説明

ポリオレフィン製微多孔膜

【課題】耐酸化性とサイクル特性を両立し得るセパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃であり、かつバブルポイントが400〜600kPaであるポリオレフィン製微多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオレフィン製微多孔膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン製微多孔膜は優れた電気絶縁性、イオン透過性を示すことから電池やコンデンサー等におけるセパレータとして広く利用されている。特に近年では携帯機器の多機能化、軽量化に伴いその電源として高出力密度、高容量密度のリチウムイオン二次電池が使用されている。このような電池用セパレータにも主としてポリオレフィン微多孔膜が用いられている。
リチウムイオン二次電池のセパレータの基本的な役割は、正極と負極の間に配置されて両極の短絡を防ぐと共に、その微多孔構造によってイオンを透過させるものである。近年の電池の高エネルギー化に伴い電池部材への負荷は大きくなっており、セパレータに対してもより高度な安全性能が求められている。
ポリオレフィン微多孔膜は主成分をポリエチレンとするものが主流であるが、電池としての高温安全性の向上を目的としてポリプロピレンをブレンドする種々の検討も実施されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ポリエチレンとポリプロピレンの分子量を重量平均分子量(Mw)と粘度平均分子量(Mv)との比Mw/Mvで規定し、分子量1万以下の量比を規定した膜が提案されている。
特許文献2では、α−オレフィンとの共重合体で粘度平均分子量(Mv)が50万〜100万であるポリエチレン共重合体と、メルトインデックスが1g/10min以下且つエチレン成分を含むポリプロピレン共重合を特定の割合で混合した膜が提案されている。
特許文献3では、高温時の孔径維持及び熱破膜特性の向上のためにポリプロピレンを添加し、特定範囲の突刺強度、シャットダウン温度、120℃放置後のバブルポイントを有するセパレータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/113657号パンフレット
【特許文献2】特許第4136008号公報
【特許文献3】特開2008−266457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合、耐酸化性と、サイクル特性を両立する観点から、なお改良の余地を有するものであった。
本発明は、耐酸化性とサイクル特性を両立し得るセパレータとして好適な、ポリオレフィン製微多孔膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定のポリオレフィン製微多孔膜(以下、単に「微多孔膜」と略記することがある)が上記課題を達成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、
前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、
前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃であり、かつ
バブルポイントが400〜600kPaであるポリオレフィン製微多孔膜。
[2]
GPC曲線で分子量が100万以上の分率が5%以上かつ、ポリプロピレンとポリエチレン赤外吸収スペクトルの強度比が0.01〜0.45である[1]に記載のポリオレフィン製微多孔膜。(ポリプロピレンの吸収波長:998cm−1、ポリエチレンの吸収波長:719cm−1
[3]
前記ポリプロピレン成分が、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体である[1]又は[2]に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[4]
透気度/気孔率の比が2.2〜4.0である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜を用いた電池用セパレータ。
[6]
[5]に記載のセパレータと、正極と、負極と、電解液とを含むリチウムイオン二次電池。
【0008】
[7]
[1]に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法であって、下記(1)〜(5)の各工程、
(1)ポリオレフィン樹脂と、可塑剤と、無機粉体とを混合する混合工程、
(2)混合工程により得られた混合物を溶融混練する混練工程、
(3)混練工程で得られた混練物を、スリットから押出し、冷却してシート状に成形するシート成形工程、
