説明

フォークリフト用アタッチメント

【課題】フォークリフトのフォークに対して、運搬されるべき荷物を吊り上げるためのロープを、簡単且つ容易に掛けることが出来、また、かかるロープをスムーズに収容して、ロープを効果的に保持することの出来る、構造の簡単なアタッチメントを提供すること。
【解決手段】フォークに取り付けられるアタッチメント本体(12)と、該アタッチメント本体に固定されて、該アタッチメント本体との間に前記ロープの収容空間を形成するように上方に延び出して、水平方向に開口した開口部を形成するカバー部材(14)と、内角が鈍角を呈する形態のL字の角部を回動中心として、前記アタッチメント本体に該L字の位置する平面内において自由に回動可能に取り付けられて、前期カバー部材の開口部を開閉すると共に、前記ロープの不在下においては該開口部を開放するように回動せしめられている回動部材(16)とを有するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト用アタッチメントに係り、特に、フォークリフトのフォークに取り付けられて、運搬されるべき荷物を吊り上げるためのロープ等の吊上げ部材が収容、保持せしめられるアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フレキシブルコンテナ、所謂フレコンと称される、袋状のバッグ等の重量のある荷物を、目的とする場所に移動させたり、トラックへの荷積み、荷降ろし、ラック棚等への積載を行なう等の運搬作業においては、そのような荷物を吊り上げるための吊上げ部材としてのロープ乃至はベルトを、フォークリフトのフォークに掛けて、かかる荷物を吊り上げ、目的とする場所へ移動したりする等の作業が行なわれているが、そのような従来の、フォークにロープ等を掛けただけの荷物の運搬作業では、ロープ等のずり落ちや外れによる荷物の落下が惹起される等の問題を内在するものであった。
【0003】
このため、実開昭63−93400号公報(特許文献1)においては、荷重受けアームと閉じアームとを、ネジリバネの付勢力を利用して、荷物からの荷重の作用の如何によって開閉せしめるようにしたフック装置が、提案されている。そして、そのようなフック装置においては、荷物から延びるロープが荷重受けアーム内に進入せしめられて、荷重が作用させられると、それにリンクした閉じアームが回動して、荷重受けアームとの間に、ロープを収容する閉鎖空間が形成され、そしてその状態において、荷物が運搬されるようになっているのであるが、荷重受けアームと閉じアームとの間の開閉作動が、ネジリバネの付勢力によって行なわれるようになっているところから、そのようなフック装置の長期に亘る使用や異常な荷重の作用等によって、ネジリバネにヘタリや損傷が生じた場合にあっては、それら荷重受けアームと閉じアームとの間の開閉作動を、最早、行ない得なくなるという問題が、内在している。
【0004】
また、特開2000−226195号公報(特許文献2)にあっては、サヤ式安全ロックフック装置として、C字型形状のアームの先端に、回動可能にロックプレートを取り付けて、このロックプレートが常に垂直方向に垂下した状態を保持し得るように、バネにて付勢する一方、かかるロックプレートの下端部に係合して、ロックプレートの回動を阻止するVブロックを、シリンダ作動にて往復動させるようにした構造のものが、提案されている。しかしながら、このサヤ式安全ロックフック装置にあっても、ロックプレートの垂下状態を維持するために、バネが用いられているところから、依然として、そのようなバネのヘタリや損傷の問題が内在していることに加えて、ロックプレートの下端部にVブロックを係合させるために、油圧を用いたシリンダ機構が採用されているために、装置が極めて高価となると共に、構造が複雑となり、また、そのようなシリンダ機構に故障が生じたり、作動不良が生じたりすると、その使用が全く出来なくなるという問題も、内在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−93400号公報
【特許文献2】特開2000−226195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、フォークリフトのフォークに対して、運搬されるべき荷物を吊り上げるための吊上げ部材を、簡単に且つ容易に掛けることの出来る、また故障や作業トラブルの少ない、安価な構造のアタッチメントを提供することにあり、また、他の課題とするところは、かかる吊上げ部材をスムーズに収容して、吊上げ部材を効果的に保持することの出来る、構造の簡単なアタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明は、かくの如き課題の解決のために、フォークリフトのフォークに取り付けられて、運搬されるべき荷物を吊り上げるための吊上げ部材が収容、保持せしめられるアタッチメントにして、(a)前記フォークに取