説明

プリンタおよび印刷方法

【課題】検出されるレンズ信号に基づいて駆動手段を駆動する場合でも、動作の安定性を
得ることが可能なプリンタおよび印刷方法を提供すること。
【解決手段】複数のレンズ12A1が配置されているレンズシート12に印刷を実行する
ためのプリンタ10であり、レンズシート12を走査することにより、該レンズシート1
2におけるレンズ12A1のピッチに応じたレンズ信号を出力するレンズ検出手段60と
、スケール81を走査することにより、該スケール81上に設けられているパターンに応
じてエンコーダ信号を出力する位置検出手段80と、エンコーダ信号が入力されると共に
、このエンコーダ信号を細分化して細分化信号を出力する信号細分化手段111と、細分
化信号が入力されると共に、入力された細分化信号に基づいてレンズ信号を補正し、補正
レンズ信号を出力する補正手段112と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタおよび印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の印刷技術の中には、多数のシリンドリカル凸レンズ(以下、凸レンズとする。)
が並列配置されたレンチキュラーレンズを具備するレンズシートの記録層に、印刷画像を
印刷するものがある(特許文献1参照)。かかる印刷技術では、レンズシートの記録層に
、凸レンズのピッチに対応させたストライプ状の細分化画像を多数並べて記録する。そし
て、細分化画像の種類に応じて、視認される画像が立体視されたり、見る角度を変えて動
く写真(アニメーション)とすることが可能となる。
【0003】
ところで、レンチキュラーレンズを用いた印刷の際の、解決すべき課題の1つとしては
、レンズシートを製造する際に発生するレンズピッチの揺らぎがある。この揺らぎは、種
々の外的要因によって生じるが、製造方法によっても変化するものの、60lpi(le
ns per inch)の時に、0.5〜0.01lpiのレンズ解像度の揺らぎが生
じる。
【0004】
かかるレンズ解像度の揺らぎを解決する方法の1つとしては、印刷前に使用するレンチ
キュラーレンズの解像度を調べた後に、その解像度に基づいて記録層に印刷画像を形成す
る手法がある。ここで、特許文献1においては、レンズシートのレンズピッチを、光の投
受光方式のセンサを用いて検出し、検出された間隔にてインク滴を吐出する制御を行って
いる。
【0005】
【特許文献1】特許第3471930号公報(段落番号0066〜0076、図1、図5、図8、図9等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般にプリンタにおいては、リニアエンコーダおよびロータリエンコーダか
ら出力されるエンコーダ信号(以下、ENC信号とする。)に基づいて、印刷ヘッドの位
置を検出している。また、レンズシートに印刷を実行する場合、ENC信号を逓倍する等
してPTS信号を生成し、このPTS信号によって印刷ヘッドを制御駆動し、レンズシー
ト上に所望の印刷画像を形成している。また、レンズ信号の検出時、レンズのピッチ間隔
が同じであっても、レンズシートのコーティング材の影響や動作振動の影響などで実際の
レンズ位置と検出位置に違いが生じることがある。その結果、レンズ上への吐出間隔が均
一に行われなくなってしまう。
【0007】
ここで、特許文献1では、レンズピッチのばらつきに鑑み、そのレンズピッチを検出し
て、該レンズピッチに対応するレンズ信号を形成し、このレンズ信号に基づいて印刷ヘッ
ド等の駆動部位を駆動して、レンズシートに対する印刷を実行している。しかしながら、
プリンタにおいては、ENC信号に基づいてPTS信号を生成しており、かかるPTS信
号に基づく印刷ヘッドの駆動に対しては動作保証が取れているものの、レンズ信号に基づ
いて印刷ヘッドを駆動する場合には、動作保証(動作の安定性)が取れていない。
【0008】
そのため、印刷ヘッドを駆動して、レンズシートに対して印刷を実行しても、期待通り
の印刷精度が得られない場合がある。また、印刷ヘッドの予想外の動作により、印刷動作
自体に支障を来たす場合もある。このような課題を解決するための具体的な手段は、特許
文献1にも何等開示されていない。なお、ENC信号に基づく駆動制御は、印刷ヘッドだ
けではなく、その他、CRモータ、PFモータ等の駆動手段も、ENC信号に基づいて駆
動制御されている。
【0009】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、検出される
レンズ信号に基づいて駆動手段を駆動する場合でも、動作の安定性を得ることが可能なプ
リンタおよび印刷方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のレンズが配置されているレンズシートに
印刷を実行するためのプリンタにおいて、レンズシートを走査することにより、該レンズ
シートにおけるレンズのピッチに応じたレンズ信号を出力するレンズ検出手段と、スケー
ルを走査することにより、該スケール上に設けられているパターンに応じてエンコーダ信
号を出力する位置検出手段と、エンコーダ信号が入力されると共に、このエンコーダ信号
を細分化して細分化信号を出力する信号細分化手段と、細分化信号が入力されると共に、
入力された細分化信号に基づいてレンズ信号を補正し、補正レンズ信号を出力する補正手
段と、を具備するものである。
【0011】
このように構成した場合には、位置検出手段では、スケールの走査によってパターンに
応じたエンコーダ信号を出力し、信号細分化手段では、エンコーダ信号を細分化して細分
化信号を出力する。また、補正手段では、この細分化信号に基づいて、レンズ検出手段か
ら出力されるレンズ信号を補正し、補正レンズ信号を出力する。
【0012】
このようにすれば、エンコーダ信号を細分化した細分化信号に基づいて、レンズ信号を
補正することができる。すなわち、レンズ信号は、エンコーダ信号をベースとする細分化
信号により補正されることで、駆動手段における全ての駆動タイミングは、純粋なレンズ
信号ではなく、細分化信号をベースとして生成される補正レンズ信号が基準となる。この
ため、印刷ヘッド等の駆動手段の駆動タイミングがレンズ信号に対して整合しないことに
よる、動作の安定性が得られない、といった不具合が生じるのを防止可能となる。また、
細分化信号でレンズ信号を補正した後の補正レンズ信号は、補正前のレンズ信号の情報を
も反映しているため、レンズシートに対する印刷においては、実際のレンズピッチを反映
させて印刷可能となる。そのため、レンズシートに対する印刷精度を向上させることが可
能となる。また、細分化信号をベースとして、レンズ信号を補正して補正レンズ信号を作
成するため、印刷ヘッド等の駆動部位において、エンコーダ信号とレンズ信号との間にお
ける信号切り替えがスムーズとなる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、信号細分化手段は、クロック信号のカウ
ントに基づいて、エンコーダ信号を細分化するものである。
【0014】
このように構成した場合には、クロック信号は、通常、エンコーダ信号と比較して、周
期が非常に小さい状態となっている。このため、かかる周期の小さなクロック信号に基づ
けば、エンコーダ信号を所望の大きさの周期に細分化することが可能となる。それにより
、例えば視認するのに十分耐えられる印刷を行わせるための補正レンズ信号を、細分化信
号に基づいて生成することが可能となる。
【0015】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置検出手段は、レンズシートに向け
てインク滴を吐出する印刷ヘッドの主走査方向における位置検出を行うためのリニアエン
コーダであると共に、スケールは、主走査方向に沿って配置されるリニアスケールであり
、レンズ検出手段は、リニアエンコーダと同時に主走査方向に移動しつつレンズシートに
おけるレンズの該主走査方向に沿うピッチを検出するものである。
【0016】
このように構成した場合には、リニアエンコーダとレンズ検出手段とは、同時に主走査
方向に移動する。この移動に際して、リニアエンコーダは、主走査方向における位置検出
