説明

ランプおよび照明器具

【課題】輝度を向上させながらも小型化を図ることができるランプを提供する。
【解決手段】ランプ1は、透光性のガラスにより形成され且つ内部にヘリウムガスが封入されてなるグローブ7と、実装基板21および当該実装基板21上に配設されたLEDチップを有し、グローブ7内に配置されたLEDモジュール(発光モジュール)5と、グローブ7内に配置され且つヘリウムガスの対流を促進させるピエゾファン80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、LED(Light Emitting Diode)を光源とするランプ及び照明器具に関し、特に、放熱特性の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、LED等の発光素子を光源とする電球形のランプ(LEDランプ)であって、LEDとLEDが実装された基板とから構成されるLEDモジュールで発生した熱が、主として、筐体や口金に伝導し、筐体の外表面から外部へ放出されたり、口金からソケットを介して照明器具側へ放出されるランプが提案されている(特許文献1乃至4参照)。
これらのランプは、透光性材料により形成されたグローブと、発光素子を有し、グローブ内に配置された発光モジュールと、発光モジュールを支持する筐体と、口金とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313717号公報
【特許文献2】特許第4135485号公報
【特許文献3】特許第4290887号公報
【特許文献4】US6793374明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、LEDランプに対して、輝度を向上させながらもランプ全体の小型化を図る要請がある。
しかしながら、特許文献1乃至4に記載されたランプでは、輝度を向上させるためにLEDモジュールに供給する電力を増大させると、LEDモジュールからの発熱量が増加する。すると、これらのランプでは、LEDモジュールで発生した熱が、主として筐体や筐体に伝導するので、筐体や口金の温度が上昇し、筐体に収納された点灯回路への熱負荷が大きくなってしまう。このため、LEDモジュールで発生する熱を効率良く外部へ放出させるには、グローブの外部に配置された筐体を大型化して筐体の外表面の面積を増加させたり、或いは、グローブの外部に配置された筐体に放熱フィンを設けたりせざるを得なくなる。すると、ランプ全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、輝度を向上させながらも小型化を図ることができるランプおよび照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るランプは、透光性材料により形成され且つ内部に空気より熱伝導率の高い流体が封入されてなるグローブと、発光素子を有し、グローブ内に配置された発光モジュールと、グローブ内に配置され且つ空気より熱伝導率の高い流体の対流を促進させる対流促進手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本構成によれば、グローブ内に配置され且つグローブ内に封入されてなる空気より熱伝導率の高い流体の対流を促進する対流促進手段を備えることにより、発光モジュールと上記流体との間での熱交換および上記流体とグローブとの間の熱交換が促進され、発光モジュールで発生した熱が、上記流体およびグローブを介して外部へ放出され易くなるので、輝度向上のために発光モジュールへの供給電力を増加させても発光モジュールの温度上昇を十分に抑制することができるから、輝度を向上させることができる。また、対流促進手段がグローブ内に配置されていることにより、ランプ全体の小型化を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係るランプは、上記対流促進手段が、上記流体をランプ軸に沿った方向に流動させるものであってもよい。
また、本発明に係るランプは、上記対流促進手段が、上記グローブの内壁の一部に配置されてなるものであってもよい。
また、本発明に係るランプは、上記内壁の一部が、上記グローブの内壁におけるランプ軸と交差する部位であってもよい。
【0009】
また、本発明に係るランプは、上記グローブの内方に向かって延出し且つ上記発光モジュールを支持する支持部材を備え、上記対流促進手段が、支持部材の周壁の一部に配置されてなるものであってもよい。
本構成によれば、支持部材を中空で内部に給電線が挿通可能な構成することにより、対流促進手段への電力供給を支持部材の内部を通る給電線で行うことができるので、対流促進手段へ非接触給電を行う場合に比べて構造の簡素化を図ることができるから、コスト低減および製造容易化を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係るランプは、上記対流促進手段が、ピエゾファンであってもよい。
本構成によれば、対流促進手段としてピエゾファンを用いることにより、低消費電力化、長寿命化、小型化および低ノイズ化を図ることができる。
また、本発明に係るランプは、上記グローブと連続一体に設けられ且つ上記支持部材が取着されてなるステムを備えるものであってもよい。
【0011】
また、本発明に係るランプは、上記発光素子を点灯させる点灯回路と、点灯回路の一部が内壁に接触した状態で点灯回路を収納する筐体とを備え、上記グローブおよび上記支持部材が、上記筐体に取着されてなり、グローブおよびステムと筐体との間に断熱材が介在してなるものであってもよい。
本構成によれば、点灯回路で発生し筐体に伝導した熱が、グローブおよびステムへ伝導しないので、点灯回路で発生した熱が発光モジュールに伝導してしまうことを防止できるから、発光モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、上記のランプを備える照明器具であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係るランプの概略斜視図。
【図2】実施の形態1に係るランプの概略断面図。
【図3】実施の形態1に係るLEDモジュールを示し、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図4】実施の形態1に係るピエゾファンを示し、(a)は概略斜視図、(b)は一部破断した断面図。
【図5】実施の形態1に係る送電回路および受電回路を示し、(a)は構成図、(b)は、送電回路の一部を構成する送電アンテナの概略平面図、(c)は、受電回路の概略斜視図。
