説明

ブラインド等に対する風の影響を判定する方法、検出装置、及び、ブラインド等を保護する装置

【課題】ブラインド等に対する風の影響を判定する方法、風の影響を計測するセンサ手段を有する検出装置、及び、ブラインド等を保護する装置に関し、センサ手段の設置上の制約を除去し、センサ手段の向きと無関係に均一な検出感度を得ることを目的とする。
【解決手段】互いに異なる第1計測方向X1及び第2計測方向Y1にて風の影響を計測するセンサ手段231を具備するブラインド1等に対する風の影響を判定する際に、センサ手段から、第1計測方向にてブラインド等に対する風の影響を表す第1信号を収集するステップと、第2計測方向にてブラインド等に対する風の影響を表す第2信号を収集するステップと、センサ手段の向きとは無関係に均一な検出感度を得るために、風の影響を表す2次信号であって第1及び第2計測方向により規定された平面内でのセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を供給するべく、第1及び第2信号を処理するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド等に対する風の影響を判定する方法、風の影響を計測するセンサ手段を有する検出装置、及び、風の影響からブラインド等を保護する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造者は、風の影響からブラインドを保護するべく努めている。実際に、突風が吹くと、ブラインドの生地が風に対して大きな抵抗力を生成し、ブラインドの構造に非常に大きな応力が印加されることになる。この結果、ブラインドが損傷する可能性がある。設置された生地の表面に実質的に垂直に力が印加されると、ブラインドに対する損傷がさらに大きくなることに留意されたい。さらには、安全性の観点から、ブラインドが装着された建物の構造に対してブラインドが堅固に固定された状態になっていることが不可欠である。EN13561規格は、準拠するべき制約についてさらに規定している。
【0003】
このような要求に応えて、公知の解決策は、可動部分、即ち、アーム、或いは、さらに一般的には、ロードバーの振動を計測するステップを有している。計測された振動が、設置者によって設定された特定の閾値を超過すると、即座に、ブラインドを制御しているアクチュエータに対して後退命令が伝送される。この結果、アクチュエータにより、生地がロールチューブ(roll tube )の周りに巻き上げられ、アームが後退することになる。
【0004】
振動は、一般に、一方向における可動部分の加速度の観点において計測されている。従って、下記に示す特許文献1(米国特許出願公開第2006/0113936号公報)は、圧電型の単一方向振動センサを開示している。従って、このタイプのセンサは、選択的な方向感度を具備することになる。従って、センサの向きがシステムの検出感度に対して影響を及ぼしている。この結果、設置された生地の表面に対して検出方向が平行である場合には、垂直方向において風により生成される構造上の力は、全く検出されないまま、或いは、そうでない場合にも、ほとんど検出されないまま、ブラインドに対する損傷が発生することになる。このような問題を未然に防止するために、低い検出閾値を規定することは可能であるが、この場合には、センサの検出方向においてブラインドの構造に応力が印加された場合に、センサが生地を無用に後退させることになる可能性が高い。
【0005】
下記に示す特許文献2(ドイツ特許出願公開第198,40,418号明細書)は、スクリーンに対するガイドを循環方式で行っている特殊なブラインド構造について開示している。このブラインド構造には、スクリーンに対する風の振る舞いを判定するためのセンサが設けられている。このセンサは、接線方向及び半径方向における加速度を計測するための手段を有している。次いで、取得した信号をフィルタリングによって処理している。
【0006】
下記に示す特許文献3(米国特許第3,956,932号)は、風の方向を判定するためのセンサについて開示している。これは、一方においては、加熱手段によって加熱され、他方においては、風によって冷却される構成部分を有している。これらの構成要素の温度を判定することにより、どの構成部分が最も風に対して露出しているのか、即ち、風の方向を突き止めることが可能である。
【0007】
下記に示す特許文献4(米国特許第4,615,214号)は、圧電素子を有する風速計について開示している。この風速計は、空間的に配列された複数の圧電素子を有している。これらの圧電素子からの出力信号の関数として、どの圧電素子が最も風に対して露出しているのか、即ち、風の向きを突き止めることが可能である。
【0008】
