説明

ロンデル成形体用積層体、その製造方法、ロンデル成形体、及びそれを用いたチューブ容器

【課題】
深絞り成形加工に対する追随性が良好で、層間剥離やピンホールが生じることがなく、成形性に優れるロンデル成形体用積層体、および、ガスバリア性に優れ、密封注出口の突き刺し開封時に開封性が良好なロンデル成形体を製造し、それを用いたチューブ容器を提供する。
【解決手段】
少なくとも、外側から未延伸熱可塑性樹脂層、金属箔保護層、金属箔層、アンカーコート層、及び熱可塑性樹脂層からなるロンデル成形体用積層体であって、前記アンカーコート層が、不飽和カルボン酸、又はその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含有し、かつ、数平均粒子径が1μm以下のポリオレフィン共重合樹脂粒子を分散し、不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散液を塗布、乾燥して形成されており、前記ロンデル成形体用積層体を深絞り成形することにより、ロンデル成形体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器の肩部および口頸部に一体化成形して用いる上部部材(ロンデル成形体)に関するものである。特に、チューブ容器の胴部をガスバリア性に優れた積層体で形成すると共に、胴部の一端に一体化成形して設ける肩部および口頸部、注出口に関しても、その内側の面に、肩部および口頸部、注出口の内面形状に合わせて予め成形された高ガスバリア性のロンデル成形体を配置して一体化成形することにより、容器全体のガスバリア性を向上させたチューブ容器が得られるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器は、練り歯磨きのほか、練りわさび、練りからし、コンデンスミルクなどの食品、化粧品、医薬品などの内容物を充填包装し、使用時に必要とする量を任意に押し出して使用することができ、使い勝手のよい容器として、その用途および使用量が拡大されてきた。
このようなチューブ容器は、用途の拡大に伴って充填される内容物も多様化し、内容物の保存性を向上させるため、チューブ容器のガスバリア性を高めることが求められるようになり、例えば、ラミネートチューブ容器などで、胴部をアルミニウム箔など金属箔のガスバリア性材料を積層した積層シートで形成すると共に、胴部の一端に一体化成形して形成する肩部および口頸部のうち、肩部の内面にロンデル成形体と呼ばれる、金属箔の両面にポリエチレンなどの熱接着性樹脂を積層した複合シートを円形に打ち抜き、且つその中心部に口頸部に相当する穴を設けたドーナッツ形の部材を笠状に成形して挿入し、一体化成形して作製したチューブ容器が使用されていた(特許文献1)。
【0003】
しかし、前記のようなチューブ容器でも、口頸部に関しては、成形樹脂の厚みが厚いものの、特にガスバリア性の向上対策が採られておらず、完全な気密性とはならない。且つチューブ容器に充填される内容物は、ペースト状物など流動性の低いものが多いため、酸素などの影響を受けやすい内容物の場合は、保存中に口頸部に充填されている内容物が変色、或いは変質し、使用の開始時にこれが押し出されるため、更に口頸部に対しても、ガスバリア性を向上させることが要望されるようになった。
このような要望に応えるために、前記ロンデル成形体のようなガスバリア性向上用部材をチューブ容器の肩部だけではなく、截頭円錐状の肩部からそれに連続する円筒状の口頸部にまで延長した形状に成形して、その成形部材を、チューブ容器の肩部および口頸部に一体化成形したチューブ容器が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−116245
【特許文献2】特開2006−224467
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の截頭円錐状の肩部とそれに連続する円筒状の口頸部の成形体からなるロンデル成形体は、チューブ容器の肩部の内周面、外周面、さらには肩部自体の内部に埋没するようにして適用されるものであることから、チューブ容器の肩部に適合する形状に成形する圧空またはプレス成形等による冷間成形と、それに続く打ち抜き成形とによって成形される成形体が利用されている。
【0005】
従来のロンデル成形体に用いられる積層シートは、表面樹脂層とシーラント層との間に金属箔層を少なくとも有し、金属箔層の表、裏両面にポリオレフィン系樹脂フィルムが積層されている積層シートによる成形体からなるロンデル成形体が利用されている。一般には、(1)金属箔層面に接着層としてアンカーコート層を設け、その表、裏両面にポリオレフィン系樹脂を押出ラミネートして積層する方法、または(2)金属箔層面に、接着層として二液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を用いて、予めフィルム状に製膜した表面樹脂層およびシーラント層形成用フィルムをドライラミネーション法で貼り合わせて積層する方法が採られている。
【0006】
まず、(1)の押出ラミネート法においては、アンカーコート層形成は有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系剤などのアンカーコート剤形成用組成物によって形成されているが、内容物にアルコール成分や精油成分等の浸透性の大きな成分が含まれている場合にはアンカーコート層の耐性が不足し、長期に保存するような場合には、シーラント層が金属箔層から層間剥離する問題がある。このため、円筒状の口頸部に設けた密封注出口を突き刺し開封する際に、上記のシーラント層と金属箔層間の層間剥離が生じたり、内容物に接触しているうちに層間強度が低下するなどの原因で密封注出口の開封性が低下したり、開封不良が起こるなど、突き刺し開封性に問題があった。
