説明

ランプクリーナを備えた車両用灯具

【課題】 光源ユニットの熱を利用して洗浄水を加温し、ランプクリーナの除雪および洗浄機能を高めることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】 車両用ヘッドランプ1は、車両周辺を照明する光源ユニット5と、光源ユニット5を覆う透光カバー3と、透光カバー3に洗浄水Wを噴射するランプクリーナ14と、噴射前の洗浄水Wを光源ユニット5の放熱により温める加温機構18とを備える。ランプクリーナ14は洗浄水Wをノズルヘッド16に供給するクリーナパイプ15を含み、加温機構18がクリーナパイプ15の途中で光源ユニット5の放熱を洗浄水Wに伝えるヒートシンク11を含む。ヒートシンク11を傾動可能な第1ヒートシンク11Aと、熱交換通路20を備えた第2ヒートシンク11Bとに分割し、両者をフレキシブルなヒートパイプ19で接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプクリーナを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、灯室内に設置された光源ユニットを透光カバーで覆い、透光カバーに付着した汚れや雪をランプクリーナからの洗浄水で洗い落とすヘッドランプが知られている。通常、ランプクリーナは、洗浄水を車体内部の給水源から灯室下側のクリーナパイプに通して車体外部に導き、クリーナパイプ前端のノズルヘッドから透光カバーに向けて噴射するように構成されている。
【0003】
なお、特許文献1には、光源ユニットに発光ダイオードを使用し、発光ダイオードの発熱を金属製支持部材に伝えて、発光ダイオードの温度上昇を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−311224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の車両用灯具によると、洗浄水の熱量が少ないため、透光カバーに大量の雪が付着した場合など、ランプクリーナが充分な除雪効果を発揮できないことがあった。また、洗浄水が外気で冷やされ、透光カバーの前面で凍結し、グレアを発生する原因となる可能性もあった。そこで、洗浄水を専用の電気ヒータで温めることも考えられるが、電力を浪費するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、光源ユニットの熱を利用して洗浄水を加温し、ランプクリーナの除雪および洗浄機能を高めることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のような車両用灯具を提供する。
(1)車両周辺を照明する光源ユニットと、光源ユニットを覆う透光カバーと、透光カバーに洗浄水を噴射するランプクリーナと、噴射前の洗浄水を光源ユニットの放熱により温める加温機構とを備えたことを特徴とする車両用灯具。
【0008】
(2)ランプクリーナが洗浄水をノズル部に供給するクリーナパイプを含み、前記加温機構がクリーナパイプの途中で光源ユニットの放熱を洗浄水に伝達するヒートシンクを含む(1)に記載の車両用灯具。
【0009】
(3)ヒートシンクにクリーナパイプと接触する熱交換部を設けた(2)に記載の車両用灯具。
【0010】
(4)ヒートシンクに洗浄水を一時的に貯留する貯水部を形成し、貯水部にクリーナパイプを接続した(2)に記載の車両用灯具。
【0011】
(5)加温機構が、光源ユニットと一体に傾動可能な第1ヒートシンクと、洗浄水との熱交換部を備えた第2ヒートシンクと、第1ヒートシンクの熱を第2ヒートシンクに伝達する伝熱部材とを含む(2)に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用灯具によれば、加温機構が光源ユニットの放熱を利用して洗浄水を温めるので、省電力で簡単な構成により、ランプクリーナの除雪および洗浄機能を高め、かつ光源ユニットの冷却を促進できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示すヘッドランプの垂直断面図である。
【図2】加温機構の別の実施例を示す斜視図である。
【図3】加温機構のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の変更例を示すヘッドランプの垂直断面図である。
【図5】本発明の別の変更例を示すヘッドランプの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を車両用ヘッドランプに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すヘッドランプ1は、ランプボディ2と透光カバー3の内側に灯室4を形成し、灯室4に光源ユニット5を装備している。透光カバー3は、光源ユニット5を前方から覆うようにランプボディ2に装着されている。光源ユニット5は、LEDを用いた光源6、リフレクタ7、シェード8、投影レンズ9を備え、光源6からの光で車両前方を照明するように構成されている。
【0015】
光源6は光源基板10に保持され、光源基板10とシェード8が金属製のヒートシンク11に取り付けられている。ヒートシンク11は、灯室4内に位置する第1ヒートシンク11Aと、ランプボディ2の底壁2aから灯室4の外側に露出する第2ヒートシンク11Bとに2分割して構成されている。そして、第1ヒートシンク11Aが複数のエイミングスクリュー12によりランプボディ2に傾動可能に支持され、配光パターンに応じて光源ユニット5の向きを調整できるようになっている。
