説明

ロボットコントローラー

【課題】パワーデバイスの冷却に用いられるヒートシンクの種別が増えることを抑えつつ、ロボットコントローラーの小型化を図ることの可能なロボットコントローラーを提供する。
【解決手段】複数の交流モーターを有したロボットの動きを複数の交流モーターの各々の駆動によって制御するロボットコントローラーであって、直流電圧を多相交流電圧に変換して交流モーターに出力する複数のパワーデバイス43B,43Fと、パワーデバイス43B,43Fが実装される複数のモータードライバー基板40とを備え、複数のモータードライバー基板40の各々は、1つのヒートシンク44と、1つのヒートシンク44に取り付けられた2つのパワーデバイス43B,43Fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動きを制御するロボットコントローラーに関するものであって、特にロボットが有する交流モーターに多相交流電圧を出力するモータードライバー基板を備えるロボットコントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、ロボットコントローラーの筐体内には、多相交流電圧を生成して該多相交流電圧を交流モーターに出力するモータードライバー基板が、交流モーターごとに搭載されている。こうしたモータードライバー基板に実装されるIPMなどのパワーデバイスでは、通常、環流用ダイオードの逆回復時における電力損失やスイッチング素子におけるスイッチング損失が熱量として放出される。そこで、上述のようなモータードライバー基板には、パワーデバイスを冷却するためのヒートシンクがパワーデバイスと共に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−175856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットコントローラーが必要とするパワーデバイスの個数は、ロボットに搭載される交流モーターの個数と等しく、パワーデバイスを冷却するヒートシンクの個数もまた、交流モーターの個数と等しいものとなっている。一方、複数のパワーデバイスの各々における発熱量は、該パワーデバイスが出力する多相交流電圧の大きさ、例えば駆動対象となる交流モーターの容量によって互いに異なる。図6は、ロボットコントローラーの制御対象であるロボットの構造を例示する斜視図であって、パワーデバイスにおける発熱量と該パワーデバイスによって動かされる関節の位置との関係を説明するための図である。
【0005】
図6に示されるように、制御対象となるロボットRが4軸の水平多関節ロボットRである場合、基台51に対して第1アーム52を回転する第1モーターM1には、通常、ロボットRに搭載される4つの交流モーターのうち最も大きな容量が必要とされる。そして、回転対象がロボットRの手先に近くなるほど、交流モーターの容量は小さくなる。すなわち、第1アーム52に対して第2アーム53を回転する第2モーターM2、第2アーム53に対して昇降シャフト54を昇降する第3モーターM3、エンドエフェクター55を駆動する第4モーターM4では、この順に大きな容量が必要とされる。それゆえに、4つのパワーデバイスのうち、第1モーターM1を駆動するパワーデバイスD1の発熱量が最も大きく、第2モーターM2を駆動するパワーデバイスD2、第3モーターM3を駆動するパワーデバイスD3、第4モーターM4を駆動するパワーデバイスD4では、この順に発熱量が大きくなる。
【0006】
この際、パワーデバイスを冷却するためのヒートシンク61には、該パワーデバイスの発熱量に応じた冷却容量が必要であるが、その発熱量に応じた大きさ以上の冷却容量は、かえってモータードライバー基板62の大型化を招くこととなる。しかしながら、パワーデバイスごとに互いに異なるヒートシンク61が取り付けられるとなれば、ロボットコントローラーの製造工程では、工程数の増加や誤った組み付けの増加が余儀なくされてしまう。また、パワーデバイスにおける発熱量とは、ロボットの型式によっても大きく異なるため、パワーデバイスごとに互いに異なるヒートシンク61が実装されるとなれば、互いに異なる型式のロボットを共通のモータードライバー基板で駆動することが困難にもなる。
【0007】
それゆえに、上述したロボットコントローラーでは、結局のところ、駆動対象が互いに異なるパワーデバイスD1〜D4の各々に冷却容量の等しいヒートシンク61が実装されている。そして、モータードライバー基板の小型化、ひいてはロボットコントローラーの小型化を図ることが依然として解決できないものとなっている。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、パワーデバイスの冷却に用いられるヒートシンクの種別が増えることを抑えつつ、ロボットコントローラーの小型化を図ることの可能なロボットコントローラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、直流電圧を多相交流電圧に変換する複数のパワーデバイスを備え、前記複数のパワーデバイスの各々が該パワーデバイスに対応する交流モーターに多相交流電圧を出力して該交流モーターを駆動するロボットコントローラーであって、N個(Nは2以上の整数)の前記パワーデバイスに1つのヒートシンクが取り付けられていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、N個のパワーデバイスが1つのヒートシンクによって冷却される。これにより、N個のパワーデバイスの発熱量が互いに異なる場合であっても、1つのヒートシンクの冷却容量が、発熱量の大きいパワーデバイスと発熱量の小さいパワーデバイスとに分配される。このような構成であれば、1つのパワーデバイスに取り付けられるヒートシンクの冷却容量が、該パワーデバイスの発熱量に応じた冷却容量を超えることになるとはいえ、該パワーデバイスの冷却用として機能しない余剰の冷却容量は、他のパワーデバイスの冷却用として機能することとなる。
【0011】
それゆえに、N個のパワーデバイスを冷却するうえで、ヒートシンクにおける余剰の冷却容量を少なくしてヒートシンクのサイズを小型化すること、ひいてはロボットコントローラーの小型化を図ることが可能となる。そのうえ、発熱量が互いに異なるN個のパワーデバイスを一つの種類のヒートシンクで冷却することが可能であるから、ロボットコントローラー内、及びロボットコントローラー間において、ヒートシンクの種別が増えることを抑えることが可能となる。
【0012】
この発明では、前記N個のパワーデバイスが実装されたモータードライバー基板を備え、前記モータードライバー基板が、前記直流電圧の入力される1つの電源入力コネクターと、前記N個のパワーデバイスの各々と前記電源入力コネクターとを接続する前記パワーデバイスごとのN本の電源配線とを備え、前記N本の電源配線の各々の長さが、互いに異なることを要旨とする。
【0013】
パワーデバイスに対して直流電圧を供給する電源配線の発熱量は、該パワーデバイスが出力する多相交流電圧の大きさによって互いに異なる。例えば、他の交流モーターよりも容量が大きい交流モーター用の電源配線では、該電源配線に流れる電流量が大きくなる分、該電源配線の発熱量が他の電源配線よりも大きくなりやすい。反対に、他の交流モーターよりも容量が小さい交流モーター用の電源配線では、該電源配線に流れる電流量が小さくなる分、該電源配線の発熱量が他の電源配線よりも小さくなりやすい。
【0014】
他方、こうした電源配線における発熱量は、上記交流モーターの容量の他、電源配線の長さによっても互いに異なる。例えば、他の電源配線よりも長い電源配線では、該電源配線の配線抵抗が大きくなる分、該電源配線の発熱量が他の電源配線よりも大きくなりやすい。反対に、他の電源配線よりも短い電源配線では、該電源配線の配線抵抗が小さくなる分、該電源配線の発熱量が小さくなりやすい。
【0015】
この発明によれば、N本の電源配線の長さが互いに異なるため、パワーデバイスの駆動対象と電源配線の長さとの組み合わせを変えることが可能である。そして、他の交流モーターよりも容量が大きい交流モーターと、他の電源配線よりも短い電源配線とを組み合わせることが可能である。このような構成によれば、他の交流モーターよりも容量が大きい交流モーター用の電源配線では、該電源配線に流れる電流量が大きいため、該電源配線の発熱量が他の電源配線よりも大きくなる傾向ではあるが、こうした発熱量の増大は、該電源配線が他の電源配線よりも短いことによって抑えられる。
【0016】
