説明

ブラシレスモータ

【課題】スイッチング素子を内蔵したブラシレスモータの径方向の小型化を図る。
【解決手段】有底筒状のモータハウジング2と、その内側に配設された制御回路基板6と、制御回路基板6に搭載されたスイッチング素子28と、スイッチング素子28が取り付けられると共にヒートシンク7に熱的に結合し、モータハウジング2とヒートシンク7とに囲まれた空間の内部に配置された取付けプレート27とを備え、ヒートシンク7がリード線39を外部に引き出す貫通孔30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径方向の小型化を図ったブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ブレーキ装置として、ブレーキ倍力装置に負圧ポンプを用いたものが知られている。このブレーキ装置は、ブレーキペダルと連結された負圧ブースタを備え、この負圧ブースタは、負圧となっている負圧室の空気圧と大気圧との圧力差によって発生する力(差圧力)を利用して、ブレーキ操作部材に加えられるブレーキ操作力を助勢する。この負圧室を負圧状態とするための負圧源として、負圧ポンプが用いられている。負圧ポンプは、ベーンポンプとモータを備え、モータの回転によってベーンポンプを回転させて負圧を発生させている。この負圧ポンプに使用されるモータとして、ブラシレスモータが用いられる場合がある。
【0003】
近年、車両のレイアウト制限により負圧ポンプの小型化と共に、製造コストの低減が強く要望されている。このため、負圧ポンプに使用されるブラシレスモータも小型化と共に製造コストの低減を図る必要がある。例えば、特許文献1には、車両に搭載されるブラシレスモータにおいて、小型軽量化を図るとともに、製造コストを低減することができる構造が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されたブラシレスモータは、自動車の電動ブレーキ用として用いられるブラシレスモータで、筒状のモータハウジングと、ハウジングの内側に固定されたステータと、回転自在に保持されたロータと、モータハウジングの開口部に取り付けられたブラケットとを備えている。ブラケットの開口部にはカバープレートが取り付けられている。そして、ブラシレスモータの駆動を制御するコントローラユニットとセンサユニットなどが実装された制御基板がカバープレートの内面側に組み付けられ、カバープレートの外面側にはヒートシンクが一体形成されている。
【0005】
また、ブラケットの周壁にはブラシレスモータと外部機器とを接続するためのコネクタが形成されている。このコネクタには複数の端子が設けられており、制御基板から引き出されたターミナルに接続されている。そして、コネクタには外部機器のカプラが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−104212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のブラシレスモータはブラケットの周壁にコネクタが形成されているため、コネクタがブラケットの外周面から径方向外方に突出した構成となっている。このため、このコネクタによってブラシレスモータの径方向での小型化を阻害してしまう問題がある。また、軸方向の端部(底部)に配置されたヒートシンクの内側にFET等のスイッチング素子を接触させ、放熱を行う構造としている。しかしながら、ブラシレスモータを駆動するスイッチグ素子は複数必要であり、またある程度の大きさを有しているので、この構造でスイッチング素子をヒートシンクに直付けすることは、限られたスペースを有効利用する上でマイナス要因となる。この点でも特許文献1に記載のブラシレスモータは、径方向での小型化が阻害されている。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題に鑑みなされたもので、スイッチング素子を内蔵した構造において、径方向の小型化を図ることができるブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、一方側に底部を備え、他方側に開口部を備えた有底筒状のモータハウジングと、前記モータハウジングの内側に配置されたステータと、前記ステータの内側に回転可能に配置されたロータと、前記モータハウジングの前記開口部に取り付けられたヒートシンクと、前記モータハウジングの内側に配設された制御回路基板と、前記制御回路基板に搭載されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子が取り付けられると共に前記ヒートシンクに熱的に結合し、前記モータハウジングと前記ヒートシンクとに囲まれた空間の内部に配置された取付けプレートとを備え、前記ヒートシンクは、前記制御回路基板に接続されたリード線を外部に引き出す引出し部を備えていることを特徴とするブラシレスモータである。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、スイッチング素子で発生する熱が、取付けプレートを介して、ヒートシンクに伝導し、外部に放熱される。請求項1に記載の発明では、モータハウジングの開口部に取り付けたヒートシンクにスイッチング素子を直接取り付けた構造に比較して、モータ底部がスイッチング素子により占有される問題が回避され、モータ底部のヒートシンクの部分に内部のリード線を外部に引き出す引出し部を配置することが可能となる。