説明

レンジ検査のための測定装置および方法

本発明は、レンジデータの取得および解析を用いて物体(1)の3次元の特性を測定するための画像化装置および方法に関する。画像化装置は、測定開始前に、レンジデータの取得および解析を構成するための手段と、画素を含む少なくとも1つのセンサ(5)を用いて上記の物体(1)の画像からの反射光を検出することによって、上記の物体(1)の画像を作成するための手段と、センサの画素単位で測定された作成画像から上記の物体(1)のレンジデータを取得するための手段と、取得したレンジデータをセンサの画素値から世界座標に較正するための手段と、レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、較正されたレンジデータを矯正するための手段と、較正および矯正の施されたレンジデータを解析して、上記の物体(1)の3次元の特性を得るための手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置の分野に関し、さらに詳細には、レンジデータの取得および解析を用いることによって物体の3次元の特性を測定することができる測定装置およびそのような測定のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元の(2D)スマートカメラは、1つのデバイスに2D画像の取得、処理および解析を集約し、機能性のすべてがきわめて柔軟に構成可能である。複数の処理ステップを任意の順序で適用することができる。1つのステップからの出力を用いて、次のステップを構成することができる。中間値を格納して、後の段階で用いることができる。次に、これらの値は、データフロー、出力フォーマット、処理および解析における変数、などのアスペクトを制御することができる。このきわめて柔軟に構成可能な解析は、動的解析と呼ばれる。これとは対照的な解析が静的解析であり、静的解析では同一の解析ステップシーケンスが、中間結果に関係なく、各画像で実行される。
【0003】
通常の検査タスクは、システムに対して教示した物体形状の位置を最初に特定することである。一旦、位置を特定すると、物体の面積、エッジまたは角などの特徴を決定することができる。続いて、特徴の特性が解析され、結果は通常、分類結果(たとえば合格/不合格)、測定値(たとえば物体面積)またはそのような値の組み合わせといった複数の形態である。
【0004】
構成は、PCまたは他の制御ハードウェアをデバイスに取り付けることによって実現される。構成は通常、グラフィカルユーザインターフェイスの複数の形態を用いて形成され、取得画像は構成を補助するものとして示される。構成後、デバイスは、PCまたは他の制御ハードウェアが接続されなくても独立型製品として動作することができる。
【0005】
しかし、これらのタイプのユニットでは、3次元(3D)データとしても周知である、レンジデータを取得して処理することは不可能である。
【0006】
一連のレンジ値を得るためにレンジ画像化が用いられ、普通の2D画像化と比べて、レンジ画像の画素値は光強度ではなく、カメラと測定される物体との距離を表す。レンジデータを測定するための公知の技術は複数ある。これらの技術としては、レーザ三角測距、構造化光による画像化、飛行時間型測定および立体画像化が挙げられる。
【0007】
複数の市販のデバイスは、出力としてレンジデータを作成する。これらのデバイスは通常、レンジデータの処理、解析および/または格納のために、PCなどの処理装置に適合している。これらのデバイスは、レンジデータ値のストリームを出力する。値は、異なる方式で組織化されることができる。物体を横切る線に沿って測定されたレンジ値の1次元の集合は、プロファイルと呼ばれる。それに続く複数のプロファイルが、レンジ画像を形成する。普通の2次元画像のように、レンジ画像は、2次元の画素の集合からなる。違いは、レンジ画像の画素値が光強度ではなく形状を示すことにある。
【0008】
複数の市販のレンジ画像化製品は、出力を生じる前にデータを処理する。その結果として、出力は、処理の結果である。これらの製品はすべて、プロファイル基準ごとにプロファイル上でレンジ値を処理する。処理はプロファイル面積またはエッジの位置などの単独測定値を形成するために制限される。解析は、上述の意味では静的である。そのようなレンジ画像化製品の実施例は、ドイツのシック・アーゲー(SICK AG)の光シートセンサDMHである。
【0009】