(4)シート成形工程で得られたシート状の成形物から可塑剤と必要に応じて無機紛体とを抽出する抽出工程、
(5)抽出工程で得られたシート状の多孔体を延伸する延伸工程、を含み、
前記(1)工程が、ポリオレフィン樹脂25〜50質量部、可塑剤30〜60質量部、及び無機粉体10〜40質量部を、合計が100質量部となるように混合する工程であり、
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃である、製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐酸化性とサイクル特性を両立し得るセパレータとして好適な、ポリオレフィン製微多孔膜が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
本実施の形態のポリオレフィン製微多孔膜は、膜厚方向に連通孔を有し、例えば、三次元網状骨格構造を有するものである。また、ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃であり、かつバブルポイントが400〜600kPaである。
そして、このような微多孔膜は電池用セパレータとして使用したときに、耐酸化性とサイクル特性を両立した高性能な二次電池を提供できる。
【0012】
耐酸化性は、セパレータの黒色化の程度で判断できる。黒色化は、正極でのコバルトの還元と同時にポリマーのラジカル連鎖的な酸化反応が起こることによるポリエン化が原因とされている。そして、黒色化が生じると、その結果膜の強度劣化が引き起こされる。ポリエチレンはその分子構造から連鎖的に酸化反応が進行してしまうのに対し、ポリプロピレンは連鎖反応を止める性質を持ち、黒色化を防ぐ効果が期待できる。
そして、本実施の形態においては、ポリプロピレン成分とポリエチレン成分とが一定の割合で配合された微多孔膜において、前記Tmp−Tmeとバブルポイントとを規定している。このように規定することで良好な耐酸化性と良好なサイクル特性とが両立されるメカニズムの詳細は詳らかでないが、一定の溶融挙動を示す素材で一定の孔径を有する微多孔膜を形成することにより、サイクル試験時の電解液の分解物による目詰まりが抑制されてサイクル特性が良好となりつつ、膜表面の耐酸化性を発現し得るものと考えられる。
【0013】
また、従来、ポリエチレンとポリプロピレンの混合系ではポリプロピレンの特性を効率よく引き出すため、エチレンやα-オレフィンといったコモノマーとの共重合コポリマーではなくホモポリプロピレンを選択しているケースが多く、耐熱破膜性の面からもより融点の高いホモポリマーが好ましいとされてきた。本発明者らはこれら従来の試みとは逆行する形で、ポリエチレンとの融点差が一定の範囲内にあり、かつエチレンをコモノマー成分として有する共重合ポリプロピレンを用いることで、サイクル性を維持しつつ、ホモと比較してプロピレン含有量が低いにもかかわらず高い耐酸化性を実現し、その上、より低いシャットダウン温度を実現し得ることを見出した。
【0014】
この理由は、エチレン成分をポリマー主鎖中に有し、且つ融点の差が適度な範囲に存在することがポリエチレンとの相溶性を向上させているためと考えられる。そもそもポリエチレンとポリプロピレンは互いの性質上相溶性が悪く均一に分散させることが難しいとされてきた。本実施形態においては、好ましい形態として共重合ポリプロピレン(中でも好ましくは、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体)を用いてポリエチレンマトリクス中でのポリプロピレンの均一な微分散を可能にし、耐酸化性を発現したと考えられる。
【0015】
本実施形態において、ポリエチレン成分の融点Tmeと、ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差としては、−20℃<Tmp−Tme<23℃の範囲であることが好ましく、さらには−15℃<Tmp−Tme<22℃であることが好ましい。この範囲内とすることは、ポリエチレン成分とポリプロピレン成分との相溶性を良好に維持し、均一性を向上させる観点から好適である。
なお、複数種の原料が用いられる場合、「ポリエチレン成分の融点」,「ポリプロピレン成分の融点」は、それぞれ「ポリエチレン成分の混合物の融点」、「ポリプロピレン成分の混合物の融点」を意味する。Tmp−Tmeを調整する方法としては、例えば、異なる融点を有する原料の混合比を変化させる方法、等が挙げられる。
【0016】
また、前記微多孔膜のバブルポイントとしては、自己放電の抑制、及び良好な耐電圧特性等の観点から400kPa以上が好ましく、電解液分解物による目詰まりを防ぎ良好なサイクル特性やレート特性を実現する観点から600kPa以下が好ましい。より好ましくは440〜530kPaである。
