説明

モータ

【課題】モータ本体部に取り付けたセンサへのノイズの侵入を防止することができるモータを提供すること。
【解決手段】モータ1は、導電性材料からなるモータハウジング10およびロータ40を備えるモータ本体部50と、ロータ40の回転を検出するためにモータハウジング10に取り付けられたエンコーダ(センサ)60を有する。エンコーダ60は感磁素子63を搭載するセンサ基板64を備えており、センサ基板64は感磁素子63の外周側を囲む内側筒部65dを備える磁性金属製の基板ホルダ65に取り付けられている。基板ホルダ65は、モータハウジング10に絶縁シート67を介して固定されているので、絶縁シート67によりモータ本体部50の側で発生したノイズがモータハウジング10を介してセンサ基板64や感磁素子63に伝播することを防止できる。また、内側筒部65dによって環境ノイズが感磁素子63に侵入することも防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの回転を検出するセンサを搭載するモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータの回転を検出するセンサを搭載するモータは特許文献1に記載されている。同文献では、アルミニウム系金属製のモータハウジングの端板部に形成された開口からロータの回転軸の端部が露出しており、この端部にセンサ用マグネットが取り付けられている。センサ用マグネットと僅かな隙間を開けて対向する位置には、センサ基板に搭載された磁気センサが配置されている。センサ基板は支持基板を介してモータハウジングに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−290915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータの使用に際してモータハウジングがグランド線などを介して接地されていれば、ロータ、ステータおよびモータハウジングからなるモータ本体部の側からセンサの側にノイズが伝播することを防止或いは抑制できる。
【0005】
しかし、使用状況によってはモータハウジングが接地されない場合がある。モータハウジングが接地されなければ、モータを搭載した装置からのノイズがモータハウジングを経由してセンサ基板や磁気センサに侵入し易くなる。あるいは、モータ本体部の側のノイズがモータハウジングを経由して、センサ基板や磁気センサに侵入し易くなる。この結果、センサ信号が読み取れない、センサ信号が化けるなどの問題が発生し、センサの検出精度が低下するという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、モータ本体部に取り付けたセンサへのノイズの侵入を防止することができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ロータおよび導電性材料からなるモータハウジングを備えるモータ本体部と、前記ロータの回転を検出するためのセンサとを有するモータにおいて、前記センサは、センサ素子を搭載するセンサ基板を備えており、前記センサ基板は、基板ホルダに取り付けられており、前記基板ホルダは、前記センサ素子を当該センサ素子のセンサ面の外周側から囲む筒部と、前記センサ基板を支持するとともに前記モータハウジングに固定されるホルダ本体部とを備えており、前記筒部は、磁性金属材料からなり、前記ホルダ本体部は、絶縁性材料からなり前記モータハウジングの外側に直接固定されているか、或いは、磁性金属材料からなり第1絶縁部材を介して前記モータハウジングの外側に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、センサ素子を搭載するセンサ基板は絶縁部材を介してモータハウジングに固定されている。すなわち、センサ基板を搭載する基板ホルダのホルダ本体部が絶縁性材料からなりモータハウジングに固定されているか、或いは、磁性金属材料からなる基板ホルダが第1絶縁部材を介してモータハウジングに固定されている。従って、モータを搭載した装置からのノイズや、モータ本体部の側で発生したノイズがモータハウジングを介してセンサ基板やセンサ素子に伝播することを防止できる。また、基板ホルダは、磁性金属材料からなりセンサ素子をセンサ面の外周側から囲む筒部を備えており、筒部は電磁シールドとして機能する。従って、モータの設置場所などに起因する環境ノイズがセンサ素子に侵入することも防止できる。よって、ノイズに起因してセンサの検出精度が低下することを防止できる。
【0009】
本発明において、前記モータハウジングに第2絶縁部材を介して固定されて前記センサを被う磁性金属製のセンサカバーを有していることが望ましい。このようにすれば、モータの外部からの環境ノイズがセンサ素子およびセンサ基板に侵入することを防止できる。また、第2絶縁部材を備えているので、モータ本体部の側で発生したノイズがモータハウジングを介してセンサカバーに伝播することを防止できる。
【0010】
本発明において、前記ホルダ本体部は、磁性金属材料からなり、前記筒部と一体に形成されている構成を採用することができる。
【0011】
この場合において、前記センサ基板は、第3絶縁部材を介して前記ホルダ本体部に取り付けられていることが望ましい。このようにすれば、センサ基板と基板ホルダの短絡を防止できる。また、基板ホルダからセンサ基板へのノイズの伝播も防止できる。
【0012】