既存のレンジ画像化デバイスにおいて利用可能な構成の程度およびプロファイルごとのプロファイル解析は、多くの検査タスクでは十分ではない。ユーザは通常、走査される物体の有用な特性を得るために、レンジデータを処理するデバイス以外に、カスタムソフトウェア機能性を開発する必要がある。2Dスマートカメラの場合のように、通常の検査タスクは、画像における1つ以上の物体の位置を特定し、次に、見つけたられた物体の異なる測定を行うことからなる。結果は、他のデバイスに対して一部のユーザが構成可能なプロトコルに基づいて記録される必要がある。そのような動的解析は、既存のレンジ画像化デバイスでは利用できない。
【0010】
従来技術による1つの手法が、特許文献1に示されている。この特許文献1は、円形部品を検査するための3次元の検査システムを開示している。システムは、検査対象の部品のプロファイル信号を生成する1〜4台のカメラを備える。プロファイル信号は、コンピュータに転送され、コンピュータは信号を解析し、検査部品の2Dの高さ画像を生成する。検査部品の高さ画像は、周知の良好な部品データと比較することによって解析され、検査部品が満足の行くものか、または許容可能ではない欠陥があるかどうかを決定する。システムは、ある程度までユーザによって構成可能であり、たとえば、検査対象の部品間の距離を作業員が選択したり、検査用の部品数を作業員が選択したり、検査工程を作業員が開始したりすることができる。さらに、システムは、通常の「画素」から実世界単位、たとえば面積につき平方インチまたは平方ミリメートル、長さの測定値ではインチまたはミリメートルなどに較正してもよい。
【0011】
しかし、上述の文献によるシステムは、上述のような2Dスマートカメラという意味ではさほどユーザが構成可能ではない。さらに、上述のシステムは、円形部品、すなわち対称な部品(物体)を検査するために用いられる。2D画像解析システムへの入力として(画素単位から実世界単位に)較正された高さ画像を用いると、物体が非対称の形状である場合には、提供される物体は、カメラに対する相対的な位置に応じてサイズおよび形状が変化する結果を生じる。これらの歪みは一般に、既存の解析システムで見られる構成機能性によって適正に対処されることはない。
【0012】
したがって、2Dスマートカメラの自在な構成性能をレンジカメラのデータ取得と組み合わせて1つのユニットにし、上述の歪みに関する問題点を克服するような、物体の3次元の特性を測定するための改良した画像化装置および方法に関する必要性がある。
【0013】
【特許文献1】米国特許第6 542 235号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のことを考慮して、本発明の目的は、上述のシステムの歪みに関する欠点を未然に防止し、レンジデータの取得および解析を用いた物体の3次元の特性の測定のための改良した画像化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、
−測定開始前に、レンジデータの取得および解析を構成するための手段と、
−画素を備える少なくとも1つのセンサを用いて上記の物体の画像からの反射光を検出することによって、上記の物体の画像を作成するための手段と、
−センサの画素単位で測定された作成画像から上記の物体のレンジデータを取得するための手段と、
−取得したレンジデータをセンサの画素値から世界座標に較正するための手段と、
−レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、較正されたレンジデータを矯正するための手段と、
−較正および矯正の施されたレンジデータを解析して、上記の物体の3次元の特性を得るための手段と、
を備える画像化装置によって実現される。
【0016】
本発明の別の目的は、レンジデータの取得および解析を用いて物体の3次元の特性を測定するための改良した方法を提供することにある。
【0017】
この別の目的は、
−測定開始前に、レンジデータの取得および解析を構成するための手段を提供するステップと、
−画素を備える少なくとも1つのセンサを用いて上記の物体からの反射光を検出することによって、上記の物体の画像を作成するステップと、
−センサの画素単位で測定された作成画像から上記の物体のレンジデータを取得するステップと、
−取得したレンジデータをセンサの画素値から世界座標に較正するステップと、
−レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、較正されたレンジデータを矯正するステップと、
−較正および矯正の施されたレンジデータを解析して、上記の物体の3次元の特性を得るステップと、
を備える方法を提供することによって実現される。
【0018】
