説明

ボールペン

【課題】超硬合金ボールを使用したボールペンに於いて、脱酸素剤を添加したインキを充填したボールペンのペン先をペン先封止部材で閉塞しても、ボール表面が腐食しない手段を見出す。
【解決手段】少なくともインキとペン先封止部材の両方に同一の材料からなる脱酸素剤を等モル量添加したボールペン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールの一部が突出した状態で回転自在に抱持するボールホルダーの、インキ吐出口の少なくとも開口部分を合成樹脂やエラストマー、ゴムなどの封止部材にて閉塞するボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールペンは、筆記部材としてのボールをボールホルダーのインキ通孔より一部突出させた状態で回転自在に抱持させた、所謂ボールペンチップを使用したものであり、ボール表面に付着したインキをボールを回転させることで紙等の筆記面に転写して筆記させるものである。
そのため、ボールとボールを保持するボールホルダーにはインキ通孔の開口部として僅かな隙間が形成されているが、この隙間からインキが洩れて紙面を汚したり空気がボールホルダー内に侵入して、ボール周辺のインキが乾燥しインキが出なくなったり、筆跡がかすれたりすることがある。このような不具合を防止するために、非筆記時にはボールペンチップの前記隙間をキャップに装填したゴム状弾性体の封止部材(以下、ペン先封止部材と称する)で閉塞する手段が採用されている。
ボールペンのボールには、炭化タングステンや炭化クロムを主成分にしてコバルトやニッケルやクロムなどのバインダーを加えて焼成した超硬合金ボールや、炭化珪素やジルコニアや窒化珪素を焼成したセラミックボールなどがある。これらの中で、表面を滑らかに加工できるため筆記時の抵抗が少なくて書き味が良い、超硬合金ボールが一般的に使用されている。
【0003】
ボールペンのインキの供給は、ボールホルダー内に形成された細い通孔によってなされるため、インキ中に残留した気泡が挟まるだけでインキ供給が遮断されて、容易に筆記不能になってしまう問題がある。
そのため、インキ中に脱酸素剤を添加したり(特許文献1)、インキを減圧したりして脱気すること(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−174578号公報
【特許文献2】特開平08−183923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インキを減圧して脱気した場合には、キャップの開閉時のポンピング現象によってインキ中に空気が巻き込まれた場合には筆記出来ないことがあった。
脱酸素剤を添加したインキでは、超硬合金ボールを使用したボールペンにて、ペン先封止部材で閉塞すると、ボールホルダー側のインキと接触したボール表面部分が腐食してしまう問題があった。腐食によって滑らかなボール表面が荒れて書き味が劣化してしまう。
脱酸素剤を添加したインキ中の残留酸素は、インキ中の脱酸素剤によって大巾に減量するが、ペン先封部止材側のボール表面は、インキが付かないか、付いても閉塞の際に削りとられて微量になるため、酸素の減量が少ない。そのため、超硬合金ボールを使用したボールペンにおいて、ボール表面の酸素量はインキに接する側とペン先封止部材に接する側で差が生じ、酸素濃淡電池が形成され、インキに接する酸素濃度が低い側のボール表面が腐食される。これはインキ中に防錆剤を添加しても解決出来ないものであった。
本発明の課題は、超硬合金ボールを使用したボールペンに於いて、脱酸素剤を添加したインキを充填したボールペンのペン先をペン先封止部材で閉塞しても、ボール表面が腐食しない手段を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超硬合金ボールを使用したボールペンにおいて、少なくともインキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤を添加したボールペンを要旨とする。
また、本発明は、前記インキに使用する脱酸素剤とペン先封止部材に使用する脱酸素剤を同一の材料としたボールペンを第2の要旨とし、更に、前記インキ単位体積当たりの脱酸素剤の添加量(重量/体積)と、前記ペン先封止部材単位体積当たりの添加量(重量/体積)とを等しくしたボールペンを第3の要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
インキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤を添加すると、ペン先封止部材に接したボール表面の酸素が減量して、ボール受け座側のボール表面の酸素量との差が少なくなり、酸素濃淡電池を形成しないのでボール腐食が生じ難い。インキとペン先封止部材の両方に同じ脱酸素剤を添加すると、脱酸素能力に差がないので脱酸素終点でのボール受け座側のボール表面の酸素量との差が一層少なくなる。また、インキとペン先封止部材の夫々の脱酸素剤の単位体積当たりの添加量を等量にすると、ボール表面に接触する脱酸素剤量が等しくなるので、終点の酸素量だけでなく終点に至るまでの酸素が減る割合が同じになる。そのため、ボール表面の酸素量に差が出る期間がなく、一層腐食し難い。
更に、弾性を有するペン先封止部材は、キャップ開閉の際にペン先とペン先封止部材が脱着する時に伸び縮みする。その際に、ペン先封止部材の内部にあった脱酸素剤が表面に移行する、所謂ブルーミングが生じる。そのため、ペン先封止部材の表面には常に脱酸素剤が出現するので、接したボール表面の酸素が減量する効果が持続する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