本発明において、前記モータハウジングは、前記ロータの回転軸の軸端部を外側に露出させる開口を有する端板部を備えており、前記センサは、前記回転軸の前記軸端部に取り付けられたセンサ用マグネットを備えており、前記センサ素子は、感磁素子であり、前記センサ用マグネットの磁極面は前記センサ面と前記回転軸の軸線上で対向しており、前記ホルダ本体部は、前記第1絶縁部材を介して前記端板部に取り付けられており、前記筒部は、前記センサ用マグネットを前記磁極面の外周側から囲んでいることが望ましい。このようにすれば、筒部はセンサ用マグネットおよび感磁素子に対する電磁シールドとして機能する。また、筒部によって、センサ用マグネットの磁束密度の均等性を確保することができる。従って、センサによる検出精度を向上させることができる。
【0013】
この場合において、前記端板部の外側面には、前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材を兼ねる1枚のシート状絶縁部材が貼り付けられており、前記ホルダ本体部および前記センサカバーは、前記シート状絶縁部材を介して前記端板部に取り付けられていることが望ましい。すなわち、基板ホルダおよびセンサカバーとモータハウジングの間の絶縁を1枚のシート状絶縁部材を用いて行なえば、部品点数の増加を抑制できる。
【0014】
ここで、基板ホルダをモータハウジングに固定する際に樹脂などの絶縁性材料から形成されたネジなどの固定部材を用いると、固定強度が不足することがある。このような場合に、基板ホルダとモータハウジングの間を絶縁した状態としながら、基板ホルダをモータハウジングに固定する固定強度を確保するためには、前記ホルダ本体部を前記モータハウジングに固定するための金属製の固定部材と、前記固定部材と前記ホルダ本体部との間に介在して、これらの間を絶縁する第4絶縁部材とを有している構成を採用することができる。このようにすれば、基板ホルダとモータハウジングが金属製の固定部材を介して導通することを回避できるので、基板ホルダとモータハウジングの間の絶縁状態を維持できる。
【0015】
この場合には、前記固定部材は、前記ホルダ本体部に形成された貫通孔を介して前記モータハウジングに形成されたネジ孔に螺合する有頭ネジであり、前記第4絶縁部材は、前記貫通孔の内側に挿入される筒状胴部および前記ホルダ本体部の前記モータハウジング側とは反対側の面における前記貫通孔の周縁部分を被う鍔部を備えており、前記有頭ネジの頭部が鍔部に当接し、前記有頭ネジの前記軸部が前記筒部の中心孔を貫通して前記ネジ孔に螺合している構成を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記センサカバーを前記モータハウジングに固定するための金属製のネジ、ボルトおよびナットを有し、前記センサカバーは、前記ボルトの軸部を貫通させるための貫通孔を備える底部、および、前記底部の周縁から前記モータハウジングに向かって延びて前記第2絶縁部材に当接している筒部を備えており、前記モータハウジングには、前記ネジに螺合するネジ孔が形成されており、前記ネジと前記ナットとは、第5絶縁部材を介して同軸に連結されており、前記ネジは、前記モータハウジングの外側から前記ネジ孔に螺合しており、前記ボルトは、頭部が前記底部に当接し、前記軸部が前記貫通孔を貫通して前記ネジに連結された前記ナットに螺合している構成を採用することができる。このようにすれば、有底筒状のエンコーダカバーをモータハウジングの端板部に固定する際に、モータハウジングの外側から固定作業を行うことが可能となる。また、固定に際して、樹脂などの絶縁性材料から形成されたネジを用いる場合と比較して、エンコーダカバーとモータハウジングの固定強度を確保できる。さらに、ネジとボルトが第5絶縁部材を介して連結されているので、これらネジとボルトの間が絶縁される。従って、金属製のネジ、ボルトおよびナットによって、センサカバーとモータハウジングが導通してしまうことを回避できる。
【0017】
本発明において、前記センサカバーを前記モータハウジングに固定するための金属製のボルトおよびナットと、絶縁性材料からなり、前記ナットを保持する保持部および当該保持部から突出したフックを備えるナット保持部材とを有し、前記センサカバーは、前記ボルトの軸部を貫通させるための第1貫通孔を備える底部、および、前記底部の周縁から前記モータハウジングに向かって延びて前記第2絶縁部材に当接している筒部を備えており、前記モータハウジングは、前記ボルトの前記軸部を貫通させるための第2貫通孔を備えており、前記ナット保持部材は、前記モータハウジングの内側から前記フックを前記第2貫通孔に挿入して前記モータハウジングに係止させることによって前記保持部に保持した前記ナットを前記モータハウジングの内側で前記第2貫通孔と同軸に支持しており、前記ボルトは、頭部が前記底部に当接し、前記軸部が前記第1貫通孔および前記第2貫通孔を貫通して前記ナットに螺合している構成を採用してもよい。このようにすれば、ナット保持部材によってナットを予めモータハウジングの内側に支持しておくことが可能なので、有底筒状のエンコーダカバーをモータハウジングの端板部に固定する際に、モータハウジングの外側から固定作業を行うことができる。また、固定に際して、樹脂などの絶縁性材料から形成されたボルトとナットを用いる場合と比較して、エンコーダカバーとモータハウジングの固定強度を確保できる。さらに、ナットは樹脂製のナット保持部材によってモータハウジングとの間が絶縁された状態で支持されているので、金属製のボルトおよびナットによって、エンコーダカバーとモータハウジングが導通してしまうことを回避できる。
