説明

レシーバシステムにおけるRFレシーバの位置を評価し、最適化する方法及びシステム

【課題】レシーバシステムにおけるRFレシーバの位置を最適化すること。
【解決手段】1以上のレシーバ位置及び1以上の性能パラメータに基づいて、レシーバシステムの性能データを生成する。性能パラメータは、環境、レシーバ、及び信号発信器に関連するパラメータである。そして、性能データをユーザに対して表示する。更に、性能データを使用して、システムにおける1以上のレシーバの位置を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシーバシステムにおけるRFレシーバの位置を評価し、最適化する方法及びシステムに関する。
【0002】
この特許文献の開示の一部には、著作権の保護を受ける題材が含まれる。著作権の所有者は、特許商標庁における特許文献又は特許文献開示としての複製に意義を唱えることはないが、その他の複製に関しては例外なく著作権を保持する。
【背景技術】
【0003】
レシーバシステムは携帯電話網から遠距離宇宙通信まで、様々な用途に使用されている。携帯電話システムでは、受信可能範囲(サービスエリア)を確保するためのセルタワーの設置を助ける種々のツールが開発されている。例えば携帯電話システムでは、移動局の位置が変化した場合でも、最小限のコストで受信可能範囲が確保され、適切なハンドオフ動作が保証されるように、基地局と移動局との間の受信信号強度のシミュレーションが設計されている。
【0004】
携帯電話以外のレシーバシステムも同様に、レシーバの位置を最適化しなければならない。ただし、携帯電話以外のレシーバシステムでは、最適化しなければならないパラメータの数が比較的多くなる可能性がある。例えば、TDOA技術を利用した地理的位置探索システムは、システムの性能を確保するために、地理的位置の精度を最小限のコストで最適化しなければならない。しかしながら、地理的位置の精度は、標高やマルチパス環境のような多数のパラメータの影響を受けることがある。また、信号の検出と、信号発信器の地理的位置の探索との両方が可能であるような、マルチタスクが可能なレシーバシステムでは、更に多くのパラメータを最適化しなければならない。
【0005】
レシーバ位置の最適化に影響を与える要素は他にもある。レシーバを設置可能な位置は一般に限られた数しかない。位置は、例えば電力や通信、所有権などを入手できるか否かによって制限される。使用されるレシーバの数は予算配分方針によって制限される場合もある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、レシーバシステムにおけるRFレシーバの位置を評価し、最適化する方法及び装置が得られる。1以上のレシーバの位置及び1以上の性能パラメータに基づいて、レシーバシステムの性能データを生成する。性能パラメータは、環境、レシーバ、及び信号発信器に関連する。そして、性能データをユーザに対して表示される。更に、性能データを使用して、システムにおける1以上のレシーバの位置を最適化してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
下記の説明は、本発明の種々の実施形態を利用して当業者が本発明を実施できるようにする目的で提供するものであり、特許出願及びその要件の形で提供される。開示される種々の実施形態に対する改変は当業者にとって明らかであり、本明細書に記載した汎用的な原理は他の実施形態に適用することも可能である。従って、出願人は本発明を開示した実施形態に制限するつもりはない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、本明細書に記載する原理及び特徴に合致する最も広い範囲でなければならない。
【0008】
図面の特に図1を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による、最適なRFレシーバ位置を判定するシステムを示すブロック図である。システム100は、入力装置102、表示装置104、プロセッサ106、メモリ108、及び、通信制御装置110を含む。入力装置102は、データをシステム100に入力可能なものであれば、どのようなタイプの入力装置として実施してもよい。そのような入力装置の例には、キーボード、マウス、タッチスクリーン、スタイラスなどがある。ただし、それらに限定はしない。
【0009】
