説明

ライナーにより接着支持されたポリマーシェルおよび製造方法

実質的に欠陥のない少なくとも1つの硬化した液体不浸透性ポリマーシェル、少なくとも1つのライナー、およびシェルとライナーの間に配置された不粘着性熱可塑性接着剤層を含む物品であって、接着剤層は溶融および凝固してシェルとライナーの間に不粘着性接着を形成し、ライナーは吸湿性または切断抵抗性のいずれであってもよく、ライナーはシェルを支持してその伸縮性を制限し、これにより接着剤層とシェルおよび/またはライナーとの間の接着離層が阻止された物品;支持体付きポリマーシェルを含む物品、たとえば手袋、防護手袋、エプロンまたはブーツを製造するための下記を含む方法:硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し、編成/織成したライナーを用意し、不粘着性熱可塑性接着剤層をシェルとライナーの間にホットメルト吹付けまたは乾燥粉末吹付けまたは繊維コーティングにより挿入し、シェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ、シェル、接着剤層およびライナーを赤外線照射して接着剤層を溶融させ、シェルとライナー間に接着を形成し、そしてシェルを冷却する;ならびに他の方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、米国仮特許出願no. 60/614,604(2004年9月30日出願)および米国特許出願no. 11/210,515(2005年8月24日出願)に基づく優先権を主張する。
発明の技術分野
本発明は、接着結合したライナーにより支持され、これによりポリマーシェルの伸縮が制限されたポリマーシェル、およびその製造方法に関する。
【0002】
発明の背景
支持体のない医療用、外科用その他の手袋を含めたポリマーシェルは、一般にラテックスで作成される。これらのポリマーシェルは、凝固剤コーティングした目的形状の型(former)を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、これによりラテックスをゲル化させ、次いでこのゲル化した層を硬化させてポリマーシェルを形成する、アセンブリーライン様式で製造される。水性ラテックスエマルジョンは、粘度調節剤、ろう、界面活性剤、安定剤、架橋剤などを含めた添加剤を含有し、制御された状態の厚み、引張り強さ、引裂き抵抗性、および浸透抵抗性、可撓性など特殊な特性をもつ硬化ラテックス製品を形成することができる。種々の組成をもつ水性ラテックスが当技術分野で知られており、それらには天然ゴムラテックス、合成ポリイソプレン、およびネオプレン、ニトリル組成物などを含めた他の合成ラテックスが含まれる。水性浸漬法で作成されたポリマーシェルの代表例が、ゴム手袋の製造を開示したU.S.P. No. 3,268,647(Hayesら)に記載されている。
【0003】
ライナーで支持されたポリマーシェルは当技術分野で既知であり、一般に工業環境で手を保護するために普通用いられる強靭なラテックス製品を必要とする用途、たとえば手袋に使用される。ライナーをラテックス組成物でコーティングすることが多数の特許に開示されている。たとえばU.S.P. No. 2,083,684(Burke)には、ゴムコーティングした手袋およびその製造方法が開示されている。U.S.P. No. 4,514,460、4,515,851、4,555,813、および4,589,940(Johnson)には、滑り止め手袋およびそれらの製造方法が開示されている。U.S.P. No. 5,070,540(Bettcherら)には、防護服が開示されている。金属線のコアおよび2つの繊維ストランド製ラッピングが、ニトリルゴム組成物に浸漬することによりコーティングされる。U.S.P. No. 5,581,812(Krocheski)には、接着剤層が介在しない漏れ止め耐石油性ポリマー材料、たとえばPVCが開示されている;この漏れ止めポリマー材料は型に乗せたライナーに付与されるからである。U.S.P. No. 5,822,791(Baris)には、防護材料、および切断抵抗性防護層を不浸漬性エラストマー材料でコーティングする方法が開示されている。これらの支持体付き手袋を製造するための一般的方法には、ライナーの使用が含まれる;ライナーを型にドレッシングし、場合により凝固剤で処理し、水性ラテックスエマルジョンに浸漬して、ライナー上にゲル化したラテックス層を形成し、次いで硬化させる。ドレッシングしたライナーに水性ラテックスエマルジョンが浸入すると’貫入(strike-through)’または”浸透”が起き、このため見苦しい外観をもつ支持体付き製品が形成され、その物品はよりこわばった可撓性の低いものになる。’貫入’を最小限に抑えるために多数の工程が採用されており、これにはライナーをブロッキング剤としての凝固剤でコーティングすること、および水性エマルジョンがライナーに浸透するのを防ぐために水性ラテックスエマルジョンの粘度を高めることなどが含まれる。用いられる水性ラテックスエマルジョンは、数種類の添加剤、たとえば安定剤、発泡剤、架橋剤、ろう、および界面活性剤を含有することができる。ラテックス組成物は天然ゴム、ポリイソプレン、ネオプレン、またはニトリルゴムなどであってよい。これらの支持体付きポリマーシェル製品は、着用者の手を十分に防護する。手袋の型をラテックスエマルジョンに浸漬し、乾燥させて手袋を形成することは、開示されている。しかし、ライナー上のラテックスエマルジョンのドレッシング度が低く、ライナーの繊維が交叉している場所ではラテックス層に穴のある可能性があるため、ポリマーシェルの耐薬品性は一般に不適切である。編布をコーティングする際の、より重大と思われる他の結果は、得られたポリマーフィルムが不均質であり、その結果不均一な厚さになり、このためフィルムの耐薬品性バリヤーが部分的に不十分になり、または耐液性でない可能性があることである。これは、表面の繊維がコーティングに侵入または貫通し、このためポリマーフィルムに液体が浸入または浸透しやすい通路を提供する可能性があるためである。発泡ラテックス層は相互連絡した多孔をもつ可能性があり、これも支持体付きポリマーシェルラテックス物品の耐薬品性を低下させるであろう。
【0004】
U.S.P. No. 4,283,244(Hashmi)には、布帛ライナー付き物品の製造方法が開示されている。ライナー付きエラストマー物品を製造するためのこの方法は、液体状態の接着剤コーティングを型上のエラストマー物品に付与し、物品上の接着剤を乾燥させて感圧接着剤コーティングを形成し、この接着剤コーティングを滑剤で処理し、その後、予備成形したライニングを物品および接着剤コーティングに乗せ、そしてライニングをエラストマー物品に接着結合させる工程を含む。このエラストマー物品は、凝固剤処理した型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、エラストマー物品を型上で乾燥および硬化させることにより製造された、ラテックス製品である。接着剤は、Evans Adhesives(オハイオ州コロンブス)により供給される68096-01樹脂を水に懸濁したものである。型上のエラストマー物品を接着剤に浸漬し、乾燥させて感圧接着剤コーティングを形成し、滑剤処理し、ライナーでドレッシングする。このライナー付きエラストマー物品を型から離脱させ、裏返す。残念ながら、発汗作用と体温との組合わせにより接着剤が抽出または溶出され、不快な皮膚感触をもたらす。接着剤も軟化し、強度が低下し、乾燥後ですら粘着性のままである。
【0005】
U.S.P. No. 4,918,754(Leathermanら)には、フロック加工手袋およびそれに接着したプラスチックスリーブ部材が開示されている。予備成形したフロックライニング付きゴム様手袋のカフを折り返してフロックライニングを露出させ、回転式支持台に取り付け、ホットメルト接着剤をこの折り返したフロックライニング付きカフに吹き付ける。この手袋をポリエチレンスリーブに嵌め込み、高周波加熱により接着剤を溶融させて、ポリエチレンスリーブをカフと接着させる。接着剤はポリエチレンスリーブを手袋のカフ部分に接着し、ライナー付きポリマーシェル全体を接着するのではない。
【0006】