【0018】
本発明において、前記ホルダ本体部と前記モータハウジングの間に配置されたスペーサを有し、前記スペーサは、絶縁性材料から形成されていることが望ましい。このようにすれば、スペーサを利用して、基板ホルダとモータハウジングの間の絶縁状態を確実なものとすることができる。また、スペーサの挿入によって、センサ素子の位置を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、モータを搭載した装置からのノイズや、モータ本体部の側で発生したノイズがモータハウジングを介してセンサ基板やセンサ素子に伝播することを防止できる。また、基板ホルダの筒部は電磁シールドとして機能するので、モータの設置場所などに起因する環境ノイズがセンサ素子に侵入することも防止できる。よって、ノイズに起因してセンサの検出精度が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るモータの外観を示す説明図である。
【図2】図1のモータの縦断面図である。
【図3】エンコーダ周辺の部分拡大断面図である。
【図4】基板ホルダとモータハウジングの固定構造の説明図である。
【図5】エンコーダカバーとモータハウジングの固定構造の説明図である。
【図6】エンコーダカバーとモータハウジングの固定構造の別の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態に係るモータを、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、モータ軸線方向の一方側を「反出力側(回転軸が突出している側とは反対側)」として説明し、モータ軸線方向の他方側を「出力側(回転軸が突出している側)」として説明する。また、参照する図面において、モータ軸線については「L」で示し、モータ軸線方向の一方側(反出力側)を「L1」で示し、モータ軸線方向の他方側(出力側)を「L2」で示してある。
【0022】
(全体構成)
図1(a)は本発明の実施の形態に係るモータの側面図であり、図1(b)はモータを反出力側からみた背面図である。図2はモータの縦断面図である。本例のモータ1は比較的出力トルクの大きい永久磁石型同期電動機である。図1、図2に示すように、モータ1は、モータハウジング10と、モータハウジング10の内側に構成された筒状のステータ30と、ステータ30の内側に配置されたロータ40と、ロータ40の回転数や角度位置を検出するために、モータハウジング10、ステータ30およびロータ40からなるモータ本体部50に取り付けられたエンコーダ(センサ)60と、モータハウジング10の反出力側に取り付けられたエンコーダカバー(センサカバー)70を備えている。
【0023】
モータハウジング10は、モータ軸線L方向に開口を向けている筒状ケース11と、筒状ケース11の反出力側L1に配置された第1軸受ホルダ12と、筒状ケース11の出力側L2に配置された第2軸受ホルダ13を備えている。第1軸受ホルダ12はロータ40を回転可能に支持するための第1軸受14を保持しており、第2軸受ホルダ13はロータ40を回転可能に支持するための第2軸受15を保持している。筒状ケース11および第1軸受ホルダ12は鉄系金属製(導電性材料)であり、第2軸受ホルダ13はアルミニウム系金属製である。
【0024】
第1軸受ホルダ12は、モータ軸線L回りの所定の角度位置に配線支持片16を備えている。配線支持片16は第1軸受ホルダ12から径方向外側に突出した突出板部16aと、突出板部16aの先端から出力側L2に折れ曲がり、筒状ケース11の外周面に沿って延びている固定板部16bを備えている。また、図1に示すように、第1軸受ホルダ12の配線支持片16とは異なる角度位置には、径方向外側に突出する接続片17が設けられており、この接続片17にはグランド線18が接続されている。固定板部16bには、モータハウジング10の内側から外側に引き出された給電線19と、エンコーダカバー70の内側から外側に引き出されたセンサ出力線20が、接着剤および結束帯21によって固定されている。また、給電線19およびセンサ出力線20において固定板部16bに固定されている部分は、固定板部16bを含めて外周側からチューブ22により被われている。チューブ22は熱収縮チューブを加熱して収縮硬化させたものである。給電線19およびセンサ出力線20の先端部にはそれぞれコネクタ23、24が取り付けられている。なお、図2において、センサ出力線20とエンコーダ60の接続部分は省略してある。
【0025】
ステータ30は、径方向内側に突出する複数の突極31を等角度間隔に備える環状のステータコア32と、各突極31に絶縁部材30aを介して巻回された駆動コイル33を備えている。ステータコア32は一部分を筒状ケース11の開口から出力側L2に突出させた状態で筒状ケース11の内周面に保持されている。ステータコア32において筒状ケース11から突出している円環状突出部分34は、当該円環状突出部分34の先端部分34aに固定された第2軸受ホルダ13によって被われている。ここで、ステータ30の反出力側L1には駆動コイル33の巻線端末が接続された配線基板35が配置されており、配線基板35には給電線19が接続されている。給電線19は筒状ケース11に形成された切欠き部11aに挿入された樹脂製のブッシュ36を介して、モータハウジング10の外側に引き出されて、配線支持片16に固定されている。
【0026】