脱酸素剤は各種公知の物質を使うことが出来る。例えば、芳香族アミン(アニリン、p−アニシジン、o,m,p−アミノフェノール、o,m,p−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシアニリン、o,m,p−トルイジン、o,m,p−トルイレンジアミン、o,p−フェネチジン、6−メトキシ−m−トルイジン、3−メトキシ−p−トルイジン、3−アミノ−n−エチル−o−トルイジン、2−アミノ−p−クレゾール、4−アミノジフェニルアミン、p−アミノジメチルアニリン、o,m,p−キシリジン、3,5−キシリジン、o,m−トリジン、p−ブチルアニリン、ジアミノジフェニル、アミノジフェニル等)、アスコルビン酸又はその塩並びにそれらの誘導体(リン酸−L−アスコルビン酸マグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ヒドロキシプロリンリン酸エステル、5−o−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルカリウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルカルシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルアルミニウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルカリウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルカルシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルアルミニウム塩、L−アスコルビン酸ナトリウム塩、L−アスコルビン酸カリウム塩、L−アスコルビン酸マグネシウム塩、L−アスコルビン酸カルシウム塩、L−アスコルビン酸アルミニウム塩、6−o−α−D−ガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸、2−o−β−D−ガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム塩、6−o−アシルアスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、6−o−アシルアスコルビン酸リン酸エステルアンモニウム塩、6−o−アシルアスコルビン酸リン酸エステルイソプロパノールアミン塩、3−o−イソプロピル−L−アスコルビン酸、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルカリウム塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルカルシウム塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルバリウム塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルアンモニウム塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルモノエタノールアミン塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルジエタノールアミン塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルトリエタノールアミン塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルモノイソプロパノールアミン塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルジイソプロパノールアミン塩、6−o−アルキルアスコルビン酸リン酸エステルトリイソプロパノールアミン塩、3−o−グリコシル−L−アスコルビン酸、6−o−β−D−ガラクトピラノシル−L−アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸コレステロールエステル、パルミチン酸L−アスコルビル、イソパルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、ジイソパルミチン酸L−アスコルビル、ステアリン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジステアリン酸L−アスコルビル、ジイソステアリン酸L−アスコルビル、ミリスチン酸L−アスコルビル、イソミリスチン酸L−アスコルビル、ジミリスチン酸L−アスコルビル、ジイソミリスチン酸L−アスコルビル、2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、ジ2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、オレイン酸L−アスコルビン酸、2−o−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸、2−o−α−D−マルトシル−L−アスコルビン酸、2−o−α−D−マルトトリオシル−L−アスコルビン酸、3−o−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸、2−o−α−D−マルトシル−L−アスコルビン酸、2−o−α−D−マルトトリオシル−L−アスコルビン酸等、L−アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、 