U.S.P. No. 5,599,895、5,618,904、および5,932,680には、湿分硬化性ポリウレタン系ホットメルト接着剤が開示されている。このホットメルト接着剤は、少なくとも1種類のポリイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよび/またはMDIの少なくとも1種類のポリウレタンプレポリマー、少なくとも1種類のポリアルキレングリコール、少なくとも1種類のポリエステルグリコール、ならびに場合により添加剤、たとえば安定剤、特にトルエンスルホニルイソシアネートを含有する。
【0007】
U.S.P. No. 6,543,059および6,596,345(Szczesuilら)には、防護手袋およびその製造方法が開示されている。ヒトの手のためのこの防護手袋は、ポリエステル不織ニードルパンチ材料製の内側手袋およびメルト吹付けポリウレタンコーティングを含む。この不織ニードルパンチ材料は、織布または編布と異なり機械的統合性をもたず、ホットメルト吹付けしたポリウレタン系接着剤がこの構造体を互いに保持して手袋を形成する。このメルト吹付け手袋を300〜325°Fの温度に加熱して、再溶融したポリウレタンを内側手袋の内面に浸透しない深さまで内側手袋に浸透させる。内側手袋の外面上にあるポリウレタンコーティングは、周囲の湿分との反応により、約24時間で硬化する。内側手袋をさらにゴム処理材料でコーティングして、ゴムにより互いに保持された内側手袋を製造する。次いでこれを各片に切断し、縫製して、内側に縫い目をもつ手袋を形成する。これらの縫い目は接着されておらず、漏れるため、このような手袋は液体不浸透性ではなく、したがって耐薬品性ではない。この防護手袋は穿刺から防護すると述べられている。
【0008】
U.S.P. No. 6,539,552(Yoshida)には、軟質耐水性手袋が開示されている。この耐水性手袋は、低温溶融熱可塑性プラスチック樹脂フィルムと熱接着される基材布帛の軟質内側手袋本体、および同一布帛の軟質外側手袋本体から形成される。内側手袋と外側手袋の熱接着は、手袋を加熱して、基材布帛より低い融点をもつ低温溶融熱可塑性プラスチック樹脂フィルムを溶融させることにより達成される。溶融した熱可塑性プラスチック樹脂フィルムにより、耐水性手袋が得られる。1態様においては、親指の動きを改善するために手袋の親指部分を別個に加工し、手袋の残りの部分に接着する。溶融凝固したポリマーが内側と外側の手袋本体に熱接着して、耐水性手袋が得られる。手袋の全体的なこわばりおよび動きにくさには、親指部材を手袋に別個に取り付けることにより対処している。この手袋には、ラテックスまたはポリマーシェルがない。したがって、この手袋には、ラテックスをベースとする手袋製品において一般に得られるような伸縮性がない。
【0009】
したがって当技術分野では、汗などの湿分および体温曝露を効率的に管理する支持体付き耐薬品性ポリマーシェルラテックス物品が強く求められている。ライナーは伸縮抵抗性、快適な感触、湿分(たとえば汗)の管理、および目的に応じた切断抵抗性を提供し、一方、ポリマーシェルは耐薬品性を提供する。当技術分野では、製造環境における支持体付きポリマーシェルラテックス物品を製造するための加工方法も求められている。ライナーをポリマーシェルに接着するための、より効率的な方法も求められている。さらに、貫入、すなわちライナーへのラテックス組成物の浸透を実質的に最小限に抑え、好ましくは排除する方法が求められている。さらに、ポリマーシェルの物理的統合性を保証する方法、すなわち脆弱領域または穴がなく、したがって無傷の耐液性バリヤーを提供する方法が求められている。本発明の目的は、そのような方法を提供することである。本発明の他の目的は、ポリマーシェル、接着剤およびライナーを含み、ライナー独自の特性および耐薬品性耐液性ポリマーシェル独自の特性を有効に利用した物理的統合性を備えた物品を提供することである。本発明のこれらおよび他の目的および利点ならびに他の特色は、本明細書に示す詳細な記述から明らかになるであろう。
【0010】
発明の概要
本発明は、実質的に欠陥のない少なくとも1つの硬化した液体不浸透性ポリマーシェル;少なくとも1つのライナー;および少なくとも1つのシェルと少なくとも1つのライナーの間に配置された不粘着性熱可塑性接着剤層を含む、物品を提供する。接着剤層はライナーまたはポリマーシェルのいずれかに付与され、溶融および凝固して、少なくとも1つのシェルと少なくとも1つのライナーの間に不粘着性接着を形成する。ライナーはシェルを支持してその伸縮性を制限し、これによりシェルおよび/またはライナーからの接着離層が阻止される。
【0011】
本発明はさらに、支持体付きポリマーシェルの製造方法を提供する。この方法は、凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意することを含む。この方法はさらに、綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(Kevlar)(商標)、スペクトラ(Spectra)(商標)、鋼線、またはその組合わせよりなる群から選択される繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し、ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ、ポリマーシェルの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし、接着剤層がポリマーシェルとライナーの間になるように、シェルをライナーでドレッシングし;ポリマーシェルを空気圧で膨張させて、ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ;接着剤層およびドレッシングライナーを備えたポリマーシェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させてポリマーシェルとライナー間に接着を形成し、そして接着剤層およびライナーを備えたポリマーシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成することを含む。
【0012】
さらに他の製造方法も提供される。この方法は、前記に従って製造した硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し、前記に従って編成または織成したライナーを用意し、ライナーを型に乗せ、ライナーの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし、接着剤層コーティングしたライナーを型から剥離し、ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ、接着剤層がシェルとライナーの間になるように、ポリマーシェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし、前記に従ってポリマーシェルを膨張させ、シェルを赤外線照射し、シェルを冷却することを含む。
【0013】
さらに他の製造方法が提供される。この方法は、前記に従って製造した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し、繊維を不粘着性熱可塑性接着剤でコーティングし、接着剤でコーティングした繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し、ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ、ポリマーシェルをライナーでドレッシングし、前記に従ってポリマーシェルを膨張させ、シェルを赤外線照射し、シェルを冷却することを含む。
【0014】
さらに他の製造方法が提供される。この方法は、前記に従って製造した第1および第2の液体不浸透性ポリマーシェルを用意し、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離し、第1ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ、第1ポリマーシェルの外面を第1の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし、前記に従ってケブラー(商標)、スペクトラ(商標)または鋼線を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し、接着剤層が第1ポリマーシェルとライナーの間になるように、第1ポリマーシェルを切断抵抗性ライナーでドレッシングし、切断抵抗性ライナーの外面を第2の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし、接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを第2シェルでドレッシングし、前記に従ってシェルを膨張させ、シェルを赤外線照射し、シェルを冷却することを含む。
