説明

フレームガーニッシュ取付構造

【課題】配置スペースの増大を抑制しつつ、見栄えを向上することができるフレームガーニッシュ取付構造を提供する。
【解決手段】ドアフレーム5(後側フレーム部5b)は、ガーニッシュ7に対向する1枚板の取付部11と、車両前後方向が対角線に一致する正方形状の嵌合孔12とを有する。クリップ30は、嵌合孔12の車両内側の周縁部に接合される頭部31と、頭部31から突出して嵌合孔12に嵌合するとともに該嵌合孔12から車両外側に突出する先端部の車両前後方向両角部がガーニッシュ7に配設された一対のリブ21に挟持される断面正方形状の筒部32と、筒部32の側面の嵌合孔12から車両外側に突出する先端部に突設され嵌合孔12の車両外側の周縁部に係止される係止爪33とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの窓枠を構成するドアフレームに該ドアフレームを被覆するガーニッシュを取り付けるフレームガーニッシュ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フレームガーニッシュ取付構造として種々のものが提案されている(例えば特許文献1など)。図5は、こうした従来のフレームガーニッシュ取付構造が適用される車両ドアの上部を車両幅方向外側から見た側面図であり、図6は、図5のE−E線に沿った断面図である。
【0003】
図5に示されるように、車両ドアの窓枠を構成するドアフレーム91の車両後側のフレーム部92には、該フレーム部92を車両幅方向外側から被覆するガーニッシュ93が取着されている。
【0004】
すなわち、フレーム部92は、例えば金属板をロール成形することで断面略一定に成形されており、図6に示されるように、フレーム部92の後縁部を形成する1枚板の取付部92aを有するとともに、該取付部92aをその板厚方向(図6の上下方向)に貫通する嵌合孔92bを有する。一方、ガーニッシュ93は、取付部92a側に突出して嵌合孔92bに嵌合するリブ93aを有する。そして、ガーニッシュ93は、リブ93aを嵌合孔92bに嵌合させることで、フレーム部92に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−338522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ガーニッシュ93のリブ93aが嵌合する嵌合孔92bは、1枚板の取付部92aに形成されることで、取付箇所(リブ93a等)や嵌合孔92bに付いた錆などが車両幅方向内側(車両ドアの内側)に露出して見栄えが損なわれてしまう。また、こうした見栄えの劣化を解消すべく、図6に併せ示したように、リブ93a等を車両幅方向内側から覆うクリップ94を取着することも検討されている。しかしながら、この場合、クリップ94は、例えば嵌合孔92bから抜け止めし得る十分な突出代の確保されたリブ93aに更に車両幅方向内側から重ねられることになり、当該方向における配置スペースが大きくなって、クリップ94と車両ボデーの対向部(サイメン等)95との離隔距離W1が皆無又は僅少になってしまう。
【0007】
本発明の目的は、配置スペースの増大を抑制しつつ、見栄えを向上することができるフレームガーニッシュ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ドアの窓枠を構成するドアフレームに該ドアフレームを車両外側から被覆するガーニッシュを取り付けるフレームガーニッシュ取付構造において、前記ドアフレームは、前記ガーニッシュに対向する1枚板の取付部と、所定方向が対角線に一致する正方形状を有して前記取付部を板厚方向に貫通する嵌合孔とを有し、前記ガーニッシュは、前記嵌合孔の前記所定方向両端にそれぞれ対向して車両内側に突設され、前記所定方向に平行配置された一対のリブを有し、前記嵌合孔に装着されるクリップを備え、前記クリップは、前記嵌合孔の車両内側の周縁部に接合される頭部と、前記頭部から突出して前記嵌合孔に嵌合するとともに、該嵌合孔から車両外側に突出する先端部の前記所定方向両角部が前記一対のリブに挟持される断面正方形状の筒部と、前記筒部の側面の前記嵌合孔から車両外側に突出する先端部に突設され、前記嵌合孔の車両外側の周縁部に係止される係止爪とを有することを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、前記クリップは、前記係止爪が前記嵌合孔の車両外側の周縁部に係止されることで該嵌合孔(取付部)から抜け止めされており、前記ガーニッシュは、前記筒部の前記嵌合孔から車両外側に突出する先端部の前記所定方向両角部を前記一対のリブにて挟持することで、前記クリップを介して前記ドアフレームに取り付けられる。