最後に、下記に示す特許文献5(欧州特許出願公開第1,077,378号公報)は、風の状態を判定するためのセンサを有するブラインドについて開示している。種々の使用可能なセンサ技術が一覧表示されている。
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0113936号公報
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第198,40,418号明細書
【特許文献3】米国特許第3,956,932号
【特許文献4】米国特許第4,615,214号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1,077,378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ブラインド等に対する風の影響を判定する方法を提供することにより、前述のような問題点を未然に防止すると共に、従来技術において既知の方法を改善することにある。より具体的には、本発明は、センサ(即ち、センサ手段)に対する設置上の制約、特に、センサの向きに関する制約を除去すると共に、センサの向きとは無関係に均一なセンサの検出感度を得ることを可能にするようなブラインド等に対する風の影響を判定する方法を提案している。又一方で、本発明は、ブラインド等に対する風の影響を判定するために、ブラインド等に固定されるべく設計された検出装置にも関係している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1実施例における本発明に係る方法は、第1計測方向及び第2計測方向において風の影響を計測するためのセンサ手段を具備するブラインド等に対する風の影響を判定する方法であって、第1計測方向及び第2計測方向は、互いに異なっており、センサ手段から、第1計測方向においてブラインド等に対する風の影響を表す第1信号を収集するステップと、センサ手段から、第2計測方向においてブラインド等に対する風の影響を表す第2信号を収集するステップとを有しており、上記方法は、さらに、センサ手段の向きとは無関係に均一なセンサ検出感度を得るために、風の影響を表す2次信号であって第1計測方向及び第2計測方向により規定された平面内におけるセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を供給するべく、第1信号及び第2信号を処理するステップを有する。
【0012】
変形実施例において、上記方法は、センサ手段を配置する予備的なステップを有しており、第1計測方向及び第2計測方向が、風の影響を計測するために選択された平面に平行である場合には、センサ手段の向きは重要ではない。
【0013】
第2実施例における本発明に係る方法は、第1計測方向、第2計測方向、及び第3計測方向において風の影響を計測するためのセンサ手段を具備するブラインド等に対する風の影響を判定する方法であって、第1計測方向、第2計測方向、及び第3計測方向は、互いに異なっており、センサ手段から、第1計測方向においてブラインド等に対する風の影響を表す第1信号を収集するステップと、センサ手段から、第2計測方向においてブラインド等に対する風の影響を表す第2信号を収集するステップとを有しており、上記方法は、さらに、センサ手段から、第3計測方向においてブラインド等に対する風の影響を表す第3信号を収集するステップと、センサ手段の向きとは無関係に均一なセンサ検出感度を得るために、風の影響を表す2次信号であってセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を供給するべく、第1信号、第2信号、及び第3信号を処理するステップとを有する。
【0014】
様々な変形実施例において、上記方法は、センサ手段を配置する予備的なステップを有しており、空間内におけるセンサ手段の向きは重要ではない。好ましくは、上記方法において、2次信号は、様々な方向における風の影響を表す信号を処理した結果として得られる強度であるか、又は、様々な方向における風の影響を表す信号を処理した結果として得られる強度及び方向である。さらに、好ましくは、上記方法は、ブラインド等に固有の軸を判定する予備的なステップを有しており、2次信号は、上記固有の軸に沿った風の影響を表す信号を処理した結果として得られる成分から構成されている。さらに、好ましくは、上記方法において、ブラインド等に固有の軸を判定する予備的なステップは、ブラインド等に対して機械的作用を及ぼすサブステップと、センサ手段が機械的作用の方向を判定するサブステップと、ブラインド等に固有の軸の中の1つを規定するために、上記機械的作用の方向を使用するサブステップとを含む。