本発明のさらに別の目的および特徴は、添付図面に関連して考慮される以下の詳細な説明から明白となるであろう。しかし、図面は説明のために示されているに過ぎず、本発明の制限を定義するものを示しているわけではなく、本発明の制限の定義のためには、添付請求項を参照すべきであることを理解すべきである。さらに、図面は必ずしも一定の比率で描かれているわけではなく、特に明記しない限り、本願明細書に記載される構造および手順を概念的に説明することを意図しているに過ぎないことをさらに理解すべきである。
【0019】
図面では、類似の参照符号は、複数の図を通して類似の要素を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、ユーザによって構成可能なスマートレンジカメラを用いたレンジ画像の取得のための画像化装置の好ましい実施形態について説明する。
【0021】
図1は、物体1の3次元の特性の測定のための画像化装置を概略的に示す。本装置は、入射光によって物体1を照らすために配置された少なくとも1つの光源3を備える。光源3は、構造化光、たとえば、点状光、直線状光、または複数の実質的に点部分または直線部分から構成される光を生成し、かつ、たとえば、レーザ、発光ダイオード(LED)、普通の光(電球)などの用途に適した任意のタイプであってもよい。これらのタイプの光源は、当業者にはなじみがあり、本願明細書ではさらに説明しない。レーザ光は、本発明の好ましい実施形態において用いられることが好ましく、レーザ光源3は物体1を横切る光の線2を生成する。
【0022】
画像化センサ5は、光源3から所定の距離に配置され、物体からの反射光を検出して、検出光を電気信号に変換するために配置される。電気信号は、物体1の照らされた断面のディジタル表示を作成するために用いられる。光学素子4、たとえばレンズは、センサ5の前に配置され、物体1からの反射光を集光する。
【0023】
好ましい実施形態において、センサ5はu×v個(uが行であり、vが列である)の画素を有するアレイセンサであるが、当業者は、他のタイプのセンサ、例えばCCDセンサまたはCMOSセンサまたは物体の特性の画像化に適した任意の他のセンサに本発明を適用しうることは十分に理解されよう。本システムでは、センサ5は、2次元の情報(2D、強度)および3次元の情報(3D、レンジデータ)のいずれをも検出することができる。すなわち、物体の強度分布および幾何的なプロファイルのいずれをも測定することができる。好ましい実施形態において、レンジデータは、三角測距を用いることによって得られる。すなわち、光源3がセンサ5から所定の距離に配置される場合には、センサ5において反射光の位置はセンサ5から物体1までの距離を表す。レンジデータを測定するために用いられる他の技術は、他の構造化光による画像化、飛行時間型測定および立体画像化である。立体画像化において、物体の画像は、2つの異なる見晴らしの利く点に配置された2つのセンサから得られ、各センサにおける対応する点は、物体1の画像上に位置しており、それによって三角測距を行い、これらの点の3D座標を計算する。
【0024】
2Dの強度情報はそれ自体で物体1の検出に有用であるが、レンジデータの品質の信頼性の高い測定値として用いられてもよい。センサ5が反射光を全く検出しないことが時折あるが、この現象は「欠損データ」と呼ばれる。欠損データの原因としては、2つの説明が考えられる。レーザが遮断されることから、センサが反射光を検出しないか、または、たとえば、物体が暗色および/またはきわめて反射性の高い色を有する場合に、光が吸収されるかまたはレシーバーから離れて反射されることから、センサが反射光を検出しないかのいずれかである。この現象については、図3の説明と共にさらに詳細に記載する。
【0025】
センサ5はさらに、散乱光、すなわち物体1の表面層における光の分散を検出することができてもよい。材料を透通する光が記録され、分散後、入射した位置とは異なる位置で物体1から現れる。これがどのようにして生じるかは、物体材料の内部特性に左右され、このように測定されることができる。
【0026】
物体1および画像化装置は、所定の移動方向、図1に示されるy方向において互いに対して移動される。本発明の好ましい実施形態において、物体1は、画像化装置6に対して移動する。物体1は、たとえば、移動するコンベヤベルト上に配置されてもよく、あるいは代わりに、ベルトがなく、物体1自体が移動する。画像化装置6に対して物体1が移動するのではなく、関係は当然のことながら逆転してもよい。すなわち、物体1が静止し、測定時には画像化装置6が物体の上を移動する。さらに別の実施形態において、物体1および画像化装置6の両方が互いに対して移動する。
【0027】
