説明

リブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造

【課題】大型のリブガラススクリーンとするために長尺のリブガラスを設置した際も、地震等による衝撃および層間変位に耐えるリブガラススクリーンの耐震構造および耐風圧構造を提供する。
【解決手段】面板ガラス1の突き合わせ部2にリブガラス3を立設し、突き合わせの目地部分に構造用シーリング材を充填させ板ガラスをリブガラス3で支持し、吊り下げ金具6を介して上部躯体4にリブガラス3を吊設したリブガラススクリーンにおいて、吊り下げ金具6にヒンジ5を設け、上部躯体4に吊り下げ金具6を固設し、吊り下げ金具6の下部にリブガラス3を接合し、上部躯体4にリブガラス3を吊設して、該ヒンジ5を中心としてリブガラス3を揺動可能としたリブガラススクリーンの耐震構造。変位抑制部材を吊り下げ金具に6に並設し耐風圧構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁等に大板ガラスを用いて大開口部を構成するガラススクリーン工法のうちリブガラス(ガラス方立)を用いる工法として、ガラススタビライザー工法、吊り下げスタビライザー工法が良く知られている。
【0003】
ガラススタビライザー工法は、ガラス方立付き自立工法とも呼ばれ、リブガラス(方立ガラス、ガラススタビライザーとも言う)を用いる工法であり、面板ガラスをリブガラスで支持することで、面板ガラスの自重による撓みと面板ガラスに加わる風荷重に耐えるものである。吊り下げスタビライザー工法は、開口部のガラス板の高さが高い場合に良く用いられている工法であり、例えば、面板ガラスおよびリブガラスの上部を挟持し上部躯体から吊り下げることで面板ガラスおよびリブガラスの自重による撓みを防ぐものである。
【0004】
リブガラスを用いたリブガラススクリーンは、複数枚の面板ガラスの縦辺を突き合わせた状態で立設させ、該突き合わせ部において、面板ガラスのガラス面に対して直角方向となるように、室内側または室外側のいずれか一方にリブガラスを立設させた片リブ構造が採用されることが多い。その際、各面板ガラス間およびリブガラス縦辺の突き合わせ部の隙間、いわゆる目地部分に、構造用シーリング材を充填させて、前記立設した面板ガラスおよびリブガラスを接着一体化しリブガラススクリーンとなす。
【0005】
尚、リブガラススクリーンは建物の1階の高さ、あるいは1階と2階を合わせた高さ以上の開口部に面板ガラスを使用し、面板ガラスをリブガラスで支持するガラス建造物であるので、地震に耐える耐震性が要求される。また、建物外壁に使用した場合には、面板ガラスが受ける風圧による風荷重に耐える強度が要求される。リブガラススクリーンにおいて、リブガラスは面板ガラスを補強するためのものであり、リブガラスと平行に、即ち、リブガラスの面内方向に加わる力に強いが、リブガラスと垂直に、即ち、リブガラスの面外方向に加わる力には弱い。
【0006】
地震が発生すると、面板ガラスおよびリブガラスを上部枠と下部枠に嵌合させて挟み込み、面板ガラスとリブガラスの突き合わせ部の目地部分にシーリング材を充填し接合してなる、上部枠と下部枠に挟まれた層状構造のリブガラススクリーンにおいて、上部枠と下部枠のズレ、言い換えれば、層間変位が起こる。その際、地震による揺れで上部枠または下部枠が動き、上部枠と下部枠の位置がずれると、上部枠および下部枠に支持されている面板ガラスは傾く。リブガラスは、その上部と下部がそれぞれ上部枠、下部枠に嵌合支持され、さらに、面板ガラスおよびリブガラスの下部において、下部枠により連結一体化されているので、前述の層間変位が起こるとリブガラスに強制的な傾きが生じ、リブガラスはよじれ、S字変形等をきたして破損し易いという問題があった。
【0007】
また、建物の外壁に用いる場合には、気象現象としての台風、ハリケーンおよびサイクロン等の熱帯性低気圧に伴う暴風、春一番等の他の気象現象およびビル風等に伴う突風は、面板ガラスに極めて強い力で吹きつける。この際、面板ガラスに加わる大きな風荷重をリブガラスが支えるので、リブガラスには容易に破壊されない強度が要求される。
【0008】
リブガラススクリーンの構造について、本出願人による特許文献1〜5に開示されている。
【0009】
例えば、特許文献4に記載のリブガラススクリーンの耐震構造においては、リブガラススクリーンにおいて面板ガラスとリブガラスの上部を上部躯体に吊り下げ固定し、面板ガラスとリブガラスの突き合わせ部の目地部分をシーリング材で充填して接合し、少なくともリブガラスについては、左右の動きを拘束しない構造とし、面板ガラスと突き合わせ、接合端の反対側のリブガラス端部をヒンジで固定し、リブガラスをヒンジ中心に可動可能とし、地震等でよじれS字変形することを抑制している。具体的には、面板ガラスとの突き合わせ部の反対側のリブガラス縦辺端部にヒンジを設け、面板ガラスの揺れにあわせて、突き合わせ部の反対側のリブガラス縦辺端部のヒンジ軸を中心として、リブガラスを短辺方向に小さく振り子運動させるものである。
【0010】
しかしながら、少なくとも1階と2階が連続した開口部における高さ以上の大型のリブガラススクリーンにおいては、リブガラスが長尺になるにつれて、地震等での層間変位によるS字変形等によって、リブガラスのよじれは大きくなり、特許文献4に記載のリブガラススクリーンの耐震構造を用いたとしても、リブガラスが長尺化するにつれ、リブガラスのよじれは大きくなり、リブガラスと面板ガラスと突き合わせ接合端の反対側のリブガラス縦辺端部に設けたヒンジを中心とし、リブガラスを振り子状に小刻みに運動させても、リブガラスのよじれを完全に吸収できず、リブガラスが破損する虞があった。
【0011】
また、本出願人による特許文献6には、強化ガラス板の接合方法において、その接合部が強化ガラス板を両側から並設板で摩擦部材を介して挟んでなり、強化ガラス板と並設板とにボルト挿入用の孔をあけ貫通させたボルトおよびナットにて締め付けることにより強化ガラス板と摩擦部材とに生じる摩擦力で並設板を介して強化ガラス板同士、あるいは、強化ガラス板と並設板とを接合する摩擦接合である強化ガラス板の接合方法が開示されている。
【0012】
該強化ガラス板の接合方法によって、貫通孔をあけた並設板を接合部材とし、貫通孔をあけた強化ガラス板同士、あるいは、強化ガラス板と並設板とをボルトで締め付け接合する際に、並設板と強化ガラス板と単純な接合部材である座金を入れ、座金を介してボルトで締め付けることで、座金と強化ガラス板との間の小さな接触面積でボルトの軸力が伝わることにより、強化ガラス板と並設板がずれて滑り難く、接着材を用いることなく強化ガラス同士、あるいは、強化ガラスと並設板とを繋ぎ合わせることで、リブガラススクリーンのリブガラスとして用いるに十分な強さのリブガラスが作製された。
【特許文献1】特開平10−61069号公報
【特許文献2】特開平10−61070号公報
【特許文献3】特開2000−336804号公報
【特許文献4】特開2001−336244号公報
【特許文献5】特開2003−328476号公報
【特許文献6】特開2006−250345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
地震は地球のプレートテクトニクス運動により、蓄えられた地殻の歪によるエネルギーが一気に解放され地層または岩盤等がすべる現象、あるいはマグマの流動により地層または岩盤等がすべる現象であり、震源より弾性波(P波、S波)が伝搬される。地震時には、縦波のP波が伝わった後、横波のS波が伝わる。地震時、リブガラススクリーンはP波により震動してきしんだ後、横波であるS波により揺動する。吊り下げスタビライザー工法においては、リブガラススクリーンが吊り下げ構造のため、面板ガラスおよびリブガラスが上端を支点として振り子状に震動する。その際、揺れの弱い地震においては、面板ガラスおよびリブガラス突合せ部の隙間、即ち、目地部分に充填された弾性を有するシーリング材が揺れのエネルギーを吸収するが、震度6、7等の強震においてS波の振れ幅が大きく、その作用時間も大きいことから、S波によるリブガラススクリーンの揺れは、次第に増幅され、もはやシーリング材では吸収しきれず、破壊に至る。この際、リブガラスの上部および接合部付近に応力の集中が起き、破損に至る可能性が高い。
【0014】
また、建物の外壁としてリブガラススクリーンを用いた場合、熱帯性低気圧よる暴風、春一番およびビル風等による突風は、極めて強い風圧で面板ガラスに吹きつけ、面板ガラスに大きな風荷重を加える。面板ガラスに加わる風荷重をリブガラスが支えるリブガラススクリーンには容易に破壊されない強度が要求される。尚、この風圧は、外壁外側から見て、面板ガラスの面外方向に働く正圧となる。
【0015】
本発明は、リブガラススクリーンを大型化するために長尺のリブガラスを設置した際も、地震によるS波の揺動に耐えるリブガラススクリーンの耐震構造を提供するとともに、加えて面板ガラスにかかる風荷重を受け止める耐風圧構造を併せ持ったリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造は、立設する面板ガラスの突き合わせ部の片側または両側に面板ガラスのガラス面と直交するように、面板ガラスの縦辺端部と沿うようにリブガラスを立設し、突き合わせの目地部分に構造用シーリング材を充填させて、面板ガラスをリブガラスで支持し、吊り下げ金具を介して上部躯体にリブガラスを吊設したリブガラススクリーンにおいて、リブガラスを吊設するための上部躯体に吊り下げ金具の上部を固設し、吊り下げ金具にヒンジをリブガラスと平行となるように設け、吊り下げ金具の下部にリブガラスを接合する。
【0017】
このようにして、上部躯体にリブガラスを吊設して、該ヒンジのヒンジ軸を中心として、リブガラスと直交する方向、即ち、リブガラスの面外方向にリブガラススクリーンを揺動可能とした。ヒンジを設けたことにより、少なくとも1階と2階が連続した開口部における高さ以上の大型の吊り下げ構造のリブガラススクリーンにおいて、地震等における揺動時に破壊力が集中するリブガラスの上端の破壊を抑制する効果が期待される。
