説明

マシニングセンタ及び流体圧発生装置並びにクランプ方法

【課題】流体圧機器専用の駆動源を設ける必要がなく、流路を短くできるとともに流路がテーブルの移動に支障を来さず、スペース効率をアップすることができるマシニングセンタ及び流体圧発生装置並びにクランプ方法を提供する。
【解決手段】テーブル上に固定された支持プレート14上には、流体圧シリンダ22,23により作動されるクランプ部材21によりワークWをクランプするクランプ装置15が備えられている。支持プレート14上には流体圧シリンダ22,23に供給される作動油を加圧するための流体圧発生機構30が設けられている。流体圧発生機構30は駆動軸32の回転により流体圧を発生させるポンプであり、駆動軸32の上端部32aがマシニングセンタの主軸に着脱可能に装着されるナットランナを介して前記主軸と共に回転可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタ及び流体圧発生装置並びにクランプ方法に係り、詳しくはワークをクランプするクランプ装置等の流体圧機器を備えたマシニングセンタ及び流体圧発生装置並びにクランプ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(素材)を機械加工する工具を交換することで多種類の機械加工を行うマシニングセンタにおいてはワークをクランプするのに流体圧クランプ装置を用いているものがある。一般に、流体圧クランプ装置は、X,Y方向に移動可能なテーブル上あるいはそのテーブル上に固定されたプレート上に装備されている。そして、テーブルの移動範囲外に設置された流体圧ポンプから配管を介して作動流体が供給されるようになっている。
【0003】
また、ワークの加工中にクーラントを、主軸及びこの主軸に装着された工具にそれぞれ形成されたクーラント供給通路を介して前記ワークの加工部及び前記工具のワーク当接部に供給可能な工作機械において、クーラントをワークのクランプ装置の作動流体として使用する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、前記クランプ装置は、前記クーラントが供給されるクランプ用流体圧シリンダ装置と、このクランプ用流体圧シリンダ装置で作動されて前記ワークをクランプするクランプ部材とを少なくとも備えている。クランプ用流体圧シリンダ装置は、ピストンによってクランプ圧力室とアンクランプ圧力室とに区画された復動型シリンダを有し、クランプ部材はピストンから延出するピストンロッドに設けられている。そして、クランプ圧力室に前記クーラントが供給されることでクランプ部材がワークをクランプするクランプ位置に設定されるとともに、アンクランプ圧力室にクーラントが供給されることでクランプ部材がワークをクランプしないアンクランプ位置に設定されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−59108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テーブルの移動範囲外に設置された流体圧ポンプから配管を介して作動流体を流体圧機器に供給する構成では、次のようなデメリットがある。配管が長くなることに起因して、応答時間が長くなり、リークの可能性が高くなり、圧力損失及び流体保持量が多くなり、コストアップになる。ポンプ専用の駆動源が必要になるため、マシニングセンタに装備される駆動源が多く必要になり、制御が複雑になるとともにコストアップになる。クランプ装置のようにクランプ位置に配置された状態に保持する場合でも、ポンプを常時駆動状態に保持しているため電力消費が多くなる。流体圧を作用させる配管を可動部(テーブル)の移動に支障がないように配置する必要があり、配管の設置箇所や可動部(テーブル)の移動が制限されて設計の自由度が低くなる。また、可動部(テーブル)の移動範囲外にポンプの設置スペースを確保する必要があり、マシニングセンタの設置に必要なスペースが大きくなる。
【0005】
特許文献1に記載の装置では、加圧されたクーラントがクランプ装置に主軸を介して供給可能に構成されており、必ずしもクランプ装置がクランプ状態の間、常にポンプを可動させておく必要はない。しかし、クーラントをクランプ用流体圧シリンダ装置で使用される圧力以上に加圧するポンプが必要となる。また、主軸に特別な加工を施す必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は流体圧機器専用の駆動源を設ける必要がなく、流路を短くできるとともにテーブルが移動する場合でも、流路がテーブルの移動に支障を来さないようにすることができるマシニングセンタ及び流体圧発生装置並びにクランプ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ワークが支持されるテーブルと、前記テーブル上に支持されたワークに対して作業を行う主軸とが、相対移動可能に構成されるとともに、作動流体によって駆動される流体圧機器が前記テーブル上に備えられたマシニングセンタにおいて、前記流体圧機器に供給される作動流体を加圧するための流体圧発生機構が前記テーブル上に設けられ、前記流体圧発生機構を前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して駆動させることを特徴とする。
【0008】