を行い、レンズ検出手段は、主走査方向におけるレンズピッチの検出を行う。このように
すれば、レンズピッチとリニアエンコーダにより検出される位置との対応を取ることが可
能となり、細分化信号をベースとして補正レンズ信号を生成することが可能となる。
【0017】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、信号細分化手段は、エンコーダ信号の
立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出に基づいて制御信号を出力すると共に、
クロック信号が検出される度にこのクロック信号の更新情報を出力するカウント制御部と
、更新情報を受信することによりクロック信号のカウント値を更新しつつ新たなカウント
値として一時的に記憶すると共に、制御信号を受信することによりカウント値を出力し、
かつ記憶されているカウント値をインクリメントするカウント情報記憶部と、カウント情
報記憶部からカウント値が出力された場合に、そのカウント値を記憶するラッチ部と、カ
ウント値を予め設定されている分割数で分割して分割値を算出し、かつクロック信号を別
途カウントしてカウント値を算出し、分割値の算出後に別途カウントされるカウント値が
該分割値に到達した場合に、Hレベルの信号とLレベルの信号との間の切り替えを行うこ
とで、細分化信号を出力する信号生成部と、を具備するものである。
【0018】
このように構成した場合には、カウント情報記憶部では、カウント制御部から出力され
る更新情報を受信することにより、クロック信号のカウント値を更新しつつ新たなカウン
ト値として一時的に記憶する。また、カウント制御部からの制御信号を受信した場合、カ
ウント情報記憶部で記憶しているカウント値を、ラッチ部に向けて出力すると共に、カウ
ント情報記憶部で記憶しているカウント値をゼロクリアする。そして、ラッチ部に記憶さ
れているカウント値は、信号生成部に読み出され、このカウント値を設定された分割数で
分割することにより、分割値が算出される。また、クロック信号を別途カウントすること
により算出されるカウント値が、分割値に到達した場合、Hレベル/Lレベルの間で、出
力する信号を切り替える。それにより、信号生成部は、1つ前の周期のエンコーダ信号を
分割数で細かく分割した周期で出力される、細分化信号を出力することが可能となる。
【0019】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、補正手段は、レンズ信号の立ち上が
りエッジまたは立ち下がりエッジを検出した後であって、細分化信号の立ち上がりエッジ
または立ち下がりエッジを検出した場合に、Hレベルの信号とLレベルの信号との間の切
り替えを行うことによりレンズ信号を補正して、補正レンズ信号を出力するものである。
【0020】
このように構成した場合には、細分化信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジ
に合わせて、レンズ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのタイミングがずら
された、補正レンズ信号が出力される。このようにすれば、出力される補正レンズ信号は
、エンコーダ信号をベースとして生成される細分化信号の立ち上がりエッジまたは立ち下
がりエッジに合わせることが可能となり、印刷ヘッド等の駆動手段の駆動タイミングがレ
ンズ信号に対して整合しないことによる、動作の安定性が得られない、といった不具合が
生じるのを防止可能となる。
【0021】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、補正レンズ信号は、制御手段に入力さ
れると共に、この制御手段は、インク滴をレンズシートに向けて吐出する印刷ヘッドの駆
動を制御するものである。
【0022】
このように構成した場合には、制御手段は、補正レンズ信号に基づいて、印刷ヘッドを
制御駆動し、レンズシートに向けてインク滴を吐出する。それにより、レンズピッチを反
映させながらも、エンコーダ信号をベースとする補正レンズ信号により、レンズシートに
対する印刷を実行可能となり、動作保証が為されつつ、高精細な印刷を実現することが可
能となる。
【0023】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、レンズ検出手段は、レンズシートに
向けて光を出射すると共に、レンズシートの搬送状態において該レンズシートを挟んでキ
ャリッジとは反対側に設けられる発光部と、キャリッジに取り付けられると共に、発光部
から出射された後にレンズシートを透過する光が入射され、該入射される光の強度に応じ
た検出信号を出力する受光部と、を具備するものである。
【0024】
このように構成した場合には、レンズ検出手段は、レンズシートを挟んでキャリッジ側
に受光部、その反対側に発光部が配置されるため、透過方式のセンサを構成する。そのた
め、反射方式のセンサを用いる場合と比較して、レンズピッチの検出精度を向上させるこ
とが可能となる。また、検出精度の高いレンズ信号が得られることにより、レンズシート
に対する印刷が一層高精細なものとなる。
【0025】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、レンズ検出手段は、キャリッジに取り
付けられると共に、レンズシートの搬送状態において該レンズシートに向けて光を出射す
る発光部と、キャリッジに取り付けられると共に、発光部から出射されレンズシートの透
過後に反射され再び該レンズシートを透過する光が入射され、該入射される光の強度に応
じた検出信号を出力する受光部と、を具備するものである。
【0026】
このように構成した場合には、発光部から光がレンズシートに向かい出射され、レンズ
シートでは、この光をそのまま透過して、受光部で受光されるか、またはレンズの透過後
に反射されることにより、受光部で受光される。ここで、受光部および発光部がキャリッ
ジに取り付けられているため、キャリッジと共に移動しながらレンズピッチを計測するこ
とが可能となる。
【0027】
さらに、他の発明は、複数のレンズが配置されているレンズシートに印刷を実行するた
めの印刷方法において、レンズシートを走査することにより、レンズシートにおけるレン
ズのピッチに応じたレンズ信号を出力するレンズ信号出力工程と、スケールを走査するこ
とにより、該スケール上に設けられているパターンに応じてエンコーダ信号を出力するエ
ンコーダ信号出力工程と、エンコーダ信号が入力されると共に、このエンコーダ信号を細
分化して細分化信号を出力する信号細分化工程と、細分化信号およびレンズ信号が入力さ
れると共に、細分化信号に基づいてレンズ信号を補正し、補正レンズ信号を出力する補正
工程と、を具備するものである。
【0028】
このように構成した場合には、エンコーダ信号出力工程では、スケールの走査によって
パターンに応じたエンコーダ信号を出力し、信号細分化工程では、エンコーダ信号を細分
化して細分化信号を出力する。また、補正工程では、この細分化信号に基づいて、レンズ
信号出力工程から出力されるレンズ信号を補正し、補正レンズ信号を出力する。
【0029】
このようにすれば、エンコーダ信号を細分化した細分化信号に基づいて、レンズ信号を
補正することができる。すなわち、レンズ信号は、エンコーダ信号をベースとする細分化
信号により補正されることで、駆動手段における全ての駆動タイミングは、純粋なレンズ
信号ではなく、細分化信号をベースとして生成される補正レンズ信号が基準となる。この
ため、印刷ヘッド等の駆動手段の駆動タイミングがレンズ信号に対して整合しないことに
よる、動作の安定性が得られない、といった不具合が生じるのを防止可能となる。また、
細分化信号でレンズ信号を補正した後の補正レンズ信号は、補正前のレンズ信号の情報を
も反映しているため、レンズシートに対する印刷においては、実際のレンズピッチを反映
させて印刷可能となる。そのため、レンズシートに対する印刷精度を向上させることが可
能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明のプリンタの一実施の形態について、図1から図17に基づいて説明する