【0018】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造は、上部躯体にリブガラススクリーンを吊り下げる吊り下げスタビライザー工法によるリブガラススクリーンに対して好適に使用される。特に建造物の外壁をなすリブガラススクリーンに対して好適に使用される。
【0019】
このように、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造において、従来のリブガラススクリーンで生じた面板ガラスの面内方向、リブガラスの面外方向の揺動により生じるリブガラス上部への曲げ応力の集中は、リブガラスの上側の吊り下げ金具にヒンジを設けたことで解消し、面板ガラスの突き合わせ部目地部分の高モジュラスな構造用シーリング材が積極的に揺動のエネルギーを吸収する構造とした。このように、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造において、地震時にヒンジ軸を中心に回動するヒンジを設けたことで、従来のリブガラススクリーンに比較し、地震発生時のリブガラス上端への応力集中が小さくなり、地震によりリブガラスが破損し難くなった。
【0020】
即ち、本発明は、立設する面板ガラスの突き合わせ部の片側または両側に面板ガラスと直交するようにリブガラスを立設し、突き合わせの目地部分に構造用シーリング材を充填させて、面板ガラスをリブガラスで支持し、吊り下げ金具を介して上部躯体にリブガラスを吊設したリブガラススクリーンにおいて、リブガラスを吊設するための上部躯体に、ヒンジをリブガラスと平行となるように設けた吊り下げ金具の上部を固設し、吊り下げ金具の下部にリブガラスを接合し、上部躯体にリブガラスを吊設して、該ヒンジを中心としてリブガラスを揺動可能としたことを特徴とするリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0021】
また、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造において、吊り下げ金具の下部は、一対の金属板からなりリブガラス上部を挟持した状態で吊り下げ金具とリブガラスを接合する構造とすることが好ましい。
【0022】
このような構造とすることで、リブガラスの上部は吊り下げ金具の下部に接合され、吊り下げ金具に設けられた可動可能なヒンジを中心として、リブガラスが、その面外方向に揺動可能となり、リブガラスの上部固定端に地震等における揺動時に破壊力が集中することがない。
【0023】
さらに、本発明は、吊り下げ金具の下部が一対の金属板からなり、リブガラス上部を挟持した状態で接合する構造としたことを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0024】
また、風圧により面板ガラスの面外方向に揺動すること、およびリブガラスが面内方向に揺動することによって生じる面板ガラスと直交する変位は、上記のリブガラススクリーンの耐震構造に、吊り下げ金具のヒンジ下に並設して変位抑制部材を設けることで軽減することとした。変位抑制部材を吊り下げ金具に並設したことで、風圧によるリブガラスの面内方向への揺動および面板ガラスの面外方向への揺動によるヒンジ部のがたつき、面板ガラスの変位も抑制することから、風圧に対して面板ガラスの保護効果がある。尚、変位抑制部材とは、面板ガラスが風荷重を受け止め、風荷重により面板ガラスの面外方向にリブガラススクリーンが位置を変えることを抑制する部材であり、また、前記ヒンジを構成するシリンダー部とヒンジ軸の微小な隙間による強風時のヒンジのがたつきを抑制する部材であり、具体的には、揺動抑制部材またはがたつき抑制部材といえるものである。
【0025】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造に、吊り下げ金具のヒンジ下に並設して変位抑制部材を設け、耐風圧性能を加えた本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、面板ガラスに加わる風荷重を、吊り下げ金具に並設した変位抑制部材が受け止めるので、リブガラススクリーンの耐風圧性能が増す効果がある。詳しくは、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を外壁に用いる場合、面板ガラスに加わる風荷重によって、吊り下げ金具に設けられたヒンジ部は曲げの力を受ける。風荷重を変位抑制部材が受け止めないと、ヒンジ部等に生じる微小なクリアランスによって、リブガラス上部の面内方向に微小回転が生じ、面板ガラスの受ける風圧がヒンジ部に加わり、ヒンジ部に発生する微小回転による微小変位によって、リブガラス下部ではリブガラスの長さに比例して大きな変位が発生する。このリブガラス下部の大きな変位は、面板ガラスの面外方向の変位となり、面板ガラスに曲げ変形を生じさせる。この面板ガラスの曲げ変形によって生じる応力により、面板ガラスが破損する虞がある。尚、微小なクリアランスを例示すると、ヒンジ部のヒンジ棒とシリンダー孔との寸法誤差や、シリンダー棒とシリンダーの長さの寸法誤差などが挙げられる。
【0026】
即ち、本発明は、上記のリブガラススクリーンの耐震構造において、変位抑制部材を吊り下げ金具に並設したことを特徴とするリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0027】
変位抑制部材を吊り下げ金具に並設する際、端部から亀裂が発生しやすいリブガラスを避けて、地震時のリブガラスの面内方向への揺動および面板ガラスの面外方向への揺動を極力抑制するために、変位抑制部材は、常時、ヒンジ下の吊り下げ金具端部に当接し摺動するように設置することが好ましい。具体的には、ヒンジ下の吊り下げ金具端部に摺動面を有する摺動部材を設け、変位抑制部材の当接面と摺動部材の摺動面が摺動することが好ましい。地震時に強い力が加わるので、変位抑制部材の当接面および摺動部材の摺動面は、少なくとも金属であることが好ましい。
【0028】
変位抑制部材を吊り下げ金具に並設したことで、面板ガラスが受ける風荷重を変位抑制部材が受け止め、リブガラス上部に生じる微小変位を抑えることで、風荷重による面板ガラスの変位を大幅に抑制する保護効果が得られ、優れたリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造となった。その際、変位抑制部材を、一対の金属板端部に設けた摺動部材の摺動面に当接させて、摺動部材の摺動面と変位抑制部材の当接面が擦れ合い摺動可能とすることが好ましい。その際、変位抑制部材の当接面および摺動部材の摺動面は、ともに平滑な金属面であると摺動可能であり、且つ、耐久性を有する。
【0029】
その際、ヒンジ下の吊り下げ金具下部に、地震時に吊り下げ金具の摺動部材の摺動面と変位抑制部材が上手く摺動するように、隙間を調整するために、例えば、ボルト等を回転させることによる吊り下げ金具の摺動部材の摺動面と変位抑制部材の隙間調整機能を備えていることが好ましい。
【0030】
また、本発明は、変位抑制部材が吊り下げ金具端部に設けられた摺動部材の摺動面との隙間調整機能を備えていることを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0031】
また、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造または耐震耐風圧構造において、リブガラススクリーンの破砕を抑制するには、吊り下げ金具とリブガラスを強固に一体化させることが必要である。
【0032】
吊り下げ金具とリブガラスを一体化させるには、吊り下げ金具の下部を一対の金属板とし、リブガラス上部を挟持した状態で、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等のガラスと金属の接着に効果がある接着剤で、その界面を接着する手段が挙げられるが、高い信頼性で強固に一体化させるためには、吊り下げ金具下部およびリブガラス上部に貫通孔を開けて、一対の締め付け部材、例えば、貫通孔に挿入したボルト・ナットで締め付けることが好ましい。
【0033】
吊り下げ金具の下部およびリブガラスの上端部に貫通孔を設け、吊り下げ金具とリブガラスを重ね、吊り下げ金具下部およびリブガラス上部の貫通孔ともに挿通した一対の締め付け部材であるボルト・ナットで、吊り下げ金具の下部とリブガラスの上部を締め付けると、締め付け部に局所的な力が生じ、特にリブガラスの貫通孔の孔端部から破損しやすい。
【0034】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造または耐震耐風圧構造において、吊り下げ金具下部の一対の金属板にリブガラス上部を挟み込み、一対の金属板およびリブガラス上部に設けた貫通孔に、ともに挿通したボルト・ナットの強力な締め付けにより生じるボルト軸方向の力を、一対の金属板とリブガラス上部の間に挟み込んだ貫通孔を有する応力発生部材、例えば、平座金を介してリブガラスに伝達する際、平座金の内径をリブガラスの貫通孔の直径より大きくし同心に配置することで、リブガラスの貫通孔端部と平座金が重ならないようにして、割れが発生しやすいリブガラスの貫通孔端部を避けてボルト軸方向の力を伝え強固に接合し、応力発生部材である平座金の接触するリブガラス内部に圧縮応力を発生させて、クラックの発生と伝播を抑制することで、リブガラスと吊り下げ金具とを強固に一体化させて、地震時や風荷重等によって接合部がずれることを防止することとした。応力発生部材とは、その接触する部位のリブガラス内部に応力を発生させる部材である。
【0035】