ロータ40は、回転軸41と、この回転軸41の外周側に固着された筒状の駆動用マグネット42を備えている。また、ロータ40は、駆動用マグネット42がステータコア32の突極31との間に僅かな隙間を空けた状態で配置されている。
【0027】
回転軸41は鉄系金属製であり導電性を有している。回転軸41の出力側L2の端部はモータハウジング10から外側に突出している。駆動用マグネット42は、周方向に湾曲した複数のマグネット片を環状に配置して構成されている。回転軸41において、駆動用マグネット42よりも反出力側L1に位置する軸部分にはボールベアリングからなる第1軸受14の内輪14aが装着されており、駆動用マグネット42よりも出力側L2に位置する軸部分にはボールベアリングからなる第2軸受15の内輪15aが装着されている。
【0028】
かかるロータ40において、駆動用マグネット42の外周面は絶縁テープ45によって被われている。絶縁テープ45は、一方の面に熱硬化型接着剤層を備えるガラスクロステープである。
【0029】
エンコーダ60は、回転軸41の反出力側L1の軸端部に設けられた小径部分41aにマグネットホルダ61を介して取り付けられたセンサ用マグネット62と、モータ軸線L上でセンサ用マグネット62に対向配置されている感磁素子(センサ素子)63と、感磁素子63を搭載するセンサ基板64を備えている。センサ基板64は絶縁紙(第3絶縁部材)66を介して基板ホルダ65に固定されている。基板ホルダ65は、絶縁シート(第1絶縁部材:シート状絶縁部材)67を介してモータハウジング10に固定されている。
【0030】
エンコーダカバー70は、絶縁シート67(第2絶縁部材:シート状絶縁部材)を介してモータハウジング10に固定されて、エンコーダ60を外側から被っている。すなわち、本例では、基板ホルダ65とエンコーダカバー70は、1枚の絶縁シート67を介してモータハウジング10に固定されている。絶縁シート67は、絶縁紙の一方の面に接着剤層が設けられているものである。絶縁紙は、アラミドポリマー、或いは、難燃系のポリエステルからなり、80℃以上の耐熱性を有している。なお、基板ホルダ65とモータハウジング10の間を絶縁する絶縁シートとエンコーダカバー70と、モータハウジング10の間を絶縁する絶縁シートを別々に設けてもよい。
【0031】
(エンコーダの詳細)
図3はエンコーダ60の周辺を拡大して示す断面図である。なお、図3において、センサ出力線20とエンコーダ60の接続部分は省略してある。図3に示すように、筒状ケース11の反出力側L1の開口端には径方向内側に折れ曲がった環状の第1連結板部11bが設けられている。第1軸受ホルダ12は、筒状ケース11の第1連結板部11bに反出力側L1で重なってネジ68により止められている環状端板部12aと、環状端板部12aの内周縁から出力側L2に向けて突出している円筒部12bと、円筒部12bの先端部分から径方向内側に屈曲している環状底板部12cを備えている。環状端板部12aの外周縁において、筒状ケース11の切欠き部11aと対向する部分には配線支持片16が形成されており、配線支持片16とは異なる角度位置には接続片17が形成されている(図1(b)参照)。円筒部12bの内側において、円筒部12bと環状底板部12cにより形成された環状段部12dには、第1軸受14の外輪14bが保持されている。回転軸41の反出力側L1の軸端部分は、回転軸41において駆動用マグネット42が固定されている軸部分と比較して細径の小径部分41aとなっており、この小径部分41aは環状底板部12cの中心開口を介してモータハウジング10の外側に露出している。小径部分41aには、マグネットホルダ61を介してセンサ用マグネット62が固定されている。
【0032】
マグネットホルダ61は、回転軸41の小径部分41aに嵌められた筒状胴部61aと、筒状胴部61aの反出力側L1の端部で拡径する円盤状のマグネット保持部61bを備えている。マグネット保持部61bの反出力側L1の端面には円形凹部61cが形成されている。センサ用マグネット62は、円盤状であり、円形凹部61cに部分的に嵌った状態で接着剤等により固定されている。センサ用マグネット62は反出力側L1を向いている円形端面が磁極面62aとなっている。磁極面62aは周方向に2分割されており、N極とS極が1極ずつ設けられている。
【0033】
感磁素子63は、互いに直交する方向に磁気抵抗パターンが形成された磁気抵抗素子である。感磁素子63は、センサ基板64の出力側L2の端面に実装されており、センサ面63aはセンサ用マグネット62の磁極面62aの中心と対向している。また、センサ基板64の出力側L2の端面には、エンコーダ60にアブソリュート動作を行わせるための、2つのホール素子(不図示)が実装されている。2つのホール素子は、センサ用マグネット62の中心から外れているとともに、センサ用マグネット62の中心から見て互いに90°ずれた位置に配置されている。
【0034】
センサ基板64の反出力側L1の面には、回転検出回路を構成する半導体装置等の電子部品(不図示)が実装されている。感磁素子63からは、正弦波信号sin、cosが2周期分出力され、回転検出回路は感磁素子63からの信号に増幅処理や補間処理を施して出力する。なお、正弦波信号sin、cosからθ=tan-1(sin/cos)を求めれば、回転軸41の角度位置θが分かる。また、2つのホール素子の出力から、現在位置が正弦波信号sin、cosのいずれの区間に位置するかを検出することができる。
【0035】
