説明

レンズ選択支援装置

【課題】立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置の組み合わせを選択する際に、適性が高い組み合わせを容易に確認することができるレンズ選択支援装置を提供する。
【解決手段】レンズ選択支援装置は、レンズ装置を認識する認識手段と、認識手段によって認識されたレンズ装置と諸元が近い少なくとも1つ候補レンズ装置がある場合、候補レンズ装置に関する情報を抽出する処理部と、処理部が候補レンズ装置に関する情報を抽出するときに参照する参照用データを記憶する記憶部と、抽出された候補レンズ装置に関する情報を表示する表示手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置を選択するためのレンズ選択支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台のテレビカメラを並列に配置して、右目用と左目用の視差画像を撮影することにより、立体画像を取得する立体カメラが開発されている。このような立体カメラに使用される2台のレンズ装置は、フォーカス、ズーム(焦点距離)、絞りなど制御対象の状態(位置)によって変化する撮影条件が常に一致するように同時に駆動されるようになっている。
【0003】
2台のレンズ装置の撮影条件が同一になるように制御する立体カメラ用のレンズ制御装置としては、特許文献1に示すものがある。特許文献1に記載された立体カメラ用のレンズシステムは、完全に同一の仕様である右目用のレンズと左目用各レンズを備え、立体撮像時に右目用のレンズ装置及び左目用のレンズ装置のそれぞれの画角を略同一にするように制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−139015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
諸元の異なる2つのレンズ装置を用いて立体撮像を行うには、撮影条件が同一になるように各レンズ装置を制御する必要がある。このような制御を行う際に、2つのレンズ装置のそれぞれの諸元が全く異なると、各レンズ装置の撮影条件を同一にすることができないため、良好な立体画像を得ることができない。しかし、ユーザは、任意の2つのレンズ装置を用いて立体撮像を行うときに、これら2つのレンズ装置が立体撮像用として適した組み合わせであるかどうか判断することができない。
【0006】
本発明は、立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置の組み合わせを選択する際に、適性が高い組み合わせを容易に確認することができるレンズ選択支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置の組み合わせを選択するためのレンズ選択支援装置であって、
レンズ装置を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記レンズ装置と諸元が近い少なくとも1つ候補レンズ装置がある場合、前記候補レンズ装置に関する情報を抽出する処理部と、
前記処理部が前記候補レンズ装置に関する情報を抽出するときに参照する参照用データを記憶する記憶部と、
抽出された前記候補レンズ装置に関する情報を表示する表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置として適性が高い組み合わせを、容易に選択することができるレンズ選択支援装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】立体カメラ用のレンズシステムを備えるカメラシステムの全体構成を示すブロック図
【図2】レンズ選択支援装置を説明するためのレンズ選択支援システムの全体構成を示すブロック図
【図3】図2に示すレンズ選択支援システムにおける、レンズ装置とレンズ選択支援装置の構成を示すブロック図
【図4】レンズ装置と諸元が近い候補レンズ装置に関する情報を抽出して表示する手順を示すフローチャート
【図5】候補レンズ装置に関する情報を表示部に表示させたときの表示画面の一例を示す図
【図6】レンズ装置と候補レンズ装置との諸元の重複範囲を表示する手順を示すフローチャート
【図7】レンズ装置と候補レンズ装置の諸元である焦点距離の重複範囲を説明する図
【図8】図6に示す手順の変形例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明のレンズ選択支援装置の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、立体カメラ用のレンズシステムを説明するためのカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、カメラシステム1は、カメラ本体100A,100Bと、立体カメラ用のレンズシステム10とを含んで構成される。カメラシステム1は、立体画像の撮影に用いられるものである。
