説明

ヒンジ

【課題】回動角度が所定の範囲内である場合には回動規制力を発生させることが可能であり、回動角度が所定の範囲外である場合には回動規制力を発生させないことが可能なヒンジを提供する。
【解決手段】ヒンジ100Lに、天井側固定部材110と、モニター側固定部材120と、逃がし溝135が形成された内周面132を有し天井側固定部材110に固定される円筒部材130と、第一当接面142a、第一離間面142c、第二当接面142bおよび第二離間面142dに区分された外周面142を有し一端部がモニター側固定部材120に固定され他端部が天井側固定部材110に回動可能に軸支される軸部材140と、を具備し、第一当接面142aが逃がし溝135に対向するときには円筒部材130が弾性変形せず、第一当接面142aが内周面132に対向するときには円筒部材130が円筒部材130の半径方向に押し広げられるように弾性変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの対象物の一方(第一連結対象物)に他方(第二連結対象物)を回動可能に連結するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二つの対象物の一方(第一連結対象物)に固定される第一ウイング部材と、二つの対象物の他方(第二連結対象物)に固定される第二ウイング部材と、第一ウイング部材および第二ウイング部材のいずれか一方または両方に回動可能に軸支される回動軸と、を具備し、二つの対象物の一方に他方を回動可能に連結するヒンジが知られている。
【0003】
また、所定の大きさ以上の回転力が作用した場合には第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動が許容され、所定の大きさ未満の回転力が作用した場合には第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動が規制される(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が保持される)ヒンジも知られている。
例えば、特許文献1および特許文献2に記載のヒンジの如くである。
【0004】
特許文献1に記載のヒンジ(チルトヒンジ)は、ホルダー(第一ウイング部材に相当)、シャフト(第二ウイング部材および回動軸を合わせたものに相当)、およびウェーブワッシャ(波形ばね座金)からなる弾性手段を具備する。
弾性手段はシャフトに嵌装されるとともにホルダーおよびシャフトに当接する。
【0005】
特許文献1に記載のヒンジの場合、弾性手段がシャフトの軸線方向に発生させる付勢力(弾性変形した弾性手段が元の形状に戻ろうとする力)により、ホルダーとシャフトとの間に弾性手段を介して摩擦力が発生する。
そして、当該摩擦力に打ち勝つだけの回転力が特許文献1に記載のヒンジに作用した場合には、ホルダーに対してシャフトが回動する。
【0006】
特許文献2に記載のヒンジ(チルトヒンジ)は、第一のフリクショントルク発生孔が形成された第一の取り付け部材(第一ウイング部材に相当)、第二のフリクショントルク発生孔が形成された第二の取り付け部材(第二ウイング部材に相当)、および金属板を円筒形状に丸めることにより製造されるピンであるスプリングピン(回動軸に相当)を具備する。
スプリングピンの一端部は第一の取り付け部材に形成された第一のフリクショントルク発生孔に圧入されるとともに、スプリングピンの他端部は第二の取り付け部材に形成された第二のフリクショントルク発生孔に圧入される。
【0007】
特許文献2に記載のヒンジの場合、スプリングピンがスプリングピンの半径方向に発生させる付勢力(弾性変形したスプリングピンが元の形状に戻ろうとする力)により、第一の取り付け部材と第二の取り付け部材との間にスプリングピンを介して摩擦力が発生する。
そして、当該摩擦力に打ち勝つだけの回転力が特許文献2に記載のヒンジに作用した場合には、第一の取り付け部材に対して第二の取り付け部材が回動する。
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載のヒンジは、その構造上、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度に関わらず(回動角度が変化しても)常に第一ウイング部材と第二ウイング部材との間に摩擦力が発生する。
そのため、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の範囲内である場合には第一ウイング部材と第二ウイング部材との間に摩擦力(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動を規制する力)が発生し、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の範囲外である場合には第一ウイング部材と第二ウイング部材との間に摩擦力が発生しない、といった用途に用いることが出来ない。
【0009】
第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の値であるときには第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動が規制され、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の値でないときには第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動が規制されないヒンジも知られている。
例えば、特許文献3に記載の如くである。
【0010】
特許文献3に記載のヒンジ(ヒンジ装置)は、固定部材(第一ウイング部材に相当)、固定カム部材(第二ウイング部材に相当)、シャフト(回動軸に相当)、摺動カム部材およびコンプレッションスプリングを具備する。
固定部材はシャフトの一端部に相対回転不能かつシャフトの軸線方向に移動不能に固定される。固定カム部材はシャフトの他端部に相対回転可能かつシャフトの軸線方向に移動不能に軸支される。摺動カム部材はシャフトに対して相対回転不能かつシャフトの軸線方向に移動(摺動)可能に貫装される。コンプレッションスプリングはシャフトに貫装され、一端部が固定部材に当接するとともに他端部が摺動カム部材に当接する。
コンプレッションスプリングの付勢力(収縮する方向に弾性変形したコンプレッションスプリングが元の形状の戻ろうとする力)により、摺動カム部材は固定カム部材に押し付けられる。固定カム部材において摺動カム部材に対向する面には二つの凹部が形成され、摺動カム部材において固定カム部材に対向する面には二つの凸部が形成される。
特許文献3に記載のヒンジは、所定の回動角度のとき、すなわち摺動カム部材の二つの凸部が固定カム部材の二つの凹部に嵌合するとき、には固定部材に対する固定カム部材の回動が規制される。
【0011】
しかし、特許文献3に記載のヒンジの場合、固定部材に対する固定カム部材の回動を規制することができる回動角度はピンポイント(例えば、回動角度が0°または180°のとき)であり、固定部材に対する固定カム部材の回動を規制することができる回動角度が「範囲(幅)」を持っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−138129号公報
【特許文献2】特開2000−66762号公報