ここで、「テーブル上に支持された」とは、テーブル上に直接支持された場合に限らず、テーブルに固定された支持部(例えば支持プレート)上に支持されることで間接的にテーブル上に支持された場合も含む。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記流体圧発生機構は駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記主軸と共に回転可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記主軸の軸方向へ往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記テーブルは該テーブルを支持するマシニングセンタ本体に対して相対移動可能に設けられ、前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記テーブルの往復移動時に前記マシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記テーブルの往復移動方向へ往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記流体圧機器は前記ワークを保持するクランプ部材をクランプ位置と非クランプ位置とに作動させる流体圧シリンダであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記流体圧シリンダはばね付単動シリンダであり、前記流体圧発生機構を構成するポンプの吐出口と前記流体圧シリンダのポートとを連結する流路の途中には作動流体のポンプ側への逆流を防止する逆止め弁が設けられ、前記流路の前記逆止め弁より前記流体圧シリンダ寄りには前記流路を大気と連通されたタンクに連通させる分岐路が設けられ、前記分岐路の途中には該分岐路を前記タンクに連通させる開放状態と、連通を遮断する遮断状態とに切り換え可能なリリースバルブが設けられ、前記リリースバルブは常には遮断状態に保持されるとともに前記主軸の軸方向への移動を利用して開放状態へ切り換え可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、ワークが支持されるマシニングセンタのテーブル上に設けられ、作動流体によって駆動される流体圧機器に供給される作動流体を加圧する流体圧発生装置であって、前記流体圧発生装置は、前記テーブル上に設けられた流体圧発生機構を備え、流体圧発生機構は駆動軸を有し、前記駆動軸は回転又は軸方向への往復移動により流体圧を発生させるように構成されるとともに、流体圧発生装置の外部から作用される力により回転又は軸方向への往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記流体圧発生機構は駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部がマシニングセンタにおける主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記主軸と共に回転可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記主軸の軸方向へ往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記テーブルの往復移動時に前記テーブルを支持するマシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記テーブルの往復移動方向へ往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、ワークが支持されるテーブルと、前記ワークを作動流体によって駆動されるクランプ部材で固定支持するクランプ装置と、着脱交換可能に装着された工具により前記ワークに対して作業を行う主軸とを備え、前記主軸が、前記テーブルに対して相対移動可能に構成されたマシニングセンタにおいてワークをクランプするクランプ方法であって、前記クランプ装置は、前記ワークに当接してクランプする押圧部と、該押圧部にクランプ動作及びクランプ解除動作を行わせる流体圧シリンダとを備えており、前記流体圧シリンダに作動流体を供給する流体圧発生機構は、前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して駆動される駆動軸の駆動により流体圧を発生させるポンプであり、前記ポンプの吐出口と前記流体圧シリンダのポートとを連結する流路の途中には作動流体のポンプ側への逆流を防止する逆止め弁と、前記主軸により操作可能なリリースバルブとが設けられており、前記クランプ装置により前記ワークをクランプするクランプ作業は、前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して前記ポンプを駆動して流体圧を発生させる流体圧発生工程と、作動流体を前記流体圧シリンダに供給して前記押圧部を前記ワークに当接させるクランプ工程とを備え、前記クランプ装置によりクランプされた前記ワークのクランプを解除するクランプ解除作業は、前記主軸により前記リリースバルブを操作して、前記流体圧シリンダに供給されている作動流体の圧力を解除する圧力解除工程を備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記流体圧発生機構は、駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記駆動軸は前記主軸と共に回転されることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記流体圧発生機構は、駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