基板ホルダ65は、SPCEやSPCC材等の磁性金属製の板材をプレス加工してなる。基板ホルダ65は、環状フランジ部65aと、環状フランジ部65aの内周縁から反出力側L1に突出した外側筒部65bと、外側筒部65bの先端部から径方内側に屈曲した環状底板部65cと、環状底板部65cの内周縁から出力側L2に向けて突出した内側筒部(筒部)65dを備えている。環状フランジ部65aは第1軸受ホルダ12の環状端板部12a(モータハウジング10の端板部)に絶縁シート67を介して固定されている。基板ホルダ65の環状底板部65cの反出力側L1の面には、センサ基板64が絶縁紙66を介して固定されている。すなわち、環状フランジ部65a、外側筒部65bおよび環状底板部65cは、センサ基板64を支持するとともにモータハウジング10に固定されるホルダ本体部65eとなっている。内側筒部65dの内側には、感磁素子63、ホール素子、および、センサ用マグネット62が位置しており、この内側筒部65dは、感磁素子63を外周側から被う電磁シールドとして機能している。基板ホルダ65と環状端板部12aの固定構造Aの詳細は後述する。
【0036】
基板ホルダ65が絶縁シート67を介して第1軸受ホルダ12の環状端板部12aに取り付けられた状態では、センサ用マグネット62、感磁素子63およびセンサ基板64はモータ軸線L上に位置する。また、センサ用マグネット62の磁極面62aと感磁素子63のセンサ面63aは所定ギャップを開けてモータ軸線L上で対向する。
【0037】
エンコーダカバー70は鉄系金属製(磁性金属製)である。エンコーダカバー70は図3に示すように、有底筒状であり、円形底部71と円形底部71の周縁から出力側L2(モータハウジング10の側)に延びる円筒部72を備えている。エンコーダカバー70は、円筒部72の出力側L2の開口端が、絶縁シート67に当接した状態で、第1軸受ホルダ12の環状端板部12a(モータハウジング10の端板部)に取り付けられている。これにより、エンコーダ60は、エンコーダカバー70の内側に収納されている。エンコーダカバー70と環状端板部12aの固定構造Bの詳細は後述する。ここで、センサ基板64には、回転検出回路からの信号出力を外部に取り出すためのセンサ出力線20が接続されている。センサ出力線20はエンコーダカバー70に形成された切欠き部70aに挿入された樹脂製のブッシュ73を介してエンコーダカバー70の外側に引き出され、配線支持片16に固定されている。
【0038】
(基板ホルダとモータハウジングの固定構造)
図4(a)は基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する固定構造Aの説明図であり、図4(b)は基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する変形例の固定構造A´の説明図である。基板ホルダ65を絶縁シート67を介してモータハウジング10の第1軸受ホルダ12の環状端板部12aに固定するにあたって、本例の固定構造Aでは、固定部材として金属製の有頭ネジ80を用いている。また、基板ホルダ65と有頭ネジ80との間に介在してこれらの間を絶縁する樹脂製の環状部材(第4絶縁部材)81を用いている。
【0039】
より詳細には、基板ホルダ65の環状フランジ部65aには、周方向の複数個所に貫通孔65fが設けられており、第1軸受ホルダ12の環状端板部12aには、貫通孔65fと重なる位置に有頭ネジ80と螺合するネジ孔12eが設けられている。環状部材81は、貫通孔65fの内側に挿入される筒状胴部81aと、基板ホルダ65の反出力側L1(モータハウジング10側とは反対側)における貫通孔65fの周縁部分を被う鍔部81bを備えている。有頭ネジ80は、頭部80aが反出力側L1から鍔部81bに当接し、軸部80bが筒状胴部81aの中心孔を貫通して、ネジ孔12eに捻じ込まれている。なお、環状部材81は、基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する際に、変形して基板ホルダ65の固定姿勢が変化することがないように、硬度の高い樹脂から形成されている。また、環状部材81は熱変形温度が高い樹脂から形成されている。このような樹脂としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)が用いられる。
【0040】
ここで、基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する際に樹脂などの絶縁性材料から形成されたネジを用いれば、基板ホルダ65とモータハウジング10の間を絶縁した状態で固定することは容易である。しかし、樹脂製のネジを用いた場合には、基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する固定強度が不足することがある。これに対して、本例の固定構造Aでは、金属製の有頭ネジ80を用いて基板ホルダ65をモータハウジング10に固定しているので、樹脂製のネジを用いた場合と比較して、基板ホルダ65をモータハウジング10に固定する固定強度を高めることができる。また、樹脂製の環状部材81が基板ホルダ65と金属製の有頭ネジ80との間に介在しているので、基板ホルダ65とモータハウジング10の間を絶縁した状態に維持できる。
【0041】
また、図4(b)の固定構造A´に示すように、基板ホルダ65とモータハウジング10の間に、有頭ネジ80の軸部80bが貫通する樹脂製のスペーサ82を配置してもよい。このようにすれば、基板ホルダ65とモータハウジング10を確実に絶縁することができる。また、スペーサ82を利用して、センサ用マグネット62に対する感磁素子63の位置を調整できる。すなわち、スペーサ82によって、モータハウジング10の対する基板ホルダ65の高さや傾きを調整できるので、センサ用マグネット62の磁極面62aと感磁素子63のセンサ面63aの間のギャップを調整できる。