前記微多孔膜の膜厚は強度の面から5μm以上が好ましく、電池高容量化の面から50μm以下が好ましい。より好ましい膜厚は10〜30μmである。
前記微多孔膜の気孔率は透過性の面から35%以上が好ましく、強度や捲回性の面から60%以下が好ましい。より好ましい気孔率は40〜55%である。
前記微多孔膜の透気度は安全性の面から10sec/100cc以上、イオン透過性の面から500sec/100cc以下が好ましく、より好ましくは50〜150sec/100ccである。
【0017】
前記微多孔膜の透気度/気孔率の比はトリクル性や耐電圧特性の面から2.2以上が好ましく、上限として好ましくは6.0以下、より好ましくはサイクル特性の面から4.0以下である。
前記微多孔膜の突刺強度は電池内への異物混入やリチウムデンドライトによる突き破れを抑制する観点から3N以上がこのましく、電池製造工程における捲回のしやすさから8N以下が好ましい。
前記微多孔膜のシャットダウン温度は安全性の面から140℃以下が好ましく、サイクル特性の観点から130℃以上が好ましい。シャットダウン温度が低いほど異常発熱時における熱暴走の早期抑制に効果的であり、シャットダウン温度が高いほど高温下における孔の閉塞を抑制できるため高温状態のサイクル特性に優れる。より好ましいシャットダウン温度は135〜140℃である。
また、前記微多孔膜の熱破膜温度は安全性の面から150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、200℃を超えることが更に好ましい。
【0018】
なお、微多孔膜に関する上記各パラメータの調整方法としては、下記ポリオレフィン樹脂の分子量、ポリオレフィン樹脂の割合や、下記製造工程における延伸温度、延伸倍率等を調整する方法、熱処理条件を調整する方法等が挙げられる。
【0019】
前記微多孔膜は、例えば、下記(1)〜(5)の各工程、
(1)ポリオレフィン樹脂と、可塑剤と、必要に応じて無機粉体とを、例えばヘンシェルミキサー等で混合する混合工程、
(2)混合工程により得られた混合物を押出機中等で溶融混練する混練工程、
(3)混練工程で得られた混練物を、例えばTダイス等のスリットから押出し、冷却してシート状に成形するシート成形工程、
(4)シート成形工程で得られたシート状の成形物から可塑剤と、必要に応じて無機紛体とを抽出する抽出工程、
(5)抽出工程で得られたシート状の多孔体を延伸する延伸工程、
を含む製造方法により製造することができる。
【0020】
なお、抽出工程の後に乾燥する工程や、延伸工程の後に熱処理する工程を含んでも良い。
また、前記微多孔膜の製造においては、シートを延伸した後に可塑剤を抽出しても良い(抽出前延伸)が、特定の伸度、及び均一で適度に大きな孔径の微多孔膜を得やすいという点から、可塑剤や無機粉体を抽出した後に延伸すること(抽出後延伸)が好ましい。
【0021】
前記ポリオレフィン樹脂は、例えば各種のポリエチレン成分、およびポリプロピレン成分をブレンドして得ることができる。
前記ポリエチレン成分としては、例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
前記ポリエチレン成分の粘度平均分子量(Mv)としては、好ましくは10万以上250万以下である。前記ポリエチレン成分としては、粘度平均分子量(Mv)が100万以上250万以下の超高分子量ポリエチレン(中でも、ホモポリエチレン)を含み、Mvが10万以上30万以下かつ融点が130℃以下の線状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。
【0022】
超高分子量ポリエチレンは溶融粘度が高いために製膜時におけるポリプロピレンとの混錬性を向上させる効果があり、且つ強度の維持にも効果がある。Mvが100万未満の低分子量ポリエチレンは融点が低いためシャットダウン特性の向上に効果がある。
超高分子量ポリエチレンが前記ポリオレフィン樹脂中に占める割合としては、5質量%以上が好ましく、さらには10質量%以上が好ましく、成型加工性の面で30質量%以下が好ましい。一方、線状低密度ポリエチレンを用いる場合、線状低密度ポリエチレンが前記ポリオレフィン樹脂中に占める割合としては、20質量%以上が好ましく、強度の面で40質量%以下が好ましい。
【0023】
前記ポリプロピレン成分としては、例えば、ホモポリマー、エチレン成分と共重合させたコポリマーが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。ポリエチレン成分との相溶性を考慮すると、ホモポリマーよりもエチレン成分と共重合させたコポリマーの方が好ましく用いられる。
【0024】
前記コポリマーとしては、エチレンプロピレンランダムコポリマーやブロックコポリマーが挙げられる。コポリマー中のエチレン成分の含量としては、ポリエチレン成分との相溶性の観点から2質量%以上であることが好ましく、ポリプロピレンの特性を維持する観点から、30質量%以下であることが好ましい。