記駆動軸は前記主軸の軸方向へ往復移動されることを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記テーブルはマシニングセンタ本体に対して相対移動可能に設けられ、前記流体圧発生機構は、駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記テーブルの往復移動時に前記テーブルを支持するマシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記駆動軸は前記テーブルの往復移動方向へ往復移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、流体圧機器専用の駆動源を設ける必要がなく、流路を短くできるとともにテーブルが移動する場合でも、流路がテーブルの移動に支障を来さないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明を縦型マシニングセンタに具体化した第1の実施形態を図1〜図3を参照しながら説明する。
【0024】
図2に示すように、マシニングセンタ11は、マシニングセンタ本体12と、テーブル13と、テーブル13上に固定された支持プレート14と、支持プレート14上にワークWを支持固定するクランプ装置15と、主軸16と、工具ホルダ17を保管する工具保管手段18と、オートツールチェンジャATCと、操作盤19とを備えている。主軸16には工具ホルダ17が着脱可能に装着され、主軸16は、工具ホルダ17に着脱可能に保持された工具(ツール)20に回転を伝達してその工具20の持つ機能により作業を実施する。
【0025】
テーブル13は、該テーブル13を支持するマシニングセンタ本体12に対して水平面内でX方向及びY方向の互いに直交する方向に移動可能に装備されている。テーブル13を移動させる構成(図示せず)には、例えば、ボールねじ機構やリニアアクチュエータを利用した公知の構成が使用されている。また、主軸16はテーブル13と垂直方向に延びるとともに、その延びる方向に図示しない駆動機構により移動可能に構成されている。この実施形態ではテーブル13が水平に配置されているため、主軸16は鉛直方向に延びる。即ち、工具20が装着される主軸16と、ワークW(図1に図示)が支持されるテーブル13とが、テーブル13に対する垂直方向と、前記垂直方向と直交する面内とで相対移動可能に構成されている。
【0026】
工具20が装着されている工具ホルダ17は、それぞれ、非使用時には工具保管手段18に保管されるとともに、使用時には、オートツールチェンジャATCにより工具保管手段18から取り外されて、主軸16に装着される。また、工具20が装着されている工具ホルダ17は、その機械加工が終了すると、オートツールチェンジャATCにより主軸16から取り外されて、工具保管手段18に保管されるようになっている。これらのオートツールチェンジャATC及び工具保管手段18は、従来公知のものが使用できるとともに本発明の特徴部分ではないので、それらの具体的な説明を省略する。
【0027】
図1に示すように、クランプ装置15は、ワークWを保持する押圧部としてのクランプ部材21と、作動流体によって駆動される流体圧機器としての流体圧シリンダ22,23とを備えている。流体圧シリンダ22,23は、クランプ部材21をクランプ位置と非クランプ位置(クランプ解除位置)とに作動させる。この実施形態では流体圧シリンダ22,23として油圧シリンダが使用されている。
【0028】
流体圧シリンダ22,23は、シリンダ22a,23a内を摺動するピストン22b,23b及びピストン22b,23bに突設されてシリンダ22a,23aを摺動可能に貫通してシリンダ22a,23aの外部に突出するピストンロッド22c,23cを備えている。流体圧シリンダ22,23は、支持プレート14に設けられた収容凹部14aに基端部側が収容された状態でピストンロッド22c,23cが鉛直方向に延びるように配置されている。流体圧シリンダ22,23はばね付単動シリンダであり、ピストン22b,23bを挟んでシリンダ22a,23aのピストンロッド22c,23c側の室には、ピストンロッド22c,23cを没入側に付勢するコイルばね24が収容されている。
【0029】
各クランプ部材21の中間部は、一端がシリンダ22a,23aの上部に回動可能に連結されたレバー25の他端に支軸26を介して回動可能に連結されており、各クランプ部材21の基端部はピストンロッド22c,23cの先端にピン27を介して回動可能に連結されている。クランプ部材21の先端部にはアジャストボルト28がクランプ部材21を貫通する状態で螺合されるとともに、アジャストボルト28の上端側にナット29が螺着されている。
【0030】
支持プレート14上には、クランプ装置15の流体圧シリンダ22,23に供給される作動流体を加圧するための流体圧発生機構30を備えた流体圧発生装置としてのポンプユニット31が設けられている。ポンプユニット31は、下端に突設されたフランジ部31aを貫通するボルト31bを介して支持プレート14に固定されている。流体圧発生機構30は駆動軸32の回転により流体圧を発生させるポンプで構成され、この実施形態ではターボポンプが使用されている。駆動軸32は鉛直方向に延びる状態で配設され、駆動軸32の端部としての上端部32aは主軸16に着脱可能に装着される回転用ツールとしてのナットランナ33を介して主軸16に連結されて、主軸16と共に回転可能に構成されている。具体的には、上端部32aが六角ボルトの頭部と同様の形状に形成されている。図3に示すように、ナットランナ33は工具ホルダ17に保持された状態で主軸16に装着される。