【0013】
レンズシステム10は、2台のレンズ装置10A及びレンズ装置10Bを含んでいる。レンズ装置10Aは、カメラ本体100Aに装着され、レンズ装置10Bは、カメラ本体100Bに装着される。例えば、レンズ装置10Aは左目の映像の撮影用として使用され、レンズ装置10Bは右目の映像の撮影用として使用される。
【0014】
レンズシステム10において、レンズ装置10A及びレンズ装置10Bは接続ケーブル2を用いて互いに接続されている。
【0015】
カメラ本体100Aには、撮像素子(例えばCCD撮像素子)や所要の信号処理回路等が搭載されており、レンズ装置10Aにより結像された像は、撮像素子により光電変換された後、信号処理回路によって所要の信号処理が施されてHDTV方式の映像信号(HDTV信号)として、カメラ本体100Aの映像信号出力端子等から外部に出力される。カメラ本体100Bの構成についてはカメラ本体100Aと同一として説明を省略する。
【0016】
レンズ装置10A及びレンズ装置10Bはいずれも、光学系(撮影レンズ)と制御系(制御部)とから構成される。レンズ装置10A及びレンズ装置10Bは、光学系及び制御系のいずれについても同一の構成である。以下において、レンズ装置10Aをレンズ選択支援システムに接続する例について説明する。
【0017】
図2は、レンズ選択支援装置を説明するためのレンズ選択支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【0018】
レンズ選択支援システム500は、レンズ装置10Aと、レンズ選択支援装置50とを含む。
【0019】
レンズ装置10Aは、通信手段として機能する接続ケーブル12を用いてレンズ選択支援装置50に接続される。なお、レンズ装置10Aは、カメラ本体100Aに装着されていない状態でもよい。
【0020】
レンズ選択支援装置50は、接続ケーブル12によって接続されたレンズ装置10Aを認識し、該レンズ装置10Aと諸元が近い少なくとも1つ候補レンズ装置を選択する作業を支援するための装置である。レンズ選択支援装置50としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)を用いることができる。
【0021】
図3は、図2に示すレンズ選択支援システムにおける、レンズ装置とレンズ選択支援装置の要部構成を示したブロック図である。
【0022】
最初に、レンズ装置10Aの構成を説明する。レンズ装置10Aの光学系(撮影レンズ)には、鏡胴内部においてフォーカスレンズ群FL、ズームレンズ群ZL、絞りIR、マスターレンズ群(図示せず)等の光学部品が配置されている。フォーカスレンズ群FLやズームレンズ群ZLは光軸に沿って前後移動可能に配置されており、フォーカスレンズ群FLの位置を調整することによってフォーカス調整(被写体距離の調整)が行われ、ズームレンズ群ZLの位置を調整することによってズーム調整(焦点距離の調整)が行われる。また、絞りIRの位置(開口度)を調整することによって光量調整が行われる。撮影レンズに入射してこれらのレンズ群等を通過した被写体光は、図1に示したカメラ本体100Aに配置された撮像素子の撮像面に結像される。
【0023】
レンズ装置10Aの制御系には、制御系全体を統括するCPU30と、フォーカスレンズ群FLの位置を調整するための駆動力を供給するフォーカスレンズ駆動部32Fと、ズームレンズ群ZLの位置を調整するための駆動力を供給するズームレンズ駆動部32Zと、絞りIRの位置を調整するための駆動力を供給する絞り駆動部32Iが配置されている。各駆動部には、図示しないが、駆動モータと、該駆動モータに駆動電力を供給するアンプとが設けられている。
【0024】
レンズ装置10Aには、接続ケーブル12が接続される接続部42と、記憶部44とが設けられている。
【0025】
接続部42は、レンズ選択支援装置50に接続するための接続ケーブル12が接続されるインターフェースであって、RS−232等のシリアル通信方式を採用することができる。なお、接続部42は、他の外部装置と接続するための通信ケーブルが接続可能であってもよい。
【0026】
記憶部44は、レンズ装置10Aに固有の識別データ(型名やIDを含むデータ)とレンズ装置10A自体の諸元を示す諸元データを記憶する。記憶部44には、撮影時にレンズ装置10Aを制御するために必要となる所定の設定情報や、立体画像の撮像時又は再生時に使用する補正データなどが記憶されていてもよい。記憶部44は、CPU30の制御によって、記憶されているデータが読み出される。
【0027】
また、レンズ装置10Aの制御系には、フォーカスレンズ群FLに連結されたエンコーダ34Fと、ズームレンズレンズ群ZLに連結されたエンコーダ34Zが配置されている。
【0028】
フォーカスレンズ群FL、ズームレンズ群ZL及び絞りIRは、CPU30からの制御信号に基づいてフォーカスレンズ駆動部32F、ズームレンズ駆動部32Z、絞り駆動部32Iが駆動し、目標とする撮影条件に従った状態に制御されるようになっている。