【特許文献3】特開平11−112630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、第一ウイング部材(または第一連結対象物)に対する第二ウイング部材(または第二連結対象物)の回動角度が所定の範囲内である場合には回動規制力(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動を規制する力)を発生させることが可能であり、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の範囲外である場合には回動規制力を発生させないことが可能なヒンジを提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
即ち、請求項1においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
前記第二連結対象物に固定される第二ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一ウイング部材に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二ウイング部材に固定され、他端部が前記第一ウイング部材に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生するものである。
【0016】
請求項2においては、
前記第一ウイング部材には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一ウイング部材に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定されるものである。
【0017】
請求項3においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第二連結対象物に固定される第二ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二ウイング部材に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生するものである。
【0018】
請求項4においては、
前記第一連結対象物には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一連結対象物に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定されるものである。
【0019】
請求項5においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一ウイング部材に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一ウイング部材に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生するものである。
【0020】
請求項6においては、
前記第一ウイング部材には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一ウイング部材に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定されるものである。
【0021】
請求項7においては、
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生するものである。
【0022】
請求項8においては、
前記第一連結対象物には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一連結対象物に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定されるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、第一ウイング部材(または第一連結対象物)に対する第二ウイング部材(または第二連結対象物)の回動角度が所定の範囲内である場合には回動規制力を発生させることが可能であり、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動角度が所定の範囲外である場合には回動規制力を発生させないことが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】θ=0°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す斜視図。
【図2】θ=20°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す斜視図。
【図3】θ=180°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す斜視図。
【図4】(a)θ=0°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す左側面図、(b)θ=20°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す左側面図、(c)θ=180°のときに本発明に係るヒンジの実施の一形態により車両の天井板に回動可能に支持されるモニターを示す左側面図。
【図5】本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す斜視図。
【図6】同じく本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す斜視図。
【図7】本発明に係るヒンジの実施の一形態における第一ウイング部材を示す斜視図。
【図8】本発明に係るヒンジの実施の一形態における第二ウイング部材を示す斜視図。
【図9】本発明に係るヒンジの実施の一形態における円筒部材を示す斜視図。
【図10】本発明に係るヒンジの実施の一形態における軸部材を示す斜視図。
【図11】本発明に係るヒンジの実施の一形態における軸部材の胴体部を示す左側面断面図。
【図12】(a)θ=0°のときの本発明に係るヒンジの実施の一形態における円筒部材および軸部材を示す左側面断面図、(b)θ=20°のときの本発明に係るヒンジの実施の一形態における円筒部材および軸部材を示す左側面断面図、(c)θ=180°のときの本発明に係るヒンジの実施の一形態における円筒部材および軸部材を示す左側面断面図。
【図13】(a)本発明に係るヒンジの実施の一形態における軸部材の周方向における第一当接面の幅L1および第二当接面の幅L2を示す図、(b)本発明に係るヒンジの実施の一形態における円筒部材の周方向における逃がし溝の幅L3を示す図。
【図14】本発明に係るヒンジの軸部材の別実施形態を示す左側面断面図。
【図15】(a)本発明に係るヒンジの円筒部材の別実施形態を示す左側面断面図、(b)同じく本発明に係るヒンジの円筒部材の別実施形態を示す左側面断面図。
【図16】本発明に係るヒンジの円筒部材の別実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図1から図4を用いて天井板1に取り付けられたモニターユニット2について説明する。
【0026】