スイッチング素子としては、FET、バイポーラトランジスタ、トライアック等の公知のパワー半導体素子を利用することができる。引出し部としては、内部からの配線を外部に引き出す孔を設けた構造や内部からの配線が接続されたコネクタの構造を挙げることができる。スイッチング素子と取付けプレートとの熱的な結合の構造は、両者を直接接触させる構造であってもよいし、熱伝導シートを介してものであってもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記スイッチング素子は、軸方向に立てた状態で前記取付けプレートに取付けられていることを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、スイッチング素子を軸方向に立てた状態であるので、モータ底部のヒートシンクの部分に、スイッチング素子を寝かした状態で取り付けた放熱構造の場合に比較して、軸方向から見たスイッチング素子の占有面積を削減することができる。このため、放熱機能を損なわずにスイッチング素子の実装密度を上げることができる。また、ヒートシンクがスイッチング素子により占有されないので、放熱効果を損なわずにヒートシンクに内部配線の引き出し部を設けることが容易となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記取付けプレートは、前記スイッチング素子が軸方向で立てられた状態で取り付けられる側面部および前記ヒートシンクに熱的に結合する底面部を備えることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、側面部にスイッチング素子を立てた状態で取り付けることで、軸方向から見た場合におけるスイッチング素子が占める面積を抑えることができる。また底面部をヒートシンクに熱的に結合させることで、取付けプレートからヒートシンクへの熱の伝導を効率よく行うことができる。取付けプレートの底面部とヒートシンクとの熱的な結合の構造は、両者を直接接触させる構造であってもよいし、熱伝導シートを介してものであってもよい。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒートシンクは一方側に複数の放熱フィンが一体に形成され、他方側は前記モータハウジングの前記開口部に取り付け、前記放熱フィンが形成されていない箇所に前記引出し部を備えていることを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、ヒートシンクの一方側に形成された放熱フィンによって放熱を効率的に行うことができる。また放熱フィンが形成されていない箇所にリード線を外部に引き出すための引出し部を備え、リード線を軸方向に引き出す構成としているので、ブラシレスモータを小型化でき、限られたスペースに収納することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記制御回路基板は前記ステータに取り付けられたエンドキャップに取り付けられていることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、回路基板の保持する構造を強固なものとできる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒートシンクと前記取付けプレートとが熱伝導シートを介して接触していることを特徴とする。請求項6に記載の発明によれば、熱伝導シートが緩衝材となり、ガタがなく、また他の部分に無理な力が加わらない状態でヒートシンクと取付けプレートとが結合される。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒートシンクと前記モータハウジングとは、Oリングを介して結合していることを特徴とする。請求項7に記載の発明によれば、ヒートシンクとモータハウジングとの間にOリングが介装されるので、水分のモータ外部からモータ内部への浸入が防止される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スイッチング素子を内蔵したブラシレスモータの径方向の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明の実施形態のブラシレスモータの外観斜視図である。
【図2】発明の実施形態のブラシレスモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(構造)
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態のブラシレスモータの外観斜視図であり、図2は、図1に示すブラシレスモータの断面図である。図2には、図1に示すブラシレスモータを軸方向に沿って切断した状態が示されている。
【0020】
図1および2には、ブラシレスモータ1が示されている。ブラシレスモータ1は、車両に搭載される負圧ポンプを駆動するために用いられるブラシレスモータであり、8極9スロット構造を有している。ブラシレスモータ1は、有底筒状のモータハウジング2と、このモータハウジング2の内側に嵌合固定されたステータ3と、ステータ3の内側において、ステータ3に対して回転可能な状態で支持されたロータ4とを備えている。モータハウジング2の開口部の内側には、エンドキャップ5が配置され、エンドキャップ5には、制御回路基板6が取り付けられている。また、複数の放熱フィン8を備えたヒートシンク7によってモータハウジング2の開口部(図2の下部)が封止されている。