。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプリンであるが、かかるイ
ンクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方
法を採用した装置でも良い。
【0031】
なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方
側とは、設置される側から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ30が移動する
方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であってレンズシート12が搬送される方
向を副走査方向とする。また、レンズシート12が供給される側を給紙側(後端側)、レ
ンズシート12が排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
【0032】
最初に、印刷対象物であるレンズシート12について説明する。図1に示すように、レ
ンズシート12は、表面に位置するレンチキュラーレンズ12Aと、このレンチキュラー
レンズ12Aの裏面と接するインク吸収層12Bと、該レンズシート12の裏面に位置す
るインク透過層12Cとを具備している。これらのうち、レンチキュラーレンズ12Aは
、一方向を長手とする複数のシリンドリカル凸レンズ(凸レンズ12A1)が、一定のピ
ッチで並列配置された構成となっている。レンチキュラーレンズ12Aにおいては、それ
ぞれの凸レンズ12A1を進行する光の焦点が、レンチキュラーレンズ12Aの裏面(イ
ンク吸収層12Bとの境界面Q)に位置するように、凸レンズ12A1の曲率が形成され
ている。
【0033】
なお、本実施の形態では、レンチキュラーレンズ12Aにおける凸レンズ12A1の並
びのピッチとしては、後述するスケール81のラインパターンの並びのピッチの整数倍と
するものがある。例えば、スケール81のラインパターンが1/180インチである場合
、凸レンズ12A1のピッチは、30lpi(lens per inch;1インチ当
たりの凸レンズ12A1の本数)、45lpi、60lpi、90lpiとするものがあ
る。しかしながら、凸レンズ12A1のピッチは、該例示には限られず、例えば100l
piのように、種々変更するようにしても良い。また、レンズシート12においては、通
常は、製造誤差等によって、上述の凸レンズ12A1のピッチから、若干ずれが生じてい
る。
【0034】
また、インク透過層12Cは、ノズルから吐出されたインク滴が最初に付着する部分で
あり、該付着したインクが透過していく部分である。このインク透過層12Cは、例えば
酸化チタン、シリカゲル、PMMA(メタクリル樹脂)、硫酸バリウム等を材質として形
成されている。また、インク吸収層12Bは、インク透過層12Cを透過したインクを吸
収/固着させる部位である。このインク吸収層12Bは、例えばPVA(ポリビニルアル
コール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子等を材質として形
成されている。なお、インク吸収層12Bは透明であると共に、インク透過層12Cは、
白色である。しかしながら、インク吸収層12Bが白色であっても良く、またインク透過
層12Cが透明であっても良く、さらにインク透過層12Cとインク吸収層12Bの両方
が透明であっても良い。
【0035】
また、図2他に示すように、プリンタ10は、キャリッジモータ(CRモータ22)に
よってキャリッジ30を主走査方向に往復動させるキャリッジ機構20、PFモータ41
(紙送りモータに対応)によってレンズシート12を搬送する用紙搬送機構40等があり
、その他、図2に示す制御部100が存在する。
【0036】
ここで、キャリッジ機構20について説明する。キャリッジ機構20は、図2他に示す
ように、キャリッジ30を具備している。また、キャリッジ機構20は、キャリッジ30
を摺動可能に保持するキャリッジ軸21と、キャリッジモータ(CRモータ22)と、こ
のCRモータ22に取り付けられている歯車プーリ23と、無端のベルト24と、歯車プ
ーリ23との間にこの無端のベルト24を張設する従動プーリ25と、リニアエンコーダ
80と、を備えている。
【0037】
また、図3等に示すように、プラテン50に対向する状態で、キャリッジ30が設けら
れている。キャリッジ30には、図2等に示すように、各色のインクカートリッジ31が
着脱可能に搭載されている。また、キャリッジ30の下部には、印刷ヘッド32が設けら
れている。図4に示すように、印刷ヘッド32には、ノズル33aがレンズシート12の
搬送方向(副走査方向)に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列3
3を形成している。なお、本実施の形態では、ノズル列33は、例えば180個のノズル
33aから構成されており、このうち、180番目のノズル33aが給紙側、1番目のノ
ズル33aが排紙側に位置している。
【0038】
また、キャリッジ30の下部に設けられ、各インクに対応づけられたノズル列33には
、ノズル33a毎に、ピエゾ素子(不図示)が配置されている。このピエゾ素子の作動に
より、インク通路の端部にあるノズル33aからインク滴を吐出することが可能となって
いる。なお、印刷ヘッド32は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、その他
の方式を用いても良い。その他の方式としては、例えば、インクをヒータで加熱し、発生
する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、静電気力を利用した静電
方式、ミストを電界で制御するミスト方式等が、主な方式として挙げられる。
【0039】
また、図3等に示すように、プリンタ10は、用紙搬送機構40を具備している。用紙
搬送機構40は、レンズシート12等を搬送するためのPFモータ41(図2参照)、お
よび普通紙等の給紙に対応する給紙ローラ42を具備している。また、給紙ローラ42よ
りも排紙側には、レンズシート12を搬送/挟持するためのPFローラ対43が設けられ
ている。なお、PFローラ対43のうち、PF駆動ローラ43aは、PFモータ41から
の駆動力が伝達され、レンズシート12の1ステップずつの搬送を可能としている。
【0040】
また、PFローラ対43の排紙側には、プラテン50および上述の印刷ヘッド32が上
下に対向する様に配設されている。プラテン50は、PFローラ対43によって印刷ヘッ
ド32の下へ搬送されてくるレンズシート12を、下方側から支持する。また、プラテン
50よりも排紙側には、上述のPFローラ対43と同様の、排紙ローラ対44が設けられ
ている。この排紙ローラ対44のうち、排紙駆動ローラ44aには、PF駆動ローラ43
aと共に、PFモータ41からの駆動力が伝達される。
【0041】
また、プリンタ10のうち、排紙側とは逆の後端側かつ給紙ローラ42の下方側には、
開口部45が設けられている。開口部45は、レンズシート12等の折り曲げ困難な印刷
対象物を、プリンタ10の後端側で通過させるための開口部分である。なお、レンズシー
ト12は、単体で開口部45を通過する以外に、トレイ等に載置された状態で通過するよ
うにしても良い。
【0042】
また、図1および図6に示すように、キャリッジ30の下面とプラテン50の間の部位
には、レンズシート12における凸レンズ12A1のレンズピッチを検出する、レンズ検
出手段に対応するレンズ検出センサ60が配置されている。レンズ検出センサ60は、光
の投受光方式(透過方式)のセンサであり、図1および図6等に示すように、発光部61
と、受光部62とを有している。これらのうち、発光部61は、搬送されるレンズシート
12よりもプラテン50側(下方側)に設けられている。また、受光部62は、搬送され
るレンズシート12よりもキャリッジ30側(上方側)に設けられている。
【0043】
図1に示すように、本実施の形態における発光部61は、光の出射側とは反対側に光源
612が配置される直下方式の構成を採用しており、光源群611と、この光源群611
を覆う拡散板613とを有している。発光部61は、プラテン50の後端側(レンズシー