【0015】
本発明に係る検出装置は、少なくとも第1計測方向及び第2計測方向において風の影響を計測するためのセンサ手段を有するブラインド等に固定されるべく設計された検出装置であって、第1計測方向及び第2計測方向は、互いに異なっており、前述のような種々の方法を遂行するための物理的な手段及びソフトウェアを有する。
【0016】
一実施例において、センサ手段は、少なくとも1つの加速度計を有する。
【0017】
本発明に係るブラインド等を保護する装置は、前述のような検出装置を有する。
【0018】
幾つかの実施例における本発明に係るブラインド等を保護する装置において、上記信号は、前述のような検出装置内又は電子制御ユニット内において処理される。好ましくは、上記装置は、2次信号又は当該2次信号の成分の中の1つが、予め定められた閾値を超過したときに、ブラインド等を後退させるための命令を発行する手段を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明については、一例としてのみ付与され、且つ、添付図面を参照して提供されている以下の説明を参照することにより、さらに理解することができるであろう。
【0020】
図1に示されているアームを有するブラインド1は、建物の構造に取り付けられた支持部2、モーター11によって駆動される生地4をその上部に巻き取るロールチューブ3、及び、連結アームによって支持部2に接続されたロードバー5を有している。
【0021】
連結アームは、第1セグメント6及び第2セグメント7からなる2つのセグメントを有しており、第1セグメントは、第1軸8を中心として、支持部2に対して上記第1セグメントの一端にて連結されており、且つ、第2軸9を中心として、第2セグメント7の一端に対して上記第1セグメントの他端にて連結されている。第2セグメント7の他端は、第3軸10を中心としてロードバー5に対して連結されている。
【0022】
生地4は、一方においては、ロールチューブ3に固定され、且つ、他方においては、ロードバー5に固定されている。この結果、例えば、電子制御ユニット12によってその電源が制御されているモーター11等のアクチュエータ手段により、生地をロールチューブ3に巻き上げるか又はロールチューブ3から巻き出すことが可能である。図1においては、生地は、巻き出された状態において示されている。
【0023】
構造に対する風の影響を判定するために、検出装置13がロードバー5上に配置されている。計測された大きさが閾値を超過したときに、検出装置は、生地4を後退させるべく、電子制御ユニット12に対して命令を無線で伝送する。
【0024】
風の影響を判定する方法には、様々なものが存在している。例えば、1つ又は複数の加速度計を具備するセンサ手段を利用することが可能である。図2は、このタイプのセンサ手段の使用法を示している。このセンサ手段は、互いに垂直の2つの方向(即ち、第1計測方向及び第2計測方向)X1及びY1、X2及びY2、又はX3及びY3における加速度を検出している。この図は、水平方向におけるセンサ手段131、垂直方向におけるセンサ手段132、及び45°の方向におけるセンサ手段133といったようなセンサ手段をロードバー5に固定する方法の3つの例を示している。第1の例においては、センサ手段131は、互いに垂直の2つの軸(X1及びY1)に沿って加速度を検出又は計測している。閾値Xs及びYsが、それぞれの検出軸について予め規定されている。加速度がこれらの閾値を超過しない限り、即ち、計測結果がグレーゾーン内に位置している限り、信号は電子制御ユニット12に対して伝送されない。しかしながら、閾値を超過すると、即座に、生地を後退させるための命令が電子制御ユニット12に対して伝送されることになる。この原理は、センサ手段を固定する方法のその他の例においても同様である。センサ手段132は、互いに垂直の2つの軸(X2及びY2)に沿った加速度を検出又は計測している。センサ手段133は、互いに垂直の2つの軸(X3及びY3)に沿った加速度を検出又は計測している。この図においては、閾値Xs及びYsは、全てのセンサ手段131、132、及び133について同一である、方向X1、Y1、X2、Y2、X3、及びY3は、センサ手段の構造に固有であることから、センサ手段の検出感度又は計測感度は、ロードバー上におけるその向きに依存していることに留意されたい。閾値を反転させることによってセンサ手段131及び132において同一の感度を得ることが可能である場合にも、その向きを維持した状態でセンサ手段133において同一の感度を得ることは不可能である。従って、これらのセンサ手段の向きとは無関係に動作するセンサ手段を具備するシステムを得ることは不可能である。
【0025】