【0029】
なお、図3には示さないが、レンズ装置10Aの鏡筒にドライブユニットが装着されていてもよい。ドライブユニットにCPU30等を含む制御系のうちその一部又は全部が設けられていてもよい。ドライブユニットには、ユーザがマニュアルで操作を行う際に使用する画角操作部、フォーカス制御部などが設けられていてもよい。
【0030】
画角操作部は、テレ(T)側又はワイド(W)側に操作されると、ズームリング16をテレ側又はワイド側に回動し、ズームレンズ群ZLの位置を調整することによって、ズーム調整するためのスイッチである。
【0031】
フォーカス操作部は、操作することによりフォーカスリング14を回動し、フォーカスレンズ群FLの位置を調整することによって、フォーカス調整するスイッチである。
【0032】
また、ドライブユニットには、図示しないオート/マニュアルスイッチが設けられ、アイリス絞り径をマニュアル調整又は自動調整できるようになっていてもよい。
【0033】
レンズ装置10Aは、立体画像の撮影を行わない場合には、レンズ装置10Bと無線通信を行わない状態に設定され、カメラ本体100Aに装着されることで、ビデオカメラのレンズ装置として単体で使用することができる。
【0034】
次に、レンズ選択支援装置50の構成について説明する。レンズ選択支援装置50は、接続部52と、記憶部54と、表示部56と、入力部58と、レンズ選択支援装置50全体を統括制御するCPU60とを含んで構成されている。
【0035】
接続部52は、レンズ装置10Aと接続するための接続ケーブル12が接続されるインターフェースであって、RS−232等のシリアル通信方式を採用することができる。なお、接続部52は、他の外部装置と接続するための通信ケーブルが接続可能であってもよい。
【0036】
記憶部54は、レンズ装置10Aを接続した際に使用する参照用データが予め記憶されている。参照用データは、製品として提供されている全てのレンズ装置又はその一部のレンズ装置のそれぞれの型名と、これら型名に識別されるレンズ装置の諸元とが関連付けられたテーブルを含む。以下、このテーブルをデータテーブルともいう。参照用データは、レンズ装置10Aをレンズ選択支援装置50や他のPC等の外部装置と接続することで予め記憶部54に記憶されたデータであってもよい。または、参照用データが記録された図示しない記録媒体をレンズ選択支援装置50に接続することによって該記録媒体から記録部54に書き込まれたものであってもよい。
【0037】
ここで、参照用データに示されるレンズ装置の諸元とは、各レンズ装置の構成や仕様によって予め設定されているものであって、例えば、レンズ装置10Aを運用することが可能な焦点距離の範囲、被写体距離の範囲、F値(レンズの明るさを示す値であり、Fナンバーともいう。)である。参照用データに示されるレンズ装置の諸元には、Fドロップ量(ワイド側でF値が低下する、所謂、Fドロップが生じるとき、そのF値の低下量)を含んでいてもよい。以下では、レンズ装置の諸元として焦点距離と被写体距離とFナンバーを用いた場合について説明する。
【0038】
表示部56は、CPU60の制御によって、後述するように、レンズ装置10Aと諸元の近い候補レンズ装置に関する情報や、レンズ装置10Aと候補レンズ装置との諸元の重複範囲を表示する。また、表示部56には、レンズ選択支援装置50の動作や制御の内容が適宜表示されてもよい。表示部24は、例えば、LCDを採用することができる。
【0039】
入力部58は、ユーザの操作によって、所望の操作指示を示す信号をレンズ選択支援装置50に直接入力するものである。入力部58は、例えば、キーボード、スイッチ、操作ボタンである。
【0040】
CPU60は、接続部52に接続されたレンズ装置10Aと通信を行う際に、データの送信や受信を制御する。また、CPU60は、表示部56の表示を制御する。
【0041】
レンズ選択支援装置50のCPU60は、レンズ装置10Aが接続ケーブル12で接続されたとき、接続されたレンズ装置10Aと諸元の近い少なくとも1つの候補レンズ装置がある場合、候補レンズ装置に関する情報を表示する選択支援モードを実行する。
【0042】
図4は、レンズ装置と諸元が近い候補レンズ装置に関する情報を抽出して表示する手順を示したフローチャートである。
【0043】
レンズ選択支援装置50にレンズ装置10Aが接続された状態で、レンズ選択支援装置50において選択支援モードが選択されると、CPU60は、レンズ装置10Aと通信を開始する(ステップS10)。そして、ステップS12の処理手順へ進む。
【0044】
ステップS12において、レンズ選択支援装置50のCPU60は、接続先であるレンズ装置10Aの記憶部44から該レンズ装置10Aの諸元データを抽出する。その後、ステップS14の処理手順に進む。
【0045】
