説明

ポリイミド粒子の製造方法及びポリイミド粒子

【課題】 本発明の目的は、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmと小さくて、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子を提供することである。
【解決手段】 テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化学構造からなり、特定の粒子形状を持ち、且つ粒径が揃った新規なポリイミド微粒子に関する。さらに、前記ポリイミド微粒子を、再現性よく安定的に且つ効率よく得ることができる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド微粒子の製造方法として、有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られたポリアミド酸溶液に、熱イミド化処理を施すことにより、溶液中からポリイミド微粒子として析出させる方法が知られている。特許文献1には、この方法において、熱イミド化処理の際に超音波を照射しながら行うことで、より単分散で微細な粒子径のポリイミド微粒子が得られることが記載されている。そして、ピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとの組合せからなる実施例5では、粒子径が0.3×1.0μmの棒状粒子からなるポリイミド微粒子を得ている。しかしながら、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとの組合せからなる実施例6では、0.2×0.7μmの不定形微小板粒子と1.2×1.6μmの窪みのある繭状粒子とからなる粒度分布が多峰性の混合物しか得られていない。
【0003】
特許文献2には、極性溶媒にパラフェニレンジアミンおよびピロメリット酸二無水物が80%以上の等モル量を混合物中のポリイミドが3〜10質量%となる割合で加え、必要であれば分散剤を加えて、予めポリアミド酸を形成することなく、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下に撹拌しながら、160℃程度まで昇温し、この温度で2〜5時間程度加熱した後冷却してポリイミド粒子を得ることが記載されている。そして参考例1において、ピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを用いて、メジアン径0.3μm、分布範囲0.1〜1μm、短径と長径との比が3〜6の柱状粒子からなるポリイミド微粒子を得ている。
しかしながら、この文献は、前記の化学組成からなるポリイミド微粒子を用いた易滑性ポリイミドフィルムに関するものであって、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミンからなるポリイミド微粒子の製造方法については記載も示唆もなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−143890号公報
【特許文献2】特開2005−126707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリイミド微粒子(粉末)は、高温下に加圧成形される成形品用途に加えて、最近では耐熱性の充填剤として利用されるなど用途が広がってきている。例えば、粘度低下や収縮率低減の目的で、ポリアミド酸溶液組成物や可溶性ポリイミド溶液組成物に充填剤として添加される。このような用途においては、種々の粒子形状が求められ、また平均粒子径が小さくて且つ粒度分布が単峰性(単分散)のポリイミド微粒子が求められている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmと小さくて、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子を提供することである。また、本発明の目的は、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、平均粒子径が小さくて且つ粒度分布が単峰性(単分散)の前記ポリイミド微粒子を、再現性よく安定的に且つ効率よく得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の各項に関する。
(1) テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子。
【0008】
(2) さらに、主成分の粒子形状が円盤状であることを特徴とする前記項1に記載のポリイミド粒子。
【0009】
(3) テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなるポリイミド粒子の製造方法において、溶媒中テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを120℃未満の温度で反応した反応混合物を、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量がテトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して8質量%未満の濃度で、120℃以上の温度で加熱処理してポリイミド粒子を析出させることを特徴とするポリイミド粒子の製造方法。
【0010】
(4) 得られるポリイミド粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であることを特徴とする前記項3に記載のポリイミド粒子の製造方法。
【0011】
(5) さらに、得られるポリイミド粒子の主成分の粒子形状が円盤状であることを特徴とする前記項4に記載のポリイミド粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmと小さくて、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子を提供することができる。また、本発明によって、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、平均粒子径が小さくて且つ粒度分布が単峰性(単分散)の前記ポリイミド粒子を、再現性よく安定的に且つ効率よく得ることができる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】:実施例1で得られたポリイミド粒子のSEM写真