図9に示される検出装置13は、基本的に、センサ手段231、ロジック処理ユニット26、及び無線電波送信機27を有している。
【0026】
センサ手段231は、第1加速度計20及び第2加速度計21からなる2つの加速度計を有している。第1加速度計20は、軸(Y1)に沿って加速度を検出及び計測するべく設計されており、第2加速度計21は、軸(X1)に沿って加速度を検出及び計測するべく設計されている。軸(X1及びY1)は、互いに垂直である。これらの2つの加速度計は、ロジック処理ユニット26に対して信号を供給している。
【0027】
ロジック処理ユニット26は、センサ手段231から供給された信号を処理するための手段22を有している。この結果、メモリ25内に保存されている1つ又は複数の閾値と比較するべく設計された2次信号を比較するための手段23を提供することが可能である。この2次信号を比較するための手段により、制御信号を生成するための手段24内における制御信号の確立をトリガする信号を供給することが可能である。次いで、この制御信号は、無線電波送信機27に伝送される。この無線電波送信機は、上記制御信号を無線電波の形態で伝送している。検出装置は、具体的には、本発明の主題であるブラインド等に対する風の影響を判定する方法を制御するためのロジック手段を有しており、このロジック手段を有する実施例については、後程詳述する。具体的には、これらのロジック手段は、特にロジック処理ユニット内において実行可能なコンピュータプログラムを有することが可能である。又一方で、センサ手段231から供給される信号を処理するための手段22は、2次信号を算出するためのコンピュータプログラム等のソフトウェア手段を有することも可能である。
【0028】
以下、図4を参照しながら、本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第1実施例について説明する。
【0029】
第1のステップ210において、検出装置13内において閾値Rsを設定している。この閾値は、ポテンショメータ又は任意のその他の類似する手段によって設定することが可能である。閾値は、メモリ25内に保存される。
【0030】
第2のステップ220において、検出装置をロードバーに固定している。このステップ及び前のステップの順序は、逆転可能ではあるが、提示されている順序で作業を行うほうが簡単である。検出装置を固定するステップは、例えば、この検出装置が格納しているセンサ手段が図3の位置の中の1つのものに位置している、即ち、センサ手段231及び/又は232及び/又は233の軸(X1、Y1及び/又はX2、Y2及び/又はX3、Y3)が、風の影響を計測することが望ましい1つの同一の平面Pに平行(又は、少なくとも実質的に平行)となるようになっている。図3の場合には、この平面Pは、ロードバー5に対して垂直である。但し、センサ手段231、232、及び233の様々な位置によって示されているように、この平面P内において(ロードバーの軸を中心として)センサ手段をどのように方向付けするかは、重要ではない。換言すれば、センサ手段は、風の影響を表す2次信号の判定に影響を及ぼすことなしに、センサ手段の2つの計測方向に垂直の軸に対して傾斜した状態で方向付けをすることが可能である。従って、この信号は、平面P内におけるセンサ手段の向きとは無関係であり、即ち、前述の垂直の軸に対するセンサ手段の向きとも無関係である。従って、センサ手段は、その計測方向が同一の平面内に常に留まっている限り、ブラインドの構成要素上において自由に固定可能である。以下においては、検出装置がセンサ手段231を有しているものと仮定している。
【0031】
第3のステップ230において、センサ手段231は、センサが固定されているブラインドの可動部分(これは、この場合には、ロードバーである)が経験する加速度を表す信号を供給している。これらの信号は、この場合には、センサ手段を構成している加速度計の検出軸、即ち、ロードバーが経験する加速度の互いに垂直の2つの軸(X1及びY1)上への投影を表している。得られた信号の瞬間値を、それぞれ、Xa及びYaと表記する。
【0032】
第4のステップ240において、この加速度の投影を表す信号の瞬間値に基づいて、検出装置又はロードバーが経験する加速度を表す信号の瞬間値を算出している。この結果として得られる加速度を表すベクトルをAと表記し、このベクトルの瞬間値nA(ベクトルのノルム)は、次の〔数1〕に示すとおりである。
【0033】
【数1】

【0034】
結果的に得られる加速度の瞬間値は、風の影響を表す2次信号であって平面P内におけるセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を構成している。
【0035】