入力装置102、表示装置104、プロセッサ106、メモリ108、及び通信制御装置110は、接続線112を介して通信する。表示装置104には、プロセッサ106によって生成された画像や、メモリ108から読み出された画像、あるいは、ネットワーク114から受信した画像などが表示される。メモリ108はどのようなタイプのメモリとして実施してもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、又はフラッシュメモリとして実施することができる。通信制御装置110は、システム100とネットワーク114との間の通信を制御する。ネットワーク114は、どのようなタイプのネットワークとして構成してもよく、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットとして構成される。ただし、それらに限定はしない。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、システム100は計算装置として実施され、接続線112はシステムバスとして実施される。計算装置の例には、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、及び、携帯電話のような無線通信装置などがある。ただし、それらに限定はしない。入力装置102、視覚表示装置104、プロセッサ106、メモリ108、及び通信制御装置110はコンピュータにおいて実施される。本発明の一実施形態において、レシーバ配置最適化ツールは、プロセッサ106によって実行されるアプリケーションプログラムとして実施される。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、入力装置102、視覚表示装置104、プロセッサ104、プロセッサ106、メモリ108、及び通信制御装置110は、複数の装置にわたって分散配置される。例えば、メモリは第1の装置において実施され、入力装置102、プロセッサ106、及び通信制御装置110は第2の装置において実施され、第2の装置は表示装置104に接続される場合がある。また、本発明の一実施形態において、RFレシーバ位置最適化ツールは、ネットワーク114上のサーバから入手、即ちダウンロードされたプログラムとして実施される場合がある。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による、RFレシーバの位置を評価し、最適化する第1の方法を示すフロー図である。まず、ブロック200に示すように、1以上のレシーバを地図又は構造図上の異なる位置に配置する。本発明の一実施形態において、レシーバが動作する性能要件及び性能条件は、性能パラメータによって規定される。
【0013】
レシーバは多数の技術を使用して配置される場合がある。例えばレシーバは、マウスやスタイラスを用いてレシーバ位置の座標を入力することにより配置され、あるいは、サーバからレシーバ位置をダウンロードすることにより配置される。
【0014】
本発明の一実施形態では、エリアマップがメモリ(例えばメモリ108)の中に予め記憶されている。本発明の一実施形態において、エリアマップは地図、又は建築物の見取り図である。本発明の他の実施形態において、このマップは種々の方法で入手することができる。例えば、このマップは、データベースから読み込まれる場合もあれば、ユーザによって入力される場合もあれば、サーバからダウンロードされる場合もある。このマップは、シミュレーションに役立つ他の情報を含む場合もある。例えば、標高、植生帯、建築物のタイプ、建築物の位置、又は、建築物の構造などを含む場合がある。
【0015】
ブロック202及び204に示すように、レシーバの位置及び性能パラメータに基づいて、レシーバシステムの性能のシミュレーションを計算する。1以上の所与の結果を得るために、レシーバシステムの性能を計算する。所与の結果には例えば、有用な相互相関データを得る確率、少なくとも1つのレシーバにおいてある信号(複数の場合もあり)が最小値を超える確率、少なくともN個のセンサにおいて信号が最小値を超える確率などがある。ただし、Nはレシーバの総数以下の数である。
【0016】
次に、1以上のレシーバの位置に変化があったか否かを判定する。変化には、レシーバの撤去、移動、及び追加などがある。例えばユーザは、あるレシーバがその位置で故障したときに、レシーバシステムの性能がどのような影響を受けるかを調べるために、そのレシーバを一時的に撤去したい場合がある。1以上のレシーバの位置に変化があった場合、この方法はブロック208へ進み、そこでレシーバの位置(複数の場合もあり)を変更する。そしてプロセスはブロック202に戻る。
【0017】
ブロック206において、レシーバの位置(複数の場合もあり)に変化がなかった場合、この方法はブロック210へ進み、そこで1以上の性能パラメータを変更すべきか否かを判定する。1以上のパラメータを変更する場合、この方法はブロック212へ進み、そこで性能パラメータ(複数の場合もあり)を変更する。性能パラメータの変更は例えば、プルダウンメニューの中からパラメータを選択することにより実施することができ、あるいは、パラメータをダイアログボックスに入力することにより実施することもできる。
【0018】