膜のポリプロピレンの含有量は赤外吸収(IR)測定を用いて算出することができる。ポリプロピレン特有の吸収波長(988cm−1)のピーク強度(APP)とポリエチレン特有の吸収波長(719cm−1)のピーク強度(APE)の比を縦軸にとり、ポリプロピレンの混合割合を横軸とにすることで、二次曲線が描かれる。その曲線から近似式を求めることで、IRのピーク強度からポリプロピレンの含有量を算出することができる。
使用するポリプロピレン成分の重合触媒には特に制限はなく、そのような触媒としてはチーグラー・ナッタ系の触媒やメタロセン系の触媒などが挙げられる。
【0025】
前記ポリプロピレン成分の粘度平均分子量(Mv)としては、高温特性の観点から15万以上であることが好ましく、膜品位の観点から70万以下であることが好ましい。
ポリプロピレンが前記ポリオレフィン樹脂中に占める割合としては、耐酸化性、高温時の孔径維持、並びに熱破膜温度向上の観点から5質量%以上が好ましく、また、製膜性の観点から50質量%以下が好ましく、突刺強度と透気度との物性バランス及び膜品位の観点から40質量%以下がより好ましい。
【0026】
前記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(以下DOPと記述)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステル;アジピン酸エステルやグリセリン酸エステル等の有機酸エステル類;リン酸トリオクチル等のリン酸エステル類;流動パラフィン;固形ワックス;ミネラルオイル等が挙げられる。ポリエチレンとの相溶性を考慮するとフタル酸エステルが特に好ましい。これらは単独で使用しても混合物として使用してもよい。
【0027】
前記無機粉体としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、珪藻土類などが挙げられる。これらは単独で使用しても混合物として使用してもよい。分散性や抽出の容易さから特にシリカを使用することが好ましい。
【0028】
(1)工程におけるポリオレフィン樹脂と可塑剤と無機粉体のブレンド比は特に限定されるものではないが、ブレンド原料100質量%中のポリオレフィン樹脂濃度は強度と製膜性の面から25〜50質量%が好ましい。
また、前記ブレンド原料100質量%中の可塑剤濃度は押出しに適した粘度が得られるため30〜60質量%が好ましい。
更に、前記ブレンド原料100質量%中の無機粉体の濃度は均一な孔径を得るために1質量%以上が好ましく、製膜性の面から10〜40質量%であることが好ましい。
このような配合例としては、例えば、ポリオレフィン樹脂25〜50質量部、可塑剤30〜60質量部、及び無機粉体10〜40質量部を、合計が100質量部となるように配合する例が挙げられる。
なお、前記ポリオレフィン樹脂、無機粉体、可塑剤に加え、必要に応じて酸化防止剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0029】
(1)工程における混合は、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、プロシェアミキサー、リボンブレンダー等の一般的な混合機を用いて行うことができる。
(2)工程では、混合物は押出機、ニーダー等の溶融混練装置により混練される。
(3)工程では、得られた混練物が、例えば、Tダイスやリングダイスを用いた溶融成形によりシート状に成形される。この場合、ギアーポンプを介して成形するのが、寸法安定性の面で好ましく、特にギアーポンプ前圧力を一定に制御して成形するのが、寸法安定性の面で好ましい。
【0030】
(3)工程において、溶融押出しされた混合物の冷却方法としては、例えば、エアーにて冷却する方法、ダイス吐出樹脂温度より20〜120℃低く温調したロールにて接触させて冷却する方法、ダイス吐出樹脂温度より20〜120℃低いカレンダーロールにて圧延成形してシート状に成形しながら冷却する方法をとることができる。ダイス吐出樹脂温度より20〜120℃低いカレンダーロールにて圧延成形してシート状に成形しながら冷却する方法をとるのが膜厚み均一性の面で好ましい。より好ましいダイス吐出樹脂温度とカレンダーロール温度の差は40〜80℃である。この場合において、ロールを使用する際、ダイスとロールのシートとの接点の距離は5〜500mmの範囲にて成形するのが好ましい。ダイス吐出温度は通常の熱電対温度計にて端子をダイスに触れないようにし、吐出樹脂に接触させることにより測定することができる。
【0031】