【0015】
さらに他の製造方法が提供される。この方法は、前記に従って製造した第1および第2の液体不浸透性ポリマーシェルを用意し、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離し、前記の繊維を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し、熱可塑性接着剤を、ホットメルト吹付けまたは乾燥粉末吹付けにより切断抵抗性ライナーの内面および外面に付与し、第1シェルを骨格支持台に乗せ、第1ポリマーシェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし、接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを、第2ポリマーシェルでドレッシングし、前記に従ってポリマーシェルを膨張させ、シェルを赤外線照射し、ポリマーシェルを冷却することを含む。
【0016】
発明の詳細な記述
本発明は、実質的に欠陥のない少なくとも1つの硬化した液体不浸透性ポリマーシェル、少なくとも1つのライナー、および少なくとも1つのシェルと少なくとも1つのライナーの間に配置された不粘着性熱可塑性接着剤層を含む、物品を提供する。接着剤層は、溶融および凝固して、少なくとも1つのポリマーシェルと少なくとも1つのライナーの間に不粘着性接着を形成する。ライナーはシェルを支持してその伸縮性をライナーの伸縮性に制限し、これによりポリマーシェル-接着剤層界面および接着剤層-ライナー界面の応力が制限され、これらの界面における接着離層が阻止される。接着剤層は、体温で湿分または汗による漏出または抽出を受けない。
【0017】
得られる物品が耐薬品性であるためには、ポリマーシェルは液体不浸透性である必要がある。ポリマーシェルは天然および/または合成ゴム、たとえばニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、および他の標準的なラテックス類を含むことができる。ポリマーシェルは一般に約50〜500%伸縮するのに対し、織布ライナーは繊維の幾何学的形状に応じて約0.5〜5%伸縮し、編布ライナーは約5〜20%伸縮する。
【0018】
ポリマーシェルは、凝固剤コーティングした型上での、溶剤に溶解したポリマーの薄層の蒸発または水性ラテックスエマルジョンのゲル化を含めた、いずれか適切な方法で製造できる。凝固剤コーティングした型上におけるゲル化が好ましい。好ましい方法においては、天然ラテックスの水性ラテックス組成物、またはポリプロピレン、ニトリル、ネオプレンなどを含む合成ラテックス組成物を、凝固剤コーティングした型上でゲル化させ、その後、硬化させて、液体不浸透性ポリマーシェルを製造する。ポリマーシェルを製造するために最も一般的に用いられる方法は、目的物品の形状をもつ凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬して、型表面のラテックス層をゲル化させ、ゲル化したラテックスをラテックス層が架橋および硬化する温度に加熱するものである。ゲル化したラテックス層は型の平滑面上で中間にライナーのない状態で生成するので、実質的に欠陥のない液体不浸透性ポリマーシェルが製造される。
【0019】
ライナーは織布または編布を含むことができる。ライナーは、綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(Kevlar)(商標)(DuPont、デラウェア州ウィルミントン)、スペクトラ(Spectra)(商標)(Honeywell、ニュージャージー州モリスタウン)、鋼線、またはこれらの2種類以上の組合わせを含むことができる。たとえば綿および/またはレーヨンを含むライナーは物品の皮膚接触面に配置することができ、これにより快適な感触および吸湿性が提供される。鋼線、ケブラー(商標)および/またはスペクトラ(商標)を含むライナーは物品の外面または2つのポリマーシェル層の中間に配置でき、これにより切断抵抗性が提供される。そのようなライナーを組み合わせて使用することができる。
【0020】
ポリマーシェルとライナーの間に満足すべき接着を形成するためには、接着剤層に必要な幾つかの重要な特性がある。第1に、ライナーまたはシェルを互いにドレッシングすることができるように、接着剤組成物は不粘着性でなければならない。第2に、接着剤組成物は、接着プロセスでシェルまたはライナーに損傷を与えることなく再溶融しうるような、十分に低い温度で容易に溶融する熱可塑性ポリマーでなければならない。他方、熱可塑性ポリマーは、体温または使用条件温度により影響を受けないような、十分に高い温度で溶融しなければならない。さらに接着剤層は、接着剤層が抽出されて皮膚が刺激されることがないように、好ましくは湿分および汗に耐えなければならない。周囲温度では不粘着性であるが、シェルまたはライナーを劣化させない温度で溶融しうる、いずれかのポリマーを使用できる。接着剤層は、低分子量ポリエチレン、ポリエステル、エチルビニルアセテートポリマー、エチレン2-エチルヘキシルアクリラートポリマー、およびポリウレタンよりなる群から選択されるポリマーを含むことができ、約140℃より低い融点をもつ。ポリウレタンが好ましい。接着剤は熱硬化性成分を含有することができ、これによって接着剤中で起きる反応により接着剤を強化することができる。適切な接着剤の例は、イソシアネートを含むポリウレタン、たとえばSovereign Specialty Chemicals(イリノイ州シカゴ)から入手できる等級35-503のもの、または3MのJet-weld(商標)(ミネソタ州セント・ポール)であり、湿分に曝露されると接着剤を架橋させる。接着強度は、すべての架橋剤が消費されるまで、湿分曝露時間の関数として増大する。接着剤は、好ましくは約0.001〜0.01 g/cm2の範囲の量で付与される。
【0021】
ポリマーシェル、ライナーおよび接着剤層は異なる伸縮特性をもつ。ある材料に固定負荷を与えた場合、付与される応力のレベルは与えた負荷を断面積で割ったものである。この材料は付与された応力をその材料の弾性率で割ったひずみをもち、これが純粋な張力の単純応力状態に対するその材料の伸縮性をもたらす。ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを互いに結合させ、負荷を与えた場合、それらが界面で分離しない限り、これら3種類すべての要素のひずみは等しい。最小伸縮性の部材が主に負荷を受けるので、最大伸縮性の部材は伸縮に耐える。本発明に関しては、ポリマーシェルが最大伸縮性であり、最小伸縮性のライナーによって支持される。接着剤層は、負荷をポリマーシェルからライナーへ伝達する作用をもつ。ポリマーシェルをライナーにより支持する方法が2つある。第1の方法では、接着剤層の伸縮性はポリマーシェルの伸縮性より小さいが、支持ライナーの伸縮性より大きい。この場合、ポリマーシェルと支持ライナーは接着剤層に密に接着しているので、支持されたポリマーシェルの全伸縮は支持ライナーの伸縮性に近くなる。第2の方法では、接着剤層はポリマーシェルの伸縮性の方に近い伸縮性をもち、ポリマーシェルから支持ライナーへの負荷の伝達は、編布または織布の界面への接着剤の浸透に依存する。
【0022】