【0042】
(エンコーダカバーとモータハウジングの固定構造)
図5は、エンコーダカバー70をモータハウジング10に固定する固定構造Bの説明図である。エンコーダカバー70を絶縁シート67を介してモータハウジング10の第1軸受ホルダ12の環状端板部12aに固定するにあたって、固定構造Bでは、金属製の有頭ネジ90、ボルト91およびナット92、並びに、絶縁性材料からなり、ネジとナット92を同軸に連結するスリーブ(第5絶縁部材)93を用いている。なお、固定構造Bは、モータ軸線L回りの2箇所に設けられている(図1(b)参照)。
【0043】
より詳細には、エンコーダカバー70の円形底部71にはボルト91の軸部91bを貫通させるための貫通孔71aが設けられており、第1軸受ホルダ12の環状端板部12aには、貫通孔71aと重なる位置に有頭ネジ90に螺合するネジ孔12fが設けられている。スリーブ93は、樹脂製であり、筒状胴部93aと、筒状胴部93aの軸線方向の途中位置で中心穴を塞ぐ隔壁93bを備えている。隔壁93bによって隔てられた筒状胴部93aの中心穴の反出力側L1の凹部93cにはナット92が挿入されて固定されており、隔壁93bによって隔てられた中心穴の出力側L2の凹部93dには有頭ネジ90の頭部90aが挿入されて固定されている。また、有頭ネジ90は、軸部90bが環状端板部12aのネジ孔12fに反出力側L1から螺合しており、ボルト91は、頭部91aがエンコーダカバー70の反出力側L1から円形底部71に当接し、軸部91bが貫通孔71aを貫通して、有頭ネジ90に連結されたナット92に螺合している。なお、スリーブ93は、エンコーダカバー70をモータハウジング10に固定する際に、変形することがないように、硬度の高い樹脂から形成されている。また、スリーブ93は、熱変形温度が高い樹脂から形成されている。
【0044】
固定構造Bによれば、有底筒状のエンコーダカバー70をモータハウジング10の端板部(第1軸受ホルダ12の環状端板部12a)に固定する際に、モータハウジング10の外側から固定作業を行うことができる。また、固定に際して、樹脂などの絶縁性材料から形成されたネジを用いる場合と比較して、エンコーダカバー70とモータハウジング10の固定強度を確保できる。さらに、有頭ネジ90とボルト91は樹脂製のスリーブ93の隔壁93bを介して連結されており、有頭ネジ90とボルト91の間が絶縁されているので、金属製の有頭ネジ90、ボルト91およびナット92によって、エンコーダカバー70とモータハウジング10が導通してしまうことを回避できる。
【0045】
(作用効果)
以上、本例によれば、感磁素子63を搭載するセンサ基板64は、モータハウジング10に絶縁シート67を介して固定されている。従って、モータ1を搭載した装置からのノイズや、モータ本体部50の側で発生したノイズがモータハウジング10を介してセンサ基板64や感磁素子63に伝播することを防止できる。また、磁性材料からなる基板ホルダ65が、感磁素子63およびセンサ用マグネット62を外周側から囲む内側筒部65dを備えているので、モータ1の設置場所などに起因する環境ノイズが感磁素子63に侵入することを防止できる。さらに、内側筒部65dによってセンサ用マグネット62の磁束密度の均等性を確保することができる。
【0046】
また、本例によれば、エンコーダ60を被う磁性金属製のエンコーダカバー70を有しているので、環境ノイズが感磁素子63およびセンサ基板64に侵入することを防止できる。さらに、エンコーダカバー70は絶縁シート67を介してモータハウジング10に固定されているので、モータ本体部50の側で発生したノイズがモータハウジング10を介してエンコーダカバー70に伝播することを絶縁シート67によって防止できる。また、センサ基板64は絶縁紙66を介して基板ホルダ65に固定されているので、基板ホルダ65の側からセンサ基板64にノイズが侵入することも防止できる。
【0047】
以上より、本例のモータ1によれば、ノイズに起因してセンサ信号が読み取れない、センサ信号が化けるなどの問題が発生することを防止できるので、エンコーダ60の検出精度が低下することを防止できる。
【0048】
また、本例のモータ1によれば、センサ基板64とモータハウジング10の間に複数の絶縁対策を施すとともに、感磁素子63を搭載するセンサ基板64の回りを複数の磁性金属製材料からなるシールド(内側筒部65dおよびエンコーダカバー70)で被っているので、ノイズに対する耐久性が強く、放電加工機など高電圧、高電流の高周波ノイズに対しても、耐久性を備える。ここで、本例のモータ1によれば、モータハウジング10の接続片17にグランド線18を接地しない場合であっても、エンコーダ60の検出精度が低下しないことが確認されている。
【0049】
また、本例によれば、1枚の絶縁シート67で、基板ホルダ65およびエンコーダカバー70と、モータハウジング10の間を絶縁しているので、部品点数の増加を抑制できる。
【0050】
(変形例)
なお、上記の例では、基板ホルダ65は、内側筒部65dとホルダ本体部65eが一体に形成されているが、これらを別体としてもよい。また、これらを別体とする場合には、内側筒部65dを磁性金属材料から形成し、ホルダ本体部65eを樹脂などの絶縁性材料から形成してもよい。ここで、ホルダ本体部65eを絶縁性材料から形成した場合には、基板ホルダ65をモータハウジング10に直接固定することができる。また、ホルダ本体部65eを環状端板部12aに固定する固定構造Aでは金属製のネジを用いて固定することができる。