(4)工程では、膜中の可塑剤、及び必要に応じて無機粉体の抽出を行う。可塑剤の抽出に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等、を使用することができる。これらは単独あるいは混合して用いることも出来る。一方、無機粉体の抽出に用いられる溶剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液が好適に用いられる。
【0032】
(5)工程では、シート状成形物は少なくとも一軸方向に延伸される。一軸方向に延伸する方法は、ロール延伸でもテンターを用いた延伸でもよいが、高強度、薄膜化を考えると二軸延伸が好ましい。二軸延伸する場合は、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもどちらでも構わないが、中〜大孔径の膜を得るためには逐次二軸延伸が好ましい。延伸は一枚でも複数枚重ねても構わないが、強度向上の面から、二枚以上重ねて延伸することが好ましい。延伸後、耐熱収縮性の向上のため熱固定あるいは熱緩和等の熱処理を行うことが好ましい。
【0033】
本実施形態のポリオレフィン製微多孔膜は、電池やコンデンサー等における隔離材や物質の分離に用いることができる。特に、安全性と実用性に優れた非水電解液電池用セパレータとして好適に用いることができる。
このような微多孔膜を用いて形成される電池(例えば、リチウムイオン二次電池)としては、捲回式の電池であれば円筒型、角型を問わないが、特に円筒型の電池に用いた場合に高い充放電特性、サイクル特性、および高安全性が得られやすい。
なお、本実施の形態中に記載された各種パラメータについては、特に記載の無い限りにおいて、下記実施例における測定法に準じて測定されるものである。
【実施例】
【0034】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。
【0035】
(1)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて室温23℃で測定した。試料を100mm×100mmのサイズに切り出し、格子状に9分割した各格子の中心部の厚さを測定し、9点の平均値を膜厚とした。
(2)透気度(sec/100cc)
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計を用いて測定した。
【0036】
(3)気孔率(%)
試料を100mm×100mmのサイズに切り出して体積(cm)、質量(g)を求め、それらと樹脂密度(g/cm)より次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(1−(質量/体積)/(樹脂密度))×100
なお、「実施例・比較例」の膜密度は0.95(g/cm3)として算出した。
【0037】
(4)突刺強度(N)
ハンディー圧縮試験機「KES−G5」(カトーテック製、商標)を用いて測定した。針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/秒で突刺試験を行い、最大突刺荷重を突刺強度とした。
【0038】
(5)バブルポイント(kPa)
ASTM E−128−61に準拠し、エタノールを用いて算出した。
(6)シャットダウン温度(℃)、熱破膜温度(℃)
規定の電解液を十分に含浸させた多層多孔膜を、ガラス板に固定した厚さ10μmのニッケル箔で挟み込み、ガラス板を市販のクリップで固定する。ガラス板には熱電対を耐熱テープで固定しセルを作製した。
さらに、詳細に説明すると、一方のニッケル箔には耐熱テープを貼り合わせて箔中央部に15mm×10mmの窓の部分を残しマスキングする。窓部を多層多孔膜で覆うように重ね、もう一方のニッケル箔で多層多孔膜を挟み込む。なお規定の電解液とは1mol/lのホウフッ化リチウム溶液であり溶媒はプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ-ブチルラクトン=1/1/2(体積比)である。
このセルをオーブン中に静置し、温度とニッケル箔間の電気抵抗を測定した。オーブンは30℃から200℃まで2℃/minの昇温速度で昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定した。
電気抵抗値が1000Ωに達するときの温度をシャットダウン温度とした。また、シャットダウンの後、電気抵抗値が再び1000Ωを下回るときの温度を熱破膜温度と定義した。
【0039】
(7)粘度平均分子量
ポリエチレンおよびポリプロピレンの粘度平均分子量は、溶剤としてデカリンを用い、測定温度135℃で測定し、粘度[η]からChaiang式により算出した。
ポリエチレンの場合
[η]=6.77×10−4×Mv0.67
ポリプロピレンの場合
[η]=1.10×10−4×Mv0.80
【0040】
(8)融点(℃)