一般的なポリマーシェルは約50〜500%伸縮するのに対し、ライナーは繊維の詰まり具合に応じて約0.5〜20%伸縮する。たとえばライナーが織物である場合、伸縮性は使用する繊維のサイズおよび繊維の間隔により制限される。織物ライナーが伸縮する際、繊維が互いに接触するまで伸縮しうるにすぎない。繊維が密に充填している織物ライナーの伸縮性はきわめて制限され、約0.5〜5%の場合がある。他方、編物ライナーは伸縮性がより大きく、約5〜20%伸縮することができる。接着剤層は、一般にシェルまたはライナーと異なる機械的特性をもつ。接着剤層が低い伸縮性をもち、ポリマーシェルに付与されたにすぎない場合、ポリマーシェルの伸縮によりポリマーシェル-接着剤層の界面で離層が起きるであろう。これは、接着剤層のより高い弾性率および低い伸縮性によるものである;一般に約50〜500%伸縮するポリマーシェルと比較して、接着剤層が伸縮できるのは約10〜100%である。接着剤層からのポリマーシェルの離層または物理的分離を防ぐための唯一の方法は、ポリマーシェルの伸縮を阻止することである。これは、ポリマーシェルに接着している接着剤層側と反対の接着剤層側を、十分な機械的統合性をもつライナーに接着することによって、効果的に達成できる。得られる複合材料は著しく大きく伸縮することはなく、すなわちシェルよりライナーに類似する。接着剤層が約100〜600%伸縮する場合、たとえば接着剤が湿分硬化性ポリウレタンである場合、ポリマーシェル-接着剤層の界面での離層は起きない。この場合、接着剤を編物/織物ライナーの繊維間の空間に浸透させ、これによりペグ(peg)様の接着を生じさせることにより、負荷が効果的にライナーへ伝達される。接着剤層を支持体、すなわちシェルまたはライナーにコーティングするために用いる組成物および方法に応じて、接着剤層は約10〜600%伸縮する。好ましくは、接着剤層を支持体にコーティングするために用いる方法は、接着剤層によりシェルからライナーへ確実に負荷を伝達するものである。接着剤層が約100〜600%伸縮する場合、接着剤は編物/織物繊維間に浸透してペグ様の接着を提供する必要がある。接着剤層が約10〜100%伸縮する場合、ライナーへの接着剤の浸透は必要ない。
【0023】
約10〜100%伸縮する熱可塑性接着剤系は多数ある。これらには、低分子量ポリエチレン(融点=110℃)、ポリエステル(融点=120℃)、エチレンビニルアセテートポリマー(融点=121℃)、エチレン2-エチルヘキシルアクリラートポリマーEEHA(融点=125℃)、および熱可塑性ポリウレタン、たとえばRTP Co.(ミネソタ州ウィノーナ)のRTP-2300 A(融点=111℃)が含まれる。これらのポリマーを溶融液として吹き付け、本発明に関して使用するのに適切な不粘着層として凝固させることができる。
【0024】
あるいは、接着剤層は湿分硬化した架橋性ポリウレタンを含むことができる。これを液体として吹き付けることができ、これは約500〜600%伸縮し、ポリマーシェルから離脱することはない。たとえば3MのJet-weld(商標)を121℃でジェットとして吹き付けることができ、これは湿分との反応により硬化および架橋する。他の例はイソシアネートを含むポリウレタン、たとえば等級35-503のものであり、これはSovereign Specialty Chemicalsから入手できる。ポリマーシェルを湿分硬化した熱可塑性ポリウレタン系接着剤でライナーに接着した場合、ライナーはシェル-接着剤層界面または接着剤-ライナー界面で分離することなく破断して小片になる。これは、ライナーが完全に崩壊するほど完全に負荷がライナーへ伝達されることを示す。したがって、湿分硬化した熱可塑性ポリウレタン系接着剤が好ましい。
【0025】
ポリマーシェルは標準的な慣用される浸漬、ゲル化および硬化プロセスで作成されるので連続プロセス生産ラインで同じ位置において製造でき、あるいはライナー/接着剤接着操作の直前に貯蔵から取り出すことができる。実際に、ポリマーシェル加工プラントの物理的場所は、ライナー接着剤接着プロセス設備から離れていてもよい。この空間的および時間的融通性のため、支持体付きポリマーシェル製品の製造プロセスを受注に従って”適時に”行うことができ、これにより原価構造が改善される。
【0026】
ポリマーシェルを不粘着性接着剤層でコーティングし、ライナーに接着することができる。この場合、ポリマーシェルを型に乗せ、不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし、そして周囲温度に冷却させる。次いで、接着剤層コーティングしたポリマーシェル上にライナーをドレッシングし、接着剤層を加熱溶融させる。ポリマーシェルを型から離脱させて裏返すと、ライナーはポリマーシェルの内面になる。好ましい態様においては、ポリマーシェルを骨格シェルにより支持し、不粘着性接着剤層でコーティングし、そしてライナーでドレッシングすることができる。骨格型により支持したポリマーシェルを膨張させて、ポリマーシェルとライナーを密に接触させ、赤外線加熱して接着剤層を溶融させる。ライナーがポリマーシェルの内側になるように、ポリマー物品を裏返す。この場合も、ライナーがポリマーシェルの伸縮性を制限する。
【0027】
したがって、前記の観点において本発明方法は、下記の工程を含む:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせよりなる群から選択される繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
c)シェルを骨格支持台に乗せ;
d)骨格支持台上のシェルの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
e)接着剤層がシェルとライナーの間になるように、シェルをライナーでドレッシングし;
f)骨格支持台に乗せたシェルを空気圧で膨張させて、ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ;
g)接着剤層およびドレッシングライナーを備えたシェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
h)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
ライナーは綿、レーヨンまたはその組合わせを含むことができ、これによりシェルを裏返すと吸湿性物品が得られる。あるいはライナーはケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含むことができ、これによりシェルは切断抵抗性物品を提供する。骨格支持台に乗せたシェルの外面に、接着剤層をホットメルト吹付けまたは乾燥粉末吹付けによりコーティングすることができる。
【0028】
あるいは、ライナーを不粘着性接着剤層でコーティングし、ポリマーシェルに接着することができる。この場合、ポリマーシェルを型に乗せ、ライナーを不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングする。この接着剤層コーティングしたライナーをポリマーシェル上にドレッシングし、接着剤層を加熱溶融させる。その際、ライナーはポリマーシェルの外面に接着する。好ましい態様においては、ポリマーシェルを骨格シェルにより支持し、接着剤層がポリマーシェルとライナーの間になるように、不粘着性接着剤層でコーティングしたライナーでドレッシングする。次いでこのアセンブリーを加熱して接着剤層を溶融させると、これによりポリマーシェルとライナーの間に接着が形成される。
【0029】
したがって、前記の観点において本発明方法は、下記の工程を含む:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
c)ライナーを型に乗せ;
d)型上のライナーの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
e)接着剤層コーティングしたライナーを型から剥離し;
f)シェルを骨格支持台に乗せ;
g)接着剤層がシェルとライナーの間になるように、シェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし;
h)骨格支持台に乗せたシェルを空気圧で膨張させて、ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ;
i)接着剤層およびライナーを備えたシェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
j)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
ライナーは綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、またはその組合わせを含むことができ、これにより支持体付きポリマーシェルを裏返すと吸湿性物品が得られる。あるいはライナーはケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含むことができ、これにより支持体付きポリマーシェルは切断抵抗性物品を提供する。型上のライナーの外面に、接着剤層をホットメルト吹付け間または乾燥粉末吹付けによりコーティングすることができる。
【0030】
