説明

ピリジン化合物の製造方法

【課題】高い収率でハロアルキル基を2−位に有するピリジン化合物が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】カルボン酸、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属塩の少なくとも1つの存在下で、2−位にアルキル基等を有するピリジン化合物とトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも1つのハロゲン化剤とを反応させることによる、モノハロアルキル基またはジハロアルキル基を2−位に有するピリジン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医農薬中間体等に用いられるハロアルキル基を有するピリジン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピリジンの2位メチル基をハロゲン化する方法としては、モノクロル化する方法として炭酸ナトリウムの存在下で塩素ガスを反応させる方法およびトリクロロイソシアヌル酸を用いる方法が知られている(例えば、非特許文献1、2参照。)。またピリジンを酸化してN−オキシド体とした後に、このN−オキシド体を転位させ、その後にクロル化してクロル体を製造する方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、毒性の点で問題のある塩素ガスを使用するには設備上および環境上大きな制約があり、非特許文献2および特許文献1の方法では収率が40%程度と低いこと、反応工程が長く、また最終収率も低下するため、効率的な合成法とはいい難い。
また、N−クロロスクシンイミドとラジカル開始剤を用いた反応では、生成物はモノクロル体、ジクロル体、トリクロル体の混合物として得られる(例えば、非特許文献3参照。)。またピリジン化合物の2位以外の部位にアルキル等の置換基がある場合、N−クロロスクシンイミドとラジカル開始剤を用いた反応では2位以外の置換基でも反応が起こることが容易に考えられる。従って、特定のハロゲン化体を選択的に得るクロル化手段とはなり得ない。
【0003】
従って、工業的な合成という観点からより安全で、より短工程で高い収率でハロアルキル基を有するピリジン化合物を製造する合成方法が望まれている。
【非特許文献1】Angewandte Chemie,1963、p.235
【非特許文献2】Chemische Berichte,1987,p.649
【非特許文献3】新編ヘテロ環化合物基礎編、p.132(講談社)
【特許文献1】特公平2−44473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、短工程で高い収率でハロアルキル基を有するピリジン化合物を製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであって、本発明の上記課題は、具体的には下記の手段により達成された。
<1> 下記一般式(2)で表わされるピリジン化合物の製造方法であって、カルボン酸、該カルボン酸のアルカリ金属塩、および該カルボン酸のアルカリ土類金属塩の少なくとも1つの存在下で、下記一般式(1)で表されるピリジン化合物とトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも1つのハロゲン化剤を反応させ、モノハロゲン化することを特徴とするピリジン化合物の製造方法である。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R、Rが互いに連結して環を形成していてもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。);
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R、R、R、及びnは一般式(1)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。)。
<2> 前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも一つの化合物であり、前記一般式(2)の化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載のピリジン化合物の製造方法である。
【0010】
【化3】

【0011】
(R、R、R、及びnは一般式(1)におけると同義である。)。
<3> 前記カルボン酸が炭素鎖1〜6の分岐していてもよい脂肪族カルボン酸であり、該カルボン酸のアルカリ金属塩がリチウム塩、ナトリウム塩、もしくはカリウム塩であり、該カルボン酸アルカリ土類金属塩がマグネシウム塩、もしくはカルシウム塩であることを特徴とする<1>または<2>に記載のピリジン化合物の製造方法である。
<4> 前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸であり、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸より選ばれるカルボン酸、及び酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムより選ばれるカルボン酸のアルカリ金属塩の共存下に反応を行なうことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のピリジン化合物の製造方法である。
<5> 下記一般式(5)で表わされるピリジン化合物の製造方法であって、カルボン酸、該カルボン酸のアルカリ金属塩、およびは該カルボン酸のアルカリ土類金属塩の少なくとも1つの存在下で、下記一般式(4)で表されるピリジン化合物とトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも一つのハロゲン化剤を反応させ、ジハロゲン化することを特徴とするピリジン化合物の製造方法である。
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。);
【0014】
【化5】

【0015】
(R、R、及びnは一般式(4)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。)。
<6> 前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、もしくは1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトインであり、下記一般式(6)で表されるピリジン化合物を製造する<5>に記載のピリジン化合物の製造方法である。
【0016】
【化6】