第5のステップ250において、加速度の瞬間値を閾値Rsと比較している。この瞬間値が閾値Rsを上回っている場合には、本方法は、第6のステップ260に進む。そうでなければ、ステップ230に戻ることになる。ステップ230を繰り返し実行する前に、遅延を提供することも可能である。
【0036】
第6のステップ260において、安全シナリオ実行命令を検出装置から電子制御ユニット12に対して伝送し、次いで、この命令を実行している。一般に、この安全シナリオは、生地を後退させる命令によって始まっている。
【0037】
図5は、このセンサ手段の計測値を処理する原理を示している。加速度を表すベクトルAは、安全シナリオをトリガすることはないが、ベクトルA’を表す矢印の先端がグレーゾーンから外に出ているため、加速度ベクトルA’は、生地4の巻き上げを命令する。
【0038】
この結果、図3を再度参照すれば、検出感度は、センサ手段の向きとは無関係に、常に同一になっている。検出装置は、1つの同一の応力について安全シナリオをトリガしている。
【0039】
次に、図7を参照しながら、本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第2実施例について説明する。
【0040】
第1のステップ310において、前述の図4のステップ220に関して説明したように、検出装置をロードバーに固定している。検出装置の構成は、前述の図3のものと同一である。但し、この場合には、学習段階が必要である。
【0041】
第2のステップ320において、設置者は、例えば、直交基準等の固有のOXY基準のセンサ手段との関連付けを実現するための構成に関係する動作を実行している。従って、この新しいOXY基準の設定は、センサ手段の検出用の軸(X1及びY1)とは無関係である。従って、この新しいOXY基準の設定は、検出装置の向きとも無関係である。このOXY基準を検出装置により考慮しているという事実は、新しいOXY基準とセンサ手段の検出用の軸に対応した基準OX11との間の関係(角度αの回転)に反映されている。
【0042】
この固有の基準を規定するために、様々な学習法が考え出されている。検出装置は、その加速度計20、21を使用した計測によって検出される重力の影響を利用し、垂直方向の加速度を計測することが可能である(例えば、ロードバーを設置し、静止状態とする)。これらの計測値に基づいて、検出装置は、絶対的な向きを規定すると共に、検出装置の向きとは無関係に同一である固有の基準を推定することが可能である。この固有の基準の軸Xは、重力場に平行であってよい。
【0043】
別の手段は、検出装置を構成モードに配置するステップを有している。次いで、設置者は、ロードバーの上部に力を作用させることにより、このロードバーに応力を印加する。センサ手段の加速度計20及び21から供給される信号を分析することによって応力軸を判定する。この結果、この応力軸が固有の基準の軸Xを構成することが可能である。
【0044】
第3の手段は、生地の設置又は特定の命令後の生地の前後の動きの際に固有の基準を学習するステップを有することが可能である。軸Xは、設置軸に対応することになるであろう。特に、マン・マシン・インタフェースを介して垂直方向に対する検出装置の向きの角度を設置者が入力することにより、その他の手段を使用することも可能である。
【0045】
第3のステップ330において、閾値Xs及びYsを設定している。これらの閾値は、メモリ25内に保存される。これらの値Xs及びYsは、それぞれ、設定された固有の基準OXY(OXY基準と同じ)のそれぞれの軸X及びYに沿って超過してはならない閾値に対応している。これらの閾値を設定するステップは、ポテンショメータ又は任意のその他の手段を使用して実行することが可能である。或いは、この代わりに、1つの閾値を複数の軸に適用することにより、電子回路を単純化し、設定手段を不要にすることも可能である。
【0046】
第4のステップ340において、センサ手段231は、検出装置が固定されているブラインドの可動部分(これは、この場合には、ロードバーである)が経験する加速度を表す信号を供給している。これらの信号は、この場合には、センサ手段を構成している加速度計の検出軸、即ち、ロードバーが経験する加速度の互いに垂直の2つの軸(X1及びY1)上への投影を表している。得られた信号の瞬間値を、それぞれ、X1a及びY1aと表記する。前述の第1実施例の場合と同様に、計測は、センサ手段を構成している加速度計に直接基づいている。
【0047】
第5のステップ350において、回転変換によって、計測により既に得られている信号の瞬間値X1a及びY1aを、予め規定された固有のOXY基準における大きさに変換し、大きさXa及びYaを得ている。これらの大きさXa及びYaは、次のように表現される。ここで、αは、XとX1との間の代数的角度である。