【0031】
ポンプユニット31は作動流体としての作動油を貯蔵するタンク34を備えており、タンク34は通路34aを介して外部に連通されている。通路34aの開口部は、気体の通過を許容するとともに液体の通過を阻止する蓋体35で覆われている。即ち、タンク34は大気と連通されている。
【0032】
流体圧発生機構30の吸入口30aとタンク34とは連通路36を介して連通されている。流体圧発生機構30の吐出口30bと、流体圧シリンダ22,23のポート22d,23dとは流路37により連結(連通)され、流路37の途中には作動流体の流体圧発生機構30側(ポンプ側)への逆流を防止する逆止め弁38が設けられている。流路37の逆止め弁38より流体圧シリンダ22,23寄りには、流路37をタンク34に連通させる分岐路37aが設けられている。分岐路37aの途中には該分岐路37aをタンク34に連通させる開放状態と、連通を遮断する遮断状態とに切り換え可能なリリースバルブ39が設けられている。リリースバルブ39はスプール40を備えており、スプール40は分岐路37aと交差し、かつ連通路36とは交差しない状態で上下方向に移動可能に配置されている。
【0033】
スプール40は、分岐路37aをタンク34に連通させる小径部40aを有し、常には小径部40a以外の部分が分岐路37aと対応する位置に保持されており、スプール40の下方に配置された付勢手段41に抗して下方に移動されると小径部40aが分岐路37aと対応する位置に配置されるようになっている。付勢手段41には圧縮ばねが使用されている。スプール40の上端にはポンプユニット31の外部に突出する被操作部40bが設けられており、被操作部40bは主軸16により下方に押圧可能な位置に設けられている。即ち、リリースバルブ39は、主軸16の軸方向への移動(下降移動)を利用して、具体的には主軸16と係合して開放状態へ切り換え可能に構成されている。
【0034】
なお、図1〜図3は装置の構成を説明するための模式図であり、分かり易くするため、ワークW、クランプ装置15、ポンプユニット31等の大きさの比を実際のものと異なった状態で示しており、各図面間でも比率が異なっている。
【0035】
次に前記のように構成されたマシニングセンタ11及びポンプユニット31の作用を説明する。作業者は先ずワークWを支持プレート14上の所定位置にセットする。次に操作盤19を操作してナットランナ33を主軸16に装着させる。ナットランナ33は工具ホルダ17に保持された状態で工具保管手段18に保管されており、オートツールチェンジャATCにより工具ホルダ17と共に主軸16に装着される。
【0036】
次に作業者は操作盤19を操作して主軸16にポンプユニット31の流体圧発生機構30を駆動させる指令を入力する。指令が入力されると、駆動軸32の上端部32aが主軸16の延長線上に位置する状態となるようにテーブル13が移動される。次にナットランナ33が上端部32aと嵌合する位置まで主軸16が下降される。その状態で主軸16が回転され、主軸16と共に駆動軸32が回転される。駆動軸32の回転により流体圧発生機構30が駆動されて吸入口30aから作動油が吸入されるとともに加圧されて吐出口30bから吐出される。この工程が、流体圧を発生させる流体圧発生工程となる。この状態では、リリースバルブ39は分岐路37aとタンク34との連通状態を遮断する位置に配置されているため、吐出口30bから吐出された作動油は流路37を介して流体圧シリンダ22,23に供給される。そして、ピストン22b,23bがピストンロッド22c,23cと共にコイルばね24の付勢力に抗して上動され、クランプ部材21がワークWに当接してワークWをクランプ(保持)するクランプ位置に作動される。この工程が、クランプ工程となる。
【0037】
予め設定された時間又は回転数、駆動軸32が回転されると、主軸16の回転が停止されて駆動軸32の回転も停止される。そして、主軸16が上昇されてナットランナ33と駆動軸32の上端部32aとの嵌合状態が解除される。駆動軸32の回転が停止されると、流体圧発生機構30からの圧力発生がなくなるが、流路37に逆止め弁38が設けられており、かつリリースバルブ39が遮断位置に保持されているため、流路37及び流体圧シリンダ22,23内の作動油は加圧状態に保持され、クランプ部材21はクランプ位置に保持される。
【0038】
次に作業者は操作盤19を操作して、ナットランナ33を工具保管手段18に保管させる。次に、作業者は操作盤19を操作して、ワークWに所望の加工を施す作業を行うための工具20を主軸16に装着させるとともに、加工作業を行わせるための指令を入力する。その結果、ナットランナ33が工具保管手段18に保管された後、工具20が装着された主軸16によりワークWに対する加工作業が行われる。
【0039】
クランプ装置15によるワークWに対するクランプ状態を解除する場合は、操作盤19を操作して主軸16から工具20を工具ホルダ17と共に取り外す。次に、操作盤19を操作して、ポンプユニット31のリリースバルブ39が主軸16の端部と対向可能な位置にテーブル13を移動させた後、主軸16を下降させる。そして、スプール40の被操作部40bが主軸16の端部で押圧されて、小径部40aが分岐路37aと対応する位置までスプール40が下降移動される。即ち、リリースバルブ39が主軸16により操作される。その結果、流路37がタンク34と連通状態となり、作動油の圧力が大気圧と等しくなって、ピストンロッド22c,23cがピストン22b,23bとともにコイルばね24の付勢力によって下降移動される。この工程が、圧力解除工程となる。そして、クランプ部材21がワークWから離れる方向に回動されて、クランプ装置15によるワークWのクランプ状態が解除される。
