説明

ランプ装置

【課題】点灯時の放熱異常を検知し、半導体発光素子の点灯を制御できるランプ装置を提供する。
【解決手段】ランプ装置14は、口金29を有する筐体20、この筐体20内に配置される発光モジュール21および点灯回路23を備えている。発光モジュール21は、モジュール基板37、およびモジュール基板37に実装された半導体発光素子を有する。点灯回路23は、回路基板50、回路基板50に実装される複数の回路部品51、点灯時に温度差が生じる回路基板50上の異なる位置に配置される第1の感温素子54および第2の感温素子55を有している。点灯回路23は、第1の感温素子54と第2の感温素子55との温度差に応じて半導体発光素子の点灯を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子を光源とするランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばGX53形などのフラット形の口金を用いたランプ装置と、このランプ装置の口金を着脱可能に装着するソケットを有する器具装置とを組み合わせて使用する照明装置がある。
【0003】
ランプ装置は、口金を有する筐体、この筐体内に配置されるLEDおよびこのLEDを点灯させる点灯回路を備えている。そして、LEDの点灯時には、LEDが発生する熱を筐体からの器具装置に熱伝導させて放熱する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−262781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば光出力の違いなどに応じて複数種類のランプ装置を設け、このランプ装置の種類毎に適合する複数種類の器具装置を設ける場合、適合する種類のランプ装置と器具装置とを組み合わせて使用することになる。
【0006】
しかしながら、ランプ装置の種類および器具装置の種類に関係なく口金およびソケットが共通であると、不適合な種類の組み合わせでもランプ装置を器具装置に装着できてしまう。仮に、出力の小さいランプ装置に対応する器具装置に出力の大きいランプ装置を装着した場合、出力の小さいランプ装置に対応する器具装置では出力の大きいランプ装置の十分な放熱性が得られず、ランプ装置の放熱異常が発生するおそれがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、点灯時の放熱異常を検知し、半導体発光素子の点灯を制御できるランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のランプ装置は、口金を有する筐体、この筐体内に配置される発光モジュールおよび点灯回路を備えている。発光モジュールは、モジュール基板、およびモジュール基板に実装された半導体発光素子を有する。点灯回路は、回路基板、回路基板に実装される複数の回路部品、点灯時に温度差が生じる回路基板上の異なる位置に配置される第1の感温素子および第2の感温素子を有している。点灯回路は、第1の感温素子と第2の感温素子との温度差に応じて半導体発光素子の点灯を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の感温素子と第2の感温素子との温度差から点灯時の放熱異常を確実に検知でき、それに応じて例えば半導体発光素子を消灯や調光といった半導体発光素子の制御をすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を示すランプ装置の断面図である。
【図2】同上ランプ装置の点灯回路の正面図である。
【図3】同上ランプ装置と器具装置とを組み合わせた照明装置の断面図である。
【図4】第2の実施形態を示すランプ装置の点灯回路の正面図である。
【図5】第3の実施形態を示すランプ装置の点灯回路および発光モジュールの正面図である。
【図6】第4の実施形態を示すランプ装置の断面図である。
【図7】第5の実施形態を示すランプ装置の断面図である。
【図8】第6の実施形態を示すランプ装置の点灯回路の一部の回路図である。
【図9】第7の実施形態を示すランプ装置の点灯回路の一部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0012】
図3に示すように、照明装置11は、ダウンライトなどの埋込形照明装置であり、天井板12に設けられた円形の埋込孔13に埋め込まれて設置される。この照明装置11は、フラット形のランプ装置14、およびこのランプ装置14を着脱可能に装着する器具装置15を備えている。