性能パラメータに変化がなかった場合、プロセスはブロック214へ進み、そこで特定の位置に関する詳細な情報を表示すべきか否かを判定する。ユーザは、マップ上の特定位置にあるレシーバレイアウトの効果に関する更に詳細な情報を知りたい場合がある。例えばユーザは、タイミング情報、レシーバの1以上の特性、特定位置における地形などを知りたい場合がある。ユーザは任意の所与の方法でその特定位置を選択することができる。この選択は例えば、ある領域の上をポイントし、即ちその領域上にカーソルをドラッグし、画面上のその位置にスタイラスを押し当てることにより、あるいは、座標をダイログボックスに入力することにより、その位置を選択することができる。そして、その特定位置に関する詳細をユーザに対して表示する(ブロック216)。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態による、RFレシーバの位置を評価し、最適化する第2のい方法を示すフロー図である。図3の方法では、レシーバの総数、使用可能なレシーバ位置のリスト、及び1以上の性能パラメータに基づいて、ある地理的領域における最適なレシーバ位置を判定する。まず、ブロック300に示すように、性能パラメータ、1以上の使用可能なレシーバ位置、及びレシーバの数を受け取る。それらは例えば、ユーザが入力する場合もあれば、メモリから読み出される場合もあれば、サーバからダウンロードされる場合もあれば、ネットワーク上の他の装置から受信する場合もある。
【0020】
次に、ブロック302に示すように、1以上のレシーバの最適位置(複数の場合もあり)を計算し、メモリに記憶する。更に、それらの位置(複数の場合もあり)をユーザに対して表示する。例えば、得られる結果には、有用な相互相関データを得る確率、少なくとも1つのレシーバにおいて信号(複数の場合もあり)が最小値を超える確率、少なくともN個のセンサにおいて信号が最小値を超える確率などがある。ただし、Nはレシーバの総数以下の数である。
【0021】
次に、ブロック306において、ブロック300で入力された情報の一部又は全部を変更すべきか否かを判定する。例えば、1以上のレシーバを追加、移動もしくは撤去したり、1以上の性能パラメータを変更したい場合がある。ユーザが1以上の入力を変更したい場合、プロセスはブロック308へ進み、そこで入力された情報(複数の場合もあり)を変更する。そしてこの方法はブロック302へ戻る。
【0022】
ユーザがブロック300で入力された入力の変更を望んでいない場合、プロセスはブロック310へ進み、そこで特定位置に関する詳細な情報を表示すべきか否かを判定する。図2のブロック214に関して説明したように、ユーザはマップ上の特定位置におけるレシーバレイアウトの効果に関する更に詳細な情報を知りたい場合がある。次に、その特定位置に関する詳細な情報をユーザに対して表示する(ブロック312)。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態による、第1のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示している。ユーザインタフェース400はレシーバ配置アプリケーションプログラムに含まれ、レシーバ配置画像を表示するための幾つかのオプションを有する。本発明の一実施形態において、オプションには例えば、双曲線、マップ、相関、信号レベル、及びトリガなどが含まれる。図4の実施形態では、双曲線タブ402が選択されているため、得られる結果は到着精度の時間差である。
【0024】
位置406、408、410に配置された3つのレシーバについて、レシーバ配置画像404が生成されている。ユーザは、ボックス412内に表示されたレシーバのリストの中から幾つかのレシーバを選択する。本発明の他の実施形態において、レシーバの位置は他の方法を使用してユーザインタフェース400に入力される場合がある。例えば位置(複数の場合もあり)の入力は、画像404上のある領域をマウスやスタイラスを用いてクリックすることによって行われる場合もあれば、各位置の座標をユーザインタフェース400に入力することによって行われる場合もある。
【0025】
本発明の一実施形態において、ユーザは、ユーザインタフェース400により、各レシーバに関連する特性を入力することができる。それらの特性は、性能パラメータとしてシミュレーションに使用される。レシーバの1以上の特性を入力するために、ユーザは特性(複数の場合もあり)を選択する。すなわち、特性を領域414に入力する。領域414には、雑音、アンテナの高さ、アンテナのタイプ、利得、及び給電線のタイプとその長さに関するプルダウンメニューが表示される。本発明の他の実施形態では、各レシーバについて更に特性を有する場合や、各レシーバについて異なる特性を有する場合もある。次にユーザは、それらの特性を有するレシーバをマップ上に配置する。
【0026】