【0040】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ワークWが支持されるテーブル13と、テーブル13上に支持されたワークWに対して作業を行う主軸16とが、テーブル13に対する垂直方向と、前記垂直方向と直交する面内とで相対移動可能に構成されるとともに、作動流体によって駆動される流体圧機器(流体圧シリンダ22,23)がテーブル13上に備えられている。テーブル13上には流体圧機器に供給される作動流体を加圧するための流体圧発生機構30が設けられ、流体圧発生機構30を主軸16の作動を利用して駆動させる。従って、流体圧機器専用の駆動源を設ける必要がなく、流路37を短くできるとともに流路37がテーブル13の移動に支障を来さないようにすることができる。
【0041】
(2)流体圧機器はワークWを保持するクランプ部材21をクランプ位置と非クランプ位置とに作動させる流体圧シリンダ22,23である。従って、クランプ装置15としてクランプ部材21を流体圧シリンダ22,23を利用して作動させる場合に、好適に対応できる。
【0042】
(3)流体圧発生機構30は駆動軸32の回転により流体圧を発生させるポンプであり、駆動軸32の上端部32aが主軸16に着脱可能に装着されるナットランナ33を介して主軸16と共に回転可能に構成されている。従って、主軸16の回転により、効率良く流体圧発生機構30を駆動することができる。
【0043】
(4)流体圧シリンダ22,23はばね付単動シリンダであり、流体圧発生機構30の吐出口30bと流体圧シリンダ22,23のポート22d,23dとを連結する流路37の途中には作動流体のポンプ側への逆流を防止する逆止め弁38が設けられている。流路37の逆止め弁38より流体圧シリンダ22,23寄りには、流路37を大気と連通されたタンク34に連通させる分岐路37aが設けられている。分岐路37aの途中には該分岐路37aをタンク34に連通させる開放状態と、連通を遮断する遮断状態とに切り換え可能なリリースバルブ39が設けられ、リリースバルブ39は常には遮断状態に保持されるとともに主軸16の軸方向への移動を利用して開放状態へ切り換え可能に構成されている。従って、クランプ部材21をクランプ位置から非クランプ位置に移動させることを主軸16の移動を利用して行うことができ、制御が簡単になる。
【0044】
(5)作動流体として液体(作動油)を使用しているため、気体を使用する構成に比較して必要な圧力を容易に発生させることができる。
(6)クランプ部材21はアジャストボルト28を備えているため、異なる形状や大きさのワークWに対応することができる。
【0045】
(7)クランプ装置15及びポンプユニット31は、テーブル13上に固定された支持プレート14上に設けられている。従って、クランプ装置15及びポンプユニット31を組み付けた支持プレート14をテーブル13上に固定することにより、テーブル13上にクランプ装置15及びポンプユニット31を直接組み立てる場合に比較して、装置の組み立てが容易になる。
【0046】
(8) ポンプユニット31から流体圧シリンダ22,23に作動流体を供給する流路37が支持プレート14に形成されている。従って、配管を使用する場合と異なり支持プレート14の表面に配管が露出しない。
【0047】
(9) 一般に、マシニングセンタ11のマシニングセンタ本体12は、テーブル13の移動に必要な範囲より広いスペースを有しているため、ポンプユニット31を搭載できるようにテーブル13の面積を広くしても、マシニングセンタ11を設置するのに必要なスペースが広くなることはない。従って、流体圧シリンダ22,23の作動油を供給するポンプがマシニングセンタ本体12の外部に設けられた従来のマシニングセンタに比較して、スペース効率を高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図4を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態は、ポンプユニット及び流体圧発生機構の構成が第1の実施形態と異なっており、その他の構成は同様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、ポンプユニット42に装備された流体圧発生機構43は、駆動軸としてのロッド44の往復移動により流体圧を発生させるポンプで構成され、この実施形態ではプランジャポンプが使用されている。ポンプユニット42にはテーブル13の移動方向におけるX方向(図4の左右方向)に沿って延びるように室45が設けられている。ロッド44は、室45内に摺動可能に配置されたピストン46の端面から突設され、端部44aがポンプユニット42の外部に突出するようにコイルばね47により付勢されている。
【0050】
流体圧発生機構43の吸入口43aは連通路48を介してタンク34に連通され、連通路48には作動油がタンク34側へ逆流するのを阻止する逆止め弁49が設けられている。タンク34は図示しない通路を介して大気圧に開放されている。流体圧発生機構43の吐出口43bは流路37を介して流体圧シリンダ22,23のポート22d,23dに連通されている。流路37とタンク34とを連通する分岐路37aの途中にリリースバルブ39が設けられている。
【0051】