このように、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造または耐震耐風圧構造において、例えば、吊り下げ金具下部の一対の金属板とリブガラスを接合する際に、リブガラスに接触させた応力発生部材である平座金を介し、ボルト軸方向の力をリブガラスに小面積で直接伝えることで、単位面積当たりの圧力が大きくなり、リブガラス内部に強い圧縮応力を生じさせ、圧縮応力を生じさせたリブガラスの圧縮部位のクラックの発生および伝播を抑制し、リブガラスの見掛の強度を増加させる。リブガラスの貫通孔端部を避けて、リブガラスに応力発生部材である平座金を強く圧接することで、リブガラス自体の剛性を利用した強い接合強度が得られ、地震時や風荷重等によって接合部がずれることを防止した。
【0036】
その際、応力発生部材として平座金を使用し、平座金の内径を、リブガラスの貫通孔の直径より大きくして、同心に配置して締め付けることで、割れが発生しやすいリブガラス貫通孔端部を避けて、ボルト・ナットの締め付けによるボルト軸方向の力を伝え、平座金を介して小面積でボルト軸方向の力を伝えたので、平座金からの強い単位面積当たりの圧力により、リブガラスに対する強い圧接が得られ、吊り下げ金具とリブガラスに強い接合強度が得られた。
【0037】
このようにして、橋やビル等の鋼構造物の接合方法として用いられる、高力ボルト摩擦接合で使用されるボルト・ナットの締め付けによる60kN以上のボルト軸方向の力で、吊り下げ金具とリブガラスを締め付けても、リブガラスが破損せず、吊り下げ金具とリブガラスに強い接合強度が得られた。なお、ボルト・ナットの締め付けにより生じる力が300kNより大きいと、リブガラスに高い剛性があっても破損の恐れがある。
【0038】
ボルト頭部・ナットの外径よりも平座金の内径を小さくすることで、60kN以上のボルト軸方向の力でリブガラスを締め付けることが容易となる。通常、六角ボルト・ナットにおいては、ボルト頭部、ナットの最大の外径を対角距離と呼ぶ。強い締め付けトルクを伝えるには六角ボルト・ナットを使用することが好ましく、中でも建築用で使用される摩擦接合用高力ボルト・ナットが好適に使用される。
【0039】
即ち、本発明は、前記吊り下げ金具の下部の一対の金属板とリブガラスに貫通孔を設け、リブガラスに設けた貫通孔の直径よりも大きい内径の貫通孔を有する応力発生部材を、個々の貫通孔が同心となるように吊り下げ金具とリブガラスの間に挟み込み、個々の貫通孔および応力発生部材に挿通させた一対の締め付け部材の締め付けにより生じる力を、吊り下げ金具とリブガラスとの間に挟んだ応力発生部材を介してリブガラスに伝達させ、応力発生部材の接触する部位のリブガラス内部に圧縮応力を発生させて、吊り下げ金具とリブガラスとを接合したことを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0040】
さらに、本発明は、応力発生部材が平座金であり、一対の締め付け部材がボルト・ナットであることを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0041】
さらに、本発明は、ボルト・ナットの締め付けにより生じる力が60kN以上、300kN以下であることを上記のリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0042】
さらに、本発明は、ボルト・ナットが六角ボルト・ナットであり、ボルトの頭部・ナットの外径よりも平座金の内径を小さくしたことを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震構造である。
【0043】
また、本発明は、前記吊り下げ金具の下部の一対の金属板とリブガラスに貫通孔を設け、リブガラスに設けた貫通孔の直径よりも大きい内径の貫通孔を有する応力発生部材を、個々の貫通孔が同心となるように吊り下げ金具とリブガラスの間に挟み込み、個々の貫通孔および応力発生部材に挿通させた一対の締め付け部材の締め付けにより生じる力を、吊り下げ金具とリブガラスとの間に挟んだ応力発生部材を介してリブガラスに伝達させ、応力発生部材の接触する部位のリブガラス内部に圧縮応力を発生させて、吊り下げ金具とリブガラスとを接合したことを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0044】
さらに、本発明は、応力発生部材が平座金であり、一対の締め付け部材がボルト・ナットであることを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0045】
さらに、本発明は、ボルト・ナットの締め付けにより生じる力が60kN以上、300kN以下であることを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0046】
さらに、本発明は、ボルト・ナットが六角ボルト・ナットであり、ボルトの頭部・ナットの外径よりも平座金の内径を小さくしたことを特徴とする上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造である。
【0047】
また、本発明は、上記のリブガラススクリーンの耐震構造を有するリブガラスクリーンである。
【0048】
さらに、本発明は、上記のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を有するリブガラススクリーンである。
【発明の効果】
【0049】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造により、地震等が発生したときに、リブガラスの上端部を吊り下げ金具を介して上部躯体に吊り下げ固定し、吊り下げ金具にヒンジを設け、ヒンジを中心としてリブガラスを揺動可能としたことで、面板ガラスの面内方向およびリブガラスの面外方向に生じるズレ、言い換えれば、変位量の差を吸収し、リブガラスが極端に変形することなくリブガラスの破損を防ぐことが可能となった。
【0050】
加えて、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、面板ガラスの面外方向への揺れを極力抑制するための変位抑制部材を吊り下げ金具に並設したことで、面板ガラスが風荷重を受けた場合、面板ガラスの面外方向の変位が抑制され、高い耐風圧性能を有するリブガラススクリーンが得られた。
【0051】
具体的には、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造は、吊り下げ金具にヒンジを設け、地震等が発生した際は、吊り下げ金具の下部に固定してなるリブガラスがヒンジのヒンジ軸を中心として揺動可能としたことで、地震等の際にリブガラスが面板ガラスの面内方向の揺れに追従できるようになり、リブガラス上部に力が集中せず、面板ガラスおよびリブガラスの突き合わせ部の目地部分に充填してなる構造用シーリング材が地震による変位および力を吸収し、リブガラスの破損を防げることが可能となった。
【0052】
さらに、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、面板ガラスに加わる風荷重を吊り下げ金具に並設した変位抑制部材が受け止めるので、風圧に対しても破損し難いリブガラススクリーンが提供された。
【0053】
また、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造および耐風圧構造において、吊り下げ金具の下部を一対の金属板とし、リブガラス上部を挟持した状態で接合する構造とし、前記吊り下げ金具の下部の一対の金属板とリブガラスに貫通孔を設け、リブガラスに設けた貫通孔の直径よりも大きい内径の応力発生部材である平座金を、個々の貫通孔が同心となるように吊り下げ金具とリブガラスの間に挟み込み、個々の貫通孔および平座金に挿通させた一対の締め付け部材であるボルト、ナットの締め付けにより生じる力を、吊り下げ金具とリブガラスとの間に挟んだ平座金を介してリブガラスに伝達させ、吊り下げ金具とリブガラスとを極めて強固に接合したことで、地震時等に、吊り下げ金具とリブガラスの接合部がずれることなく、より優れたリブガラススクリーンの耐震構造または耐震耐風圧構造が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
リブガラススクリーンには、リブガラスが室内側にあるリブガラススクリーンと、リブガラスが室外側にあるリブガラススクリーンと、リブガラスが室内外両方、言い換えれば、両側にあるリブガラススクリーンがある。リブガラスが室内側にある方が構造上シンプルであり、外側に出っ張りがなく、建物外壁としての需要が多いことより、リブガラスが室内にあるリブガラススクリーンを、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造、および耐震耐風圧構造の説明に用いる。
【0055】
尚、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造は、建物外壁に用いる片側にリブがある大型のリブガラススクリーンに使用するに好適であるが、リブガラスが両側にある両リブタイプのリブガラススクリーンにも使用可能であり、十分に耐震機能を果たす。加えて、変位抑制部材を用いた本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造は、優れた耐風圧機能を果たす。
【0056】
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の実施の形態の一例を、図を用いて説明する。
【0057】
図1の(A)は、本発明の耐震構造を有するリブガラススクリーンの一例の平面図である。図1の(B)は、本発明の耐震構造を有するリブガラススクリーンの一例の側面図である。
【0058】
図1の(A)および(B)に示すように、外壁として立設する面板ガラス1の突き合わせ部2の片側(室内側)に面板ガラス1と直交する方向にリブガラス3を立設し、突き合わせ部2の目地部分に構造用シーリング材を充填させて面板ガラス1を片側よりリブガラス3で支持したリブガラススクリーンにおいて、リブガラス3を吊設するための上部躯体4に、ヒンジ軸を中心に回動可能なヒンジ5をリブガラス3と平行となるように設けた吊り下げ金具6の上部を固設し、吊り下げ金具6の下部にリブガラス3を接合し、上部躯体4にリブガラス3を吊設して、該ヒンジ5のヒンジ軸を中心としてリブガラス3を揺動可能とした。目地部分とは、面板ガラス1同士、および面板ガラス1とリブガラス3を接合する際に、構造用シーリング材を充填して接合するための、各々のガラスの突き合わせ部2の隙間部分である。