【0013】
図1に示すように、ランプ装置14は、フラット形で円筒状の筐体20を備え、この筐体20内に発光モジュール21、光学部品22および点灯回路23が配置され、筐体20の下面に透光カバー24が取り付けられている。
【0014】
筐体20は、円筒状のケース27、およびこのケース27の上面に取り付けられる円筒状の口金部材28を有している。これらケース27の上部側および口金部材28によって、所定の規格寸法の口金29が構成されている。
【0015】
ケース27は、例えば絶縁性を有する合成樹脂にて上面部および周面部を有していて下面が開口された円筒状に形成されている。ケース27の上面部の中央には、光学部品22が挿通する光学部品挿通孔30が形成されている。ケース27の上面部の周辺および光学部品挿通孔30の縁部には、点灯回路23(回路基板)を支える環状の基板支え部31が形成されている。
【0016】
口金部材28は、例えばアルミダイカストなどの金属、セラミックス、あるいは熱伝導性に優れた樹脂などの材料にて上面部および周面部を有していて下面が開口された円筒状に形成されている。口金部材28は、ケース27の上面部を通じて口金部材28に螺着される複数のねじによってケース27に取り付けられている。
【0017】
口金部材28の上面部には、この口金部材28の上面部から下方へ向けて突出する発光モジュール取付部32が一体に形成されている。この発光モジュール取付部32の下面に発光モジュール21が取り付けられている。口金部材28の上面には熱伝導シート33が取り付けられている。また、口金部材28の周面部には、複数のキー34が突出形成されているとともに、略L字形の複数のキー溝が形成されている。
【0018】
また、発光モジュール21は、モジュール基板37、このモジュール基板37の下面に形成された発光部38、モジュール基板37の周辺を保持する枠状のホルダ39、およびモジュール基板37とこのモジュール基板37を取り付ける口金部材28の発光モジュール取付部32との間に介在する熱伝導シート40を備えている。
【0019】
モジュール基板37は、例えば、熱伝導性に優れた金属あるいはセラミックスなどの材料で平板状に形成されている。
【0020】
発光部38は、光源として例えばLED素子やEL素子などの半導体発光素子が用いられている。本実施形態では、半導体発光素子としてLED素子が用いられ、モジュール基板37上に複数のLED素子を実装するCOB(Chip On Board)方式が採用されている。すなわち、モジュール基板37上に複数のLED素子が実装され、これら複数のLED素子がワイヤボンディングによって直列に電気的に接続され、蛍光体を混入した例えばシリコーン樹脂などの透明樹脂である蛍光体層で複数のLED素子が一体に覆われて封止されている。LED素子には例えば青色光を発するLED素子が用いられ、蛍光体層にはLED素子からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体が混入されている。したがって、LED素子および蛍光体層などによって発光部38が構成され、この発光部38の表面である蛍光体層の表面が発光面となり、この発光面から白色系の照明光が放射される。なお、発光部38としては、LED素子が搭載された接続端子付きのSMD(Surface Mount Device)パッケージを基板に複数個実装する方式を用いてもよい。
【0021】
ホルダ39は、モジュール基板37を保持し、口金部材28の発光モジュール取付部32との間に熱伝導シート40およびモジュール基板37を挟み込んだ状態で、口金部材28の発光モジュール取付部32に螺着される複数のねじ41によって固定されている。このホルダ39により、モジュール基板37が熱伝導シート40を介して口金部材28の発光モジュール取付部32に密着され、モジュール基板37から口金部材28への良好な熱伝導性が確保されている。
【0022】
また、光学部品22は、円筒状の反射体44によって構成されている。この反射体44は、例えば絶縁性を有する合成樹脂製で、上下面が開口されるとともに上端側から下端側に向けて段階的または連続的に拡径する円筒状の光ガイド部45が形成され、この光ガイド部45の下端にケース27の下面周辺を覆う環状のカバー部46が形成されている。光ガイド部45の内面およびカバー部46の下面には、例えば白色や鏡面とする光反射率の高い反射面が形成されている。
【0023】