マシニングセンタ本体12には、テーブル13のX方向(図4の左右方向)における移動範囲の端部寄りの箇所に、ロッド44と当接可能な当接部50が配設されている。従って、テーブル13が当接部50に近づくようにX方向に移動すると、移動途中でロッド44が当接部50に当接した状態となる。ロッド44が当接部50に当接した状態でテーブル13がX方向に往動(図4の右方向への移動)すると、ピストン46が室45内を図4の左方向へ相対移動して、室45内の作動油が吐出口43bから流路37へ吐出される。ロッド44が当接部50に当接した状態でテーブル13がX方向に復動(図4の左方向への移動)すると、ピストン46が室45内を図4の右方向へ相対移動して、タンク34内の作動油が室45内に吸入される。即ち、ロッド44が当接部50に当接した状態でテーブル13がX方向において往復移動することにより、吐出口43bから作動油が吐出され、流路37を介して流体圧シリンダ22,23に供給される。流路37に供給された作動油の加圧状態は、第1の実施形態の場合と同様にスプール40が遮断位置に配置されている間は保持される。そして、スプール40の小径部40aが分岐路37aと対応する位置に配置されると、流路37がタンク34に連通された状態となり、加圧状態が解除される。
【0052】
この実施形態においては、クランプ装置15によりワークWのクランプを行う場合、作業者は先ずワークWを支持プレート14上の所定位置にセットする。次に操作盤19を操作して、流体圧発生機構43のロッド44が当接部50と当接した状態でテーブル13をX方向において往復移動させる指令を入力する。その結果、ロッド44が当接部50と当接した状態で、テーブル13がX方向において往復移動され、流体圧発生機構43が駆動される。そして、流体圧シリンダ22,23に加圧状態の作動油が供給され、クランプ装置15のクランプ部材21によりワークWがクランプされる。テーブル13は予め設定された回数往復移動した後、ワークWに加工を施す際の所定位置に復帰する。
【0053】
クランプ装置15によるワークWのクランプ状態を解除する場合は、第1の実施形態の場合と同様に、操作盤19を操作して、主軸16の下降移動を利用してリリースバルブ39のスプール40を小径部40aが分岐路37aと対応する位置まで下降移動させる。その結果、流路37がタンク34と連通状態となり、クランプ部材21がワークWから離れる方向に回動されて、クランプ装置15によるワークWのクランプ状態が解除される。
【0054】
この実施形態では前記第1の実施形態における効果(1),(2),(4)〜(9)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(10)流体圧発生機構43は駆動軸(ロッド44)の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、ロッド44の端部44aがテーブル13の往復移動時にマシニングセンタ11の所定位置に固定された当接部50との当接により往復移動可能に構成されている。従って、主軸16側の構成と無関係に流体圧発生機構43を駆動することができる。また、クランプ作業の終了を待たずに、テーブル13の移動によりワークWのクランプ作業を行っている間に、加工作業に必要な工具20を主軸16に装着することができる。
【0055】
(11)流体圧発生機構43としてブランジャポンプが使用されているため、ダイヤフラムポンプに比較して構成を簡単にすることができる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
【0056】
・ 流体圧発生機構を駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプで構成する場合、次のようにしてもよい。すなわち、駆動軸の端部が主軸16の軸方向への往復移動時に、主軸16、該主軸16に装着された状態で回転停止させられた工具20、主軸16を支持して主軸16と一体に往復移動する主軸支持部分16a(図4参照)、又は該主軸支持部分16aに取着された押圧用部材によって押圧されるようにする。これにより、流体圧発生機構の駆動軸を主軸16の軸方向へ往復移動可能に構成する。
【0057】
例えば、主軸16によって駆動軸の端部を押圧する場合は、図5に示すように、第2の実施形態における流体圧発生機構43と同様の流体圧発生機構43を備えたポンプユニット42を、ロッド44が上下方向に移動するように設け、ロッド44の端部44aを主軸16の下端で押圧してロッド44を駆動させる構成とする。この場合、第1の実施形態に比較してナットランナ33が不要なため、ワークWのクランプ工程において、主軸16に対するナットランナ33の装着作業が不要になる。
【0058】
なお、主軸16に装着された工具20で駆動軸の端部を押圧する場合は、主軸16の回転を停止させておく。また、工具20で押圧する場合は、工具20の刃部以外の部位で押圧するのが好ましい。さらに、主軸支持部分16aで押圧する場合は、該主軸支持部分16aの下端部を構成する肩部16b(図4参照)で押圧するのが好ましく、その主軸支持部分16aに取着される押圧用部材としては、主軸16の軸方向への往復移動時に駆動軸の端部を押圧可能であれば、任意の形状の部材を取着可能である。
【0059】
・ 第1の実施形態におけるポンプユニット31のように、流体圧発生機構30として使用される駆動軸32の回転により流体圧を発生するポンプは、ターボポンプに限らず、例えば、ギヤポンプを使用してもよい。
【0060】
・ 第2の実施形態におけるポンプユニット42のように、流体圧発生機構43として使用される駆動軸(ロッド44)の往復移動により流体圧を発生するポンプは、プランジャポンプに限らず、例えば、ダイヤフラムポンプを使用してもよい。
【0061】