【0059】
図2の(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の主要部の一例の拡大正面図である。図2の(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の主要部の一例の拡大側面図である。
【0060】
具体的には、図2の(A)および(B)に示すように、ヒンジ5を中心としてリブガラス3を揺動可能に設ける際、並設した複数枚の面板ガラス1、1、・・のそれぞれの上部、および、面板ガラス1同士の隣接する突き合わせ部2に直交するように立設させたリブガラス3の上端部を上部躯体4に吊り下げ金具6を介して吊り下げ支持し、面板ガラス1同士、およびリブガラス3との突き合わせ部2の目地部分には高モジュラスな構造用シーリング材を充填させた。
【0061】
また、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造において、図2の(A)および(B)に示すように、吊り下げ金具6にヒンジ5を設け、リブガラス3の上端を挟持するために、吊り下げ金具6のヒンジ5より下を一対の金属板7とした。
【0062】
詳しくは、図2の(A)に示すように、上部躯体4に吊り下げ金具6をボルト8・ナット9で固定し、リブガラス3と接合する吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側にヒンジ5を設けた。具体例としては、吊り下げ金具6の一対の金属板7の上側両端にシリンダー孔を設け、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側中央にシリンダー孔を設け、3分割のヒンジ5として、各々のシリンダー孔にヒンジ軸としてのヒンジ棒を通し、ヒンジ棒がずれないように、ヒンジ棒先端を座金およびボルトで固定した。このようにして、吊り下げ金具6の下部は、地震等が発生した際は、ヒンジ5のヒンジ棒を中心軸としてリブガラス3の面外方向に揺動可能とした。
【0063】
図1の(A)および(B)に示すように、リブガラス3の上端部を挟持する吊り下げ金具6にヒンジ5を設け、ヒンジ棒を中心としてリブガラス3が揺動できるようにしたのは、地震による層間変位によって、面板ガラス1が傾いた際、リブガラス3の上端部に破壊に至るような応力を発生させることなく、面板ガラス1の変位にリブガラス3を追従させることで、地震等によるリブガラス3の破損を防止するためである。
【0064】
次いで、上記のリブガラススクリーンの耐震構造に加え、変位抑制部材を吊り下げ金具に並設した本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の実施の形態の一例を、図を用いて説明する。
【0065】
図3の(A)は、本発明の耐震耐風圧構造を有するリブガラススクリーンの一例の平面図である。図3の(B)は、本発明の耐震耐風圧構造を有するリブガラススクリーンの一例の側面図である。
【0066】
図1の(A)および(B)に示したリブガラススクリーンの耐震構造に加え、図3の(A)および(B)に示すように、吊り下げ金具6に変位抑制部材10を並設し、摺動部材11を吊り下げ金具のヒンジ5の下部に固設した。
【0067】
図4の(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の主要部の一例の拡大正面図である。図4の(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の主要部の一例の側面を断面で示した拡大図である。尚、図4の(A)中のA、A´における断面およびA、A´における側面を示した。
【0068】
具体的には、図4の(A)および(B)に示すように、ヒンジ5を中心としてリブガラス3を揺動可能に設ける際、並設した複数枚の面板ガラス1、1、・・のそれぞれの上部、および面板ガラス1同士の隣接する突き合わせ部2に直交するように立設させたリブガラス3の上端部を上部躯体4に吊り下げ金具6を介して吊り下げ支持し、面板ガラス1同士およびリブガラス3との突き合わせ部2の目地部分には高モジュラスな構造用シーリング材を充填させた。このように、吊り下げ金具6と変位抑制部材10を並設した。
【0069】
また、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、図4の(A)および(B)に示すように、吊り下げ金具6にヒンジ5を設け、リブガラス3の上端を挟持するために、吊り下げ金具6のヒンジ5より下を一対の金属板7とした。前述の変位抑制部材10は、この一対の金属板7端部に設けた2個の摺動部材11の摺動面に両側から当接するように金属板12に設置し、吊り下げ金具6に並設した。地震時には、リブガラス3が揺動可能となるように、一対の金属板7の端部に設けた摺動部材11の摺動面と変位抑制部材10の当接部位が擦れあって摺動することが好ましい。この際、摺動部材11の摺動面と変位抑制部材10の当接面は、擦り合わせに適した金属製であることが好ましい。
【0070】
詳しくは、図4の(A)に示すように、上部躯体4に吊り下げ金具6をボルト8・ナット9で固定し、リブガラス3と接合する吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側にヒンジ5を設けた。具体例としては、吊り下げ金具6の一対の金属板7の上側両端にシリンダー孔を設け、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側中央にシリンダー孔を設け、3分割のヒンジ5として、各々のシリンダー孔にヒンジ軸としてのヒンジ棒を通し、ヒンジ棒がずれないように、ヒンジ棒先端を座金およびボルトで固定した。このようにして、吊り下げ金具6の下部の一対の金属板7およびリブガラス3は、地震等が発生した際は、ヒンジ5のヒンジ棒を中心にリブガラス3の面外方向に揺動可能とした。
【0071】
また、図4の(A)に示すように、例えば、上部躯体4に溶接された金属板12に、吊り下げ金具6に並設するように変位抑制部材10を取り付け固定し、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の端部に摺動部材11を取り付け、金属板12に羅合させた図示しないボルトを回すことによって変位抑制部材10内を円筒部材13が移動し、変位抑制部材10と摺動部材11の間隔を調整して、円筒部材13端部が摺動部材11の摺動面に当たるように調整した。
【0072】
リブガラススクリーンの耐震構造に加え、変位抑制部材を吊り下げ金具に並設した本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、風圧によって面板ガラス1が面外方向に揺動することおよびリブガラス3が面内方向に揺動することによって生じる面板ガラス1と直交する変位は、吊り下げ金具6のヒンジ5下に並設した変位抑制部材10が軽減する構造とした。
【0073】
次いで、変位抑制部材10の一例について詳細に説明する。
【0074】
図5は、変位抑制部材の一例の拡大測面図である。変位抑制部材の本体のみ断面で示している。
【0075】
例えば、図5に示すように、変位抑制部材10は金属板12に溶接等で固定した。摺動部材11にネジ穴を設け、一対の金属板に溶接等で固定した金属台座14にボルト挿通孔を設け、摺動部材11を吊り下げ金具4下部の一対の金属板7に固設した金属台座14にボルト15で羅合にて固定した。
【0076】
また、変位抑制部材10は変位抑制部材本体16内部に円柱部材13を有する構造とし、金属板12にネジ穴を設け、ボルト17を羅合させて、ボルト17を回すことで、ボルト17の先端が円柱部材13の端面を押す構造とした。ボルト17を回して、円柱部材13を水平方向に移動させ、もう一方の変位抑制部材7の端面を摺動部材11の摺動面と当接させた。このようにして、円柱部材13の端部と摺動部材11の摺動面の僅かな空間をなくすことが可能となった。尚、円柱部材13が水平方向にのみ移動可能で、鉛直方向には動かないように、鋼球ベアリング18を変位抑制部材本体16と円柱部材13との間に挟み込む設計とした。
【0077】
ボルト17は、円柱部材13の位置を調節し易いように、および調節後に円柱部材13の位置がずれないように、弛み止めのナット19を予め羅合させることが好ましい。尚、ボルト17の変わりに、6角穴付き止めネジ等を用いても構わない。
【0078】
このようにして、円柱部材13と摺動部材11の摺動面の隙間をなくすことで、リブガラス3がその面内方向に回転し難くなり、リブガラス3の回転変位を変位抑制部材10で抑制することができる。
【0079】
さらに、円柱部材13の端面と摺動部材11の摺動面が接触する際、微視的に見て厳密には、ともに平面である円柱部材13端面の円周周囲のみと摺動部材11の摺動面が接触するので、接触部の形状は線となる。接触部の形状が線なので、揺動時、擦れ合う際の接触面積は非常に小さく、面板ガラスが風荷重を受けた場合のリブガラス3の面内方向の揺動のみを抑制し、面外方向への揺動を妨げることがなく、ヒンジ5による耐震性能を損なわない。
【0080】
また、円柱部材13の端面を、平面としないで、凸面状になるように、または凹面状となるように、テーパーを掛けてもよく、その方がより、動きがスムーズになる。
【0081】
尚、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造において、リブガラス3と吊り下げ金具6の接合部の強度が重要である。
【0082】
図6は、吊り下げ金具とリブガラスの接合部の拡大断面図である。尚、ボルト20・ナット21を除き断面図で示している。