【0048】
Xa=X1a×cos(α)+Y1a×sin(α)
Ya=−X1a×sin(α)+Y1a×cos(α)
【0049】
これらの大きさは、風の影響を表す2次信号であって平面P内におけるセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を構成している。
【0050】
或いは、この代わりに、閾値Xs及びYsを直接計測基準(OX1Y1)に書き換えることも可能である。この場合には、直接計測基準にて表現された閾値は、一定ではない。これらの直接計測基準にて表現された閾値は、相互に依存している。
【0051】
好ましくは、検出装置は、ブラインドに適合された固有の基準を判定することにより、高い感度を有するように設定されることが可能である。固有の基準の軸の中の1つは、ブラインドの構造の最も限定的な応力軸に対応することが可能であり、この1つの軸は、生地の設置に対して垂直の方向であってよい。従って、この1つの軸の場合には、閾値が、より小さなものとなるであろう。
【0052】
第6のステップ360において、大きさの成分Xaを閾値Xsと比較している。この大きさの成分Xaの値が閾値Xsを上回っている場合には、本方法は、ステップ380に進む。そうでなければ、本方法は、ステップ370に進むことになる。
【0053】
第7のステップ370において、大きさの成分Yaを閾値Ysと比較している。この大きさの成分Yaの値が閾値Ysを上回っている場合には、ステップ380に進む。そうでなければ、ステップ340に戻ることになる。ステップ340を繰り返し実行する前に、遅延を実施することも可能である。当然のことながら、ステップ360及び370の順序を逆転することも可能である。
【0054】
第8のステップ380において、安全シナリオ実行命令を検出装置から電子制御ユニット12に対して伝送し、次いで、この命令を実行している。一般に、この安全シナリオは、生地を後退させるための命令によって始まっている。
【0055】
図8は、このセンサ手段の計測値を処理する原理を示している。加速度を表すベクトルAは、シナリオをトリガすることはないが、ベクトルA’を表している矢印の先端がグレーゾーンから外に出ているため、加速度ベクトルA’は、生地4の巻き上げを命令する。
【0056】
この結果、再度図6を参照すれば、検出感度は、センサ手段の向きとは無関係に、常に同一となっている。検出装置は、1つの同一の応力について安全シナリオをトリガしている。実際には、本方法により、風の影響を表す2次信号であって平面P内におけるセンサ手段の向きとは無関係な2次信号を提供することが可能である。この2次信号は、具体的には、平面P内において加速度を計測した結果として得られる強度であるか、又は、平面P内において加速度を計測した結果として得られる強度及び方向であるか、又は、平面P内において計測された結果として得られる固有の基準における成分であってよい。
【0057】
選択される実施例とは無関係に、幾つかの計測値の平均値に基づいて計測値を確認することが好ましい。この結果、偽の計測値を回避することが可能である。安全シナリオを実行するために、検出装置は、可動部分の加速度を表す大きさに基づいており、この大きさは、可動部分の絶対加速度、可動部分の加速度の変動、可動部分の速度又はその変動、可動部分の位置又その変動、又は、生地に対する風の影響を反映させることが可能な任意のその他の情報であってよい。検出装置は、好ましくは、独自の電源を具備し、且つ、好ましくは、電子制御ユニット12に対して安全命令を無線で伝送することになる。センサ手段から供給される信号及び大きさは、前述のように、検出装置内において処理されているが、同様に、電子制御ユニット12内においても容易に処理可能である。最終的に、例えば、直交軸等の3つの軸において加速度を検出するセンサ手段を使用することが有利である。このようにすれば、ブラインドの保護が向上する。この場合にも、前述の動作原理が同様に適用される。
【0058】
2次信号は、センサ手段の向きとは無関係に同一であり、且つ、1つの同一の平面内において計測方向を保持するようにセンサ手段を配置する必要がないため、3つの軸に沿って加速度を検出するセンサ手段の使用法は、2つの計測方向のみを使用するセンサ手段の使用法よりも有利である。従って、2次信号は、センサ手段の空間的な向きとは無関係であり、この結果として、ブラインドの構成要素に対するセンサ手段の固定が益々簡単になる。
【0059】