【図2】:実施例1で得られたポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラフ
【図3】:実施例2で得られたポリイミド粒子のSEM写真
【図4】:実施例3で得られたポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラフ
【図5】:実施例3で得られたポリイミド粒子のSEM写真
【図6】:実施例3で得られたポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラフ
【図7】:比較例1で得られたポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラフ
【図8】:比較例2で得られたポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のポリイミド粒子は、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなりジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなる。ここで、主成分とは各成分中80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に100モル%を意味する。なお、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類とは、好ましくは3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物であり、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びそのエステル化物などの誘導体であっても構わない。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類以外のテトラカルボン酸成分としては、ビフェニルテトラカルボン酸類などのベンゼン環を2個有する芳香族テトラカルボン酸類を好適に用いることができる。パラフェニレンジアミン以外のジアミン成分としては、メタフェニレンジアミンやジアミノジフェニルエーテルなどのベンゼン環を1個乃至2個有する芳香族ジアミンを好適に用いることができる。
【0015】
本発明のポリイミド粒子(粉末)は、平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性のポリイミド微粒子である。また好ましくは、さらに主成分(好ましくは全粒子中の個数の割合で60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上)の粒子形状が円盤状のポリイミド粒子である。
ここで、粒度分布が単峰性(単分散)とは、粒度分布が単分散の状態であって、ポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラムが一つの峰(ピーク)を示す場合を表す。なお、粒度分布が多峰性(多分散)とは、粒度分布が多分散の状態であって、ポリイミド粒子の粒度分布のヒストグラムが複数の峰を示す場合を表す。
なお、粒子形状が円盤状とは、円く平たい円形の盤の形状のことである。本発明においては、より好ましくは円い盤であって盤の厚みがほぼ一定のものであるが、盤の厚みが一定でなく部分的に膨らみをもったり、二つ以上の円盤が併合したりした形状も含む。このような変形した円盤状は、たぶん結晶の成長過程で、何らかの影響により起こると思われるが、各部分は円盤状の結晶構造の成長を示しているか、円盤状の結晶に別の結晶の成長が更に生じた結果と思われる。
【0016】
このポリイミド粒子は、粉末の状態でも分散媒に分散された分散液としても好適に用いることが可能である。また、ポリイミドが有する耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、機械的強度などの優れた特性を有すると共に、平均粒子径が0.1〜1.0μmの極めて微細な微粒子が単分散したものであり、従来ポリイミド粒子が用いられていた成形品用途に加えて、各種材料の充填剤用途で各種好適に用いることができる。
【0017】
本発明のポリイミド粒子の製造方法は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、略等モルの割合で用い、溶媒中テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを120℃未満の温度で反応した反応混合物を、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量がテトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して8質量%未満の濃度で、120℃以上の温度で加熱処理してポリイミド粒子を析出させることを特徴とする。
【0018】
テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを略等モルの割合とは、好ましくはテトラカルボン酸成分とジアミン成分とのモル比[テトラカルボン酸成分/ジアミン成分]が0.95〜1.05程度である。
使用する溶媒は、その溶媒中でテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを重合イミド化反応できるが、重合イミド化反応の結果得られるポリイミド微粒子は実質的に溶解することができず析出するものであればよく、好ましくは有機極性溶媒である。
【0019】
有機極性溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなどの窒素原子を分子内に含有する有機極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなどの硫黄原子を分子内に含有する有機極性溶媒、例えばクレゾール、フェノール、キシレノールなどフェノール類からなる有機極性溶媒、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなどの酸素原子を分子内に含有する有機極性溶媒、その他、アセトン、ジメチルイミダゾリン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、テトラメチル尿素などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で又これらの溶媒を混合して好適に使用できる。