センサ5は、光源3によって照らされた物体の複数の断面において、物体1のレンジ情報を検出するように配置される。すなわち、物体1のレンジ画像に集約される複数の断面画像を得るために、物体1がy方向に移動されるときには、物体1を反復的に測定(走査)するようにセンサ5が配置される。
【0028】
好ましい実施形態において、画像化装置6は、独立型ユニットであり、レンジ画像の取得のための手段と、検査物体の形状を記述する手段と、次にユーザが構成可能な解析のための手段と、を備える。装置が独立型ユニットであることにより、信頼性が高くなり、格納リソースが少なくて済み、1つのみのユニットを備えるシステムは扱いやすい。
【0029】
図2は、本発明の好ましい実施形態による画像化装置6の異なる構成要素を概略的に示す。画像化装置6は、物体1のレンジデータを取得するための手段8を備える。取得手段8は、これに関連してヴィジョンフロントエンド(vision front-end)と呼ばれる。ヴィジョンフロントエンド8については、図3の説明と共にさらに詳細に述べる。
【0030】
画像化装置6は、ヴィジョンフロントエンド8から供給されるレンジデータを動的に解析するために配置される解析器7をさらに備える。解析器7は、ヴィジョンフロントエンド8からのデータの動的解析を行うソフトウェアを備える。解析器7は、専用のハードウェア、たとえば、画像のフィルタリングなどの一部の解析タスクの時間性能を増大するディジタル信号プロセッサ(DSP)を備えてもよい。解析器7はまた、汎用マイクロプロセッサおよび処理および解析を行ったデータを出力するための手段を備えてもよい。
【0031】
画像化装置6はさらに他に、ヴィジョンフロントエンド8および解析器7を制御するために配置される制御および通信モジュール9を備える。制御および通信モジュール9は、装置の他のモジュールに対する制御信号として動的解析の結果を出力する。モジュールはまた、電源が入ったときにシステムを動作可能にする役割も担っており、この役割は固定記憶装置から格納された構成乃至設定を取り出すことを含む。制御および通信モジュール9はさらに、ヴィジョンフロントエンド8および解析器7の構成のための手段を備え、構成デバイス11および他の外部デバイス10との通信を行うために配置されており、好ましい実施形態ではパーソナルコンピュータ(PC)である。ヴィジョンフロントエンド8および解析器7は、外部構成デバイス11、たとえば、PCを用いて構成される。PCは、スクリーン12上でグラフィカルユーザインターフェイスを実行し、そこで、画像取得および動的解析の両方を構成してもよい。
【0032】
データ取得を構成する場合には、異なる変数、たとえば、露光時間、視野およびセンサのゲインを変更してもよい。また、レーザピーク抽出アルゴリズムと、たとえば、較正および矯正(これらのついては以下にさらに詳細に述べる)などの有効または無効な事前処理ステップと、を選択することも可能である。
【0033】
動的解析の構成は、少なくとも1つの基本的な解析タスク(以下ではツールと呼ぶ)を備える。各ツールは、複数の入力変数および複数の出力結果値を有する。あるツールからの出力は、他のツールへの入力として用いられることができる。入力および出力はいずれも、数値、画像またはテキスト値であってもよい。ツールの実行順序は、ユーザによって明示的に指定されてもよく、またはツール間の入出力関係に基づき、システムによって暗黙的に導き出されてもよい。たとえば、エッジ検出ツールが入力として主要な画像領域を必要とする場合には、この主要な領域に戻る物体検索ツールはエッジ検出の前に実行される必要があることは、自動的に推定することが可能である。
【0034】
解析の構成は、対話型グラフィック方式で作成される。ユーザは、異なるツールを適用することができ、それぞれの適用したツールからの結果に対話型フィードバックを施すことができる。フィードバックの1つの重要な形態は、中間結果画像である。画像は、物体、角またはエッジなどの抽出された特徴を示す重ね合わせられたグラフィックスを有することができる。フィードバックの他の形態は、数またはテキストの出力値と、エラーメッセージと、を含む。ツールの中には画像処理機能性を含まず、代わりに、ツールの実行順序を制御するために用いられるものもある。そのようなツールは、反復法(iteration)を導入し、ツールの実行順序における条件付きまたは無条件分岐を導入する。
【0035】
一部のツールは、通信に関連している。一実施例は、他のツールの測定結果を含むメッセージを送るツールである。別の実施例は、システムの出力信号のディジタル値またはアナログ値を設定するツールである。ツールを用いた制御通信の別法としてまたは補完的な方法として、通信を処理するシステム機能性の何か別の形態であってもよい。