ト12の給紙側)に設けられている。なお、発光部61が設けられる部位は、プラテン5
0には限られず、その他の固定的な部位に設けるようにしても良く、また、プラテン50
の前端側に設けるようにしても良い。このように、発光部61をプラテン50の後端側に
設けることにより、後述する発光部61と受光部62とが対向している。
【0044】
また、発光部61は、プラテン50の後端側に存在する凹陥部51に設けられている。
凹陥部51は、プラテン50の他の部分よりも窪んでいる部分である。この凹陥部51は
、光源群611(光源612)が拡散板613に対して一定の距離だけ離間可能となるよ
うに、一定以上の深さ寸法を有する状態に設けられている。
【0045】
また、図1に示すように、光源群611は、多数の光源612が主走査方向に並べられ
ている。これら光源612は、所定色の光を発する発光ダイオード(LED;light emittin
g diode)である。なお、LEDとしては、可視光または赤外光等の種々の波長の光を発する
ものがあるが、ユーザにとって眩しさが感じ難いという観点から見ると、赤外光を発する
赤外LEDを用いることが望ましい。また、これらの光源612は、所定の間隔毎に配置さ
れていると共に、光源612の指向性を考慮して、レンズシート12に対して一定の間隔
だけ離間する状態で配置されている。それにより、光源612から出射された光は、拡散
板613に対して、若干の広がりを有した状態で照射される。また、拡散板613は、光
源612から出射された光の進行方向を種々変更する。それにより、拡散板613を通過
した光は、コントラストの均一化が図られた状態で、レンズシート12に向かって出射さ
れる。
【0046】
なお、本実施の形態では、光源612が並べられた光源群611は、レンズシート12
の規定の幅よりも大きくなるように設けられている。そのため、レンズシート12に対し
て入射される光のコントラストに、大きな差異が生じないように設けられている。また、
光のコントラストを一層低減したい場合には、光源群611を構成する光源612の配置
を変更して、多数の光源612を千鳥状となるように配置するようにしても良い。また、
上述の拡散板613は、省略する構成を採用しても良い。
【0047】
また、キャリッジ30の下面には、受光部62が設けられている。この受光部62は、
キャリッジ30の下面に取り付けられていて、しかも、主走査方向において、例えばホー
ムポジションから離間する部位、かつ副走査方向において給紙側に取り付けられている。
しかしながら、受光部62の取付位置は、かかる部位には限られず、キャリッジ30の下
面のうち、例えば主走査方向の中央部に取り付けられる構成としても良い。
【0048】
本実施の形態では、受光部62は、基体部621、受光素子623およびスリット板6
24を有している。このうち、基体部621は、受光素子623を取り付ける部分であり
、該受光素子623を取り付ける収納部622を有している。この収納部622は、四方
が板状部材で囲まれる状態となっている。そして、板状部材で囲まれた収納部622に受
光素子623が取り付けられ、下面側のみが開放している。それによって、一定の拡散光
の受光を防止するように構成されている。
【0049】
また、受光素子623は、例えばフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトIC
等のような、受光した光を電気信号に変換することが可能な素子である。また、収納部6
22の下面側には、スリット板624が取り付けられている。このスリット板624には
、光の通過を許容するスリット624aが形成されていて、該スリット624aを介して
所定の方向の光(図1においては光軸Lに沿う方向の光)の受光を許容する構成となって
いる。
【0050】
なお、スリット624aの幅寸法は、凸レンズ12A1のレンズ幅の1/2以下である
ことが望ましい。しかしながら、スリット624aの幅寸法が狭すぎる場合、プラテン5
0とキャリッジ30との間のギャップ調整がシビアになり、良好な検出が行えなくなる虞
がある。このため、スリット624aの幅寸法は、一定の寸法値以上とする必要がある。
また、スリット板624のうち、スリット624a以外の部分に照射された光は、該スリ
ット板624によって遮断される。かかる構成により、光軸Lに沿う方向以外の拡散光が
受光素子623で受光されるのが防止されている。
【0051】
また、上述のようなスリット板624を設けない構成を採用しても良い。この場合には
、受光素子623におけるレンズピッチの検出精度は悪化するものの、各凸レンズ12A
1の有する集光作用等により、レンズシート12のレンズピッチの検出は可能である。
【0052】
また、本実施の形態では、受光部62は、レンズシート12の搬送状態において、該レ
ンズシート12に接触しないものの、このレンズシート12に対して搬送性を悪化させな
い程度に近接する配置となっている。それにより、発光部61から出射された光は、境界
面Qのうち各凸レンズ12A1の曲率中心を焦点として拡散するが、光はさほど拡散しな
い状態で受光部62に入射される。
【0053】
なお、発光部61が直下方式を採用する場合、その構成は、発光ダイオードを多数並べ
るものには限られず、主走査方向を長手とするライン状光源を用いるようにしても良い。
ライン状光源としては、具体的には、陰極蛍光ランプ(CFL;Cathode Fluorescent Lamp
)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)またはエレクトロルミ
ネセンス(EL;Electro Luminescence)を用いることが可能である。また、発光部61は
、その他、可視光または赤外光のようなレーザ光を生じさせることが可能なレーザ発振器
、ランプ等を用いるようにしても良い。
【0054】
また、発光部としては、直下方式を採用せずに、エッジライト方式の構成を採用するよ
うにしても良い。この場合、発光部は、主走査方向の端部に配置される光源と、光源の光
を主走査方向側に向けて反射するリフレクタと、光が内部を進行すると共に主走査方向を
長手とする導光板と、導光板の下面側、側面側および導光板の長手方向の他端側に取り付
けられ光を反射する反射部材と、上面側に向かって出射される光を拡散させる拡散フィル
ムと、導光板の下面に配置され光を拡散させる反射ドットと、を有する状態となる。
【0055】
また、レンズシート12とノズル33aとの間の距離PGを測定すべく、キャリッジ3
0の下面には、レンズ検出センサ60以外に、ギャップ検出センサ70が存在するのが好
ましい。図7は、距離PGを検出するギャップ検出センサ70の説明図である。図7に示
すように、ギャップ検出センサ70は、発光部71と、2つの受光部(第1受光部72a
及び第2受光部72b)とを有する。発光部71は、発光ダイオードを有し、レンズシー
ト12に光を照射する。第1受光部72aおよび第2受光部72bは、受光した光量に応
じた電気信号を出力する受光素子をそれぞれ有する。なお、第2受光部72bは、第1受
光部72aと比較して、発光部71から遠い位置に設けられている。
【0056】
発光部71から発せられた光は、レンズシート12に照射されると共に、反射される。
反射された光は、上述の受光素子に入射され、この受光素子において入射した光量に応じ
た電気信号に変換される。ここで、距離PGが小さい場合、レンズシート12によって反
射された光は、主に第1受光部72aに入射されるが、第2受光部72bには拡散光しか
入射されない。したがって、第1受光部72aの出力信号は、第2受光部72bの出力信
号よりも大きくなる。
【0057】
一方、距離PGが大きい場合、反射された光は、主に第2受光部72bに入射され、第
1受光部72bには拡散光しか入射されない。したがって、第2受光部72bの出力信号
は、第1受光部72aの出力信号よりも大きくなる。このため、第1受光部72aと第2
受光部72bの出力信号の比と距離PGとの関係を予め求めておけば、該出力信号の比に
基づいて、レンズシート12等に対応する距離PGを検出することが可能である。この場
合、受光部72a,72bの出力信号の比と距離PGとの関係に関する情報をテーブルと