この場合、前記嵌合孔は、該嵌合孔の車両内側の周縁部に接合される前記頭部にて覆われることで、前記嵌合孔や該嵌合孔に付いた錆などが車両内側(車両ドアの内側)に露出することがなく、見栄えを向上することができる。また、前記頭部は、前記嵌合孔の車両内側の周縁部に接合されるため、前記取付部から車両内側への突出長は、前記頭部の板厚の範囲に収められ、当該側への配置スペースの増大を抑制することができる。さらに、前記両リブは、前記筒部の前記所定方向両角部を挟持することから互いの離隔距離が最長になるように配置される。従って、前記両リブが前記筒部との間に形成する空間を利用して前記係止爪を配置することができ、例えば前記筒部の4側面の一部にのみ前記係止爪が設けられる場合であっても、前記筒部が前記嵌合孔に嵌合し得る90度ごとのいずれかの角度位置にあれば、前記係止爪と前記両リブとの干渉を回避することができる。従って、前記筒部(クリップ)の角度位置の制約が緩和される分、組付性を向上することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、前記筒部の4つの角部は、該筒部の中心線を中心とする断面円形の円周面に成形されていることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、例えば製品ばらつきや組付けばらつきなどで前記クリップの前記筒部が、前記ガーニッシュの前記両リブに対し本来の角度位置から相対的にずれたとしても、当該ずれ量が一定の範囲に収まっていれば、前記筒部の前記所定方向両角部間の幅は不変となり、前記両リブによる前記筒部の挟持力、即ち前記クリップを介した前記ドアフレーム及び前記ガーニッシュの結合力の低下を抑えることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、前記ドアフレームは、前記取付部を板厚方向に貫通する結合孔を有し、前記ガーニッシュは、車両内側に突設された一対の側壁部と、前記両側壁部の先端間を接続して前記結合孔に対向する支持壁部と、前記支持壁部に形成され、下側に開放された係止溝と、前記側壁部に沿って前記支持壁部から車両内側に突設された一対の係合壁部と、前記支持壁部の前記係止溝を挟んだ両側の下端部から車両内側に突設された一対の係止突部とを有し、前記係止溝に装着される結合用クリップを備え、前記結合用クリップは、前記支持壁部の車両外側に配置される第1頭部と、前記支持壁部の車両内側に配置され前記第1頭部と共に前記係止溝の周縁部を挟持するとともに、前記両係合壁部及び前記両係止突部に嵌合する第2頭部と、前記第2頭部から延出して前記結合孔に挿通され、該結合孔の前記第2頭部から離隔する側の周縁部に係合する抜け止め部とを有することを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記ガーニッシュは、前記係止溝(支持壁部)に装着された前記結合用クリップの前記抜け止め部が前記結合孔の前記第2頭部から離隔する側の周縁部に係合することで、前記所定方向に加えて当該方向と異なる他方向でも位置決めされて前記取付部(ドアフレーム)に取り付けられる。この際、前記結合用クリップは、前記第2頭部が前記両係合壁部及び前記両係止突部に嵌合することで回り止めされる。また、前記結合用クリップは、前記係止溝の開放側となる前記第2頭部の下側に前記両係止突部が配置されることで、前記結合用クリップが前記係止溝の下方に脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、配置スペースの増大を抑制しつつ、見栄えを向上することができるフレームガーニッシュ取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)(b)は、本発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】(a)(b)は、同実施形態を示す断面図であり、(c)は、同実施形態を示す斜視図。
【図3】同実施形態を示す斜視図。
【図4】同実施形態を示す側面図。
【図5】従来形態を示す側面図。
【図6】従来形態を示す断面図。
【図7】本発明の変形形態を示す斜視図。
【図8】変形形態を示す断面図。
【図9】変形形態を示す分解斜視図。
【図10】変形形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図4は、本実施形態に係るフレームガーニッシュ取付構造が適用される車両ドアの上部構造を車両幅方向外側から見た側面図である。
同図に示されるように、車両ドア1は、その下部を構成するドア本体2を備える。このドア本体2は、ドア外板を構成するドアアウタパネル及びドア内板を構成するドアインナパネル(図示略)が結合されてなる袋状の構造体であって、上向きの開口部から出没可能なドアウインドガラスDW等が設置されている。