なお、この際、他の交流モーターよりも容量が小さい交流モーター用の電源配線では、該電源配線の長さが大きいため、該電源配線の発熱量が他の電源配線よりも大きくなる傾向ではあるが、こうした発熱量の増大は、該電源配線に流れる電流量が小さいことによって抑えられる。それゆえに、モータードライバー基板が有するN本の電源配線に対して、それらにおける発熱量の均一化を図ること、ひいてはモータードライバー基板の熱的な歪みを抑えることが可能となる。
【0017】
この発明では、前記N個のパワーデバイスが、一つの方向である配列方向に配列され、前記配列方向における前記電源入力コネクターの位置が、前記パワーデバイスの列の中央よりも前記配列方向の一側に偏っていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、N個のパワーデバイスが配列方向に配列され、各パワーデバイスに直流電圧を供給する電源入力コネクターが、パワーデバイスの列に対して配列方向の一側に偏っている。このような構成であれば、N個のパワーデバイスの各々と電源入力コネクターとの距離が互いに異なるため、N個のパワーデバイスの各々と電源入力コネクターとを接続するN本の電源配線の長さを互いに異なるものをすることが容易になる。
【0019】
この発明では、前記N個のパワーデバイスが、一つの方向である配列方向に配列され、前記ヒートシンクは、前記パワーデバイスの列の全体を覆い、前記配列方向における前記ヒートシンクの位置が、前記パワーデバイスの列の中央よりも前記配列方向の一側に偏っていることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、N個のパワーデバイスが配列方向に配列され、これらN個のパワーデバイスを冷却する1つのヒートシンクが、パワーデバイスの列に対して配列方向の一側に偏っている。そのため、配列方向の両端に配置される2つのパワーデバイスの各々では、該パワーデバイスの配列方向の外側で、ヒートシンクの冷却領域が互いに異なることになる。このような構成であれば、配列方向の両端に配置される2つのパワーデバイスにおいて、パワーデバイスの駆動対象と冷却領域の大きさとの組み合わせを変えることが可能である。例えば、配列方向の両端に配置される2つのパワーデバイスのうち冷却領域が大きいパワーデバイスに容量が大きい交流モーターが割り当てられることで、該パワーデバイスを高い冷却能力で冷却することが可能になる。このように、互いに異なる発熱量のパワーデバイスをそれに応じた冷却能力の位置に割り当てること、ひいてはヒートシンクにおける余剰の冷却容量をより少なくすることが可能となる。
【0021】
この発明では、前記モータードライバー基板が、前記多相交流電圧を出力するための制御信号を前記N個のパワーデバイスの各々に入力する1つの信号入力コネクターを備え、前記信号入力コネクターと前記N個のパワーデバイスとが互いに向い合うことを要旨とする。
【0022】
この発明によれば、N個のパワーデバイスの全てが、その接続先である信号入力コネクターと互いに向かい合うことになる。このような構成であれば、パワーデバイスと信号入力コネクターとの距離に対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが可能である。そのため、パワーデバイスと信号入力コネクターとを接続する信号配線の長さに対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが容易になる。ひいては、信号配線の長さがパワーデバイス間で大きく異なることにより生じ得る信号伝達時間の差異を抑えることが可能である。
【0023】
この発明は、外部交流電圧を前記直流電圧に変換して出力する電源回路基板と、前記制御信号を前記モータードライバー基板に出力する制御回路基板とを備え、前記電源回路基板と前記制御回路基板とが、筐体内の底面に互いに並んで配置され、前記モータードライバー基板が、前記電源回路基板と前記制御回路基板とに対して立てられた状態で前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されていることを要旨とする。
【0024】
この発明によれば、モータードライバー基板に入力される直流電圧が電源回路基板で生成されるとともに、モータードライバー基板に入力される制御信号が制御回路基板で生成される。多相交流電圧を制御するための制御信号の生成される過程では、モーターの回転位置に基づく高速演算が必要とされるため、こうした制御信号を生成する制御回路基板では、その基板構造が自ずと多層構造になる。一方、交流電圧の出力電圧を直流電圧に変換する電源回路基板では、上述のような高速演算が必要とされないため、こうした電源回路基板に対しては、多層構造が必要とされない。
【0025】
この点、上述した構成であれば、互いに異なる機能を有した制御回路基板と電源回路基板とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。制御回路基板と電源回路基板とが一つの回路基板として構成される場合には、これらの互いに異なる要請を一つの回路基板が満たすために、該回路基板の多層化や複雑化が必要となるが、上述した構成によれば、筐体内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0026】
この発明では、前記モータードライバー基板が、前記多相交流電圧を前記交流モーターに出力するための交流電圧出力コネクターを前記パワーデバイスごとに備え、前記交流電圧出力コネクターと該交流電圧出力コネクターに対応する前記パワーデバイスとが互いに向い合うことを要旨とする。
【0027】
この発明によれば、N個のパワーデバイスの各々が、該パワーデバイスの接続先である交流電圧出力コネクターと互いに向かい合うことになる。それゆえに、交流電圧出力コネクターとパワーデバイスとが互いに向い合わない構成と比較して、交流電圧出力コネクターとパワーデバイスとの距離に対し、パワーデバイス間の差異を少なくすることが可能である。その結果、交流電圧出力コネクターとパワーデバイスとを接続するN本の出力配線の長さに対し、パワーデバイス間での差異が大きくなること、ひいては出力配線における発熱量がパワーデバイス間で大きく異なることを抑えることが可能でもある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態におけるロボットコントローラーの斜視構造を示す斜視図。
【図2】同じくロボットコントローラーの内部構造について電源の供給系を中心に示す斜視図。
【図3】同じくロボットコントローラーの内部構造について制御回路基板と電源回路基板とに対するモータードライバー基板の配置を示す斜視図。
【図4】同じくロボットコントローラーが有するモータードライバー基板の平面構造を示す平面図。
【図5】同じくロボットコントローラーが有するモータードライバー基板の側面構造を示す側面図。
【図6】従来例におけるロボットコントローラーに搭載されたパワーデバイスの発熱量と該パワーデバイスによって動かされる関節の位置との関係を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のロボットコントローラーを具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、本実施形態におけるロボットコントローラーの制御対象は、先の図6にて説明されたロボットであって、4つの交流モーターM1〜M4が搭載された水平多関節ロボットである。そのため、以下では、ロボットコントローラーの制御対象に関し、先に説明されたロボットRと同一の符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0030】
[ロボットコントローラーの外部構造]
まず、ロボットコントローラーの外部構造について図1を参照して説明する。図1に示されるように、水平方向に延びる直方体形状に形成された筐体1の正面パネル1Fには、該正面パネル1Fにおける右側端部に、外部電源コネクター2が配設されている。外部電源コネクター2は、ロボットコントローラーが設置される設備の外部電源プラグに接続されて、外部電源プラグから供給される200Vの外部交流電圧を筐体1の内部に供給する。正面パネル1Fにおいて外部電源コネクター2の上側には、サーキットプロテクター3の操作レバー3aが配設されている。サーキットプロテクター3の操作レバー3aは、筐体1の内部にて外部電源コネクター2に接続されて、外部電源プラグが供給する200Vの交流電圧に対し、ロボットコントローラーへの供給と遮断とを強制的に切り替える。
【0031】
一方、正面パネル1Fにおける左側端部には、上下方向に延びる矩形状の多相交流電圧コネクター4が嵌め込まれている。多相交流電圧コネクター4では、4つの交流モーターM1〜M4に接続される複数の接続端子の各々が、上下方向に配列されている。多相交流電圧コネクター4は、上述した4つの交流モーターM1〜M4の各々に接続されて、該4つの交流モーターM1〜M4の各々に多相交流電圧を出力する。