り付けられるアタッチメント本体と、(b)該アタッチメント本体に固定されて、該アタッチメント本体との間に前記吊上げ部材の収容空間を形成するように上方に延び出して、水平方向に開口した開口部を形成するカバー部材と、(c)内角が鈍角を呈する形態のL字の角部を回動中心として、前記アタッチメント本体に対し、該L字の位置する平面内において自由に回動可能に取り付けられて、前記カバー部材の開口部を開閉すると共に、前記吊上げ部材の不在下においては該開口部を開放するように回動せしめられている回動部材とを有し、該回動部材のL字形状内に前記吊上げ部材が進入せしめられることにより、該回動部材を回動させて、前記カバー部材内に該吊上げ部材を収容、保持せしめ得るように構成したことを特徴とするフォークリフト用アタッチメントを、その要旨とするものである。
【0008】
なお、かかる本発明に従うフォークリフト用アタッチメントにあっては、有利には、前記回動部材が、前記カバー部材の吊上げ部材収容空間内に位置する作用辺部と、該カバー部材の開口部を閉鎖する閉鎖辺部とをL字状に連結して、構成されていると共に、該作用辺部よりも該閉鎖辺部の重さが重くされていることとなる。
【発明の効果】
【0009】
このような本発明に従うフォークリフト用アタッチメント構造にあっては、運搬されるべき荷物を吊り上げるためのロープに対して、フォークリフトのフォークに取り付けられたアタッチメントが相対的に前進せしめられて、このアタッチメントを構成する回動部材のL字形状内に、吊上げ部材が進入せしめられることにより、かかる回動部材は、吊上げ部材からの押圧力を受けて回動させられ、以て、吊上げ部材は、カバー部材内に形成される吊上げ部材収容空間内に収容されて、保持されることとなるところから、アタッチメントに対する吊上げ部材の収容作業が、極めて簡単に且つスムーズに行なわれ得ることとなる。
【0010】
また、そのようなカバー部材内に形成される吊上げ部材収容空間内に収容された吊上げ部材は、カバー部材の存在により、フォークの一方の側である基部側への移動が阻止されることとなる一方、吊上げ部材進入方向とは逆方向となるフォーク先端側への吊上げ部材の移動には、荷物からの荷重の作用下において、吊上げ部材のアタッチメントに対する摩擦力に加えて、L字形状の回動部材を回動せしめるための力以上の外力が作用する必要があるところから、吊上げ部材はカバー部材内に形成される吊上げ部材収容空間内に効果的に保持されてなる状態において、荷物をフォークにて吊り上げて、所要の場所へ安定的に運搬することが、可能となるのである。
【0011】
さらに、かかるアタッチメントのカバー部材内に形成された吊上げ部材収容空間内に収容、保持されている吊上げ部材を取り外す場合にあっては、フォークリフトにて荷物を所要の場所に運搬して、そのフォークによる荷物の吊り上げ状態を解除すれば、アタッチメントに対する荷物の荷重が解消され、その状態下において、吊上げ部材が、前記進入方向とは逆方向の退避する方向に、相対的に移動せしめられることによって、回動部材は吊上げ部材の引出し作用によって容易に回動して、吊上げ部材はカバー部材内の吊上げ部材収容空間から簡単に取り出され得、以てアタッチメントに対する吊上げ部材の係合が、容易に解除され得ることとなるのである。そして、その際、回動部材が、内角が鈍角を呈する形態のL字形状とされていることにより、その角部を回動中心として、カバー部材の開口部を開放するように回動せしめられるようになっているところから、回動部材の回動がより一層効果的に行なわれ得て、そのような吊上げ部材の吊上げ部材収容空間内からの脱出が、極めて容易に行なわれ得ることとなるのである。
【0012】
このように、本発明に従うフォークリフト用アタッチメントにあっては、カバー部材内に形成される吊上げ部材収容空間内への吊上げ部材の収容、保持、そして、それからの吊上げ部材の取外しの作業が、容易に且つスムーズに行なわれ得ることとなるのである。
【0013】
しかも、本発明に従うフォークリフト用アタッチメントは、従来のフック装置の如く、バネによる付勢力を用いた回動機構やシリンダ作動によるロック機構等の特別の部材や機構を必要とするものではなく、単に、L字状の回動部材を、その角部を回動中心として、吊上げ部材の進入や退避の動きによって自動的に回動せしめるようになっているところから、バネ部材のヘタリや損傷等による作動不良の問題は、何等、惹起されることがない特徴を有していると共に、シリンダ機構等の作動機構も設置する必要がない等、構造も簡単となり、装置コストも著しく低減せしめ得たのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うアタッチメントの一つをフォークリフトのフォークに取り付けてなる状態を示す側面説明図である。
【図2】図1に示されるアタッチメント取付状態の平面説明図である。
【図3】図2に示されるアタッチメントのIII−III断面説明図である。