この出願において、「風の影響を計測するために選択された平面」とは、2つの計測方向を有するセンサ手段を使用する際にユーザーが風の影響の計測を所望している平面を意味していることを理解されたい。従って、このような平面内において風の影響を計測するためには、センサ手段の計測方向が、前述の平面に対して平行であるか又は同一の平面上に存在している必要がある。図3及び図6において、平面は、ロードバーに対して垂直であり、計測方向は、同一の平面上に存在している。
【0060】
2つの計測方向を有するセンサ手段の風の影響を計測する平面は、風の影響を経験しているブラインドの可動部分上へのセンサ手段の固定と関連付けられている。この結果、センサ手段の1つの位置に関していえば、センサ手段は、その2つの計測方向の向きの関数として風の影響を計測することになる。この平面は、2つの方向によって規定されている。この平面は、これらの2つの方向と平行であるか又は同一の平面上に存在している。2つの計測方向が同一の平面上に存在している場合には、これらの2つの方向によって形成された平面は、センサ手段の風の影響を計測する平面に対応している。計測方向が同一の平面上に存在していない場合には、これらの2つの方向に平行な平面を規定することが可能である。この平面は、センサ手段の風の影響を計測する平面に対応している。
【0061】
風の影響を計測する平行な平面を有するセンサ手段は、1つの同一の平面内において風の影響を計測すると考えられる。従って、異なる計測方向を有する複数のセンサは、風の影響を計測する1つの同一の平面を有することが可能である。
【0062】
「計測平面内におけるセンサ手段の向き」は、その2つの計測方向が、計測のために選択された平面と常に平行であるか又は同一の平面上に存在している場合には、センサ手段が、様々な位置を採用することが可能であることを意味している。
【0063】
この結果、ユーザーが風の影響を計測するための平面を選択する際に、この平面が、ブラインドの可動部分上におけるセンサ手段の固定と関連付けられている場合には、センサ手段は、選択された平面内において風の影響を計測するために、様々な位置を採用することが可能である。従って、センサ手段によって計測される風の影響は、その計測平面内におけるセンサ手段の向きとは無関係になる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るブランド等を保護する装置の一実施例が内蔵されたアームを有するブラインドを示す概略図である。
【図2】従来技術を表す検出装置の検出原理を示しており、且つ、平面P内におけるブラインドの断面を示す図である。
【図3】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第1実施例を遂行するための検出装置の検出原理を示す概略図(その1)である。
【図4】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第1実施例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第1実施例を遂行するための検出装置の検出原理を示す概略図(その2)である。
【図6】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第2実施例を遂行するための検出装置の検出原理を示す概略図(その1)である。
【図7】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第2実施例を遂行するための検出装置の検出原理を示す概略図(その2)である。
【図8】本発明に係るブラインド等に対する風の影響を判定する方法の第2実施例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明に係る検出装置の一実施例を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1計測方向(X1)及び第2計測方向(Y1)において風の影響を計測するためのセンサ手段(231)を具備するブラインド(1)等に対する前記風の影響を判定する方法であって、前記第1計測方向及び前記第2計測方向は、互いに異なっており、
前記方法は、
前記センサ手段から、前記第1計測方向において前記ブラインド等に対する前記風の影響を表す第1信号を収集するステップと、
前記センサ手段から、前記第2計測方向において前記ブラインド等に対する前記風の影響を表す第2信号を収集するステップとを有しており、
前記方法は、さらに、
前記センサ手段の向きとは無関係に均一なセンサ検出感度を得るために、前記風の影響を表す2次信号であって前記第1計測方向及び前記第2計測方向により規定された平面内における前記センサ手段の向きとは無関係な2次信号を供給するべく、前記第1信号及び前記第2信号を処理するステップを有することを特徴とする、ブラインド等に対する風の影響を判定する方法。