【0017】
(R、R、又はnは一般式(4)におけると同義である。)。
<7> 前記カルボン酸が炭素鎖1〜6の分岐していてもよい脂肪族カルボン酸であり、該カルボン酸のアルカリ金属塩がリチウム塩、ナトリウム塩、もしくはカリウム塩であり、該カルボン酸アルカリ土類金属塩がマグネシウム塩、もしくはカルシウム塩であることを特徴とする<5>または<6>に記載のピリジン化合物の製造方法である。
<8> 前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸であり、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸より選ばれるカルボン酸、及び酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムより選ばれるカルボン酸のアルカリ金属塩の共存下に反応を行なうことを特徴とする<5>〜<7>のいずれかに記載のピリジン化合物の製造方法。
【0018】
従来の技術の説明に記載したように、ピリジンの2位メチル基のハロゲン化を選択的に効率よく行なう方法は知られていない。本発明者らはピリジンの2位メチル基を選択的に効率よくハロゲン化する方法を鋭意検討した結果、予想外にも脂肪族カルボン酸、該脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、該脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属酸塩の少なくとも1つの存在下でハロゲン化反応を行なうことにより、収率よく目的のモノハロゲン体またはジハロゲン体を得る方法を見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、高い収率でハロアルキル基を2−位に有するピリジン化合物を製造する製造方法が提供される。本製造方法によれば、医農薬中間体等として有用なピリジン化合物を安価、安全に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず一般式(1)の化合物について説明する。
【0021】
【化7】

【0022】
一般式(1)において、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R、Rが互いに連結して環を形成していてもよい。Rは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。
【0023】
、Rに包含されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、及びシクロヘキシル等が挙げられる。これらのなかでもメチル、エチル、イソブチル、又はシクロプロピルが好ましく、メチルがより好ましい。
【0024】
及びRは連結して環を形成する場合、好ましい例としてはシクロプロパン環、シクロペンタン環、及びシクロヘキサン環等が挙げられる。
【0025】
、Rに包含されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。アリール基の具体的な例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−トリル基、及び2,4,6−トリメチルフェニル基(メシチル基)等が挙げられるが、これらの中でもフェニル基、1−ナフチル基、又はp−トリル基が好ましく、フェニル基、p−トリル基がより好ましく、フェニル基がなおより好ましい。
【0026】
、Rに包含されるアルケニル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアルケニルである。直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、及び2−シクロプロパニルエテニル等が挙げられる。これらの中でもエテニル、プロペニル、ブテニルが好ましく、エテニル、プロペニルがなおより好ましい。
【0027】
、Rに包含されるアルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−1−プロピニル、及び2−シクロプロピルエチニル等が挙げられる。これらの中でも1−プロピニル、1−ブチニルが好ましく、1−プロピニルがなおより好ましい。
【0028】
、Rに包含されるヘテロアリール基としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、2−イソキノリル、2−インドイル、3−インドイル、2−ベンゾフラノイル、2−ベンゾチオフェニル、3−ベンゾチオフェニル、2−フラノイル、3−フラノイル、2−チオフェニル、3−チオフェニル、2−イミダゾイル、2−ベンズイミダゾイル、2−ピラジニル、及び2−ピリミジニル等が挙げられる。
これらの中でも2−ピリジル、2−キノリル、又は2−イソキノリルが好ましく、2−ピリジルがなおより好ましい。
【0029】
は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、置換していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のエステル基を表わす。
【0030】
が炭素数1〜6のアルキル基を表す場合、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、及びシクロヘキシル等が挙げられる。
【0031】
が炭素数6〜12のアリール基を表す場合、該アリール基としては置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。アリール基の具体的な例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−トリル基、及び2,4,6−トリメチルフェニル基(メシチル基)等が挙げられるが、これらの中でもフェニル基、1−ナフチル基、又はp−トリル基が好ましく、フェニル基、p−トリル基がより好ましく、フェニル基がなおより好ましい。
【0032】
が置換していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表す場合、該アルコキシ基としてたとえばメトキシ、エトキシ、n−プロピル、2−メチルエトキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブトキシ、シクロヘキソキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2,−トリフルオロエトキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、及び2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−5−イル−メトキシ等があげられる。好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、2−メチルエトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロメトキシ、2,2,2,−トリフルオロエトキシ、又は2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−5−イル−メトキシが好ましい。
【0033】
が炭素数6〜12のアリールオキシ基の場合、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、p−トリルオキシ基、及び2,4,6−トリメチルフェノキシ基等が挙げられるが、これらの中でもフェノキシ基、1−ナフトキシ基、又はp−トリルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、p−トリルオキシ基がより好ましく、フェノキシ基がなおより好ましい。
【0034】
が炭素数1〜6のエステル基の場合、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルプロピル、エトキシカルボニルプロピル、エトキシカルボニル(1−メチル)メチル、及びビス(エトキシカルボニル)メチル等が挙げられるが、これらの中でもメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルプロピル、又はエトキシカルボニルプロピルが好ましく、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルがなおより好ましい。
【0035】
これらの中で、好ましくは、R、Rが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、2−ピリジル基、又は2−キノリル基で、Rが水素原子、クロル基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、又は2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−5−イル−メトキシであり、より好ましくは、R、Rが水素原子、メチル基、フェニル基、又は2−ピリジル基で、Rがクロル基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、メトキシプロポキシ基、又は2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−5−イル−メトキシ、特に好ましくは、R、Rが水素原子で、Rが水素原子、メチル基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、メトキシプロポキシ基、又は2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−5−イル−メトキシ基である。
【0036】
以下に一般式(1)で表わされるピリジン化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化8】