【0036】
図3は、ヴィジョンフロントエンド8の構成要素を概略的に示す。図から分かるように、図1に示されたシステム設定における構成要素部品は、本発明の好ましい実施形態において、1つの単独ユニット、すなわちヴィジョンフロントエンド8にすべて組み込まれる。ヴィジョンフロントエンド8は、レンジデータ(レンジ画像)を取得するために主として配置され、入射光、好ましくはレーザ光によって物体1を照らすための光源3と、物体からの反射光を検出し、検出光を物体1の画像に変換するために配置されたセンサ5と、センサ5の前に配置される集光光学素子4と、を備える。
【0037】
ヴィジョンフロントエンド8は、取得画像を処理し、入射光の位置を特定するために配置されたプリプロセッサ14をさらに備える。プリプロセッサ14はまた、以下に述べるように、較正および矯正を行ってもよい。
【0038】
ヴィジョンフロントエンド8はさらに他に、欠損データを識別するための手段を備え、この手段は、欠損データを識別するためのステップを実行するために配置される。レーザ三角測距を用いる場合、投影されたレーザの部分が検査されるべき物体によって遮断される可能性がある。これは、欠損データと呼ばれる不明なレンジ測定値を生じる結果となる。すなわち、有効なデータが欠けている作成画像中の位置が識別されることになる。欠損データを伴う測定値は、ヴィジョンフロントエンド8によって識別され、レンジ画像の対応する画素には欠損データに関するフラグを立てるために特殊な値で印がつけられる。通常、値0(ゼロ)が用いられる。欠損データはまた、レーザ三角測距とは異なる別のレンジ画像化技術においても生じる。
【0039】
いくつかの検査タスクにとって、欠損データ領域の形状および位置は、重要な情報を含む。そのような情報は、測定されることになっているレーザ光を遮断する物体の特徴でありえる。欠損データの領域における測定値の位置を特定し、測定を実行するために、解析ツールを用いることができる。他の測定タスクにおいて、欠損データは、関心がなくても、解析に影響を及ぼさないようにするために、個別の方法で処理されなければならない。欠損データの位置は、検査物体の回転に左右される。物体の回転不変な識別にとって、欠損データ領域は、物体検索ツールによって無視される必要がある。これは、2つの方式で実現することができる。欠損データを伴うすべての画素を無視するように、ツールをプログラミングすることができる。あるいは、補間(interpolation)および/または補外(extrapolation)のいくつかの形態を用いて欠損領域の周囲の有効な画素から推定されるレンジ値で欠損データ領域を満たすことができる。この事前処理を、個別のツールによって、または、ヴィジョンフロントエンド8の事前処理モジュール14内でなすことができる。欠損データ領域が満たされた後、欠損データを処理するように開発されてないツールを処理後のレンジ画像に適用することができる。
【0040】
ヴィジョンフロントエンド8は、レンジ情報を測定するための手段を備え、かつ、それは、抽出された線のグレースケール強度、偏光または直接白色光などのレーザ光以外の他の光源に関するグレースケール強度、物体の色および物体表面の散乱特性などのさらなる情報の取得のための手段をさらに備えていてもよい。
【0041】
続いて、各レンジ測定のために、1つ以上の関連測定値があり、これは多様式データ(multi modal data)と呼ばれる。測定値の各様式は以下では、構成要素と呼ぶ。各構成要素のデータを、2D画像として組織化することができる。そのとき、ヴィジョンフロントエンド8からの出力は単独のレンジ画像ではなく、一連の画像である。構成要素ごとに画像が1つ存在する。
【0042】
多様式画像の解析は、純粋なレンジ画像の場合のような類似の態様で行われることができる。ツールを各構成要素画像に独立に適用することができる。たとえば、バーコード読み取りツールを、レンジ画像上で動作する体積測定ツールの後の強度画像に適用することができる。ツールの中には、同時に2つ以上の画像に動作することができるものがあり、2つ以上の構成要素からの情報を組み合わせて、より精巧で特異な解析を実行することができる。
【0043】
ヴィジョンフロントエンドにおけるレーザ線抽出は、センサの画素単位で測定されたレンジ値を返す。センサの各行uは1つのレンジ値vを有する。一定の物体の移動および一定のサンプリング速度を仮定すると、レンジ画像の2つの軸は、それぞれu方向およびy方向にある。画素値はv方向にある。センサの座標値をミリメートルなどの何らかの適切な単位で表現される世界座標(x、y、z)に変換することが有用であることがしばしばあり、それを実行する方法を以下では較正と呼ぶ。単独のプロファイルのすべてのレンジデータは、定数yの同一のレーザ平面に配置される。したがって、主要なマッピング乃至写像(mapping)は、センサ座標(u、v)から世界座標(x、z)へである。
