プレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体
【課題】製造が容易であり、高圧蒸気滅菌後のシール性の低下および容器体の変形等が生じる可能性が極めて少ない高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体を提供する。
【解決手段】複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、容器体2と、容器体内に収納された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持した外筒保持部材4と、容器体の上面開口を封止する剥離可能なシート状蓋部材3とを備える。容器体は、底部に設けられた開口部22と、開口部を封止する通気性封止部材5を備える。通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有し、容器体内は、通気性封止部材を介して外部と連通している。
【解決手段】複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、容器体2と、容器体内に収納された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持した外筒保持部材4と、容器体の上面開口を封止する剥離可能なシート状蓋部材3とを備える。容器体は、底部に設けられた開口部22と、開口部を封止する通気性封止部材5を備える。通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有し、容器体内は、通気性封止部材を介して外部と連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納し、搬送可能な高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予め薬液が充填されたプレフィルドシリンジが多く利用されるようになってきた。プレフィルドシリンジの製造では、自らシリンジを製造することなく、購入したシリンジに薬剤を充填して行うことが一般的である。このため、薬液等が充填される前のシリンジ(特に、プレフィルドシリンジ用外筒)の準備が必要であり、そのためには、プレフィルドシリンジ用外筒の搬送が必要となる。さらに、準備されるプレフィルドシリンジ用外筒は、滅菌されていることが望ましく、未滅菌のものでは、製造前に滅菌を行うことが必要となる。
このため、滅菌可能なまたは滅菌された複数本のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した包装体が提供されている。そのようなものとして、例えば、特表2005−500080号公報(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−500080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の高温にて滅菌され得る内容物を有するプラスチックパッケージでは、パッケージは、少なくとも開口を限界するフレームと開口を閉鎖する内側シール(18)とからなるパッケージの内部と外部との間の流体連通部材(16)を備えている。周辺縁部(18a、22a)はフレームに連続的に連結され、内側シールは選択的シール材料シートを含み、その外部から内方への遮断閾が汚染粒子を止めて熱滅菌流体の通過を許容し、選択的シール材料は高温においてシートの面内で変形可能である。このパッケージは、内側シール(18)が熱滅菌流体に接触したとき、選択的シール材料シートの平面変形を補償する手段を備え、補償手段は、変形の結果としてフレームに加えられ、流体連通部材(16)を開く方向の負荷の少なくとも一部を解放すべくデザインされている。
【0005】
医療用部材の滅菌方法としては、電子線、放射線によるもの、EOGガスによるものなどがあるが、安全性、医療用部材形成材料への低変性性などの点より、高圧蒸気滅菌(いわゆる、オートクレーブ滅菌)が望ましい。上述した特許文献1のものは、高圧蒸気滅菌可能なものとなっている。そして、特許文献1にも示されているように、流体連通部材は、高圧蒸気滅菌を行うことにより、収縮するものであり、滅菌後のシール性の低下、容器体の変形等が生じる。また、流体連通部材の容器本体との間に、剥離可能なシール性を付与することおよび高圧蒸気滅菌後においても良好な剥離性を維持することが容易なものではなかった。
【0006】
特許文献1の段落番号0039には、以下のものが開示されている。
図3に例示された例では、フィルム18が、熱滅菌流体に対し不透過性でもよい材料である縁取り22を備え、その外側限界部22aは流体連通部材(上側周縁部14)の周囲部に連続的に密封して接続されている。縁取り22の内側限界部22bは、選択的不透過性材料の中央シート19に連続的に密封して接続されている。選択的不透過性材料の中央シート19と縁取り22の内側限界部22bとの間の接続は、全ての手段、特に接着によって得られる。この例では、縁取り22が補償手段を備えている。補償手段は、例えばリリーフ22cとして、例えば折り重ねられた、波型にされた、または襞が付けられた、選択的不透過性材料の中央シート19の周りを囲っている約1本以上の連続する線の他の形状からなっている。この縁取り22の展開された表面領域は、それが変形するとき、選択的不透過性材料の中央シート19の平面等方性収縮に伴う応力を相殺する程度、前記縁取り22の可視表面領域を超えている。
【0007】
しかし、上記のような、折り重ねられた、波型にされた、または襞が付けられた補償手段(リリーフ)を設けること、そのようなリリーフを設けたものに選択的不透過性材料の中央シート19を固着することは容易なものではなく、また、リリーフ以上の収縮が生じた場合には、滅菌後のシール性の低下、容器体の変形等が生じるおそれもある。
そこで、本発明の目的は、製造が容易であり、高圧蒸気滅菌後のシール性の低下および容器体の変形等が生じる可能性が極めて少ない高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体であって、
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、該容器体内に収納された外筒保持部材と、該外筒保持部材に保持された複数の前記プレフィルドシリンジ用外筒と、前記容器体の上面開口を封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備え、
前記容器体は、底部または/および側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、前記容器体内は、前記通気性封止部材を介して外部と連通しているプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(2) 前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体の内面側に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(3) 前記通気性封止部材は、前記開口部の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に固着されており、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間している上記(2)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(4) 前記容器体は、前記開口部を備え、かつ各前記開口部には、前記通気性封止部材が離間せずに固定され、前記開口部を封止している上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(5) 前記シート状蓋部材は、前記容器体にシールされるシール部材本体と、該シール部材本体に設けられた窓部と、該窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材とを備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(6) 前記容器体および前記通気性封止部材は、熱可塑性樹脂製であり、前記通気性封止部材は、前記容器体にヒートシールにより剥離不能に固着されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(7) 前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、該プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(8) 前記容器体は、外面側より内方に窪む凹部と、該凹部に設けられた通気口とを備え、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、前記通気口が設けられた前記凹部を外面側より被包する、もしくは前記凹部に沿って密着するように、その周縁部が前記容器体に固着された軟質フィルムを有し、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えている上記(7)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【0009】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納可能かつ高圧蒸気滅菌可能なプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体であって、
前記容器体は、上面が開口するとともに、保形性を有する底部もしくは側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであるプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
(10) 前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている上記(9)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、容器体内に収納された外筒保持部材と、外筒保持部材に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒と、容器体の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備える。容器体は、底部もしくは側部に設けられた開口部と、開口部を被包もしくは封止するように容器体に固着された通気性封止部材とを備え、通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、容器体内は、通気性封止部材を介して外部と連通している。
このため、高圧蒸気滅菌時に水蒸気が流通する通気性封止部材は、保形性を有する容器体の上端開口ではなく、容器体の底部もしくは側部に設けられた開口部を被包もしくは封止するように固着されており、特許文献1のようにリリーフを設ける必要もなく、形態的に製造が容易であり、また、通気性封止部材の容器体への固着は、剥離可能とする必要もないため十分な強度にてシール可能であり、ヒートシール作業における温度管理等においても製造作業が容易である。さらに、通気性封止部材は、容器体の底部もしくは側部に設けられた開口部を被包もしくは封止するように固着されているため、高圧蒸気滅菌後の通気性封止部材と容器体間でのシール性の低下および容器体の変形等が生じる可能性が極めて少ない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の内部形態を説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の正面図である。