【0016】
ランプボディ2の下側には、透光カバー3の洗浄または除雪を行うためのランプクリーナ14が設置されている。この実施形態のランプクリーナ14は、洗浄水Wを車体内部の給水源(図示略)から車体外部に供給するクリーナパイプ15と、クリーナパイプ15の前端から洗浄水Wを透光カバー3の前面に向けて噴射するノズルヘッド16とを備えている。なお、図示しないが、ノズルヘッド16には、出没自在なポップアップ式の可動ノズルまたは定位置噴射式の固定ノズルが装備されている。
【0017】
クリーナパイプ15の途中には、噴射前の洗浄水Wを光源ユニット5の放熱により温める加温機構18が設置されている。この加温機構18は、第2ヒートシンク11Bとヒートパイプ19とで構成されている。ヒートパイプ19は、熱伝導率の高いフレキシブル材料で形成され、第1ヒートシンク11Aの熱を第2ヒートシンク11Bに伝える伝熱部材として機能する。第2ヒートシンク11Bは、クリーナパイプ15に接続される熱交換通路20を備え、第2ヒートシンク11Bの蓄熱で洗浄水Wを加温するようになっている。
【0018】
上記構成のヘッドランプ1によれば、光源ユニット5の発熱が第1ヒートシンク11Aからヒートパイプ19を介して第2ヒートシンク11Bに伝達される。一方、洗浄水Wは給水源からクリーナパイプ15を介して熱交換通路20に流入し、第2ヒートシンク11Bの熱で加温された後に、ノズルヘッド16から透光カバー3に噴射される。
【0019】
従って、光源ユニット5の放熱を有効利用し、専用ヒータを必要としない省電力で簡単な構成により、ランプクリーナ14の除雪、洗浄効果を高めることができるとともに、光源ユニット5の冷却を促進できる。また、ヒートシンク11を2分割し、第1ヒートシンク11Aと第2ヒートシンク11Bをフレキシブルなヒートパイプ19で接続したので、光源ユニット5の角度調整に伴う影響を受けることなく、加温機構18が光源ユニット5の放熱を洗浄水Wに支障なく伝達することができる。
【0020】
次に、加温機構18の別の実施例について説明する。図2に示す加温機構18では、第2ヒートシンク11Bに洗浄水Wを一時的に貯留する貯水部22が形成され、貯水部22にクリーナパイプ15が接続されている。この構成によれば、貯水部22でより多量の洗浄水Wを加温し、高温水をノズルヘッド16から噴射し、透光カバー3に付着した雪を効率よく融かすことができる効果がある。
【0021】
図3に示す加温機構18では、第2ヒートシンク11Bの下端にクリーナパイプ15と接触する熱交換凹部23が形成されている。この構成によれば、第2ヒートシンク11Bとクリーナパイプ15の接触により熱交換を行うので、光源ユニット5の放熱をより簡単な構造で洗浄水Wに伝達できる効果がある。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して具体化することも可能である。
【0023】
(1)図4に示すように、ヒートシンク11を一体的に形成し、その下端部をランプボディ2の底壁2aから灯室4の外側に露出させ、露出部分にフレキシブル継手24を介してクリーナパイプ15を接続すること。
(2)図5に示すように、エイミング機構を備えない車両用灯具において、ヒートシンク11を一体形成し、その内部に蛇行状の熱交換通路20を形成し、熱交換通路20の両端をクリーナパイプ15に接続すること。
(3)本発明の加温機構18をリアコンビネーションランプなど、ランプクリーナ14を装備した各種車両用灯具に応用すること。
【符号の説明】
【0024】
1 ヘッドランプ
3 透光カバー
5 光源ユニット
11 ヒートシンク
11A 第1ヒートシンク
11B 第2ヒートシンク
14 ランプクリーナ
15 クリーナパイプ
18 加温機構
19 ヒートパイプ
20 熱交換通路
22 貯水部
23 熱交換凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を照明する光源ユニットと、光源ユニットを覆う透光カバーと、透光カバーに洗浄水を噴射するランプクリーナと、噴射前の洗浄水を光源ユニットの放熱により温める加温機構とを備えたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ランプクリーナが洗浄水をノズル部に供給するクリーナパイプを含み、前記加温機構がクリーナパイプの途中で光源ユニットの放熱を洗浄水に伝達するヒートシンクを含む請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ヒートシンクにクリーナパイプと接触する熱交換部を設けた請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ヒートシンクに洗浄水を一時的に貯留する貯水部を形成し、貯水部にクリーナパイプを接続した請求項2記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記加温機構が、光源ユニットと一体に傾動可能な第1ヒートシンクと、洗浄水との熱交換部を備えた第2ヒートシンクと、第1ヒートシンクの熱を第2ヒートシンクに伝達する伝熱部材とを含む請求項2記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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