してROM102や不揮発性メモリ104に記憶しておくのが良い。
【0058】
このような出力信号の検出を、キャリッジ30を主走査方向へ駆動させつつ行う。この
駆動に際して、後述するリニアエンコーダ80の位置検出と対応させることにより、レン
ズシート12の主走査方向における距離PGを検出することが可能となる。
【0059】
なお、ギャップ検出センサ70は、上述のレンズ検出センサ60と兼用可能である。こ
の場合、発光部61の光軸が傾斜するように配置し、距離PGに応じて第1受光部72a
と第2受光部72bとの間における出力信号の比が変化するようにすれば、ギャップ検出
センサ70とレンズ検出センサ60とを兼用させることが可能となる。
【0060】
また、図2等に示すように、キャリッジ機構20には、位置検出手段に対応するリニア
エンコーダ80が設けられている。リニアエンコーダ80は、黒色の印刷部分と光を透過
する透明部分とからなるラインパターンが繰り返されるスケール81と、スケール81に
向けて光を出力すると共に、該スケール81から反射される光を、電気的な信号(エンコ
ーダ信号;以下、ENC信号とする。)に変換して制御部100に送信するリニアセンサ
82とを有している。
【0061】
次に、信号形成部90の構成について説明する。図8に示すように、信号形成部90は
、フィルタ91と、アンプ(AMP)92と、2値化処理部93とを具備している。これ
らのうち、フィルタ91は、信号線94の一端側と接続されている。信号線94の他端側
は、上述した受光部62(受光素子623)に接続されている。このため、受光部62で
発生したアナログ信号は、この信号線94を介してフィルタ91に伝達されるが、フィル
タ91では、アナログ信号(図9参照)のうち所定の帯域以外の周波数成分が除去される
。それにより、図9に示すようなデジタル信号(レンズ信号)が生成される。
【0062】
また、フィルタ91を通過した信号は、AMP92に入力され、所定の電圧等(一例と
して、40倍等)に増幅される。かかる増幅が為された信号は、続いて2値化処理部93
に入力され、該入力された信号をしきい値を超えたか否かで、Hi(Hレベル)またはL
ow(Lレベル)の、2値の信号(2値化信号)とする。この状態で、後述する制御部1
00に2値化信号を入力し、Hi/Lowの信号の切り替わりタイミングを検出すること
により、レンズシート12のレンズピッチが計測可能となる。
【0063】
次に、制御部100について説明する。制御部100は、各種の制御を行う部分であっ
て広義の制御手段に対応する部分であり、不図示の紙幅検出のためのPWセンサ、レンズ
検出センサ60、ギャップ検出センサ70、リニアセンサ82、後述するロータリエンコ
ーダ132、プリンタ10の電源をオン/オフする電源SW等の各出力信号が入力される
。この制御部100は、CPU101、各種のプログラムを記憶するROM102、デー
タを一時的に蓄えるRAM103、不揮発性メモリ(PROM)104、ASIC105
、ヘッドドライバ106等を具備していて、これらがバス107を介して接続されている
。そして、これらの協働、または特有の処理を行う回路を追加する等によって、図10の
ブロック図に示す構成(レンズ信号補正機構110)が実現されている。
【0064】
なお、かかる図10に示すレンズ信号補正機構110の構成は、ハードウエア的に実現
されても良く、またソフトウエア的に実現されても良い。また、以下、レンズ信号補正機
構110の各構成を説明する際に、各構成が果たす機能および動作をも併せて説明する。
【0065】
図10に示すように、レンズ信号補正機構110は、信号細分化手段に対応するENC
細分化処理部111と、補正手段に対応する補正処理部112と、制御手段に対応する吐
出制御部113と、を具備している。また、図10に示すレンズ信号補正機構110のう
ち、図11に示すように、ENC細分化処理部111は、カウント制御部120と、カウ
ント情報記憶部121と、ラッチ部122と、信号生成部123と、分割数決定部124
と、を備えている。
【0066】
カウント制御部120には、ENC信号と、クロック信号とが入力される。このカウン
ト制御部120には、クロック信号が入力され、そのクロック信号のポジティブエッジ(
=立ち上がり;以下同様)が検出される度に、カウント情報記憶部121において一時的
に記憶されているカウント値(カウント値Ca)を、+1ずつ加算する状態で更新する機
能を有している。また、カウント制御部120が、ENC信号のポジティブエッジE1を
検出する場合、該カウント制御部120は、カウント情報記憶部121におけるカウント
値Caをゼロにする(インクリメントする)ように制御する。また、かかるカウント情報
記憶部121におけるインクリメントと同時に、ENC信号のポジティブエッジE1が検
出されるまでのカウント値Caを、ラッチ部122にコピーするように、カウント情報記
憶部121およびラッチ部122を制御する。
【0067】
また、カウント情報記憶部121には、カウント制御部120からの指令に基づいて、
クロック信号のポジティブエッジの個数に対応するカウント値Caを、+1ずつ加算する
状態で一時的に記憶される。また、カウント情報記憶部121が、カウント制御部120
からENC信号のポジティブエッジに対応する出力信号を受信した場合、カウント情報記
憶部121は、自身が一時記憶しているカウント値Caをラッチ部122に出力すると共
に、自身が一時記憶しているカウント値Caをインクリメントする。そして、再びカウン
ト制御部120からの指令に基づいて、クロック信号のポジティブエッジの個数に対応す
るカウント値Caを記憶する。
【0068】
また、ラッチ部122には、前回(図12における間隔B10)のポジティブエッジE
1までのカウント値Caが記憶される。このため、ラッチ部122に記憶されているカウ
ント値Caは、前回のENC信号の1周期におけるクロック信号の周期の個数となる。ま
た、ラッチ部122に記憶されているカウント値Caは、信号生成部123に出力される
。なお、ラッチ部122に記憶されるカウント値Caは、複数記録可能としても良い。ま
た、次に述べる信号生成部123で分割値Sを得る前に、カウント値Caをバッファし、
キャリッジ30の加減速に対応させるようにしても良い。ここで、複数のカウント値Ca
をバッファする場合、FIFO(ファーストインファーストアウト)でバッファしている
カウント値Caを参照する。
【0069】
また、信号生成部123では、ラッチ部122に記憶されている一番古いカウント値C
aが入力されると共に、上述したクロック信号も入力される。この信号生成部123では
、分割数決定部124で予め設定されている分割数Nに基づいて、カウント値Caを分割
し、分割値Sを得る。また、信号生成部123は、入力されるクロック信号の個数をカウ
ントする。そして、カウントしているカウント値Cbが、設定された分割値Sに到達した
場合、この信号生成部123から出力される信号を、HiとLowとの間で切り替える働
きをする。このようにすれば、図12に示すように、1つのENC信号が分割数Nで区切
られて細分化される、細分化ENC信号(細分化信号に対応)が信号生成部123で生成
され、補正処理部112に出力される。
【0070】
なお、分割数決定部124には、予め設定された、または別途算出される分割数Nが記
憶されている。この分割数Nは、細分化ENC信号を生成する際の基準となる数であり、
例えば64等のような、十分な大きさの数であることが望ましい。
【0071】
また、補正処理部112には、上述の信号生成部123で生成される細分化ENC信号
と、上述の2値化処理部93で生成されるレンズ信号とが入力される。図13に示すよう
に、補正処理部112では、レンズ信号のポジティブエッジA1を検出した直後に、細分
化ENC信号のポジティブエッジC1を検出する場合、Hiの信号を生成し、該Hiの信
号を出力する。また、レンズ信号のネガティブエッジA2を検出し、かつ細分化ENC信
号のポジティブエッジC1を検出する場合、Lowの信号を生成し、該Lowの信号を出
力する。このようにして、ポジティブエッジA1が検出されてから、僅かな時間差をおい
て補正レンズ信号のポジティブエッジB1が形成される状態となる。また、ポジティブエ