本発明の他の実施形態において、ユーザは、ユーザインタフェース400により、2つのレシーバの座標をダイアログボックスを利用して入力することができる。本発明の一実施形態において、それらの座標は緯度値及び経度値として入力される。それらの座標を使用して、マップ画像を適当に拡大縮小し、距離を画素に関連付ける。本発明の他の実施形態において、座標は他の方法で入力される場合もあり、例えば、x座標およびy座標として入力される場合がある。本発明の他の実施形態において、座標はマップ上の例えば左上角や右下角のような他の特徴に関連付けられる場合があり、また、マップの拡大縮小率はデータベースから読み出す場合もあれば、ユーザによって入力される場合もあり、また、サーバからダウンロードされる場合もある。
【0027】
位置406、408及び410に基づいて、レシーバのペア間における一定の到着時間差を表わす双曲線418がプロットされている。双曲線間の間隔は、例えば300ナノ秒といった所与の時間差を表している。時間差は、ダイアログボックス420を利用してユーザインタフェース400に入力される。本発明の一実施形態において、ダイアログボックス420に入力される間隔値は、見栄え、信号特性、及びタイミング精度に基づいて決定される。見栄えについては、ライン数とラインの下に表示されるマップを見るときの視認性との間のバランスをとる。また、幅、スタイル、色といった1以上のライン属性を変化させ、視認性を向上させたり、ラインに更なる情報をもたせたりしてもよい。信号特性については、一般に狭帯域信号を使用すると、幅の広い相互相関パルス形状が得られる。幅の広い形状では、TDOA推定の精度が低下する。ライン間隔を調節することで、所与の信号の精度を表示してもよい。レシーバのタイミング精度については、双曲線の間隔を調節することにより、所与のレベルのレシーバ同期における最適な性能を表示することができる。
【0028】
双曲線418は、各レシーバの位置、各レシーバについて領域414に入力された何らかの特性、及び、双曲線間隔420を使用してプロットされている。レシーバ配置画像404と双曲線418により、ユーザは、位置406、408及び410に配置されたレシーバのTDOA精度を視覚的に見ることができる。例えば、図4に示すように、領域422は、領域424に比べて高いTDOA精度を有している。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態による、第2のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示している。ユーザインタフェース500はレシーバ配置アプリケーションプログラムに含まれ、レシーバ配置画像を表示するための幾つかのオプションを有する。本発明の一実施形態において、オプションには例えば、双曲線、マップ、相関、信号レベル、及びトリガなどが含まれる。図5の実施形態では、相関タブ502が選択されているため、得られる結果は有用な相互相関データを得る確率である。
【0030】
双曲線に対する信号発信器の位置を推定するために、TDOA技術を利用した地理的位置の探索では、2つのレシーバ間における到着の時間差の推定が必要となる。時間差の2つの推定値を用いて2本の双曲線が形成され、推定位置は2本の双曲線の交点に位置する。地理的位置を3次元で推定したい場合、3以上の地理的位置の推定が必要となる。到着時間差の推定値は、レシーバ間の相互相関データを使用して得ることができる。3つのレシーバがある場合、レシーバの全ての可能な組み合わせを使用して、3つの相互相関が可能である。4つのレシーバがある場合、6つの組み合わせが可能である。また、環境は信号強度に影響を与え、マルチパスを生成する。
【0031】
本発明の一実施形態において、ユーザは、ユーザインタフェース500により、信号発信器に関連する特性を入力することができる。信号発信器の特性は、性能パラメータに含まれる。例えばユーザは、ユーザインタフェース500により、周波数504、パワー506、信号帯域幅508、時間の長さ510、及びデューティーサイクル512を入力することができる。環境パラメータであるチャネルモデル514も、ユーザインタフェース500に入力される。本発明の一実施形態において、それらの値はプルダウンメニューを使用して入力される。本発明の他の実施形態では、ダイアログボックスやチェックボックスを利用して値を入力する場合もある。また、本発明の他の実施形態では、信号発信器に関する更なる特性又は別の特性をユーザインタフェース500に入力する場合もある。
【0032】
レシーバ配置画像516では、3つの位置518、520、522にレシーバが表示されている。各レシーバの特性は、領域524を使用して入力することができる。位置518、520、及び522、並びに各レシーバについて入力された何らかの特性を使用することにより、領域526、528、530、532及び534が生成され、有用な相互相関データを得る確率の値又は値の範囲が表示される。例えば、領域526は80〜90%の確率を表わし、領域528は70〜79%の確率を表わし、領域530は60〜69%の確率を表わし、領域532は50〜59%の確率を表わし、領域534は50%未満の確率を表している。