天井板1は本発明に係る第一連結対象物の実施の一形態であり、自動車の搭乗スペース(自動車の内部に形成され、搭乗者が収容される空間)の天井を成す部材である。
【0027】
モニターユニット2は自動車の搭乗者が画像を見るために用いるものである。
モニターユニット2は天井板1の下面のうち、自動車の搭乗スペースに設けられた後部座席の前上方となる部分に取り付けられる。
モニターユニット2は天井側カバー3、モニター4およびヒンジ100L・100Rを具備する。
【0028】
天井側カバー3は樹脂材料からなる中空の部材(内部に空間が形成された部材)であり、天井板1に固定される。
図1から図3に示す如く、天井側カバー3は「左側壁部」、「右側壁部」および「後壁部」が順に連なった形状を有する。
「左側壁部」は天井側カバー3の左側部を成す部分であり、その形状は概ね前後方向に延びた直方体である。
「右側壁部」は天井側カバー3の右側部を成す部分であり、その形状は概ね前後方向に延びた直方体である。「右側壁部」は左側壁部の右側方に所定の間隔を空けて配置される。
「後壁部」は天井側カバー3の後部を成す部分であり、その形状は概ね左右方向に延びた直方体である。「後壁部」の左端部は左側壁部の後端部に連なり、「後壁部」の右端部は右側壁部の後端部に連なる。
【0029】
天井側カバー3の後壁部の下面の左右中央部には係止部材3aが形成される。
係止部材3aは、後壁部の下面の左右中央部から下方に突出する押しボタン部、および押しボタン部に連なる突起部を具備する。
【0030】
天井板1を有する自動車の後部座席に座った搭乗者が係止部材3aの押しボタン部を上方に押していないとき(搭乗者が係止部材3aに触れていないとき)、係止部材3aの突起部は天井側カバー3の後壁部の前面よりも前方に突出している。
天井板1を有する自動車の後部座席に座った搭乗者が係止部材3aの押しボタン部を上方に押しているとき、係止部材3aの突起部は天井側カバー3の後壁部の前面よりも後方となる位置まで移動(退避)し、天井側カバー3の後壁部の内部空間に収容される。
【0031】
モニター4は本発明に係る第二連結対象物の実施の一形態である。
図3に示す如く、モニター4はモニター本体5およびモニターカバー6を具備する。
【0032】
モニター本体5は画像を表示するものである。本実施形態のモニター本体5は液晶ディスプレイであり、その外形は一対の広い面および四つの端面を有する概ね薄い直方体である。モニター本体5の一対の広い面のうち一方の広い面は画像表示面(画像を表示する面)を成す。
【0033】
モニターカバー6は樹脂材料からなる中空の部材であり、モニター本体5を覆う(収容する)。
モニターカバー6の形状は一対の広い面および四つの端面を有する概ね薄い直方体であり、モニターカバー6の一方の広い面には開口部6aが形成される。
モニター本体5がモニターカバー6に収容されたとき、モニター本体5の画像表示面は開口部6aに対応する位置に配置される。すなわち、モニターカバー6の外部から開口部6aを通してモニター本体5の画像表示面を見ることが可能である。
また、図2に示す如く、モニターカバー6の後側の端面の左右中央部には係止穴6bが形成される。
【0034】
以下では、図1から図13を用いて本発明に係るヒンジの実施の一形態であるヒンジ100L・100Rについて説明する。
図1から図4に示す如く、ヒンジ100L・100Rは天井板1にモニター4を回動可能に連結する。
より詳細には、ヒンジ100Lは天井板1にモニター4の左前端部を回動可能に連結し、ヒンジ100Rは天井板1にモニター4の右前端部を回動可能に連結する。
【0035】
以下では便宜上、モニター4が閉じているとき(本実施形態ではモニター4が天井側カバー3の「左側壁部」、「右側壁部」および「後壁部」により囲まれる部分に配置され、モニター本体5の画像表示面が上方を向いている(天井板1の下面に対向している)とき)の「天井板1に対するモニター4の回動角度θ」を「0°」とし、モニター4が開く方向に回動した場合(モニター4が左側面視で時計回りに回動した場合)に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように回動角度θを定義する(図1から図4参照)。
【0036】
また、本実施形態のヒンジ100L・100Rの形状は左右対称であるため、以下ではヒンジ100Lについて詳細に説明し、ヒンジ100Rについては詳細な説明を省略する。
【0037】
以下では便宜上、モニター4が閉じているとき(θ=0°のとき)の天井板1を有する自動車の上下方向、前後方向および左右方向を基準として(モニター4が閉じているときの天井板1を有する自動車の上下方向、前後方向および左右方向をそれぞれヒンジ100Lの上下方向、前後方向および左右方向に対応させて)、ヒンジ100Lを構成する各部材の形状を説明する。
【0038】
図5および図6に示す如く、ヒンジ100Lは天井側固定部材110、モニター側固定部材120、円筒部材130、軸部材140およびEリング150を具備する。
【0039】
図7に示す天井側固定部材110は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。本実施形態の天井側固定部材110は一枚の金属板を適宜折り曲げることにより製造される。
天井側固定部材110は横板111および上板116を具備する。
【0040】
横板111は天井側固定部材110の上下中央部および下部を成す板状の部材である。
横板111は左右一対の板面を有する。
【0041】
横板111には軸支孔112が形成される。軸支孔112は横板111の左右一対の板面を貫通する。
【0042】
横板111には二つの係合孔113・114が形成される。二つの係合孔113・114は横板111の左右一対の板面を貫通する。
二つの係合孔113・114はいずれも側面視で(軸支孔112が貫通する方向から見て)軸支孔112を中心とする円弧状の長孔である。係合孔113は軸支孔112の前上方に配置され、係合孔114は軸支孔112の後上方に配置される。
係合孔113から軸支孔112までの距離および係合孔114から軸支孔112までの距離は同じである。
二つの係合孔113・114は本発明に係る係合凹部の実施の一形態である。
【0043】
上板116は天井側固定部材110の上部を成す板状の部材である。上板116は上下一対の板面を有する。
上板116の右端部は横板111の上端部に連なる(一枚の金属板を所定の折目で直角に折り曲げることにより、横板111および上板116が形成される)。
【0044】
上板116には二つの貫通孔117・118が形成される。貫通孔117は上板116の前半部において上板116の上下一対の板面を貫通する。貫通孔118は上板116の後半部において上板116の上下一対の板面を貫通する。
【0045】
本実施形態では、天井側固定部材110は天井側カバー3の左側壁部の内部に収容される。
また、二つのネジ(不図示)をそれぞれ二つの貫通孔117・118に貫装し、天井側カバー3の左側壁部の上面に形成された二つの貫通孔(不図示)に貫装し、天井板1に形成された二つのネジ孔に螺装することにより、天井側固定部材110および天井側カバー3が天井板1に固定される。
【0046】
図8に示すモニター側固定部材120は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。本実施形態のモニター側固定部材120は一枚の金属板を適宜折り曲げることにより製造される。