【0038】
次に一般式(2)の化合物について説明する。
【0039】
【化9】

【0040】
一般式(2)において、R、R、R、及びnは一般式(1)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子である。最も好ましいXは塩素原子である。
【0041】
以下に一般式(2)で表わされるピリジン化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化10】

【0043】
次に、脂肪族カルボン酸、該脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、該脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩について説明する。脂肪族カルボン酸としては炭素が1〜6の脂肪族カルボン酸が挙げられる。具体的化合物例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸等があげられる。これらの中でも酢酸、プロピオン酸が好ましい。
【0044】
脂肪族カルボン酸の使用量は、ピリジン化合物に対して1倍モル〜100倍モルが好ましく、より好ましくは、1倍モル〜20倍モルである。1倍モル未満では、反応率が低下するため好ましくなく、100倍モルを越えると反応に対して大きな障害を与えることはないが、余剰の原材料を用いるため生産コスト上好ましくない。
【0045】
脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩を挙げることが出来る。例えばギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸リチウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、イソ酪酸リチウム、イソ酪酸ナトリウム、イソ酪酸カリウム、吉草酸リチウム、吉草酸ナトリウム、吉草酸カリウム、イソ吉草酸リチウム、イソ吉草酸ナトリウム、イソ吉草酸カリウム、ピバリン酸リチウム、ピバリン酸ナトリウム、ピバリン酸カリウム、ヘキサン酸リチウム、ヘキサン酸ナトリウム、ヘキサン酸カリウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸リチウム、マロン酸ナトリウム、マロン酸カリウム、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、グルタル酸リチウム、グルタル酸ナトリウム、グルタル酸カリウム、アジピン酸リチウム、アジピン酸ナトリウム、及びアジピン酸カリウム等が挙げられる。好ましくはギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸リチウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、イソ酪酸リチウム、イソ酪酸ナトリウム、又はイソ酪酸カリウムが好ましく、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、又はプロピオン酸カリウムがなおより好ましい。
【0046】
カルボン酸アルカリ金属塩の使用量は、ピリジン化合物に対して0.1倍モル〜100倍モルが好ましく、より好ましくは、1倍モル〜10倍モルである。0.1倍モル未満では、反応率が低下するため好ましくなく、100倍モルを越えると反応に対して大きな障害を与えることはないが、余剰の原材料を用いるため生産コスト上好ましくない。
【0047】
脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩としては、炭素鎖が1〜6のカルボン酸のマグネシウム塩とカルシウム塩が挙げられる。例えば、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、酪酸マグネシウム、酪酸カルシウム、イソ酪酸マグネシウム、イソ酪酸カルシウム、吉草酸マグネシウム、吉草酸カルシウム、イソ吉草酸マグネシウム、イソ吉草酸カルシウム、ピバリン酸マグネシウム、ピバリン酸カルシウム、ヘキサン酸マグネシウム、ヘキサン酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸マグネシウム、マロン酸カルシウム、コハク酸マグネシウム、コハク酸カルシウム、グルタル酸マグネシウム、グルタル酸カルシウム、グルタル酸マグネシウム、グルタル酸カルシウム、アジピン酸マグネシウム、及びアジピン酸カルシウム等が挙げられる。好ましくはギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、酪酸マグネシウム、酪酸カルシウム、イソ酪酸マグネシウム、又はイソ酪酸カルシウムが好ましく、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、又はプロピオン酸カルシウムがなおより好ましい。