【図4】図4は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の平面図である。
【図5】図5は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の右側面図である。
【図6】図6は、図4のA−A線拡大断面図である。
【図7】図7は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図8】図8は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる外筒保持部材の斜視図である。
【図9】図9は、図8に示した外筒保持部材の正面図である。
【図10】図10は、図8に示した外筒保持部材の平面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図16】図16は、図15のB−B線拡大断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられるシート状蓋部材の平面図である。
【図18】図18は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図19】図19は、図18のC−C線拡大断面図である。
【図20】図20は、図18のD−D線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体について、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体2と、容器体2内に収納された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4と、外筒保持部材4に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6と、容器体2の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材3とを備える。さらに、容器体2は、底部もしくは側部に設けられた開口部22と、開口部22を被包もしくは封止するように容器体に固着された通気性封止部材5とを備え、通気性封止部材5は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、容器体2内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。
【0013】
本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体である。本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、図1、図2および図6に示すように、容器体2と、複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4と、外筒保持部材4に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6と、容器体2の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材3とからなる。
容器体2は、図1ないし図7に示すように、ある程度の強度と保形性を有する所定の深さを有するトレー状のものとなっており、本体部21と、本体部21の上部に形成されたプレフィルドシリンジ用外筒を保持した外筒保持部材4の周縁部を保持するための外筒保持部材保持部26と、上面開口に設けられた環状フランジ部24と、本体部21の底面に設けられた複数の開口部22とを備えている。さらに、この実施例の容器体2では、複数の開口部22を取り囲むように設けられた第1の環状リブ51を備えている。さらに、この実施例の容器体2では、第1の環状リブ51に近接し、かつ第1の環状リブ51を取り囲むように設けられた第2の環状リブ52を備えている。
【0014】
この実施例における容器体2は、図6および図7に示すように、矩形状をした籠状体であり、上端開口には、環状にかつ外側に延びるように形成された薄板状の環状フランジ部24が設けられている。さらに、環状フランジ部24の上面には、シート状蓋部材3との固着のための環状のヒートシール用凸部25が設けられている。環状のヒートシール用凸部25は、全体が、環状フランジ部の外縁より内側となるように設けられている。また、環状のヒートシール用凸部25は、全体が、環状フランジ部の内縁より外側となるように設けられている。さらに、環状のヒートシール用凸部25の角部には、環状フランジ部24の角部方向に延びる突出部25aが形成されている。
【0015】
そして、フランジ部24より所定長底面側となる位置に、外筒保持部材保持部26が形成されている。この実施例の容器体2では、外筒保持部材保持部26は、環状の段差部となっており、プレフィルドシリンジ用外筒を保持した外筒保持部材4の周縁部を載置可能となっている。なお、外筒保持部材保持部は、環状に連続するものではなく、非連続のものであってもよい。
そして、この実施例の容器体2では、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。
【0016】
そして、図6および図7に示すように、この実施例の容器体2では、容器体2の開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5により被包されている。特に、この実施例では、通気性封止部材5が容器体2に設けられた開口部22の上面側(内面側)を覆うように設けられており、その周縁部が容器体2に固着されている。特に、この実施例では、通気性封止部材5は、すべての開口部22の上面側(内面側)を覆うように容器体2の底面に固着されている。具体的には、図6に示すように、通気性封止部材5は、開口部22に固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。このようにすることにより、開口部22の総開口面積よりも通気性封止部材5の有効面積を大きいものとすることができ、容器体2に高い水蒸気流通性を付与することができる。なお、この実施例の容器体2では、1枚の通気性封止部材を用いるものとなっており、このようにすることにより、容器体2への固着作業が容易であり好ましい。また、後述する図18に示す容器体のように、通気性封止部材は単独のものではなく、各開口部の個々をその上面側(内面側)を覆うものであってもよい。
そして、この実施例の容器体2では、複数の開口部22のすべてを被包する菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2の底面に設けられ、第1の環状リブ51に固着されている。さらに、この実施例の容器体2では、通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2の第2の環状リブ52にも固着されている。そして、通気性封止部材5と開口部22の間は、第1の環状リブ51及び第2の環状リブ52の突出高の分だけ、離間した状態となっている。そして、容器体2内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。容器体2および通気性封止部材5は、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5を容器体2にヒートシールにより固着可能となる。また、通気性封止部材5を容器体2に剥離可能に固着する必要がなく、気密かつ剥離不能に固着すればよく、固着のための温度管理等も容易である。
さらに、図11に示す容器体2aのように、容器体2aの開口部22の周縁部に設けられた非連続の環状突出部23に、通気性通気性封止部材5を固着部53により固着してもよい。
通気性封止部材5としては、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであればどのようなものでもよく、また、通気性封止部材5としては、容器体2にヒートシール可能であることが好ましい。通気性封止部材5としては、例えば、合成樹脂製不織布、具体的には、タイベック(登録商標)として知られているポリオレフィン等の合成樹脂材料からなる不織布、合成樹脂製多孔質膜などが好適に使用できる。さらに、通気性封止部材5としては、加熱し熱収縮させたものを用いてもよい。
【0017】
容器体2としては、ある程度の保形性と剛性を備えることが好ましい。また、高圧蒸気滅菌に対応するために、耐熱性(120℃以上)を有する熱可塑性材料を用いることが望ましい。ある程度の保形性と、ある程度の剛性と、耐熱性と熱可塑性を有する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン/ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン/アイオノマー(例えば、エチレン系、スチレン系、フッ素系)/ポリエチレン、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アモルファス−ポリエチレンテレフタレート)、PP/EVOH/PP(ラミネート)等が挙げられる。この場合の容器体2の厚さとしては、0.05〜4.00mm程度が好ましく、特に、1.00〜2.00mmがより好適である。
【0018】
さらに、容器体2を放射線もしくは電子線滅菌を可能としてもよく、この場合には、耐放射線性材料と呼ばれるものを使用することが望ましい。耐放射線性材料(例えば、耐放射線性ポリオレフィン)としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)に、ヒンダードアミンさらには酸化防止剤、核剤などが添加されることにより、対放射線性が付与されたものを用いることができる。ヒンダードアミンとしては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)フマレートなどが例示される。酸化防止剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンなどが例示される。核剤としては、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどが例示される。
【0019】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4は、図2、図6、図8ないし図10に示すように、基板部41と、この基板部41より上方に突出する複数の筒状部42を備えている。そして、筒状部42の上端に開口43が形成されており、また、基板部41の側部には、把持用の切欠部44が形成されている。筒状部42および開口43の内径は、保持されるプレフィルドシリンジ用外筒6の本体部より径が大きいものとなっており、また、保持されるプレフィルドシリンジ用外筒6のフランジ部の通過が不能なものとなっている。このため、図6に示すように、外筒6は、筒状部42を貫通するとともに、開口43により外筒のフランジが吊り下げられた状態となっている。また、図6に示すように、外筒保持部材4により保持されたプレフィルドシリンジ用外筒6の下端(キャップ部材の先端)は、容器体2の底面に接触しないものとなっている。言い換えれば、容器体2の底面と外筒保持部材4により保持されたプレフィルドシリンジ用外筒6の下端(キャップ部材の先端)間は、離間し、水蒸気の流通を阻害しないものとなっている。この外筒保持部材4の形成材料も高圧蒸気滅菌に対応するために、耐熱性(120℃以上)を有するものであることが望ましい。
【0020】