【0051】
また、上記の例では、エンコーダカバー70は磁性金属製であるが、エンコーダカバーを絶縁性材料から形成し、このエンコーダカバーの内側に、センサ基板64を被う磁性金属製のカバーを配置してもよい。
【0052】
(エンコーダカバーとモータハウジングの固定構造の別の例)
図6はエンコーダカバー70をモータハウジング10に固定する固定構造の別の例の説明図である。エンコーダカバー70を絶縁シート67を介してモータハウジング10の第1軸受ホルダ12の環状端板部12aに固定するにあたって、本例の固定構造B´では、金属製のボルト94およびナット95、並びに、絶縁性材料からなり、ナット95を保持するナット保持部材96を用いている。
【0053】
より詳細には、ナット保持部材96は、樹脂製であり、ナット95を保持する保持部97および当該保持部97から突出したフック98を備えている。保持部97はナット95の一対の環状端面を被う一対の端板部97aと、ナット95の環状外周面を被うとともに一対の端板部97aの外周側を連続させている環状板部97bを備えている。一方の環状板部97aの中心開口の縁からはフック98が突出しており、フック98は環状板部97aから突出した筒部98aと、筒部98aから径方向外側に突出する係止部98bを備えている。
【0054】
また、エンコーダカバー70の円形底部71にはボルト94の軸部94bを貫通させるための貫通孔(第1貫通孔)71aが設けられており、モータハウジング10の貫通孔71bと重なる位置には、すなわち、筒状ケース11の第1連結板部11bおよび第1軸受ホルダ12の環状端板部12aには、それぞれボルト94の軸部94bを貫通させるための貫通孔(第2貫通孔)11cおよび貫通孔(第2貫通孔)12gが設けられている。ナット保持部材96は、フック98をモータハウジング10の内側から貫通孔11cおよび貫通孔12gに挿入し、その係止部98bを第1連結板部11bに係止させることにより、保持部97に保持したナット95をモータハウジング10の内側で貫通孔11cおよび貫通孔12gと同軸に支持している。ボルト94は、頭部94aが円形底部71の反出力側L1から円形底部71に当接し、軸部94bが貫通孔71bおよび貫通孔11cおよび貫通孔12gを貫通してナット保持部材96に保持されたナット95に螺合している。
【0055】
固定構造B´によれば、ナット保持部材96によってナット95を予めモータハウジング10の内側に支持しておくことが可能なので、有底筒状のエンコーダカバー70をモータハウジング10の端板部に固定する際に、モータハウジング10の外側から固定作業を行うことができる。また、固定に際して、樹脂などの絶縁性材料から形成されたネジを用いる場合と比較して、エンコーダカバー70とモータハウジング10の固定強度を確保できる。さらに、ナット95は樹脂製のナット保持部材96によってモータハウジング10との間が絶縁された状態で保持されているので、金属製のボルト94およびナット95によって、エンコーダカバー70とモータハウジング10が導通してしまうことを回避できる。なお、固定構造B´を採用した場合には、固定構造Bと比較して、モータ1の製造コストを抑えることができる。
【0056】
(その他の実施の形態)
上記の例は、センサは磁気式であるが、光学式のセンサを搭載するモータにも本発明を適用できる。
【0057】
また、上記の例では、本発明を永久磁石型同期電動機に適用した例を示したが、例えばステッピングモータや電磁石同期電動機等のその他の同期電動機や、誘導電動機、整流子電動機、その他の電動機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 モータ
10 モータハウジング
11c 貫通孔
12 第1軸受ホルダ
12a 円環状端板部(端板部)
12e ネジ孔
12f ネジ孔
30 ステータ
40 ロータ
41 回転軸
41a 小径部分(軸端部)
50 モータ本体部
60 エンコーダ(センサ)
62 センサ用マグネット
62a 磁極面
63 感磁素子(センサ素子)
63a センサ面
64 センサ基板
65 基板ホルダ
65a フランジ部
65d 内側筒部(筒部)
65e ホルダ本体部
65f 貫通孔
66 絶縁紙(第3絶縁部材)
67 絶縁シート(シート状絶縁部材、第1絶縁部材、第2絶縁部材)
70 エンコーダカバー
71a 貫通孔
71 円形底部
72 筒部
80 有頭ネジ(固定部材)
81 環状部材(第4絶縁部材)
82 スペーサ
90 ネジ
91 ボルト
92 ナット
93 スリーブ(第5絶縁部材)
94 ボルト
95 ナット
96 ナット保持部材
97 保持部
98 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよび導電性材料からなるモータハウジングを備えるモータ本体部と、前記ロータの回転を検出するためのセンサとを有するモータにおいて、
前記センサは、センサ素子を搭載するセンサ基板を備えており、
前記センサ基板は、基板ホルダに取り付けられており、
前記基板ホルダは、前記センサ素子を当該センサ素子のセンサ面の外周側から囲む筒部と、前記センサ基板を支持するとともに前記モータハウジングに固定されるホルダ本体部とを備えており、
前記筒部は、磁性金属材料からなり、