【0048】
カルボン酸アルカリ土類金属塩の使用量は、ピリジン化合物に対して0.1倍モル〜100倍モルが好ましく、より好ましくは、1倍モル〜10倍モルである。0.1倍モル未満では、反応率が低下するため好ましくなく、100倍モルを越えると反応に対して大きな障害を与えることはないが、余剰の原材料を用いるため生産コスト上好ましくない。
【0049】
本発明に用いられるハロゲン化剤としては、トリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインが挙げられる。好ましくはトリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、又はトリヨードイソシアヌル酸が好ましい。
【0050】
ハロゲン化剤の使用量は、ピリジン化合物に対して0.1倍モル〜50倍モルが好ましく、より好ましくは、0.3倍モル〜5倍モルである。0.1倍モル未満では、反応率が低下するため好ましくなく、50倍モルを越えると余剰の原材料を用いるため生産コスト上好ましくない。
【0051】
本発明における反応に使用される溶媒は、反応基質/反応中間体/反応生成物の析出等で攪拌不能になる等の工程操作上の問題を引き起こさず、反応の進行を妨げず、かつ本発明の製造条件において分解して反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えばエタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、ヘキサン、へプタン、デカンに代表される脂肪族系炭化水素溶剤、トルエン、キシレン(o−体、m−体、p−体あるいはこれらの任意の割合の混合物のいずれであってもよい)、メシチレン、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶剤、アセトニトリル、及びプロピオニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、原料または上記カルボン酸が液状の場合、これらを溶媒として反応を行なってもよい。
【0052】
本発明の製造方法において、一般式(2)の化合物を合成する反応温度は、−40℃〜180℃であり、好ましくは−20℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜40℃である。
【0053】
次に一般式(4)の化合物について説明する。
【0054】
【化11】

【0055】
一般式(4)において、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。
【0056】
が炭素数1〜6のアルキル基を表す場合、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、及びシクロヘキシル等が挙げられる。これらのなかでもメチル、エチル、イソブチル、又はシクロプロピルが好ましく、メチルがより好ましい。
【0057】
が炭素数6〜12のアリール基を表す場合、該アリール基としては置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。アリール基の具体的な例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−トリル基、及び2,4,6−トリメチルフェニル基(メシチル基)等が挙げられるが、これらの中でもフェニル基、1−ナフチル基、又はp−トリル基が好ましく、フェニル基、p−トリル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
【0058】
一般式(4)におけるRは一般式(1)と同じ置換基が挙げられ、好ましい置換基も同様である。
【0059】
以下に一般式(4)で表わされるピリジン化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化12】

【0061】
次に、一般式(5)の化合物について説明する。
【0062】
【化13】

【0063】
一般式(5)において、R、R、及びnは一般式(4)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。好ましいハロゲン原子も一般式(4)におけると同様である。
【0064】
以下に一般式(5)で表わされる化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化14】