島津製作所社製DSC60を使用し測定した。ポリマー3mgを測定サンプルとした。これを直径5mmのアルミ製オープンサンプルパンに載せ、クランピングカバーを乗せサンプルシーラーでアルミパン内に固定した。窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温後、200℃で5分間保持し、次に10℃/minで30℃まで温度を下げ、30℃で5分間保持、最後に再度昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し融解吸熱曲線を測定した。1stヒートで得られる発熱を正方向としたDSC曲線においてJIS−K7121に記載の方法で得られる融解ピークを融点とした。
【0041】
(9)エチレン含有量(質量%)
13C−NMRスペクトルから、Macromolecules 1982,15,1150-1152に記載の方法に基づいて求めた。10mmΦの試験管中で約200mgのPP樹脂を3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
【0042】
(10)GPC測定
〈前処理〉
試料を秤量した後、溶離液を加え、0.5mg/mlとなるように濃度を調製した。次に、高温溶解器にて、静置(160℃×1hr)+揺動(160℃×3hr)で溶解した。その後、加熱状態(160℃)のまま、0.45ミクロンフィルターでろ過し、ろ液をGPC測定試料とした。
【0043】
〈測定条件〉
東ソー製 HLC−8121GPC/HTを用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成した。これの各分子量成分に0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることによりポリエチレン換算の分子量分布曲線を得た。
カラム:東ソー製 TSKgel GMHHR-H(20) HT(7.8mmID×30cm) 2本
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.05%BHT含有)
検出器:示差屈折計
流速 :1.0ml/min
カラム温度:全経路155℃
試料量:500μl(0.5mg/ml)
【0044】
(11)IR測定
BIO RAD製 FTS−60A/896 UMA300を用い以下の条件で測定した。膜サンプルは厚み20μmとし、測定前にバックグラウンドの測定を行った。
測定モード:顕微透過法
検出器:MCT
ビームスプリッター:臭化カリウム
スキャンスピード:20kHz
積算回数:64回
分解能:4cm−1
測定波長:4000〜700cm−1
【0045】
(12)電池としての評価
下記の手順に従って円筒電池を作成した。
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2質量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにする。これを幅約57mmに切断して帯状にした。
【0046】
<負極の作製>
活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m、活物質嵩密度は1.55g/cmと高充填密度とした。これを幅約58mmに切断して帯状にした。
【0047】
<非水電解液の調製>エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/lとなるように溶解させて調製した。
<セパレータ>
実施例、比較例に記載の微多孔膜を60mmにスリットして帯状にした。
【0048】
<電池組立て>
帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ね、250gfの巻取張力で渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製した。この電極板積層体を外径が18mmで高さが65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。その後、真空下80℃で12時間の乾燥を行い、次に、アルゴンボックス内にて容器内に前記した非水電解液を注入し、封口した。
【0049】
<前処理>
組立てた電池を1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後4.2Vの定電圧充電を3時間行い、その後1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後に4.2Vの定電圧充電を3時間行い前処理とした。
【0050】
(12−1)サイクル特性(%)