光ガイド部45の上部側は、点灯回路23(回路基板)およびケース27の光学部品挿通孔30を貫通され、発光モジュール21の発光部38の周囲に配置されている。光ガイド部45の外周面で上下方向の中間部には、ケース27の基板支え部31との間で点灯回路23(回路基板)を保持する基板押え部47が形成されている。
【0024】
また、図1および図2に示すように、点灯回路23は、例えば、商用交流電源を整流平滑して直流電源に変換する電源回路、この直流電源をスイッチング素子のスイッチングにより所定の直流出力としてLED素子に供給し点灯させるDC/DCコンバータ、スイッチング素子の発振を制御する制御ICなどを備えている。調光対応の点灯回路23の場合には、LED素子の電流を検出して調光信号に応じた基準値と比較し、制御ICによりスイッチング素子のスイッチング動作を制御する機能を備えている。
【0025】
点灯回路23は、回路基板50、およびこの回路基板50に実装された複数の電子部品である回路部品51を備えている。
【0026】
回路基板50は環状に形成され、回路基板50の中央部には反射体44の光ガイド部45の上部側が貫通する円形の嵌合孔52が形成されている。回路基板50の下面が回路部品51のうちのリード線を有するリード部品を実装する実装面50aであり、上面がリード部品のリード線をはんだで接続するとともに回路部品51のうちの面実装部品を実装する配線パターンを形成した配線パターン面あるいははんだ面としての接続面50bである。
【0027】
回路基板50は、接続面50bが上面に向けられて発光モジュール21に対向する状態で、ケース27内の上側位置に配置されている。回路基板50の実装面50aに実装された回路部品51はケース27の周面部と反射体44の光ガイド部45およびカバー部46との間に配置されている。
【0028】
回路基板50の電源入力側は電源用の一対のランプピン53に電気的に接続され、点灯出力側は発光モジュール21のLED素子に電気的に接続されている。電源用の一対のランプピン53はケース27の上面部から垂直に突出されている。なお、ランプ装置14が調光対応の場合には電源用とは別に調光用の複数のランプピンがケース27の上面部から垂直に突出される。
【0029】
回路基板50には、例えばサーミスタなどで構成される第1の感温素子54および第2の感温素子55が実装されている。これら第1の感温素子54および第2の感温素子55は、点灯時に温度差が生じる回路基板50上の異なる位置に配置されている。本実施形態において、回路基板50の実装面50a側と接続面50b側とでは、回路部品51からの熱が接続面50bの配線パターンに伝わったりLED素子からの熱の影響を受けやすい接続面50b側の方が実装面50a側より温度が高くなることから、第1の感温素子54は回路基板50の接続面50b側に配置され、第2の感温素子55は回路基板50の実装面50a側に配置されている。
【0030】
そして、点灯回路23は、第1の感温素子54と第2の感温素子55との温度差に応じてLED素子の点灯を制御するものであって、予め設定された温度差以上となることにより、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御する。LED素子を消灯制御するには、例えば、制御ICが温度差以上となったことを判断することにより、DC/DCコンバータのスイッチング素子の発振を停止させる。また、LED素子を調光制御するには、例えば、制御ICが温度差以上となったことを判断することにより、LED素子の実際の検出電圧に所定のダミー電圧を付加した電圧値に基づいてLED素子の出力を小さくするように調光したり、LED素子の検出電流を比較する調光信号に応じた基準値の閾値を変更してLED素子の出力を小さくするように調光する。
【0031】
また、透光カバー24は、透光性および拡散性を有し、例えば合成樹脂やガラスによって円板状に形成されている。透光カバー24は、ケース27の下面の開口部を覆ってこのケース27に取り付けられている。その取付状態では、透光性カバー24とケース27との間で反射体44のカバー部46を挟み込んで保持している。
【0032】
次に、図3に示すように、器具装置15は、下方へ向けて拡開開口された反射体61、この反射体61の上部に取り付けられた器具本体としての放熱体62、この放熱体62の下部に取り付けられたソケット63、放熱体62の上部に取付板64によって取り付けられた端子台65、および放熱体62の周囲に取り付けられた天井取付用の複数の取付ばね66などを備えている。
【0033】
反射体61の頂部には、放熱体62が露出する円形の開口部68が形成されている。
【0034】