【0032】
正面パネル1Fにおける下側端部のうち、正面パネル1Fの左側半分を占める部分には、左右方向に延びる外部通信用の3つのポートが嵌め込まれている。3つのポートを構成する位置検出器用ポート11、非常停止用ポート12、TP用ポート13の各々は、正面パネル1Fの下辺に沿って、正面パネル1Fの左側端部からこの順に、且つ各ポートの接続端子が左右方向に並ぶかたちに配設されている。
【0033】
位置検出器用ポート11は、4つの交流モーターM1〜M4の各々の回転位置を検出するレゾルバやエンコーダーなどの4つの回転角センサーに接続されて、4つの回転角センサーの各々から該回転角センサーが検出した位置を示す位置検出信号が入力される。非常停止用ポート12は、ロボットコントローラーの外部に設けられた非常停止回路や安全扉回路など、ロボットコントローラーの設置された環境が非常時であるか否かを検出する装置に接続されて、該装置から非常停止信号が入力される。TP用ポート13は、ロボットコントローラーの周辺機器の一つであるティーチングペンダントに接続されて、ロボットRの教示に用いられるデータがティーチングペンダントから入力される。
【0034】
正面パネル1Fにおける下側端部のうち、TP用ポート13の右側には、シリアル通信用の2つのポートである第1USBポート14、及び第2USBポート15と、LANポート16が、右側端部に向けてこの順に嵌め込まれている。
【0035】
第1USBポート14は、ロボットコントローラーの周辺機器の一つである外部コンピューターにUSBを経由して接続されて、例えば外部コンピューターからの要求に応じ、ロボットコントローラーにおけるI/Oの状態など、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号を出力する。第2USBポート15は、例えばUSBメモリーに接続されて、ロボットコントローラーに格納されたログをUSBメモリーに出力する。LANポート16は、例えばロボットコントローラーが設置される設備のネットワークにイーサネット(登録商標)を経由して接続されて、例えばネットワークに接続された外部コンピューターからの要求に応じ、これもまたロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号を出力する。正面パネル1Fにおける下側端部のうち、第2USBポート15とLANポート16との間には、トリガースイッチ15aが配設されている。トリガースイッチ15aは、該トリガースイッチ15aが押されるたびに、上記第2USBポート15からのログの出力を許容する。
【0036】
正面パネル1Fの下側端部のうちで右側端部には、各種のデジタル信号の入力及び出力を取り扱うI/Oポート17が嵌め込まれている。I/Oポート17は、正面パネル1Fに配設されたコネクターのうち、左右方向の幅及び前後方向の幅が最も大きいコネクターである。I/Oポート17は、例えばロボットの動きを撮像するカメラやロボットの位置を検出するセンサーなど、ロボットを動かすために必要とされる周辺機器やロボットの動きに合わせて駆動される周辺機器に接続されている。そして、I/Oポート17は、ロボットそのものの状態やロボット周辺の状態を示す信号を周辺機器から入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号を周辺機器に対して出力する。
【0037】
正面パネル1FのうちTP用ポート13の上側には、シーケンサーポート18が嵌め込まれ、シーケンサーポート18の上側には、冷却用ファンFが交換可能に装着されている。シーケンサーポート18は、例えばRS−232Cを経由してシーケンサーに接続されて、ロボットを動かすための制御信号が該シーケンサーから入力される。冷却用ファンFは、筐体1の外部から筐体1の内部に向けて外気を吹き込むファンであって、該冷却用ファンFの外側ケースと正面パネル1Fとの間には、外気に含まれる埃や塵を捕獲するための外気フィルターFaが交換可能に挟まれている。
【0038】
正面パネル1FのうちLANポート16の上側には、上下方向に延びる矩形孔であるスロット孔が形成され、該スロット孔には、矩形板状をなす拡張パネル1Pが嵌め込まれている。また、拡張パネル1Pには、2つの拡張I/Oポート19が左右方向に並んで配設されている。2つの拡張I/Oポート19の各々は、例えばロボットの作業対象となるワークを撮像するカメラや該ワークの位置を検出するセンサーなど、ロボットを動かすために必要とされる周辺機器やロボットの動きに合わせて駆動される周辺機器に接続されている。そして、拡張I/Oポート19は、ロボットそのものの状態やロボット周辺の状態を示す信号を周辺機器から入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号を周辺機器に対して出力する。
【0039】
このように、ロボットコントローラーの正面パネル1Fには、筐体1の内部が開放されることなく行われる下記作業に対し、該作業に必要とされるインターフェースの全てが配設されている。
・ロボットコントローラーに対する電源の投入、及び該電源の遮断。
・ロボットコントローラーとその制御対象となるロボットRとの接続、及び切断。
・ロボットコントローラーとそれの周辺機器との接続、及び切断。
・冷却用ファンF及び外気フィルターFaの保守、及び点検。
【0040】
[ロボットコントローラーの内部構造]
次に、ロボットコントローラーの内部構造について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2では、ロボットコントローラーの内部構造を説明する便宜上、ロボットコントローラーの筐体1のうち、上述した正面パネル1F、背面パネル、天面パネルが省略され、さらに正面パネル1Fに配設された多相交流電圧コネクター4、及び冷却用ファンFが省略されている。また、各回路基板における機能とその配置とを説明する便宜上、回路基板間を接続するケーブル、回路基板と電子部品とを接続するケーブル、及び電子部品間を接続するケーブルが省略されている。
【0041】
図2に示されるように、筐体1の右側パネル1Rには、サーキットプロテクター3に接続されて、200Vの交流電圧を直流電圧に変換して出力する電源供給系が配置されている。また、筐体1の底面パネル1Bには、電源回路基板としての主電源回路基板20と制御回路基板30とが各別に配置され、そして筐体1の左側パネル1Lには、2枚のモータードライバー基板40が配置されている。
【0042】
筐体1の右側パネル1Rにおける上側中央には、ノイズフィルターNFが固定されている。ノイズフィルターNFは、入力ケーブルを介してサーキットプロテクター3に接続され、出力ケーブルを介して主電源回路基板20に接続されている。そして、200Vの交流電圧がサーキットプロテクター3からノイズフィルターNFに入力されると、ノイズフィルターNFは、該交流電圧からノイズを除去し、該ノイズの除去された交流電圧を主電源回路基板20に出力する。
【0043】
主電源回路基板20は、底面パネル1Bの背面側に固定された矩形板状のプリント回路基板であって、底面パネル1Bの背面側の殆どを占める大きさに形成されている。主電源回路基板20は、底面パネル1Bと平行な2層のプリント板が積層されてなるリジッド基板を有し、該リジッド基板の上面には、200Vの交流電圧を駆動電圧である280Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装されている。この主電源回路基板20は、入力ケーブルを介してノイズフィルターNFに接続され、出力ケーブルを介して、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に各別に接続されている。また、主電源回路基板20は、交流電圧出力コネクターを介してモータードライバー基板40に接続されている。そして、ノイズフィルターNFから主電源回路基板20に交流電圧が入力されると、主電源回路基板20は、該交流電圧を第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に分配する。さらに、主電源回路基板20は、ノイズフィルターNFから入力された交流電圧を280Vの直流電圧である駆動電圧に変換し、該駆動電圧をモータードライバー基板40に出力する。
【0044】