前処理を行った電池を温度25℃の条件下で、放電電流1Aで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Aで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返し、初期容量に対する500サイクル後の容量保持率をサイクル特性として評価した。
容量保持率95%以上100%以下:○
容量保持率90%以上95%未満:△
容量保持率90%未満:×
【0051】
(12−2)黒色化
前処理を行った電池を、1Cの電流で電圧4.2Vまで定電流充電した後4.2Vの定電圧充電を温度70℃下で100h行った。この電池よりセパレータを取り出し、付着物を取り除くために、ジメトキシエタン、エタノール、及び1規定の塩酸中で各15分間、超音波洗浄を行う。その後、空気中にて乾燥し、セパレータの正極接触面側の黒色変色具合を目視にて観察し、耐酸化性評価を行った。判定は面積あたりにおける黒色変色した割合で評価した。
5%未満:◎
5%以上10%未満:○
10%以上20%未満:△
20%以上:×
【0052】
以下の実施例及び比較例で使用される原料については、以下の通りである。
PE(Mv12万):Mv12万で融点が132℃、密度が0.954g/cmかつプロピレン単位含有量1mol%の共重合ポリエチレン
PE(Mv=15万):Mv15万で融点が127℃かつ密度が0.926g/cmの線状低密度ポリエチレン
PE(Mv=25万):Mv25万で融点が136℃、密度が0.957g/cmの高密度ポリエチレン
PE(Mv=100万):Mv100万で融点が135℃、密度が0.955g/cmの超高分子量ポリエチレン
PE(Mv=200万):Mv200万で融点が134℃、密度が0.936g/cmの超高分子量ポリエチレン
PPa:Mv40万で融点が148℃、密度が0.91g/cmかつエチレン含有量が3質量%のランダム共重合ポリプロピレン
PPb:融点が125℃でコモノマーとしてエチレン成分を含むランダムポリプロピレン
PPc:Mv35万で融点160℃かつエチレン含有量が6質量%のブロック共重合ポリプロピレン
PPd:Mv40万で融点が163℃のホモポリプロピレン
シリカ:微粉シリカ。東ソーシリカ社製、商品名Nipsil LP
【0053】
[実施例1]
表1に示す原料配合により得られたポリオレフィン樹脂34質量部に対し、DOP45質量部、微粉シリカ(東ソーシリカ社製、商品名Nipsil LP)21質量部、酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.3質量部、及びDLTP(ジラウリルチオジプロピオネート)0.3質量部を、ヘンシェルミキサーで混合して造粒した。その後、Tダイスを装着した二軸押出機にて200℃で混練・押出し、150℃に冷却されたカレンダーロールにて厚さ100μmのシート状に成形した。該成形物から塩化メチレンにてDOPを、水酸化ナトリウムにて微粉シリカを抽出した。該抽出後の膜を2枚重ねて120℃に加熱された延伸ロールでMDに5.8倍延伸した後(抽出後の延伸)、最大温度132.0℃のテンター内でTD方向に2倍に延伸した。得られたポリオレフィン製微多孔膜について各種特性を評価した。評価結果を下表に示す。
【0054】
[実施例2]
下表に示す原料配合により得られた抽出後の膜を2枚重ねて126℃に加熱された延伸ロールでMDに5.3倍に延伸し(抽出後の延伸)、最大温度142℃のテンター内でTD方向に2倍に延伸した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン製微多孔膜を得た。評価結果を下表に示す。
【0055】
[実施例3〜5、比較例1〜4]
下表に示す条件以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜について各種特性を評価した。評価結果を下表に示す。
【0056】
[実施例6]
下表に示す原料配合により得られた抽出後の膜を2枚重ねて126℃に加熱された延伸ロールでMDに5.3倍に延伸し(抽出後の延伸)、最大温度140℃のテンター内でTD方向に2倍に延伸した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン製微多孔膜を得た。評価結果を下表に示す。
【0057】
[比較例5]
下表に示す原料配合により得られたポリオレフィン樹脂35質量部と、流動パラフィン65質量部を、Tダイスを装着した二軸押出機にて200℃で混練・押出し、厚さ1000μmのシート状に成形した。該シートを同時二軸テンターに導き最大加熱温度120℃でMD方向に7.0倍、TD方向に6.5倍延伸を行った。最後に塩化メチレンにて流動パラフィンを抽出し、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜について各種特性を評価した。評価結果を下表に示す。
【0058】
[比較例6]