【0017】
また、車両ドア1は、ドア本体2の上端部に取着されて車両ドア1の窓枠(即ちドアウインドガラスDWの枠)を構成するドアフレーム5を備える。このドアフレーム5は、下向きに開放された矩形状に成形されており、ドア本体2(例えばドアインナパネル)の前部及び後部で下端部がそれぞれ固着されて車両高さ方向に延在する前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bと、これら前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bの上端間を橋渡しするようにこれらに両端が、例えば溶接にて固着された上側フレーム部5cとを有する。前側フレーム部5a、後側フレーム部5b及び上側フレーム部5cは、例えば金属板をロール成形することで断面略一定に成形されている。
【0018】
なお、本実施形態の車両ドア1は、フロントドアの後側に配置されるリアドアであって、前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bは、車両ボディのBピラー及びCピラーに対応して配置されている。そして、前側フレーム部5aには、これを車両幅方向外側から被覆する合成樹脂製の板材からなるガーニッシュ6が取着されている。また、後側フレーム部5bには、これを車両幅方向外側(車両外側)から被覆する合成樹脂製の板材からなるガーニッシュ7が取着されている。
【0019】
図1(a)は、図4のA−A線に沿った断面図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線に沿った断面図である。また、図2(a)(b)は、図4のC−C線及びD−D線に沿った断面図であり、図2(c)は、ガーニッシュ7を車両幅方向内側(裏側)から見た斜視図である。
【0020】
図1(a)に示されるように、後側フレーム部5bは、ガーニッシュ7に対向する取付部11を有する。この取付部11は、金属板の折返し等による該金属板の重なりがない1枚板となっている。そして、取付部11には、その板厚方向に貫通する嵌合孔12が形成されている。この嵌合孔12は、後側フレーム部5b(取付部11)の下部に配置されており(図4参照)、車両前後方向(所定方向)が対角線に一致する正方形状を有している。
【0021】
一方、前記ガーニッシュ7は、嵌合孔12の車両前後方向両端(対向配置された正方形の両頂点)にそれぞれ対向して車両幅方向内側(車両内側)に突設された平板状の一対のリブ21を有している。これらリブ21は、車両前後方向に平行配置されている。
【0022】
そして、嵌合孔12には、例えば合成樹脂製のクリップ30が装着されている。このクリップ30は、嵌合孔12の車両幅方向内側の周縁部に接合される円盤状の頭部31を有するとともに、該頭部31から突出して嵌合孔12に嵌合する断面正方形状の筒部32を有する(図1(b)、図3参照)。頭部31は、取付部11との間に液密的に介装された環状のシール材SEにて嵌合孔12の当該周縁部に当接されている。
【0023】
なお、図1(b)に併せ示したように、筒部32の4つの角部は、該筒部32の中心線Oを中心とする断面円形の円周面Rに成形されている。これにより、嵌合孔12に装着されたクリップ30の筒部32が、例えば製品ばらつきや組付けばらつきなどで本来の角度位置から中心線O周りに相対的にずれたとしても、当該ずれ量が一定の範囲(具体的には、円周面Rのなす円弧の中心角の範囲)に収まっていれば、筒部32の車両前後方向両角部間の幅が不変とされる。
【0024】
また、クリップ30は、筒部32の4側面のうち、対向配置された2側面(図1(b)において左上側及び右下側の2側面)の嵌合孔12から車両幅方向外側に突出する先端部に突設された一対の係止爪33を有する。各係止爪33は、筒部32の側面の幅方向中央部において、頭部31側を基端に片持ち支持されており(図3参照)、筒部32が嵌合孔12に挿入される際、該嵌合孔12に押圧されて弾性変形することで嵌合孔12の車両幅方向外側に進入するとともに、これに伴い嵌合孔12から解放されて弾性復帰することで該嵌合孔12の車両幅方向外側の周縁部に係止される。これにより、クリップ30は、嵌合孔12(取付部11)から抜け止めされる。つまり、クリップ30は、係止爪33の係合力により嵌合孔12に締結されており、前記シール材SEは、頭部31及び取付部11に挟まれ、圧縮されることでシール性を持つ。
【0025】
そして、ガーニッシュ7の両リブ21は、筒部32の嵌合孔12から車両幅方向外側に突出する先端部の車両前後方向両角部を挟持する。これにより、ガーニッシュ7の下部は、クリップ30を介して後側フレーム部5b(取付部11下部)に取り付けられる。