あるいは、ライナーを編成または織成するために用いる繊維を、織成または編成の前に不粘着性熱可塑性接着剤でコーティングすることができる。この態様において、本発明方法は下記の工程を含む:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を不粘着性熱可塑性接着剤でコーティングし;
c)接着剤でコーティングした繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
d)シェルを骨格支持台に乗せ;
e)シェルをライナーでドレッシングし;
f)骨格支持台に乗せたシェルを空気圧で膨張させて、ライナー、熱可塑性接着剤およびシェルを密に接触させ;
g)シェル、ライナーおよび熱可塑性接着剤を赤外線照射し、これにより接着剤を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
h)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
ライナーは綿、レーヨンまたはその組合わせを含むことができ、これによりシェルを裏返すと吸湿性物品が得られる。あるいはライナーはケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含むことができ、これによりシェルは切断抵抗性物品を提供する。
【0031】
さらに他の態様において、本発明方法は下記の工程を含む:
a)2つの凝固剤コーティングした型を別個に水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を2つの型それぞれの上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させ、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離することにより、第1および第2の硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)第1ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ;
c)骨格型上の第1ポリマーシェルの外面を第1の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
d)ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し;
e)接着剤層が第1シェルとライナーの間になるように、第1ポリマーシェルを接着剤層コーティングした切断抵抗性ライナーでドレッシングし;
f)切断抵抗性ライナーの外面を第2の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
g)接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを第2シェルでドレッシングし;
h)骨格支持台に乗せた第1シェルを空気圧で膨張させて、第1シェル、第1接着剤層、切断抵抗性ライナー、第2接着剤層および第2シェルを密に接触させ;
i)第1シェル、第1接着剤層、切断抵抗性ライナー、第2接着剤層および第2シェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させて第1シェル、切断抵抗性ライナーおよび第2シェル間に接着を形成し;
j)接着剤層で接着したこれらのシェルを冷却して、支持体付き切断抵抗性ポリマーシェル物品を形成し;そして
k)場合により、切断抵抗性ライナーの外面を軟質ポリマー層でコーティングする。
【0032】
さらに他の態様において、本発明方法は下記の工程を含む:
a)第1および第2の凝固剤コーティングした型を別個に水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を2つの型それぞれの上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させ、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離することにより、第1および第2の硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し;
c)周囲温度で固体かつ不粘着性であってポリウレタン系熱可塑性接着剤を含む熱可塑性接着剤を、ホットメルト吹付けまたは乾燥粉末吹付けにより切断抵抗性ライナーの内面および外面に付与し;
d)第1シェルを骨格支持台に乗せ;
e)第1シェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし;
f)接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを、第2シェルでドレッシングし;
g)骨格支持台に乗せた第1シェルを空気圧で膨張させて、第1シェル、接着剤コーティングしたライナーおよび第2シェルを密に接触させ;
h)第1シェル、接着剤コーティングしたライナー、および第2シェルを赤外線照射し、これにより接着剤を溶融させて第1シェル、切断抵抗性ライナーおよび第2シェル間に接着を形成し;
i)接着剤層で接着したこれらのシェルを冷却して、支持体付き切断抵抗性ポリマーシェル物品を形成し;そして
j)場合により、切断抵抗性ライナーの外面を軟質ポリマー層でコーティングする。
【0033】
前記方法に関して、ホットメルト吹付けは、接着剤を溶融させ、接着剤をノズルへ送り、これによりホットメルト接着剤をポリマーシェルまたはライナーのいずれかに吹き付ける工程を含むことができる。吹付けパターンは、シェルまたはライナーの最適接着剤所要量が得られるように選択できる。一般に接着剤使用量は少なく、たとえば約0.001〜0.01 g/cm2、または手袋1対当たり約0.5〜5 gであり、これにより接着に適切な薄い接着剤層が形成される。付与したこの少量のホットメルト接着剤は、溶融および接着プロセス中にポリマーシェルの複雑な三次元表面を流下することなく、それを付与したのとほぼ同じ場所に留まる。したがって、支持体付きポリマーシェル物品に非可撓性領域が形成されるのを阻止するように、使用する接着剤の量を限定することが重要である。次いで接着剤層を周囲温度に冷却すると、この時点で接着剤層は実質的に不粘着性となる。この不粘着性は、接着剤コーティングした部材(すなわちシェルまたはライナー)を接着剤コーティングしていない部材(すなわちライナーまたはシェル)でドレッシングするために重要である。粘着性接着剤は接着剤コーティングした部材の適正なドレッシングを妨げるであろう。
【0034】
前記方法に関して、乾燥粉末吹付けは、周囲温度で乾燥粉末である接着剤の付与を含むことができる。この時点で接着剤は実質的に不粘着性である。次いで、接着剤コーティングした部材を、接着剤コーティングしていない部材で容易にドレッシングすることができる。
【0035】
物品が手袋である場合、手袋として成形された接着剤コーティングしたポリマーシェルを接着するのに好都合な方法は、手袋の指のホルダーとして作用する小径金属棒を備えた骨格型に、手袋を取り付けることである。手袋の腕延長部を、棒状の指サポート直下にある円錐部分上に挿入し、手袋が気密になるようにクランプ留めする。不粘着性接着剤コーティングしたポリマー手袋シェル上にライナーを滑り込ませる。手袋の内側に圧縮空気を送り込み、接着剤コーティング付き手袋ポリマーシェルを、ライナーに接触してそれにより保持されるまで膨張させる。この状態において、ライナーは実質的にあらゆる部位で、接着剤コーティングしたポリマーシェルと接触している。膨張した手袋アセンブリーを加熱ステーションへ移動させ、ここでアセンブリーを接着剤の溶融に十分な温度、すなわち接着剤が粘着性になる温度にする。加熱ステーションで赤外線熱源または対流熱源を使用できる。アセンブリーを周囲温度に冷却させる。この時点で接着剤はライナーおよびポリマーシェルに確実に接着し、不粘着性であり、汗による漏出または体温による劣化の可能性はない。
【0036】
図1Aには、ポリマーシェル15、ライナー17および接着剤層16を含む支持体付きポリマーシェル10の一部、すなわち吸湿性手袋の指部分を示す。加工中にポリマーシェルを裏返して、接着剤層を外面上にする。ライナーを不粘着性接着剤層上に滑り込ませ、加熱して接着剤層を溶融させ、これによりポリマーシェルとライナーの間に接着を形成する。ポリマーシェル、接着剤層およびライナー間の接着によりポリマーシェルの過度の伸縮が阻止され、したがってポリマーシェルと接着剤層の界面における離層が阻止される。