【0033】
各領域は、値又は値の範囲を複数の方法で表示することができる。例えば、図5の実施形態では、確率の幾つかの範囲に特定の色が割り当てられている。領域526は様々な階調の赤色で表示され、最大確率には明るい赤色が割り当てられ、領域528までの距離が小さくなり確率が減少するのに従って、暗い階調の赤色が使用される場合がある。同様に、領域528は様々な階調の青色で表示され、領域530は様々な階調の緑色で表示され、領域532は様々な階調の黄色で表示され、領域532は様々な階調の橙色で表示される場合がある。
【0034】
色を割り当てる他に、各領域は、様々なサイズのドット又は他のグラフィックインジケータを使用して、各領域内における異なる確率を表示することもできる。例えば、領域534は、2つの異なるサイズのドットを使用して描かれていて、それらのドットには、同じ色、2つの異なる階調の色、又は2つの対照的な色を割り当てることができる。
【0035】
本発明の更に他の実施形態において、領域526、528、530及び534は、地形図に使用されるものと同様の等高線を有する場合がある。例えば、領域526には多数の短い間隔のラインが描かれていて、その領域では、有用な相互相関データを得る確率が最大になっている。確率が高くなるほど、描かれるラインの間隔は短くなる。
【0036】
本発明の一実施形態において、一対のセンサの相互相関の品質は、相関雑音に対する相関ピークのレベルを推定し、その比を閾値と比較することによって判定される。この比は、各レシーバにおける推定信号及び雑音レベル、並びに、信号の帯域幅、その信号を観測することが可能な持続時間を使用して判定される。各レシーバ位置における雑音には相関がないものと仮定している。
【0037】
また、本発明の他の実施形態において、相関の品質は、環境によって起きるマルチパスによって生じる相互相関パルス歪みにも関連する。次に、品質閾値を超える各相互相関ペアの確率、及び必要とされる相互相関ペアの数から、領域526、528、530、532及び534に示されているような、有用な相互相関データを得る確率を判定する。ある位置において品質閾値を超えるのに必要とされる相互相関の数は、ペアになっているレシーバの総数とは無関係に指定することができる。
【0038】
本発明の更に他の実施形態では、各相互相関ペアの品質インジケータを組み合わせて、領域526、528、532及び534に示されている品質レベルを有する、全体的な品質のインジケータを生成する場合がある。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態による、第3のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示している。ユーザインタフェース600はレシーバ配置アプリケーションプログラムに含まれ、レシーバ配置画像を表示するための幾つかのオプションを有する。本発明の一実施形態において、オプションには例えば、双曲線、マップ、相関、信号レベル、及びトリガなどが含まれる。図6の実施形態では、信号タブ602が選択されているため、得られる結果は、到着の時間差に基づく地理的位置の精度である。本発明の他の実施形態では、他のパラメータを信号タブ602に割り当てる場合もある。例えば、信号タブは、何らかの位置に所与の信号発信器があるときに、1以上のレシーバ位置において信号レベルが閾値を超える確率を表わす場合がある。
【0040】
レシーバ配置画像604では、位置606にレシーバが表示されている。このレシーバは領域610を使用して選択される。レシーバの特性(領域610)及び周波数612、パワー614、信号帯域幅616、並びに信号発信器のチャネルモデル618が、ユーザインタフェース600に入力される。位置606、領域610に入力された特性、及び信号発信器の特性に基づいて、領域620、622、624、626及び628が生成される。各領域は、信号が最小値又は最小信号対雑音比(SNR)を超える確率又は確率の範囲を示している。最小値は、ボックス630を利用してユーザインタフェース600に入力される。各領域における確率の範囲に基づいて、例えば、特定の色、ドットサイズ、等高線の数が各領域に割り当てられる。
【0041】
本発明の他の実施形態では、各レシーバ位置においてLOB(Line Of Bearing:方位角)を設定する方向測定法を使用して、地理的位置をシミュレートする場合がある。レシーバが1つである場合、信号発信器はLOB方向の任意の位置に配置することができる。2以上のレシーバがある場合、信号発信器の推定位置は、LOB間の交差位置である。LOB地理的位置探索技術を利用するためには、少なくとも2つのレシーバ位置において信号対雑音比が閾値を超えていなければならない。複数のレシーバを使用する他の実施形態においても、1以上のレシーバ位置において、最小SNR閾値が同時に観測できなければならない。図6の実施形態は、マップ上の何らかの位置にある信号発信器からの信号レベルが、レシーバ位置606においてSNR閾値630を同時に超える確率を示している。