【0083】
図6に示すように、貫通孔が設けられたリブガラス3の上部を、貫通孔が設けられた吊り下げ金具6下部の一対の金属板7に、各々の貫通孔が重なるように、応力発生部材としての平座金22を介して挟み込んだ。次いで、一対の締め付け部材であるボルト20・ナット21を用いて、ボルト20を、締め付けのための平座金23の貫通孔、吊り下げ金具6下部の一方の金属板7の貫通孔、応力発生部材としての平座金22の貫通孔、リブガラス3の貫通孔、応力発生部材としての平座金22の貫通孔、吊り下げ金具6下部のもう一方の金属板7の貫通孔、次いで、締め付けのための平座金23の貫通孔の順に挿入した。次いで、ボルト20にナット21を羅合させ締めつめることで、リブガラス3と一対の金属板7を接合した。
【0084】
この際、ボルト20・ナット21を強く締め付けた際に発生するボルト軸方向の強い力により、リブガラス3に割れを生じさせないためには、リブガラス3に形成した貫通孔の孔径より、応力発生部材である平座金22の内径を、1.0mm以上、好ましくは4.0mm以上大きくする。この際、リブガラス3の貫通孔端部と平座金22が重ならないためには、円形の平座金22を用い、リブガラス3の貫通孔に対して平座金22を同心となるように配置することが好ましい。このように、平座金22の内径を、リブガラス3の貫通孔の孔径に対し1.0mm以上、好ましくは4.0mm以上大きくする、要するに、リブガラス3の貫通孔の端部から平座金22までの間隔を0.5mm以上、好ましくは2.0mm以上とする。平座金22の内径がリブガラス3の貫通孔に対し1.0mm未満、言い換えれば、リブガラス3の貫通孔端部から平座金22までの間隔が0.5mm未満では、リブガラス3の貫通孔端部にボルト軸方向の力が伝播し割れが生じる恐れがある。平座金22の内径を、リブガラス3の貫通孔の孔径に対して、20mmを超えて大きくすると、ボルト軸方向の力が伝達され難くなるので、20mm以下であることが好ましい。
【0085】
また、用いるボルト20・ナット21には、高力六角ボルト・ナット、言い換えると、機械的性質による等級がF8T以上の高力六角ボルト、または、強度区分が、8.8、10.9、12.9の六角ボルト・ナット、または、トルシア形高力ボルトを使用することが好ましく、中でも建築で使用される摩擦接合用高力ボルト・ナット、言い換えると、機械的性質による等級がF8T以上の高力六角ボルト・ナットが好適に使用される。高力ボルト・ナットにより、リブガラス3と吊り下げ金具6を接合することで、強固な接合力が得られる。尚、高力六角ボルト・ナット・座金の機械的性質による等級については、JIS B1186−1995「摩擦接合用高力六角ボルト六角ナット、平座金のセット」に記載され、高力ボルト・ナットよる締め付けトルクは、橋やビル等の鋼構造物の接合方法として用いられている高力ボルト摩擦接合で導入される強力なボルト軸方向の力、60kN以上、300kN以下が得られる100N・m以上、1000N・m以下の範囲に設定される。
【0086】
また、図6に示すように、平座金22の内径がボルト20・ナット21の対角距離よりも小さいと、60kN以上のボルト軸方向の力で締め付け、リブガラス3と吊り下げ金具6を強固に接合することが容易となる。平座金22の内径がボルト20・ナット21の対角距離よりも小さいと、ボルト20・ナット21の強力な締め付けによるボルト軸方向の力がリブガラス3に直線的に伝わる。ボルト軸方向の力が斜めに伝わると、強く締め付けられないばかりか、各々の圧接部に局所的な力がかかり、リブガラス3が破損する恐れがある。
【0087】
この際、平座金22の内径が、ボルト20の頭部の対角距離、ナット21の対角距離より、2.0mm以上小さいことが好ましく、5.0mm以上小さいことがさらに好ましい。こうすることで、同心としてボルト20・ナット21で締め付けたとき、ボルト20の頭部、ナット21の平座金22に対するかかり代が、1.0mm以上、好ましくは2.5mm以上となり、確実にボルト20・ナット21の締め付けによるボルト軸方向の力が、応力発生部材である平座金22に伝わり、リブガラス3に伝達される。
【0088】
応力発生部材である平座金22には、F8T以上の六角ボルト19・ナット20の締め付けによる強力なボルト軸方向の力に耐え、変形することなきよう、座金の機械的性質による等級がF35以上の平座金22、またはステンレス鋼製平座金22が使用されるが、ガラスとヤング率が近く接合部が馴染み易くクラック発生が抑制でき、線熱膨張係数が高く緩みが生じ難いアルミニウム製平座金22、あるいはアルミニウム合金製平座金22が、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造に用いるのに好ましい材料である。
【0089】
また、図6に示すように、ボルト20・ナット21を締め付ける際に締め付けやすく、締め付け工具のトルクを伝えやすいので、ボルト20・ナット21と一対の金属板7の間に、平座金23を噛ませると良い。そうすることで、ボルト軸方向の力が、平座金23、金属板7、平座金22、リブガラス3、平座金22、金属板7、平座金23に直線的に伝わる。また、リブガラス3の接合部に2個以上、この好ましくは4個以上の貫通孔を空けて、締め付け部材であるボルト20・ナット21と平座金22を用いて、リブガラス3と吊り下げ金具6を接合すれば、ボルト20・ナット21の締め付けによるボルト軸方向の60kN以上、300kN以下の力が各接合部に作用し、リブガラス3と吊り下げ金具6が強く接合する。
【0090】
この際、接合部の箇所および数は、適宜設定できる。しかしながら、リブガラス3の厚みやリブガラス3の貫通孔の孔径にもよるが、リブガラス3に貫通孔を多数あけるとリブガラス3自体の強度が失われる。特に、異なる貫通孔間の間隔を、異なる貫通孔の端部間の最短距離で表して、30mm以下の間隔であると、貫通孔を設けたことでリブガラス3自体の強度が失われる。貫通孔を設けられる最大数は、リブガラス3の大きさと前述の異なる貫通孔間の間隔によって決まる。尚、接合部を増やすこと、または接合部の間隔、言い換えれば、接合部間の距離を広げることでリブガラス3と吊り下げ金具6との接合強度は高まる。
【0091】
このように、図6に示すように、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7で挟持したリブガラス3を、応力発生部材としての平座金22を介して、リブガラス3の貫通孔端部を避けて、ボルト20・ナット21を締め付け固定したことで、リブガラス3と吊り下げ金具6が強固に固定され、面板ガラス1の面外方向に加わる正圧、負圧等の荷重を、リブガラス3が受け止めることが可能となった。
【0092】
尚、図1の(B)および図3の(B)に示した接続金具24は、面板ガラス1とリブガラス3とを接続するものであり、メタルファサードグレージング(以下、MFGと略する)工法によって接合している。MFG工法とは、ガラス板に貫通孔をあけず、ガラス板の端部を金具で挟み込んで支持する工法である。
【0093】
図1の(B)および図3の(B)に示すように、MFG工法を用いたリブガラススクリーンにおいては、面板ガラス1とリブガラス3を面板ガラス1の高さ方向の途中で接合したハーフリブガラスとすることにより、面板ガラス1の最下部までリブガラスがある、言い換えれば、通しのリブガラスの場合に比べ、ハーフリブガラスでは、ハーフリブガラスの下部に開放的な空間を作り出すことができる。ただし、ハーフリブガラスは、通しのリブガラスに比べ、風圧等による面板ガラス1にかかる力を通しのリブガラスよりも短いハーフリブガラスで支えなければならないため、ハーフリブガラスの上部固定端には、強い接合力が要求される。MFG工法を用いたリブガラススクリーンには、図6に示した応力発生部材を用いての吊り下げ金具6とリブガラス3の接合構造が好適に使用される。
【0094】
図7の(A)は、面板ガラスの取り付け構造の一例の縦断面図であり、面板ガラスの上端部の取り付け構造である。図7の(B)は、面板ガラスの取り付け構造の一例の縦断面図であり、面板ガラスの下部の取り付け構造である。
【0095】
図7の(B)に示すように、面板ガラス1を、サッシ枠25上にセッティングブロック26を介して自立させ、サッシ枠25に面板ガラス1の荷重を預けている。図7の(A)および(B)に示すように、面板ガラス1の上端と下端の室内、室外側面とサッシ枠25の下部の間には、バックアップ材27を設け、該バックアップ材27、面板ガラス1、サッシ枠25の上部または下部の3面で囲まれる部分に雨水等の止水用として、止水シール材28を充填し、雨水等の侵入を防ぐようにした。
【0096】
以上好適な実施の形態について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の応用が考えられるものである。
【0097】
尚、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造に使用する、面板ガラス1とリブガラス3との突き合わせ部2の目地部分に充填する構造用シーリング材としては、高モジュラスな弾性シーリング材であるシリコーン系シーリング材や酢酸型シリコーン系シーリング材を使用できる。例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製、品番SE960が挙げられる。
【0098】
また、止水シール材28としては、シリコーン系シーリング材に限らずポリサルファイド系シーリング材等を使用することができる。例えば、GE東芝シリコーン株式会社製、商品名、トスシールの中で、品番、381が挙げられる。バックアップ材27としては、発泡ポリエチレンまたはクロロプレンゴム等を使用できる。
【0099】