【0037】
図1Bには、ポリマーシェル15、切断抵抗性ライナー18、および接着剤層16を含む支持体付きポリマーシェル11の一部、すなわち吸湿性手袋の指部分を示す。加工中にポリマーシェルを裏返して、接着剤層を外面上にする。切断抵抗性ライナーを不粘着性接着剤層上に滑り込ませ、加熱して接着剤層を溶融させ、これによりポリマーシェルとライナーの間に接着を形成する。吸湿性手袋について前記に述べたように、ポリマーシェル、接着剤層およびライナー間の接着によりポリマーシェルの過度の伸縮が阻止され、したがってポリマーシェルと接着剤層の界面における離層が阻止される。実際には、切断抵抗性ライナーとポリマーシェルの間に接着が達成された後、製品の外観を改善し、かつ切断抵抗性繊維を損傷から保護するために、切断抵抗性ライナーの外面を防護用の軟質ポリマー層、たとえばポリウレタンラテックスでコーティングしてもよい。
【0038】
図1Cには、ポリマーシェル15、吸湿性の皮膚接触ライナー17、接着剤層16、および切断抵抗性ライナー18を含む支持体付きポリマーシェル12の一部、すなわち切断抵抗性吸湿性手袋の指部分を示す。加工中にポリマーシェルを裏返して、接着剤層を外面上にする。吸湿性ライナーを接着剤層上に付与し、加熱して接着剤層を溶融させ、これによりポリマーシェルと吸湿性ライナーの間に接着を形成する。その後ポリマーシェルを裏返して、不粘着性接着剤層を付与し、次いで切断抵抗性ライナーを付与し、加熱して接着剤層を溶融させ、これによりポリマーシェルと切断抵抗性ライナーの間に接着を形成する。吸湿性ライナーと切断抵抗性ライナーの接着剤溶融工程を一緒にしてもよい。吸湿性手袋について前記に述べたように、ポリマーシェル、接着剤層およびライナー間の接着によりポリマーシェルの過度の伸縮が阻止され、したがってポリマーシェルと接着剤層の界面における離層が阻止される。実際には、切断抵抗性ライナーとポリマーシェルの間に接着が達成された後、製品の外観を改善し、かつ切断抵抗性繊維を損傷から保護するために、切断抵抗性ライナーの外面を防護用の軟質ポリマー層、たとえばポリウレタンラテックスでコーティングしてもよい。
【0039】
図1Dには、ポリマーシェル15および18、切断抵抗性ライナー17、ならびに接着剤層16および19を含む支持体付きポリマーシェル14の一部、すなわち切断抵抗性手袋の指部分を示す。加工中にポリマーシェルの外面を不粘着性接着剤層でコーティングし、接着剤層上にライナーを付与する。第2のポリマーシェルを裏返して不粘着性接着剤層でコーティングし、再び裏返し、ライナー上に滑り込ませる。あるいは、ライナーを不粘着性接着剤層でコーティングし、第1ポリマーシェル上に滑り込ませてもよい。次いで第2ポリマーシェルをライナー上に滑り込ませることができる。接着剤層によるポリマーシェルとライナーの間に接着によりポリマーシェルの過度の伸縮が阻止され、ポリマーシェルとライナーの界面における離層が阻止される。
【0040】
図2Aには、ポリマーシェル用の骨格支持台20を示す。この骨格支持台は、ポリマーシェル上に接着剤層を付与するために、または接着剤コーティングした部材をドレッシングするために使用できる。支持台は、接着剤層の溶融に際してシェルとライナーの間の接着を形成する補助となる。接着剤コーティングしたポリマーシェルが、接着剤層の溶融に際してライナーに接触するようにポリマーシェルを膨張させる手段を設置する。図2Aに示すように、手袋形物品のための骨格支持台は、指支持台25および親指支持台26を含む。指および親指の支持台はワイヤ部材27に取り付けられ、この部材は管部材28に取り付けられる。図示するように、管部材28は円錐チャンバー35に溶接され、チャンバーから出ている。円錐チャンバー35は、膨張用空気を排気するように設計された排気開口を36および38に備えている。矢印は骨格支持台内の空気の流れを示す。圧縮空気は円錐チャンバー35の底で管部材28と接続し、指支持台25および親指支持台26に空気圧をかける。
【0041】
図2Bには、手袋形物品(破線で示す)を骨格支持台上にドレッシングした状態の骨格支持台20の前面図を示す。指支持台25が対応する手袋の指に挿入され、親指支持台26が手袋の親指に挿入されている。手袋は円錐チャンバー35を覆っている。空気圧をかけた際に手袋シェルがずれるのを防ぐために、手袋をクランプ留めしてもよい。クランプ手段は図示されていない。周囲温度で固体である薄い接着剤層でシェルをコーティングすることができる。接着剤コーティングしたシェル上にライナーを滑り込ませる。あるいは、ライナーの内面を接着剤層でコーティングしてシェル上に滑り込ませることもできる。円錐チャンバー35に溶接された管28から空気圧(矢印)が付与され、中心支持管28内を移動して指支持台25および親指支持台26に出る。空気圧はポリマーシェルを膨張させ、空気は口36および38から排出される。この排気作用のためポリマーシェル内の圧力は最小であり、ポリマーシェルは中間に接着剤層をおいた状態でライナーに押し付けられる。次いでこのアセンブリーを加熱ステーションへ運び、接着剤層を溶融させる。
【0042】
図2Cには、手袋形物品(破線30で示す)を骨格支持台上にドレッシングした状態の側面図22を示す。指支持台25が対応する手袋の指に挿入され、親指支持台26が手袋の親指に挿入されている。手袋は円錐チャンバー35を覆っている。空気圧をかけた際にポリマー手袋シェルがずれるのを防ぐために、手袋をクランプ留めしてもよい。クランプ手段は図示されていない。周囲温度で固体である薄い接着剤層でポリマーシェルをコーティングすることができる。接着剤コーティングしたポリマー手袋シェル上にライナーは容易に滑り込む。あるいは、ライナーを接着剤層でコーティングしてシェル上に滑り込ませることもできる。円錐チャンバー35に溶接された管28から空気圧(矢印)が付与され、中心支持管28内を移動して指支持台25および親指支持台26に出る。空気圧はシェルを膨張させ、空気は口36および38から排出される。この排気作用のためポリマーシェル内の圧力は最小であり、ポリマーシェルは中間に接着剤層をおいた状態でライナーに押し付けられる。次いでこのアセンブリーを加熱ステーションへ運び、接着剤層を溶融させる。
【0043】
本発明は、実質的にピンホールまたは亀裂などの欠陥がなく、卓越した耐薬品性を備えた、支持体付きポリマーシェルを提供する。ライナーがポリマーシェルを支持するので、ポリマーシェルをライナーに接着している接着剤層を破壊するほどシェルが伸縮することはあり得ない。たとえば綿および/またはレーヨンから作成されたライナーは、使用者の皮膚に接触し、卓越した吸湿性、すなわち汗の管理を提供することができる。あるいは、鋼線、ケブラー(商標)および/またはスペクトラ(商標)から作成されたライナーをシェルの外側またはシェルの内部に配置して、切断抵抗性を付与することができる。そのようなシェルの内面に吸湿性ライナーを含むこともできる。
【0044】
ポリマーシェルは、手袋、防護手袋(gauntlet)、ブーツ、エプロン、ならびに耐薬品性および機械的統合性を要求する他の工業用防護品(これらに限定されない)を含めた多数の用途に適した形状であってよい。耐薬品性はピンホールのない高品質ポリマーシェルにより提供され、強度特性は接着剤層でポリマーシェルに永久的に接着されたライナーにより提供される。
【0045】
実施例
以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0046】
実施例1
常法により水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、凝固剤を用いてニトリルラテックスをゲル化し、ポリマーを硬化させて架橋することにより、ニトリルポリマーシェルを作成した。一対の手袋当たり約3 gの接着剤を吹き付けることにより、熱可塑性ポリウレタン系接着剤の層をニトリルポリマーシェル上にホットメルト吹付けした。一般的な編成法で綿ライナーを製造した。接着剤コーティングしたポリマーシェルにライナーを乗せ、赤外線熱源により125℃に加熱した。このアセンブリーを冷却した。ライナーは支持体編物ライナーに永久的に接着された。この支持体付きニトリルポリマーシェルを周囲湿度の空気中に保持し、熱可塑性ポリウレタン系接着剤を硬化および架橋させた。
【0047】
実施例2
