、かかる状態で単眼撮影部11a,11bのシャッタを制御することによって撮影し、撮影画像に関する撮影画像データをパノラマ画像データ生成装置30へ出力する。
【0036】
続いて、複眼パノラマ画像データ生成部33は、撮影画像データ記憶部31から複数の撮影画像データを読み出し、読み出された撮影画像データに基づいて、複眼パノラマ画像データを生成し、画像データ出力部35へ出力する。画像データ出力部35は、複眼パノラマ画像データを表示装置40へ出力し、表示装置40は、複眼パノラマ画像を表示する。
【0037】
かかる状態において、ユーザによる入力装置20の操作に応じて、入力装置20が切換指示を出力すると、単眼パノラマ画像データ生成部34は、撮影画像データ記憶部31から複数の撮影画像データを読み出し、読み出された撮影画像データに基づいて、単眼パノラマ画像データを生成し、画像データ出力部35へ出力する。
【0038】
画像データ出力部35は、単眼パノラマ画像データを表示装置40へ出力し、表示装置40は、第一の単眼パノラマ画像110及び第二の単眼パノラマ画像120を表示する(図3参照)。本実施形態において、第一の単眼パノラマ画像110は、単眼撮影部11aの撮影画像である2枚の単眼画像111,112を左右に並べて配置して構成されており、第二の単眼パノラマ画像120は、単眼撮影部11bの撮影画像である2枚の単眼画像121,122を左右に並べて配置して構成されている。以下の動作例では、被写体である水槽の上縁の三次元距離を算出する場合を例示する。第一の単眼パノラマ画像110における始点(被写体である水槽の左上端)S1は左の単眼画像111に位置し、終点(被写体である水槽の右上端)E1は右の単眼画像112に位置する。同様に、第二の単眼パノラマ画像120における始点S2は左の単眼画像121に位置し、終点E2は右の単眼画像122に位置する。
【0039】
かかる状態において、ユーザが入力装置20を操作し、第一の単眼パノラマ画像110における始点S1を指定すると、第一の単眼パノラマ画像110における始点指示が始点終点取得部36に入力される。
始点終点取得部36は、始点指示を取得すると、記憶部32に記憶された単眼パノラママップの板モデルの二次元座標を参照することによって、第一の単眼パノラマ画像110における始点S1の二次元座標(x11,y11)を取得し、単眼パノラマ画像データ生成部34へ出力する。
【0040】
単眼パノラマ画像データ生成部34は、始点S1の二次元座標(x11,y11)を取得すると、始点S1の二次元座標(x11,y11)、焦点距離f及び単眼撮影部11aの三次元座標Oに基づいて、単眼撮影部11aと始点S1とを通る線分L1を第二の単眼パノラマ画像120に描画するように第二の単眼パノラマ画像データを加工する。これにより、始点S1及び線分L1が表示される。
【0041】
線分L1が表示された状態で、ユーザが入力装置20を操作し、第二の単眼パノラマ画像120における始点S2を指定すると、第一の単眼パノラマ画像120における始点指示が始点終点取得部36に入力される。
始点終点取得部36は、始点指示を取得すると、記憶部32に記憶された単眼パノラママップの板モデルの二次元座標を参照することによって、第二の単眼パノラマ画像120における始点S2の二次元座標(x21,y21)を取得し、単眼パノラマ画像データ生成部34へ出力する。
【0042】
単眼パノラマ画像データ生成部34は、始点S2の二次元座標(x21,y21)を取得すると、始点S2の二次元座標(x21,y21)、焦点距離f及び単眼撮影部11bの三次元座標Oに基づいて、単眼撮影部11bと始点S2とを通る線分L2を第一の単眼パノラマ画像110に描画するように第一の単眼パノラマ画像データを加工する。これにより、始点S2及び線分L2が表示される。
【0043】
続いて、ユーザが入力装置20を操作し、第一の単眼パノラマ画像110における終点E1を指定すると、第一の単眼パノラマ画像110における終点指示が始点終点取得部36に入力される。
始点終点取得部36は、終点指示を取得すると、記憶部32に記憶された単眼パノラママップの板モデルの二次元座標を参照することによって、第一の単眼パノラマ画像110における終点E1の二次元座標(x12,y12)を取得し、単眼パノラマ画像データ生成部34へ出力する。
【0044】
単眼パノラマ画像データ生成部34は、終点E1の二次元座標(x12,y12)を取得すると、終点E1の二次元座標(x12,y12)、焦点距離f及び単眼撮影部11aの三次元座標Oに基づいて、単眼撮影部11aと終点E1とを通る線分L3を第二の単眼パノラマ画像120に描画するように第二の単眼パノラマ画像データを加工する。これにより、終点E1及び線分L3が表示される。
【0045】
線分L3が表示された状態で、ユーザが入力装置20を操作し、第二の単眼パノラマ画像120における終点E2を指定すると、第一の単眼パノラマ画像120における終点指示が始点終点取得部36に入力される。
始点終点取得部36は、終点指示を取得すると、記憶部32に記憶された単眼パノラママップの板モデルの二次元座標を参照することによって、第二の単眼パノラマ画像120における終点S2の二次元座標(x22,y22)を取得し、単眼パノラマ画像データ生成部34へ出力する。
【0046】
単眼パノラマ画像データ生成部34は、終点E2の二次元座標(x22,y22)を取得すると、終点E2の二次元座標(x22,y22)、焦点距離f及び単眼撮影部11bの三次元座標Oに基づいて、単眼撮影部11bと終点E2とを通る線分L4を第一の単眼パノラマ画像110に描画するように第一の単眼パノラマ画像データを加工する。これにより、始点S2及び線分L4が表示される。
【0047】
第一の単眼パノラマ画像110における始点S1及び終点E1、並びに、第二の単眼パノラマ画像120における始点S2及び終点E2の入力が終わると、三次元距離算出部37は、入力内容と、記憶部32に記憶された間隔d及び焦点距離fと、に基づいて、始点及び終点の三次元座標を算出するとともに、算出された始点及び終点の三次元座標に基づいて始点と終点との三次元距離を算出する。これにより、三次元距離が表示される。