L−アスコルビン酸テトララウリン酸エステル、L−アスコルビン酸テトラ−2−エチルヘキサン酸エステル、L−アスコルビン酸テトラオレイン酸エステル、5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸レチノールエステル、L−アスコルビン酸−DL−トコフェロールリン酸エステル、L−3−o−エチルアスコルビン酸、L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレート、L−アスコルビン酸トリリン酸エステル、2−o−アスコルビルシンナメート、2−o−アスコルビルフェルレート、2−o−アスコルビルカフェーエート、2−o−アスコルビルシナペート、2−o−[6−パルミトイルアスコルビル]−4’−アセトキシフェルレート、DL−α−トコフェロール−2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル、アスコルビン酸イノシトール結合誘導体、アスコルビアスコルビン酸リンアミド誘導体、アスコルビン酸アルブチン結合体、アスコルビルホスホリルコレステロール、クロマニルアスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸シアル酸誘導体等)、ステアリン酸エステル、トコフェロール又はその塩並びにそれらの誘導体(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ε−トコフェロール、α−トコフェリルレチノエート、アミノメチル化トコフェロール、ヒドロキシメチル化トコフェロール、トコフェリルリン酸エステル、トコフェロールアセテート、トコフェロールニコチネート、トコフェロールサクシネート、トコフェロールリノレート、トコフェロールオロテート、DL−α−トコフェリルグルコシド、DL−α−トコフェリルマルトシド、DL−β−トコフェリルグルコシド、DL−β−トコフェリルマルトシド、DL−γ−トコフェリルグルコシド、DL−γ−トコフェリルマルトシド、DL−δ−トコフェリルグルコシド、DL−δ−トコフェリルマルトシド、D−α−トコフェリルグルコシド、D−α−トコフェリルマルトシド、D−β−トコフェリルグルコシド、D−β−トコフェリルマルトシド、D−γ−トコフェリルグルコシド、D−γ−トコフェリルマルトシド、D−δ−トコフェリルグルコシド、D−δ−トコフェリルマルトシド、L−α−トコフェリルグルコシド、L−α−トコフェリルマルトシド、L−β−トコフェリルグルコシド、L−β−トコフェリルマルトシド、L−γ−トコフェリルグルコシド、L−γ−トコフェリルマルトシド、L−δ−トコフェリルグルコシド、L−δ−トコフェリルマルトシド、1−(スルホエチルアミノ)−3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)プロパン−2−オール、1−(カルボキシプロピルアミノ)−3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)プロパン−2−オール塩酸塩、S−[3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)−2−ハイドロキシプロピル]システイン、S−[3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)−2−ハイドロキシプロピル]−γ−グルタミルシステニルグリシン、N−[3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)−2−ハイドロキシプロピル]アスパラギン酸、N−[3−(α−トコフェリール−6−イロキシ)−2−ハイドロキシプロピル]グルタミン酸等)、トコトリエノール又はその塩並びにそれらの誘導体(α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、トコトリエノールアセテート、トコトリエノールニコチネート、トコトリエノールサクシネート、トコトリエノールリノレート、トコトリエノールオロテート等)、ジヒドロピリジン誘導体(メチル−3−フェニル−2−プロペニル 1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボキシレート及びその塩)、ベンゾクロマン誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ハイドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、コエンザイムQn(n=7〜10)、ピロロキノリンキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノン誘導体、ハイドロスルフォン酸及びその塩、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール、マリチメイン、スルフレチン、キサンテン−2,7−ジオール類、カフェオイルキナ酸類、カロテノイド類(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、リコペン、ルテイン、ビオラキサンチン、スピリロキサンチン、スフェロイデン、アスタキサンチン等)、フロロタンニン等が挙げられる。これらは1種もしくは2種以上併用しても良い。
インキに添加する際は、インキ中にそのまま添加しても良く、適当な溶媒に溶解または分散してから添加しても良い。ペン先封止部材に添加するときは、基材のポリマーが架橋する前や成型材料に添加しても良く、また、適当な溶媒に溶かした溶液を作り、成型後のペン先封止部材を浸漬することでも得ることができる。この際に、ペン先封止部材が膨潤する溶媒を選定すれば内部に浸透し易い。また、加熱、減圧、加圧、超音波照射などを併用することも出来る。添加量はインキやペン先封止部材に対して0.01モル以上0.06モル以下が望ましいが、インキの性質やペン先封止部材の形状等により適宜変更出来る。
【0009】
インキは、水を種溶剤にした水性インキでも、水と混じりにくい溶剤を主溶剤にした油性インキでも使用できる。
【0010】
インキの着色剤としては、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、同ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。油溶性の染料としては、ローダミンBベース(C.I.45170B)、ソルダンレッド3R(C.I.21260)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエント スピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、スピロンブラック GMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー−111等が挙げられる。