ステップS14において、CPU60は、記憶部54に記憶されている参照用データを参照し、接続されたレンズ装置10Aの諸元と近い諸元を有する1つ又は複数の候補レンズ装置を検出し、この候補レンズ装置に関する情報を抽出する。レンズ装置10Aの諸元と近い諸元を有する候補レンズ装置とは、レンズ装置10Aの被写体距離、焦点距離、Fナンバーのうち少なくとも一つを比較したときに、諸元が一致する又は、諸元の差が所定値以下であるレンズ装置である。また、抽出する候補レンズ装置に関する情報とは、候補レンズ装置の型名、識別情報(ID)、被写体距離、焦点距離、Fナンバーを含む。その後、ステップS16の処理手順に進む。
【0046】
ステップS16において、CPU60は、抽出した候補レンズ装置に関する情報を、表示部56に表示させる制御を実行する。
【0047】
図5は、候補レンズ装置に関する情報を表示部56に表示させたときの表示画面の一例を示している。図5に示すように、表示部56の表示画面300には、接続されているレンズ装置10Aの型名と、候補レンズ装置(図5では、レンズ装置A,B,C)の型名がそれぞれ表示される。また、表示画面には、レンズ装置10Aと候補レンズ装置A,B,Cそれぞれの焦点距離の範囲を矢印で示すグラフが表示される。
なお、図5では、焦点距離を示すグラフを例に説明したが、被写体距離やFナンバーも同様に表示される。
【0048】
図4のフローチャートに示す手順の説明に戻って、ステップS16において、表示部56で候補レンズ装置に関する情報を表示させた後、CPU60は、レンズ装置10Aとの通信を終了する(ステップS18)。
【0049】
なお、CPU60は、複数の候補レンズ装置を検出した場合、レンズ装置10Aと諸元が近いものから順位を付けて表示部56に表示させる制御を行ってもよい。CPU60は、候補レンズ装置を1つも検出できなかった場合、候補レンズ装置が検出できなかった旨を表示部56に表示させる制御を行ってもよい。
【0050】
レンズ選択支援装置50によれば、ユーザは、立体カメラに用いる2つのレンズ装置の組み合わせを選択する際に、1つのレンズ装置が持っていれば、そのレンズ装置と諸元の近いレンズ装置がどれであるかを確認することができる。
【0051】
また、ユーザは、同一の諸元の2つのレンズ装置を所有している必要がない。例えば、ユーザは、予め1つのレンズ装置を所有している場合に、所有しているレンズ装置をレンズ選択支援装置50に接続して選択支援モードを実行することで、所有しているレンズ装置と組み合わせたときに立体画像の撮影に適性の高い候補レンズ装置を、容易に選択することができる。
【0052】
更に、ユーザは、2つのレンズ装置の組み合わせを選択する際に、各レンズ装置をカメラ本体に取り付ける作業や、実際に立体画像の撮影を行ったうえで立体画像を再生して確認する作業を行う必要がない。
【0053】
レンズ選択支援装置50は、表示部56に候補レンズ装置に関する情報を表示する際に、接続されたレンズ装置10Aと候補レンズ装置との諸元の重複範囲を表示させることができる。
【0054】
図6は、レンズ装置と候補レンズ装置との諸元の重複範囲を表示する手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートに示すステップS10からステップS14の手順は、図4に示したステップS10からステップS14の手順と同じであるため、説明を省略する。
【0055】
上述したようにステップS10からステップS14の手順を実行した後、CPU60は、ステップS14で抽出した候補レンズ装置に関する情報に基づいて、接続されたレンズ装置10Aと候補レンズ装置の諸元の重複範囲を演算する(ステップS22)。その後、ステップS24の処理手順に進む。
【0056】
ここで、諸元の重複範囲について説明する。図7は、レンズ装置と候補レンズ装置の諸元である焦点距離の重複範囲を説明する図である。図7に示す例では、レンズ装置の焦点距離と候補レンズ装置Aの焦点距離とが一部の範囲で重複している状態を示している。
【0057】
図7において、レンズ装置10Aの諸元の焦点距離を40mm〜100mmの範囲とし、候補レンズ装置Aの諸元の焦点距離を60mm〜120mmの範囲とした場合、レンズ装置10Aと候補レンズ装置Aの焦点距離の重複範囲が60mm〜100mmとなる。
【0058】
レンズ装置10Aの諸元の焦点距離を50mm〜100mmの範囲とし、候補レンズ装置Aの諸元の焦点距離を50mm〜100mmの範囲とした場合、レンズ装置10Aと候補レンズ装置Aの焦点距離は完全に一致しており、重複範囲が50mm〜100mmとなる。
【0059】
被写体距離の重複範囲やFナンバーの重複範囲についても、上述した焦点距離の重複範囲と同様である。
【0060】
図6のフローチャートの処理手順の説明に戻り、ステップS24において、CPU60は、焦点距離の重複範囲、被写体距離の重複範囲、Fナンバーの重複範囲うち重複範囲が存在する諸元について、表示部56にその諸元の重複範囲を表示する制御を実行する。その後、ステップS26の処理手順へ進み、CPU60は、レンズ装置10Aとの通信を終了する。