【図6】実施の形態1に係るランプの動作説明図である。
【図7】実施の形態1に係るランプの製造方法について主要な製造工程を示す図。
【図8】実施の形態1に係るランプの製造方法について主要な製造工程を示す図。
【図9】実施の形態1に係るランプの製造方法について主要な製造工程を示す図。
【図10】実施の形態1に係るランプの製造方法について主要な製造工程を示す図。
【図11】実施の形態2に係る照明器具を示す概略側面図。
【図12】変形例に係るランプを示す概略斜視図。
【図13】変形例に係るランプを示す概略断面図。
【図14】変形例に係るランプの製造方法について主要な製造工程を示す図。
【図15】変形例に係るランプを示す概略斜視図。
【図16】変形例に係るランプの要部概略断面図。
【図17】変形例に係るランプの要部概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
<1>構成
第1の実施形態に係るランプ1の全体構成について、図1および図2を参照しながら説明する。ここで、図1は、ランプ1の斜視図、図2は、ランプ1の断面図である。
図1および図2に示すように、第1の実施形態に係るランプ1は、白熱電球に代替する電球形のLEDランプであって、光源であるLEDモジュール(発光モジュール)5と、透光性のグローブ7と、ケース(筐体)9と、電力を受電する口金11と、支持部材17と、ステム13と、回路ユニット15と、ピエゾファン80とを備える。
<1−1>LEDモジュール
LEDモジュール5は、実装基板21と、実装基板21の表面(上面でもあり、口金11と反対側である。)に実装された複数のLED22と、LED22を被覆する封止体23とを備える。
【0015】
実装基板21は、LED22から発せられた光のうち、後方へ発せられた光を遮らないように、透光性材料により構成されている。つまり、実装基板21の上面側のLED22で発せられて実装基板21に向かう光が、そのまま実装基板21を透過してグローブ7から出射するように、実装基板21を透光性材料により構成している。
図3は、LEDモジュール5の構造を示す図である。図3(a)は、LEDモジュール5の平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるA−A’線矢視断面図である。
【0016】
図3(a)に示すように、実装基板21は、平面視形状が矩形をしている。材料は、例えば、ガラスやアルミナ等により構成されている。なお、実装基板21には、LED22を電気的に接続(直列接続又は/及び並列接続である。)したり、回路ユニット15と接続したりするための配線パターン(図示せず)が形成されている。LED22から後方へ発せられた光の利用を考慮すると、配線パターンも透光性の材料で構成されるのが好ましく、このような透光性の材料としてはITO等がある。
【0017】
LED22は、実装基板21の上面に実装されている。LED22の個数、配列等は、ランプ1に要求される輝度等により適宜決定される。本実施形態では、LED22は複数あり、間隔(例えば、等間隔である。)をおいて、矩形状の実装基板21の長手方向に沿って直線状に2列に配置されている。
封止体23は、主に、透光性材料からなる。封止体23は、LED22への空気・水分の侵入を防止する機能を有する。ここでは、複数のLED22が直線状に配されている列単位で、当該列を構成するLED22を被覆している。
【0018】
封止体23は、前記空気等の侵入防止機能の他、LED22から発せられた光の波長を所定の波長へと変換する必要がある場合は、LED22からの光の波長を変換する波長変換機能も有する。なお、波長変換機能は、例えば、所定の光の波長を変換する変換材料を透光性材料に混入することで実施できる。
封止体23を構成する透光性材料としては、例えばシリコーン樹脂を利用することができる。また、波長変換機能を持たせる場合には、変換材料としては例えば蛍光体粒子を利用することができる。
【0019】
ここでは、LED22は青色光を発光色とするものであり、変換材料として青色光を黄色光に変換する蛍光体粒子が利用されている。これにより、LED22から出射された青色光と、蛍光体粒子により波長変換された黄色光とにより混色された白色光がLEDモジュール5(ランプ1)から発せられることとなる。
実装基板21には、配線パターンの給電端子24a,24bおよびその周辺に貫通孔26が形成されている。これにより、当該貫通孔26を通ったリード線49,51の一端は、半田90等により配線パターンの給電端子24a,24bと接続される。
【0020】
リード線49は、回路ユニット15からLEDモジュール5に正電圧を供給する正電圧供給線である。リード線49のLEDモジュール5側の一端部は、給電端子24aと半田接続により電気的に接続されており、リード線49の回路ユニット15側の他端部は、回路ユニット15の電力出力部と電気的に接続されている。
一方、リード線51は、回路ユニット15からLEDモジュール5に負電圧を供給する負電圧供給線である。リード線51のLEDモジュール5側の一端部は、給電端子24bと半田接続により電気的に接続されており、リード線51の回路ユニット15側の他端部は、回路ユニット15の電力出力部と電気的に接続されている。
【0021】
実装基板21の略中央に設けられている貫通孔25は、実装基板21と支持部材17の凸部17aとの結合に用いられるものである。貫通孔25に支持部材17の凸部17aが挿入されることにより、LEDモジュール5が支持部材17によりグローブ7内に支持される。さらに、LEDモジュール5は、支持部材17だけでなく、リード線49、51によっても支持されているので、LEDモジュール5を安定に支持することが可能である。この結果、例えば、LEDランプ100の使用時や搬送時等に、LEDモジュール5の発光中心がランプ軸Jからずれることを防止することができる。
<1−2>グローブ
グローブ7は、中空の球状をした球状部7aに筒状をした筒状部7bが滑らかに繋がった形状をしている。筒状部7bは、球状部7aからランプ軸J方向に離れるに従って縮径しており、グローブ7の全体形状が、一般白熱電球(フィラメントを有する電球)のそれと似た形状をした、いわゆるAタイプと称される電球に近似する。また、グローブ7全体は、ガラス等の透光性材料により形成されている。
【0022】
筒状部7bの一端は開口しており、この開口がステム13により塞がれている。なお、以下において、開口が存在する側の端部を開口側端部とする。
<1−3>ケース