【0007】
(2)の金属箔層にシーラント層を前記ドライラミネーション法で貼り合わせる場合も同様に、チューブ容器内に例えば香料、鉱物油、有機系極性溶剤等の高浸透性物質を含有する内容物が封入されると、チューブ容器の肩部に積層されているロンデル成形体中のドライラミネート用の接着剤層面に高浸透性物質が到達するため、ロンデル成形体のシーラント層と金属箔層との界面に高浸透性物質が滞留し、前記ドライラミネート用接着剤の耐性が不足し、長時間の保存の後には該部分の層間強度の低下や、層間剥離現象が発生する。前記構成による積層シートを深絞り成形してロンデル成形体を作製する際は、接着剤によって貼着されている積層シートが、層間の強度不足により深絞り成形加工に対する追随性に乏しく、成形時に層間剥離が起きたり、成形体に歪みが形成されピンホールが生じる等、成形性に劣り、このため、ロンデル成形体による本来の機能が損なわれ、チューブ容器内の内容物の保存性能が低下する。また、この場合も、円筒状の口頸部に設けた密封注出口を突き刺し開封する際に、密封注出口の開封性が低下したり、開封不良が起こるなどの突き刺し開封性に問題があった。
また、層間の接合、特に金属箔層よりも内容物側となるシーラント層等の接着方法には制約があり、ウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤をドライラミネート用接着剤に用いると、熱硬化後においてもなお残存する未縮合の単量体がシーラント層を通して内容物に移行して変質したり変色することがあるため好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載した発明は、少なくとも、外側から未延伸熱可塑性樹脂層、金属箔保護層、金属箔層、アンカーコート層、及び熱可塑性樹脂層からなるロンデル成形体用積層体であって、前記アンカーコート層が、不飽和カルボン酸、又はその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含有し、かつ、数平均粒子径が1μm以下のポリオレフィン共重合樹脂粒子を分散し、不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散液を塗布、乾燥して形成されていることを特徴とするロンデル成形体用積層体からなる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載のロンデル成形体用積層体において、金属箔保護層が、少なくとも2層で形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1乃至2に記載のロンデル成形体用積層体において、熱可塑性樹脂層が、低密度ポリエチレンより形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した発明は、金属箔層の一方の面に、金属箔保護層を接着剤を介して貼り合わせ、他方の面にアンカーコート層を形成し、前記アンカーコート層上に熱可塑性樹脂層を積層して第一の積層体を作製し、前記第一の積層体に熱処理を施し、次に冷却処理を施し、前記第一の積層体の金属箔保護層上に、接着剤を介して未延伸熱可塑性樹脂層を積層して、請求項1乃至3に記載のロンデル成形体用積層体を製造することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載した発明は、熱処理が、金属箔保護層面に熱ロールを接して行うことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明は、冷却処理が、金属箔保護層面に冷却ロールを接して行うことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載した発明は、請求項1乃至6に記載のロンデル成形体用積層体を用いて、深絞り成形することにより製造され、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と、密封注出口から構成され、前記密封注出口が突起物によって破壊可能であることを特徴とするロンデル成形体からなる。
【0015】
請求項8に記載した発明は、筒状の胴部がガスバリア性を有する多層積層体から形成され、胴部の上部の開口部に、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部を一体化成形し、前記チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部の内側の面に、請求項7のロンデル成形体を一体化成形することを特徴とするチューブ容器からなる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、各層間の接着強度に優れ、深絞り成形加工に対する追随性が良好なロンデル成形体用積層体を製造することができ、層間剥離やピンホールが発生することなくロンデル成形体を製造できる。このロンデル成形体を用いて押出チューブ容器を作製した場合には、密封注出口の突き刺し開封時の開封性が低下したり、開封不良が起こるのを防ぐことができる。さらに、突起体で突刺して開口するまでは金属箔層の存在により、外気と内容物を完全に遮断でき、押出チューブ容器としてアルコールや精油等の芳香成分を含有する歯磨き材、食品、薬剤等を収納しても、内容物を変質したり変色する等、チューブ容器内の内容物の保存性能が低下するといったことを防ぎ、内容物の保存性に優れるチューブ用容器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るロンデル成形体用積層体、本発明のロンデル成形体用積層体を製造する方法、およびそれを用いてロンデル成形体を成形する方法について図面等により詳細に説明する。