【0021】
有底筒状のモータハウジング2は、一方側(図2の上部)に底部9を備え、他方側(図2の下部)に開口部を備えている。底部9の中央には、軸方向に突出したボス部10が形成されている。ボス部10は、長さの短い円筒形状の部分が軸方向に突出した構造を有している。これは、後述するボス部23も同じである。ボス部10の中央には、回転軸20を挿通するための孔が形成され、ボス部10の内側には、回転軸20(ロータ4)を回転可能に支持するための軸受21が圧入固着されている。
【0022】
モータハウジング2の内側には、ステータ3が嵌合固着されている。ステータ3は、ステータコア12と、ステータコア12に装着するインシュレータ13,14と、ステータコア12に巻回するコイル11とから構成されている。ステータコア12は、軟磁性鋼板(例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板など)を複数枚積層したもので、円環状のヨーク部15から軸中心の方向に複数が突出する極歯部16が形成されている。そして、ステータコア12には、軸方向の両側からインシュレータ13,14がそれぞれ装着され、インシュレータ13,14を介して極歯部16に界磁コイルを構成するコイル11が巻回されている。そして、コイル11のコイル端末(図示省略)は、インシュレータ14に配設された端子ピン(図示省略)に接続されている。
【0023】
ロータ4は、ステータ3の内側に配置され、一対の軸受21,22によってステータ3に対して回転が可能な状態で支持されている。ロータ4は、軟磁性材から形成された中空筒状のロータコア17と、その外周面に固着された永久磁石18とを備えている。永久磁石18により、ロータマグネットが構成されている。永久磁石18は、8個のセグメント磁石から構成されているが、1個のリング状磁石で構成しても勿論よい。ロータコア17の内側には、非磁性材から形成された円筒状のスリーブ19が嵌合固着され、スリーブ19の中央には回転軸20が圧入固着されている。回転軸20の一方の先端には、負圧ポンプ(図示省略)を構成するベーンポンプのロータ(図示省略)と結合するためのインボリュートスプライン加工40が施されている。なお、回転軸20と図示しないベーンポンプのロータとを結合する構造は、回転軸20の回転をベーンポンプのロータに伝えることができるものであれば、例示する構造に限定されない。
【0024】
モータハウジング2の開口部の内側に設けられたエンドキャップ5は円板状で、その中央には、軸方向に突出したボス部23が形成されている。ボス部23の中央には、回転軸20を挿通するための孔が形成され、ボス部23の内側には、ロータ4を回転可能に支持するための軸受22が圧入固着されている。エンドキャップ5は、インシュレータ14とねじで締結されている。スリーブ19と軸受21との間には、予圧付与のためのコイルばね24が装着され、スリーブ19と軸受22との間には円筒状のカラー25が配設されている。この構造により、コイルばね24によって軸受21に予圧が付勢されるとともに、カラー25にて軸受22にも予圧が付勢される。
【0025】
エンドキャップ5のボス部23が設けられた側の外側の縁の部分(モータハウジング2の内側に接触する部分)は、軸方向に延在する円環状の壁部5aが設けられている。この壁部5aとボス部23との間に環状の空間を有する凹部42が形成され、この凹部42に制御回路基板6がエンドキャップ5に固定された状態で配設されている。なお、制御回路基板6のエンドキャップ5への固定は、図示しないねじで行われている。制御回路基板6は、ブラシレスモータ1の駆動を行うための回路を搭載した電子基板である。凹部42の底部(制御回路基板6のエンドキャップ5に面する部分)にも複数の凹部42aが形成されている。この構造により、制御回路基板6は、モータハウジング2の内側に配設されている。
【0026】
制御回路基板6の両面には配線パターンが形成されるとともに、制御回路基板6の両面に電子部品が実装されている。制御回路基板6の裏面側(図の上面側)に実装された電子部品は、エンドキャップ5の底部側に設けられた凹部42aに収納され、制御回路基板6の実装密度を上げている。また、コイル11のコイル端末(図示省略)が接続された端子ピン(図示省略)は、制御回路基板6に形成されたスルーホールに挿通されて制御回路基板6の配線パターンと電気的に接続されている。
【0027】
回転軸20の一方端(図2の下端)は、略有底筒状の取付けプレート27によって覆われている。取付けプレート27は、側面の外周面に平坦面を有し、そこにスイッチング素子28が軸方向に立てた状態で取り付けられている。取付けプレート27は、スイッチング素子28の放熱器として機能する部材であり、銅やアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料により構成されている。スイッチング素子28は、ブラシレスモータ1を制御駆動するための電子部品であり、例えばFETが採用されている。スイッチング素子28は、放熱面を有し、この放熱面が取付けプレート27に熱的に結合する状態で、取付けプレート27に取り付けられている。また、スイッチング素子28の端子29(リード線)は、制御回路基板6の配線パターンに電気的に接続されている。なお、図では、スイッチング素子28は、一つが示されているが、通常その数は複数ある。また、取付けプレート27は、スペーサ38を介して、制御回路基板6とねじ26で締結されている。