【図4】図1に示されるアタッチメントに用いられている回動部材を示す説明図であって、(a)は、その平面形態図、(b)は、その側面形態図である。
【図5】図1に示されるアタッチメントに対するロープの進入、収容・保持及び退避の形態をそれぞれ示す、図3に対応する断面説明図であって、(a)はロープの進入工程、(b)はロープの収容・保持工程、及び(c)はロープの退避工程を、それぞれ示す説明図である。
【図6】本発明に従うフォークリフト用アタッチメントの他の一例を示すものであって、(a)はその平面説明図であり、(b)は(a)におけるVI−VI断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1及び図2には、本発明に従うフォークリフト用アタッチメントの一例が、フォークリフトのフォークに取り付けられてなる状態において、示されている。そこでは、本発明に従うアタッチメント10が、フォークリフトのフォーク2の爪部となる水平部4上に取り付けられている。なお、かかるフォーク2の水平部4は、図において左側に先端部が位置するように、配置されており、この水平部4の先端部位の上面に、アタッチメント10が位置固定に取り付けられているのである。
【0017】
そして、それら図1及び図2と共に、図3に示される断面説明図から明らかな如く、アタッチメント10は、アタッチメント本体12とカバー部材14とL字状の回動部材16とから、構成されている。また、そこで、アタッチメント本体12は、所定厚さの平板状の基板18と、その上に所定間隔を隔てて溶接固定された互いに平行な2本のレール20,20とから、一体的に構成されていると共に、それら基板18及びレール20,20の、フォーク2の水平部4の延びる方向の両端部、換言すれば、それらの図において左右方向の両端部が面取りされて、それぞれ同様な程度において傾斜する傾斜面18a及び20aが、それぞれ、形成されている。更に、基板18の2本のレール20,20にて挟まれた部位には、所要大きさの矩形の貫通孔18bが形成されて、回動部材16の収容スペースが確保されるようになっている。なお、このアタッチメント本体12は、2本のレール20,20の固設位置よりも幅方向外側に位置する基板18部位において、ボルト22にて、水平部4上に位置固定に取り付けられている。
【0018】
また、カバー部材14は、アタッチメント本体12の2本のレール20,20の間隙内に挿入せしめられて、それらレール20,20と基板18にそれぞれ溶接固定された基部24と、かかる基部24から、フォーク水平部4の先端側に斜め上方に直線的に延び出す傾斜延出部26と、更に、この傾斜延出部26の先端から、水平方向に所定長さ延び出した水平延出部28とから、一体的に構成されてなるものである。そして、このような形状のカバー部材14の配設によって、アタッチメント本体12とカバー部材14との間には、運搬されるべき荷物を吊り上げるための吊上げ部材としてのロープを収容し得るロープ収容空間30が形成され、また、このロープ収容空間30は、水平延出部28とアタッチメント本体12との間の開口部を通じて、水平方向に開口せしめられている。なお、このカバー部材14の傾斜延出部26と基部24の上側の面は、2本のレール20,20や基板18の端部に設けられた傾斜面20a,18aと同様な角度で傾斜して連設される傾斜面26a,24aとされている。これによって、ロープが進入する際、間違って、ロープがカバー部材14を乗り越えてしまったときに、ロープがカバー部材14に引っ掛かることなく、容易に引き戻され得るようになっているのである。
【0019】
さらに、回動部材16は、図4に、その単体形態において示されるように、カバー部材14のロープ収容空間30内に位置せしめられる作用辺部32と、カバー部材14の開口部を閉鎖する閉鎖辺部34とを、ボス部36を介して、L字状に一体的に連結してなる形態を呈する鋳物にて構成されていると共に、それら作用辺部32と閉鎖辺部34とが為す角度である内角:αが、90°を越える鈍角を呈する形態のL字形状とされている。そして、この回動部材16は、その円筒状のボス部36を挿通せしめた軸38の両端部が、アタッチメント本体12の2本のレール20,20に回動可能に支持されており、これによって、回動部材16は、そのL字の角部を回動中心として、アタッチメント本体12に対して、そのL字の位置する平面内において、換言すれば図3における紙面に平行な面内において、自由に回動可能に取り付けられているのである。また、かかる回動部材16の閉鎖辺部34は、ここでは、作用辺部32よりも長さが長くされて、作用辺部32よりも重さが重くされており、これによって、図3に示される如く、ロープの不在下においては、閉鎖辺部34が、カバー部材14の開口部を開放するように回動せしめられて、閉鎖辺部34は、アタッチメント本体12の基板18に設けられた貫通孔18b内に入り込んで位置するようになっている。
【0020】