第1電源回路基板PS1は、右側パネル1Rの背面側上方に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を15Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第1電源回路基板PS1は、入力ケーブルを介して主電源回路基板20に接続され、出力ケーブルを介して主電源回路基板20に接続されている。そして、主電源回路基板20から第1電源回路基板PS1に交流電圧が分配されると、第1電源回路基板PS1は、該交流電圧を15Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を主電源回路基板20に出力する。
【0045】
第2電源回路基板PS2は、右側パネル1Rの背面側下方に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を5Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第2電源回路基板PS2は、入力ケーブルを介して主電源回路基板20に接続され、出力ケーブルを介して制御回路基板30に接続されている。そして、主電源回路基板20から第2電源回路基板PS2に交流電圧が分配されると、第2電源回路基板PS2は、該交流電圧を5Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を制御回路基板30に出力する。
【0046】
第3電源回路基板PS3は、底面パネル1Bのうち、主電源回路基板20の右側に固定された矩形板状の回路基板であって、200Vの交流電圧を24Vの直流電圧に変換するための各種の電子部品が実装された実装基板である。この第2電源回路基板PS2は、入力ケーブルを介して主電源回路基板20に接続され、出力ケーブルを介して制御回路基板30に接続されている。そして、主電源回路基板20から第3電源回路基板PS3に交流電圧が分配されると、第3電源回路基板PS3は、該交流電圧を24Vの直流電圧に変換し、該変換された直流電圧を制御回路基板30に出力する。
【0047】
制御回路基板30は、底面パネル1Bの正面側に固定された矩形板状のプリント回路基板であって、底面パネル1Bの正面側の全体を占める大きさに形成されている。制御回路基板30は、底面パネル1Bと平行な6層のプリント基板が積層されてなるリジッド基板を有し、該リジッド基板の上面には、モータードライバー基板40の出力電圧を制御するための制御信号を回転角センサーから入力される検出信号に基づいて生成するための各種の電子部品が実装されている。この制御回路基板30は、正面パネル1Fの下側端部に配列された各コネクターに接続され、外部装置や周辺機器からの検出信号や指令が各コネクターを介して入力される。
【0048】
詳述すると、制御回路基板30には、上記位置検出器用ポート11が接続されて、4つの回転角センサーの各々からの検出信号が、位置検出器用ポート11を介して制御回路基板30に入力される。また、制御回路基板30には、非常停止用ポート12が接続されて、外部装置や周辺機器からの非常停止指令が、非常停止用ポート12を介して制御回路基板30に入力される。さらに、制御回路基板30には、TP用ポート13が接続されて、ティーチングペンダントからの教示指令が、TP用ポート13を介して制御回路基板30に入力される。
【0049】
また、制御回路基板30には、第1USBポート14が接続されて、外部コンピューターからの指令やデータが、第1USBポート14を介して制御回路基板30に入力される。また、制御回路基板30には、第2USBポート15が接続されて、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号が、トリガースイッチ15aからの入力信号に応じて制御回路基板30から出力される。さらに、制御回路基板30には、LANポート16が接続され、ロボットコントローラーにおける処理の状態を示す信号が、LANポート16と該LANポート16に接続されたネットワークとを介して制御回路基板30から出力される。また、制御回路基板30には、I/Oポート17が接続されて、周辺機器からの指令や検出信号が、I/Oポート17を介して制御回路基板30に入力される。また、周辺機器への指令や演算結果が、I/Oポート17を介して制御回路基板30から出力される。
【0050】
制御回路基板30の上面における背面側には、上述した冷却用ファンFと前後方向で向い合うように、CPUの搭載されたCPUボード31が積み重ねられている。CPUボード31は、ロボットRに教示位置を教示するための教示プログラムを解釈して実行し、また、ロボットRを所定の作業位置へ動かすためのプログラムを解釈して実行する。この際、CPUボード31は、まずティーチングペンダントから入力される教示位置や予め設定された作業位置と、各回転角センサーから入力される検出結果とを用い、ロボットRが教示位置や作業位置へ移動するための軌道を生成し、ロボットRの移動先を示す位置指令を生成する。続いて、制御回路基板30は、位置指令が示す位置へロボットRを動かすための交流モーターの駆動量を算出するとともに、算出された駆動量に応じた各相の電圧指令を生成する。次いで、CPUボード31は、生成された電圧指令に応じたパルス信号をPWMなどの変調方式で制御信号として出力する。そして、CPUボード31は、回転角センサーから検出結果が入力される度に、こうした軌道の生成と、軌道に応じた駆動量の算出と、駆動量に応じた制御信号の出力とを行う。
【0051】
制御回路基板30の上面における正面側には、通信用インターフェース基板32が積み重ねられている。通信用インターフェース基板32には、シーケンサーポート18が接続されて、ロボットを動かすための制御信号が該シーケンサーから入力される。
【0052】
制御回路基板30の上面のうち、CPUボード31の右側には、前後方向に延びる3つの拡張用コネクター33が配設されている。3つの拡張用コネクター33の各々には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。そして、上記拡張I/Oポート19を搭載した拡張回路基板のピンが拡張用コネクターに嵌め込まれると、ロボット周辺の状態を示す信号が、拡張回路基板を介して制御回路基板30に入力されるとともに、ロボットの動きを示す信号が、拡張回路基板を介して制御回路基板30から出力される。また、制御回路基板30の上面のうち、背面側の右側端部には、カード型記憶媒体34の装着されるメモリーコネクター35が配設されている。カード型記憶媒体34には、ロボットRが有するアームの長さ、ロボットRが有する駆動軸と交流モーターとを連結する減速機の減速比など、ロボットコントローラーがロボットRを動かすために必要とされる各種のデータが記憶されている。そして、CPUボード31は、カード型記憶媒体34に格納された各種のデータを読み出し、該データを参照して上述した軌道の生成を実行する。
【0053】
[回路基板間の接続構造]
次に、モータードライバー基板40の構造と、該モータードライバー基板40と主電源回路基板20及び制御回路基板30との接続構造とについて図3を参照して説明する。
【0054】
図3に示されるように、主電源回路基板20の上面のうち、正面側の左端部には、前後方向に延びる駆動電圧出力コネクター21が配設されている。駆動電圧出力コネクター21の上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されて、該駆動電圧出力コネクター21からは、主電源回路基板20で生成された駆動電圧と第1電源回路基板PS1で生成された15Vの直流電圧とが出力される。
【0055】
また、制御回路基板30の上面のうち、背面側の左端部であって上記駆動電圧出力コネクター21の正面側には、これもまた前後方向に延びる制御信号出力コネクター36が配設されている。制御信号出力コネクター36の上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されて、該制御信号出力コネクター36からは、制御回路基板30で生成された制御信号が出力される。
【0056】
2枚のモータードライバー基板40の各々は、主電源回路基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で、これら主電源回路基板20と制御回路基板30とに架設されている。2枚のモータードライバー基板40は、冷却用ファンFの吹き込み方向である前後方向に延びる矩形板状に形成されて、左右方向において互いに向かい合い、且つ互いに平行に配置されている。なお、これら2枚のモータードライバー基板40は、筐体1に対する配置が左右方向で互いに異なり、且つ駆動対象となる交流モーターが互いに異なる一方、それに搭載される電子部品の構成については互いに同じである。そのため、以下では、2枚のモータードライバー基板40のうち、右側に配置されたモータードライバー基板40について説明し、左側に配置されたモータードライバー基板40については、右側に配置されたモータードライバー基板40と互いに異なる点のみを説明する。