【0028】
軸方向から見た取付けプレート27の形状は、スイッチング素子28を取り付ける平坦面(この例では、側面部27a)がある構造であればよい。この軸方向から見た取り付けプレート27の形状としては、四角形等の多角形状を挙げることができる。この例において、取付けプレート27は、側面部27aと底面部27bとを有している。側面部27aは、スイッチング素子28を取り付ける平坦な側面であり、底面部27bは、後述するヒートシンク7に接触する。この側面部27aと底面部27bに対応する部分があるのであれば、取付けプレート27の形状は、上述した略有底筒状のものに限定されない。側面部27aにスイッチング素子28を取り付けた取付けプレート27は回転軸20の周囲に立設し配置した構成であってもよい。
【0029】
また、図2に示すように、取付けプレート27の側面部27aが回転軸20の端部を囲む形状を有している。側面部27aの形状を回転軸20の端部を囲む形状とすることで、図示省略されている符号28以外のスイッチング素子をスイッチング素子28と同様な状態で取り付けることができるスペースを側面部27aに確保することができる。側面部27aに複数のスイッチング素子を取り付けても、各スイッチング素子を図示するように軸方向に立てた状態で配置できるので、各スイッチング素子の径方向における占有面積が抑えられる。この取付けプレート27の形状は、側面部27aが回転軸20の端部を囲む形状に限定されるものではない。側面部27aにスイッチング素子28を取り付けた取付けプレート27を制御回路基板6に立設し、底面部27bがヒートシンク7に接触する構成であればよい。
【0030】
モータハウジング2の開口部には、ヒートシンク7が取り付けられ、閉塞されている。ヒートシンク7は、円板状を有し、一方側(外側となる側)に複数の放熱フィン8が一体に形成され、他方側(内側となる側)に凹部43が形成されている。凹部43は、ヒートシンク7の底部から軸方向に延在した円環状の周壁32の内側の空間として構成されている。
【0031】
ヒートシンク7の凹部43には、取付けプレート27の一部が収納されている。取り付けプレート27の底部は、熱伝導シート41を介してヒートシンク7と接触し、ヒートシンク7と熱的に結合している。この熱伝導シート41をヒートシンク7と取付けプレート27との間に介装することによって両者の熱的な結合状態を向上させている。また、熱伝導シート41は、ヒートシンク7と取付けプレート27との間で緩衝材として機能している。この構造によれば、図2に示されるように、取り付けプレート27は、モータハウジング2とヒートシンク7とに囲まれた空間の内部に配置されている。
【0032】
ヒートシンク7の放熱フィン8が形成されていない箇所には、軸方向に貫通した複数の貫通孔30が形成されている。この複数の貫通孔30は、制御回路基板6に接続されたリード線39を外部に引き出すための孔であり、貫通孔30にはそれぞれワイヤシール31が装着されている。なお、貫通孔30が設けられた部分に、制御回路基板6からの配線が接続された接続コネクタを配置し、この接続コネクタに、外部からの配線を接続する形態とすることも可能である。
【0033】
ヒートシンク7の周壁32の外周面には、環状溝33が形成され、この環状溝33には、Oリング34が装着されている。ヒートシンク7の周壁32は、モータハウジング2の開口部の内側に嵌合されており、Оリング34によってモータハウジング2の開口部が封止されている。そして、モータハウジング2の開口部の周縁の複数個所は、カシメ加工が施され、ヒートシンク7がモータハウジング2の開口部に固定されている。このカシメ加工によるカシメ箇所35(図1参照)の位置や数は、適宜決めることができる。ヒートシンク7をモータハウジング2の開口部に装着する手段は、カシメに限定されず、溶接、接着、ねじ止め、嵌め込み構造等であってもよい。
【0034】
モータハウジング2の他端側(図の上方の底部9の側)には、ブラシレスモータ1を負圧ポンプ(図示省略)に装着するための取付けフランジ36が固定されている。取付けフランジ36には、ボス部10が挿通する開口が形成されるとともに、この開口の周縁には環状溝が形成され、この環状溝にはOリング37が装着されている。この開口をボス部10に挿通させ、溶接にて取付けフランジ36がモータハウジング2の底部9に固着されている。そして、図示しないねじによってブラシレスモータ1が図示省略した負圧ポンプに締結される。
【0035】
(優位性)
発熱源であるスイッチング素子28で生じた熱は、取付けプレート27を介してヒートシンク7に伝わり、ブラシレスモータ1の外部に放熱される。この際、ヒートシンク7に形成された放熱フィン8によって放熱が効率的に行われる。
【0036】
ヒートシンク7とモータハウジング2との間にはOリング34を介装しているので、モータ外部からモータ内部への水分の浸入が防止されている。また、リード線39を引き出すための貫通孔30には、ワイヤシール31が装着され、貫通孔30からの水分の侵入が防止されている。さらに、図示省略したベーンポンプと結合するボス部10と、取付けフランジ36との間には、Oリング37を介装しているため、ベーンポンプ内部への水分の侵入を防止できる。
【0037】
モータハウジング2の外周面には、リード線39を外部に引き出すための構成を備えておらず、モータハウジング2の開口に装着したヒートシンク7に形成した貫通孔30から軸方向にリード線39を引き出す構成としている。このため、ブラシレスモータ1の径方向の寸法を小型化でき、ブラシレスモータ1を限られたスペースにも収納できる。