【0042】
レシーバ配置画像604にはレシーバが1つしか表示されていないが、本発明の他の実施形態では、複数のレシーバを表示する場合もある。また、ある位置においてSNR閾値630を超えていなければならないレシーバの数は、レシーバの総数とは無関係に指定することができる。例えば方向測定アプリケーションでは、2つのLOBが交差点を形成するだけでよく、閾値を超えていなければならないレシーバの数も2個である。3以上のレシーバを使用すれば、少なくとも2つのレシーバが最小SNR閾値を満足する確率は一般に向上する。
図7は、本発明の一実施形態による、第4のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示している。ユーザインタフェース700はレシーバ配置アプリケーションプログラムに含まれ、レシーバ配置画像を表示するための幾つかのオプションを有する。本発明の一実施形態において、オプションには例えば、双曲線、マップ、相関、信号レベル、及びトリガなどが含まれる。図7の実施形態では、トリガタブ702が選択されているため、得られる結果は少なくとも1つのセンサにおいて信号レベルがレベル閾値又はSNR閾値を超えている確率である。トリガ閾値は、少なくとも1つのレシーバが何らかの動作を「トリガ」及び実施することになる値を表している。例えば本発明の一実施形態では、レシーバがトリガされると、レシーバは信号データを取得する。本発明の他の実施形態では、レシーバがトリガされると、レシーバはデータの取得を中止する場合がある。
他の用途においても、信号レベルは指定されたレベル、すなわち指定されたSNRを超えていなければならない場合がある。例えば、レシーバネットワークを使用して、未知の信号の存在を検出する場合がある。検出のためには、ネットワーク上の少なくとも1つのレシーバにおいて、その未知の信号が観測できれば足りる。例えば、レシーバがスペクトルアナライザとして実施される場合、信号が雑音レベルをある最小閾値だけ上回るか、又は、信号がパワーレベルを超えた場合に、その信号は検出される。
レシーバ配置画像704では、位置706、708及び710にレシーバが表示されている。本発明の一実施形態において、それらのレシーバは、領域712からレシーバを選択することにより、位置706、708、710に配置される。各レシーバについて1以上の特性を領域714に入力し、信号発信器に関する周波数716、パワー718、及び信号帯域幅720をユーザインタフェース700に入力する。また、環境パラメータであるチャネルモデル722も、ユーザインタフェース700に入力する。
位置706、708及び710、領域714に入力された特性、並びに、信号発信器の特性に基づいて、領域724、726、728、730及び732が生成される。各領域は、信号がトリガ閾値を越える確率又は確率の範囲を示している。最小値はボックス734を利用してユーザインタフェース700に入力される。各領域における確率の範囲に基づいて、各領域には例えば、特定の色、ドットサイズ、及び等高線の数を割り当てる場合がある。
図2のブロック214及び図3のブロック312に関連して説明したように、本発明の幾つかの実施形態では、更なる情報を表示する場合がある。こうした情報には、グラフィック表示に関連する正確な値、その位置の正確な座標、各レシーバへのパスの喪失、精度の希釈、又は、他のタブからの結果などが含まれる。例えばユーザは、双曲線タブ202を見ながらカーソルやアイコンを使用してある位置を選択し、有用な相互相関データの確率の指示を含むダイアログボックスを作成したり、更新したりすることができる。
【0043】
前述のように、レシーバを配置することが可能な位置の数は限られている。また、レシーバの数が、レシーバを配置可能な位置の数よりも少ない場合、配置可能な位置のうちの一部を選択しなければならない。本発明の一実施形態において、これは手動で行ってもよい。ユーザは各サブセットについてデータを入力し、各サブセットについてシミュレートされた性能を見た後で、最適なサブセットを判定することができる。
【0044】
本発明の他の実施形態では、最適化を自動化する場合がある。レシーバ特性、レシーバを配置可能な全ての位置、及びレシーバを配置可能な位置の数のような性能パラメータは、ユーザによって指定される。そしてユーザは、1以上の所与の結果をコスト関数に対して指定する。所与の結果は、地理的位置の精度、信号検出の確率、及び、設置コスト(これは各位置によって異なる場合がある)のような最適化パラメータを含む。ただし、それらに限定はしない。また、各性能パラメータには、その性能パラメータの相対的重要性に基づいて重み付け関数に割り当てられる。そして、レシーバ位置の全ての組み合わせについてコスト関数を評価し、レシーバ位置の順序付きリストが生成される。