・ リリースバルブ39は、その操作を主軸16で行う構成に限らない。例えば、リリースバルブ39を水平に配置し、テーブル13の移動を利用してスプール40の被操作部40bを押圧操作する構成とする。具体的には、第1の実施形態あるいは図5に示すように、主軸16により流体圧発生機構30,43を駆動させる構成の場合は、ワークWに対して主軸16により工具20で加工を行う際にテーブル13が配置される範囲外におけるテーブル13の移動時に、被操作部40bと係合可能な位置に当接部を設ける。また、第2の実施形態のようにテーブル13の移動を利用して流体圧発生機構43を駆動させる構成の場合は、流体圧発生機構43を駆動させるための移動範囲の外で、テーブル13が移動する際に被操作部40bと係合可能な当接部を設ける。あるいは、当接部をロッド44の端部44aに対して係合可能な位置と、スプール40の被操作部40bに係合可能な位置とに移動配置可能に設ける。
【0062】
・ 複数種の工具20をオートツールチェンジャATCで交換するマシニングセンタに限らず、主軸16に装着される工具の交換を手作業で行うマシニングセンタに適用する。
・ 支持プレート14を設けずに、クランプ装置15及びポンプユニット31,42をテーブル13上に直接固定する構成としてもよい。
【0063】
・ テーブル13は、X方向及びY方向に移動可能な構成に限らず、X方向及びY方向の一方の方向にのみ移動可能な構成や、直線移動を行わずに回転移動を行う構成としてもよい。
【0064】
・ テーブル13は移動せずに、主軸16が回転及び昇降動作の他に、X方向及びY方向への移動が可能な構成としてもよい。
・ 流体圧発生機構30,43は、作動流体として気体(例えば、空気)を使用するものであってもよい。
【0065】
・ 第2の実施形態において当接部50として、マシニングセンタ本体12の壁を利用してもよい。
・ リリースバルブ39を手動で操作するようにしてもよい。
【0066】
・ ポンプユニット31,42から流体圧シリンダ22,23に作動流体を供給する流路37を支持プレート14に形成する代わりに配管を使用してもよい。
・ マシニングセンタは、縦型マシニングセンタに限らず、横型マシニングセンタに適用してもよい。
【0067】
以下の技術的思想(発明)は前記実施の形態から把握できる。
(a) 請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記流体圧器機及び前記流体圧発生機構は、前記テーブル上に固定された支持プレート上に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施形態のポンプユニット及びクランプ装置を示す模式断面図。
【図2】マシニングセンタの模式斜視図。
【図3】主軸、ナットランナ及びポンプユニットの関係を示す模式斜視図。
【図4】第2の実施形態のポンプユニット及びクランプ装置を示す部分模式断面図。
【図5】別の実施形態におけるポンプユニットの模式断面図。
【符号の説明】
【0069】
W…ワーク、11…マシニングセンタ、12…マシニングセンタ本体、13…テーブル、15…クランプ装置、16…主軸、16a…主軸支持部分、20…工具、21…押圧部としてのクランプ部材、22,23…流体圧機器としての流体圧シリンダ、22d,23d…ポート、30,43…流体圧発生機構(ポンプ)、30b,43b…吐出口、31…流体圧発生装置としてのポンプユニット、32…駆動軸、32a…端部としての上端部、33…回転用ツールとしてのナットランナ、34…タンク、37…流路、37a…分岐路、38,49…逆止め弁、39…リリースバルブ、44a…端部、50…当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが支持されるテーブルと、前記テーブル上に支持されたワークに対して作業を行う主軸とが、相対移動可能に構成されるとともに、作動流体によって駆動される流体圧機器が前記テーブル上に備えられたマシニングセンタにおいて、
前記流体圧機器に供給される作動流体を加圧するための流体圧発生機構が前記テーブル上に設けられ、前記流体圧発生機構を前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して駆動させることを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項2】
前記流体圧発生機構は駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記主軸と共に回転可能に構成されている請求項1に記載のマシニングセンタ。
【請求項3】
前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記主軸の軸方向へ往復移動可能に構成されている請求項1に記載のマシニングセンタ。
【請求項4】
前記テーブルは該テーブルを支持するマシニングセンタ本体に対して相対移動可能に設けられ、前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記テーブルの往復移動時に前記マシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記テーブルの往復移動方向へ往復移動可能に構成されている請求項1に記載のマシニングセンタ。
【請求項5】
前記流体圧機器は前記ワークを保持するクランプ部材をクランプ位置と非クランプ位置とに作動させる流体圧シリンダである請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のマシニングセンタ。
【請求項6】