【請求項2】
前記センサ手段を配置する予備的なステップを有しており、前記第1計測方向及び前記第2計測方向が、前記風の影響を計測するために選択された平面に平行である場合には、前記センサ手段の向きは重要ではない請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1計測方向、第2計測方向、及び第3計測方向において風の影響を計測するためのセンサ手段(231)を具備するブラインド(1)等に対する前記風の影響を判定する方法であって、前記第1計測方向、前記第2計測方向、及び前記第3計測方向は、互いに異なっており、
前記方法は、
前記センサ手段から、第1計測方向において前記ブラインド等に対する前記風の影響を表す第1信号を収集するステップと、
前記センサ手段から、第2計測方向において前記ブラインド等に対する前記風の影響を表す第2信号を収集するステップとを有しており、
前記方法は、さらに、
前記センサ手段から、第3計測方向において前記ブラインド等に対する前記風の影響を表す第3信号を収集するステップと、
前記センサ手段の向きとは無関係に均一なセンサ検出感度を得るために、前記風の影響を表す2次信号であって前記センサ手段の向きとは無関係な2次信号を供給するべく、前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号を処理するステップとを有することを特徴とする、ブラインド等に対する風の影響を判定する方法。
【請求項4】
前記センサ手段を配置する予備的なステップを有しており、空間内における前記センサ手段の向きは重要ではない請求項3記載の判定方法。
【請求項5】
前記2次信号は、様々な方向における前記風の影響を表す前記信号を処理した結果として得られる強度であるか、又は、様々な方向における前記風の影響を表す前記信号を処理した結果として得られる強度及び方向である請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブラインド等に固有の軸(X,Y)を判定する予備的なステップを有しており、前記2次信号は、前記固有の軸に沿った前記風の影響を表す前記信号を処理した結果として得られる成分から構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブラインド等に固有の軸を判定する予備的なステップは、前記ブラインド等に対して機械的作用を及ぼすサブステップと、前記センサ手段が前記機械的作用の方向を判定するサブステップと、前記ブラインド等に固有の軸の中の1つを規定するために、前記機械的作用の方向を使用するサブステップとを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも第1計測方向(X1)及び第2計測方向(Y1)において風の影響を計測するためのセンサ手段(231)を有するブラインド(1)等に固定されるべく設計された検出装置(13)であって、前記第1計測方向(X1)及び前記第2計測方向(Y1)は、互いに異なっており、
前記検出装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を遂行するための物理的な手段(231、20、21、22、23、24、25、及び26)及びソフトウェアを有することを特徴とする検出装置。
【請求項9】
前記センサ手段は、少なくとも1つの加速度計(20、21)を有する請求項8記載の検出装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の検出装置を有することを特徴とする、ブラインド等を保護する装置。
【請求項11】
前記信号は、前記検出装置内又は電子制御ユニット(12)内において処理される請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記2次信号又は前記2次信号の成分の中の1つが、予め定められた閾値を超過したときに、前記ブラインド等を後退させるための命令を発行する手段(27、12)を有する請求項10又は11記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−208701(P2008−208701A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−3064(P2008−3064)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(590003869)ソムフィ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (38)
【Fターム(参考)】