面板ガラス1またはリブガラス3としては、例えば、フロート法による板ガラス製造設備で製造された後、何ら強化処理をされていない生板ガラス、加熱後に風冷等で急冷し表面に引っ張り応力を発生させた強化ガラス、引っ張り応力を控えめに与えた半強化(倍強度)ガラス、含有するナトリウムイオンをカリウムイオンと置換する等して化学的に強化した化学強化ガラス、あるいは前記ガラス板の間にポリビニルブチラールまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるシートを挟みこみ、加熱溶融させてガラス板を接着した合わせガラス、もしくは前記ガラス板に飛散防止膜を貼着したものが挙げられる。さらに、前記ガラス板として装飾模様、パターン等をプリント、塗装またはコーティングしたガラス板も挙げられる。
【0100】
生板ガラスに比べ強化ガラスの方がガラス板の強度は強く、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を施工する際には、リブガラス3に強化ガラスを使用することが好ましいが、強度計算により生板ガラスが使用可能であれば生板ガラスを用いてもよい。また、万が一の破損の際にリブガラス3が飛散することなきよう、リブガラス3を合わせガラスとしても構わない。その際、吊り下げ金具6とリブガラス3の接合部である貫通孔部においては、貫通孔径を考慮して、リブガラス3において、合わせガラスをなす1枚のガラス板のみに応力発生部材である平座金22を、リブガラス3の貫通孔端部を避けて、当接させる構造とすることが好ましい。
【実施例】
【0101】
以下に本発明にかかわるリブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造の実施例について、図面に基づき詳細に説明する。以下に示す寸法のリブガラススクリーンは本発明の一実施例として挙げるものであり、以下に示すような大型のガラススクリーンであれば、本発明は好適に使用される。
【0102】
幅988mm、高さ8150mm、板厚25mmのフロート法により製造したソーダライムシリケートガラスからなる板ガラス4枚からなる面板ガラス1と、幅が700mm、高さ6400mmのソーダライムシリケートガラスの軟化点以上に加熱した後、風冷にて急冷し表面に引っ張り応力を与えた強化ガラス3枚をリブガラス3に用いて、図1の(A)および(B)、または図3の(A)および(B)に示すようなリブガラススクリーンを作製した。
【0103】
リブガラス3の寸法は、板厚19mm、幅700mm、長さ6400mmであり、リブガラス3のガラス固定端側の端部に、固定端側の角からガラスの幅方向に100mm、ガラスの長さ方向に100mmの位置に、径24mmのボルト20挿入用の貫通孔を設け、さらに、この貫通孔より、リブガラス1の幅方向に500mmの間隔、長さ方向に500mmの間隔で、径、24mmのボルト20挿入用の貫通孔を4箇所設けた。
【0104】
次いで、図2の(A)および(B)、または図4の(A)および(B)に示すように、H型鋼材である上部躯体4に吊り下げ金具6をボルト8・ナット9で固定した。
【0105】
次いで、厚さ、16mmの一般構造用圧延鋼材SS400を用い、リブガラス3と接合する吊り下げ金具6を作成した。具体的には、厚さ、16mmの一般構造用圧延鋼材SS400を加工して、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側にヒンジ5を設けた。詳しくは、SS400を曲げ加工し、図2の(A)および図4の(A)に示すように、吊り下げ金具6の上部のヒンジ5の両端部に、径42.0mm〜42.3mmの加工精度のシリンダー孔を設け、次いで吊り下げ金具6下部の一対の金属板7の上側のヒンジ5の中央に径42.0mm〜42.3mmの加工精度のシリンダー孔を設け、各々のシリンダー孔に、径41.8mm〜42.0mmの加工精度のSS400製のヒンジ棒を通して、ヒンジ棒の両端にボルト穴加工をし、M10のボルトで、径50mmの平座金で固定しヒンジ5とした。このようにして、3分割したヒンジ穴にヒンジ棒を通してなるヒンジ5を得、ヒンジ棒を中心としてリブガラス3が面外方向に円弧状に動くことを確認した。
【0106】
図3の(A)および(B)に示すガラススクリーン、および図4の(A)および(B)においては、図5に示すように、変位抑制部材10については、変位抑制部材10の本体16を金属板12に溶接固定した。次いで、吊り下げ金具4下部の一対の金属板7に摺動部材11と金属台座14とに設けたネジ穴に、M24のボルト15を羅合させて、金属板7に摺動部材8と金属台座14を固定した。摺動部材11の摺動面の大きさは120mm角である。
【0107】
また、変位抑制部材10は変位抑制部材の本体16内部に円柱部材13を有する構造とした。円柱部材13の径は100mm、長さは50mmである。金属板12にネジ穴を設け、M24のボルト17を羅合させて、ボルト17を回すことで、ボルト17の先端が円柱部材13の端面を押す構造とした。ボルト17を回して、円柱部材13を水平方向に移動させ、もう一方の円柱部材13の端面を摺動部材11の摺動面と当接させた。このようにして、円柱部材13の端部と摺動部材11の摺動面の僅かな空間をなくすことが可能となった。尚、円柱部材13が水平方向にのみ移動可能で、鉛直方向には動かないように、鋼球ベアリング18を変位抑制部材本体16と円柱部材13との間に挟み込む設計とした。また、M24のボルト17は、変位抑制部材10の位置を調節し易いように、および調節後に円柱部材13の位置がずれないように、弛み止め用にM24のナット19を予め羅合させておいた。
【0108】
次いで、図4の吊り下げ金具とリブガラスの接合部の拡大断面図に示すように、リブガラス3を、吊り下げ金具6下部の一対の金属板7に挟み込むようにして、図6に示すように、平座金22を介してボルト20・ナット21で締め付け接合した。
【0109】
このように、吊り下げ金具6にヒンジ5を設け、地震等が発生した際は、吊り下げ金具6の下部の一対の金属板7に挟持され、ボルト20・ナット21で固定してなるリブガラス3がヒンジ5のヒンジ棒を中心として、リブガラス3の面外方向に揺動可能とした。
【0110】
尚、図1の(A)および(B)、あるいは、図3の(A)および(B)に示す面板ガラス1とリブガラス3との突き合わせ部2は、その間隔を12mmとし、言い換えれば、目地部分を12mmとし、充填する構造用シーリング材としては、東レ・ダウコーニング株式会社製、品番SE960を使用した。また、図7に示す止水シール材28としては、ポリサルファイド系シーリング材であるGE東芝シリコーン株式会社製、商品名、トスシールの中で、品番、381を使用した。バックアップ材26としては、発泡ポリエチレンを使用した。
【0111】
本実施例では、図1の(B)または図3の(B)に示すように、フロアーから2500mmの高さで、面板ガラス1とハーフリブガラスであるリブガラス3を、接続金具24を用いて接合し、リブガラス3の下部スペースに人が十分歩行できる空間を設けたハーフリブを用いたMFG工法によるリブガラススクリーンを作製した。
【0112】
接続金具24の各部品およびその構造について説明する。
【0113】
図8の(A)は、面板ガラスとリブガラスを接合金具で接合した際の正面図である。図8の(B)は、面板ガラスとリブガラスを接合金具で接合した際の側面図である。
【0114】
本実施例において、具体的には、面板ガラス1の端部をその突き合わせ部2において、図8の(A)および(B)に示すように、径80mmの円盤の中心にM10の雄ネジ部を設けた金具29と、金具29側にM10の雌ネジ部を設け反対側にM20の雄ネジ部を設けた径80mmφ円盤を設けた金具30を羅合にて接続し、面板ガラス1の端部を上記一対の円盤にて挟み込んだ。尚、金具29と金具30とで面板ガラス1の端部を挟む際に、面板ガラス1と金具29、30が直接接触せず緩衝材となるように、中央に径13mmの貫通孔を設けた径80mm、厚さ5mmのエチレン−プロピレンゴム(以下、EPDMと略する)製のスペーサー31を、面板ガラス1と金具29、30の円盤部の間に挟んだ。
【0115】
次いで、片側端部にM20の雌ネジ部を設け反対側端部に径13mmの貫通孔を設けた径35mm、長さ103mmの円柱金具32を前記金具30と羅合にて接続した。
【0116】
次いで、径13mmの貫通孔を3箇所設けた長さ198mm、幅48mの一対の接続板33で円柱金具32を挟み込むように、接続板33下部の貫通穴と、円柱金具32の貫通孔にM12のボルトを通した後、接続板33と円柱金具32をM12のナットにより、羅合にて接合した。尚、接続板33と円柱金具32の空間を埋めるためにポリテトラフルオロエチレン製カラー34を用いた。
【0117】
接続板33の上部のリブガラス3と接触する部位は、貫通孔を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、EPDMと略す)製のスペーサー35を挟み、接続板33の2箇所の貫通穴とリブガラス3に設けた2箇所の貫通孔を重ね、M12のボルトを接続板33、スペーサー35、リブガラス3、スペーサー35、接続板33の順で挿入しナットで羅合させている。尚、リブガラス3の貫通孔部は、貫通孔の内面とネジ山が直接触れないように、筒状のEPDM製のスペーサーをボルトのネジ部に被せた。このように、面板ガラス1とリブガラス3とを接合した後に、面板ガラス1の突き合わせ部2の目地部分に構造用シーリング材を充填した。
【0118】
このようにして、MFG工法を用いた本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造によるリブガラススクリーンを作製した。
(耐荷重試験)
本発明のリブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造におけるリブガラス3と吊り下げ金具6の接合部の強度を評価するためのリブガラスの耐荷重試験を行った。
【0119】
リブガラス3と吊り下げ金具6の接合部の強度を評価するために、図8における接続金具24中の金具29と金具30を外し、突き合わせ部2の目地部分の構造用シーリング材も除去して、リブガラス3が、面板ガラス1から完全に切り離された状態で試験を行った。
【0120】
図9は、リブガラスの耐荷重試験の概略側面図である。
【0121】