プレフィルドシリンジ用外筒6としては、公知のものが使用できる。プレフィルドシリンジ用外筒6は、外筒本体60と、外筒本体60の先端部に設けられたノズル部を封止するキャップ61を備えている。また、外筒本体60の基端部には、フランジ62が設けられている。フランジ62は、外筒本体61の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。
外筒6の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0021】
シート状蓋部材3は、容器体2の上端開口部を被包し、封止するものであり、かつ、容器体2に対して剥離可能となっている。シート状蓋部材3は、菌および水蒸気を実質的に透過しないものであり、かつ容器体2に対して剥離可能にシール可能なものとなっている。
シート状蓋部材3としては、具体的には、菌および水蒸気を実質的に透過しないフィルム(基材フィルム)と、このフィルムの下面の少なくとも外周部分に固着された接着性樹脂層とを有するものが好ましく、さらに、フィルムの上面に設けられた表面保護層を有することがより好ましい。基材フィルムとしては、アルミニウム、銀、金などの金属箔またはアルミニウム、銀、金などが表面に蒸着された金属蒸着フィルム、SiOXなどが表面に蒸着された無機物蒸着フィルム、ガスバリヤ性樹脂フィルム、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン−ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、高密度ポリエチレン等のフィルムが好適に使用できる。
【0022】
接着性樹脂層は、基材フィルムと容器体2を剥離可能にヒートシールするためのものであり、次のような種々の易剥離機構を利用することができる。例えば、容器体2のヒートシール面にポリプロピレンを用いる場合は、接着性樹脂層として、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂、ポリプロピレンとポリエチレンとをブレンドしたものなどのオレフィン系樹脂や2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤などが好適に使用できる。また、容器体2として、ポリ塩化ビニルを用いる場合は、接着性樹脂層として、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリスチレンにスチレン−ブタジエンブロック共重合体をブレンドしたもの、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤などが好適に使用できる。さらに、容器体2として、ポリエステルを用いる場合は、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂などのオレフィン系樹脂、コポリエステルや2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤が好適に使用できる。
【0023】
表面保護層としては、合成樹脂、例えば、PET等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂をコーティングすること、または上記の合成樹脂製フィルム、紙などを張り合わせることにより形成することが好ましい。そして、この表面保護層は、収納される医療用品の名称、サイズ、医療用品が例えばプレフィルドシリンジである場合にはシリンジに充填される薬剤の名称、充填量などの必要事項を記載するための印刷層としても使用できる。なお、表面保護層とガスバリヤ性フィルム間に白色インキ等の遮光性材料を介在させて、遮光フィルムとしてもよい。
【0024】
シート状蓋部材3の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−ビニルアルコール共重合体/延伸ナイロン/接着性樹脂の4層からなるもの、ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン/接着性樹脂の3層からなるものが考えられる。
そして、シート状蓋部材3は、容器体2の環状フランジ部24に設けられたヒートシール用凸部25にその周縁部が剥離可能にヒートシールされている。なお、この実施例では、シート状蓋部材の外縁は、容器体2の環状フランジ部24には、ヒートシールされておらず、剥離を容易なものとしている。また、ヒートシール用凸部25の角部に設けられた突出部25aが、剥離開始部として機能する。シート状蓋部材3としては、厚さ0.05〜1.00mm程度が好ましく、0.10〜0.50mm程度がより好適である。
【0025】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図12に示すような容器体2bであってもよい。
図12は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
この実施例における容器体2bと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
そして、この実施例の容器体2bでは、底面に、小開口部22aが多数設けられている。このように、開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。さらに、容器体2bは、多数の開口部22aを取り囲むように形成された環状リブ51を備えている。
【0026】
そして、容器体2bには、上述した容器体2と同様に、多数の小開口部22aのすべてを被包する菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5が設けられている。この実施例では、上述した容器体2と同様に、通気性封止部材5は、すべての開口部22aの上面を覆うように容器体2bの底面に固着されている。さらに、通気性封止部材5は、開口部22aに固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22a間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。
なお、この実施例の容器体2bでは、1枚の通気性封止部材を用いるものとなっており、このようにすることにより、容器体2bへの固着作業が容易であり好ましい。なお、通気性封止部材5は、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部22aの周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5を固着してもよい。また、後述する図18に示す容器体のように、通気性封止部材は単独のものではなく、各開口部の個々をその上面側(内面側)を覆うものであってもよい。
そして、通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2bの環状リブ51に固着されている。そして、容器体2b内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。容器体2bおよび通気性封止部材5は、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5を容器体2bにヒートシールにより固着可能となる。
【0027】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図13に示すような容器体2cであってもよい。
図13は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
この実施例における容器体2cと上述した容器体2との相違は、側面形状および底面形状のみである。よって、側面および底面以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0028】
そして、この実施例の容器体2cでは、上述した容器体2のように底面に開口部を備えていない。その代わりに、側面21aに開口部28が設けられている。この実施例では、側面に複数(具体的には、2つ)の開口部28が設けられている。開口部28は、1つの側面のみに設けてもよいが、対向する側面にも設けることが好ましい。さらには、3つ以上の側面に設けてもよく、特に、すべて(4つ)側面に開口部28を設けてもよい。
このような側面に開口部を多数設ける場合には、開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。さらに、容器体2cは、複数の開口部28を取り囲むように形成され容器体2cの内方に突出する環状リブ54を備えている。
【0029】
そして、容器体2cの開口部28は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5aにより被包されている。具体的には、通気性封止部材5aは、複数(具体的には、2つ)の開口部28の内面側を覆うように容器体2cの側部内側に形成された環状リブ54に固着されている。容器体2c内は、通気性封止部材5aを介して外部と連通している。さらに、通気性封止部材5aは、開口部28に固着されておらず、通気性封止部材5aと開口部28間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。なお、通気性封止部材5aは、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部28の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5aを固着してもよい。容器体2cおよび通気性封止部材5aは、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5aを容器体2cにヒートシールにより固着可能となる。
なお、上記のように、通気性封止部材5aと開口部28間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっていることが好ましいが、通気性封止部材5bは、図14に示す実施例の容器体2dのように、各開口部28を個々に封止する、すなわち、各開口部28に、通気性封止部材5aが離間せずに固定されているものであってもよい。この場合、通気性封止部材5bは、開口部28の周縁部に設けられた環状突出部29に固着することが好ましい。また、容器体2cの側部内側に直接通気性封止部材5aを固着することも可能であり、この場合には環状突出部29は不要である。
【0030】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図15および図16に示すような容器体2eであってもよい。
図15は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。図16は、図15のB−B線拡大断面図である。
この実施例における容器体2eと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0031】
そして、この実施例の容器体2eでも、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。そして、容器体2eの開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5bにより封止されている。すなわち、各開口部22に、通気性封止部材5bが離間せずに固定されている。具体的には、各開口部22の周縁部に設けられた環状突出部23に、通気性封止部材5bが容器体2eの内面側より固着されており、通気性封止部材5bにより、開口部22が封止されている。容器体2e内は、通気性封止部材5bを介して外部と連通している。なお、通気性封止部材5bは、容器体2eの外面側に固着してもよい。また、容器体2eに直接通気性封止部材5bを固着することも可能であり、この場合には環状突出部23は不要である。