実施例1からのストリップを切断し、接着強度を評価した。試験法BS EN IS02411 :2000、”ゴムまたはプラスチックでコーティングした布帛。コーティング接着の測定”(B.S.I. Chiswick、英国ロンドン、ハイ・ロード)により接着強度を測定した。ライナーをポリマーシェルから実際に剥離することにより、剥離強さを測定した。結合したポリマーシェルとライナーの自由末端それぞれを引張り試験機のジョー内に保持し、反対方向の力をかけて2つを剥離した。測定値の単位を、剥離幅50 mm当たりのニュートン力(N)、すなわちN/50 mm(剥離線幅)で記載する。本発明物品は最小剥離強さ35 N/50 mm(剥離線幅)を示した。より多くの場合、剥離強さは63 N/50 mm幅を超え、剥離した断片は分断されたライナーがなおポリマーシェルに結合していることが特徴であった。これは、支持しているライナーが分断されるまでライナーがポリマーシェルを支持したことを示す。
【0048】
本発明は、下記の特性を兼ね備えた支持体付きポリマーシェルを提供する:
a)ピンホールまたは欠陥のないポリマーシェル;
b)ポリマーシェルがポリマーシェルとライナーの間に配置された熱可塑性接着剤層を用いてライナーに接着されている;
c)接着剤層は周囲温度で実質的に不粘着性である;
d)接着剤層はポリマーシェルまたはライナーの劣化温度より低い温度で溶融する;および
e)ポリマーシェルとライナーの接着は、ライナーとポリマーシェルの間に配置された接着剤層を溶融し、加熱した支持体付きポリマーシェルを冷却することにより達成される;
その際、接着したライナーはポリマーシェルの伸縮性を制限し、これにより接着剤層-ポリマーシェル界面の分離が阻止される。
【0049】
本明細書に引用した特許出願および特許を含めたすべての参考文献を、それぞれの参考文献が個別に具体的に援用すると指示したと同様に、またその全体を本明細書に記載したと同様に、本明細書に援用する。
【0050】
本発明の記載において(特に特許請求の範囲の記載において)、別途指示しない限り、または記載が明らかに異ならない限り、単数形の使用は単数および複数の両方を含むものとする。本明細書中で引用する数値範囲は、本明細書中に別途指示しない限り、その範囲に含まれる個別数値それぞれの個別記載の略記法として示したにすぎず、個別数値それぞれを個々に本明細書に引用したと同様に本明細書中に引用する。本明細書中に別途指示しない限り、または記載が明らかに異ならない限り、本明細書に記載するすべての方法を任意の順序で実施できる。本明細書中に示した例または例示語(”たとえば”など)は、本発明をより良く説明するために示したにすぎず、別途記載しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの語も、特許請求の範囲に記載されない要素を本発明の実施に必須であると指摘するものと解釈すべきでない。
【0051】
本発明者に既知の本発明の実施に最良の様式を含めた本発明の好ましい態様を本明細書に記載する。示した態様は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】本発明に従ってポリマーシェルの内側に接着剤層で接着されたライナーにより支持された、ポリマーシェルラテックス物品の部分断面図を示す。
【図1B】本発明に従ってポリマーシェルの外側に接着剤層で接着された切断抵抗性ライナーにより支持された、ポリマーシェルラテックス物品の部分断面図を示す。
【図1C】本発明に従ってポリマーシェルの外側に接着剤層で接着された切断抵抗性ライナーおよびポリマーシェルの内面に接着剤層で接着された湿分管理ライナーにより支持された、ポリマーシェルラテックス物品の部分断面図を示す。
【図1D】本発明に従って接着剤層で中間に接着された切断抵抗性ライナーにより支持された2つのポリマーシェルを備えた、ポリマーシェルラテックス物品の部分断面図を示す。
【図2A】本発明方法に従ってポリマーシェルを取り付けるための骨格マンドレルおよびポリマーシェルを膨張させるための手段の前面図を示す。
【図2B】中間に接着剤層を備えたポリマーシェルおよびライナー(破線で表わす)を含む、図2Aの骨格マンドレルのアセンブリーを示す。
【図2C】図2Bのアセンブリーの側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)実質的に欠陥のない少なくとも1つの硬化した液体不浸透性ポリマーシェル;
b)少なくとも1つのライナー;および
c)少なくとも1つのシェルと少なくとも1つのライナーの間に配置された不粘着性熱可塑性接着剤層
を含む物品であって、
接着剤層は溶融および凝固して、少なくとも1つのシェルと少なくとも1つのライナーの間に不粘着性接着を形成し、
これによりライナーはシェルを支持してその伸縮性を制限し、これにより接着剤層と少なくとも1つのシェルおよび/または少なくとも1つのライナーとの間の接着離層が阻止された物品。
【請求項2】
シェルが天然ラテックス組成物および/または合成ラテックス組成物を含む、請求項1の物品。
【請求項3】
合成ラテックス組成物がニトリルラテックスである、請求項2の物品。
【請求項4】
ライナーが織布を含む、請求項1の物品。
【請求項5】
ライナーが編布を含む、請求項1の物品。
【請求項6】
ライナーが、綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから加工された布帛を含む、請求項1の物品。
【請求項7】
接着剤層が、低分子量ポリエチレン、ポリエステル、エチルビニルアセテートポリマー、エチレン2-エチルヘキシルアクリラートポリマー、およびポリウレタンよりなる群から選択されるポリマーを含み、約140℃より低い融点を有する、請求項1の物品。
【請求項8】
接着剤層が湿分硬化架橋性ポリウレタンを含む、請求項1の物品。
【請求項9】
接着剤が約0.001〜0.01 g/cm2の範囲で付与された、請求項1の物品。
【請求項10】
ライナーが約0.5〜20%の範囲の伸縮性を有する、請求項1の物品。
【請求項11】
物品が手袋、防護手袋、ブーツ、またはエプロンである、請求項1の物品。
【請求項12】
物品が皮膚接触面を含み、ライナーが皮膚接触面にあり、ライナーが湿分を吸収する、請求項1の物品。
【請求項13】
ライナーが綿および/またはレーヨンを含む、請求項12の物品。
【請求項14】
物品が皮膚に接触しない面を含み、ライナーがこの皮膚に接触しない面にあり、ライナーが切断抵抗性である、請求項1の物品。
【請求項15】
ライナーが鋼線、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、またはその組合わせを含み、軟質ポリマーコーティングで封入されていてもよい、請求項14の物品。
【請求項16】
切断抵抗性ライナー、第1接着剤層、シェル、第2接着剤層、および吸湿性ライナーを含み、第1接着剤層がポリマーコーティングで封入されていてもよい切断抵抗層とシェルの間の接着を形成し、第2接着剤層が吸湿層とシェルの間の接着を形成する、請求項1の物品。
【請求項17】
第1シェル、第1接着剤層、ポリマーコーティングで封入されていてもよい切断抵抗性ライナー、第2接着剤層、および第2シェルを含み、第1接着剤層が第1シェルと切断抵抗性ライナーの間の接着を形成し、第2接着剤層が第2シェルと切断抵抗性ライナーの間の接着を形成する、請求項1の物品。
【請求項18】
下記の工程を含む、支持体付きポリマーシェル物品の製造方法:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせよりなる群から選択される繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
c)シェルを骨格支持台に乗せ;
d)骨格支持台上のシェルの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
e)接着剤層がシェルとライナーの間になるように、シェルをライナーでドレッシングし;
f)骨格支持台上のシェルを空気圧で膨張させて、ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ;
g)接着剤層およびドレッシングライナーを備えたシェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
h)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
【請求項19】