ッジA2が検出されてから、僅かな時間差をおいて補正レンズ信号のネガティブエッジB
2が形成される状態となる。
【0072】
なお、補正レンズ信号の1周期分に対して、細分化ENC信号の64周期分が対応する
等のように、補正レンズ信号は、細分化ENC信号に対して、十分に長い周期を持つこと
が望ましい。また、上述の説明においては、レンズ信号のポジティブエッジA1/ネガテ
ィブエッジA2が検出された後、細分化ENC信号のポジティブエッジC1が検出されて
から、補正レンズ信号のHi/Lowの切り替えを行っている。しかしながら、レンズ信
号のポジティブエッジA1/ネガティブエッジA2が検出された後、細分化ENC信号の
ネガティブエッジが検出された場合に、補正レンズ信号のHi/Lowの切り替えを行う
ようにしても良い。
【0073】
以上のようにして、補正処理部112では、Hi/Lowの信号から構成され、かつ細
分化ENC信号のポジティブエッジC1をHi/Lowの切り替わりの基準とする、新た
な補正レンズ信号を、吐出制御部113に出力する。また、吐出制御部113は、制御手
段に対応し、補正処理部112によって補正された補正レンズ信号を所定倍し、PTS信
号を生成する。また、吐出制御部113は、このPTS信号および印刷データに基づいて
、印刷ヘッド32を制御駆動させる。それにより、レンズシート12に対する印刷が実行
される。
【0074】
また、図2に示すように、プリンタ10は、インターフェース131を具備している。
このインターフェース131を介して、コンピュータ130に接続されている。また、プ
リンタ10は、ロータリエンコーダ132を具備している。ロータリエンコーダ132は
、上述のリニアエンコーダ80とは異なり、スケール132aが円盤状に設けられている
。しかしながら、それ以外の構成は、リニアエンコーダ80と同様となっている。
【0075】
以上のような構成を用いて、プリンタ10を作動させる場合の詳細につき、図14から
図17のフローに基づいて以下に説明する。
【0076】
<動作の全体>
図14は、プリンタ10において、発光開始から排紙までの、動作フローを説明する図
である。
【0077】
プリンタ10において、CPU101は、発光部61の発光を開始させる(S10)。
このとき、2値化処理部93の動作も開始される。続いて、CPU101は、コンピュー
タ130に対し、印刷データが存在するか否かを問い合わせる(S11)。印刷データが
存在する場合には、S12に進み、それ以外の場合には、S18に進む。
【0078】
続いて、印刷データが存在する場合は、コンピュータ130から1ライン分の印刷デー
タを受信し、印刷動作を開始する。すなわち、キャリッジ31は主走査方向に往復動作を
開始する(S12)。
【0079】
また、キャリッジ31が移動する場合、リニアセンサ82は、ENC信号を生成する。
これと共に、2値化処理部93は、レンズ信号を生成する。そして、これらENC信号お
よびレンズ信号に基づいて、レンズ信号の補正処理(補正レンズ信号を作成する処理)が
為される(S13)。また、補正レンズ信号の作成後、吐出制御部113では、補正レン
ズ信号を所定倍してPTS信号を作成する。加えて、吐出制御部113は、このPTS信
号および印刷データに基づいて、印刷ヘッド32を制御駆動させる。それによって、各ノ
ズル33aからインク滴が吐出される、吐出処理が為される(S14)。なお、かかるイ
ンク滴の吐出により、レンズシート12に、所望の画像が印刷される。
【0080】
次に、CPU101は、1走査分の印刷処理が終了したか否かを判定する(S15)。
このS15において、終了したと判定される場合、S16に進み、それ以外の場合にはS
13に戻って同様の処理を繰り返す。
【0081】
ところで、受光部62は、キャリッジ31の下面において、図4の右上部に配置されて
いる。したがって、キャリッジ31が、ホームポジションから離れる向きに走査する場合
、受光部62が印刷ヘッド32に先行するので、前述のような動作が可能になる。これと
は逆に、キャリッジ31が、ホームポジションに近づく向きに走査する場合、受光部62
が印刷ヘッド32に後行するため、上述のような動作はできない。そこで、例えば、キャ
リッジ31がホームポジションに近づく向きに走査する場合、キャリッジ31を移動する
のみで印刷を行わないようにする(S16)。
【0082】
このようにして、1ライン分の印刷動作が完了すると、CPU101はPFモータ41
を駆動し、レンズシート12を1ステップ分だけ副走査方向に移動させる(S17)。そ
して、CPU101は、S11に戻って同様の処理を繰り返す。すなわち、CPU101
は、次の1ライン分の印刷データに基づいて、前述の場合と同様の処理により当該印刷デ
ータを印刷する処理を実行する。このような処理を繰り返すことにより、所望の画像をレ
ンズシート12に印刷することができる。
【0083】
また、S11において、NOと判断されると、CPU101は、S18に進み、発光部
61が発光状態となっている場合には発光部61の発光を停止させる(S18)。さらに
、PFモータ41を駆動し、レンズシート12を排出する処理を実行する(S19)。こ
の結果、印刷が完了したレンズシート12は、プリンタ10の外部に排出される。
【0084】
<補正レンズ信号の生成の概略>
図15は、補正レンズ信号を生成する際の処理フローの概略を示す図である。この図1
5に示すように、まず、ENC細分化処理分111において、細分化ENC信号を作成す
る(S130;信号細分化工程に対応)。次に、この細分化ENC信号に基づき、補正処
理部112では、補正レンズ信号を生成する(S132)。
【0085】
<細分化ENC信号の生成>
図16は、細分化ENC信号を生成する処理フローを示す図である。この図16に基づ
いて説明すると、プリンタ10が具備する不図示の発振器により、各部の同期を取るため
のクロック信号が出力されている。カウント制御部120にも、このクロック信号が入力
されるが、さらにカウント制御部120には、ENC信号も入力される(S1301)。
ここで、クロック信号のポジティブエッジが検出される度に、カウント制御部120は、
カウント情報記憶部121に更新情報を送信し、カウント情報記憶部121に記憶される
カウント値Caを+1ずつ加算していく(S1302)。
【0086】
また、クロック信号のカウント開始後、カウント制御部120では、ENC信号のポジ
ティブエッジE1が検出されたか否かを判断する(S1303)。この判断において、ポ
ジティブエッジE1が検出されたと判断される場合(Yesの場合)、S1304に進み
、検出されないと判断される場合(Noの場合)、上述のS1302に戻る。
【0087】
S1303でYesの場合、カウント制御部120は、カウント情報記憶部121に記
憶されているカウント値Caを、ラッチ部122に送信する(S1304)。また、この
送信後、カウント情報記憶部121に記憶されているカウント値Caをクリアする(S1
305)。
【0088】
次に、細分化ENC信号のHiとLowの切り替わり間隔Sを求める(S1306)。
この詳細を説明すると、まず、ラッチ部122に記憶されているカウント値Caが、信号
生成部123に読み出される。加えて、信号生成部123では、分割数決定部124で予
め設定されている分割数N(例;N=10等)を読み込む。そして、この分割数Nでカウ
ント値Caを分割して、分割値Sを算出する。例えば、分割数N=10であると共に、E
NC信号のポジティブエッジ間のカウントにより得られるカウント値Caが10000で
ある場合、ENC信号のネガティブエッジE2も考慮して、10000/10×2により
、切り替わり間隔Sは、500と求められる。以上のようにして、切り替わり間隔Sが求
められる。
【0089】
かかる切り替わり間隔Sが求められた後に、細分化ENC信号の出力が開始される(S
1307;図12参照)。続いて、信号生成部123では、クロック信号のカウントを行
い、カウント値Cbの算出(加算)を行う(S1308)。そして、カウント値Cbが上
述の切り替わり間隔Sに到達したか否かを判断する(S1309)。この判断において、
到達したと判断される場合(Yesの場合)、次のS1310に進む。また、到達しない
と判断される場合(Noの場合)、上述のS1307に戻る。