【0032】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図18ないし図20に示すような容器体2fであってもよい。
図18は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。図19は、図18のC−C線拡大断面図である。図20は、図18のD−D線拡大断面図である。
この実施例における容器体2fと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0033】
そして、この実施例の容器体2fでも、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。
そして、容器体2fの開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5により被包されている。具体的には、各開口部22を取り囲む環状リブ56に、通気性封止部材5が容器体2fの内面側より固着されており、通気性封止部材5により、開口部22が封止されている。容器体2f内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。この実施例では、通気性封止部材5は、開口部22に固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。特に、この実施例では、通気性封止部材5と開口部22の間は、環状リブ56の突出高の分だけ、離間した状態となっている。なお、通気性封止部材5は、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部22の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5を固着してもよい。また、通気性封止部材5は、上述した図15及び図16の容器体のように、開口部22の周縁部に容器体2fの内方に突出するよう設けられた環状突出部に固着されていてもよい。通気性封止部材5としては、上述したものが使用できる。
【0034】
この実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体は、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている。具体的には、この実施例の容器体2fは、底面に、外面側より内方に窪む凹部71と、凹部71に設けられた通気口72を備えている。さらに、プレフィルドシリンジ用外筒包装体(容器体)は、通気口72が設けられた凹部71を容器体2fの外面側より被包する、もしくは凹部71の外面に沿って密着するように、その周縁部が容器体2fに固着された通気性を持たない軟質フィルム(軟質シート)73を備えている。つまり、軟質フィルム73は、少なくとも中央部が、容器体2fに対して、可動可能なものとなっている。このため、このプレフィルドシリンジ用外筒包装体(容器体)は、プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えるものとなっている。
【0035】
軟質フィルム73としては、可撓性フィルム(可撓性シート)もしくは弾性フィルム(弾性シート)などが使用される。軟質フィルムとして可撓性フィルムを用いる場合には、ぴんと張った状態ではなく、ゆとり部73aを有するものであることが好ましい。滅菌時、運送時等において、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の圧力が上昇した場合、図20に示すように、軟質フィルム73のゆとり部53a伸び、凹部71の外面側と軟質フィルム73で仕切られた空間74が出現もしくは拡大することにより、体積増加分、内圧上昇を軽減することができ、容器体2fと蓋部材との内圧上昇に起因する剥離を防止することができる。なお、軟質フィルムとして弾性フィルムを用いる場合には、上記のようなゆとり部を持たずぴんと張られたものであっても、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の圧力の上昇によって弾性フィルムが伸びることにより、上記同様の効果が得られる。また、通気孔72が十分な大きさを持つものであれば、弾性フィルムを容器体2fの凹部71の内面側に固着されていてもよい。
また、この外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備える実施例の容器体においても、図13、図14に示し上述した実施例の容器体のように、開口部および通気性封止部材は、容器体の底面ではなく、側面に設けてもよい。この場合、開口部および通気性封止部材の形態としては、図13、図14において説明した形態が有効に利用できる。
【0036】
可撓性フィルム(可撓性シート)としては、熱可塑性合成樹脂可撓性フィルムが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルもしくは延伸ポリエステル、ポリエチレン、延伸ポリエチレン、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレンなどのポリオレフィンもしくは延伸ポリオレフィン、ポリアミドなどにより形成された軟質樹脂フィルムが好適であり、さらに、このような軟質樹脂フィルムを基材とし、これに、接着剤を介してもしくは直接ヒートシール性を向上させるためのホットメルト型接着剤層(例えば、低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート)をラミネートしたものなどが好適である。
弾性フィルム(弾性シート)としては、熱可塑性合成樹脂弾性フィルムが好ましく、具体的には、オレフィン系エラストマー(ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、アミド系エラストマー(ポリアミドエラストマー)、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)などにより形成された弾性樹脂フィルムが好適であり、さらに、このような弾性樹脂フィルムを基材とし、これに、接着剤を介してもしくは直接ヒートシール性を向上させるためのホットメルト型接着剤層(例えば、低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート)をラミネートしたものなどが好適である。
【0037】
また、上述したすべての実施例において、シート状蓋部材は、図17に示すようなシート状蓋部材3aであってもよい。この蓋部材3aは、菌および水蒸気を実質的に透過せず、かつ容器体2に対して剥離可能にシール可能であり、かつ窓部33を有する蓋部材本体32と、蓋部材本体32の窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材34を備えている。具体的には、 通気性封止部材34は、その周縁部35が、蓋部材本体32の窓部に内面側よりヒートシールにより固着されており、窓部を封止している。なお、通気性封止部材34としては、上述した通気性封止部材5にて説明したものが好適に使用できる。また、蓋部材本体32としては、上述した蓋部材3にて説明したものが好適に使用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 プレフィルドシリンジ用外筒包装体
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f 容器体
3 シート状蓋部材
4 外筒保持部材
5 通気性封止部材
6 プレフィルドシリンジ用外筒
22 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納し、搬送可能な高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予め薬液が充填されたプレフィルドシリンジが多く利用されるようになってきた。プレフィルドシリンジの製造では、自らシリンジを製造することなく、購入したシリンジに薬剤を充填して行うことが一般的である。このため、薬液等が充填される前のシリンジ(特に、プレフィルドシリンジ用外筒)の準備が必要であり、そのためには、プレフィルドシリンジ用外筒の搬送が必要となる。さらに、準備されるプレフィルドシリンジ用外筒は、滅菌されていることが望ましく、未滅菌のものでは、製造前に滅菌を行うことが必要となる。
このため、滅菌可能なまたは滅菌された複数本のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した包装体が提供されている。そのようなものとして、例えば、特表2005−500080号公報(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−500080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の高温にて滅菌され得る内容物を有するプラスチックパッケージでは、パッケージは、少なくとも開口を限界するフレームと開口を閉鎖する内側シール(18)とからなるパッケージの内部と外部との間の流体連通部材(16)を備えている。周辺縁部(18a、22a)はフレームに連続的に連結され、内側シールは選択的シール材料シートを含み、その外部から内方への遮断閾が汚染粒子を止めて熱滅菌流体の通過を許容し、選択的シール材料は高温においてシートの面内で変形可能である。このパッケージは、内側シール(18)が熱滅菌流体に接触したとき、選択的シール材料シートの平面変形を補償する手段を備え、補償手段は、変形の結果としてフレームに加えられ、流体連通部材(16)を開く方向の負荷の少なくとも一部を解放すべくデザインされている。
【0005】
医療用部材の滅菌方法としては、電子線、放射線によるもの、EOGガスによるものなどがあるが、安全性、医療用部材形成材料への低変性性などの点より、高圧蒸気滅菌(いわゆる、オートクレーブ滅菌)が望ましい。上述した特許文献1のものは、高圧蒸気滅菌可能なものとなっている。そして、特許文献1にも示されているように、流体連通部材は、高圧蒸気滅菌を行うことにより、収縮するものであり、滅菌後のシール性の低下、容器体の変形等が生じる。また、流体連通部材の容器本体との間に、剥離可能なシール性を付与することおよび高圧蒸気滅菌後においても良好な剥離性を維持することが容易なものではなかった。
【0006】
特許文献1の段落番号0039には、以下のものが開示されている。
図3に例示された例では、フィルム18が、熱滅菌流体に対し不透過性でもよい材料である縁取り22を備え、その外側限界部22aは流体連通部材(上側周縁部14)の周囲部に連続的に密封して接続されている。縁取り22の内側限界部22bは、選択的不透過性材料の中央シート19に連続的に密封して接続されている。選択的不透過性材料の中央シート19と縁取り22の内側限界部22bとの間の接続は、全ての手段、特に接着によって得られる。この例では、縁取り22が補償手段を備えている。補償手段は、例えばリリーフ22cとして、例えば折り重ねられた、波型にされた、または襞が付けられた、選択的不透過性材料の中央シート19の周りを囲っている約1本以上の連続する線の他の形状からなっている。この縁取り22の展開された表面領域は、それが変形するとき、選択的不透過性材料の中央シート19の平面等方性収縮に伴う応力を相殺する程度、前記縁取り22の可視表面領域を超えている。
【0007】
しかし、上記のような、折り重ねられた、波型にされた、または襞が付けられた補償手段(リリーフ)を設けること、そのようなリリーフを設けたものに選択的不透過性材料の中央シート19を固着することは容易なものではなく、また、リリーフ以上の収縮が生じた場合には、滅菌後のシール性の低下、容器体の変形等が生じるおそれもある。