【0044】
ヴィジョンフロントエンドは、デバイスに厳密に取り付けられる。したがって、一旦、デバイスが組み立てられると、(u、v)から(x、y)への写像は一定であると仮定される。したがって、組立後、周知の寸法の物体をデバイスの測定視野における周知の位置に提供することによって、写像を検出することが可能である。一旦、較正されると、実行時に表索引または予め計算された数式の評価によって、各レンジ測定値(u、v)を世界座標(x、z)に写像することが簡単である。結果は2つの画像であり、いずれの画像もuおよびyに沿った軸を有する。第1の画像の画素値はx方向であり、第2の画像の画素値はz方向である。
【0045】
図4aは、従来技術の手法における取得設定を示しており、1つのレンジ位置は、それぞれの描かれた光線に沿って得られる。外部の2D画像解析システムへの入力として較正されたレンジ画像を使用することは周知の技術であり、これらのレンジ画像は、デカルト座標(x、y)グリッド上ではサンプリングされない。代わりに、サンプリングパターンは、画像化センサによって定義され、その結果、図4aに示され、上述したように、センサの行uごとに1つのレンジ値を生じる。この方法を用いた結果、提供された物体は、画像化装置に対する位置(xおよびzにおける)に応じて、サイズおよび形状が変化することになる。
【0046】
上述の従来技術の解析システムにおける較正機能性は、上述した歪みに適正に対処することはない。本発明の好ましい実施形態において、この問題点は、処理前に、物体1の画像を矯正乃至修正することによって克服される。図4bは、矯正後の画像取得設定を示しており、1つのレンジ位置はそれぞれの仮想光線16に沿って得られる。矯正の方法では、解析器に提供する前に、レンジデータを一様に離隔された(x、y)グリッドに再サンプリングする。これは、レンジ画像の真の変換不変な解析を可能にする。任意の解像度のx方向に沿ってサンプリンググリッドに対し、矯正における補間を施すことができる。検査タスクの中には、y方向と同様のx方向の解像度を有することが好都合である場合もある。そのとき、z軸を中心として物体の回転とは独立に解析を行うことは比較的容易である。
【0047】
図5aは単独のプロファイルの較正17および矯正18に用いられる座標系を示し、図5bは一連のプロファイルの較正17および矯正18に用いられる座標系を示し、図5cは画像として見られる一連のプロファイルの較正17および矯正18において用いられる座標系を示す。
【0048】
図5a〜図5cから分かるように、較正17の結果は2つの画像であり、いずれの画像もuおよびyに沿った軸を有する。上述のように、第1の画像の画素値はx方向にあり、第2の画像の画素値はz方向にある。矯正18の結果は、xおよびyに沿った軸を有する1つの画像である。画素値はz方向にある。図5bおよび図5cに示される一連のプロファイルにとって、較正17および矯正18は、シーケンスごとに個別に行われることを理解すべきである。
【0049】
図5a〜図5cに示される物体の画像の較正17および矯正18において、垂直レーザ光源が用いられる。傾斜レーザ光源が用いられる場合には、すなわち、レーザ光が物体に対して角度を成して入射する場合には、矯正は2次元で行わなければならない。したがって、較正は3つの画像を生じる結果となり、1つの矯正画像が得られる前に、さらなる中間矯正ステップがあることになる。たとえば、立体画像化がレンジデータを測定するために用いられる場合にも、同じことが当てはまる。
【0050】
以下に、物体の3次元の特性を測定するための方法が記述され、当該方法は、
−測定開始前に、レンジデータの取得および解析を構成するための手段を提供するステップと、
−画素を備える少なくとも1つのセンサを用いて上記の物体からの反射光を検出することによって、上記の物体の画像を作成するステップと、
−センサの画素単位で測定された作成画像から上記の物体のレンジデータを取得するステップと、
−取得したレンジデータをセンサの画素値から世界座標に較正するステップと、
−レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、較正されたレンジデータを矯正するステップと、
−較正および矯正の施されたレンジデータを解析して、上記の物体の3次元の特性を得るステップと、
を備える。
【0051】