【0038】
ブラシレスモータ1を駆動制御するためのスイッチング素子28をモータ内部に備えた構成としている。このため、モータを駆動制御するためのスイッチング素子28をモータの外部に別途設ける必要がなく、余分な配線が不要となる結果、製造コストを低減できる。
【0039】
特に、内部に収納されたスイッチング素子28を、取付けプレート27の側面に取付け、スイッチング素子28を制御回路基板6から軸方向から立てた状態とするので、軸方向から見たスイッチング素子28の占有スペースを小さくできる。図示省略されているが、ブラシレスモータ1の界磁コイルの通電の切り替えを行うスイッチング素子は、複数必要であるので、軸方向から見たスイッチング素子28の占有面積を抑えることは、ブラシレスモータ1の径方向の寸法を抑える上で極めて有用となる。また、スイッチング素子28の軸方向から見た占有面積が抑えられることで、放熱フィンが占める面積を削減することなく、ヒートシンク7の軸方向における端面に、軸方向にリード線30を引き出すスペースを確保することができる。
【0040】
(その他)
上述の実施形態では負圧ポンプを駆動するためのブラシレスモータについて説明したが、本発明を利用したブラシレスモータの適用範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲において適宜変更が可能であることは勿論である。すなわち、ブラシレスモータ1は、負圧ポンプを駆動するためのモータとして好適であるが、駆動の対象は負圧ポンプに限定されない。
【0041】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、ブラシレスモータに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ブラシレスモータ、2…モータハウジング、3…ステータ、4…ロータ、5…エンドキャップ、5a…壁部、6…制御回路基板、7…ヒートシンク、8…放熱フィン、9…底部、10…ボス部、11…コイル、12…ステータコア、13…インシュレータ、14…インシュレータ、15…ヨーク部、16…極歯部、17…ロータコア、18…永久磁石、19…スリーブ、20…回転軸、21…軸受、22…軸受、23…ボス部、24…コイルばね、25…カラー、26…ねじ、27…取付けプレート、27a…側面部、27b…底面部、28…スイッチング素子、29…端子、30…貫通孔、31…ワイヤシール、32…周壁、33…環状溝、34…Оリング、35…カシメ箇所、36…フランジ、37…Oリング、38…スペーサ、39…リード線、40…インボリュートスプライン加工、41…熱伝導シート、42…凹部、42a…凹部、43…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に底部を備え、他方側に開口部を備えた有底筒状のモータハウジングと、
前記モータハウジングの内側に配置されたステータと、
前記ステータの内側に回転可能に配置されたロータと、
前記モータハウジングの前記開口部に取り付けられたヒートシンクと、
前記モータハウジングの内側に配設された制御回路基板と、
前記制御回路基板に搭載されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子が取り付けられると共に前記ヒートシンクに熱的に結合し、前記モータハウジングと前記ヒートシンクとに囲まれた空間の内部に配置された取付けプレートと
を備え、
前記ヒートシンクは、前記制御回路基板に接続されたリード線を外部に引き出す引出し部を備えていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、軸方向に立てた状態で前記取付けプレートに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記取付けプレートは、前記スイッチング素子が軸方向で立てられた状態で取り付けられる側面部および前記ヒートシンクに熱的に結合する底面部を備えることを特徴とする請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記ヒートシンクは一方側に複数の放熱フィンが一体に形成され、他方側は前記モータハウジングの前記開口部に取り付け、前記放熱フィンが形成されていない箇所に前記引出し部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記制御回路基板は前記ステータに取り付けられたエンドキャップに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
前記ヒートシンクと前記取付けプレートとが熱伝導シートを介して接触していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項7】
前記ヒートシンクと前記モータハウジングとは、Oリングを介して結合していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−115923(P2013−115923A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259835(P2011−259835)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】