そこで、本発明の目的は、製造が容易であり、高圧蒸気滅菌後のシール性の低下および容器体の変形等が生じる可能性が極めて少ない高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体であって、
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、該容器体内に収納された外筒保持部材と、該外筒保持部材に保持された複数の前記プレフィルドシリンジ用外筒と、前記容器体の上面開口を封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備え、
前記容器体は、底部または/および側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、前記容器体内は、前記通気性封止部材を介して外部と連通しているプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(2) 前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体の内面側に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(3) 前記通気性封止部材は、前記開口部の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に固着されており、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間している上記(2)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(4) 前記容器体は、前記開口部を備え、かつ各前記開口部には、前記通気性封止部材が離間せずに固定され、前記開口部を封止している上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(5) 前記シート状蓋部材は、前記容器体にシールされるシール部材本体と、該シール部材本体に設けられた窓部と、該窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材とを備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(6) 前記容器体および前記通気性封止部材は、熱可塑性樹脂製であり、前記通気性封止部材は、前記容器体にヒートシールにより剥離不能に固着されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(7) 前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、該プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
(8) 前記容器体は、外面側より内方に窪む凹部と、該凹部に設けられた通気口とを備え、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、前記通気口が設けられた前記凹部を外面側より被包する、もしくは前記凹部に沿って密着するように、その周縁部が前記容器体に固着された軟質フィルムを有し、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えている上記(7)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【0009】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納可能かつ高圧蒸気滅菌可能なプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体であって、
前記容器体は、上面が開口するとともに、保形性を有する底部もしくは側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであるプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
(10) 前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている上記(9)に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、容器体内に収納された外筒保持部材と、外筒保持部材に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒と、容器体の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備える。容器体は、底部もしくは側部に設けられた開口部と、開口部を被包もしくは封止するように容器体に固着された通気性封止部材とを備え、通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、容器体内は、通気性封止部材を介して外部と連通している。
このため、高圧蒸気滅菌時に水蒸気が流通する通気性封止部材は、保形性を有する容器体の上端開口ではなく、容器体の底部もしくは側部に設けられた開口部を被包もしくは封止するように固着されており、特許文献1のようにリリーフを設ける必要もなく、形態的に製造が容易であり、また、通気性封止部材の容器体への固着は、剥離可能とする必要もないため十分な強度にてシール可能であり、ヒートシール作業における温度管理等においても製造作業が容易である。さらに、通気性封止部材は、容器体の底部もしくは側部に設けられた開口部を被包もしくは封止するように固着されているため、高圧蒸気滅菌後の通気性封止部材と容器体間でのシール性の低下および容器体の変形等が生じる可能性が極めて少ない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の内部形態を説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の正面図である。
【図4】図4は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の平面図である。
【図5】図5は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体の右側面図である。
【図6】図6は、図4のA−A線拡大断面図である。
【図7】図7は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図8】図8は、図3に示したプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる外筒保持部材の斜視図である。
【図9】図9は、図8に示した外筒保持部材の正面図である。
【図10】図10は、図8に示した外筒保持部材の平面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図16】図16は、図15のB−B線拡大断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられるシート状蓋部材の平面図である。
【図18】図18は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
【図19】図19は、図18のC−C線拡大断面図である。
【図20】図20は、図18のD−D線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体およびプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体について、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体2と、容器体2内に収納された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4と、外筒保持部材4に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6と、容器体2の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材3とを備える。さらに、容器体2は、底部もしくは側部に設けられた開口部22と、開口部22を被包もしくは封止するように容器体に固着された通気性封止部材5とを備え、通気性封止部材5は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、容器体2内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。
【0013】
本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体である。本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体1は、図1、図2および図6に示すように、容器体2と、複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4と、外筒保持部材4に保持された複数のプレフィルドシリンジ用外筒6と、容器体2の上面開口を気密に封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材3とからなる。
容器体2は、図1ないし図7に示すように、ある程度の強度と保形性を有する所定の深さを有するトレー状のものとなっており、本体部21と、本体部21の上部に形成されたプレフィルドシリンジ用外筒を保持した外筒保持部材4の周縁部を保持するための外筒保持部材保持部26と、上面開口に設けられた環状フランジ部24と、本体部21の底面に設けられた複数の開口部22とを備えている。さらに、この実施例の容器体2では、複数の開口部22を取り囲むように設けられた第1の環状リブ51を備えている。さらに、この実施例の容器体2では、第1の環状リブ51に近接し、かつ第1の環状リブ51を取り囲むように設けられた第2の環状リブ52を備えている。
【0014】
この実施例における容器体2は、図6および図7に示すように、矩形状をした籠状体であり、上端開口には、環状にかつ外側に延びるように形成された薄板状の環状フランジ部24が設けられている。さらに、環状フランジ部24の上面には、シート状蓋部材3との固着のための環状のヒートシール用凸部25が設けられている。環状のヒートシール用凸部25は、全体が、環状フランジ部の外縁より内側となるように設けられている。また、環状のヒートシール用凸部25は、全体が、環状フランジ部の内縁より外側となるように設けられている。さらに、環状のヒートシール用凸部25の角部には、環状フランジ部24の角部方向に延びる突出部25aが形成されている。
【0015】
そして、フランジ部24より所定長底面側となる位置に、外筒保持部材保持部26が形成されている。この実施例の容器体2では、外筒保持部材保持部26は、環状の段差部となっており、プレフィルドシリンジ用外筒を保持した外筒保持部材4の周縁部を載置可能となっている。なお、外筒保持部材保持部は、環状に連続するものではなく、非連続のものであってもよい。
そして、この実施例の容器体2では、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。
【0016】