ライナーが綿、レーヨンまたはその組合わせを含み、シェルを裏返して吸湿性物品を提供する、請求項18の方法。
【請求項20】
ライナーがケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含み、ポリマーコーティングで封入されていてもよく、シェルが切断抵抗性物品を提供する、請求項18の方法。
【請求項21】
骨格支持台上のシェルの外面に、接着剤層をホットメルト吹付けによりコーティングする、請求項18の方法。
【請求項22】
骨格支持台上のシェルの外面に、接着剤層を乾燥粉末吹付けによりコーティングする、請求項18の方法。
【請求項23】
下記の工程を含む、支持体付きポリマーシェル物品の製造方法:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
c)ライナーを型に乗せ;
d)型上のライナーの外面を不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
e)接着剤層コーティングしたライナーを型から剥離し;
f)シェルを骨格支持台に乗せ;
g)接着剤層がシェルとライナーの間になるように、シェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし;
h)骨格支持台に乗せたシェルを空気圧で膨張させて、ポリマーシェル、接着剤層およびライナーを密に接触させ;
i)接着剤層およびライナーを備えたシェルを赤外線照射し、これにより接着剤を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
j)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
【請求項24】
ライナーが綿、レーヨンまたはその組合わせを含み、支持体付きポリマーシェルを裏返して吸湿性物品を提供する、請求項23の方法。
【請求項25】
ライナーがケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含み、ポリマー層で封入されていてもよく、支持体付きポリマーシェルが切断抵抗性物品を提供する、請求項23の方法。
【請求項26】
型上のライナーの外面に、接着剤層をホットメルト吹付けによりコーティングする、請求項23の方法。
【請求項27】
型上のライナーの外面に、接着剤層を乾燥粉末吹付けによりコーティングする、請求項23の方法。
【請求項28】
下記の工程を含む、支持体付きポリマーシェル物品の製造方法:
a)凝固剤コーティングした型を水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を型上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させることにより作成した、硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を不粘着性熱可塑性接着剤でコーティングし;
c)接着剤でコーティングした繊維を用いて編成または織成したライナーを用意し;
d)シェルを骨格支持台に乗せ;
e)シェルをライナーでドレッシングし;
f)骨格支持台に乗せたシェルを空気圧で膨張させて、ライナー、熱可塑性接着剤およびシェルを密に接触させ;
g)シェル、ライナーおよび熱可塑性接着剤を赤外線照射し、これにより接着剤を溶融させてシェルとライナー間に接着を形成し;そして
h)接着剤層およびライナーを備えたシェルを冷却して、支持体付きポリマーシェル物品を形成する。
【請求項29】
ライナーが綿、レーヨンまたはその組合わせを含み、シェルを裏返して吸湿性物品を提供する、請求項28の方法。
【請求項30】
ライナーがケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせを含み、軟質ポリマー層で封入されていてもよく、シェルが切断抵抗性物品を提供する、請求項28の方法。
【請求項31】
下記の工程を含む、支持体付きポリマーシェル物品の製造方法:
a)2つの凝固剤コーティングした型を別個に水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を2つの型それぞれの上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させ、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離することにより、第1および第2の硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)第1ポリマーシェルを骨格支持台に乗せ;
c)骨格型上の第1ポリマーシェルの外面を第1の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
d)ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し;
e)接着剤層が第1シェルとライナーの間になるように、第1ポリマーシェルを接着剤層コーティングした切断抵抗性ライナーでドレッシングし;
f)切断抵抗性ライナーの外面を第2の不粘着性熱可塑性接着剤層でコーティングし;
g)接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを第2シェルでドレッシングし;
h)骨格支持台に乗せた第1シェルを空気圧で膨張させて、第1シェル、第1接着剤層、切断抵抗性ライナー、第2接着剤層および第2シェルを密に接触させ;
i)第1シェル、第1接着剤層、切断抵抗性ライナー、第2接着剤層および第2シェルを赤外線照射し、これにより接着剤層を溶融させて第1シェル、切断抵抗性ライナーおよび第2シェル間に接着を形成し;
j)接着剤層で接着したこれらのシェルを冷却して、支持体付き切断抵抗性ポリマーシェル物品を形成し;そして
k)場合により、切断抵抗性ライナーの外面を軟質ポリマー層でコーティングする。
【請求項32】
下記の工程を含む、支持体付きポリマーシェル物品の製造方法:
a)第1および第2の凝固剤コーティングした型を別個に水性ラテックスエマルジョンに浸漬し、ラテックス層を2つの型それぞれの上でゲル化させ、ゲル化したラテックス層を型上で加熱してラテックス層を架橋および硬化させ、第1および第2ポリマーシェルを型から剥離することにより、第1および第2の硬化した液体不浸透性ポリマーシェルを用意し;
b)ケブラー(商標)、スペクトラ(商標)、鋼線、またはその組合わせから選択される繊維を用いて編成または織成した切断抵抗性ライナーを用意し;
c)周囲温度で固体かつ不粘着性であってポリウレタン系熱可塑性接着剤を含む熱可塑性接着剤を、ホットメルト吹付けまたは乾燥粉末吹付けにより切断抵抗性ライナーの内面および外面に付与し;
d)第1シェルを骨格支持台に乗せ;
e)第1シェルを接着剤層コーティングしたライナーでドレッシングし;
f)接着剤層コーティングしたライナーを備えた第1シェルを、第2シェルでドレッシングし;
g)骨格支持台に乗せた第1シェルを空気圧で膨張させて、第1シェル、接着剤コーティングしたライナーおよび第2シェルを密に接触させ;
h)第1シェル、接着剤コーティングしたライナー、および第2シェルを赤外線照射し、これにより接着剤を溶融させて第1シェル、切断抵抗性ライナーおよび第2シェル間に接着を形成し;
i)接着剤層で接着したこれらのシェルを冷却して、支持体付き切断抵抗性ポリマーシェル物品を形成し;そして
j)場合により、切断抵抗性ライナーの外面を軟質ポリマー層でコーティングする。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2008−514467(P2008−514467A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534641(P2007−534641)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033457
【国際公開番号】WO2006/039131
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(598165943)アンセル・ヘルスケア・プロダクツ・エルエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】Ansell Healthcare Products LLC
【Fターム(参考)】