【0057】
[モータードライバー基板40]
モータードライバー基板40は、筐体1の左側パネル1Lから右側に延びる3つの支持プレート1Sによって3辺が支持される矩形板状のプリント回路基板であって、左側パネル1Lの凡そ半分を占める大きさに形成されている。モータードライバー基板40は、左側パネル1Lと平行な4層のプリント板が積層されてなるリジッド基板を有し、主電源回路基板20から出力される駆動電圧を多相交流電圧に変換するための各種の電子部品が実装されている。
【0058】
モータードライバー基板40の底辺には、前後方向に延びる駆動電源入力コネクター41と、同じく前後方向に延びる制御信号入力コネクター42とが、前後方向に並んで配設されている。駆動電源入力コネクター41は、駆動電圧出力コネクター21のピン嵌合孔に嵌め込まれるピンを有し、該駆動電源入力コネクター41に嵌め込まれることによって、主電源回路基板20の出力電圧である駆動電圧と15Vの直流電圧とをモータードライバー基板40に入力する。制御信号入力コネクター42は、制御信号出力コネクター36のピン嵌合孔に嵌め込まれるピンを有し、該制御信号入力コネクター42に嵌め込まれることによって、制御回路基板30からの制御信号をモータードライバー基板40に入力する。なお、駆動電源入力コネクター41には、主電源回路基板20から2系統の駆動電圧が入力され、また主電源回路基板20から2系統の15Vの直流電圧が入力される。また、制御信号入力コネクター42には、互いに異なる2つの交流モーターを駆動するための2系統の制御信号が入力される。
【0059】
モータードライバー基板40の右側面のうち、上下方向の略中央には、駆動電源入力コネクター41から入力される駆動電圧を多相交流電圧に変換する2つのパワーデバイス43B,43Fが、前後方向に並んで配設されている。また、第1パワーデバイス43Bの外表面である右側面、及び第2パワーデバイス43Fの外表面である右側面には、これらの全体が覆われるように、第1パワーデバイス43Bと第2パワーデバイス43Fとを冷却するための1つのヒートシンク44が固着されている。
【0060】
モータードライバー基板40の上辺には、前後方向に延びる2つの交流電圧出力コネクター45B,45Fが、前後方向に並んで配設されている。第1交流電圧出力コネクター45Bの上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。第1交流電圧出力コネクター45Bは、モータードライバー基板40の内部において第1パワーデバイス43Bの出力端子に接続され、該第1交流電圧出力コネクター45Bからは、上記第1パワーデバイス43Bで生成された多相交流電圧が出力される。一方、第2交流電圧出力コネクター45Fの上面には、ピンの嵌め込まれる複数のピン嵌合孔が、上方に開口するように前後方向に配列されている。第2交流電圧出力コネクター45Fは、モータードライバー基板40の内部において第2パワーデバイス43Fの出力端子に接続され、該第2交流電圧出力コネクター45Fからは、上記第2パワーデバイス43Fで生成された多相交流電圧が出力される。
【0061】
そして、各交流電圧出力コネクター45B,45Fが、出力ケーブルを介して上記多相交流電圧コネクター4に接続され、各パワーデバイス43B,43Fで生成される多相交流電圧が、該多相交流電圧コネクター4を介して各交流モーターM1〜M4に出力される。
【0062】
[モータードライバー基板40の内部配線構造]
図4は、モータードライバー基板40を左側から見た側面構造を示す側面図であって、2つのパワーデバイス43B,43Fと各コネクター41,42,45B,45Fとを接続する配線の構造を示す図である。なお、図4では、2つのパワーデバイス43B,43Fと各コネクター41,42,45B,45Fとを接続する配線について、特にその長さを説明する便宜上、配線の本数や配線の形状を簡略化して示す。ちなみに、図4における横方向は、図3における前後方向であり、図4における右側、及び左側は、それぞれ図3における背面側、及び正面側である。
【0063】
図4に示されるように、2つのパワーデバイス43B,43Fは、前後方向に並んで配列されている。駆動電源入力コネクター41は、モータードライバー基板40の下辺における背面側の端部に配置され、2つのパワーデバイス43B,43Fの列に対して背面側に偏っている。
【0064】
第1パワーデバイス43Bには、駆動電源入力コネクター41に入力される2系統の駆動電圧の一方が、第1電源配線47Bを介して入力される。第1電源配線47Bは、モータードライバー基板40に内蔵されるプリント配線であって、駆動電源入力コネクター41から天面側に延びる配線部分と、第1パワーデバイス43Bから背面側に延びる配線部分とから構成されている。
【0065】
また、第1パワーデバイス43Bには、駆動電源入力コネクター41に入力される2系統の15Vの直流電圧の一方が、第1電源配線47Bに沿う図示されない配線を介して入力される。そして、第1パワーデバイス43Bは、主電源回路基板20が出力する15Vの直流電圧によって駆動される。この第1パワーデバイス43Bには、第1電源配線47Bから入力される駆動電圧を昇降圧する昇降圧コンバーターがパッケージングされており、主電源回路基板20から入力される280Vの駆動電圧が、交流モーターの駆動に適した電圧に昇圧される。
【0066】
一方、第2パワーデバイス43Fには、駆動電源入力コネクター41に入力される2系統の駆動電圧の他方が、第2電源配線47Fを介して入力される。第2電源配線47Fは、モータードライバー基板40に内蔵されるプリント配線であって、駆動電源入力コネクター41から天面側に延びる配線部分と、第2パワーデバイス43Fから第1パワーデバイス43Bの背面側にまで延びる配線部分とから構成されている。なお、第2パワーデバイス43Fが第1パワーデバイス43Bよりも駆動電源入力コネクター41から離れる分、第2電源配線47Fの長さは、上記第1電源配線47Bよりも長くなっている。
【0067】
また、第2パワーデバイス43Fには、駆動電源入力コネクター41に入力される2系統の15Vの直流電圧の一方が、第2電源配線47Fに沿う図示されない配線を介して入力される。そして、第2パワーデバイス43Fは、主電源回路基板20が出力する15Vの直流電圧によって駆動される。この第2パワーデバイス43Fには、これもまた第2電源配線47Fから入力される駆動電圧を昇降圧する昇降圧コンバーターがパッケージングされており、主電源回路基板20から入力される280Vの駆動電圧が、交流モーターの駆動に適した電圧に昇圧される。
【0068】
ここで、上記2つの電源配線47B,47Fの発熱量は、2つのパワーデバイス43B,43Fが出力する多相交流電圧の大きさによって互いに異なる。例えば、他の交流モーターよりも容量が大きい上記第1モーターM1が、第1パワーデバイス43Bによって駆動され、他の交流モーターよりも容量が小さい上記第4モーターM4が、第2パワーデバイス43Fによって駆動されるものとする。このとき、第1電源配線47Bでは、これに流れる電流量が第2電源配線47Fよりも大きくなる分、ここにおける発熱量が第2電源配線47Fよりも大きくなりやすい。反対に、第2電源配線47Fでは、これに流れる電流量が第1電源配線47Bよりも小さくなる分、ここにおける発熱量が第1電源配線47Bよりも小さくなりやすい。
【0069】
他方、2つの電源配線47B,47Fにおける発熱量は、上記交流モーターM1,M4の容量の他、電源配線47B,47Fの長さによっても互いに異なる。例えば、第1電源配線47Bよりも長い第2電源配線47Fでは、これの配線抵抗が第1電源配線47Bよりも大きくなる分、ここにおける発熱量が第1電源配線47Bよりも大きくなりやすい。反対に、第2電源配線47Fよりも短い第1電源配線47Bでは、これの配線抵抗が小さくなる分、ここにおける発熱量が第2電源配線47Fよりも小さくなりやすい。
【0070】
この点、上述した構成によれば、第1電源配線47Bに流れる電流量が第2電源配線47Fよりも大きいため、第1電源配線47Bの発熱量が第2電源配線47Fよりも大きくなる傾向ではあるが、こうした発熱量の増大は、第1電源配線47Bが第2電源配線47Fよりも短いことによって抑えられる。これに対して、第2電源配線47Fが第1電源配線47Bよりも長いため、第1電源配線47Bの発熱量が他の電源配線よりも大きくなる傾向ではあるが、こうした発熱量の増大は、第2電源配線47Fに流れる電流量が小さいことによって抑えられる。それゆえに、モータードライバー基板40が有する電源配線47B,47Fに対して、それらにおける発熱量の均一化を図ること、ひいてはモータードライバー基板40の熱的な歪みを抑えることが可能となる。
【0071】