そして、図6および図7に示すように、この実施例の容器体2では、容器体2の開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5により被包されている。特に、この実施例では、通気性封止部材5が容器体2に設けられた開口部22の上面側(内面側)を覆うように設けられており、その周縁部が容器体2に固着されている。特に、この実施例では、通気性封止部材5は、すべての開口部22の上面側(内面側)を覆うように容器体2の底面に固着されている。具体的には、図6に示すように、通気性封止部材5は、開口部22に固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。このようにすることにより、開口部22の総開口面積よりも通気性封止部材5の有効面積を大きいものとすることができ、容器体2に高い水蒸気流通性を付与することができる。なお、この実施例の容器体2では、1枚の通気性封止部材を用いるものとなっており、このようにすることにより、容器体2への固着作業が容易であり好ましい。また、後述する図18に示す容器体のように、通気性封止部材は単独のものではなく、各開口部の個々をその上面側(内面側)を覆うものであってもよい。
そして、この実施例の容器体2では、複数の開口部22のすべてを被包する菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2の底面に設けられ、第1の環状リブ51に固着されている。さらに、この実施例の容器体2では、通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2の第2の環状リブ52にも固着されている。そして、通気性封止部材5と開口部22の間は、第1の環状リブ51及び第2の環状リブ52の突出高の分だけ、離間した状態となっている。そして、容器体2内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。容器体2および通気性封止部材5は、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5を容器体2にヒートシールにより固着可能となる。また、通気性封止部材5を容器体2に剥離可能に固着する必要がなく、気密かつ剥離不能に固着すればよく、固着のための温度管理等も容易である。
さらに、図11に示す容器体2aのように、容器体2aの開口部22の周縁部に設けられた非連続の環状突出部23に、通気性通気性封止部材5を固着部53により固着してもよい。
通気性封止部材5としては、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであればどのようなものでもよく、また、通気性封止部材5としては、容器体2にヒートシール可能であることが好ましい。通気性封止部材5としては、例えば、合成樹脂製不織布、具体的には、タイベック(登録商標)として知られているポリオレフィン等の合成樹脂材料からなる不織布、合成樹脂製多孔質膜などが好適に使用できる。さらに、通気性封止部材5としては、加熱し熱収縮させたものを用いてもよい。
【0017】
容器体2としては、ある程度の保形性と剛性を備えることが好ましい。また、高圧蒸気滅菌に対応するために、耐熱性(120℃以上)を有する熱可塑性材料を用いることが望ましい。ある程度の保形性と、ある程度の剛性と、耐熱性と熱可塑性を有する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン/ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン/アイオノマー(例えば、エチレン系、スチレン系、フッ素系)/ポリエチレン、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アモルファス−ポリエチレンテレフタレート)、PP/EVOH/PP(ラミネート)等が挙げられる。この場合の容器体2の厚さとしては、0.05〜4.00mm程度が好ましく、特に、1.00〜2.00mmがより好適である。
【0018】
さらに、容器体2を放射線もしくは電子線滅菌を可能としてもよく、この場合には、耐放射線性材料と呼ばれるものを使用することが望ましい。耐放射線性材料(例えば、耐放射線性ポリオレフィン)としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)に、ヒンダードアミンさらには酸化防止剤、核剤などが添加されることにより、対放射線性が付与されたものを用いることができる。ヒンダードアミンとしては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)フマレートなどが例示される。酸化防止剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンなどが例示される。核剤としては、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどが例示される。
【0019】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒6を保持可能な外筒保持部材4は、図2、図6、図8ないし図10に示すように、基板部41と、この基板部41より上方に突出する複数の筒状部42を備えている。そして、筒状部42の上端に開口43が形成されており、また、基板部41の側部には、把持用の切欠部44が形成されている。筒状部42および開口43の内径は、保持されるプレフィルドシリンジ用外筒6の本体部より径が大きいものとなっており、また、保持されるプレフィルドシリンジ用外筒6のフランジ部の通過が不能なものとなっている。このため、図6に示すように、外筒6は、筒状部42を貫通するとともに、開口43により外筒のフランジが吊り下げられた状態となっている。また、図6に示すように、外筒保持部材4により保持されたプレフィルドシリンジ用外筒6の下端(キャップ部材の先端)は、容器体2の底面に接触しないものとなっている。言い換えれば、容器体2の底面と外筒保持部材4により保持されたプレフィルドシリンジ用外筒6の下端(キャップ部材の先端)間は、離間し、水蒸気の流通を阻害しないものとなっている。この外筒保持部材4の形成材料も高圧蒸気滅菌に対応するために、耐熱性(120℃以上)を有するものであることが望ましい。
【0020】
プレフィルドシリンジ用外筒6としては、公知のものが使用できる。プレフィルドシリンジ用外筒6は、外筒本体60と、外筒本体60の先端部に設けられたノズル部を封止するキャップ61を備えている。また、外筒本体60の基端部には、フランジ62が設けられている。フランジ62は、外筒本体61の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。
外筒6の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0021】
シート状蓋部材3は、容器体2の上端開口部を被包し、封止するものであり、かつ、容器体2に対して剥離可能となっている。シート状蓋部材3は、菌および水蒸気を実質的に透過しないものであり、かつ容器体2に対して剥離可能にシール可能なものとなっている。
シート状蓋部材3としては、具体的には、菌および水蒸気を実質的に透過しないフィルム(基材フィルム)と、このフィルムの下面の少なくとも外周部分に固着された接着性樹脂層とを有するものが好ましく、さらに、フィルムの上面に設けられた表面保護層を有することがより好ましい。基材フィルムとしては、アルミニウム、銀、金などの金属箔またはアルミニウム、銀、金などが表面に蒸着された金属蒸着フィルム、SiOXなどが表面に蒸着された無機物蒸着フィルム、ガスバリヤ性樹脂フィルム、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン−ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、高密度ポリエチレン等のフィルムが好適に使用できる。
【0022】
接着性樹脂層は、基材フィルムと容器体2を剥離可能にヒートシールするためのものであり、次のような種々の易剥離機構を利用することができる。例えば、容器体2のヒートシール面にポリプロピレンを用いる場合は、接着性樹脂層として、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂、ポリプロピレンとポリエチレンとをブレンドしたものなどのオレフィン系樹脂や2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤などが好適に使用できる。また、容器体2として、ポリ塩化ビニルを用いる場合は、接着性樹脂層として、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリスチレンにスチレン−ブタジエンブロック共重合体をブレンドしたもの、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤などが好適に使用できる。さらに、容器体2として、ポリエステルを用いる場合は、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸系樹脂などのオレフィン系樹脂、コポリエステルや2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤が好適に使用できる。
【0023】
表面保護層としては、合成樹脂、例えば、PET等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂をコーティングすること、または上記の合成樹脂製フィルム、紙などを張り合わせることにより形成することが好ましい。そして、この表面保護層は、収納される医療用品の名称、サイズ、医療用品が例えばプレフィルドシリンジである場合にはシリンジに充填される薬剤の名称、充填量などの必要事項を記載するための印刷層としても使用できる。なお、表面保護層とガスバリヤ性フィルム間に白色インキ等の遮光性材料を介在させて、遮光フィルムとしてもよい。
【0024】
シート状蓋部材3の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−ビニルアルコール共重合体/延伸ナイロン/接着性樹脂の4層からなるもの、ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン/接着性樹脂の3層からなるものが考えられる。
そして、シート状蓋部材3は、容器体2の環状フランジ部24に設けられたヒートシール用凸部25にその周縁部が剥離可能にヒートシールされている。なお、この実施例では、シート状蓋部材の外縁は、容器体2の環状フランジ部24には、ヒートシールされておらず、剥離を容易なものとしている。また、ヒートシール用凸部25の角部に設けられた突出部25aが、剥離開始部として機能する。シート状蓋部材3としては、厚さ0.05〜1.00mm程度が好ましく、0.10〜0.50mm程度がより好適である。
【0025】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図12に示すような容器体2bであってもよい。
図12は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。
この実施例における容器体2bと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
そして、この実施例の容器体2bでは、底面に、小開口部22aが多数設けられている。このように、開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。さらに、容器体2bは、多数の開口部22aを取り囲むように形成された環状リブ51を備えている。
【0026】
そして、容器体2bには、上述した容器体2と同様に、多数の小開口部22aのすべてを被包する菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5が設けられている。この実施例では、上述した容器体2と同様に、通気性封止部材5は、すべての開口部22aの上面を覆うように容器体2bの底面に固着されている。さらに、通気性封止部材5は、開口部22aに固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22a間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。