また、放熱体62は、例えばアルミダイカストなどの金属、セラミックス、放熱性に優れた樹脂などの材料によって形成されている。放熱体62は、円柱状の基部69、およびこの基部69の周囲から放射状に突出する複数の放熱フィン70を有している。基部69の下面には、反射体61の開口部68を通じて反射体61内に露出する平面状の接触面71が形成されている。基部69の周囲には、取付ばね66が取り付けられている。
【0035】
また、ソケット63は、絶縁性を有する合成樹脂製で環状に形成されたソケット本体73、およびこのソケット本体73に配置された図示しない電源用の一対の端子を備えている。調光対応の場合には、調光用の複数の端子も備えている。
【0036】
ソケット本体73の中央には、ランプ装置14の口金29の口金部材28が挿通する円形の開口部74が形成されている。ソケット本体73の下面には、ランプ装置14のランプピン53が挿入される複数の接続孔75が周方向に沿って長孔状に形成されている。各接続孔75の上側に端子が配置されており、接続孔75に挿入されたランプ装置14のランプピン53が端子に電気的に接続される。
【0037】
ソケット本体73の内周面には、複数のキーが突出形成されているとともに、複数の略L字形のキー溝が形成されている。ソケット63のキーおよびキー溝とランプ装置14のキー溝およびキー34とはそれぞれ対応する位置に設けられている。そして、ランプ装置14のキー34およびキー溝をソケット63のキー溝およびキーに合わせてランプ装置14の口金29をソケット63に挿入し、ランプ装置14を回動させることによりランプ装置14をソケット63に着脱可能に装着することができる。
【0038】
ソケット63は支持機構76によって放熱体62に支持されている。この支持機構76では、ソケット63にランプ装置14の口金29が装着されることにより、その口金29の上面を放熱体62の接触面71に押し付けて熱伝導性を高めるように構成されている。
【0039】
また、端子台65は、ソケット63の端子と電気的に接続されている。
【0040】
そして、このようにランプ装置14と器具装置15とで構成される照明装置11において、ランプ装置14を器具装置15に装着するには、ランプ装置14の口金29を器具装置15のソケット63に挿入して所定角度回動させることにより、口金29の各キー34およびキー溝とソケット63の各キー溝およびキーとが互いに嵌り合って引っ掛かり、ランプ装置14をソケット63に取り付けることができる。これにより、口金29の各ランプピン53がソケット63の各端子に接触して電気的に接続され、また、口金29の上面が熱伝導シート33を介して放熱体62の接触面71に押し付けられて密着し、口金29から放熱体62に効率よく熱伝導可能となる。
【0041】
また、ランプ装置14の点灯時には、商用交流電源が端子台65、ソケット63の端子およびランプ装置14のランプピン53を通じて点灯回路23に給電され、この点灯回路23により発光モジュール21のLED素子に点灯電力が供給され、LED素子が点灯する。LED素子の点灯によって発光部38から放出される光が、反射体44の光ガイド部45内を進行し、透光カバー24を透過して、器具装置15の下面開口から出射される。
【0042】
ランプ装置14の点灯時において、発光モジュール21のLED素子が発生する熱は、主に、発光モジュール21のモジュール基板37から口金部材28に熱伝導され、この口金部材28から熱伝導シート33を介して放熱体62に効率よく熱伝導され、この放熱体62の複数の放熱フィン70を含む表面から空気中に放熱される。点灯回路23が発生する熱は、ケース27や透光カバー24に伝わり、これらケース27や透光カバー24の表面から空気中に放熱される。
【0043】
また、ランプ装置14の点灯時において、回路基板50の実装面50a側と接続面50b側とでは、回路部品51からの熱が接続面50bの配線パターンに伝わったりLED素子からの熱の影響を受けやすい接続面50b側の方が実装面50a側より温度が高くなる。
【0044】
点灯回路23では、回路基板50の接続面50b側に配置された第1の感温素子54で検知される温度と、回路基板50の実装面50a側に配置された第2の感温素子55で検知される温度との温度差を監視している。
【0045】
ところで、このようにランプ装置14と器具装置15とで構成される照明装置11において、例えば、発光モジュール21の出力の違いなどに応じて複数種類のランプ装置14を設け、放熱性能の違いなどに応じてランプ装置14の種類毎に適合する器具装置15を複数種類設ける場合には、ランプ装置14の出力に応じて器具装置15の放熱性能を最適化し、適合するランプ装置14と器具装置15とが組み合わせて使用することになる。