なお、上述した構成では、2つのパワーデバイス43B,43Fが前後方向に配列され、前後方向における駆動電源入力コネクター41の位置が、2つのパワーデバイス43B,43Fの中央よりも背面側に偏っている。そのため、駆動電源入力コネクター41と第1パワーデバイス43Bとの距離が、駆動電源入力コネクター41と第2パワーデバイス43Fとの距離よりも自ずと小さくなる。そして、このような構成によれば、第1電源配線47Bを第2電源配線47Fよりも短くすることが容易なものとなる。
【0072】
制御信号入力コネクター42は、モータードライバー基板40の下辺における正面側に配置され、第1パワーデバイス43B、及び第2パワーデバイス43Fと互いに向い合うように配置されている。
【0073】
第1パワーデバイス43Bには、制御信号入力コネクター42に入力される2つの制御信号のうち、第1モーターM1に対応する制御信号が、第1信号配線46Bを介して入力される。第1パワーデバイス43Bには、この制御信号によってオン/オフ制御される複数のスイッチング素子からなるインバーター回路がパッケージングされている。そして、第1パワーデバイス43Bでは、制御回路基板30から入力される制御信号によってスイッチング素子がオン/オフ制御され、これにより、昇降圧コンバーターにて昇圧された電圧が、多相交流電圧として例えば3相交流電圧に変換される。
【0074】
第2パワーデバイス43Fには、制御信号入力コネクター42に入力される2つの制御信号のうち、第4モーターM4に対応する制御信号が、第2信号配線46Fを介して入力される。第2パワーデバイス43Fには、この制御信号によってオン/オフ制御される複数のスイッチング素子からなるインバーター回路がパッケージングされている。そして、第2パワーデバイス43Fでは、制御回路基板30から入力される制御信号によってスイッチング素子がオン/オフ制御され、これにより、昇降圧コンバーターにて昇圧された電圧が、多相交流電圧として例えば3相交流電圧に変換される。
【0075】
上述したように、制御信号入力コネクター42が、その接続対象である2つのパワーデバイス43B,43Fと互いに向い合うため、2つのパワーデバイス43B,43Fの各々と制御信号入力コネクター42との距離に対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが可能である。そのため、各信号配線46B,46Fの長さに対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが容易になる。ひいては、各信号配線46B,46Fの長さがパワーデバイス間で大きく異なることにより生じ得る信号伝達時間の差異を抑えることが可能である。
【0076】
第1交流電圧出力コネクター45Bは、モータードライバー基板40の上辺における背面側に配設され、その接続先である第1パワーデバイス43Bと互いに向い合うように配置されている。また、第2交流電圧出力コネクター45Fは、モータードライバー基板40の上辺における正面側に配設され、その接続先である第2パワーデバイス43Fと互いに向い合うように配置されている。
【0077】
第1交流電圧出力コネクター45Bには、第1パワーデバイス43Bの出力電圧である多相交流電圧が、第1出力配線48Bを介して入力される。第2交流電圧出力コネクター45Fには、第2パワーデバイス43Fの出力電圧である多相交流電圧が、第2出力配線48Fを介して入力される。そして、交流電圧出力コネクター45B,45Fが、その接続対象であるパワーデバイス43B,43Fと互いに向い合うため、各交流電圧出力コネクター45B,45Fとその接続対象との距離に対し、パワーデバイス43B,43F間の差異を少なくすることが可能である。その結果、各出力配線48B,48Fの長さに対し、パワーデバイス43B,43F間での差異が大きくなること、ひいては各出力配線48B,48Fにおける発熱量がパワーデバイス43B,43F間で大きく異なることを抑えることが可能でもある。
【0078】
モータードライバー基板40には、前後方向に延びる直方体形状の1つのヒートシンク44が、モータードライバー基板40の前後方向の略全幅にわたり配設されている。ヒートシンク44は、モータードライバー基板40の主面と向い合う冷却面を有し、該冷却面に2つのパワーデバイス43B,43Fが取り付けられている。このヒートシンク44は、前後方向に配列された2つのパワーデバイス43B,43Fの全体が該ヒートシンク44で覆われるように配置されている。また、前後方向におけるヒートシンク44の位置は、パワーデバイス43B,43Fの中央よりも背面側に偏っている。
【0079】
このような構成によれば、発熱量が互いに異なる2つのパワーデバイス43B,43Fが1つのヒートシンク44によって冷却される。これにより、1つのヒートシンク44の冷却容量が、発熱量の大きい第1パワーデバイス43Bと発熱量の小さい第2パワーデバイス43Fとに分配される。その結果、第1パワーデバイス43Bに取り付けられるヒートシンク44の冷却容量が、該第1パワーデバイス43Bの発熱量に応じた冷却容量を超えることになるとはいえ、第1パワーデバイス43Bの冷却用として機能しない余剰の冷却容量は、第2パワーデバイス43Fの冷却用として機能することとなる。
【0080】
それゆえに、2つのパワーデバイス43B,43Fを冷却するうえで、ヒートシンク44における余剰の冷却容量を少なくしてヒートシンク44のサイズを小型化すること、ひいてはロボットコントローラーの小型化を図ることが可能となる。そのうえ、発熱量が互いに異なる2つのパワーデバイス43B,43Fを一つの種類のヒートシンク44で冷却することが可能であるから、ロボットコントローラー内、及びロボットコントローラー間において、ヒートシンク44の種別が増えることを抑えることが可能となる。
【0081】
また、パワーデバイス43B,43Fの列に対して背面側にヒートシンク44が偏っている。そのため、2つのパワーデバイス43B,43Fの各々では、第1パワーデバイス43Bの背面側におけるヒートシンク44の冷却領域と、第2パワーデバイス43Fの正面側におけるヒートシンク44の冷却領域とが、互いに異なることになる。そして、出力電圧が大きい第1パワーデバイス43Bに対して、より大きい冷却領域が割り当てられている。これにより、互いに異なる発熱量のパワーデバイス43B,43Fをそれに応じた冷却能力の位置に割り当てること、ひいてはヒートシンク44における余剰の冷却容量をより少なくすることが可能となる。
【0082】
なお、図5に示されるように、ヒートシンク44の冷却面44sには、冷却突部44aが、2つのパワーデバイス43B,43Fの各々の被冷却面43sに向けて突設されている。冷却突部44aには、被冷却面43sよりも小さい面積からなる突面が形成され、該突面を介し、冷却突部44aと被冷却面43sとが接合されている。そして、2つのパワーデバイス43B,43Fの全体がヒートシンク44の冷却面44sで覆われるとはいえ、2つのパワーデバイス43B,43Fの各々の外周には、冷却突部44aの突出量Hの大きさに相当する空間が形成されることになる。これにより、2つのパワーデバイス43B,43Fから放出される熱が2つのパワーデバイス43B,43Fの外周に籠もることを抑えることが可能である。
【0083】
次に、上述した構成からなるロボットコントローラーの作用について以下に説明する。
外部電源プラグから200Vの交流電圧が、サーキットプロテクター3を介して、ノイズフィルターNFに入力されると、ノイズフィルターNFによってノイズの除去された交流電圧が、ノイズフィルターNFから主電源回路基板20に出力される。次いで、主電源回路基板20に入力された交流電圧は、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3に分配され、第1電源回路基板PS1、第2電源回路基板PS2、及び第3電源回路基板PS3では、互いに異なる直流電圧に変換される。また、主電源回路基板20では、ノイズフィルターNFからの交流電圧が、駆動電圧である280Vの直流電圧に変換される。そして、第1電源回路基板PS1で生成される15Vの直流電圧と、主電源回路基板20で生成される駆動電圧とが、駆動電圧出力コネクター21及び駆動電源入力コネクター41を介し、主電源回路基板20から2つのモータードライバー基板40の各々に入力される。
【0084】
一方、ロボットRを作業位置に動かすべく、周辺機器からの検出信号がI/Oポート17を介して制御回路基板30に入力されると、制御回路基板30では、位置検出器用ポート11を介して各回転角センサーの検出信号が取得される。次いで、制御回路基板30では、作業位置を示す位置指令と各回転角センサーの検出結果とに基づいて、ロボットRが作業位置へ移動するための軌道が生成され、該軌道に沿ってロボットRを動かすための交流モーターの駆動量が算出される。そして、制御回路基板30では、算出された駆動量に応じた各相の電圧指令が生成され、該電圧指令に応じた制御信号が、制御信号出力コネクター36及び制御信号入力コネクター42を介し、制御回路基板30から2つのモータードライバー基板40の各々に入力される。