なお、この実施例の容器体2bでは、1枚の通気性封止部材を用いるものとなっており、このようにすることにより、容器体2bへの固着作業が容易であり好ましい。なお、通気性封止部材5は、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部22aの周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5を固着してもよい。また、後述する図18に示す容器体のように、通気性封止部材は単独のものではなく、各開口部の個々をその上面側(内面側)を覆うものであってもよい。
そして、通気性封止部材5は、その周縁部において、容器体2bの環状リブ51に固着されている。そして、容器体2b内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。容器体2bおよび通気性封止部材5は、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5を容器体2bにヒートシールにより固着可能となる。
【0027】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図13に示すような容器体2cであってもよい。
図13は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の側面図である。
この実施例における容器体2cと上述した容器体2との相違は、側面形状および底面形状のみである。よって、側面および底面以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0028】
そして、この実施例の容器体2cでは、上述した容器体2のように底面に開口部を備えていない。その代わりに、側面21aに開口部28が設けられている。この実施例では、側面に複数(具体的には、2つ)の開口部28が設けられている。開口部28は、1つの側面のみに設けてもよいが、対向する側面にも設けることが好ましい。さらには、3つ以上の側面に設けてもよく、特に、すべて(4つ)側面に開口部28を設けてもよい。
このような側面に開口部を多数設ける場合には、開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。さらに、容器体2cは、複数の開口部28を取り囲むように形成され容器体2cの内方に突出する環状リブ54を備えている。
【0029】
そして、容器体2cの開口部28は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5aにより被包されている。具体的には、通気性封止部材5aは、複数(具体的には、2つ)の開口部28の内面側を覆うように容器体2cの側部内側に形成された環状リブ54に固着されている。容器体2c内は、通気性封止部材5aを介して外部と連通している。さらに、通気性封止部材5aは、開口部28に固着されておらず、通気性封止部材5aと開口部28間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。なお、通気性封止部材5aは、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部28の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5aを固着してもよい。容器体2cおよび通気性封止部材5aは、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、このようにすることにより、通気性封止部材5aを容器体2cにヒートシールにより固着可能となる。
なお、上記のように、通気性封止部材5aと開口部28間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっていることが好ましいが、通気性封止部材5bは、図14に示す実施例の容器体2dのように、各開口部28を個々に封止する、すなわち、各開口部28に、通気性封止部材5aが離間せずに固定されているものであってもよい。この場合、通気性封止部材5bは、開口部28の周縁部に設けられた環状突出部29に固着することが好ましい。また、容器体2cの側部内側に直接通気性封止部材5aを固着することも可能であり、この場合には環状突出部29は不要である。
【0030】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図15および図16に示すような容器体2eであってもよい。
図15は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。図16は、図15のB−B線拡大断面図である。
この実施例における容器体2eと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0031】
そして、この実施例の容器体2eでも、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。そして、容器体2eの開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5bにより封止されている。すなわち、各開口部22に、通気性封止部材5bが離間せずに固定されている。具体的には、各開口部22の周縁部に設けられた環状突出部23に、通気性封止部材5bが容器体2eの内面側より固着されており、通気性封止部材5bにより、開口部22が封止されている。容器体2e内は、通気性封止部材5bを介して外部と連通している。なお、通気性封止部材5bは、容器体2eの外面側に固着してもよい。また、容器体2eに直接通気性封止部材5bを固着することも可能であり、この場合には環状突出部23は不要である。
【0032】
また、本発明のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に使用される容器体としては、図18ないし図20に示すような容器体2fであってもよい。
図18は、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体に用いられる容器体の平面図である。図19は、図18のC−C線拡大断面図である。図20は、図18のD−D線拡大断面図である。
この実施例における容器体2fと上述した容器体2との相違は、底面形状のみである。よって、底面形状以外(例えば、フランジ部24、外筒保持部材保持部26など)については、容器体2における説明を参照するものとする。
【0033】
そして、この実施例の容器体2fでも、底面に、複数(具体的には、4つ)の開口部22が設けられている。開口部の数及び面積は特に限定されず、容器体2の強度を保ち得る限りにおいて適宜決定することができる。また、開口部の形状としては、図示するような、円形が好ましいが、楕円形、多角形などであってもよい。
そして、容器体2fの開口部22は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材5により被包されている。具体的には、各開口部22を取り囲む環状リブ56に、通気性封止部材5が容器体2fの内面側より固着されており、通気性封止部材5により、開口部22が封止されている。容器体2f内は、通気性封止部材5を介して外部と連通している。この実施例では、通気性封止部材5は、開口部22に固着されておらず、通気性封止部材5と開口部22間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっている。特に、この実施例では、通気性封止部材5と開口部22の間は、環状リブ56の突出高の分だけ、離間した状態となっている。なお、通気性封止部材5は、前述した図11に示す容器体のように、容器体の開口部22の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に、通気性通気性封止部材5を固着してもよい。また、通気性封止部材5は、上述した図15及び図16の容器体のように、開口部22の周縁部に容器体2fの内方に突出するよう設けられた環状突出部に固着されていてもよい。通気性封止部材5としては、上述したものが使用できる。
【0034】
この実施例のプレフィルドシリンジ用外筒包装体は、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている。具体的には、この実施例の容器体2fは、底面に、外面側より内方に窪む凹部71と、凹部71に設けられた通気口72を備えている。さらに、プレフィルドシリンジ用外筒包装体(容器体)は、通気口72が設けられた凹部71を容器体2fの外面側より被包する、もしくは凹部71の外面に沿って密着するように、その周縁部が容器体2fに固着された通気性を持たない軟質フィルム(軟質シート)73を備えている。つまり、軟質フィルム73は、少なくとも中央部が、容器体2fに対して、可動可能なものとなっている。このため、このプレフィルドシリンジ用外筒包装体(容器体)は、プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えるものとなっている。
【0035】
軟質フィルム73としては、可撓性フィルム(可撓性シート)もしくは弾性フィルム(弾性シート)などが使用される。軟質フィルムとして可撓性フィルムを用いる場合には、ぴんと張った状態ではなく、ゆとり部73aを有するものであることが好ましい。滅菌時、運送時等において、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の圧力が上昇した場合、図20に示すように、軟質フィルム73のゆとり部53a伸び、凹部71の外面側と軟質フィルム73で仕切られた空間74が出現もしくは拡大することにより、体積増加分、内圧上昇を軽減することができ、容器体2fと蓋部材との内圧上昇に起因する剥離を防止することができる。なお、軟質フィルムとして弾性フィルムを用いる場合には、上記のようなゆとり部を持たずぴんと張られたものであっても、プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の圧力の上昇によって弾性フィルムが伸びることにより、上記同様の効果が得られる。また、通気孔72が十分な大きさを持つものであれば、弾性フィルムを容器体2fの凹部71の内面側に固着されていてもよい。
また、この外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備える実施例の容器体においても、図13、図14に示し上述した実施例の容器体のように、開口部および通気性封止部材は、容器体の底面ではなく、側面に設けてもよい。この場合、開口部および通気性封止部材の形態としては、図13、図14において説明した形態が有効に利用できる。
【0036】
可撓性フィルム(可撓性シート)としては、熱可塑性合成樹脂可撓性フィルムが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルもしくは延伸ポリエステル、ポリエチレン、延伸ポリエチレン、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレンなどのポリオレフィンもしくは延伸ポリオレフィン、ポリアミドなどにより形成された軟質樹脂フィルムが好適であり、さらに、このような軟質樹脂フィルムを基材とし、これに、接着剤を介してもしくは直接ヒートシール性を向上させるためのホットメルト型接着剤層(例えば、低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート)をラミネートしたものなどが好適である。