ケース9は、樹脂材料(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やガラス繊維等を混入させた樹脂材料)により形成され、白熱電球のバルブの口金側に近い部分と同じような形状をしている。図2に示すように、本実施形態では、ケース9は、ランプ軸J方向におけるグローブ側半分に大径部9aを、口金側半分に小径部9bをそれぞれ有する。また、大径部9aと小径部9bとの間には、図2における左下に示す拡大図のように段差部9cがある。
【0023】
大径部9aの上端部には、グローブ7と一体的に成形されたステム13が接着剤で固着されている。小径部9bにおける大径部9a側とは反対側に口金11が被着している。ここで、小径部9bの外周が雄ネジとなっており、口金11内にねじ込まれている。これにより、口金11とケース9とが結合される。この小径部9bには、ケース9の中心軸が延伸する方向と平行に延伸する溝が形成されている(図2の溝9d)。この溝は、口金11と回路ユニット15とを接続するリード線33を固定する(リード線33の移動を規制する)ものである。
【0024】
図2に示すように、ケース9は、その上端側の開口がステム13により塞がれ、下端側の開口が口金11により塞がれることで、内部に密閉状の空間を有する。この空間には回路ユニット15が収納される。なお、回路ユニット15の装着方法については、回路ユニット15の説明の際に行う。
<1−4>口金
口金11は、エジソンタイプが使用されている。口金11は、筒状であって周壁が螺子状をしたシェル部27と、シェル部27に絶縁部29を介して装着されたアイレット部31とからなる。
【0025】
シェル部27は、リード線33を介して、アイレット部31はリード線35を介して、それぞれ回路ユニット15と接続されている。なお、リード線33は、ケース9の小径部9bの内側から下端の開口を経由して外側へと引き出されてケース9の溝9dに嵌められた状態で、シェル部27に覆われている。これにより、ケース9の外周とシェル部27の内周とにリード線33が挟まれ、リード線33と口金11とが電気的に接続される。
<1−5>ステム
図1および図2に示すように、グローブ7における後方側の端部には、グローブ7の後方側の開口を閉塞するステム13が取着されている。本実施形態におけるステム13は、グローブ7と同一の透光性材料で構成されており、グローブ7とステム13は一体的に成形されている。また、図2に示すように、ステム13には、リード線49,51が挿通されている。
【0026】
ステム13により閉塞されたグローブ7(これを、バルブともいう)内(グローブ7とその開口を閉塞するステム13とで形成される領域)内には、空気よりも高い熱伝導性を有する流体が封入されている。本実施形態では、そのような流体としてヘリウム(He)ガスを用いている。ヘリウムガスを用いる利点としては、不活性であること、安価であること等が挙げられる。また、前述したように、本実施形態においてはグローブ7とステム13が一体的に成形されているので、ステム13により閉塞されたグローブ7内を密に封止することが可能である。
【0027】
上述のように、グローブ7内に、空気よりも熱伝導性の高いヘリウムガスを封入することにより、LED3点灯時に発生した熱をグローブ7へ効率良く伝導させることが可能である。また、グローブ7は、LEDランプ100を構成する部材の中でも包絡体積が大きい部材である。したがって、グローブ7に熱を伝導させることにより、グローブ7を有効に利用して、LED3発光時の熱を効率良くLEDランプ100の外部へ放熱することが可能である。
【0028】
ヘリウムガスの他に、空気よりも高い熱伝導性を有する流体として使用することが可能なものとしては、水素ガス、水等が挙げられる。なお、水素ガスを用いる場合には、ステム13により閉塞されたグローブ7内に酸素が含まれないようにする必要がある。
また、グローブ7内に封入するヘリウムガスの体積は特に限定されない。ステム13により閉塞されたグローブ7内が全てヘリウムガスで満たされていない場合であっても、グローブ7内にヘリウムガスを封入しない場合と比較して、グローブ7への熱の移動を促進させることが可能である。
【0029】
図1に示すように、ステム13には排気口13a2が設けられている。ヘリウムガスの封入は、この排気口13a2とそれに連続する排気管13b1を通じて行われる。図3に示す排気管封止部13bは、ヘリウムガスを封入した後、ステム13により閉塞されたグローブ7内を密閉するために端部が焼き切られた、排気管13b1の残部である。
なお、ステム13は、グローブ7の開口を塞ぐ機能を有する他、LED22の点灯時に発生する熱をグローブ7へ伝導させる機能を有する。この詳細は後ほど説明する。
<1−6>回路ユニット
回路ユニット15は、回路基板41と、当該回路基板41に実装された各種の電子部品43とから構成されている。
【0030】
回路基板41は、ケース9の内部に係止構造を利用して固定される。具体的には、ケース9の内部の段差部9cに回路基板41の裏面の周縁部分が当接し、大径部9aの内面の係止部47により回路基板41の表面が係止されている。
係止部47は、周方向に間隔(例えば、等間隔である。)をおいて複数個(例えば4個である。)形成されている。係止部47は、段差部9cに近づくに従ってケース9の中心軸側に張り出す形状をし、係止部47と段差部9cとの距離は、回路基板41の厚みに相当する。
【0031】
なお、回路基板41を装着する際には、回路ユニット15をケース9の大径部9a側から挿入し、回路基板41の下面(口金11側の面)が係止部47に到達すると、回路基板41をさらに押し込んで係止部47を通過させる。これにより、回路基板41が係止部47により係止され、回路ユニット15がケース9に装着される。
回路ユニット15は、口金11を介して受電した商業電力(交流)を整流する整流回路と、整流された直流電力を平滑化する平滑回路とを備える。ここで、整流回路と平滑回路とから整流平滑回路15aが構成される。平滑された直流電力は、必要があれば、昇圧・降圧回路等により、LED22への印加電圧である所定の電圧へと変換される。
【0032】
ここでは、整流回路はダイオードブリッジにより、平滑回路はコンデンサにより構成されている。ダイオードブリッジは回路基板41のグローブ7側の主面に実装されている。コンデンサは、回路基板41の口金11側の主面に実装され、口金11の内部に位置する。
<1−7>支持部材
図1および図2に示すように、ステム13の前方側の頂部には支持部材17が設けられている。支持部材17は、LEDモジュール5の支持具としての機能、ランプ1の発光時には放熱部材としての機能を併有する。
【0033】