そして、かくの如き構成のアタッチメント10を用いて、フレコン等の荷物を所要の場所に運搬するに際しては、例えば、図5(a)〜(c)に示される如く、その運搬されるべき荷物を吊り上げるために、かかる荷物から延びるロープ(吊上げ部材)40が、アタッチメント10に対して係止され、そして運搬された後に、離脱させられることとなる。即ち、先ず、図5(a)に示されるように、ロープ40に対して、アタッチメント10が相対的に前進せしめられることにより、ロープ40は、回動部材16のL字形状内に進入し、そして回動部材16の作用辺部32に当接するようになるが、更に前進せしめられることによって、ロープ40から作用辺部32に対して押圧力が作用することにより、回動部材16は、そのL字の角部に配された軸38周りに、図において右方向に回動せしめられることとなる。そして、ロープ40は、カバー部材14の水平方向に開口した開口部を通じて、カバー部材14内に形成されるロープ収容空間30内に進入せしめられて、(b)に示される如く、収容されるようになるのである。また、このような回動部材16の回動によって、その閉鎖辺部34にて、カバー部材14の開口部が閉鎖せしめられることとなる。
【0021】
次いで、荷物を所要の場所に運搬するには、かかる(b)の如く、ロープ40をアタッチメント10のカバー部材14内のロープ収容空間内に収容、保持した状態において、荷物が、フォークリフトのフォーク2の水平部4にて吊り上げられ、そしてフォークリフトが移動することによって、目的とする場所まで運搬されることとなるのである。なお、ここで、荷物がフォークリフトのフォーク2にて吊り上げられると、荷物の荷重がロープ40を介して回動部材16の作用辺部32に作用するようになり、これによって、回動部材16は(b)の状態に安定して維持されることとなり、以て、ロープ40のロープ収容空間30内への保持が有利に行なわれ得るのである。
【0022】
また、かかる荷物の運搬が終了した後に、フォークリフトのフォーク2による荷物の吊り上げが解消されると、回動部材16の作用辺部32に対するロープ40からの荷重の作用が解除され、これによって回動部材16が回動させられ易くなっているところから、ロープ収容空間30内からロープ40が引き出されるように、ロープ40に対して、アタッチメント10が後退乃至は退避させられることにより、ロープ40が回動部材16の閉鎖辺部34に接触し、更に、図において左方向へのロープ引出作用と共に、作用辺部32よりも閉鎖辺部34が重いことによる、回動部材16の自動的な左方向への回動作用が加わることに基づいて、(c)に示される如く、ロープ40はロープ収容空間30から取り出され、以て、アタッチメント10に対するロープ40の係止状態が解消され、回動部材16は、(a)に示される状態にまで回動せしめられて、次のロープ(40)を受け入れる体勢を取ることとなる。
【0023】
このように、上記した構成のアタッチメント10にあっては、運搬されるべき荷物から延びるロープ40に対して、アタッチメント10を相対的に前進させて、ロープ40にて回動部材16の作用辺部32を押圧するだけで、カバー部材14内のロープ収容空間30内に、かかるロープ40を容易に案内し、収容、保持することが出来ることとなるのであり、また、そのようなロープ40の収容、保持された状態下において、荷物が吊り上げられて、ロープ40から荷物の荷重がアタッチメント10に作用せしめられると、その荷重は、回動部材16を図5(b)の状態に効果的に保持せしめて、アタッチメント10からロープ40が外れることを効果的に抑制し、以て、その状態において、フォークリフトのフォーク2にて荷物を吊り下げて、目的とする場所に有利に運搬することが出来るのである。
【0024】
そして、荷物の運搬が終了して、ロープ40から荷物の荷重が作用するのが解消されると、ロープ40に対するアタッチメント10の相対的な後退乃至は退避作動によって、アタッチメント10における回動部材16は、その軸38周りに、図5(c)に示される如く回動せしめられて、ロープ40のアタッチメント10に対する係止状態が、極めて簡単に解消され得ることとなるのである。
【0025】
要するに、かかるアタッチメント10によるロープ40に対する係止機構によれば、回動部材16の回動に、バネ等の特別の付勢手段やシリンダ等の特別の作動機構を何等用いることなく、単に、ロープ40との接触による押圧作用によって、簡単に且つ容易に、図5(a)〜(c)に示される如く、ロープ40をロープ収容空間30内に収容、保持し、また、ロープ収容空間30内から簡単に取り外すことが出来るのであり、従って、バネのヘタリ等の問題も、何等、顧慮する必要がなく、且つ特別の部材や装置を用いることなく、ロープ40の係止を行なうことが出来るところから、装置コストにおいても著しく安価なものと為すことが出来ることとなったのである。
【0026】