図9に示すように、リブガラス3と吊り下げ金具6の接合に、呼び径がM20のボルト20を用い、リブガラス3の固定端側に幅方向に500mmの間隔、ガラスの長さ方向に500mmの間隔、対角長さ700mmとなるように貫通孔をあけて、接合部を4箇所設けた。
【0122】
上述のようにして作製したMFG工法によるハーフリブガラスを用いたリブガラススクリーンにおいて、図9に示すリブガラス固定端の反対側端部に矢印方向に加える外力Wに対する、接合部1箇所当たりに働くせん断力Fは数1の式で算出される。
【0123】
【数1】

【0124】
尚、耐荷重試験において、リブガラス3の下端より125mm場所にある接続金具24にベルトスリングを掛けて、ベルトスリングにチェーンブロックを取り付け、チェーンブロックでベルトスリングを引っ張ることで、リブガラス3の下端に対して、図9に示す矢印方向に荷重を負荷した。
【0125】
接合部1箇所当たりの接合力は、61.4kN程度のせん断力に耐えるが、ボルト20の軸方向の力のばらつき、ボルト20の軸方向の力の緩和等により、接合力にばらつきが生じることが考えられるため、安全を考慮して、接合部1カ所当たりの接合力、言い換えれば、接合部1箇所当たりに作用するせん断許容力を50kNとして、耐荷重試験を行った。数1の式においてFに50kNを代入し、接合構造が保たれる、リブガラス3の固定端の反対側端部の外力Wを算出すると、W=11.8kNとなる。
【0126】
また、図9に示すように、上部にヒンジ5を有する吊り下げ金具6下部の一対の金属板9に、リブガラス3を高力ボルト20、ナット21で4箇所締め付けて固定した。
【0127】
その際、図6に示すように、一般構造用圧延鋼材SS400からなる、厚さ、16mmの一対の金属板7に、高力ボルト20・ナット21および平座金22および平座金23を用いて、前記リブガラス3の上部を本発明のリブガラススクリーンの耐震構造となるように固定した。
【0128】
高力ボルト20には、呼び径、M20、首下長さ120mm、機械的性質による等級、F10Tのものを4本用い、ナット21には、呼び径、M20、機械的性質による等級、F10のものを4個用い、平座金23には、呼び径、M20、厚み4.5mm、外径、40mm、内径、21mm、機械的性質による等級はF35のものを用いた。
【0129】
また、リブガラス3の貫通穴端部に、高力ボルト20・ナット21の締め付けによるボルト軸方向の力を直接作用させないために、リブガラス3と一対の金属板7との間に、挟み込む平座金22には、呼び径、M30、厚み5.5mm、外径、60mm、内径、31mm、機械的性質による等級はF35のものを用いた。
【0130】
高力ボルト20にナット21をねじ込み、トルクレンチを用いて150N・mのトルクで一次締めした後、そこからナット21を120度回転させて、ナット回転法に従い締め付けた。なお、このときに発生する高力ボルト20・ナット21の締め付けによるボルト軸方向の力は、207kNであった。
【0131】
図9に示す耐荷重試験において、リブガラス3を固定した反対側の端部に、図9中の矢印の方向へ、図示しないチェーンブロックを用いて、12kNの荷重Wを負荷した際の、接合部の高力ボルト20の位置における荷重負荷方向の変位量、高力ボルト20による接合部と同じ高さの位置におけるリブガラス3の荷重負荷方向の変位量を計測し、その差をリブガラス3のすべり量として計測した。
【0132】
荷重Wを12kN負荷したところ、接合部の高力ボルト20の位置における荷重負荷方向の変位量、高力ボルト20による接合部と同じ高さの位置におけるリブガラス3の荷重負荷方向の変位量はほぼ等しく、すべりは発生しなかった。また、リブガラス3が破損することもなかった。
【0133】
このように、12kNの荷重(外力)に耐えるリブガラスが得られた。
(耐震試験)
次いで、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造における、ヒンジ5による耐震性能の評価を行うための耐震試験を行った。
【0134】
サッシ枠25の下部を、面板ガラス1の高さの1/100に当たる81mm、面板ガラス1に対して水平となるように移動させ、リブガラススクリーン下部を動かしてリブガラススクリーンに歪を与えた。即ち、層間変位量を81mmとした際の、面板ガラス1およびリブガラス3の発生応力を計測した。この層間変位量は、震度7の揺れに相当する。
【0135】
発生応力の測定位置は、面板ガラス1の下辺の位置を基準(0mm)として、面板ガラス1およびリブガラス3の高さ、2400mm、5250mm、8100mmの位置とした。
【0136】
面板ガラス1とリブガラス3との層間変位量差(面板ガラス1の水平移動量−フリブガラス3の水平移動量)である水平移動量差を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
水平移動量差は、最大で2.4mmと、下部サッシ枠25の移動量の81mmに対し、3%のズレが生じた。これは、本実施例におけるリブガラススクリーンが充分に許容可能な値である。また、リブガラス3に発生する引っ張り応力は、最大1MPa未満(10kgf/cm2)であり、強化ガラスの許容強度に比べ十分に低い値であった。
【0139】
次いで、下部サッシ25を7秒周期で面板ガラス1と水平方向に±81mm動かし、振動をリブガラススクリーンに10分間、連続して加えた。試験中および試験後、リブガラススクリーンの破損はなく、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造および耐震耐風圧構造は、前記振動に耐えることを確認した。
【0140】
従来のリブガラススクリーンにおいては、リブガラス3は上部躯体4に吊り下げ固定されているため、リブガラス3が上部躯体4に拘束され、面板ガラス1の動きに追従することができず、地震時等において、面板ガラス1とリブガラス3との動きにずれが生じ、リブガラス3に局部的な変形が生じて、リブガラス3が破損する可能性があった。
【0141】
ところが、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造においては、吊り下げ金具6にヒンジ5を設けたことによって、層間変位によって面板ガラス1が移動したとしても、ヒンジ5のヒンジ軸を回転中心として、リブガラス3が面板ガラス1の面内方向に円弧状に可動可能としたため、地震等が発生した際、面板ガラス1およびリブガラス3の位置に変位が生じても、リブガラス3が面板ガラス1に追従して動くため、リブガラス3が極端にS字変形することなく、リブガラス3の破損を防げるようになった。
【0142】
さらに、面板ガラス1の面外方向への揺れを極力抑制するための変位抑制部材10を吊り下げ金具6に並設したことで、強震時のS波による面板ガラス1の面外方向への揺れが抑制され、S波によりリブガラススクリーンの揺れが増幅されることが抑制される。
(耐風圧試験)
次いで、大型カーテンウォール性能試験装置を用いて耐風圧試験を行い、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造によるリブガラススクリーンの耐風圧性能の評価を行った。
【0143】
即ち、突き合わせ部2の目地部分に構造用シーリング材が充填され、図8に示すように、接続金具24中の金具29と金具30を接合し、面板ガラス1とリブガラス3が接合した状態で試験を行った。また、図4の(A)に示すように、吊り下げ金具6に並設した変位抑制部材10によるリブガラススクリーンの耐風圧性能を確認するために、図5におけるボルト17を回転させて、変位抑制部材10内部の円筒部材13端部を摺動部材11の摺動面に当接させて、リブガラススクリーンの耐風圧試験を行った。
【0144】
このように、リブガラススクリーンの耐風圧試験は、突き合わせ部2の目地部分の構造用シーリング材および接続金具24によって、面板ガラス1とリブガラス3を接続し、吊り下げ金具6のヒンジ5下の一対の金属板7の片方に固定した摺動部材11の摺動面に、金属板12に溶接固定した変位抑制部材本体16内の円柱部材13の端部を当接させた状態で行った。
【0145】
リブガラススクリーンは耐風圧が2158Pa(約220kg/cm2)となるように設計し、面板ガラス1の面外方向室内側、即ち、正圧方向に2158Paの風圧を加え、面板ガラス1の面外方向への変位量、即ち、室内側へのずれ、および面板ガラス1内部の発生応力を計測した。計測は下部サッシ枠25と接続金具24との中間における、下部サッシ枠25から1250mmの高さの面ガラスのエッジ部で行った。
【0146】
図10は、本実施例における正風圧に対する面板ガラスの変位量の測定結果を示すグラフである。縦軸が変位量(mm)であり、横軸が風圧(Pa)である。正風圧に対して変位が小さいほど、耐風圧に優れる。
【0147】
図10のグラフに示すように、風圧が大きくなるに比例し変位量が増加したが、2158Paの正圧方向の風圧を加えた際の面板ガラス1の変位量は、許容範囲内である38.8mmであった。これは、本実施例におけるリブガラススクリーンにおいてフロートガラスの物性より計算した面板ガラス1の変位量の許容範囲より小さな値である。このことは変位抑制部材10が、ヒンジ5内に微小な空間があることにより生じる、リブガラスの微小回転を抑制する機能を果たした結果である。
図11は、実施例における面板ガラスに発生した応力の測定結果を示すグラフである。縦軸が応力(MPa)であり、横軸が風圧(Pa)である。風圧に対する応力の発生が小さいほど、耐風圧に優れる。
【0148】
2158Paの風圧印加時に面板ガラス1の反対の面(室内側の面)に発生する引っ張り応力の最大値は17MPaであり、フロートガラスの許容強度17.7MPpaに比べて低く、許容範囲内であった。このように、ヒンジ5下の一対の金属板7に変位抑制部材10を並設した本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を用いることによって、2158Paの風圧に耐える大型のリブガラススクリーンが得られた。
(比較例)
(耐風圧試験)