【0046】
この際、出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着しても、ランプ装置14の放熱性が過剰となるだけで、ランプ装置14の所望の放熱性能を達成することができる。一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着すると、ランプ装置14の所望の放熱性能を達成することができず、ランプ装置14の放熱異常が発生するおそれがある。
【0047】
ランプ装置14を適合する器具装置15に装着し、あるいは出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合には、第1の感温素子54で検知される温度と第2の感温素子55で検知される温度との温度差が予め設定された正常な範囲内にある。そのため、点灯回路23では、正常と判断し、LED素子の点灯を継続する。
【0048】
一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されていない場合には、所望の放熱性能を達成している場合に比べて発光モジュール21の温度が高くなり、その発光モジュール21からの熱が回路基板50の接続面50b側に伝わり、回路基板50の接続面50b側の温度が実装面50a側の温度よりもより高くなりやすく、回路基板50の接続面50b側と実装面50a側とで温度差が大きくなる。そのため、第1の感温素子54で検知する温度と第2の感温素子55で検知する温度との温度差が予め設定された正常な範囲を超えて異常な範囲となる。これにより、点灯回路23では、放熱異常と判断し、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御し、発光モジュール21の発熱を抑制する。
【0049】
ランプ装置14の発熱を抑制することにより、温度差が正常な範囲内に戻った場合には、LED素子を消灯制御や調光制御のまま継続して維持させておいてもよいし、正常時の制御に復帰させてもよい。
【0050】
そして、本実施形態のランプ装置14によれば、第1の感温素子54と第2の感温素子55との温度差から点灯時の放熱異常を確実に検知でき、それに応じてLED素子を消灯や調光といった制御を行うことにより、ランプ装置14の発熱を抑制し、ランプ装置14の異常発熱を防止することができる。
【0051】
しかも、ランプ装置14の点灯時に温度差が生じる回路基板50上の異なる位置に配置した第1の感温素子54と第2の感温素子55との温度差から放熱異常を検知するため、1つの感温素子のみで温度の絶対値を検知する場合よりも、通常の温度上昇と放熱異常による温度上昇との判別がつきやすく、放熱異常を正確に検知することができる。
【0052】
さらに、ランプ装置14の放熱異常の発生時において、回路基板50の実装面50a側と接続面50b側とでは、発光モジュール21からの熱を受けやすい接続面50b側の方が実装面50a側より温度が高くなり、温度差が明確に生じるため、第1の感温素子54を回路基板50の接続面50b側に配置し、第2の感温素子55を回路基板50の実装面50a側に配置することにより、これらの温度差に応じてランプ装置14の放熱異常の発生を確実に検知できる。
【0053】
次に、第2の実施の形態を、図4を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0054】
図4に示すように、点灯回路23の回路基板50に実装される複数の回路部品51のうち、他の回路部品51に比べて自己発熱の大きい回路部品51に対し、第1の感温素子54が第2の感温素子55より近くに配置され、第2の感温素子55が第1の感温素子54よりも離れて配置されている。
【0055】
点灯回路23の中で自己発熱の大きい回路部品51としては、例えば、トランスT、ダイオードD、スイッチング素子(電界効果トランジスタ)などがある。
【0056】
そして、ランプ装置14を適合する器具装置15に装着し、あるいは出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合には、自己発熱の大きい回路部品51に近い第1の感温素子54で検知する温度が高く、自己発熱の大きい回路部品51から離れている第2の感温素子55で検知する温度が低く、予め設定された所定値以上の温度差がある。そのため、点灯回路23では、正常と判断し、LED素子の点灯を継続する。
【0057】