図1に本発明に係るロンデル成形体用積層体1の構成を示す。最終的にチューブ容器を作製した際の容器外側となる側から順に、未延伸熱可塑性樹脂層2/金属箔保護層3/金属箔層4/アンカーコート層5/熱可塑性樹脂層6で構成される。
図2は、本発明のロンデル成形体用積層体1を用いてロンデル成形体17を作製する方法の工程を説明する図であり、工程別のロンデル成形体の形状を正面図で示したものである。但し、工程(7)の第5の成形体の外周をトリミングする工程は省略して示した。
図3は、本発明のロンデル成形体用積層体1を用いて作製したロンデル成形体17を、チューブ容器18に使用した一実施例の構成を示す要部の断面図である。 尚、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの図面に限定されるものではない。
【0018】
未延伸熱可塑性樹脂層2としては、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部21を一体化成形する際に、外側成形樹脂22及びロンデル成形体17との間を強固に熱溶着させることができる樹脂が使用され、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなど)等のポリオレフィン樹脂、あるいはオレフィンとビニル系モノマー、アクリル系モノマー、不飽和カルボン酸などの共重合性モノマーとの共重合体あるいはそれらのブレンド組成物など、ポリオレフィン系樹脂が主として使用される。未延伸熱可塑性樹脂層の厚みとしては、30μmないし200μm位、好ましくは、40μmないし150μm位が望ましい。
【0019】
ロンデル成形体用積層体1の最外層に上記の未延伸熱可塑性樹脂層2を用いることで、深絞り成形によりロンデル成形体17を作製し、チューブ容器18と一体化成形する際、チューブ容器の肩部とそれに連続する口頸部21を形成する外側成形樹脂22とロンデル成形体17との接着性が向上し、内容物を充填し保存した後も剥離しない。
【0020】
金属箔保護層3としては、深絞り成形加工に対する追随性が良好となるような、フィルム伸び率の高いフィルムを用いることが好ましく、例えば、ナイロン、非晶質ポリエチレンテレフタレートシート等が使用される。金属箔保護層3は、前記フィルムを用いて1層からなるものでもよく、または、1種もしくは複数種のフィルムを用いて少なくとも2層以上の複数層からなるものであってもよい。金属箔保護層3の厚みとしては、10μm〜50μmが好ましく、10μm以下だと深絞り成形加工時に金属箔層が破れやすく、成形が困難であり、50μm以上であるとロンデル成形体用積層体の伸びが悪くなり、成形が困難となる他、密封注出口の突き刺し開封性が悪くなる。
【0021】
金属箔保護層3にフィルム伸び率の高いフィルムを用いて金属箔層表面を保護することで、深絞り成形加工に対する追随性が良好となり、層間剥離やピンホールの発生を防ぐことができる。金属箔保護層を少なくとも2層とした場合は、1層である場合よりも金属箔層の保護性が高くなることで、さらに深絞り成形時の成形性が向上し、金属箔層の切れやピンホールが生じてバリア性が低下するのを防ぐことができる。
【0022】
金属箔層4としては、アルミニウム箔などの金属箔を使用できる。金属箔層4の厚みとしては、30μm〜100μmが好ましく、30μm以下だと深絞り成形時にピンホールが発生し、100μm以上であると金属箔層の腰が強くなりすぎてしまうために、成形時の伸びが悪く、破れやピンホールが生じ、成形加工適性が悪化するようになる。
【0023】
ロンデル成形体用積層体1に、ガスバリア性を有する金属箔層4を設けることにより、ガス及び水分に対するバリア作用を具備させることができる。
【0024】
アンカーコート層5は、不飽和カルボン酸、又はその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含有し、かつ、数平均粒子径が1μm以下、例えば50nm〜200nmのポリオレフィン樹脂粒子からなり、乳化剤等の不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散体を塗布、乾燥したものである。この水性分散液は、特開2004−9504号公報に記載されるものであり、不飽和カルボン酸又はその無水物とオレフィン化合物と(メタ)アクリル酸エステルとから構成されるポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体と陰イオン性基が20〜700(当量/106g)のポリエステル樹脂(B)の水性分散体とを、それぞれの水性分散体中の樹脂分の質量比が(A)/(B)=90/10〜20/80となるように混合して製造されるもので、ユニチカ(株)からアローベースSA−1200、SB−1200、SE−1200、TB−2010等として市販されるものが例示される。
【0025】
アンカーコート層5は、乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように薄く塗布することにより、アルミニウム箔等の金属箔層4を塗布面とし、熱可塑性樹脂層6等に対しての接着性に優れるものとできる。
【0026】