前記流体圧シリンダはばね付単動シリンダであり、前記流体圧発生機構を構成するポンプの吐出口と前記流体圧シリンダのポートとを連結する流路の途中には作動流体のポンプ側への逆流を防止する逆止め弁が設けられ、前記流路の前記逆止め弁より前記流体圧シリンダ寄りには前記流路を大気と連通されたタンクに連通させる分岐路が設けられ、前記分岐路の途中には該分岐路を前記タンクに連通させる開放状態と、連通を遮断する遮断状態とに切り換え可能なリリースバルブが設けられ、前記リリースバルブは常には遮断状態に保持されるとともに前記主軸の軸方向への移動を利用して開放状態へ切り換え可能に構成されている請求項5に記載のマシニングセンタ。
【請求項7】
ワークが支持されるマシニングセンタのテーブル上に設けられ、作動流体によって駆動される流体圧機器に供給される作動流体を加圧する流体圧発生装置であって、
前記流体圧発生装置は、前記テーブル上に設けられた流体圧発生機構を備え、流体圧発生機構は駆動軸を有し、前記駆動軸は回転又は軸方向への往復移動により流体圧を発生させるように構成されるとともに、流体圧発生装置の外部から作用される力により回転又は軸方向への往復移動可能に構成されていることを特徴とする流体圧発生装置。
【請求項8】
前記流体圧発生機構は駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部がマシニングセンタにおける主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記主軸と共に回転可能に構成されている請求項7に記載の流体圧発生装置。
【請求項9】
前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記主軸の軸方向へ往復移動可能に構成されている請求項7に記載の流体圧発生装置。
【請求項10】
前記流体圧発生機構は駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記駆動軸は、その端部が前記テーブルの往復移動時に前記テーブルを支持するマシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記テーブルの往復移動方向へ往復移動可能に構成されている請求項7に記載の流体圧発生装置。
【請求項11】
ワークが支持されるテーブルと、前記ワークを作動流体によって駆動されるクランプ部材で固定支持するクランプ装置と、着脱交換可能に装着された工具により前記ワークに対して作業を行う主軸とを備え、前記主軸が、前記テーブルに対して相対移動可能に構成されたマシニングセンタにおいてワークをクランプするクランプ方法であって、
前記クランプ装置は、前記ワークに当接してクランプする押圧部と、該押圧部にクランプ動作及びクランプ解除動作を行わせる流体圧シリンダとを備えており、
前記流体圧シリンダに作動流体を供給する流体圧発生機構は、前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して駆動される駆動軸の駆動により流体圧を発生させるポンプであり、前記ポンプの吐出口と前記流体圧シリンダのポートとを連結する流路の途中には作動流体のポンプ側への逆流を防止する逆止め弁と、前記主軸により操作可能なリリースバルブとが設けられており、
前記クランプ装置により前記ワークをクランプするクランプ作業は、前記主軸の作動及び前記テーブルの移動の少なくとも一方を利用して前記ポンプを駆動して流体圧を発生させる流体圧発生工程と、作動流体を前記流体圧シリンダに供給して前記押圧部を前記ワークに当接させるクランプ工程とを備え、
前記クランプ装置によりクランプされた前記ワークのクランプを解除するクランプ解除作業は、前記主軸により前記リリースバルブを操作して、前記流体圧シリンダに供給されている作動流体の圧力を解除する圧力解除工程を備えていることを特徴とするクランプ方法。
【請求項12】
前記流体圧発生機構は、駆動軸の回転により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記主軸に着脱可能に装着される回転用ツールを介して前記主軸に連結されることにより、前記駆動軸は前記主軸と共に回転される請求項11に記載のクランプ方法。
【請求項13】
前記流体圧発生機構は、駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記主軸の軸方向への往復移動時に、前記主軸、該主軸に装着された状態で回転停止させられた工具、前記主軸を支持して主軸と一体に往復移動する主軸支持部分、又は該主軸支持部分に取着された押圧用部材によって押圧されることにより、前記駆動軸は前記主軸の軸方向へ往復移動される請求項11に記載のクランプ方法。
【請求項14】
前記テーブルはマシニングセンタ本体に対して相対移動可能に設けられ、前記流体圧発生機構は、駆動軸の往復移動により流体圧を発生させるポンプであり、前記流体圧発生工程においては、前記駆動軸の端部が前記テーブルの往復移動時に前記テーブルを支持するマシニングセンタ本体側に設けられた当接部と当接することにより、前記駆動軸は前記テーブルの往復移動方向へ往復移動される請求項11に記載のクランプ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−268684(P2007−268684A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100208(P2006−100208)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】