【0085】
続いて、モータードライバー基板40では、主電源回路基板20から入力される駆動電圧が、交流モーターの駆動に適した電圧に昇圧され、制御回路基板30から入力される制御信号のオン/オフ制御により、該昇圧された電圧が多相交流電圧に変換される。そして、ロボットコントローラーでは、モータードライバー基板40に入力される制御信号の周波数を制御回路基板30が制御することによって、交流モーターの駆動量に応じた電流が該交流モーターの各相に供給される。
【0086】
この際、交流モーターM1を駆動するための第1パワーデバイス43Bでは、その出力電圧が第2パワーデバイス43Fよりも大きいため、第1電源配線47Bに流れる電流量が第2電源配線47Fよりも大きくなる。ただし、第1電源配線47Bの発熱量と第2電源配線47Fの発熱量との差異は、上述したように、第1電源配線47Bが第2電源配線47Fよりも短いことによって抑えられる。また、第1信号配線46Bの長さと第2信号配線46Fの長さとが互いに近いため、第1信号配線46Bにおける信号伝達時間と第2信号配線46Fにおける信号伝達時間の差異を2つのパワーデバイス43B,43F間で抑えることが可能でもある。また、第1出力配線48Bの長さと第2出力配線48Fの長さとが互いに近いため、これら出力配線48B,48Fでの発熱量がパワーデバイス43B,43F間で大きく異なることを抑えることが可能でもある。
【0087】
そして、発熱量が互いに異なる2つのパワーデバイス43B,43Fが1つのヒートシンク44によって冷却されため、第1パワーデバイス43Bの冷却用として機能しない余剰の冷却容量が、第2パワーデバイス43Fの冷却用として機能する。しかも、出力電圧が大きい第1パワーデバイス43Bに対し、より大きい冷却領域が割り当てられているため、2つのパワーデバイス43B,43Fを冷却するうえで、ヒートシンク44における余剰の冷却容量を少なくすることが可能となる。
【0088】
なお、多相交流電圧を制御するための制御信号の生成される過程では、交流モーターの回転位置に基づく高速演算が必要とされるため、こうした制御信号を生成する制御回路基板30では、その基板構造として自ずと多層構造が必要とされる。一方、交流電圧の出力電圧を駆動電圧に変換する主電源回路基板20では、上述のような高速演算が必要とされないため、こうした主電源回路基板20に対しては、多層構造が必要とされない。この点、上述した構成であれば、互いに異なる機能を有した主電源回路基板20と制御回路基板30とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。なお、主電源回路基板20と制御回路基板30とが一つの回路基板として構成される場合には、これらの互いに異なる要請を一つの回路基板が満たすために、該回路基板の多層化や複雑化が必要となるが、上述した構成によれば、筐体1内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0089】
そのうえ、主電源回路基板20と制御回路基板30とが筐体1の底面パネル1Bに並んで配置され、且つこれらの出力を用いるモータードライバー基板40が、主電源回路基板20と制御回路基板30とに対して立てられた状態で、主電源回路基板20と制御回路基板30とに架設される。それゆえに、モータードライバー基板40の接続先となる2つの回路基板に対し、これらが互いに離れることを抑えることが可能となる結果、モータードライバー基板40における配線の引き回しを簡素化すること、ひいては、モータードライバー基板40の内部構造を簡素化することが可能となる。
【0090】
ちなみに、主電源回路基板20及び制御回路基板30とモータードライバー基板40とが互いに平行となるように、主電源回路基板20及び制御回路基板30に対してモータードライバー基板40が架設されると、主電源回路基板20と制御回路基板30とがモータードライバー基板40によって覆われることとなる。これに対して、上述した構成であれば、モータードライバー基板40によって覆われる主電源回路基板20の領域や制御回路基板30の領域を最小限に抑えることが可能であるため、各々の回路基板に対するメンテナンス性を確保することが可能にもなる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態のロボットコントローラーによれば、以下に列記する効果を得ることができる。
(1)発熱量が互いに異なる2つのパワーデバイス43B,43Fが1つのヒートシンク44によって冷却される。これにより、ヒートシンク44における余剰の冷却容量を少なくしてヒートシンク44のサイズを小型化すること、ひいてはロボットコントローラーの小型化を図ることが可能となる。そのうえ、発熱量が互いに異なる2つのパワーデバイス43B,43Fを一つの種類のヒートシンク44で冷却することが可能であるから、ロボットコントローラー内、及びロボットコントローラー間において、ヒートシンクの種別が増えることを抑えることが可能となる。
【0092】
(2)第1電源配線47Bに流れる電流量が第2電源配線47Fよりも大きくなるが、第1電源配線47Bの発熱量と第2電源配線47Fの発熱量との差異は、第1電源配線47Bが第2電源配線47Fよりも短いことによって抑えられる。
【0093】
(3)駆動電源入力コネクター41が、パワーデバイス43B,43Fの列に対して背面側に偏っているため、第1電源配線47Bを第2電源配線47Fよりも短くすることが容易なものとなる。
【0094】
(4)ヒートシンク44が、2つのパワーデバイス43B,43Fの列に対して背面側に偏っているため、2つのパワーデバイス43B,43Fの各々では、該パワーデバイス43F,43Bの配列方向の外側にて、ヒートシンク44の冷却領域が互いに異なることになる。そして、出力電圧の大きい第1パワーデバイス43Bに対し、相対的に大きい冷却領域が割り当てられることから、ヒートシンク44における余剰の冷却容量を、より少なくすることが可能となる。
【0095】
(5)2つのパワーデバイス43B,43Fの各々が、その接続先である制御信号入力コネクター42と互いに向かい合うため、2つのパワーデバイス43B,43Fと制御信号入力コネクター42との距離に対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが可能である。そのため、信号配線46B,46Fの長さに対し、パワーデバイス間での差異を少なくすることが容易になる。ひいては、信号配線46B,46Fの長さがパワーデバイス間で大きく異なることにより生じ得る信号伝達時間の差異を抑えることが可能である。
【0096】
(6)互いに異なる機能を有した制御回路基板30と主電源回路基板20とが各別に構成されるため、各々の要請に応じた積層構造を各回路基板で採用することが可能になる。制御回路基板30と主電源回路基板20とが一つの回路基板として構成される場合には、これらの互いに異なる要請を一つの回路基板が満たすために、該回路基板の多層化や複雑化が必要となるが、上述した構成によれば、筐体1内に配置される回路基板の積層構造を簡素化することが可能となる。
【0097】
(7)2つのパワーデバイス43B,43Fの各々が、該パワーデバイス43B,43Fの接続先である交流電圧出力コネクター45B,45Fと互いに向かい合う。それゆえに、交流電圧出力コネクター45B,45Fとパワーデバイス43B,43Fとが互いに向い合わない構成と比較して、交流電圧出力コネクター45B,45Fとパワーデバイス43B,43Fとの距離に対し、パワーデバイス間の差異を少なくすることが可能である。その結果、2本の出力配線48B,48Fの長さに対し、パワーデバイス間での差異が大きくなること、ひいては出力配線48B,48Fにおける発熱量がパワーデバイス間で大きく異なることを抑えることが可能でもある。
【0098】
なお、上記実施の形態は、以下のような態様によって実施することも可能である。
・第1パワーデバイス43Bとその接続先である第1交流電圧出力コネクター45Bとが上下方向で互いに向い合わない構成であってもよい。また、第2パワーデバイス43Fとその接続先である第2交流電圧出力コネクター45Fとが上下方向で互いに向い合わない構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることは可能である。要は、各パワーデバイス43B,43Fで生成された多相交流電圧が各交流電圧出力コネクター45B,45Fを介して出力される構成であればよい。