モニター側固定部材120は横板121および下板126を具備する。
【0047】
横板121はモニター側固定部材120の上部および上下中央部を成す板状の部材である。横板121は左右一対の板面を有する。横板121の側面視形状は概ね前後方向に長い長方形である。
【0048】
横板121には固定孔122が形成される。固定孔122は横板121の前端部において横板121の左右一対の板面を貫通する。固定孔122は側面視で一対の円弧と一対の平行な直線とが交互に連なった形状を有する。
【0049】
横板121には三つの貫通孔123・124・125が形成される。貫通孔123は横板121の前端部かつ固定孔122よりも後方となる位置において横板121の左右一対の板面を貫通する。貫通孔124は横板121の前後中央部において横板121の左右一対の板面を貫通する。貫通孔125は横板121の後端部において横板121の左右一対の板面を貫通する。
【0050】
下板126はモニター側固定部材120の下部を成す板状の部材である。下板126は上下一対の板面を有する。下板126の平面視形状は概ね前後方向に長い長方形である。
【0051】
下板126には二つの貫通孔127・128が形成される。貫通孔127は下板126の上下一対の板面を貫通する。貫通孔128は貫通孔127の後方に配置され、下板126の上下一対の板面を貫通する。
【0052】
本実施形態では、モニター側固定部材120はモニターカバー6の内部の左寄りとなる位置に収容される。
また、二つのネジ(不図示)をそれぞれ二つの貫通孔127・128に貫装し、モニターカバー6に形成された二つのネジ孔(不図示)に螺装することにより、モニター側固定部材120がモニターカバー6に固定される。
さらに、三つのネジ(不図示)をそれぞれ三つの貫通孔123・124・125に貫装し、モニターカバー6に収容されたモニター本体5の左側の端面に形成された三つのネジ孔(不図示)に螺装することにより、モニター側固定部材120が「モニターカバー6に収容されたモニター本体5の左側部」に固定される。
【0053】
図9に示す円筒部材130は本発明に係る円筒部材の実施の一形態である。
本実施形態の円筒部材130は鋼管(弾性変形し得る鉄鋼材料からなる管)を適宜の長さで切断し、適宜に切削加工を施すことにより製造される。
円筒部材130は概ね円筒形状の部材であり、外周面131、内周面132、および一対の端面133・134を有する。本実施形態では、円筒部材130の軸線方向は左右方向に対して平行である。
【0054】
円筒部材130の内周面132には逃がし溝135が形成される。逃がし溝135は本発明に係る逃がし溝の実施の一形態である。
本実施形態の逃がし溝135は、内周面132から外周面131まで到達する(円筒部材130の半径方向に切り通される)とともに、端面133から端面134まで到達する(円筒部材130の軸線方向に切り通される)。
逃がし溝135は円筒部材130の周方向にある程度の幅L3を有する(図13の(b)参照)。すなわち、逃がし溝135の壁面135aおよび壁面135bはある程度の距離を空けて形成される。
【0055】
円筒部材130の一端部(本実施形態の場合、左端部)には二つの係合突起136・137が形成される。
より詳細には、二つの係合突起136・137はいずれも左側の端面133から左側方に(円筒部材130の軸線方向に)突出している。
係合突起136は円筒部材130の左側の端面133において逃がし溝135の壁面135aに連なる位置に配置される。係合突起137は円筒部材130の左側の端面133において逃がし溝135の壁面135bに連なる位置に配置される。
二つの係合突起136・137は本発明に係る係合凸部の実施の一形態である。
【0056】
図5に示す如く、円筒部材130に形成された二つの係合突起136・137をそれぞれ天井側固定部材110の横板111に形成された二つの係合孔113・114に係合させ、円筒部材130の左側の端面133(図9参照)と横板111の右側の板面(図7参照)とが当接する部分を溶接することにより、円筒部材130は天井側固定部材110に固定される。
天井側固定部材110に固定された円筒部材130は、天井側固定部材110に対して相対移動不能であり、かつ円筒部材130の軸線周りに相対回転不能である。
円筒部材130が天井側固定部材110に固定されたとき、円筒部材130の軸線(円筒部材130の内周面132の中心を通り、かつ左右方向に平行な直線)と、軸支孔112の中心線(軸支孔112の中心を通り、かつ左右方向に平行な直線)と、は一直線になる(一致する)。
また、本実施形態では、円筒部材130が天井側固定部材110に固定されたとき、逃がし溝135は軸支孔112(ひいては、円筒部材130の軸線)の上方に配置される。
【0057】
図10に示す軸部材140は本発明に係る軸部材の実施の一形態である。
本実施形態の軸部材140は鋼棒(鉄鋼材料からなる棒)を適宜の長さに切断し、適宜に切削加工を施すことにより製造される。
軸部材140は胴体部141、軸支部145および固定部147を具備する。軸部材140は、軸部材140の軸線方向において軸支部145、胴体部141、固定部147の順に並んだ(積層した)形状を有する。本実施形態の軸部材140の軸線方向は左右方向に対して平行である。
【0058】
胴体部141は軸部材140の胴体を成す部分であり、外周面142および左右一対の端面143・144を有する。
図10に示す如く、外周面142は軸部材140の軸線方向に平行な直線の軌跡として形成される面であり、軸部材140の周方向において順に第一当接面142a、第一離間面142c、第二当接面142bおよび第二離間面142dに区分される。
【0059】
図11に示す如く、本実施形態では、外周面142のうち左側面視で反時計回りの位相φが0°から54°までの部分(0°≦φ≦54°を満たす部分)が第一当接面142aを成す。
同様に、外周面142のうち位相φが54°から144°までの部分(54°<φ<144°を満たす部分)が第一離間面142cを成す。
外周面142のうち位相φが144°から270°までの部分(144°≦φ≦270°を満たす部分)が第二当接面142bを成す。
外周面142のうち位相φが270°から360°までの部分(270°<φ<360°を満たす部分)が第二離間面142dを成す。
【0060】
図11に示す如く、第一当接面142aおよび第二当接面142bに接する外接円7(図11において点線で示す円)の半径R2は、第一離間面142cから外接円7の中心7aまでの距離よりも大きく、かつ第二離間面142dから外接円7の中心7aまでの距離よりも大きい。
言い換えれば、金属材料からなる半径R2の円柱形状の部材を出発材とし、当該円柱形状の部材の外周部の一部を切削することにより軸部材140を製造した場合、当該円柱形状の部材の外周面のうち切削されなかった部分に対応する面が第一当接面142aおよび第二当接面142bを成し、切削された部分に対応する面が第一離間面142cおよび第二離間面142dを成す。
【0061】
図11に示す外接円7の半径R2は、図9に示す円筒部材130の内周面132の半径R1よりも大きい(R2>R1)。
なお、本実施形態の軸部材140の軸線は、外接円7の中心7aを通り、かつ左右方向に対して平行な線として定義される。
【0062】
図10に示す如く、軸支部145は胴体部141の左側の端面143から左側方に突出する概ね円柱形状の部分である。軸支部145の中心線(軸支部145を回転体として見たときの中心線)と、軸部材140の軸線と、は一直線となる(一致する)。