乳化剤等の不揮発性水性化助剤は、乾燥後も塗膜中に残存し、たとえ少量であっても接着界面に大きな影響を与え、接着性や耐水性を低下させるが、上記のアンカーコート層5にあっては、水性分散体の製造工程において水性化促進や水性分散体の安定化の目的で乳化剤等の不揮発性水性化助剤は添加されていない。このため、層間剥離が起こることなく、金属箔層4との接着性に優れると共に熱可塑性樹脂層6との接着性にも優れるものとできる。また、押出チューブ容器として、アルコールや精油等の芳香成分を含有する歯磨き材、食品、薬剤等を収納しても、アンカーコート層5がこれらの成分に対する耐性に優れるため、金属箔層4と熱可塑性樹脂層6との層間剥離を生じることがなく、内容物の保存性に優れるチューブ用容器とすることができる。
【0027】
熱可塑性樹脂層6は、例えば、線状低密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,ポリプロピレンホモポリマー,ポリプロピレンコポリマー,アクリルニトリル系ポリマー,ポリエステル,エチレン・ビニルアルコール共重合体,エチレン・アクリル酸エチル共重合体,エチレン・アクリル酸共重合体,エチレン・メタクリル酸共重合体,不飽和カルボン酸とオレフィンとの共重合体からなる酸コポリマー,エチレン・酢酸ビニル共重合体等による単独樹脂あるいはこれらの2種以上の混合樹脂等が利用される。
中でも、前記アンカーコート層5と熱可塑性樹脂層6との接着性が高い低密度ポリエチレンを用いることが好ましく、チューブ容器18の密封注出口19の開封の際に優れた突き刺し開封性を有するロンデル成形体用積層体1を作製できる。厚みとしては、30μmないし100μm位、好ましくは、40μmないし60μm位が望ましい。
【0028】
図1のようなロンデル成形体用積層体1を製造する工程としては、まず、金属箔保護層3の一方の面に、接着剤を介して金属箔層4を貼り合わせる。貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法、熱ラミネート法、サンドイッチラミネート法等を積層してもよいし、また、金属箔層4に押出しラミネートしてもよい。接着剤としては、たとえば変性ポリオレフィン系樹脂、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0029】
金属箔保護層3が少なくとも2層からなる場合は、1層目のみを金属箔層4と貼り合わせ、2層目以上を未延伸熱可塑性樹脂層2へ接着剤を介して積層しておき、最終工程で貼り合わせて一体化し、ロンデル成形体用積層体1を作製する。または、金属箔層4上に、あらかじめ接着剤を介して複数層の金属箔保護層3を形成しておいてもよい。
【0030】
次いで、金属箔層4上に、アンカーコート液をコーティングし、乾燥させてアンカーコート層5を形成する。コーティング方法としては、グラビアコート法等、通常のコーティング方法を用いることができる。
【0031】
さらに、アンカーコート層5上に、押し出しラミネ−ション法、Tダイ共押し出しコート法等により熱可塑性樹脂を積層して熱可塑性樹脂層6を形成し、第一の積層体7を作製する。
【0032】
次に、上記の第一の積層体7を熱処理し、更に冷却処理する。熱処理および冷却処理は、具体的には、上記の第一の積層体7を熱ローラーに送って、金属箔保護層3側に熱ロールを接して熱処理し、上記第一の積層体7の各層を溶融し、該溶融状態を一定期間保持した後、冷却ロールに送って急冷して溶融層全体を固化させる。
【0033】
熱処理は、通常、160℃以上、好ましくは180℃〜220℃で行われるが、第一の積層体7の溶融状態を、冷却ロールまでの間、少なくとも一定期間、好ましくは1秒〜3秒の間保持することが好ましい。溶融状態の保持時間が短すぎたり、また、溶融状態に達しないと、形成される金属箔保護層3と金属箔層4、アンカーコート層5、熱可塑性樹脂層6の各層間の接着が不十分となり、最終的に形成されるロンデル成形体用積層体1又は深絞り成形により形成されたロンデル成形体17にピンホールの発生や、デラミによる浮き(層間剥離)が生起することがある。熱処理する方法としては、場合によっては、熱オーブン、赤外線ヒーター等を活用することもできる。
熱処理することにより、金属箔保護層3と金属箔層4、アンカーコート層5、熱可塑性樹脂層6との相溶性が向上して各層間の接着強度が向上する。
【0034】
次いで、第一の積層体7は、急冷されて各層間、特に金属箔層4とアンカーコート層5間に強固な溶着層が形成される。この場合、冷却速度80℃/秒以上1000℃/秒以下、好ましくは80℃/秒以上500℃/秒以下で、第一の積層体7の温度を70℃〜0℃、好ましくは40℃〜10℃に急冷することが好ましい。
層間強度を向上させることにより、ロンデル成形体用積層体1を深絞り成形してロンデル成形体17を作製する際に、層間剥離が起こることなく成形性に優れ、チューブ容器の抽出口の開封性低下や開封不良を防ぐことができる。
【0035】
熱処理および冷却処理後、第一の積層体7の金属箔保護層3上に、接着剤を介して未延伸熱可塑性樹脂層2を貼り合わせ、ロンデル成形体用積層体1を作製する。金属箔保護層が少なくとも2層からなる場合は、第一の積層体7側の1層目の金属箔保護層上に、未延伸熱可塑性樹脂層2側に積層した2層目以上の金属箔保護層面を貼り合わせてロンデル成形体用積層体1を作製する。もしくは、第一の積層体7の金属箔層4上にあらかじめ接着剤を介して複数層の金属箔保護層3を積層しておき、接着剤を介して未延伸熱可塑性樹脂層2を貼り合わせ、ロンデル成形体用積層体1を作製してもよい。貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法、熱ラミネート法、サンドイッチラミネート法等を積層してもよいし、また、金属箔保護層に押出しラミネートしてもよい。接着剤としては、たとえば変性ポリオレフィン系樹脂、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0036】