弾性フィルム(弾性シート)としては、熱可塑性合成樹脂弾性フィルムが好ましく、具体的には、オレフィン系エラストマー(ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、アミド系エラストマー(ポリアミドエラストマー)、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)などにより形成された弾性樹脂フィルムが好適であり、さらに、このような弾性樹脂フィルムを基材とし、これに、接着剤を介してもしくは直接ヒートシール性を向上させるためのホットメルト型接着剤層(例えば、低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート)をラミネートしたものなどが好適である。
【0037】
また、上述したすべての実施例において、シート状蓋部材は、図17に示すようなシート状蓋部材3aであってもよい。この蓋部材3aは、菌および水蒸気を実質的に透過せず、かつ容器体2に対して剥離可能にシール可能であり、かつ窓部33を有する蓋部材本体32と、蓋部材本体32の窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材34を備えている。具体的には、 通気性封止部材34は、その周縁部35が、蓋部材本体32の窓部に内面側よりヒートシールにより固着されており、窓部を封止している。なお、通気性封止部材34としては、上述した通気性封止部材5にて説明したものが好適に使用できる。また、蓋部材本体32としては、上述した蓋部材3にて説明したものが好適に使用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 プレフィルドシリンジ用外筒包装体
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f 容器体
3 シート状蓋部材
4 外筒保持部材
5 通気性封止部材
6 プレフィルドシリンジ用外筒
22 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体であって、
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、該容器体内に収納された外筒保持部材と、該外筒保持部材に保持された複数の前記プレフィルドシリンジ用外筒と、前記容器体の上面開口を封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備え、
前記容器体は、底部または/および側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、前記容器体内は、前記通気性封止部材を介して外部と連通していることを特徴とするプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項2】
前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体の内面側に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている請求項1に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項3】
前記通気性封止部材は、前記開口部の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に固着されており、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間している請求項2に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項4】
前記容器体は、前記開口部を備え、かつ各前記開口部には、前記通気性封止部材が離間せずに固定され、前記開口部を封止している請求項1に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項5】
前記シート状蓋部材は、前記容器体にシールされるシール部材本体と、該シール部材本体に設けられた窓部と、該窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材とを備えている請求項1ないし4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項6】
前記容器体および前記通気性封止部材は、熱可塑性樹脂製であり、前記通気性封止部材は、前記容器体にヒートシールにより剥離不能に固着されている請求項1ないし5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項7】
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、該プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項8】
前記容器体は、外面側より内方に窪む凹部と、該凹部に設けられた通気口とを備え、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、前記通気口が設けられた前記凹部を外面側より被包する、もしくは前記凹部に沿って密着するように、その周縁部が前記容器体に固着された軟質フィルムを有し、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えている請求項7に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項9】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納可能かつ高圧蒸気滅菌可能なプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体であって、
前記容器体は、上面が開口するとともに、保形性を有する底部もしくは側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであることを特徴とするプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【請求項10】
前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている請求項9に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【請求項1】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納した高圧蒸気滅菌可能もしくは高圧蒸気滅菌されたプレフィルドシリンジ用外筒包装体であって、
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、上面が開口し、かつ保形性を有する容器体と、該容器体内に収納された外筒保持部材と、該外筒保持部材に保持された複数の前記プレフィルドシリンジ用外筒と、前記容器体の上面開口を封止するとともに剥離可能なシート状蓋部材とを備え、
前記容器体は、底部または/および側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであり、前記容器体内は、前記通気性封止部材を介して外部と連通していることを特徴とするプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項2】
前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体の内面側に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている請求項1に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項3】
前記通気性封止部材は、前記開口部の周縁部に設けられた非連続の環状突出部に固着されており、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間している請求項2に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項4】
前記容器体は、前記開口部を備え、かつ各前記開口部には、前記通気性封止部材が離間せずに固定され、前記開口部を封止している請求項1に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項5】
前記シート状蓋部材は、前記容器体にシールされるシール部材本体と、該シール部材本体に設けられた窓部と、該窓部に固着された菌不透過性かつ水蒸気流通性を有する通気性封止部材とを備えている請求項1ないし4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項6】
前記容器体および前記通気性封止部材は、熱可塑性樹脂製であり、前記通気性封止部材は、前記容器体にヒートシールにより剥離不能に固着されている請求項1ないし5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項7】
前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、該プレフィルドシリンジ用外筒包装体内の内圧上昇時に対応するための圧力変化軽減部を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項8】
前記容器体は、外面側より内方に窪む凹部と、該凹部に設けられた通気口とを備え、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体は、前記通気口が設けられた前記凹部を外面側より被包する、もしくは前記凹部に沿って密着するように、その周縁部が前記容器体に固着された軟質フィルムを有し、前記プレフィルドシリンジ用外筒包装体の内圧上昇時対応用の圧力変化軽減部を備えている請求項7に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体。
【請求項9】
複数のプレフィルドシリンジ用外筒を収納可能かつ高圧蒸気滅菌可能なプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体であって、
前記容器体は、上面が開口するとともに、保形性を有する底部もしくは側部に設けられた開口部と、前記開口部を被包もしくは封止するように前記容器体に固着された通気性封止部材とを備え、前記通気性封止部材は、菌不透過性かつ水蒸気流通性を有するものであることを特徴とするプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【請求項10】
前記通気性封止部材は、前記開口部を被包するように前記容器体に固着されており、かつ、前記通気性封止部材と前記開口部間は、離間したものもしくは離間可能なものとなっており、前記通気性封止部材の有効面積は、前記開口部の面積より大きいものとなっている請求項9に記載のプレフィルドシリンジ用外筒包装体用容器体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−71046(P2012−71046A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219807(P2010−219807)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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