【0026】
図2(a)に示されるように、後側フレーム部5bの取付部11には、その板厚方向に貫通する円形の結合孔13が形成されている。この結合孔13は、後側フレーム部5b(取付部11)の上部に配置されている(図4参照)。
【0027】
一方、前記ガーニッシュ7は、車両幅方向内側に突設された一対の平板状の側壁部22と、これら両側壁部22の先端間を接続して結合孔13に対向する平板状の支持壁部23とを有する。そして、この支持壁部23には、下側に開放されたきのこ形状の係止溝24が形成されている。支持壁部23は、係止溝24を挟んだ両下端から互いに近付くように斜め上方に延出する一対の延出片23aを有しており、係止溝24は、これら延出片23aにより上方に徐々に縮開されるガイド孔24aを形成する。
【0028】
また、ガーニッシュ7は、側壁部22に連続するように該側壁部22に沿って支持壁部23から車両幅方向内側に突設された一対の係合壁部25を有するとともに、支持壁部23の係止溝24(ガイド孔24a)を挟んだ両側の下端部から車両幅方向内側に突設された一対の係止突部26を有する。図2(b)に示されるように、係止突部26は、上方に向かうに従いガーニッシュ7から徐々に離隔する側(車両幅方向内側)に向かって傾斜するガイド面26aを形成する。そして、ガーニッシュ7の支持壁部23上には、これら両係合壁部25及び両係止突部26によって上側に開放された矩形状の嵌合凹部27が形成される。
【0029】
そして、係止溝24には、例えば合成樹脂製の結合用クリップ40が装着されている。この結合用クリップ40は、支持壁部23の車両幅方向外側に配置される第1頭部41を有するとともに、支持壁部23の車両幅方向内側に配置され第1頭部41と共に係止溝24の周縁部を挟持する第2頭部42を有する。第2頭部42の外形は、前記嵌合凹部27に嵌合可能な四角形に成形されている。
【0030】
なお、これら第1及び第2頭部41,42は、係止溝24に挿通される首部43によって接続されている。この首部43の外径は、ガイド孔24aの下端の開口幅よりも小さく、且つ、ガイド孔24aの上端の開口幅よりも大きく設定されている。従って、ガイド孔24aに沿ってその下側から首部43を上方に挿入すると、該首部43に押圧されて両延出片23aが弾性変形することで係止溝24の上部に進入するとともに、これに伴い首部43から解放された両延出片23aが弾性復帰する。同時に、第2頭部42は、両係止突部26のガイド面26aに案内されつつこれを乗り越えて嵌合凹部27(両係合壁部25及び両係止突部26)に嵌合する。これにより、結合用クリップ40は、首部43が両延出片23aにて係止溝24から抜け止めされ、第2頭部42が嵌合凹部27にて抜け止め且つ回り止めされて、係止溝24に装着される。
【0031】
また、結合用クリップ40は、第2頭部42から延出して結合孔13に挿通され、該結合孔13の第2頭部42から離隔する側(車両幅方向内側)の周縁部に係合する傘状の抜け止め部44を有する。これにより、ガーニッシュ7の上部は、結合用クリップ40を介して後側フレーム部5b(取付部11上部)に取り付けられる。
【0032】
このような構成にあって、ガーニッシュ7を後側フレーム部5bに取り付ける際には予め、後側フレーム部5b(取付部11)の嵌合孔12にクリップ30を装着するとともに、ガーニッシュ7の係止溝24に結合用クリップ40を装着しておく。そして、この状態で、結合用クリップ40の抜け止め部44を結合孔13に位置合わせして後側フレーム部5bに対しガーニッシュ7を車両高さ方向及び車両前後方向に位置決めするとともに、両リブ21をクリップ30の筒部32に位置合わせして後側フレーム部5bに対しガーニッシュ7を車両前後方向に位置決めする。
【0033】
続いて、ガーニッシュ7を後側フレーム部5bに向けて車両幅方向内側に押圧すると、結合用クリップ40の抜け止め部44は、弾性変形しつつ結合孔13に挿入されるとともに、弾性復帰に伴い該結合孔13の第2頭部42から離隔する側(車両幅方向内側)の周縁部に係合されて結合孔13(取付部11)から抜け止めされる。一方、ガーニッシュ7の両リブ21は、筒部32の嵌合孔12から車両幅方向外側に突出する先端部の車両前後方向両角部を挟持する。以上により、ガーニッシュ7は、後側フレーム部5bに支持・固定される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、クリップ30は、係止爪33が嵌合孔12の車両幅方向外側の周縁部に係止されることで該嵌合孔12(取付部11)から抜け止めされており、ガーニッシュ7は、筒部32の嵌合孔12から車両幅方向外側に突出する先端部の車両前後方向両角部を一対のリブ21にて挟持することで、クリップ30を介して後側フレーム部5bに取り付けられる。この場合、嵌合孔12は、該嵌合孔12の車両幅方向内側の周縁部に接合される頭部31にて覆われることで、嵌合孔12や該嵌合孔12に付いた錆などが車両幅方向内側(車両ドア1の内側)に露出することがなく、見栄えを向上することができる。