実施例の耐風圧試験において、本発明のリブラススクリーンの耐震耐風圧構造から変位抑制部材7を取り外した以外は実施例と同様に耐風圧試験を行った。
【0149】
変位抑制部材7を取り外して耐風圧試験を行ったところ、面板ガラス1の面外方向の変位が大きく、面板ガラス1が破損する虞が生じたため、風圧、1079Paで試験を中止した。
図12は、比較例における正圧方向の風圧に対する面板ガラスの変位量測定結果を示すグラフである。
【0150】
風圧を1079Pa加えた場合のリブガラススクリーンにおける面板ガラス1の変位量を比較すると、図11に示すように、変位抑制部材10を使用した実施例のリブガラススクリーンでは19.6mmであったのに比較して、図12に示すように、変位抑制部材7を取り外した比較例のリブガラススクリーンでは31.9mmの変位が生じた。
【0151】
また、正圧方向の風圧に対する面板ガラスの変位量は、変位抑制部材7を使用した実施例のリブガラススクリーンとは異なり、変位抑制部材10を取り外した比較例のリブガラススクリーンでは、200Pa程度の低い風圧において急に増加し、その後は、風圧の増加に伴い緩やかに増加する傾向が見られた。このことは、変位抑制部材10を取り外したことで、200Pa程度の低い風圧でも、ヒンジ5のシリンダーとヒンジ棒の間に存在する微小な隙間があることによって、リブガラス3の上部がその面内方向に僅かに回転する。リブガラス3の上部が僅かに回転したとしても、リブガラス3下部では、リブガラス3の長さに比例した大きな変位となる。その結果、リブガラス3と接合されている面板ガラス1に面外方向の大きな変位が生じた。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の一例の正面図である。(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造一例の側面図である。
【図2】(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の一例の拡大正面図である。(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震構造の一例の側面を断面で示した拡大図である。
【図3】(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の一例の正面図である。(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造一例の側面図である。
【図4】(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の一例の拡大正面図である。(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の一例の側面を断面で示した拡大図である。
【図5】変位抑制部材の一例の拡大測面図である。
【図6】吊り下げ金具とリブガラスの接合部の拡大断面図である。
【図7】(A)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の面板ガラスの取り付け構造の一例の縦断面図であり、面板ガラスの上端部の取り付け構造である。(B)は、本発明のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造の面板ガラス取り付け構造の一例の縦断面図であり、面板ガラスの下部の取り付け構造である。
【図8】(A)は、面板ガラスとリブガラスの接合金具で接合した際の正面図である。(B)は面板ガラスとリブガラスを接合金具で接合した際の側面図である。
【図9】リブガラスの耐荷重試験の概略側面図である。
【図10】実施例における正圧方向の風圧に対する面板ガラスの変位量測定結果のグラフである。
【図11】実施例における正圧方向の風圧に対する面板ガラスに発生した応力の測定結果のグラフである。
【図12】比較例における正圧方向の風圧に対する面板ガラスの変位量測定結果のグラフである。
【符号の説明】
【0153】
1 面板ガラス
2 突き合わせ部
3 リブガラス
4 上部躯体
5 ヒンジ
6 吊り下げ金具
7 金属板
8 ボルト
9 ナット
10 変位抑制部材
11 摺動部材
12 金属板
13 円筒部材
14 金属台座
15 ボルト
16 変位抑制部材本体
17 ボルト
18 剛球ベアリング
19 ナット
20 ボルト
21 ナット
22 平座金
23 平座金
24 接続金具
25 サッシ枠
26 セッティングブロック
27 バックアップ材
28 止水シール材
29 金具
30 スペーサー
31 金具
32 円柱金具
33 接続板
34 EPDM製カラー
35 スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設する面板ガラスの突き合わせ部の片側または両側に面板ガラスと直交するようにリブガラスを立設し、突き合わせの目地部分に構造用シーリング材を充填させて、面板ガラスをリブガラスで支持し、吊り下げ金具を介して上部躯体にリブガラスを吊設したリブガラススクリーンにおいて、
リブガラスを吊設するための上部躯体に、ヒンジをリブガラスと平行となるように設けた吊り下げ金具の上部を固設し、
吊り下げ金具の下部にリブガラスを接合し、
上部躯体にリブガラスを吊設して、
該ヒンジを中心としてリブガラスを揺動可能としたことを特徴とするリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項2】
吊り下げ金具の下部が一対の金属板からなり、リブガラス上部を挟持した状態で接合する構造としたことを特徴とする請求項1に記載のリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のリブガラススクリーンの耐震構造において、変位抑制部材を吊り下げ金具に並設したことを特徴とするリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項4】
変位抑制部材が吊り下げ金具端部に設けられた摺動部材の摺動面との隙間調整機能を備えていることを特徴とする請求項3に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項5】
前記吊り下げ金具の下部の一対の金属板とリブガラスに貫通孔を設け、リブガラスに設けた貫通孔の直径よりも大きい内径の貫通孔を有する応力発生部材を、個々の貫通孔が同心となるように吊り下げ金具とリブガラスの間に挟み込み、個々の貫通孔および応力発生部材に挿通させた一対の締め付け部材の締め付けにより生じる力を、吊り下げ金具とリブガラスとの間に挟んだ応力発生部材を介してリブガラスに伝達させ、応力発生部材の接触する部位のリブガラス内部に圧縮応力を発生させて、吊り下げ金具とリブガラスとを接合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項6】
応力発生部材が平座金であり、一対の締め付け部材がボルト・ナットであることを特徴とする請求項5に記載のリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項7】
ボルト・ナットの締め付けにより生じる力が60kN以上、300kN以下であることを特徴とする請求項6に記載のリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項8】
ボルト・ナットが六角ボルト・ナットであり、ボルトの頭部・ナットの外径よりも平座金の内径を小さくしたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のリブガラススクリーンの耐震構造。
【請求項9】
前記吊り下げ金具の下部の一対の金属板とリブガラスに貫通孔を設け、リブガラスに設けた貫通孔の直径よりも大きい内径の貫通孔を有する応力発生部材を、個々の貫通孔が同心となるように吊り下げ金具とリブガラスの間に挟み込み、個々の貫通孔および応力発生部材に挿通させた一対の締め付け部材の締め付けにより生じる力を、吊り下げ金具とリブガラスとの間に挟んだ応力発生部材を介してリブガラスに伝達させ、応力発生部材の接触する部位のリブガラス内部に圧縮応力を発生させて、吊り下げ金具とリブガラスとを接合したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項10】
応力発生部材が平座金であり、一対の締め付け部材がボルト・ナットであることを特徴とする請求項9に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項11】
ボルト・ナットの締め付けにより生じる力が60kN以上、300kN以下であることを特徴とする請求項10に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項12】
ボルト・ナットが六角ボルト・ナットであり、ボルトの頭部・ナットの外径よりも平座金の内径を小さくしたことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造。
【請求項13】
請求項1または請求項2、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のリブガラススクリーンの耐震構造を有するリブガラスクリーン。
【請求項14】
請求項3または請求項4、請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載のリブガラススクリーンの耐震耐風圧構造を有するリブガラススクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−209662(P2009−209662A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87712(P2008−87712)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】