【0090】
S1309でYesの場合、信号生成部123では、出力される信号を切り替える(S
1310)。例えば、カウント値Cbが切り替わり間隔Sに到達すると判断される前の段
階で、信号生成部123がLowの信号を出力していると仮定すると、切り替わり間隔S
に到達したと判断される場合、Lowの信号をHiの信号に切り替える。次に、分割数N
を全て処理したか否かを判断する(S1311)。以上のようにして、ENC信号に基づ
いて、細分化ENC信号が出力される。このとき、信号生成部123では、例えばカウン
ト値で10000がENC信号の1周期に対応していたものを、カウント値で500ごと
にHi/Lowの信号を出力することにより、1周期が1000に対応する細分化ENC
信号を出力することができる。
【0091】
<補正レンズ信号の生成>
図17は、補正レンズ信号を生成する処理フローを示す図である。この図17に示すよ
うに、補正レンズ信号を生成するためには、入力される細分化ENC信号がポジティブエ
ッジであるか否かを判断する(S1321)。この判断において、ポジティブエッジであ
ると判断される場合(Yesの場合)、S1322に進み、ポジティブエッジでないと判
断される場合(Noの場合)、S1324に進む。上述のS1321でYesの場合、続
いて、レンズ信号がHiであるか否かを判断する(S1322)。レンズ信号がHiであ
ると判断される場合(Yesの場合)、続いてS1323に進み、補正レンズ信号をHi
に設定する(S1323)。逆に、レンズ信号がHiでないと判断される場合(Lowの
場合)、S1324に進み、補正レンズ信号をLowに設定する(S1324)。
【0092】
また、S1323およびS1324の処理を経た場合、設定値に応じた信号を生成する
(S1325)。設定値に応じた信号とは、上述のS1323およびS1324でHiま
たはLowに設定された補正レンズ信号を指す。以上のようにして、補正レンズ信号が生
成される。
【0093】
このような構成のプリンタ10によれば、ENC信号を細分化した細分化ENC信号に
基づいて、レンズ信号を補正することができる。すなわち、レンズ信号は、ENC信号を
ベースとする細分化ENC信号により補正されることで、印刷ヘッド32の全ての駆動タ
イミングは、純粋なレンズ信号ではなく、細分化ENC信号をベースとして生成される補
正レンズ信号に基づく。このため、印刷ヘッド32の駆動タイミングが、純粋なレンズ信
号を基準とすることによって、整合しない等の不具合を防止することができ、動作の安定
性を確保することが可能となる。
【0094】
また、細分化ENC信号をベースとして、レンズ信号を補正して補正レンズ信号を作成
するため、印刷ヘッド32等の駆動部位において、ENC信号とレンズ信号との間におけ
る信号切り替えがスムーズとなる。
【0095】
また、細分化ENC信号でレンズ信号を補正した後の補正レンズ信号は、補正前のレン
ズ信号の情報をも反映しているため、レンズシート12に対する印刷においては、実際の
レンズピッチを反映させて印刷可能となる。そのため、レンズシート12に対する印刷精
度を向上させることが可能となる。
【0096】
また、上述のように、ENC信号を細分化する場合、クロック信号のカウントに基づい
て、細分化している。このように、ENC信号と比較して、周期が非常に小さなクロック
信号に基づくことにより、ENC信号を所望の大きさの周期に細分化して、細分化ENC
信号を作成可能となる。
【0097】
さらに、上述のように、レンズ検出センサ60とリニアエンコーダ80とは、キャリッ
ジ30の主走査方向への移動に際して、それぞれ同時にレンズピッチ/キャリッジ30の
主走査方向における位置を検出する。このため、レンズピッチと主走査方向における位置
との対応を取ることが可能となり、細分化ENC信号をベースとして、補正レンズ信号を
生成可能となる。
【0098】
また、クロック信号のカウントによりカウント値Caを算出し、このカウント値Caを
、分割数Nで分割することにより、分割値Sを算出し、さらに信号生成部123でクロッ
ク信号のカウントによりカウント値Cbを算出し、このカウント値Cbが分割値Sに到達
する場合には、Hi/Lowの信号の出力を切り替える。それにより、確実に細分化EN
C信号を出力することが可能となる。
【0099】
さらに、補正処理部112では、レンズ信号のポジティブエッジA1またはネガティブ
エッジA2を検出した後に、細分化ENC信号のポジティブエッジC1の検出によって、
この細分化ENC信号のポジティブエッジA1とタイミングが同時に切り替わる補正レン
ズ信号を出力する。このため、出力される補正レンズ信号は、ENC信号をベースとして
生成される細分化ENC信号のタイミングに合わせることが可能となる。それにより、印
刷ヘッド32の駆動タイミングがレンズ信号に対して整合しないことによる、動作の安定
性が得られない、といった不具合が生じるのを防止可能となる。
【0100】
また、補正処理部112から出力される補正レンズ信号は、吐出制御部113に入力さ
れ、その後、この吐出制御部113によって、印刷ヘッド32が制御駆動される。それに
より、印刷を行うと、検出されたレンズピッチを反映させながらも、ENC信号をベース
とする補正レンズ信号により、レンズシート12に対する印刷を実行可能となる。このた
め、動作保証が為されつつ、高精細な印刷を実現することが可能となる。
【0101】
さらに、レンズ検出センサ60は、透過方式のセンサであるため、反射方式を採用した
レンズ検出センサを用いる場合と比較して、受光部62で捕えることのできる光量が多く
なり易く、レンズピッチ(レンズ位置も含む)の検出性能を向上させることが可能となる
。加えて、本実施の形態では、発光部61がプラテン50に設けられているため、光はレ
ンチキュラーレンズ12Aに入射された後に、境界面Qのうち各凸レンズ12A1の曲率
中心の焦点に収束され、その後に出射される。このため、種々の方向から光がレンズシー
ト12に入り込んでも、レンズシート12を通過する光は、焦点に収束された後に拡散さ
れる状態となり、レンズピッチに応じたコントラストを一層明確にすることが可能となり
、検出精度を高めることが可能となる。
【0102】
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下
、それについて述べる。
【0103】
上述の実施の形態では、リニアエンコーダ80においてENC信号を細分化し、レンズ
信号を補正する場合について述べている。しかしながら、本発明は、リニアエンコーダの
みならず、ロータリエンコーダ132について適用することも、勿論可能である。なお、
ロータリエンコーダ132に本発明を適用する場合、該ロータリエンコーダ132が、位
置検出手段に対応する状態となる。また、この場合、凸レンズ12A1の長手が副走査方
向に沿う状態ではなく、主走査方向に沿う状態とするのが望ましい。このようにする場合
、ロータリエンコーダ132のスケール132aのラインパターン検出によってENC信
号を出力して、該ENC信号を細分化して細分化ENC信号を生成し、さらにこの細分化
ENC信号に基づいてレンズ信号を補正すれば、同様の効果を得ることが可能となる。
【0104】
また、上述の実施の形態においては、レンズ検出センサ60は、ホームポジションから
離間する部位に、1つのみ設けられている。しかしながら、レンズ検出センサ60の個数
は1つには限られず、キャリッジ30に複数個設けるようにしても良い。例えば、キャリ
ッジ30の下面のうち、主走査方向の両端にそれぞれレンズ検出センサ60を取り付ける
場合、キャリッジ30の往復動のそれぞれにおいて、印刷よりも先にレンズピッチを計測
することが可能となり、レンズシート12に対する印刷を往復動のそれぞれで実行可能と
なる。
【0105】
また、上述の実施の形態では、レンズシート12は、凸レンズ12A1が多数並べられ
る構成となっているが、レンズシートはこれには限られず、凹レンズが多数並べられる構
成のレンズシートであっても良い。なお、この場合には、上述の各処理は、ポジティブエ
ッジではなく、ネガティブエッジを検出したときを基準とするのが好ましい。
【0106】
また、上述の実施の形態では、プリンタ10は、印刷のみを行うものには限られず、コ