前記ロンデル成形体用積層体1において、金属箔層4より内容物側に接着剤を使用しないため、ロンデル成形体用積層体1を深絞り成形してロンデル成形体17を作製する際に、接着剤の接着強度不足によって、層間剥離やピンホールが生じることがなく、チューブ容器内の内容物の保存性能が低下するといったことを防ぐことができる。また、ロンデル成形体17を用いたチューブ容器18に内容物を充填後、内容物の高浸透性物質によって、ロンデル成形体17の熱可塑性樹脂層6と金属箔層4との界面の接着剤の耐性が不足し、長時間の保存の後に層間強度の低下や、層間剥離現象が発生することによるチューブ容器18の密封抽出口19の開封性低下や開封不良を防ぐことができる。また、接着剤中の未縮合の単量体が内容物に移行して変質したり変色するのを防ぐことができる。
【0037】
上記ロンデル成形体用積層体1を用いて深絞り成形し、ロンデル成形体17を製造する方法を説明する。
図2に示したロンデル成形体17の製造方法は、工程(1)で、上記で製造したロンデル成形体用積層体1から、打ち抜きにより、所定の寸法の円形で偏平な複合シート8を作製し、次いで、工程(2)で、前記円形の複合シート8を、第1の雌雄の成形型を用いて常温でプレス成形により、外縁部を傾斜を付けた截頭円錐状に成形すると同時に、中心部を頭部10と頂部11からなる有頂円筒状に成形し、肩部9の中心に頭部10、頂部11を有する第1の成形体12を作製する。この工程で作製された第1の成形体12は、工程(6)に示した第5の成形体16と比較して、特に頭部10の径が大幅に大きく、高さも低いものである。
工程(3)では、前記第1の成形体12を、第2の雌雄の成形型を用いて常温でプレス成形により、頭部10の径を小さくしながら肩部9の面積を増大させるように成形し、第2の成形体13を作製し、工程(4)では、前記第2の成形体13を、第3の雌雄の成形型を用いて常温でプレス成形により、更に頭部10の径を小さくしながら肩部9の面積を増大させるように成形して第3の成形体14を作製し、次いで、工程(5)では、最終形状のロンデル成形体に近づけるため、前記第3の成形体14を、第4の雌雄の成形型を用いて常温でプレス成形により、更に頭部10の径を小さくして所定の径に成形すると同時に、頭部10の長さを増大させて所定の長さに成形し、且つ肩部9の面積を更に増大させるように成形して第4の成形体15を作製する。
そして、工程(6)では、前記第4の成形体15を、第5の雌雄の成形型を用いて常温でプレス成形により、図示したように、頂部11の上端の角部に傾斜を付けて密封注出口19を形成し、肩部9の周縁部の形状を、一端傾斜を大きくした後、その下端に略水平な部分を有する最終設定形状に成形し、第5の成形体16を作製するものである。
尚、更に、工程(7)として、前記第5の成形体16を、所定の外周寸法になるように外周をトリミングして最終形態のロンデル成形体17とする工程が含まれるが、その形状が前記第5の成形体16と近似するため、図示することを省略した。截頭円錐状の肩部9と、該肩部に連接した円筒状の頭部10と密封注出口19を有するロンデル成形体17をチューブ容器に使用することで、チューブ容器の口頸部において、外気と内容物を完全に遮断して高い気密性を発揮でき、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部におけるガスバリア性が向上し、酸素などの影響による内容物の変色、変質を防ぐことができる。開封時は、前記密封注出口を突起物によって破壊することで内容物を注出することができる。
【0038】
上記の工程(1)〜(7)において、金属箔層4の変形に対して、金属箔保護層3の追随性が良好なことにより、未延伸熱可塑性樹脂層2/金属箔保護層3/金属箔層4間の層間剥離の発生やピンホールが生じるのを防ぎ、円筒状の頭部と密封注出口が形成できるものである。
【0039】
次に、図3は、本発明のロンデル成形体用積層体1を用いて作製したロンデル成形体17を、チューブ容器18に使用した一実施例の構成を示す要部の断面図であり、胴部20の下部を省略して示した図である。
図3に示したチューブ容器18は、筒状の胴部20をガスバリア性を有する多層積層体で形成し、胴部20の上部の開口部に、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部21を一体化成形する際に、その内側の面に、前記工程(1)〜(7)に記載した製造方法で製造されたロンデル成形体17を挿入し、図示したように、その頂部の中心部を除く外側の面と周囲の端部を覆うように外側成形樹脂22をコンプレッション成形法または射出成形法で形成し、一体化成形して構成したものである。外側成形樹脂22に覆われていないその頂部の中心部に密封注出口19が形成される。
【0040】
前記胴部20に用いるガスバリア性を有する多層積層体は、ガスバリア性を有する多層積層体を筒状に熱接着して胴部20を作製する場合、その多層積層体として簡単な構成としては、例えば中間層に絵柄等の印刷層とガスバリア層とを積層し、その両面にポリオレフィン系樹脂層を積層した積層体を使用することができる。
只、絵柄等の印刷層を設ける位置は、外側から見える位置であれば特に限定はされず、多層積層体を筒状に熱接着した時、外側のポリオレフィン系樹脂層の表面、即ち、最外層となる位置に設けることもできる。また、中間層に設ける場合でも、ガスバリア層が不透明な場合はガスバリア層の外側の面に限定されるが、ガスバリア層が透明な場合はガスバリア層の外側の面でも内側の面でもいずれでもよい。
【0041】
上記多層積層体の構成の例を、筒状に熱接着した時の外側から順に示すと、以下のような構成が挙げられる。