【0011】
着色剤に顔料を用いた場合は顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することは差し支えない。分散剤として従来一般に用いられている水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくは非イオン系界面活性剤などの顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、リグニンスルホン酸塩、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩、などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの非イオン性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0012】
水や有機溶剤は着色剤を溶解又は分散する媒体として、また、インキの乾燥防止や低温時での凍結防止などの目的で使用される。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、2−ピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロプル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−アミル、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、ノルマルヘキサン、イソペンタン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらは、単独もしくは混合して使用可能である。
【0013】
着色材を紙面に定着させる等に各種樹脂を併用することもできる。具体的には、セラック、スチレンとマレイン酸又はそのエステルとの共重合体及びそのアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体及びそのアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、同アミン塩、同アンモニウム塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、ロジン系樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、スルフォアミド樹脂、ポリメタクリル酸エステル、スチレンマレイン酸エステルと共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。
【0014】
その他、上記各成分以外、従来、筆記具用のインキに用いられる種々の添加剤を適宜必要に応じて使用することもできる。例えば、インキの蒸発防止のためにソルビット、キシリット等の糖アルコールを用いたり、筆記感を向上させるためにポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールポリオキシプロピレングリコール、オレイン酸のアルカリ金属塩やアミン塩等の潤滑剤を用いたりすることができる。
【0015】
さらに、アニオン系、非イオン系、カチオン系の各種界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の表面張力調整剤、デハイドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどの防腐防黴剤、ベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防錆剤、pH調整剤として水酸化ナトリウム、アルカノールアミン、アミン、アンモニウム等のアルカリ化剤なども用いることもできる。
【0016】
ペン先封止部材の材質としては、合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が、合成樹脂エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、1,2−ポリブタジエン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が、ゴム状の弾性変形をなす主要なものとして天然ゴム(NR)、イソプレン(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンアクリロゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、多硫化ゴム(T)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、エチレン−酢酸ビニル系やポリオレフィン系、あるいはポリアミド系の熱可塑性樹脂を使用できる。ペン先封止部材はキャップ内に係止するだけでなく直接ペン先に付着させても良い。
【0017】
インキを収容するインキタンクは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の高分子化合物や金属の中空体を使用する。これらの中空体がペン外装を兼ねても良い。また、インキがインキタンクの内壁に付着することを抑制するためなど、必要に応じてインキタンク内面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂などを塗布して撥水処理をすることもできる。後端開口するインキタンクの場合には、インキの洩れや乾燥を抑制するために、インキフォロアーを配置してもよい。逆流防止体は高粘性オイルや不揮発性液体をゲル化したものやスポンジ状のものやプラスチック製のフロートなど各種公知のものを単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