軸支部145の外周面には軸支部145の周方向に延びたリング状の嵌合溝145aが形成される。
【0063】
図10の(b)に示す如く、固定部147は胴体部141の右側の端面144から右側方に突出する塊状の部分である。
固定部147は対向する一対の曲面および一対の平行な平面が交互に連なった外周面、および右端面を有する。固定部147は側面視で一対の円弧と一対の平行な直線とが交互に連なった形状を有する。
【0064】
図6に示す如く、軸部材140の固定部147をモニター側固定部材120の横板121に形成された固定孔122に貫装し、軸部材140の胴体部141の右側の端面144(図10の(b)参照)とモニター側固定部材120の横板121の左側の板面(図8参照)とが当接する部分を溶接することにより、軸部材140の一端部(右端部)がモニター側固定部材120に固定される。
モニター側固定部材120に固定された軸部材140は、モニター側固定部材120に対して相対移動不能であり、かつ軸部材140の軸線周りに相対回転不能である。
【0065】
図5に示す如く、軸部材140の軸支部145を天井側固定部材110の横板111に形成された軸支孔112(図7参照)に貫装することにより、軸部材140(ひいてはモニター側固定部材120)は天井側固定部材110に回動可能に軸支される。
【0066】
また、軸支孔112(図7参照)に貫装された軸支部145の嵌合溝145aにEリング150を嵌装することにより、軸部材140は天井側固定部材110から脱落不能に軸支される。
より詳細には、軸支部145が軸支孔112に貫装された状態で嵌合溝145aにEリング150が嵌装されたとき、軸部材140の胴体部141の左側の端面143(図10の(a)参照)が横板111の右側の板面(図7の(a)参照)に軽く当接するとともにEリング150の右側の盤面が横板111の左側の板面に軽く当接する(図5参照)ので、軸部材140は天井側固定部材110に対して左右方向(軸部材140の軸線方向)に相対移動不能である。
【0067】
また、本実施形態では、軸支孔112の直径(内径)は軸支部145の直径(外径)よりも大きく、軸支孔112の内周面と軸支部145の外周面との間には遊び(ガタ)があるので、天井側固定部材110に回動可能に軸支された軸部材140は、「軸支孔112の内周面と軸支部145の外周面との間の遊び」の分だけ天井側固定部材110に対して上下方向および前後方向に相対的に移動することが可能である。
【0068】
図5および図6に示す如く、軸部材140が天井側固定部材110に回動可能に軸支されたとき、軸部材140は円筒部材130に収容され、軸部材140の胴体部141の外周面142は円筒部材130の内周面132に対向する。
天井側固定部材110に固定された円筒部材130の軸線方向、および、天井側固定部材110に回動可能に軸支されるとともに円筒部材130に収容された軸部材140の軸線方向は、互いに平行である(本実施形態の場合、円筒部材130の軸線方向および軸部材140の軸線方向はいずれも左右方向に対して平行である)。
【0069】
以下では、図12および図13を用いて回動角度θと円筒部材130および軸部材140の挙動との関係について説明する。
【0070】
図13に示す如く、軸部材140の周方向における第一当接面142aの幅L1(より詳細には、第一当接面142aのうち外接円7に接する部分である位相φが27°近傍の部分の幅L1)は、円筒部材130の周方向における逃がし溝135の幅L3(より詳細には、逃がし溝135の内周面132側の開口部の幅L3)よりも小さい(L1<L3)。
また、軸部材140の周方向における第二当接面142bの幅L2は、円筒部材130の周方向における逃がし溝135の幅L3(より詳細には、逃がし溝135の内周面132側の開口部の幅L3)よりも大きい(L2>L3)。
【0071】
図12の(a)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが0°であるとき(θ=0°)、軸部材140の第一当接面142a、より詳細には第一当接面142aのうち外接円7に接する部分である位相φが27°近傍の部分(図11参照)は、円筒部材130に形成された逃がし溝135に対向し、かつ逃がし溝135の壁面135a寄りとなる位置に配置される。
【0072】
図12の(b)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°であるとき(θ=20°)、軸部材140の第一当接面142a、より詳細には第一当接面142aのうち外接円7に接する部分である位相φが27°近傍の部分(図11参照)は、円筒部材130に形成された逃がし溝135に対向し、かつ逃がし溝135の壁面135b寄りとなる位置に配置される。
【0073】
従って、回動角度θが0°から20°までの範囲(0°≦θ≦20°)であるとき、軸部材140の第一当接面142a、より詳細には第一当接面142aのうち外接円7に接する部分である位相φが27°近傍の部分(図11参照)は、円筒部材130に形成された逃がし溝135に対向する(円筒部材130の内周面132には対向しない)こととなる。
【0074】
軸部材140の第一当接面142aおよび第二当接面142bに接する外接円7の半径R2(図11参照)は円筒部材130の内周面132の半径R1(図9参照)よりも大きいが、回動角度θが0°から20°までの範囲(0°≦θ≦20°)であるときには軸支孔112の端面と軸支部145の外周面との間の遊びの分だけ軸部材140が天井側固定部材110(ひいては円筒部材130)に対して上方に移動し、軸部材140の胴体部141において第一当接面142aに対応する部分が逃がし溝135に収容される。
その結果、第二当接面142bは内周面132に当接するが第一当接面142aは内周面132に当接しないので、円筒部材130は弾性変形しない。
従って、第二当接面142bと内周面132とが当接する部分には円筒部材130の弾性力(弾性変形した円筒部材130が元の形状に戻ろうとする力)に起因する摩擦力が発生しない。
【0075】
図12の(b)および図12の(c)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるとき、軸部材140の第一当接面142aは円筒部材130に形成された逃がし溝135に対向せず、円筒部材130の内周面132に対向する。
また、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるとき、軸部材140の第二当接面142bの少なくとも一部は円筒部材130の内周面132に対向する。
軸部材140の胴体部141の第一当接面142aおよび第二当接面142bに接する外接円7の半径R2(図11参照)は円筒部材130の内周面132の半径R1(図9参照)よりも大きいので、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるときには軸部材140の第一当接面142aおよび第二当接面142bが円筒部材130の内周面132に当接し、円筒部材130は円筒部材130の半径方向(円筒部材130の軸線方向に垂直な方向)に押し広げられるように弾性変形する。