(イ)ポリオレフィン系樹脂層/接着層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載する)・絵柄等の印刷層/接着層/透明または不透明なガスバリア層/接着層/ポリオレフィン系樹脂層
(ロ)ポリオレフィン系樹脂層/接着層/透明なガスバリア層・絵柄等の印刷層/接着層/ポリオレフィン系樹脂層
(ハ)絵柄等の印刷層・ポリオレフィン系樹脂層/接着層/透明または不透明なガスバリア層/接着層/ポリオレフィン系樹脂層
この他に、本発明のロンデル成形体用積層体1を用いてチューブ容器の胴部を作製することも可能である。
【0042】
チュ−ブ容器18は、上記で説明した積層体を丸めて、該積層材の両端部の最外層である表面樹脂層面と最内層であるシーラント層とを重ね合わせ、その重合端部を溶着して溶着部を形成してチューブ容器を構成する胴部20を作製する。また、胴部20の表面には、各種の印刷方法によって、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を有している。
上記積層体は、図で示したチューブ容器の構造のものに限らず、三方シール体、スタンディングパウチなどの自立体等にも適用することができる。
【0043】
また、チューブ容器18の胴部20の上部の開口部において、ロンデル成形体17と共に一体化成形してチューブ容器肩部とそれに連続する口頸部21を形成する外側成形樹脂22としては、コンプレッション成形や射出成形の成形性と共に、胴部20の両面のポリオレフィン系樹脂層およびロンデル成形体17の未延伸熱可塑性樹脂層2との熱溶着性を有し、更に、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部21に適度の硬さを付与できることも必要であり、そのためには前記胴部20の両面に用いたポリオレフィン系樹脂およびロンデル成形体17に用いた未延伸熱可塑性樹脂層2と同様な樹脂を使用することができる。
只、コンプレッション成形や射出成形のために加熱溶融された樹脂の熱を利用して、胴部20の端縁部およびロンデル成形体17に熱溶着させることから、外側成形樹脂22には溶融温度の高いポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましく、前記必要性能を兼備させるためには、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンを使用することがより好ましい。
【0044】
次いで、口頸部24に密閉するキャップを取り付けて、口頸部24を密閉した後に、胴部20の開口部から練り歯磨き、練りマスタード、練りわさび等の内容物を所定量充填し、開口部を溶着して底溶着部を形成し、内容物を充填したチューブ容器を得ることができる。
本発明のロンデル成形体用積層体1を成形したロンデル成形体17を装着したチューブ容器18は、特に水蒸気や酸素などのガスバリア性に優れており、外気と内容物を完全に遮断でき、チューブ容器内の内容物を安定して保存でき、特に空気(酸素)の存在により変質する内容物等に好適に用いることができる。内容物の吐出口は、開封前はロンデル成形体17により閉塞されており保存中における密封性は完全であり、吐出口は、例えば、キャップに設けられた突起部または別体の突起状物等によって密封注出口19のロンデル成形体部をつき破ることにより容易に形成することができる。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
以下の手順によりロンデル成形体用積層体を作製した。
(第一の積層体Aの作製)
厚さ15μmの易接着ナイロン基材(ON)(ユニチカ(株)ONM−BRT)の易接着処理面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、その上に厚さ50μmのアルミニウム箔(AL)(東洋アルミ(株)8079)をドライラミネート法により積層した。
上記アルミニウム箔面にアンカーコート剤として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合体樹脂の水分散体であって、数平均粒子系0.6μmの粒子を分散した、乳化剤を含まない水性分散液(ユニチカ(株)「アローベースSE−1200」)を、乾燥膜厚0.5μmとなるように塗布し、加熱乾燥してアンカーコート層(AC)を形成した。次いで、アンカーコート層上に、低密度ポリエチレン(PE)を厚さ50μmとなるように、押出ラミネート法により積層し、下記の構成の積層体Aを作製した。
ON(15μm)/AL(50μm)/AC(0.5μm)/PE(50μm)
(ロンデル成形体用積層体(a)の作製)
次に、積層体Aを用いて、以下の手順によりロンデル成形体用積層体(a)を作製した。
積層体Aを、熱ロールと冷却ロールを設置したドライラミネーターの繰り出しローラーに送り、上記積層体Aの易接着ナイロン基材面が熱ロールおよび冷却ロールに接するようにセットした。熱処理設定温度の熱ロールの表面温度は190℃、冷却ロールの表面温度は20℃とした。搬送スピード50m/minにて積層体Aを搬送し、加熱処理および冷却処理を施した。
その後、上記積層体Aの易接着ナイロン基材面上に、ウレタン接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、乾燥後、厚さ50μmのポリエチレンフィルム(PEF)(タマポリ(株)UB−3)をドライラミネート法により積層し、下記の構成のロンデル成形体用積層体(a)を作製した。
PEF(50μm)/ON(15μm)/AL(50μm)/AC(0.5μm)/PE(50μm)