なお、かかる例示のアタッチメント10においては、カバー部材14の傾斜延出部26や基部24の上面(側面)が、傾斜面26a,24aとされているが、このような傾斜面とすることにより、ロープ40に対するアタッチメント10の前進に際し、ロープ40がカバー部材14を乗り越えて、アタッチメント10に間違って掛けられた場合において、かかるロープ40をアタッチメント10から引き離す際に、それら傾斜面部26a,24aの存在によって、容易に引き離すことが出来るようになっている。
【0027】
ところで、本発明に従うフォークリフト用アタッチメントは、例示の実施形態に係る具体的な記述によって、何等、限定的に解釈されるものでは決してなく、本発明は、各種の態様において実施され得るものであることが、理解されるべきである。
【0028】
例えば、例示のアタッチメント10におけるカバー部材14としては、例示の形状のものの他、アタッチメント本体12から上方に延び出して、水平方向に開口した開口部を形成することの出来る、各種の形状が適宜に採用され得るところであって、例えば、図6(a)及び(b)に示される如き、円弧形状を呈するカバー部材50を用いることも、可能である。そこでは、回動部材52が、作用辺部54と閉鎖辺部56とを、ボス部となる円筒状カラー58に、鈍角のL字形態を呈するように溶接固定せしめることによって、構成されている。そして、そのような回動部材52においては、作用辺部54の厚さよりも閉鎖辺部56の厚さの方が厚くされて、閉鎖辺部56の重さが作用辺部54よりも重くなるように、構成されているのである。
【0029】
また、例示のアタッチメント10等における、回動部材16,52を構成する作用辺部32,54と閉鎖辺部34,56とにより形成されるL字形状は、それら回動部材16,52のL字形状内に、ロープ40が容易に進入せしめられるようにして、それら回動部材16,52の回動を有利に行なわしめる上において、それら作用辺部32,54と閉鎖辺部34,56とによって形成される内角:αが、90°を越える鈍角となるように、構成されるものであるが、かかる内角があまりにも大きくなると、カバー部材14,50内に収容、位置せしめられたロープ40が開口部から外れ易くなることに加えて、安全性にも問題を生じる恐れがあるところから、一般に150°以下、好ましくは120°以下の鈍角が、採用されることとなる。
【0030】
さらに、荷物を吊り上げるための吊上げ部材にあっても、例示のロープ40の他、ベルト等の公知の各種の部材が用いられ得るものであり、そして、そのような吊上げ部材は、運搬されるべき荷物から延び出るようにして、取り付けられている。
【0031】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0032】
2 フォーク 4 水平部
10 アタッチメント 12 アタッチメント本体
14,50 カバー部材 16,52 回動部材
18 基板 20 レール
18a,20a,24a,26a 傾斜面 18b 貫通孔
22 ボルト 24 基部
26 傾斜延出部 28 水平延出部
30 ロープ収容空間 32,54 作用辺部
34,56 閉鎖辺部 36 ボス部
38 軸 40 ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトのフォークに取り付けられて、運搬されるべき荷物を吊り上げるための吊上げ部材が収容、保持せしめられるアタッチメントにして、
前記フォークに取り付けられるアタッチメント本体と、
該アタッチメント本体に固定されて、該アタッチメント本体との間に前記吊上げ部材の収容空間を形成するように上方に延び出して、水平方向に開口した開口部を形成するカバー部材と、
内角が鈍角を呈する形態のL字の角部を回動中心として、前記アタッチメント本体に対し、該L字の位置する平面内において自由に回動可能に取り付けられて、前記カバー部材の開口部を開閉すると共に、前記吊上げ部材の不在下においては該開口部を開放するように回動せしめられている回動部材とを
有し、該回動部材のL字形状内に前記吊上げ部材が進入せしめられることにより、該回動部材を回動させて、前記カバー部材内に該吊上げ部材を収容、保持せしめ得るように構成したことを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項2】
前記回動部材が、前記カバー部材の吊上げ部材収容空間内に位置する作用辺部と、該カバー部材の開口部を閉鎖する閉鎖辺部とをL字状に連結して、構成されていると共に、該作用辺部よりも該閉鎖辺部の重さが重くされている請求項1に記載のフォークリフト用アタッチメント。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−260673(P2010−260673A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111383(P2009−111383)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】