下表に示す原料配合により得られた抽出後の膜を2枚重ねて126℃に加熱された延伸ロールでMDに4.6倍に延伸し(抽出後の延伸)、最大温度140℃のテンター内でTD方向に2.5倍に延伸した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン製微多孔膜を得た。評価結果を下表に示す。
【0059】
[比較例7]
Mv80万で密度0.93g/cm、かつプロピレン単位含有量1.4mol%の共重合ポリエチレン32質量部、エチレン成分と共重合させ密度が0.9g/cmのポリプロピレン8質量部、DOP42.4質量部、微粉シリカ17.6質量部をスーパーミキサー中で混合造粒した後、Tダイを装着した二軸押出機にて混練・押出し、厚さ100μmのシート状に成形した。該成形物を塩化メチレン中に浸漬しDOPを抽出除去した後、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬しシリカを抽出除去し微多孔膜とした。該微多孔膜を1枚のまま120℃に加熱のもと、縦方向に4倍延伸した後、横方向に1.5倍延伸した。得られた微多孔膜について各種特性を評価したところ、実施例1〜6に比して、耐酸化性とサイクル特性とに劣るものであった。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
以上、実施例に示したように本実施の形態の微多孔膜は電池用セパレータとして用いた際に、耐酸化性とサイクル特性とに優れる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、良好な耐酸化性と良好なサイクル特性を両立し得るセパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、
前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、
前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃であり、かつ
バブルポイントが400〜600kPaであるポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項2】
GPC曲線で分子量が100万以上の分率が5%以上かつ、ポリプロピレンとポリエチレン赤外吸収スペクトルの強度比が0.01〜0.45である請求項1に記載のポリオレフィン製微多孔膜。(ポリプロピレンの吸収波長:998cm−1、ポリエチレンの吸収波長:719cm−1
【請求項3】
前記ポリプロピレン成分が、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体である請求項1又は2に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項4】
透気度/気孔率の比が2.2〜4.0である請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜を用いた電池用セパレータ。
【請求項6】
請求項5に記載のセパレータと、正極と、負極と、電解液とを含むリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
請求項1に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法であって、下記(1)〜(5)の各工程、
(1)ポリオレフィン樹脂と、可塑剤と、無機粉体とを混合する混合工程、
(2)混合工程により得られた混合物を溶融混練する混練工程、
(3)混練工程で得られた混練物を、スリットから押出し、冷却してシート状に成形するシート成形工程、
(4)シート成形工程で得られたシート状の成形物から可塑剤と必要に応じて無機紛体とを抽出する抽出工程、
(5)抽出工程で得られたシート状の多孔体を延伸する延伸工程、を含み、
前記(1)工程が、ポリオレフィン樹脂25〜50質量部、可塑剤30〜60質量部、及び無機粉体10〜40質量部を、合計が100質量部となるように混合する工程であり、
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン成分5〜50質量%と、ポリエチレン成分50〜95質量%とを含み、前記ポリエチレン成分が超高分子量ポリエチレンを含むと共に、前記ポリエチレン成分の融点Tmeと、前記ポリプロピレン成分の融点Tmpとの温度差が−20℃<Tmp−Tme<23℃である、製造方法。

【公開番号】特開2011−111484(P2011−111484A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267201(P2009−267201)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】