従って、第一当接面142aと内周面132とが当接する部分、および第二当接面142bと内周面132とが当接する部分には円筒部材130の弾性力(弾性変形した円筒部材130が元の形状に戻ろうとする力)に起因する摩擦力が発生する。
【0076】
以下では、図1から図4、および図12を用いて天井板1に対してモニター4が回動するときのヒンジ100の挙動について説明する。
【0077】
図1および図4の(a)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが0°(θ=0°)であるとき、モニター4は天井側カバー3の「左側壁部」、「右側壁部」および「後壁部」で囲まれる部分に配置される。
また、モニター4のモニターカバー6の後側の端面は天井側カバー3の後壁部の前面に対向し、モニターカバー6の後側の端面に形成された係止穴6b(図2参照)には係止部材3aの突起部が嵌合する。
係止部材3aの突起部がモニターカバー6の係止穴6bに嵌合することにより、モニター4はヒンジ100L・100Rおよび係止部材3a(天井側カバー3)を介して天井板1に支持されるので、天井板1に対するモニター4の回動は規制され、天井板1に対するモニター4の回動角度θは0°に保持される。
【0078】
図1および図4の(a)に示す状態で自動車の後部座席に座った搭乗者が係止部材3aの押しボタン部を上方に押した場合、係止部材3aの突起部が天井側カバー3の後壁部の前面よりも後方となる位置まで移動(退避)し、天井側カバー3の後壁部の内部空間に収容され、係止部材3aの突起部がモニターカバー6の係止穴6bに嵌合した状態が解除される。
【0079】
図12の(a)および図12の(b)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが0°から20°までの範囲(0°≦θ≦20°)であるとき、軸部材140の外周面142(より詳細には、第一当接面142aおよび第二当接面142b)と円筒部材130の内周面132とが当接する部分には円筒部材130の弾性力に起因する摩擦力が発生しない。
従って、係止部材3aの突起部がモニターカバー6の係止穴6bに嵌合した状態が解除された場合、モニター4は天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°となるまでは左側面視で時計回りに自重で回動する(図2および図4の(b)参照)。
【0080】
図12の(b)および図12の(c)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるとき、軸部材140の外周面142(より詳細には、第一当接面142aおよび第二当接面142b)と円筒部材130の内周面132とが当接する部分には円筒部材130の弾性力に起因する摩擦力が発生する。
【0081】
従って、図2および図4の(b)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°となった時点で当該摩擦力が発生して天井板1に対するモニター4の回動が規制され、モニター4は天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°となる位置(より厳密には、モニター4が自重で回動するときの運動エネルギーを摩擦力で相殺するためにα°だけ余分に回動する(α;正の値)ので、回動角度θが(20+α)°となる位置)で保持される。
【0082】
また、図2、図3、図4の(b)および図4の(c)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるとき、自動車の後部座席に座った搭乗者がモニター4を手で持って前方に押したり後方に引いたりすることにより、軸部材140の外周面142と円筒部材130の内周面132とが当接する部分に発生する摩擦力に抗してモニター4を回動させることが可能である。
【0083】
さらに、図2、図3、図4の(b)および図4の(c)に示す如く、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)であるとき、自動車の後部座席に座った搭乗者がモニター4から手を離すことにより、搭乗者がモニター4から手を離した時点の天井板1に対するモニター4の回動角度θが保持される。
【0084】
このように、自動車の後部座席に座った搭乗者は、天井板1に対するモニター4の回動角度θが20°から180°までの範囲(20°<θ≦180°)では、天井板1に対するモニター4の回動角度を好みの回動角度(例えば、搭乗者がモニター本体5の画像表示面を見やすい角度)に変更し、保持することが可能である。
【0085】
以上の如く、ヒンジ100Lは、
天井板1にモニター4を回動可能に連結するヒンジであって、
天井板1に固定される天井側固定部材110と、
モニター4に固定されるモニター側固定部材120と、
内周面132を有し、天井側固定部材110に固定される円筒部材130と、
外周面142を有し、一端部(右端部)がモニター側固定部材120に固定され、他端部(左端部)が天井側固定部材110に回動可能に軸支され、かつ、円筒部材130に収容される軸部材140と、
を具備し、
円筒部材130の軸線方向および軸部材140の軸線方向は互いに平行(本実施形態では、いずれも左右方向に対して平行)であり、
円筒部材130の内周面132には逃がし溝135が形成され、
軸部材140の外周面142は、軸部材140の周方向において順に第一当接面142a、第一離間面142c、第二当接面142bおよび第二離間面142dに区分され、
第一当接面142aおよび第二当接面142bに接する外接円7の半径R2は、第一離間面142cから外接円7の中心7aまでの距離よりも大きく、第二離間面142dから外接円7の中心7aまでの距離よりも大きく、かつ、円筒部材130の内周面132の半径R1よりも大きく、
軸部材140の周方向における第一当接面142aの幅L1は、円筒部材130の周方向における逃がし溝135の幅L3よりも小さく、
第一当接面142aが逃がし溝135に対向するとき(0°≦θ≦20°)、軸部材140において第一当接面142aに対応する部分が逃がし溝135に収容されることにより円筒部材130が弾性変形せず、
第一当接面142aが円筒部材130の内周面132に対向するとき(20°<θ≦180°)、第一当接面142aおよび第二当接面142bが円筒部材130の内周面132に当接することにより円筒部材130が円筒部材130の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、第一当接面142aと円筒部材130の内周面132とが当接する部分および第二当接面142bと円筒部材130の内周面132とが当接する部分には摩擦力が発生する。
このように構成することにより、天井側固定部材110に対するモニター側固定部材120の回動角度が所定の範囲内である場合(20°<θ≦180°の場合)には回動規制力(天井側固定部材110に対するモニター側固定部材120の回動を規制する力であり、本実施形態では円筒部材130の弾性力に起因する摩擦力がこれに相当する)を発生させることが可能であり、天井側固定部材110に対するモニター側固定部材120の回動角度が所定の範囲外である場合(0°≦θ≦20°の場合)には回動規制力を発生させないことが可能である。
【0086】
また、天井側固定部材110には二つの係合孔113・114が形成され、
円筒部材130の一端部(左端部)には二つの係合突起136・137が形成され、