【0099】
・主電源回路基板20と制御回路基板30とが、1枚の基板で構成されてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることは可能である。
・筐体1の底面パネル1Bにおける正面側に、主電源回路基板20が配置され、且つ筐体1の底面パネル1Bにおける背面側に、制御回路基板30が配置される構成であってもよい。
【0100】
・第1パワーデバイス43Bとその接続先である制御信号入力コネクター42とが上下方向で互いに向い合わない構成であってもよい。また、第2パワーデバイス43Fとその接続先である制御信号入力コネクター42とが上下方向で互いに向い合わない構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(4)に準じた効果を得ることは可能である。要は、制御回路基板30で生成される制御信号が、制御信号入力コネクター42を介して、各パワーデバイス43B,43Fに入力される構成であればよい。
【0101】
・配列方向におけるヒートシンク44の中心と、同じく配列方向における2つのパワーデバイス43B,43Fの中心とが同じであってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(3)に準じた効果を得ることは可能である。要は、1つのヒートシンク44に2つのパワーデバイス43B,43Fが取り付けられる構成であればよい。
【0102】
・2つのパワーデバイス43B,43Fの各々が、その接続先である駆動電源入力コネクター41と互いに向かい合う構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)及び(2)に準じた効果を得ることが可能である。また、このような構成は、2本の電源配線47B,47Fの双方の長さを短くする点において優れている。また、2本の電源配線47B,47Fの長さは、互いに同じであってもよい。このような構成であっても、上記(1)に準じた効果を得ることが可能である。
【0103】
・1つのヒートシンク44に取り付けられるパワーデバイスの数量は、3以上であってもよい。このような構成であってもよく、要は、N個(Nは2以上の整数)のパワーデバイスに1つのヒートシンクが取り付けられる構成であればよい。
【0104】
・モータードライバー基板40の数量は、1枚、あるいは3枚以上であってもよい。また、モータードライバー基板40の位置は、右側パネル1Rの内側面であってもよく、あるいは、左側パネル1Lと右側パネル1Rとの中間であってもよい。例えば、制御対象であるロボットが6つの交流モーターを有する場合には、3枚のモータードライバー基板40が、左側パネル1L側に配置される構成であってもよく、あるいは右側パネル1Rに配置される構成であってもよい。あるいは、2枚のモータードライバー基板40が、左側パネル1L側に配置され、残りの1枚のモータードライバー基板40が右側パネル1R側に配置される構成であってもよく、さらには3枚のモータードライバー基板40が左側パネル1Lと右側パネル1Rとの中間に配置されてもよい。
【0105】
・主電源回路基板20とモータードライバー基板40とが、接続ケーブルを介して接続される構成であってもよく、また制御回路基板30とモータードライバー基板40とが、接続ケーブルを介して接続される構成であってもよい。
【0106】
・ロボットコントローラーは、上述した回路基板や電子部品とは異なる他の部材を筐体1の内部に収容することも可能である。例えば、ロボットRが減速するときにロボットコントローラーに戻ってくる電圧である回生エネルギーを熱に変換して消費するための回生抵抗が筐体の内部に収容される構成であってもよい。また、例えば、上述した回生エネルギーが上昇したときに、所定の電圧値で回生エネルギーを回生抵抗に供給するコンパレーター機能を有したコンパレーター基板が筐体の内部に収容される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
F…冷却用ファン、M1〜M4…交流モーター、R…ロボット、Fa…外気フィルター、NF…ノイズフィルター、PS1…第1電源回路基板、PS2…第2電源回路基板、PS3…第3電源回路基板、1…筐体、1B…底面パネル、1F…正面パネル、1L…左側パネル、1P…拡張パネル、1R…右側パネル、1S…支持プレート、2…外部電源コネクター、3…サーキットプロテクター、3a…操作レバー、4…多相交流電圧コネクター、11…位置検出器用ポート、12…停止用ポート、13…TP用ポート、14…第1USBポート、15…第2USBポート、15a…トリガースイッチ、16…LANポート、17…I/Oポート、18…シーケンサーポート、19…拡張I/Oポート、20…駆動電圧生成基板、21…第1交流電圧出力コネクター、30…制御回路基板、31…CPUボード、32…通信用インターフェース基板、33…拡張用コネクター、34…カード型記憶媒体、35…メモリーコネクター、36…第2交流電圧出力コネクター、40…モータードライバー基板、41…第1信号入力コネクター、42…第2信号入力コネクター、43…パワーデバイス、43B…第1パワーデバイス、43F…第2パワーデバイス、44…ヒートシンク、45B…第1交流電圧出力コネクター、45F…第2交流電圧出力コネクター、51…筐体、52…第1アーム、53…第2アーム、54…昇降シャフト、55…エンドエフェクター、61…ヒートシンク、62…モータードライバー基板、D1〜D4…パワーデバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を多相交流電圧に変換する複数のパワーデバイスを備え、
前記複数のパワーデバイスの各々が該パワーデバイスに対応する交流モーターに多相交流電圧を出力して該交流モーターを駆動するロボットコントローラーであって、
N個(Nは2以上の整数)の前記パワーデバイスに1つのヒートシンクが取り付けられている
ことを特徴とするロボットコントローラー。
【請求項2】
前記N個のパワーデバイスが実装されたモータードライバー基板を備え、
前記モータードライバー基板が、
前記直流電圧の入力される1つの電源入力コネクターと、
前記N個のパワーデバイスの各々と前記電源入力コネクターとを接続する前記パワーデバイスごとのN本の電源配線とを備え、
前記N本の電源配線の各々の長さが、互いに異なる
請求項1に記載のロボットコントローラー。
【請求項3】
前記N個のパワーデバイスが、一つの方向である配列方向に配列され、
前記配列方向における前記電源入力コネクターの位置が、前記パワーデバイスの列の中央よりも前記配列方向の一側に偏っている
請求項2に記載のロボットコントローラー。
【請求項4】
前記N個のパワーデバイスが、一つの方向である配列方向に配列され、
前記ヒートシンクは、前記パワーデバイスの列の全体を覆い、
前記配列方向における前記ヒートシンクの位置が、前記パワーデバイスの列の中央よりも前記配列方向の一側に偏っている
請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボットコントローラー。
【請求項5】
前記モータードライバー基板が、
前記多相交流電圧を出力するための制御信号を前記N個のパワーデバイスの各々に入力する1つの信号入力コネクターを備え、
前記信号入力コネクターと前記N個のパワーデバイスとが互いに向い合う
請求項4に記載のロボットコントローラー。
【請求項6】
外部交流電圧を前記直流電圧に変換して出力する電源回路基板と、
前記制御信号を前記モータードライバー基板に出力する制御回路基板とを備え、
前記電源回路基板と前記制御回路基板とが、筐体内の底面に互いに並んで配置され、
前記モータードライバー基板が、前記電源回路基板と前記制御回路基板とに対して立てられた状態で前記電源回路基板と前記制御回路基板とに架設されている
請求項5に記載のロボットコントローラー。
【請求項7】
前記モータードライバー基板が、
前記多相交流電圧を前記交流モーターに出力するための交流電圧出力コネクターを前記パワーデバイスごとに備え、
前記交流電圧出力コネクターと該交流電圧出力コネクターに対応する前記パワーデバイスとが互いに向い合う
請求項2〜6のいずれか一項に記載のロボットコントローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206240(P2012−206240A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75827(P2011−75827)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】