(ロンデル成形体(a)の作製)
前記ロンデル成形体用積層体(a)を用いて、深絞り成形により、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と密封注出口から構成されるロンデル成形体(a)(頭部高さ12mm、外径Φ10mm)を作製した。これを、ラミネートチューブの肩部に挿入してチューブ容器を作製し、内容物として練り歯磨き(佐藤製薬「アセス」)を充填し、60℃で保存した。保存前、保存後のチューブ容器からロンデル成形体(a)を切り出し、その断面について目視で層間剥離の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例2)
(ロンデル成形体用積層体(b)の作製)
実施例1にて作製した積層体Aを用いて、以下の手順によりロンデル成形体用積層体(b)を作製した。
厚さ16μmのA−PET(東レフィルム加工(株):F865)のコロナ処理面にウレタン接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、乾燥後、厚さ50μmのポリエチレンフィルム(PEF)(タマポリ(株)UB−3)のコロナ処理面をドライラミネート法により貼り合わせ、積層体Bを作製した。
一方で、実施例1で作製した積層体Aを、熱ロールと冷却ロールを設置したドライラミネーターの繰り出しローラーに送り、上記積層体Aの易接着ナイロン基材面が熱ロールおよび冷却ロールに接するようにセットした。熱処理設定温度の熱ロールの表面温度は190℃、冷却ロールの表面温度は20℃とした。搬送スピード50m/minにて積層体Aを搬送し、加熱処理および冷却処理を施した。
その後、上記積層体Aの易接着ナイロン基材面上に、ウレタン接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、乾燥後、積層体BのA−PET面をドライラミネート法により貼り合わせて積層し、下記の構成のロンデル成形体用積層体(b)を作製した。
PEF(50μm)/A−PET(16μm)/ON(15μm)/AL(50μm)/AC(0.5μm)/PE(50μm)
(ロンデル成形体(b)の作製)
ロンデル成形体用積層体(b)を用いて、深絞り成形により、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と密封注出口から構成されるロンデル成形体(b)(頭部高さ12mm、外径Φ10mm)を作製した。これを、ラミネートチューブの肩部に挿入してチューブ容器を作製し、内容物として練り歯磨き(佐藤製薬「アセス」)を充填し、60℃で保存した。保存前、保存後のチューブ容器からロンデル成形体(b)を切り出し、その断面について目視で層間剥離の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
(ロンデル成形体用積層体(c)の作製)
実施例1にて作製した積層体Aを用いて、以下の手順によりロンデル成形体用積層体(c)を作製した。
実施例1にて作製した積層体Aの易接着ナイロン基材面上に、ウレタン接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、乾燥後、厚さ50μmのポリエチレンフィルム(PEF)(タマポリ(株)UB−3)をドライラミネート法により積層し、下記の構成のロンデル成形体用積層体(c)を作製した。
PEF(50μm)/ON(15μm)/AL(50μm)/AC(0.5μm)/PE(50μm)
(ロンデル成形体(c)の作製)
上記のロンデル成形体用積層体(c)を用いて、深絞り成形により、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と密封注出口から構成されるロンデル成形体(c)(頭部高さ12mm、外径Φ10mm)を作製した。これを、ラミネートチューブの肩部に挿入してチューブ容器を作製し、内容物として練り歯磨き(佐藤製薬「アセス」)を充填し、60℃で保存した。保存前、保存後のチューブ容器からロンデル成形体(c)を切り出し、その断面について目視で層間剥離の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
(ロンデル成形体用積層体(d)の作製)
以下の手順によりロンデル成形体用積層体(d)を作製した。
厚さ15μmの易接着ナイロン基材(ON)(ユニチカ(株)ONM−BRT)の易接着処理面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、その上に厚さ50μmのアルミニウム箔(AL)(東洋アルミ(株)8079)をドライラミネート法により積層した。
上記アルミニウム箔面にウレタン系接着剤をコーティングし、乾燥後、厚さ16μmのA−PET(東レフィルム加工(株):F865)をドライラミネート法により積層した。その後、上記積層体の易接着ナイロン基材面上に、ウレタン接着剤をコーティングし、乾燥後、厚さ100μmのポリエチレンフィルム(PEF)(タマポリ(株)UB−3)をドライラミネート法により積層し、下記の構成のロンデル成形体用積層体(d)を作製した。
(ロンデル成形体(d)の作製)
ロンデル成形体用積層体(d)を用いて、深絞り成形により、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と密封注出口から構成されるロンデル成形体(d)(頭部高さ12mm、外径Φ10mm)を作製した。これを、ラミネートチューブの肩部に挿入してチューブ容器を作製し、内容物として練り歯磨き(佐藤製薬「アセス」)を充填し、60℃で保存した。保存前、保存後のチューブ容器の肩部を縦方向に切断し、その断面を目視で観察し、ロンデル成形体(d)の層間剥離の有無を確認した。結果を表1に示す。