二つの係合孔113・114にそれぞれ二つの係合突起136・137が係合することにより、円筒部材130が天井側固定部材110に円筒部材130の軸線周りに相対回転不能に固定される。
このように構成することにより、簡便な構造で円筒部材130を天井側固定部材110に円筒部材130の軸線周りに相対回転不能に固定することが可能である。
【0087】
本実施形態では二つの係合突起136・137が二つの係合孔113・114にそれぞれ係合するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、円筒部材に形成される係合凸部および第一ウイング部材に形成される係合凸部の数は単数でも複数でも良い。
【0088】
また、本実施形態では天井側固定部材110および円筒部材130が別体(別の部材)であり、これらが溶接により固定されるが、本発明はこれに限定されず、天井側固定部材110および円筒部材130が一体でも良い(一体的に成形されていても良い)。
すなわち、本発明において「円筒部材が第一ウイング部材に固定されること」には「第一ウイング部材および円筒部材が一体的に成形されること」が含まれる。
【0089】
また、本実施形態ではモニター側固定部材120および軸部材140が別体(別の部材)であり、これらが溶接により固定されるが、本発明はこれに限定されず、モニター側固定部材120および軸部材140が一体でも良い(一体的に成形されていても良い)。
すなわち、本発明において「軸部材が第二ウイング部材に固定されること」には「第二ウイング部材および軸部材が一体的に成形されること」が含まれる。
【0090】
本実施形態では軸部材140の周方向における第二当接面142bの幅L2は円筒部材130の周方向における逃がし溝135の幅L3よりも大きいが、本発明はこれに限定されない。例えば、図14に示す軸部材240の如くであっても良い。
【0091】
図14に示す軸部材240は、その外周面として第一当接面242a、第一離間面242c、第二当接面242bおよび第二離間面242dを有する。軸部材240の周方向における第一当接面242aの幅および第二当接面242bの幅は、いずれも円筒部材130の周方向における逃がし溝135の幅よりも小さい。
図14に示す軸部材240の場合、第一当接面242aおよび第二当接面242bのうち、いずれか一方が円筒部材130に形成された逃がし溝135に対向するときには円筒部材130は弾性変形しない。
また、第一当接面242aおよび第二当接面242bが円筒部材130の内周面132に対向するときには第一当接面242aおよび第二当接面242bが内周面132に当接し、円筒部材130は弾性変形する。
このように、本発明に係る軸部材の周方向における第二当接面の幅は、円筒部材の周方向における逃がし溝の幅よりも大きくても良く、逃がし溝の幅よりも小さくても良い。
より詳細には、回動規制力(円筒部材の弾性力に起因する摩擦力)が発生する回動角度の範囲をどのように設定するかに応じて軸部材の周方向における第二当接面の幅を適宜選択することが望ましい。
【0092】
本実施形態では円筒部材130の内周面132に形成される逃がし溝135は内周面132から外周面131まで到達する(円筒部材130の半径方向に切り通される)が、本発明はこれに限定されない。例えば、図15の(a)に示す円筒部材230の如くであっても良い。
【0093】
図15の(a)に示す円筒部材230は概ね円筒形状の部材であり、外周面231、内周面232および一対の端面を有する。
円筒部材230の内周面232には逃がし溝235が形成される。
逃がし溝235は内周面232には開口しているが、外周面231には開口していない。
より詳細には、逃がし溝235は外周面231まで到達せず、逃がし溝235の深さ(円筒部材230の半径方向における深さ)は円筒部材230の肉厚(外周面231から内周面232までの距離)の半分程度である。
このように、本発明に係る逃がし溝は、少なくとも円筒部材の内周面に開口し、かつ、逃がし溝の内部に軸部材における第一当接面に対応する部分を収容することにより円筒部材が弾性変形しなければ良く、逃がし溝が円筒形状の外周面まで到達していなくても良い。
より詳細には、逃がし溝が円筒形状の外周面まで到達するか否か、円筒部材の肉厚、円筒部材を構成する材料、ならびに、軸部材の外周面の外接円の直径と円筒部材の内周面の直径との差分の大きさは、要求される円筒部材の弾性変形量(ひいては、軸部材との間に発生する摩擦力の大きさ)に応じて適宜選択することが望ましい。
【0094】
本実施形態では円筒部材130の内周面132には一つの逃がし溝135が形成されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、図15の(b)に示す円筒部材330の如くであっても良い。
【0095】
図15の(b)に示す円筒部材330は概ね円筒形状の部材であり、外周面331、内周面332および一対の端面を有する。
円筒部材330の内周面332には逃がし溝335・335が形成される。
このように、本発明に係る円筒部材の内周面に二つ以上の逃がし溝を形成しても良い。
【0096】
本実施形態では円筒部材130の内周面132に形成される逃がし溝135が端面133から端面134まで到達する(円筒部材130の軸線方向に切り通される)が、本発明はこれに限定されない。例えば、図16に示す円筒部材430の如くであっても良い。
【0097】
図16に示す円筒部材430は概ね円筒形状の部材であり、外周面431、内周面432、および一対の端面433・434を有する。
円筒部材430の内周面432には逃がし溝435が形成される。逃がし溝435は一対の対向する壁面435a・435bを有する。
逃がし溝435は内周面432から外周面431まで到達する(円筒部材430の半径方向に切り通される)。
逃がし溝435は端面433には開口しているが、端面434には開口していない。
すなわち、逃がし溝435の左側の端部は円筒部材430の軸線方向における中途部に配置され、端面434まで到達しない。
このように、本発明に係る円筒部材の内周面に形成される逃がし溝は、円筒部材の一対の端面の両方に開口していても良く(円筒部材の一方の端面から他方の端面まで切り通されていても良く)、円筒部材の一方の端面に開口するとともに他方の端面には開口しなくても良く、あるいは円筒部材の一対の端面のいずれにも開口していなくても良い(円筒部材の軸線方向における中途部にのみ形成されていても良い)。
【0098】
本実施形態のヒンジ100Lは天井側固定部材110、モニター側固定部材120、円筒部材130および軸部材140を具備するが、本発明に係るヒンジはこれに限定されない。
例えば、(i)天井側固定部材110が天井板1の一部である場合には、ヒンジ100Lが具備する部材から天井側固定部材110を省略することが可能である。
また、(ii)モニター側固定部材120がモニター4の一部である場合にはヒンジ100Lが具備する部材からモニター側固定部材120を省略することが可能である。
また、(iii)天井側固定部材110が天井板1の一部であり、かつモニター側固定部材120がモニター4の一部である場合には、ヒンジ100Lが具備する部材から天井側固定部材110およびモニター側固定部材120を省略することが可能である。
すなわち、本発明に係るヒンジは、以下の(A)〜(C)の如き構成でも良い。
【0099】