【0061】
ステップS24において、CPU60は、重複範囲が存在しない又は重複範囲が狭い諸元については、その旨を表示部56に表示してもよい。例えば、CPU60は、焦点距離、被写体距離、Fナンバーのうち重複範囲が存在しない諸元、又は、重複範囲が所定の閾値より小さい諸元について、表示部56にその諸元の重複範囲が存在しない又は重複範囲が狭いことを通知するためのグラフやメッセージを表示部56に表示してもよい。
【0062】
こうすれば、ユーザは、表示部24に表示された諸元の重複範囲によって、接続されたレンズ装置10Aと候補レンズ装置Aの組み合わせがどの程度適性が高いかを確認することができる。
【0063】
レンズ選択支援装置は、以下に図8に基づいて説明する手順のように、焦点距離、被写体距離、Fナンバーのうち、ユーザが重視する諸元、又は重視する諸元として設定されたものを基準として候補レンズ装置に関する情報を表示してもよい。
【0064】
図8は、図6に示す手順の変形例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートに示すステップS10からステップS14の手順は、図4に示したステップS10からステップS14の手順と同じであるため、説明を省略する。
上述したようにステップS10からステップS14の手順を実行した後、CPU60は、被写体距離を重視する設定であるか否か判断する(ステップS40)。ユーザの設定によって、予め、被写体距離、焦点距離、Fナンバーのうちどの諸元を重視するが設定される。ユーザによって設定された重視する諸元についての情報は、記憶部54に記憶されており、CPU60によって適宜読み出しが可能である。
【0065】
ステップS40において、CPU60が被写体距離を重視する設定であると判断した場合、ステップS42の処理手順に進む。CPU60が被写体距離を重視する設定ではないと判断した場合、ステップS44の処理手順に進む。
【0066】
ステップS42では、CPU60は、ステップS14で抽出した候補レンズ装置に関する情報を、被写体距離を基準に再抽出し、抽出された候補レンズ装置に関する情報を表示する。その後、ステップS40の手順に戻る。
【0067】
ステップS44において、CPU60は、焦点距離を重視する設定であるか否か判断する。そして、CPU60が焦点距離を重視する設定であると判断した場合、ステップS46の処理手順に進む。CPU60が焦点距離を重視する設定ではないと判断した場合、ステップS50の処理手順に進む。
【0068】
ステップS46では、CPU60は、ステップS14で抽出した候補レンズ装置に関する情報を、焦点距離を基準に再抽出し、抽出された候補レンズ装置に関する情報を表示する。その後、ステップS40の手順に戻る。
【0069】
ステップS50では、CPU60は、ステップS14で抽出した候補レンズ装置に関する情報を、Fナンバーを基準に再抽出し、抽出された候補レンズ装置に関する情報を表示する。その後、ステップS40の手順に戻る。
【0070】
上述の手順によれば、ユーザは、接続されたレンズ装置10Aに対して、所望の諸元に基づく適性の高い候補レンズ装置を容易に選択することができる。
【0071】
次に、本発明に係るレンズシステムの変形例について説明する。
【0072】
レンズ選択支援装置50は、接続部52に接続ケーブル12を介して接続されたレンズ装置10Aを、認識する構成に限定されない。例えば、入力部58を用いてユーザが直接レンズ装置10Aの情報を入力した場合に、入力部58の入力信号に応じてレンズ装置10Aを認識してもよい。
【0073】
図6に示す処理手順では、焦点距離、被写体距離、Fナンバーの重複範囲の演算を行ったが、焦点距離、被写体距離、Fナンバーのうち少なくとも1つの重複範囲のみを演算し、表示部24に表示してもよい。レンズ装置10Aは、ユーザの設定によって、どの諸元の重複範囲を表示させるか予め設定されていてもよい。
【0074】
レンズ選択支援装置50のCPU60は、レンズ装置10Aの諸元として、焦点距離、被写体距離、F値だけでなく、Fドロップを使用し、これらの重複範囲を演算し、ユーザに通知してもよい。
【0075】
図3に示すレンズ選択支援装置50の構成において、CPU60が候補レンズ装置に関する情報を抽出する処理部を兼ねているが、CPU60とは別に処理部を設けてもよい。
【0076】
または、レンズ選択支援装置50のCPU60は、レンズ装置10Aと候補レンズ装置の組み合わせを、履歴情報として記憶部に記憶させておいてもよい。履歴情報は、レンズ装置に基づいて以前に抽出された候補レンズ装置に関する情報を含む。こうすれば、ユーザは、レンズ選択支援装置50にレンズ装置10Aを接続して適性の判断を1回行えば、レンズ装置10Aをレンズ選択支援装置50に接続することなく、履歴情報を参照することで、レンズ装置10Aと候補レンズ装置との組み合わせの適性を確認することができる。
【0077】
本明細書は次の事項を開示する。