【0045】
本発明の種々の実施形態では、アンテナ高さのようなパラメータを変数として更に指定する場合がある。そして、それらの可変パラメータにより、設置コストのような他の変数に大きな影響を与える場合がある。次に、種々の変数の組み合わせの大量のサーチを実施し、ネットワーク性能をシミュレートする。大量サーチ以外の技術を使用して、可変パラメータの特定の値を判定してもよい。例えば、レシーバ位置の順序付きリストを計算する前に、モンテカルロ法又は他の方法を使用して、可能なセンサ構成のそれぞれについて、コスト関数を最適化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態による、最適なRFレシーバ位置を判定するシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、RFレシーバの位置を評価し、最適化する第1の方法を示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態による、RFレシーバの位置を評価し、最適化する第2の方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態による、第1のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による、第2のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、第3のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による、第4のレシーバ配置画像を表示しているユーザインタフェースを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシーバネットワークの性能を1以上のレシーバ位置に基づいて評価する方法であって、
1以上のRFレシーバ位置を受け取るステップと、
1以上の性能パラメータを受け取るステップと、
前記1以上のレシーバ位置及び前記1以上の性能パラメータを使用して、所与の結果を得るための性能データを生成するステップと、
生成された性能データ(404)を表示するステップと
からなる方法。
【請求項2】
1以上のレシーバ位置を変更するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1以上の性能パラメータの値を変更するステップを更に含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1以上の性能パラメータは各レシーバに関連する1以上の特性を含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1以上の性能パラメータは信号発信器に関連する1以上の特性を含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1以上のRFレシーバのための位置を生成する方法であって、
複数のRFレシーバからなる複数の入力、利用可能なレシーバ位置のリスト、及び1以上の性能パラメータを受け取るステップと、
前記複数の入力を使用して各RFレシーバの位置を判定するステップと、
各RFレシーバの位置を表示するステップと
からなる方法。
【請求項7】
前記各RFレシーバの位置を表示するステップは、各レシーバの位置を地理的領域のマップ上に表示することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1以上のレシーバ位置及び前記1以上のパラメータを使用して、所与の結果を得るための性能データを生成するステップと、
生成された性能データを各RFレシーバの位置と共に表示するステップと
を更に含む、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
RFレシーバシステムの性能を評価するシステムであって、
入力装置(102)と、
1以上のRFレシーバ位置及び1以上の性能パラメータを使用して、前記RFレシーバシステムの性能データを生成するように動作するプロセッサ(106)と、
生成された性能データを表示するように動作する表示装置(104)と
からなるシステム(100)。
【請求項10】
前記プロセッサ(106)は、所与の結果を得るために、1以上のRFレシーバ位置を最適化するように動作する、請求項9に記載のシステム(100)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−311547(P2006−311547A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118783(P2006−118783)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】