【0048】
始点の三次元位置S(x,y,z)は、下記式によって算出される。
=d・x11/(x11−x12
=d・y11/(x11−x12
=d・f/(x11−x12
【0049】
また、終点の三次元位置E(x,y,z)は、下記式によって算出される。
=d・x21/(x21−x22
=d・y11/(x21−x22
=d・f/(x21−x22
【0050】
始点と終点との三次元距離DSEは、前記したx,y,z,x,y,zの値を下記式に代入することによって算出される。
SE={(x−x+(y−y+(z−z1/2
【0051】
本発明の実施形態に係るパノラマ画像表示システム1は、各単眼パノラマ画像における始点及び終点に基づいて、始点と終点との間の三次元距離を算出することができる。また、本発明の実施形態に係るパノラマ画像表示システム1は、一方の単眼パノラマ画像における始点又は終点に基づいて、他方の単眼パノラマ画像において始点又は終点を通る線分が描画されるので、ユーザによる始点及び終点の指定及び修正が容易である。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、算出された三次元距離をユーザに通知する手法は、表示装置に表示させることに限定されず、通知部としてのスピーカに発話させる構成であってもよい。また、線分L1〜L4を表示するための動作を省略する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 パノラマ画像表示システム
30 パノラマ画像距離算出装置
31 撮影画像データ記憶部
34 単眼パノラマ画像データ生成部(パノラマ画像データ生成部)
35 画像データ出力部
36 始点終点取得部
37 三次元距離算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の単眼撮影装置によって撮影された複数の第一の単眼画像データと、前記第一の単眼撮影装置から所定距離離間した第二の単眼撮影装置によって撮影された複数の第二の単眼画像データと、が記憶される画像データ記憶部と、
記憶された複数の前記第一の単眼画像データを読み出し、仮想空間に配置したパノラママップを構成する複数の板モデルにマッピングすることによって、第一の単眼パノラマ画像に関する第一の単眼パノラマ画像データを生成するとともに、記憶された複数の前記第二の単眼画像データを読み出し、前記複数の板モデルにマッピングすることによって、第二の単眼パノラマ画像に関する第二の単眼パノラマ画像データを生成するパノラマ画像データ生成部と、
生成された前記第一の単眼パノラマ画像データ及び前記第二の単眼パノラマ画像データを表示装置へ出力する画像データ出力部と、
ユーザによる入力装置の操作に応じて、前記第一の単眼パノラマ画像における始点及び終点を取得するとともに、前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点を取得する始点終点取得部と、
取得された前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点並びに前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点及び前記終点に基づいて、前記始点と前記終点との三次元距離を算出する三次元距離算出部と、
を備えることを特徴とするパノラマ画像距離算出装置。
【請求項2】
前記第一の単眼撮影装置及び前記第二の単眼撮影装置の焦点をf、
前記第一の単眼撮影装置と前記第二の単眼撮影装置との間の間隔をd、
前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点の二次元座標を(x11,y11)、
前記第一の単眼パノラマ画像における前記終点の二次元座標を(x12,y12)、
前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点の二次元座標を(x21,y21)、
前記第二の単眼パノラマ画像における前記終点の二次元座標を(x22,y22)、
前記始点の三次元座標を(x,y,z)、
前記終点の三次元座標を(x,y,z)、
としたとき、前記三次元距離算出部は、
SE={(x−x+(y−y+(z−z1/2
ただし、
=d・x11/(x11−x12
=d・y11/(x11−x12
=d・f/(x11−x12
=d・x21/(x21−x22
=d・y11/(x21−x22
=d・f/(x21−x22
によって、前記始点と前記終点との三次元距離DSEを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のパノラマ画像距離算出装置。
【請求項3】
前記パノラマ画像データ生成部は、
取得された前記第一の単眼パノラマ画像における前記始点又は前記終点に基づいて、前記第一の撮影装置と前記始点又は前記終点とを通る線分を前記第二の単眼パノラマ画像に描画するように前記第二の単眼パノラマ画像データを加工し、
取得された前記第二の単眼パノラマ画像における前記始点又は前記終点に基づいて、前記第二の撮影装置と前記始点又は前記終点とを通る線分を前記第一の単眼パノラマ画像に描画するように前記第一の単眼パノラマ画像データを加工する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパノラマ画像距離算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−17053(P2013−17053A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148550(P2011−148550)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000132769)株式会社ソリッドレイ研究所 (6)
【Fターム(参考)】