【0020】
本発明のポリイミド粒子の製造方法では、まず溶媒中でテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを120℃未満、好ましくは110℃以下、より好ましくは10〜100℃の温度で撹拌混合して反応する。この反応では、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを均一に溶解すると共に、比較的低分子量のポリアミド酸或いはアミド酸オリゴマーを生成するが、未反応のテトラカルボン酸成分とジアミン成分が残存しても構わない。この反応では、反応がポリアミド酸或いはポリイミドの析出がないことが重要である。したがって、反応時間は、反応温度にもよるが比較的短時間で構わない。例えは50〜90℃程度の温度範囲で行う場合には、0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間、より好ましくは0.2〜2時間程度反応すれば十分である。
次いで、得られた反応混合物(反応混合液)は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量がテトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して8質量%未満、好ましくは7.5質量%以下であって、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上の濃度で、120℃以上、好ましくは150℃以上であって、300℃以下、好ましくは250℃以下の温度で加熱処理して、反応混合物中にポリイミド粉末を析出させる。この反応は、重合反応とイミド化反応とが平行して進行すると考えられるが、最終的にはイミド化反応によって生成するポリイミドが不溶性であるため、結晶化を伴いながら、平均粒子径が0.1〜1.0μmで粒度分布が単峰性のポリイミド微粒子を好適に析出すると考えられる。反応時間は、好ましくはポリイミド粒子が十分析出するまで行うが、通常は0.1〜10時間程度である。
これらの反応は、窒素ガスの流通下などの乾燥した不活性雰囲気下で好適に行われる。また、反応混合物中には、必要ならば分散剤を加えても構わない。
【0021】
本発明のポリイミド粒子の製造方法において、テトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量が8質量%以上では、得られるポリイミド微粒子の平均粒子径が大きくなるとともに、粒度分布が多峰性を示すようになり、単峰性(単分散)ではなくなる。一方、0.1質量%未満になると、得られるポリイミド粒子の量が少量になるので、生産効率の面で劣ることがある。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量が、2質量%以上で8質量%未満、さらに3質量%〜7.5質量%のときには、得られるポリイミド粒子の平均粒子径がより小さくなるので特に好ましい。このときには、得られるポリイミド粒子の粒子形状がより高い割合で円盤状になる。このようにより均一な粒子形状になることから、粒度分布が小さくなって、平均粒子径が小さくなったと考えられる。
【0022】
本発明の製造方法をより具体的に説明すると、限定するものではないが、例えば撹拌装置を備える反応容器内に、溶媒、及び略等モルのテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを加える。この混合物を、十分に撹拌しながら、120℃未満例えば50〜90℃程度の温度で0.2〜2時間反応し、次いで120℃以上例えば150〜200℃の温度で加熱処理してポリイミド粉末を析出させる。
反応混合物中に析出して得られたポリイミド粒子は、混合物(分散液)のままで、或いはろ過などによって溶媒と分離し乾燥して粉末として、或いは一旦分離したポリイミド粒子を別の溶媒中に分散させた分散液として好適に用いることができる。
【0023】
本発明のポリイミド粒子の製造方法によれば、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなるポリイミド粒子の製造方法において、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であり、好ましくは主成分の粒子形状が円盤状である、ポリイミド粒子を再現性よく安定的に且つ効率よく得ることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例等によってより詳しく説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0025】
以下、ポリイミド粒子の評価方法について説明する。
〔ポリイミド粒子の粒度分布〕
測定はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置HORIBA LA−920を用いた。分散媒であるエタノールに、試料であるポリイミド粒子のN−メチル−2−ピロリドン分散液を添加し、透過率が90%前後になるように調整した。測定前に超音波処理を4分間行なった。
【0026】
〔ポリイミド粒子のSEM写真、ポリイミド粒子の形状〕
試料であるポリイミド粒子のN−メチル−2−ピロリドン分散液を、ブフナー漏斗とろ紙(富士フィルム製 micro filter FR−20,pore size:0.2μm)とを用いて減圧ろ過を行なった。得られたろ物を、真空乾燥機を用いて100℃、15時間、10mmHg以下で加熱減圧して乾燥した。乾燥後の固形物を乳鉢と乳棒とを用いてバラバラに解し測定用サンプル粉末を得た。得られた粉末とエタノールとの混合液を、超音波処理を4分間行なって分散液を得た。
粒子の観察は日立ハイテクノロジーズ製S−4800型電界放出形走査電子顕微鏡を用いて行なった。試料台に前記分散液を適量滴下し室温で乾燥させた。試料をスパッタにより金被膜し観察を行なった。
【0027】
〔実施例1〕
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物1.61g(0.005mol)、p-フェニレンジアミン0.541g(0.005mol)、及び溶媒のN−メチル−2−ピロリドン213.0gを仕込み混合した。この混合物を85℃、150rpmで60分間加熱攪拌を行い均一溶液とした。次に、この反応液を、回転速度150rpmで攪拌しながら、190℃まで昇温し、その温度で3時間加熱して黄色のポリイミド微粉末が析出した反応混合物(分散液)を得た。