他の実施形態において、レンジデータ解析の構成は、少なくとも1つの入力変数および少なくとも1つの出力結果値を有する基本的な解析タスクを備え、それによって、第1の解析タスクからの出力結果値は、第2の解析タスクへの入力変数として用いられる。
【0052】
さらに他の実施形態において、方法は、有効なデータが欠損している作成画像における画素位置を識別するステップを備え、それによって、データが欠損している作成画像において識別された画素位置は、無視されるか、または補間および/または補外を用いて、データが欠損している画素の周囲の有効な画素から推定されたレンジ値で満たされるかのいずれかである。
【0053】
他の実施形態において、方法は、少なくとも1つの以下のステップ、すなわち、上記の物体の作成画像からグレースケール強度データを取得するステップおよび/または物体表面の散乱特性を測定するステップをさらに備える。
【0054】
さらに別の実施形態において、三角測距は、上記の物体の画像を作成するために用いられる。
【0055】
したがって、本発明の好ましい実施形態に適用した場合について、本発明の基本的な新規な特徴を図示して説明し、指摘したが、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって、示されたデバイスの形および詳細、それらの動作について、種々の省略および置換および変更を行ってもよいことは理解されよう。たとえば、同様の結果を達成するための実質的に同様の方式における実質的に同様の機能を実行する要素および/または方法ステップのすべての組み合わせは、本発明の範囲に包含されることは明確に意図している。さらに、本発明の任意の開示された形または実施形態に関して図示および/または説明された構造および/または要素および/または方法ステップは、設計選択の一般的な問題として、任意の他の開示または記載または指摘された形または実施形態に組み込まれてもよいことを認識すべきである。したがって、本発明は、本願明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】物体の3次元の特性を測定するための画像化装置を概略的に示す。
【図2】画像化装置の異なる構成要素を概略的に示す。
【図3】画像化装置のヴィジョンフロントエンドの構成要素を概略的に示す。
【図4a】従来技術の手法における取得設定を示しており、1つのレンジ位置はそれぞれの描かれた光線に沿って得られる。
【図4b】矯正後の取得設定を示しており、1つのレンジ位置はそれぞれの仮想光線に沿って得られる。
【図5a】1つのプロファイルの較正および矯正において用いられる座標系を示す。
【図5b】一連のプロファイルの較正および矯正において用いられる座標系を示す。
【図5c】画像として見られる一連のプロファイルの較正および矯正において用いられる座標系を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジデータの取得および解析を用いて、物体(1)の3次元の特性を測定するための方法であって、
−画素を備える少なくとも1つのセンサ(5)を用いて前記物体からの反射光を検出することによって、前記物体の画像を作成するステップと、
−センサの画素単位(u、v)で測定された前記作成画像から前記物体(1)のレンジデータを取得するステップと、
−前記取得したレンジデータをセンサの画素値(u、v)から世界座標(x、z)に較正するステップと、を備える方法において、
−前記測定開始前に前記レンジデータの取得および解析を構成するための手段を提供するステップと、
−前記レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、前記較正されたレンジデータを矯正するステップと、
−前記物体(1)の前記3次元の特性を得るために、前記較正および矯正の施されたレンジデータを解析するステップと、をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記レンジデータ解析の前記構成は、少なくとも1つの入力変数および少なくとも1つの出力結果値を有する基本的な解析タスクを備え、それによって、第1の解析タスクからの前記出力結果値は、第2の解析タスクへの入力変数として用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、有効なデータが欠損している前記作成画像における画素位置を識別するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、データが欠損している前記作成画像において前記識別された画素位置を無視するステップをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、データが欠損している前記作成画像で前記識別された画素位置を、補間および/または補外を用いて、データが欠損している前記画素の周囲の前記有効な画素から推定されたレンジ値で満たすステップをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記物体(1)の前記作成画像からグレースケール強度データを取得するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記物体表面の散乱特性を測定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物体(1)の画像を作成する前記ステップは、三角測距を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
レンジデータの取得および解析を用いて、物体(1)の3次元の特性を測定するための画像化装置(6)であって、
−画素を備える少なくとも1つのセンサ(5)を用いて前記物体(1)からの反射光を検出することによって、前記物体(1)の画像を作成するための手段(8)と、
−センサの画素単位(u、v)で測定された前記作成画像から前記物体(1)のレンジデータを取得するための手段(8)と、
−前記取得したレンジデータをセンサの画素値(u、v)から世界座標(x、z)に較正するための手段と、を備える装置において、
−前記測定開始前に、前記レンジデータの取得および解析を構成するための手段(11)と、
−前記レンジデータを一様に離隔されたグリッドに再サンプリングすることによって、前記較正されたレンジデータを矯正するための手段と、
−前記物体(1)の前記3次元の特性を得るために、前記較正および矯正の施されたレンジデータを解析するための手段(7)と、をさらに備えることを特徴とする画像化装置(6)。
【請求項10】
前記レンジデータ解析の前記構成は、少なくとも1つの入力変数および少なくとも1つの出力結果値を有する基本的な解析タスクを備え、それによって、第1の解析タスクからの前記出力結果値は、第2の解析タスクへの入力変数として用いられることを特徴とする請求項9に記載の画像化装置(6)。
【請求項11】
前記画像化装置(6)は、データが欠損している前記作成画像における画素位置を識別するための手段(14)をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の画像化装置(6)。
【請求項12】
前記画像化装置(6)は、データが欠損している前記作成画像において前記識別された画素位置を無視するための手段(14)をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の画像化装置(6)。
【請求項13】
前記画像化装置(6)は、データが欠損している前記作成画像において前記識別された画素位置を、補間および/または補外を用いて、データが欠損している前記画素の周囲の前記有効な画素から推定されたレンジ値で満たすための手段(14)をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の画像化装置(6)。
【請求項14】
前記画像化装置(6)は、前記物体(1)の前記作成画像からグレースケール強度データを取得するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の画像化装置(6)。
【請求項15】
前記画像化装置(6)は、前記物体表面の散乱特性を測定するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の画像化装置(6)。
【請求項16】
前記画像化装置(6)は、独立型ユニットであることを特徴とする請求項9に記載の画像化装置(6)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2008−505312(P2008−505312A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519152(P2007−519152)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000887
【国際公開番号】WO2006/004483
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(504048696)シック アイヴィピー エービー (6)
【Fターム(参考)】