一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されていない場合には、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合に比べて、発光モジュール21の温度が高くなり、その発光モジュール21の熱によってランプ装置14内の温度が上昇し、第2の感温素子55の検知温度が第1の感温素子54の検知温度に近付くか第2の感温素子55の位置によっては超える場合がある。そのため、第1の感温素子54で検知される温度と第2の感温素子55で検知される温度との温度差は、予め設定された温度差より小さくなるか、無くなったり逆転する。これにより、点灯回路23では、放熱異常と判断し、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御し、発光モジュール21の発熱を抑制する。
【0058】
このように、ランプ装置14の放熱異常の発生時において、自己発熱の大きい回路部品51から離れた場所での温度上昇が発生するため、自己発熱の大きい回路部品51に対し、第1の感温素子54を第2の感温素子55より近くに配置し、第2の感温素子55を第1の感温素子54よりも離して配置することにより、これらの温度差に応じてランプ装置14の放熱異常の発生を確実に検知できる。
【0059】
次に、第3の実施の形態を、図5を参照して説明する。なお、各実施の形態と同一の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、点灯回路23の回路基板50において、回路基板50の中央側は、発光モジュール21に近く、発光モジュール21からの熱の影響を受けやすく、一方、回路基板50の周辺側は、発光モジュール21から離れ、発光モジュール21からの熱の影響を受けにくく、回路基板50の中央側と周辺側とでは温度差が生じやすい。
【0061】
この回路基板50上において、発光モジュール21に対し、第1の感温素子54は第2の感温素子55より近くに配置され、第2の感温素子55は第1の感温素子54よりも離れて配置されている。
【0062】
そして、ランプ装置14を適合する器具装置15に装着し、あるいは出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合には、発光モジュール21の温度が正常な範囲内にあり、発光モジュール21に近い第1の感温素子54で検知する温度と発光モジュール21から離れている第2の感温素子55で検知する温度との温度差は予め設定された正常な範囲内にある。そのため、点灯回路23では、正常と判断し、LED素子の点灯を継続する。
【0063】
一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されていない場合には、所望の放熱性能を達成している場合に比べて発光モジュール21の温度が高くなり、この発光モジュール21に近い第1の感温素子54で検知する温度が第2の感温素子55で検知する温度に比べて上昇しやすく、それらの温度差が大きくなる。そのため、第1の感温素子54で検知する温度と第2の感温素子55で検知する温度との温度差は、予め設定された正常な範囲を超えて異常な範囲となる。これにより、点灯回路23では、放熱異常と判断し、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御し、発光モジュール21の発熱を抑制する。
【0064】
このように、ランプ装置14の放熱異常の発生時において、発光モジュール21の温度が上昇するため、発光モジュール21に対し、第1の感温素子54を第2の感温素子55より近くに配置し、第2の感温素子55を第1の感温素子54よりも離して配置することにより、これらの温度差に応じてランプ装置14の放熱異常の発生を確実に検知できる。
【0065】
次に、第4の実施の形態を、図6を参照して説明する。なお、各実施の形態と同一の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0066】
図6に示すように、ランプ装置14の組立時に、第1の感温素子54がケース27の上面部を貫通して発光モジュール21の近くに配置され、例えば熱伝導性樹脂などの熱伝導部材79により第1の感温素子54が発光モジュール21に熱的に接続されている。
【0067】
第1の感温素子54が接続される発光モジュール21の場所は、例えば、ホルダ39やモジュール基板37などの発光に関係の無い箇所とされている。
【0068】