(1)立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置を選択するためのレンズ選択支援装置であって、
レンズ装置を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記レンズ装置と諸元が近い少なくとも1つ候補レンズ装置がある場合、前記候補レンズ装置に関する情報を抽出する処理部と、
前記処理部が前記候補レンズ装置に関する情報を抽出するときに参照する参照用データを記憶する記憶部と、
抽出された前記候補レンズ装置に関する情報を表示する表示手段と、を備えるレンズ選択支援装置。
(2)(1)に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記処理部は、前記レンズ装置と前記候補レンズ装置との諸元の重複範囲を演算し、該諸元の重複範囲を前記表示手段に表示させるレンズ選択支援装置。
(3)(2)に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記表示手段は、前記諸元の重複範囲をグラフで表示する表示部を含むレンズ選択支援装置。
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載のレンズ選択支援装置であって、
前記表示手段は、前記レンズ装置に基づいて以前に抽出された前記候補レンズ装置に関する情報を含む履歴情報を表示するレンズ選択支援装置。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載のレンズ選択支援装置であって、
前記認識手段は、前記レンズ装置と通信可能に接続する接続部であるレンズ選択支援装置。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載のレンズ選択支援装置であって、
前記認識手段は、ユーザが前記レンズ装置に関する情報を入力するための入力部であるレンズ選択支援装置。
(7)(1)から(6)のいずれか1つに記載のレンズ選択支援装置であって、
前記諸元は、被写体距離、焦点距離、F値の少なくとも1つを含むレンズ選択支援装置。
【符号の説明】
【0078】
10 立体カメラ用のレンズシステム
10A,10B レンズ装置
12 接続ケーブル
50 レンズ選択支援装置
52 接続部
54 記憶部
56 表示部
58 入力部
60 (レンズ選択支援装置の)CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像を撮影する立体カメラに装着される2つのレンズ装置の組み合わせを選択するためのレンズ選択支援装置であって、
レンズ装置を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記レンズ装置と諸元が近い少なくとも1つ候補レンズ装置がある場合、前記候補レンズ装置に関する情報を抽出する処理部と、
前記処理部が前記候補レンズ装置に関する情報を抽出するときに参照する参照用データを記憶する記憶部と、
抽出された前記候補レンズ装置に関する情報を表示する表示手段と、を備えるレンズ選択支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記処理部は、前記レンズ装置と前記候補レンズ装置との諸元の重複範囲を演算し、該諸元の重複範囲を前記表示手段に表示させるレンズ選択支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記表示手段は、前記諸元の重複範囲をグラフで表示する表示部を含むレンズ選択支援装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記表示手段は、前記レンズ装置に基づいて以前に抽出された前記候補レンズ装置に関する情報を含む履歴情報を表示するレンズ選択支援装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記認識手段は、前記レンズ装置と通信可能に接続する接続部であるレンズ選択支援装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記認識手段は、ユーザが前記レンズ装置に関する情報を入力するための入力部であるレンズ選択支援装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズ選択支援装置であって、
前記諸元は、被写体距離、焦点距離、F値の少なくとも1つを含むレンズ選択支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198333(P2012−198333A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61458(P2011−61458)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】