【0035】
また、頭部31は、嵌合孔12の車両幅方向内側の周縁部に接合されるため、取付部11から車両幅方向内側への突出長は、頭部31の板厚の範囲に収められ、当該側への配置スペースの増大を抑制することができる。換言すれば、両リブ21が挟持し得る筒部32の突出代は、取付部11の車両幅方向外側に設定されることで、該取付部11の車両幅方向内側の省スペース化が実現されている。
【0036】
さらに、両リブ21は、筒部32の車両前後方向両角部を挟持することから互いの離隔距離が最長になるように配置される。従って、両リブ21が筒部32との間に形成する空間を利用して係止爪33を配置することができ、筒部32の4側面の一部(対向配置された2側面)にのみ係止爪33が設けられる場合であっても、筒部32が嵌合孔12に嵌合し得る90度ごとのいずれかの角度位置にあれば、係止爪33と両リブ21との干渉を回避することができる。従って、筒部32(クリップ30)の角度位置の制約が緩和される分、組付性を向上することができる。
【0037】
(2)本実施形態では、筒部32の4つの角部は、該筒部32の中心線Oを中心とする断面円形の円周面Rに成形されている。従って、例えば製品ばらつきや組付けばらつきなどでクリップ30の筒部32が、ガーニッシュ7の両リブ21に対し本来の角度位置から相対的にずれたとしても、当該ずれ量が一定の範囲に収まっていれば、筒部32の車両前後方向両角部間の幅は不変となり、両リブ21による筒部32の挟持力、即ちクリップ30を介した後側フレーム部5b(ドアフレーム5)及びガーニッシュ7の結合力の低下を抑えることができる。
【0038】
(3)本実施形態では、ガーニッシュ7は、係止溝24(支持壁部23)に装着された結合用クリップ40の抜け止め部44が結合孔13の第2頭部42から離隔する側の周縁部に係合することで、車両前後方向に加えて当該方向と異なる他方向(車両高さ方向)でも位置決めされて取付部11(ドアフレーム5)に取り付けられる。この際、結合用クリップ40は、第2頭部42が両係合壁部25及び両係止突部26に嵌合することで回り止めされる。また、結合用クリップ40は、係止溝24の開放側となる第2頭部42の下側に係止突部26が配置されることで、結合用クリップ40が係止溝24の下方に脱落することを防止できる。
【0039】
(4)本実施形態では、両係止突部26のガイド面26aの案内により、第2頭部42を嵌合凹部27へと円滑に移動させることができ、結合用クリップ40を係止溝24へとより円滑に装着することができる。
【0040】
(5)本実施形態では、結合用クリップ40は、両延出片23aにより、首部43の下方への移動が規制されることで、係止溝24の下方に脱落することをより確実に防止できる。
【0041】
(6)本実施形態では、取付部11(嵌合孔12)及びクリップ30の頭部31間にシール材SEを介装したことで、嵌合孔12等を錆止めすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0042】
・図7に示すように、クリップ30に、筒部32の先端側(頭部31の反対側)を基端に片持ち支持された係止爪51を設けてもよい。
・図8〜図10に示すように、長円形状の嵌合孔Hに装着される、例えば合成樹脂製のクリップ60を採用してもよい。すなわち、このクリップ60は、嵌合孔Hの車両幅方向内側の周縁部に接合される長円形状の頭部61を有するとともに、該頭部61から突出して嵌合孔Hに嵌合する断面長円形状の筒部62を有する。また、クリップ60は、筒部62の長手方向をなす両側面の嵌合孔Hから車両幅方向外側に突出する先端部に突設された一対の係止爪63を有する。クリップ60は、両係止爪63が嵌合孔Hの車両幅方向外側の周縁部に係止されることで、該嵌合孔H(取付部11)から抜け止めされる。
【0043】
また、前記ガーニッシュ7は、筒部62の短手方向の内壁面間に圧入される平板状のボス66を有している。この場合、ガーニッシュ7の下部は、ボス66が筒部62の短手方向の内壁面間に圧入されることで、クリップ60を介して後側フレーム部5b(取付部11下部)に取り付けられる。特に、クリップ60の筒部62及び嵌合孔Hを長円形状としたことで、ガーニッシュ7の熱収縮を吸収することができる。
【0044】
・前記実施形態において、クリップ30の係止爪33は、筒部32の4側面のいずれか一つ以上の側面に設ければよい。
・前記実施形態においては、嵌合孔12の対角線を車両前後方向に一致させ、且つ、一対のリブ21を当該方向に平行配置したが、これらの関係をその他の方向(例えば車両高さ方向)で実現してもよい。