第2の感温素子55は、発光モジュール21から離れた場所に配置されている。
【0069】
そして、ランプ装置14を適合する器具装置15に装着し、あるいは出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合には、発光モジュール21の温度が正常な範囲内にあり、発光モジュール21からの熱が熱伝導される第1の感温素子54で検知する温度と発光モジュール21から離れている第2の感温素子55で検知する温度との温度差が予め設定された正常な範囲内にある。そのため、点灯回路23では、正常と判断し、LED素子の点灯を継続する。
【0070】
一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されていない場合には、所望の放熱性能を達成している場合に比べて発光モジュール21の温度が高くなり、この発光モジュール21からの熱が熱伝導される第1の感温素子54で検知する温度が第2の感温素子55で検知する温度に比べて上昇しやすく、それらの温度差が大きくなる。そのため、第1の感温素子54で検知される温度と第2の感温素子55で検知される温度との温度差は予め設定された正常な範囲を超えて異常な範囲となる。これにより、点灯回路23では、放熱異常と判断し、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御し、発光モジュール21の発熱を抑制する。
【0071】
このように、ランプ装置14の放熱異常の発生時において、発光モジュール21の温度が上昇するため、第1の感温素子54を熱伝導部材79により発光モジュール21に熱的に接続し、第2の感温素子55を発光モジュール21から離して配置することにより、これらの温度差に応じてランプ装置14の放熱異常の発生を確実に検知できる。
【0072】
次に、第5の実施の形態を、図7を参照して説明する。なお、各実施の形態と同一の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0073】
図7に示すように、第1の感温素子54がケース27と口金部材28とを固定するねじ81の近くに配置されている。なお、第1の感温素子54は、例えば熱伝導性樹脂などの熱伝導部材によりねじ81に熱的に接続してもよい。
【0074】
第2の感温素子55は、ねじ81から離れた場所に配置されている。
【0075】
そして、ランプ装置14を適合する器具装置15に装着し、あるいは出力の小さいランプ装置14を出力の大きいランプ装置14が適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されている場合には、発光モジュール21およびこの発光モジュール21からの熱が熱伝導される口金部材28の温度が正常な範囲内にあり、口金部材28に螺着されていて口金部材28からの熱が熱伝導されるねじ81に近い第1の感温素子54で検知する温度とねじ81から離れている第2の感温素子55で検知する温度との温度差が予め設定された正常な範囲内にある。そのため、点灯回路23では、正常と判断し、LED素子の点灯を継続する。
【0076】
一方、出力の大きいランプ装置14を出力の小さいランプ装置14に適合する器具装置15に装着し、ランプ装置14の所望の放熱性能が達成されていない場合には、所望の放熱性能を達成している場合に比べて発光モジュール21および口金部材28の温度が高くなり、口金部材28からの熱が熱伝導されるねじ81に近い第1の感温素子54で検知する温度がねじ81から離れている第2の感温素子55で検知する温度に比べて上昇しやすく、それらの温度差が大きくなる。そのため、第1の感温素子54で検知される温度と第2の感温素子55で検知される温度との温度差は予め設定された正常な範囲を超えて異常な範囲となる。これにより、点灯回路23では、放熱異常と判断し、LED素子を消灯制御したり、調光対応のランプ装置14の場合にはLED素子の出力を小さくするように調光制御し、発光モジュール21の発熱を抑制する。
【0077】
このように、ランプ装置14の放熱異常の発生時において、発光モジュール21とともに口金部材28の温度が上昇するため、ケース27と口金部材28とを固定するねじ81の近くに第1の感温素子54を配置し、ねじ81から離して第2の感温素子55を配置することにより、これらの温度差に応じてランプ装置14の放熱異常の発生を確実に検知できる。
【0078】
次に、図8および図9には、ランプ装置14の放熱異常の検知時に点灯回路23によりLED素子を調光制御する実施の形態を示す。なお、各実施の形態において、同一構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0079】