【0018】
ボールペンチップは直接インキタンクに付けても良いし、チップホルダーを介しても良い。
【0019】
ボールペンチップのボールとボールホルダーとの隙間の密閉性を高めるために、ボールホルダー内にコイルスプリング等の弾性体を配置して、ボールを外側に付勢し、ボールホルダーの内壁にボールを押し付けても良いし、逆流防止の弁構造をボールホルダーやチップホルダーに設置しても良い。
【0020】
ボールペンの製造は従来公知の方法で行うことができる。製造工程中に遠心処理などの脱泡工程を入れても良い。加圧、減圧、加熱、冷却、自然放置、不活性雰囲気などを組み入れても構わない。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。「部」は重量パーセントを表す。
【0022】
試験に使用したインキ
インキ1
Water Black 191−L (オリエント化学工業(株)製 染料溶液)
10.0部
Water Black 200−L (オリエント化学工業(株)製 染料溶液)
30.0部
イオン交換水 36.8部
グリセリン 10.0部
エチレングリコール 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン (防黴剤) 0.2部
ベンゾトリアゾール (防錆剤) 1.0部
アスコルビン酸 1.0部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して得た、黒色ボールペン用水性染料インキ。インキの比重が1.1であったため、アスコルビン酸添加量は約1.1g/cmである。
【0023】
インキ2
ダイワブルーNo.1WB(青色染料、ダイワ化成(株)製) 3.5部
ダイワレッド106WB(赤色染料、ダイワ化成(株)製) 0.8部
イオン交換水 71.8部
エチレングリコール 9.0部
チオジグリコール 9.0部
オレオイルサルコシンナトリウム 5.0部
1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン (防黴剤) 0.2部
ケルザン(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.4部
ハイドロスルフォン酸カリウム 0.3部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して得た、青色ボールペン用水性染料インキ。インキの比重が1.1であったためハイドロキノンスルフォン酸カリウムの添加量は約0.33g/cmである。
【0024】
インキ3
FUJI SPブラック 8922 (カーボンブラック分散液、冨士色素(株)製)
20.0部
イオン交換 48.5部
グリセリン 15.0部
プロピレングリコール 15.0部
ケルザン(キサンタンガム、増粘剤、三晶(株)) 0.4部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.5部
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.1部
ハイドロキノンスルフォン酸カリウム 0.5部
上記成分を混合して、攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して得た、黒色ボールペン用水性顔料インキ。インキの比重は1.05であったためハイドロキノンスルフォン酸カリウムの添加量は約0.53g/cmである。
【0025】
インキ4
スピロンバイオレットC−RH(保土ヶ谷化学工業(株)製) 15.0部
バリファーストブラック#3802(オリエント化学工業(株)製) 10.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 26.0部
ベンジルアルコール 20.0部
レジンSK(ケトン樹脂、ヒュルス社(独)製) 12.0部
ポリビニルピロリドン K−90 5.0部
オキシエチレンドデシルアミン 10.0部
α−トコフェロール 2.0部
上記成分を混合して、加熱攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して得た、黒色ボールペン用油性染料インキ。インキの比重は1.1であったためα−トコフェロールの添加量は約2.2g/cmである。
【0026】
インキ5
C.I.ピグメント ブルー 15:6 20.0部
ジョンクリル 67(スチレン−アクリル樹脂、ジョンソンポリマー(株)製)
10.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 26.0部
ヘキシレングリコール 40.5部
ポリビニルピロリドンK90(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン(株)製)
1.0部
プライサーフA208B(界面活性剤、第一工業製薬(株)製) 2.0部
α−トコフェロール 0.5部
上記成分を混合して、加熱攪拌機で2時間攪拌した後、1マイクロメートルフィルターで濾過して得た、青色ボールペン用油性顔料インキ。インキの1.07であったためα−トコフェロールの添加量は約0.54g/cmである。
【0027】
インキ6
インキ1にて、アスコルビン酸を除き、その分イオン交換水を加えて得た、黒色ボールペン用水性染料インキ。
【0028】
インキ7
インキ3にて、ハイドロキノンスルフォン酸カリウムを除き、その分イオン交換水を加えて得た、黒色ボールペン用水性顔料インキ。
【0029】
試験に使用したペン先封止部材
ペン先封止部材1
中高ニトリル 58.32部
酸化亜鉛 2部
ステアリン酸 0.5部
カーボンブラック 30部
可塑剤 7部
加硫剤 1部
アスコルビン酸 1.18部
上記の成分を攪拌混合後、ぺんてる(株)製の水性ゲルインキボールペンK105に使用しているパッキンと同形状に成型後に加熱架橋した。ペン先封止剤の比重は0.92だったので、アスコルビン酸の添加量は約1.09g/cmである。これをぺんてる(株)製K105のキャップの内部に係止した。