支持部材17は、断面円形状の円柱部17bと当該円柱部17bの上端部に形成された扁平部17cとから構成される。
扁平部17cの上面には、凸部17dが形成されており、LEDモジュール5の実装基板21の略中央には、上述したように貫通孔25(図3)が形成されている。凸部17dの形状と貫通孔25の形状とは互いに対応しており、扁平部17cの凸部17dが実装基板21の貫通孔25に嵌合することで両者が結合される。
【0034】
円柱部17bの下端部は、接着部14でステム13に取着されている。この接着部14に用いられる接着剤としては、例えば、セラミックス、セメント等の無機材料系の接着剤が挙げられる。
<1−8>ピエゾファン
ピエゾファン80は、対流促進手段の一例として設けるものであり、グローブ7の内壁とランプ軸Jとが交差する部位に配置されている。このピエゾファン80の詳細な構成を図4(a)および(b)に示す。ここで、図4(b)は、図4(a)におけるB−B’線における一部破断した断面図である。
【0035】
ピエゾファン80は、第1電極80d1と、第1電極80d1上に設けられた圧電素子80bと、細長い平板状に形成され固定端側が圧電素子80bに接着された送風板80aと、送風板80aの上側に設けられた第2電極80d2と、第1電極80d1および第2電極80d2が外部に露出する形で圧電素子80bおよび送風板80aの固定端側を支持する支持部80cとを備えている。そして、第1電極80d1と第2電極80d2との間に交流電圧を印加すると、圧電素子80bが厚み方向に伸縮を繰り返す。これに伴い、圧電素子80bが接着されている送風板80aが、送風板80aの厚み方向に振動し(図4(b)中の破線部参照)、ピエゾファン80の周囲に存在するガスを流動させる。ここにおいて、ガスの流動方向は、送風板80aが延出する方向である(図4(b)中の矢印参照)。つまり、ピエゾファン80からは、送風板80aが延出する方向にガスが吹き出す。
また、図1に示すように、ピエゾファン80は、クローブ7の頂部に、送風板80aの延出方向がランプ軸J方向と一致するように配置されている。
【0036】
このピエゾファン80は、受電回路85に接続されており、受電回路85から供給される電力により駆動する。この受電回路85は、回路ユニット15に設けられた送電回路16から給電(非接触給電)される。
ピエゾファン80へ非接触給電を行うシステムの構成図を図5(a)に示す。
図5(a)に示すように、回路ユニット15には、電磁波を出力する送電回路16が設けられている。送電回路16は、整流平滑回路15aの出力端に接続され交流電力を発生するインバータ16aと、インバータ16aに接続されたコイルアンテナからなる送電アンテナ16bとから構成される。この送電アンテナ16bは、図5(b)に示すように回路基板41に形成された配線パターンにより構成されている。
【0037】
また、受電回路85は、回路ユニット15が備える送電回路16の送電アンテナ16bから送信された電磁波を受信するコイルアンテナからなる受電アンテナ85aと、受電アンテナ85aに接続された共振回路85bとから構成される。そして、共振回路85bの出力端間に発生する交流電圧が、圧電素子80bの厚み方向の両面側に設けられた2つの電極80d1,80d2間に印加される。ここで、受電アンテナ85aは、図5(c)に示すように、グローブ7の周壁に設けられたコイルアンテナから構成される。また、共振回路85bは、コンデンサと抵抗とから構成され、ピエゾファン80に隣接して設けられている。
<2>動作
第1の実施形態に係るランプ1の動作について図6に基づいて説明する。
【0038】
図6に示すように、ランプ1は、グローブ7の頂部が下向きになるようにして照明器具に装着される場合が多い。以下、グローブ7内において、ランプ軸J上におけるグローブ7の頂部に向かう方向を下方、グローブ7の頂部に向かう方向とは反対方向を上方として説明する。
グローブ7内に封入されたヘリウムガスは、LEDモジュール5から発せられる熱により暖められると、自然対流によりグローブ7上方のステム13に向かって流動する。その後、ステム13の近傍で、グローブ7の周壁或いはステム13を介して外気と熱交換を行うことにより、ヘリウムガスは冷却される。すると、冷却されたヘリウムガスは、グローブ7の周壁に沿ってグローブ7の下方へ流動していく。そして、グローブ7の下方まで流動してきたヘリウムガスは、再び、LEDモジュール5側へ流動する。その後、LEDモジュール5側へ流動したヘリウムガスは、LEDモジュール5と熱交換することにより、暖められ、再びグローブ7の上方へと流動していく。
【0039】
そして、第1の実施形態では、グローブ7の頂部に設けられたピエゾファン80が、グローブ7の下方まで流動してきたヘリウムガスのLEDモジュール5側への流動を促進する(つまり、ヘリウムガスの対流を促進する)ことになる(図6中の矢印参照)。
つまり、グローブ7内に封入されたヘリウムガスが対流することにより、LEDモジュール5で発生した熱は、ヘリウムガスを介してグローブ7に伝導し、その後、グローブ7の外表面から外部へ放出されることになる。そして、第1の実施形態では、ピエゾファン80によりヘリウムガスの対流が促進されることで、LEDモジュール5で発生した熱のグローブ7の外部への放出が促進されることになる。
【0040】
なお、第1の実施形態は、ランプ1がグローブ7の頂部が上向きになるように装着される例について説明したが、グローブ7の頂部が下向き、或いは、ランプ軸Jが鉛直方向と交差するように装着してもよい。但し、第1の実施形態では、ランプ2が、グローブ7の頂部が下向きとなるように装着される場合が最も効果が得られる。
また、グローブ7内にヘリウムガスを封入するだけで、LEDモジュール5の温度を50℃程度低下することが、本願の発明者により実証されている。すると、第1の実施形態のように、グローブ7内にピエゾファン80を設けてグローブ7内のヘリウムガスの対流を促進させることによりLEDモジュール5の温度の更なる低下が望めると考えられる。
<3>製造方法
第1の実施形態に係るランプ1の製造方法について、図2も併せて参照しながら、図7乃至図10に基づいて説明する。
【0041】
ここで、図7は、ステムヘッド13aに細管13b’の先端部が溶着されてなる構造体を得る製造工程について、各工程における断面図を示したものであり、図7(a)乃至(c)は、ランプ軸Jに直交する一方向から見た断面図、図7(a)’乃至(c)’は、ランプ軸Jおよび上記一方向とは直交する一方向から見た断面図である。また、図7乃至図10における上下方向は、以下の説明における上下方向と一致するものとする。
【0042】