前記ホルダ本体部は、絶縁性材料からなり前記モータハウジングの外側に直接固定されているか、或いは、磁性金属材料からなり第1絶縁部材を介して前記モータハウジングの外側に固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記モータハウジングに第2絶縁部材を介して固定されて前記センサを被う磁性金属製のセンサカバーを有していることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項2において、
前記ホルダ本体部は、磁性金属材料からなり、前記筒部と一体に形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3において、
前記センサ基板は、第3絶縁部材を介して前記ホルダ本体部に取り付けられていることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記モータハウジングは、前記ロータの回転軸の軸端部を外側に露出させる開口を有する端板部を備えており、
前記センサは、前記回転軸の前記軸端部に取り付けられたセンサ用マグネットを備えており、
前記センサ素子は、感磁素子であり、
前記センサ用マグネットの磁極面は前記センサ面と前記回転軸の軸線上で対向しており、
前記ホルダ本体部は、前記第1絶縁部材を介して前記端板部に取り付けられており、
前記筒部は、前記センサ用マグネットを前記磁極面の外周側から囲んでいることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項5において、
前記端板部の外側面には、前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材を兼ねる1枚のシート状絶縁部材が貼り付けられており、
前記ホルダ本体部および前記センサカバーは、前記シート状絶縁部材を介して前記端板部に取り付けられていることを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項3ないし6のうちのいずれかの項において、
前記ホルダ本体部を前記モータハウジングに固定するための金属製の固定部材と、
前記固定部材と前記ホルダ本体部との間に介在して、これらの間を絶縁する第4絶縁部材とを有していることを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項7において、
前記固定部材は、前記ホルダ本体部に形成された貫通孔を介して前記モータハウジングに形成されたネジ孔に螺合する有頭ネジであり、
前記第4絶縁部材は、前記貫通孔の内側に挿入される筒状胴部および前記ホルダ本体部の前記モータハウジング側とは反対側の面における前記貫通孔の周縁部分を被う鍔部を備えており、
前記有頭ネジの頭部が鍔部に当接し、前記有頭ネジの前記軸部が前記筒部の中心孔を貫通して前記ネジ孔に螺合していることを特徴とするモータ。
【請求項9】
請求項2ないし8のうちのいずれかの項において、
前記センサカバーを前記モータハウジングに固定するための金属製のネジ、ボルトおよびナットを有し、
前記センサカバーは、前記ボルトの軸部を貫通させるための貫通孔を備える底部、および、前記底部の周縁から前記モータハウジングに向かって延びて前記第2絶縁部材に当接している筒部を備えており、
前記モータハウジングには、前記ネジに螺合するネジ孔が形成されており、
前記ネジと前記ナットとは、第5絶縁部材を介して同軸に連結されており、
前記ネジは、前記モータハウジングの外側から前記ネジ孔に螺合しており、
前記ボルトは、頭部が前記底部に当接し、前記軸部が前記貫通孔を貫通して前記ネジに連結された前記ナットに螺合していることを特徴とするモータ。
【請求項10】
請求項2ないし8のうちのいずれかの項において、
前記センサカバーを前記モータハウジングに固定するための金属製のボルトおよびナットと、
絶縁性材料からなり、前記ナットを保持する保持部および当該保持部から突出したフックを備えるナット保持部材とを有し、
前記センサカバーは、前記ボルトの軸部を貫通させるための第1貫通孔を備える底部、および、前記底部の周縁から前記モータハウジングに向かって延びて前記第2絶縁部材に当接している筒部を備えており、
前記モータハウジングは、前記ボルトの前記軸部を貫通させるための第2貫通孔を備えており、
前記ナット保持部材は、前記モータハウジングの内側から前記フックを前記第2貫通孔に挿入して前記モータハウジングに係止させることによって前記保持部に保持した前記ナットを前記モータハウジングの内側で前記第2貫通孔と同軸に支持しており、
前記ボルトは、頭部が前記底部に当接し、前記軸部が前記第1貫通孔および前記第2貫通孔を貫通して前記ナットに螺合していることを特徴とするモータ。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちのいずれかの項において、
前記ホルダ本体部と前記モータハウジングの間に配置されたスペーサを有し、
前記スペーサは、絶縁性材料から形成されていることを特徴とするモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−9573(P2013−9573A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142361(P2011−142361)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】