(A)第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第二連結対象物に固定される第二ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二ウイング部材に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備する。
上記(A)の構成は、上記(i)の場合に対応する。
【0100】
(B)第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一ウイング部材に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一ウイング部材に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備する。
上記(B)の構成は、上記(ii)の場合に対応する。
【0101】
(C)第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備する。
上記(C)の構成は、上記(iii)の場合に対応する。
【0102】
本実施形態のヒンジ100Lは天井板1にモニター4を回動可能に連結する用途に用いられるが、本発明はこれに限定されず、本発明に係るヒンジを他の用途に用いても良い。
本発明に係るヒンジの他の用途の例としては、壁に扉を回動可能に連結する用途、容器の本体に容器の蓋を回動可能に連結する用途等が挙げられる。
【符号の説明】
【0103】
1 天井板(第一連結対象物)
2 モニターユニット
3 天井側カバー
4 モニター(第二連結対象物)
5 モニター本体
6 モニターカバー
100L・100R ヒンジ
110 天井側固定部材(第一ウイング部材)
120 モニター側固定部材(第二ウイング部材)
130 円筒部材
132 内周面
135 逃がし溝
140 軸部材
142 外周面
142a 第一当接面
142b 第二当接面
142c 第一離間面
142d 第二離間面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
前記第二連結対象物に固定される第二ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一ウイング部材に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二ウイング部材に固定され、他端部が前記第一ウイング部材に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生する、
ヒンジ。
【請求項2】
前記第一ウイング部材には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一ウイング部材に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定される、
請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第二連結対象物に固定される第二ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二ウイング部材に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生する、
ヒンジ。
【請求項4】
前記第一連結対象物には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一連結対象物に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定される、
請求項3に記載のヒンジ。
【請求項5】
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
内周面を有し、前記第一ウイング部材に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が前記第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一ウイング部材に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において順に第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生する、
ヒンジ。
【請求項6】
前記第一ウイング部材には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凹部と同数の係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一ウイング部材に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定される、
請求項5に記載のヒンジ。
【請求項7】
第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
内周面を有し、前記第一連結対象物に固定される円筒部材と、
外周面を有し、一端部が第二連結対象物に固定され、他端部が前記第一連結対象物に回動可能に軸支され、かつ、前記円筒部材に収容される軸部材と、
を具備し、
前記円筒部材の軸線方向および前記軸部材の軸線方向は互いに平行であり、
前記円筒部材の内周面には逃がし溝が形成され、
前記軸部材の外周面は、前記軸部材の周方向において第一当接面、第一離間面、第二当接面および第二離間面に区分され、
前記第一当接面および前記第二当接面に接する外接円の半径は、前記第一離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、前記第二離間面から前記外接円の中心までの距離よりも大きく、かつ、前記円筒部材の内周面の半径よりも大きく、
前記軸部材の周方向における前記第一当接面の幅は、前記円筒部材の周方向における前記逃がし溝の幅よりも小さく、
前記第一当接面が前記逃がし溝に対向するとき、前記軸部材において前記第一当接面に対応する部分が前記逃がし溝に収容されることにより前記円筒部材が弾性変形せず、
前記第一当接面が前記円筒部材の内周面に対向するとき、前記第一当接面および前記第二当接面が前記円筒部材の内周面に当接することにより前記円筒部材が前記円筒部材の半径方向に押し広げられるように弾性変形し、前記第一当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分および前記第二当接面と前記円筒部材の内周面とが当接する部分には摩擦力が発生する、
ヒンジ。
【請求項8】
前記第一連結対象物には係合凹部が形成され、
前記円筒部材の一端部には前記係合凸部が形成され、
前記係合凹部に前記係合凸部が係合することにより、前記円筒部材が前記第一連結対象物に前記円筒部材の軸線周りに相対回転不能に固定される、
請求項7に記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−220379(P2011−220379A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87327(P2010−87327)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】