また、図8乃至図10は、ステムヘッド13aに細管13b’の先端部が溶着されてなる構造体に、グローブ7やケース9,口金11を取着することによりランプ1が完成するまでの製造工程について、各工程における概略斜視図を示したものである。
まず、図7(a)および(a)’に示すように、ステムヘッド13a(図2参照)の基となるフレア管13a’の内側に2本のリード線49,51を挿通するとともに、排気管封止部13b(図2参照)の基となる細管13b’をその先端部がフレア管13a’の内側に位置するように配置する。
【0043】
次に、フレア管13a’のストレート部13a1’を加熱溶融することにより、フレア管13a’の前方側(上方側)の端部が、細管13b’の上端部に溶着し、図7(b)および(b)’に示すような、ステムヘッド13aの下方側に細管13b’の上端部が溶着されてなる構造体を得る。
続いて、ステムヘッド13aにおける細管13b’が溶着された部位を加熱し、ステムヘッド13aにおける細管13b’が溶着された部位が軟化した状態で、細管13b’に空気を封入し、細管13b’に所定の内圧を加える。すると、ステムヘッド13aにおける細管13b’が溶着された部位に圧力が加わり、排気口13a2が形成される(図8(a)参照)。こうして、ステムヘッド13aに開口する排気口13a2に連通する排気管13b1が設けられてなる構造体を得る。
【0044】
その後、ステムヘッド13aの略中央部に支持部材17を接着剤で固着する(図8(b)参照)。このとき、ステムヘッド13aと支持部材17との間に接着部14が形成される。
次に、支持部材17の先端部に、LEDモジュール5を取着する。ここでは、支持部材17の先端部に形成された凸部17dが、LEDモジュール5の実装基板21に形成された貫通孔25に挿通される。その後、リード線49,51それぞれの一端部を給電端子24a,24bに接合する。こうして、図8(c)に示すような、LEDモジュール5、支持部材17およびステム13から構成される構造体(以下、マウントと称す)を得る。
【0045】
続いて、図8(c)に示す、マウントの外側に、グローブ7の基となるガラス製のグローブ用部材7’を被せたる。ここで、グローブ用部材7’の頂部には、予めピエゾファン80が接着剤により固着されている。その後、グローブ用部材7’の周壁におけるステムヘッド13aの周部に対応する部位を加熱することにより(図8(d)参照)、グローブ用部材7’にステムヘッド13aの周部が溶着される。その後、グローブ用部材7’におけるステムヘッド13aの周部が溶着された部位よりも下側の部位7b’を切り取る(図9(a)参照)。ここで、グローブ用部材7’におけるステムヘッド13aの周部が溶着された部位よりも上側の部位7a’が、グローブ7に相当する。
【0046】
その後、排気管13b1を介してグローブ7およびステムヘッド13aで囲まれた空間内に存在する空気を外部に排気した後(図9(b)参照)、排気管13b1を介してグローブ7およびステムヘッド13aで囲まれた空間内にヘリウムガスを封入する(図9(c)参照)。このとき、グローブ7およびステムヘッド13aで囲まれた空間内に充填されるヘリウムガスの圧力は、大気圧と略同じか、若しくは、大気圧に比べて若干高圧となる。
【0047】
次に、排気管13b1の一部を加熱することにより排気管13b1を封じ切る(図10(a)参照)。そうすると、排気管封止部13bが形成され、グローブ7内の空間が封止される(図10(b)参照)。
続いて、リード線49,51それぞれのLEDモジュール5の給電端子24a,24bに接続される一端部とは反対側の他端部を回路ユニット15の電力出力部に接続し、一端部が絶縁ケース9の第2ケース部9cのスリット9cに配置されたリード線33の他端部と、一端部が口金11のアイレット部31に接続されたリード線35それぞれの他端部とを、回路ユニット15の電力入力部に接続する(図10(b)参照)。
【0048】
そして、口金11を絶縁ケース9の小径部9bに螺着するとともに、グローブ7を絶縁ケース9の大径部9aの内側に嵌合させた後、大径部9aとグローブ7との間の隙間に断熱性樹脂からなる接着剤を流し込んで大径部9aとグローブ7とを接着することによりランプ1の組み立てが完了する(図10(c)参照)。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る照明器具について、図11を参照しながら説明する。図11は、第2の実施形態に係る照明器具100の概略断面図である。
【0049】
図11に示すように、照明器具100は、例えば、室内の天井Cに装着されて使用され、前述の第1の実施形態に係るランプ1と、点灯器具102とを備える。
点灯器具102は、ランプ1を消灯および点灯させるものであり、天井Cに取り付けられる器具本体103と、ランプ1を覆うランプカバー4とを備える。
器具本体3は、ソケット103aを有する。ソケット103aには、ランプ1の口金11が螺着される。外部電源からは、このソケット103aを介してランプ1に電力が供給される。
【0050】
なお、図11に示した照明器具100は、一例であって、ランプ1を保持し且つランプ1に電力を供給する役割を担うソケット備えるものであれば、これに限られない。また、図11に示す照明器具100は、1つのランプ1を備えるものであるが、複数のランプ1を備えるものであってもよい。
<変形例>
以上、本発明の構成を第1、第2の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態等に限られない。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0051】
(1)第1の実施形態では、ピエゾファン80が、グローブ7の内壁におけるグローブ7の頂部に対応する部位に配設されてなる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ピエゾファン80が、グローブ7の内壁におけるグローブ7の頂部に対応する部位以外の1つ以上の部位それぞれに配設されてなるものであってもよい。この場合、ピエゾファン80の送風板80aの向きは、例えば、対流促進効果が得られるように、グローブ7の内壁に沿った方向とすればよい。
【0052】
(2)第1の実施形態では、グローブ7の内壁にピエゾファン80が配設されてなる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、2つのピエゾファン80が、支持部材17の外壁の一部に設けられてなるものであってもよい。
ここで、2つのピエゾファン80それぞれには、回路ユニット15から導出され支持部材17の内部を通る給電線(図示せず)を介して電力が供給されることになる。