【0045】
・本発明は、前側フレーム部5a及びガーニッシュ6間に適用してもよい。また、例えば車両ドアとしてのフロントドアに適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0046】
(イ)請求項3に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、
前記両係止突部には、前記第2頭部の前記両係合壁部及び前記両係止突部との嵌合位置への移動を案内するガイド面がそれぞれ形成されていることを特徴とするフレームガーニッシュ取付構造。同構成によれば、前記ガイド面の案内により、前記第2頭部を、前記両係合壁部及び前記両係止突部の嵌合位置(嵌合凹部)へと円滑に移動させることができ、前記結合用クリップを前記係止溝へとより円滑に装着することができる。
【0047】
(ロ)請求項3又は上記(イ)に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、
前記支持壁部は、前記係止溝24に挿通され前記第1及び第2頭部を接続する首部の下方への移動を規制する延出片を有することを特徴とするフレームガーニッシュ取付構造。同構成によれば、前記結合用クリップは、前記延出片により、前記首部の下方への移動が規制されることで、前記係止溝の下方に脱落することを防止できる。
【符号の説明】
【0048】
R…円周面、1…車両ドア、5…ドアフレーム、5b…後側フレーム部、7…ガーニッシュ、11…取付部、12…嵌合孔、13…結合孔、21…リブ、22…側壁部、23…支持壁部、24…係止溝、25…係合壁部、26…係止突部、30…クリップ、31…頭部、32…筒部、33…係止爪、40…結合用クリップ、41…第1頭部、42…第2頭部、44…抜け止め部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの窓枠を構成するドアフレームに該ドアフレームを車両外側から被覆するガーニッシュを取り付けるフレームガーニッシュ取付構造において、
前記ドアフレームは、
前記ガーニッシュに対向する1枚板の取付部と、
所定方向が対角線に一致する正方形状を有して前記取付部を板厚方向に貫通する嵌合孔とを有し、
前記ガーニッシュは、
前記嵌合孔の前記所定方向両端にそれぞれ対向して車両内側に突設され、前記所定方向に平行配置された一対のリブを有し、
前記嵌合孔に装着されるクリップを備え、
前記クリップは、
前記嵌合孔の車両内側の周縁部に接合される頭部と、
前記頭部から突出して前記嵌合孔に嵌合するとともに、該嵌合孔から車両外側に突出する先端部の前記所定方向両角部が前記一対のリブに挟持される断面正方形状の筒部と、
前記筒部の側面の前記嵌合孔から車両外側に突出する先端部に突設され、前記嵌合孔の車両外側の周縁部に係止される係止爪とを有することを特徴とするフレームガーニッシュ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、
前記筒部の4つの角部は、該筒部の中心線を中心とする断面円形の円周面に成形されていることを特徴とするフレームガーニッシュ取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレームガーニッシュ取付構造において、
前記ドアフレームは、前記取付部を板厚方向に貫通する結合孔を有し、
前記ガーニッシュは、
車両内側に突設された一対の側壁部と、
前記両側壁部の先端間を接続して前記結合孔に対向する支持壁部と、
前記支持壁部に形成され、下側に開放された係止溝と、
前記側壁部に沿って前記支持壁部から車両内側に突設された一対の係合壁部と、
前記支持壁部の前記係止溝を挟んだ両側の下端部から車両内側に突設された一対の係止突部とを有し、
前記係止溝に装着される結合用クリップを備え、
前記結合用クリップは、
前記支持壁部の車両外側に配置される第1頭部と、
前記支持壁部の車両内側に配置され前記第1頭部と共に前記係止溝の周縁部を挟持するとともに、前記両係合壁部及び前記両係止突部に嵌合する第2頭部と、
前記第2頭部から延出して前記結合孔に挿通され、該結合孔の前記第2頭部から離隔する側の周縁部に係合する抜け止め部とを有することを特徴とするフレームガーニッシュ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−195106(P2010−195106A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39874(P2009−39874)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】