まず、図8に示す第6の実施の形態では、複数のLED素子91に電圧検出回路の抵抗R1が接続され、また、比較器92の一方の入力端子にLED素子91と抵抗R1との接続点からLED素子91の電圧が入力され、比較器92の他方の入力端子に基準電圧源93から調光度合に応じた基準電圧が入力される。比較器92の比較結果が制御IC94に入力され、制御IC94がDC/DCコンバータのスイッチング素子を制御し、LED素子91を調光制御する。
【0080】
そして、第1の感温素子54と第2の感温素子55との温度差から放熱異常の発生が検知されると、点灯回路23では、LED素子91と抵抗R1との接続点にダミー電圧源95からのダミー電圧が印加されるように構成されている。これにより、比較器92の一方の入力端子にはLED素子91の電圧とダミー電圧とを加算した電圧が入力されるため、制御IC94はその加算電圧と基準電圧と比較してLED素子91の出力を小さくするように調光制御する。
【0081】
また、図9に示す第7の実施の形態では、5Vの基準電圧源に抵抗R2および感温素子54,55の直列回路が接続され、抵抗R2と感温素子54,55との接続点から比較器92の他方の入力端子に基準電圧が入力されている。本実施形態では、5Vを抵抗R2および感温素子54,55で分圧し、感温素子54,55に印加されている電圧が比較器92の基準電圧になる。発光モジュール21の異常発熱などにより感温素子54,55の温度が上がると、感温素子54,55の抵抗値が下がり、比較器92の基準電圧が低下し、発光モジュール21に流れる電流が減少するように制御される。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
14 ランプ装置
20 筐体
21 発光モジュール
23 点灯回路
27 ケース
28 口金部材
29 口金
37 モジュール基板
50 回路基板
50a 実装面
50b 接続面
51 回路部品
54 第1の感温素子
55 第2の感温素子
79 熱伝導部材
81 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金を有する筐体と;
筐体内に配置され、モジュール基板、およびモジュール基板に実装された半導体発光素子を有する発光モジュールと;
筐体内に配置され、回路基板、回路基板に実装される複数の回路部品、点灯時に温度差が生じる回路基板上の異なる位置に配置される第1の感温素子および第2の感温素子を有し、第1の感温素子と第2の感温素子との温度差に応じて半導体発光素子の点灯を制御する点灯回路と;
を具備していることを特徴とするランプ装置。
【請求項2】
回路基板は、回路部品を実装する実装面、および回路部品を電気接続する接続面を有し、
第1の感温素子は回路基板の接続面に配置され、第2の感温素子は回路基板の実装面に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のランプ装置。
【請求項3】
複数の回路部品のうちの自己発熱する回路部品に対して、第1の感温素子は第2の感温素子より近くに配置され、第2の感温素子は第1の感温素子よりも離れて配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のランプ装置。
【請求項4】
発光モジュールに対して、第1の感温素子は第2の感温素子より近くに配置され、第2の感温素子は第1の感温素子より離れて配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のランプ装置。
【請求項5】
第1の感温素子は発光モジュールに対して熱伝導部材にて熱伝導可能に接続されている
ことを特徴とする請求項4記載のランプ装置。
【請求項6】
筐体は、樹脂製のケース、および口金の一部を構成する金属製の口金部材を有し、ケースと口金部材とがねじで固定されており、
ねじに対して、第1の感温素子は第2の感温素子より近くに配置され、第2の感温素子は第1の感温素子より離れて配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4174(P2013−4174A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130624(P2011−130624)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】