【0053】
本変形例では、ピエゾファン80への電力供給を支持部材17の内部を通る給電線で行うことができるので、ピエゾファン80へ非接触給電を行う場合に比べて構造の簡素化を図ることができるから、コスト低減および製造容易化を図ることができるという利点がある。
(3)第1の実施形態では、グローブ7の内部にヘリウムガスを充填し、更に、グローブ7の内壁にヘリウムガスの対流を促進させるためのピエゾファン80が配設されてなる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、グローブ57内の一領域に水が充填されており、この領域内に水の対流を促進するための攪拌器82が取着されてなるランプ3であってもよい。
【0054】
本変形例に係るランプ3について、図13に示すランプ3の概略断面図に基づいて詳述する。
ランプ3は、図1に示す構成のランプ1と略同じ構成を有しており、図13に示すように、グローブ57内に2つの領域S1,S2(第1領域S1、第2領域S2)が形成されてなり、第1支持部材67および第2支持部材63を備える点、および、グローブ57内の第2領域S2に水が充填されており、第2領域S2内に充填された水の対流を促進するための攪拌器82がグローブ57の頂部に取着されている点が相違する。
【0055】
グローブ57は、その内側に透光性材料により形成され且つLEDモジュール5やステム67を収納するための筒状部57aが設けられている。
第2支持部材63は、金属等の熱伝導性のよい材料により形成されており、第1支持部材67を支持する。
そして、筒状部57aの内側と第2支持部材63とで囲まれた第1領域S1には、透光性の熱伝導性樹脂58が充填されている。この熱伝導性樹脂58は、例えば、支持部材63の一部に、第1領域S1に熱伝導性樹脂を注入するための貫通孔(図示せず)を貫設しておき、グローブ57の開口部57bに第2支持部材63を嵌合した後に、当該貫通孔から第1領域S1に熱伝導性樹脂を注入して充填するようにすればよい。
【0056】
攪拌器82は、例えば、小型のスクリューを備えるものである。この攪拌器82は、送信部から送信された電波を受信するアンテナ(図示せず)と、当該アンテナで受信した電波を電力に変換する電力変換部(図示せず)とを備えており、電力変換部で変換されて電力によりスクリューを回転させるものである。
なお、本変形例では、領域S2に水が充填されてなる例について説明したが、これに限定されるものではなく、領域S2にヘリウムガスが充填されてなるものであってもよい。この場合、攪拌器82の代わりにピエゾファン80を設けることになる。或いは、領域S2に、ネオンガス、水素ガスやシリコンオイルを充填してもよい。
(4)第1の実施形態では、ランプ1の製造方法において、LEDモジュール5、支持部材17およびステム13から構成される構造体の外側に、ピエゾファン80が接着剤により頂部に固着されたグローブ7を被せた後、グローブ7の周壁におけるステムヘッド13aの周部に対応する部位を加熱し(図8(d)参照)、その後、グローブ7におけるステムヘッド13aの周部が溶着された部位よりも下側の部位を切り取る(図9(a)参照)例について説明したが、ランプ1の製造方法はこれに限定されるものではない。以下、ランプ1の製造方法の他の例を示す。
【0057】
まず、LEDモジュール5、支持部材17およびステム13から構成される構造体の外側に、ピエゾファン80が接着剤により頂部に固着されたグローブ7を被せた後、グローブ7の開口部7aの周縁を加熱することにより(図14(a)参照)、開口部7aを縮径させる。このとき、グローブ7の開口部7aの内径が、ステムヘッド13aの外径よりも小さくなるようにする(図14(b)参照)。
【0058】
そして、グローブ7の開口部7aをステムヘッド13aの周壁に溶着する(図14(c)参照)。
この製造方法では、グローブ7の下端側の一部を切り取る作業が不要となるので、材料コストの低減を図ることができるという利点がある。
(5)第1の実施形態では、商用電源から送電回路および受電回路を介してピエゾファン80に電力供給を行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、太陽電池からピエゾファン80に電力供給を行うようにしてもよい。
【0059】
(6)第1の実施形態では、ピエゾファン80への電力供給を非接触給電により行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、グローブの内壁に給電線90a,90bを設けて、給電線90a,90bを介してピエゾファン80に電力を供給するようにしてもよい。なお、この給電線90a,90bは、金属により形成してもよいが、ランプの配光特性を考慮すれば、ITO等の透明な導電性材料により形成するのが好ましい。
【0060】
(7)第1の実施形態では、支持部材17とステム13とが接着剤からなる接着部14で接合されてなる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図16(a)に示すように、ステム13の一部を構成するステムヘッド13aの頂部から延出する針金64を備えており、ステム68は、その下端部にステムヘッド13aに嵌合する凹部68aが形成されるとともに、内部に針金64が挿通可能な孔68bが形成されてなるものであってもよい。ここで、孔68bは、凹部68aの底部からステム68の側面にまで貫通している。
【0061】
本変形例に係る製造方法では、ステムヘッド13aにステム68を取着する際、まず、針金64を孔68bに挿通し、ステム68の凹部68aにステムヘッド13aを当接させる。このとき、針金64は、孔68bに沿って案内され、ステムヘッド13aがステム68の凹部68aに当接した状態で、ステム68の側面から針金64の先端部が突出した状態になる。その後、針金64の先端部を屈曲させることにより、ステムヘッド13aにステム68が固定される。
【0062】
即ち、本変形例では、ステム68が、針金64によってステム13に固定されることになる。
或いは、図16(b)に示すように、ステム13の一部を構成するステムヘッド13aの頂部から延出し且つステム69をステム13に係止するための棒状の係止部材65を備えており、ステム69は、その下端部にステムヘッド13aに嵌合する凹部69aが形成されるとともに、ステム69の内部に空洞69bが形成されてなるものであってもよい。ここで、空洞69bは、凹部68aの底部からステム69の長手方向に延びる第1部位69b1と、第1部位69b1における凹部69a側とは反対側に設けられ且つ第1部位69b1に比べてステム69の長手方向に直交する断面積が大きくなるように形成された第2部位69b2とから構成される。また、係止部材65の先端部には、爪片65aが形成されている。