PEF(100μm)/ON(15μm)/AL(50μm)/A−PET(16μm)
【0049】
(比較例3)
以下の手順によりロンデル成形体用積層体(e)を作製した。
厚さ50μmのアルミニウム箔(AL)(東洋アルミ(株)8079)の両面にウレタン系接着剤(ロックペイント(株)RU004)をコーティングし、乾燥後、厚さ150μmのポリエチレンフィルム(PEF)(タマポリ(株)UB−3)をドライラミネート法により積層し、下記の構成のロンデル成形体用積層体(e)を作製した。
PEF(150μm)/AL(50μm)/PEF(150μm)
ロンデル成形体用積層体(e)を用いて、深絞り成形を行ったが、アルミニウム箔とポリエチレンフィルムとの界面で層間剥離がおき、ロンデル成形体の成形は不可であった。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例1、2で用いたロンデル成形体用積層体(a)、(b)およびロンデル成形体(a)、(b)では、保存試験前、保存試験後も層間剥離やピンホールの発生が生じることなく、良好なバリア性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のロンデル成形体用積層体を成形したロンデル成形体を用いることにより、特にバリア性に優れたチューブ容器を提供することができ、チューブ容器内の内容物を安定して保存できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願発明のロンデル成形体用積層体である。
【図2】本願発明のロンデル成形体用積層体を成形して、ロンデル成形体を製造する工程を説明する図である。
【図3】本願発明のロンデル成形体用積層体を成形して作製したロンデル成形体を、チューブ容器の肩部および口頸部に用いた一実施例の構成を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ロンデル成形体用積層体
2 未延伸熱可塑性樹脂層
3 金属箔保護層
4 金属箔層
5 アンカーコート層
6 熱可塑性樹脂層
7 第一の積層体
8 円形の複合シート
9 肩部
10 頭部
11 頂部
12 第1の成形体
13 第2の成形体
14 第3の成形体
15 第4の成形体
16 第5の成形体
17 ロンデル成形体
18 チューブ容器
19 密封注出口
20 胴部
21 チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部
22 外側成形樹脂
23 チューブ容器肩部
24 口頸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、外側から未延伸熱可塑性樹脂層、金属箔保護層、金属箔層、アンカーコート層、及び熱可塑性樹脂層からなるロンデル成形体用積層体であって、前記アンカーコート層が、不飽和カルボン酸、又はその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含有し、かつ、数平均粒子径が1μm以下のポリオレフィン共重合樹脂粒子を分散し、不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散液を塗布、乾燥して形成されていることを特徴とするロンデル成形体用積層体。
【請求項2】
金属箔保護層が、少なくとも2層で形成されることを特徴とする請求項1に記載のロンデル成形体用積層体。
【請求項3】
熱可塑性樹脂層が、低密度ポリエチレンより形成されることを特徴とする請求項1乃至2に記載のロンデル成形体用積層体。
【請求項4】
金属箔層の一方の面に、金属箔保護層を接着剤を介して貼り合わせ、他方の面にアンカーコート層を形成し、前記アンカーコート層上に熱可塑性樹脂層を積層して第一の積層体を作製し、前記第一の積層体に熱処理を施し、次に冷却処理を施し、前記第一の積層体の金属箔保護層上に、接着剤を介して未延伸熱可塑性樹脂層を積層して、請求項1乃至3に記載のロンデル成形体用積層体を製造することを特徴とするロンデル成形体用積層体の製造方法。
【請求項5】
熱処理が、金属箔保護層面に熱ロールを接して行うことを特徴とする請求項4に記載のロンデル成形体用積層体の製造方法。
【請求項6】
冷却処理が、金属箔保護層面に冷却ロールを接して行うことを特徴とする請求項4乃至5に記載のロンデル成形体用積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載のロンデル成形体用積層体を用いて、深絞り成形することにより製造され、截頭円錐状の肩部と、該肩部に連接した円筒状の頭部と、密封注出口から構成され、前記密封注出口が突起物によって破壊可能であることを特徴とするロンデル成形体。
【請求項8】
筒状の胴部がガスバリア性を有する多層積層体から形成され、前記胴部の上部の開口部に、チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部を一体化成形し、前記チューブ容器肩部とそれに連続する口頸部の内側の面に、請求項7に記載のロンデル成形体を一体化成形することを特徴とするチューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23399(P2010−23399A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189708(P2008−189708)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】