【0066】
一般式(5)の化合物の合成における反応温度は、好ましくは−40℃〜180℃であり、より好ましくは40℃〜180℃、さらに好ましくは40℃〜110℃である。
【0067】
反応を行なう雰囲気としては、空気中および窒素、アルゴン等の不活性ガス化が選択され、空気中が好ましい。
反応の攪拌方法はスターラーによる攪拌、羽根による攪拌等、化学工学的に常套の手段で攪拌を行なうことができる。
原料の投入方法は、一気投入、分割投入等の化学的に常套の手段で行なうことができ、好ましくは分割投入することが好ましい。
生成物の単離方法は、濃縮、晶析、蒸留、抽出、シリカゲルクロマトグラフィー等に代表される化学工学的に常套の分離・精製手段を適用することで単離することができる。好ましくは、蒸留、晶析、シリカゲルクロマトグラフィーが好ましい。
【0068】
(用途)
本発明により得られた化合物は、医農薬、医農薬中間体、化粧品、電子材料、液晶材料、高分子材料のモノマー等に用いることができる。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例、比較例および使用例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
実施例1
2,3−ジメチルピリジン1.0gを酢酸20mLに溶解させ、酢酸カリウム3.7gを加え攪拌した。トリクロロイソシアヌル酸2.6gを室温で分割添加した。同温で24時間攪拌し、HPLCにて反応率を確認したところ、72%だった。酢酸エチル20mLを加え、20%炭酸カリウム水で中和後抽出し、有機層を水20mLで洗浄した。有機層を濃縮しシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、2−クロロメチル−3−メチルピリジンを得た(収量0.90g、収率68%)。
【0071】
化学構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
<HPLC条件>
カラム:トーソーODS−80Ts
波長:254nm
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
A液:超純水 トリエチルアミン0.1%、酢酸0.1%添加
B液:アセトニトリル トリエチルアミン0.1%、酢酸0.1%添加
タイムプログラム
0min B液20%
5min B液20%
10min B液50%
15min B液100%
20min stop
リテンションタイム
2−クロロメチル−3−メチルピリジン12.7min
【0072】
実施例2
2−メチル−5−クロロピリジン1.2gを用い、実施例1と同様の方法で2−クロロメチル−5−クロロピリジンを得た(収量1.1g、収率70%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0073】
実施例3
2−メチルキノリン1.3gを用い、実施例1と同様の方法で2−クロロメチルキノリンを得た(収量1.2g、収率70%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0074】
実施例4
2,3−ジエチルピリジン1.3gを用い、実施例1と同様の方法で2−(1−クロロエチル)−3−エチルピリジンを得た(収量1.1g、収率65%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0075】
実施例5
2−フェニルメチルピリジン1.6gを用い、実施例1と同様の方法で2−クロロ(フェニル)メチルピリジンを得た(収量1.2g、収率62%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0076】
実施例6
2,3−ジメチル−4−メトキシプロポキシピリジン1.8gを用い、実施例1と同様の方法で2−クロロメチル−3−メチル−4−メトキシプロポキシピリジンを得た(収量1.5g、収率70%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0077】
実施例7
2,3−ジメチル−4−(2,2,2,−トリフルオロメトキシ)ピリジン1.9gを用い、実施例1と同様の方法で2−クロロメチル−3−メチル−4−(2,2,2,−トリフルオロメトキシ)ピリジンを得た(収量1.6g、収率72%)。
構造は標品とHPLCにてリテンションタイムを比較することにて決定した。
【0078】
実施例8
2,3−ジメチルピリジン1.0gを酢酸20mLに溶解させ、酢酸カリウム3.7gを加え攪拌した。トリクロロイソシアヌル酸2.6gを添加し85℃で2時間攪拌した。同温で24時間攪拌し、HPLCにて反応率を確認したところ、85%だった。酢酸エチル20mLを加え、20%炭酸カリウム水で中和後抽出し、有機層を水20mLで洗浄した。有機層を濃縮しシリカゲルクロマトグラフィーで精製する事により、2−ジクロロメチル−3−メチルピリジンを得た(収量1.2g、収率80%)。
【0079】
構造は標品とリテンションタイムを比較することにて決定した。
<HPLC条件>
カラム:トーソーODS−80Ts
波長:254nm
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
A液:超純水 トリエチルアミン0.1%、酢酸0.1%添加
B液:アセトニトリル トリエチルアミン0.1%、酢酸0.1%添加
タイムプログラム
0min B液20%
5min B液20%
10min B液50%
15min B液100%
20min stop
リテンションタイム
2−ジクロロメチル−3−メチルピリジン 14.7min
【0080】
実施例9
2−メチル−5−クロロピリジン1.2gを用い、実施例1と同様の方法で2−ジクロロメチル−5−クロロピリジンを得た(収量1.5g、収率80%)。
【0081】
実施例10
2−メチルキノリン1.3gを用い、実施例1と同様の方法で2−ジクロロメチルキノリンを得た(収量1.7g、収率85%)。
【0082】
実施例11
2,3−ジエチルピリジン1.3gを用い、実施例1と同様の方法で2−(1,1−ジクロロエチル)−3−エチルピリジンを得た(収量1.6g、収率82%)。
【0083】
実施例12
2−フェニルメチルピリジン1.6gを用い、実施例1と同様の方法で2,2−ジクロロ(フェニル)メチルピリジンを得た(収量1.6g、収率72%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)で表わされるピリジン化合物の製造方法であって、カルボン酸、該カルボン酸のアルカリ金属塩、および該カルボン酸のアルカリ土類金属塩の少なくとも1つの存在下で、下記一般式(1)で表されるピリジン化合物とトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも1つのハロゲン化剤を反応させ、モノハロゲン化することを特徴とするピリジン化合物の製造方法:
【化1】