【0063】
本変形例に係る製造方法では、ステムヘッド13aにステム69を取着する際、まず、係止部材65を空洞69bの第1部位69b1に挿入し、その後、ステム69の凹部69aにステムヘッド13aを当接させる。ここで、係止部材65の先端部は、爪片65aが撓んだ状態で、第1部位69b1に沿って第2部位69b2へ案内されていき、ステム69の凹部69aにステムヘッド13aが当接した状態で、係止部材65の先端部が第2部位69b2内に配置される。そして、係止部材65の先端部が第2部位69b2内に配置された状態で、爪片65aが、第1部位69b1と第2部位69b2との間に形成される段部69b3に係止され、ステムヘッド13aにステム69が固定される。
【0064】
即ち、本変形例では、ステム69が、係止部材65によってステム13に固定されることになる。
(8)第1の実施形態に係るランプ1は、グローブ7およびステム13から構成される構造体が、ケース9の大径部9aに固着され、図17(a)に示すように、この構造体と大径部9aとの間に、断熱性樹脂からなる接着剤339が介在してなるものであってもよい。
【0065】
これにより、回路ユニット15で発生しケース9に伝導した熱が、グローブ7およびステム13へ伝導しないので、回路ユニット15で発生した熱がLEDモジュール5に伝導してしまうことを防止できるから、LEDモジュール5の温度上昇を抑制することができる。
(9)前述(3)で説明した変形例に係るランプ3は、グローブ57と支持部材63とが、熱伝導性樹脂からなる接着剤337により固着され、グローブ57とケース9の大径部9aとは、断熱性樹脂からなる接着剤339により固着されてなるものであってもよい。
【0066】
これにより、回路ユニット15からケース9の大径部9aに伝導した熱は、グローブ57や支持部材63の方へ伝導しにくく、一方、LEDモジュール5から第1支持部材67を介して支持部材63に伝導した熱は、グローブ57に伝導しやすくなっている。従って、回路ユニット15で発生した熱が、グローブ57および第2支持部材63を介してLEDモジュール5側へ伝導しにくくなっているので、LEDモジュール5の温度上昇の抑制を図ることができている。
【0067】
(10)前述(3)で説明した変形例における第1領域S1に充填される熱伝導性樹脂は、蛍光体粒子が含まれるものであってもよい。この蛍光体粒子としては、赤色光へ変換する粒子、緑色光へ変換する粒子、青色光へ変換する粒子の3種類を用いることができる。
(11)第1の実施形態では、光源としてLEDを利用したが、例えば、表面実装タイプや砲弾タイプのLEDを利用してもよい。この場合、LED素子は樹脂封止されており、LEDモジュールは、実装基板とLEDとを有することとなる。
【0068】
前述の実施形態や変形例では、LEDの発光色は青色光であり、蛍光体粒子は青色光を黄色光に変換するものを例にして説明したが、他の組合せであってもよい。他の組合せの一例として、白色を発光させる場合、LEDの発光色を紫外線光とし、蛍光体粒子として、赤色光へ変換する粒子、緑色光へ変換する粒子、青色光へ変換する粒子の3種類を用いることができる。
【0069】
さらに、LEDの発光色を、赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類のLEDを用いて、混色させて白色光としてもよい。なお、LEDモジュール5から発せられる光色は、言うまでも無く、白色に限定されるものではなく、用途によって種々のLED(素子、表面実装タイプを含む)や蛍光体粒子を利用することができる。
(12)第1の実施形態1では、封止体内に蛍光体粒子を混入させていたが、例えば、グローブの内面に蛍光体粒子を含んだ蛍光体層を形成しても良く、さらには、封止体とは別に、LEDにおける光の出射方向に蛍光体粒子を含んだ蛍光板等の波長変換部材を設けても良い。ここで、蛍光体粒子は高温になると波長変換効率が低下する。したがって、蛍光体層をグローブの内面に形成することにより、LEDを封止している封止体内に蛍光体粒子を混入させた場合より、LED発光時の熱の影響を受け難く、蛍光体粒子の波長変換効率の低下を抑制することができる。
【0070】
(13)第1の実施形態では、平面視形状が矩形状あるいは円形状をした実装基板を例にして説明したが、基板の平面視形状は特に限定するものではない。
また、前述の実施の形態では、薄い板(上面の面積に比べて側面の面積が小さいもの)を例にして説明したが、例えば、厚肉の板を利用しても良いし、ブロック状のものを利用しても良い。
【0071】
なお、本明細書での実装基板は、形状、厚み、形態に関係なく、LED(素子、表面実装タイプを含む)を実装すると共にLEDと電気的に接続するパターンを有したものを指している。従って、基板が、ブロック状をしていても良い。
前述の実施形態では、実装基板は透光性材料により構成していたが、後方に光を取り出す必要がない場合は、透光性材料以外の材料で構成しても良い。
【0072】
(14)第1の実施形態におけるLEDモジュール5は、実装基板21を透光性材料で構成して、後方も照射するようにしていたが、他の方法で後方へ光を照射するようにしてもよい。
他の方法としては、実装基板を透光性材料でない材料で構成し、実装基板の表裏両面にLEDを実装してもよい。さらに、実装基板を透光性材料でない材料で構成し、実装基板を球状、立方体状等の多面体構成(例えば、6枚の絶縁板を立体的に貼り合わせて、立方体状にする。)にして、その表面にLED(砲弾やSMDを含む)を実装してもよい。
【0073】
(15)第1の実施形態では、発光素子としてLEDを用いたが、LED以外の発光素子を用いてもよい。他の発光素子としては、例えば、LDやEL発光素子(有機および無機を含む)等があり、LEDを含めて、これらを組み合わせて使用してもよい。
(16)第1の実施形態では、Aタイプ、Rタイプのグローブ7を利用したが、他のタイプ、例えば、B、Gタイプであっても良く、白熱電球のバルブ形状や電球形蛍光ランプのグローブ形状と全く異なる形状であっても良い。
【0074】
グローブは、内部が見えるように透明であっても良いし、内部が見えないように半透明であっても良い。半透明は、例えば、内面に炭酸カルシウム、シリカや白色顔料等を主成分とする拡散層を施したり、内面を凹凸状にする処理(例えばブラスト処理)を施したりすることで実施できる。
また、第1の実施形態では、グローブ7はガラス材料により構成されていたが、他の材料で構成することもできる。他の材料としては、透光性の樹脂やセラミックスがある。