ピー/ファックス/スキャナ機能も兼ねている複合的なプリンタであっても良い。また、
上述の実施の形態においては、レンズシート12に対して印刷画像を直接印刷する、直描
型の場合について述べている。しかしながら、別途印刷された印刷物をレンズシートに貼
り合わせる、分離型の場合についても、本発明を適用することは勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施の形態のレンズ検出センサの構成を示す正面断面図である。
【図2】プリンタの構成を示す概略図である。
【図3】プリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。
【図4】キャリッジの下面を示す底面図である。
【図5】レンズ検出センサ等の構成を示す側断面図である。
【図6】プラテン付近の形状を示す側断面図である。
【図7】ギャップセンサの構成を示す模式図である。
【図8】信号出力部の構成を示すブロック図である。
【図9】レンズピッチ検出のアナログ信号とデジタル信号を示す図である。
【図10】レンズ信号補正機構の概略構成を示す図である。
【図11】ENC細分化処理部の概略構成を示す図である。
【図12】ENC信号から細分化ENC信号を生成するイメージを示す図である。
【図13】細分化ENC信号でのレンズ信号補正のイメージを示す図である。
【図14】レンズシートに印刷を実行する処理フローの全体を示す図である。
【図15】補正レンズ信号を生成する際の処理フローの概略を示す図である。
【図16】細分化ENC信号を生成する処理フローを示す図である。
【図17】補正レンズ信号を生成する処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0108】
10…プリンタ、12…レンズシート、20…キャリッジ機構、30…キャリッジ、4
0…用紙搬送機構、50…プラテン、60…レンズ検出センサ、61…発光部、62…受
光部、80…リニアエンコーダ(位置検出手段に対応)、81…スケール、100…制御
部、110…レンズ信号補正機構、111…ENC細分化処理部(信号細分化手段に対応
)、112…補正処理部(補正手段に対応)、113…吐出制御部(制御手段に対応)、
120…カウント制御部、121…カウント情報記憶部、122…ラッチ部、123…信
号生成部、124…分割数決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズが配置されているレンズシートに印刷を実行するためのプリンタにおいて

上記レンズシートを走査することにより、該レンズシートにおける上記レンズのピッチ
に応じたレンズ信号を出力するレンズ検出手段と、
スケールを走査することにより、該スケール上に設けられているパターンに応じてエン
コーダ信号を出力する位置検出手段と、
上記エンコーダ信号が入力されると共に、このエンコーダ信号を細分化して細分化信号
を出力する信号細分化手段と、
上記細分化信号が入力されると共に、入力された上記細分化信号に基づいて上記レンズ
信号を補正し、補正レンズ信号を出力する補正手段と、
を具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記信号細分化手段は、クロック信号のカウントに基づいて、前記エンコーダ信号を細
分化することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記レンズシートに向けてインク滴を吐出する印刷ヘッドの主走
査方向における位置検出を行うためのリニアエンコーダであると共に、前記スケールは、
上記主走査方向に沿って配置されるリニアスケールであり、
前記レンズ検出手段は、上記リニアエンコーダと同時に上記主走査方向に移動しつつ前
記レンズシートにおける前記レンズの該主走査方向に沿うピッチを検出する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記信号細分化手段は、
前記エンコーダ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの検出に基づいて制御
信号を出力すると共に、前記クロック信号が検出される度にこのクロック信号の更新情報
を出力するカウント制御部と、
上記更新情報を受信することにより前記クロック信号のカウント値を更新しつつ新たな
カウント値として一時的に記憶すると共に、上記制御信号を受信することにより上記カウ
ント値を出力し、かつ記憶されている上記カウント値をインクリメントするカウント情報
記憶部と、
上記カウント情報記憶部から上記カウント値が出力された場合に、そのカウント値を記
憶するラッチ部と、
上記カウント値を予め設定されている分割数で分割して分割値を算出し、かつ前記クロ
ック信号を別途カウントしてカウント値を算出し、上記分割値の算出後に別途カウントさ
れる上記カウント値が該分割値に到達した場合に、Hレベルの信号とLレベルの信号との
間の切り替えを行うことで、細分化信号を出力する信号生成部と、
を具備することを特徴とする請求項2または3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記補正手段は、
前記レンズ信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを検出した後であって、前
記細分化信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを検出した場合に、Hレベルの
信号とLレベルの信号との間の切り替えを行うことにより前記レンズ信号を補正して、前
記補正レンズ信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記補正レンズ信号は、制御手段に入力されると共に、この制御手段は、インク滴を前
記レンズシートに向けて吐出する印刷ヘッドの駆動を制御することを特徴とする請求項1
から5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記レンズ検出手段は、
前記レンズシートに向けて光を出射すると共に、前記レンズシートの搬送状態において
該レンズシートを挟んでキャリッジとは反対側に設けられる発光部と、
前記キャリッジに取り付けられると共に、上記発光部から出射された後に前記レンズシ
ートを透過する光が入射され、該入射される光の強度に応じた検出信号を出力する受光部
と、
を具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記レンズ検出手段は、
前記キャリッジに取り付けられると共に、前記レンズシートの搬送状態において該レン
ズシートに向けて光を出射する発光部と、
前記キャリッジに取り付けられると共に、上記発光部から出射され前記レンズシートの
透過後に反射され再び該レンズシートを透過する光が入射され、該入射される光の強度に
応じた検出信号を出力する受光部と、
を具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項9】
複数のレンズが配置されているレンズシートに印刷を実行するための印刷方法において

上記レンズシートを走査することにより、上記レンズシートにおける上記レンズのピッ
チに応じたレンズ信号を出力するレンズ信号出力工程と、
スケールを走査することにより、該スケール上に設けられているパターンに応じてエン
コーダ信号を出力するエンコーダ信号出力工程と、
上記エンコーダ信号が入力されると共に、このエンコーダ信号を細分化して細分化信号
を出力する信号細分化工程と、
上記細分化信号および上記レンズ信号が入力されると共に、上記細分化信号に基づいて
上記レンズ信号を補正し、補正レンズ信号を出力する補正工程と、
を具備することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−125790(P2007−125790A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320460(P2005−320460)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】