(式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R、Rが互いに連結して環を形成していてもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。);
【化2】


(式中、R、R、R、及びnは一般式(1)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。)。
【請求項2】
前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも一つの化合物であり、前記一般式(2)の化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のピリジン化合物の製造方法:
【化3】


(R、R、R、及びnは一般式(1)におけると同義である。)。
【請求項3】
前記カルボン酸が炭素鎖1〜6の分岐していてもよい脂肪族カルボン酸であり、該カルボン酸のアルカリ金属塩がリチウム塩、ナトリウム塩、もしくはカリウム塩であり、該カルボン酸アルカリ土類金属塩がマグネシウム塩、もしくはカルシウム塩であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピリジン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸であり、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸より選ばれるカルボン酸、及び酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムより選ばれるカルボン酸のアルカリ金属塩の共存下に反応を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のピリジン化合物の製造方法。
【請求項5】
下記一般式(5)で表わされるピリジン化合物の製造方法であって、カルボン酸、該カルボン酸のアルカリ金属塩、およびは該カルボン酸のアルカリ土類金属塩の少なくとも1つの存在下で、下記一般式(4)で表されるピリジン化合物とトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダトイン、トリヨードイソシアヌル酸、N−ヨードスクシンイミド、及び1,3−ジヨード5,5−ジメチルヒダトインからなる群より選択される少なくとも一つのハロゲン化剤を反応させ、ジハロゲン化することを特徴とするピリジン化合物の製造方法:
【化4】


(式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基またはエステル基を表わす。nは0から4の整数を表す。nが2以上の場合、複数個存在するRは互いに同じでも異なっていてもよく、これらが互いに連結して環を形成してもよい。);
【化5】


(R、R、及びはnは一般式(4)におけると同義である。Xはハロゲン原子を表す。)。
【請求項6】
前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸、N−クロロスクシンイミド、もしくは1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダトインであり、下記一般式(6)で表されるピリジン化合物を製造する請求項5に記載のピリジン化合物の製造方法:
【化6】


(R、R、及びnは一般式(4)におけると同義である。)。
【請求項7】
前記カルボン酸が炭素鎖1〜6の分岐していてもよい脂肪族カルボン酸であり、該カルボン酸のアルカリ金属塩がリチウム塩、ナトリウム塩、もしくはカリウム塩であり、該カルボン酸アルカリ土類金属塩がマグネシウム塩、もしくはカルシウム塩であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のピリジン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化剤がトリクロロイソシアヌル酸であり、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸より選ばれるカルボン酸、及び酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムより選ばれるカルボン酸のアルカリ金属塩の共存下に反応を行なうことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のピリジン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2009−67682(P2009−67682A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234484(P2007−234484)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】