【0030】
ペン先封止部材2
エチレンプロピレンコンパウンド 50部
酸化亜鉛 2部
ナフテン系プロセスオイル 20部
カーボンブラック 27部
加硫剤 1部
上記の成分を攪拌混合後、ぺんてる(株)製の水性ゲルインキボールペンK105に使用しているパッキンと同形状に成型後に加熱架橋した。アスコルビン酸をエタノールに5重量%濃度で溶かし、その中に、上記のペン先封止部材のエチレンプロピレンゴム(EPDM)を浸漬させ、50℃で10分間加熱して取り出した。完全に乾燥させて、ぺんてる(株)製K105のキャップの内部に係止した。
【0031】
ペン先封止部材3
ポリエチレンテレフタレート(PET)コンパウンド 99.4部
ハイドロキノンスルフォン酸カリウム 0.4部
上記の成分を攪拌混合後、ぺんてる(株)製の水性ゲルインキボールペンK105に使用しているパッキンと同形状に成型した。ペン先封止剤の比重は1.35だったので、アスコルビン酸の添加量は約0.54g/cmである。これをぺんてる(株)製K105のキャップの内部に係止した。
【0032】
ペン先封止部材4
部分架橋ブチルゴム 50部
ステアリン酸 0.5部
カーボンブラック 47.5部
加硫剤 2部
上記の成分を攪拌混合後、ぺんてる(株)製の水性ゲルインキボールペンK105に使用しているパッキンと同形状に成型後に加熱架橋した。O-フェニレンジアミンをアセトンに5重量%濃度で溶かし、その中に、上記のブチルゴム(IIR)を浸漬させ、50℃で10分間加熱して取り出した。完全に乾燥させて、ぺんてる(株)製K105のキャップの内部に係止した。
【0033】
ペン先封止部材5
ポリウレタン 99部
α−トコフェロール 1部
上記の成分を攪拌混合後、ぺんてる(株)製の水性ゲルインキボールペンK105に使用しているパッキンと同形状に成型した。このウレタンゴム(PUR)製のペン先封止部材をぺんてる(株)製K105のキャップの内部に係止した。
【0034】
ペン先封止部材6
ペン先封止部材1にて、アスコルビン酸を除き、その分NBRを増やした以外は同様にして得た、脱酸素剤を含まないニトリルブタジエンゴム(NBR)。
【0035】
ペン先封止部材7
ペン先封止部材5にて、α−トコフェロールを除き、その分ポリウレタンを増やした以外は同様にして得た、脱酸素剤を含まないポリウレタン(PUR)。
【0036】
試験サンプルボールペン
ぺんてる(株)製K105(直径0.5mmの超硬合金製のボール、ステンレス製ボールホルダー、合成樹脂製チップホルダー、透明合成樹脂製中空パイプ(インキタンク)で構成されたキャップ式ボールペン。キャップの内部にペン先封止部材が係止される)を使用した。パイプにインキを0.8g、シリコンオイルインキフォロワーを0.1g充填した。300G10分間の遠心脱泡処理をして試験サンプルボールペンとした。
【0037】
試験方法
試験サンプルのボール粗さと筆記抵抗値を測定した後、50℃恒温室に3ヶ月放置の経時促進試験を行い、再度ボール粗さ腐食の有無と筆記抵抗値を測定する。筆記が途切れた場合は、遠心脱泡して試験を継続する。
【0038】
ボール粗さの測定方法
ボール表面の算術平均高さ(Ra、単位:nm)を、セイコーインスツル(株)製走査型プローブ顕微鏡SPA400を使用して測定した。Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを測定面(一辺50μmの正方形)に拡張した。試験前後にRaが大きくなり、初期との差が大きいほど腐食が激しいことを示す。
【0039】
ボール腐食の有無
ボールの表面の状態を光学顕微鏡で目視観察する。ボールを回転させ、インキが付着している場合は水もしくはエタノールで洗い流して観察する。
初期状態は鏡面であるが、試験後の状態が初期に比べて差がなければ腐食なしとし、光の反射が拡散して鏡面ではなくなっていれば腐食ありとする。
【0040】
筆記抵抗値
(株)トリニティーラボ製のTribo−master(Type:TL201Sa)にて、筆記角度70°、荷重100g、筆記速度7cm/sec筆記させた時の筆記方向の抵抗値(単位:gf)を測定した。筆記抵抗値が3変わると書き味が違うと認識でき、5以上変わると書き味の変化が明確に分かる。数値が大きいほど書き味が悪い。
【0041】
インキ1〜7、ペン先封止部材1〜7を組み合わせて試験サンプルボールペンを作製し、試験した結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例1〜5はインキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤を添加した例であり、比較例1、5はインキのみに脱酸素剤を入れた例、比較例2、4はペン先封止部材のみに脱酸素剤を入れた例、比較例3はインキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤が未添加の例である。実施例と比較例の比較から、インキとペン先の両方に脱酸素剤を添加した場合にだけボール腐食が防止でき、その際は筆記抵抗値の変化が少ないことから、書き味が劣化してないことが分かる。比較例3はボール腐食してないがインキ中に気泡が発生して筆記途切れが生じ、実用に適さない。表1には、インキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤を添加すれば、インキの種類やペン先封止部材の材質に依らずに、ボール腐食が防止されることが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともインキとペン先封止部材の両方に脱酸素剤を添加したボールペン。
【請求項2】
前記インキに使用する脱酸素剤とペン先封止部材に使用する脱酸素剤を同一の材料としたボールペン請求項1のボールペン。
【請求項3】
前記インキ単位体積当たりの脱酸素剤の添加量(重量/体積)と、前記ペン先封止部材単位体積当たりの添加量(重量/体積)とを等しくした請求項1又は請求項2に記載のボールペン。