【0075】
(17)第1の実施形態では、ケース9は樹脂材料により構成していたが、他の材料で構成することもできる。他の材料として、金属材料を利用する場合、口金との絶縁性を確保する必要がある。口金との絶縁性は、例えば、ケースの小径部に絶縁層を塗布したり、小径部に対して絶縁処理をしたりすることで確保できる他、ケースのグローブ側を金属材料により、ケースの口金側を樹脂材料によりそれぞれ構成(2以上部材を結合する。)することでも確保できる。
【0076】
第1の実施形態では、ケース9の表面について特に説明しなかったが、例えば、放熱フィンを設けても良いし、輻射率を向上させるための処理を行っても良い。
第1の実施形態では、ケース9は1つの部材から構成されていたが、複数の部材で構成することもできる。例えば、実施形態における大径部に相当する大径部材と、小径部に相当する小径部材とを接着剤により接合したものであっても良い。この際、大径部材を金属で、小径部材を樹脂でそれぞれ構成しても良い。
【0077】
第1の実施形態では、ケース9内に回路ユニット15が格納されていたが、例えば、樹脂材料により内部を充填しても良い。この場合、回路ユニットで発生した熱をケースに伝熱することができ、回路ユニットに作用する熱負荷を削減することができる。
(18)第1の実施形態では、エジソンタイプの口金11を利用したが、他のタイプ、例えば、ピンタイプ(具体的には、GY、GX等のGタイプ)を利用してもよい。また、前述の第1の実施形態では、口金11が、シェル部27の雌螺子を利用してケース9の螺子部に螺合させることで、ケース9に装着されていたが、他の方法でケースに接合されてもよい。他の方法としては、接着剤による接合、かしめによる接合、圧入による接合等があり、これらの方法を2つ以上組み合わせてもよい。或いは、口金の内部に樹脂を充填し、口金の周壁への熱伝導率を向上させるようにしてもよい。
【0078】
(19)回路ユニット15は、前述の第1の実施形態で説明した構成に限られない。例えば、回路ユニットは、口金から受電した交流電力を、半導体発光素子を点灯させるための直流電力に変換するための回路に加えて、外部からの無線信号を送受信するとともに、当該無線信号を基に半導体発光素子を点灯制御するための回路を備えてもよい。なお、ここでの「点灯制御」には、例えば、点灯、消灯、調光、照明色変更等が含まれる。
【0079】
また、回路基板がケース内部に固定的に収容される姿勢については、回路基板の主面がランプ軸Jと略直交する姿勢に限られない。例えば、回路基板が、ランプ軸Jと略平行になるような姿勢で収容されてもよいし、ランプ軸Jに対して所定の傾斜角を有する姿勢で収容されてもよい。
また、回路基板は、円盤状に限られず、平面視形状が矩形や多角形、さらにはハート形等の不定形であってもよいし、フレキシブル基板等の可撓性の部材により形成され、曲げられた状態でケース内部に収容されてもよい。
【0080】
また、回路基板がケース内部に固定される方法は、係止部による係止構造に限られず、例えば、ねじ止め、接着などより回路基板がケース内部に固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るランプは、照明用途全般に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,4 ランプ
5 LEDモジュール(発光モジュール)
9 ケース(筐体)
9a 第1ケース部
9b 第2ケース部
11 口金
13 ステム
13a ステムヘッド
13b 細管部
14 接着部
15 点灯回路
16 送電回路
16b 送電アンテナ
17 支持部材
21 実装基板(基板)
22 LEDチップ
23 封止材
33,35,49,51 リード線
41 回路基板
43 電子部品
80 ピエゾファン
85 受電回路
85a 受電アンテナ
339 接着剤(断熱材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料により形成され且つ内部に空気より熱伝導率の高い流体が封入されてなるグローブと、
発光素子を有し、前記グローブ内に配置された発光モジュールと、
前記グローブ内に配置され且つ前記流体の対流を促進させる対流促進手段とを備える
ことを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記対流促進手段は、前記流体をランプ軸に沿った方向に流動させる
ことを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項3】
前記対流促進手段は、前記グローブの内壁の一部に配置されてなる
ことを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項4】
前記内壁の一部は、前記グローブの内壁におけるランプ軸と交差する部位である
ことを特徴とする請求項3記載のランプ。
【請求項5】
前記グローブの内部に向かって延出し且つ前記発光モジュールを支持する支持部材を備え、
前記対流促進手段は、前記支持部材の外壁の一部に配置されてなる
ことを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項6】
前記対流促進手段は、ピエゾファンである
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のランプ。
【請求項7】
前記グローブと連続一体に設けられ且つ前記支持部材が取着されてなるステムを備える
ことを特徴とする請求項6記載のランプ。
【請求項8】
前記発光素子を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路の一部が内壁に接触した状態で前記点灯回路を収納する筐体とを備え、
前記グローブおよび前記ステムは、前記筐体に取着されてなり、
前記グローブおよび前記ステムと前記筐体との間に断熱材が介在してなる
ことを特徴とする請求項7記載のランプ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のランプを備える
ことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−26061(P2013−26061A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160636(P2011−160636)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】