得られたポリイミド粒子を評価したところ、平均粒子径は0.9μmで、粒子形状は円盤状で、粒度分布は単峰性を示した。
これらの結果を表1にまとめ、またポリイミド粒子のSEM写真と粒度分布を図1,2に示した。
【0028】
〔実施例2〕
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.89g(0.04mol)、p-フェニレンジアミン4.33g(0.04mol)、及び溶媒のN−メチル−2−ピロリドン327.1gを仕込み混合した。この混合物を85℃、200rpmで60分間加熱攪拌を行い均一溶液とした。次に、この反応液を、回転速度150rpmで攪拌しながら、190℃まで昇温し、その温度で3時間加熱して黄色のポリイミド微粉末が析出した反応混合物(分散液)を得た。
得られたポリイミド微粒子を評価したところ、平均粒子径は0.5μmで、粒子形状は円盤状で、粒度分布は単峰性を示した。
これらの結果を表1にまとめ、またポリイミド粒子のSEM写真と粒度分布を図3,4に示した。
【0029】
〔実施例3〕
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物11.28g(0.035mol)、p-フェニレンジアミン3.75g(0.035mol)、及び溶媒のN−メチル−2−ピロリドン185.8gを仕込み混合した。この混合物を85℃、150rpmで60分間加熱攪拌を行い均一溶液とした。次に、この反応液を、回転速度150rpmで攪拌しながら、190℃まで昇温し、その温度で3時間加熱して黄色のポリイミド微粉末が析出した反応混合物(分散液)を得た。
得られたポリイミド微粒子を評価したところ、平均粒子径は0.5μmで、粒子形状は円盤状で、粒度分布は単峰性を示した。
これらの結果を表1にまとめ、またポリイミド粒子のSEM写真と粒度分布を図3,4に示した。
【0030】
〔比較例1〕
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.89g(0.04mol)、p-フェニレンジアミン4.33g(0.04mol)、及び溶媒のN−メチル−2−ピロリドン154.9gを仕込み混合した。この混合物を85℃、200rpmで60分間加熱攪拌を行い均一溶液とした。次に、この反応液を、回転速度150rpm??で攪拌しながら、190℃まで昇温し、その温度で3時間加熱して黄色のポリイミド微粉末が析出した反応混合物(分散液)を得た。
得られたポリイミド微粒子を、評価したところ、平均粒子径は2.1μmで、球状、多峰性の粒度分布であった。
これらの結果を表1にまとめ、またポリイミド微粒子の粒度分布を図7に示した。
【0031】
〔比較例2〕
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物19.33g(0.06mol)、p-フェニレンジアミン6.49g(0.06mol)、及び溶媒のN−メチル−2−ピロリドン146.3gを仕込み混合した。この混合物を85℃、200rpmで60分間加熱攪拌を行い均一溶液とした。次に、この反応液を、回転速度150rpm??で攪拌しながら、190℃まで昇温し、その温度で3時間加熱して黄色のポリイミド微粉末が析出した反応混合物(分散液)を得た。
得られたポリイミド微粒子を評価したところ、平均粒子径は3.3μmで、球状、多峰性の粒度分布であった。
これらの結果を表1にまとめ、またポリイミド微粒子の粒度分布を図8に示した。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によって、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmと小さくて、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子を提供することができる。また、本発明によって、テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、平均粒子径が小さくて且つ粒度分布が単峰性(単分散)の前記ポリイミド微粒子を、再現性よく安定的に且つ効率よく得ることができる製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなり、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であることを特徴とするポリイミド粒子。
【請求項2】
さらに、主成分の粒子形状が円盤状であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド粒子。
【請求項3】
テトラカルボン酸成分の主成分が3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類からなり、ジアミン成分の主成分がパラフェニレンジアミンからなるポリイミド粒子の製造方法において、
溶媒中テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを120℃未満の温度で反応した反応混合物を、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量がテトラカルボン酸成分とジアミン成分と溶媒との合計量に対して8質量%未満の濃度で、120℃以上の温度で加熱処理してポリイミド粒子を析出させることを特徴とするポリイミド粒子の製造方法。
【請求項4】
得られるポリイミド粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであり、粒度分布が単峰性であることを特徴とする請求項3に記載のポリイミド粒子の製造方法。
【請求項5】
さらに、得られるポリイミド粒子の主成分の粒子形状が円盤状であることを特徴とする請求項4に記載のポリイミド粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23607(P2013−23607A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160690(P2011−160690)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】