説明

ロータリダンパ

【課題】加えられた回転力に対してより強い制動トルクを発生させる。
【解決手段】円筒室111の仕切り115a、115bによって区切られる領域111e、111fを塞ぐように、蓋14とロータ12のベーン124a、124bとの間に可動板15a、15bを配置する。可動板15a、15bには、仕切り115a、115bおよびベーン124a、124bにより区切られる領域111a〜111dのうち、ロータ12を正転方向αに回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d側に第一の貫通孔152が形成されており、ロータ12を正転方向αに回転させた場合に、粘性流体13が、第一の貫通孔152を介して、可動板15a、15bと蓋14とにより区切られる調圧領域111g、111hへ移動して、可動板15a、15bをベーン124a、124bに押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリダンパに関し、特に、強い制動トルクを発生させるのに好適なロータリダンパの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
正転方向の回転に対して強い制動トルクを発生させる一方、逆転方向の回転に対しては弱い制動トルクを発生させる、いわゆる一方向性のロータリダンパが知られている。例えば、特許文献1には、構造が簡単で安価に製造可能な一方向性のロータリダンパが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のロータリダンパは、上面が開口された円筒室を備えたケースと、回転軸が円筒室の中心線と一致して回転自在となるように円筒室内に収容された、円筒形状のロータ本体およびベーンを備えたロータ(回転体)と、円筒室内に充填された粘性流体と、ロータを粘性流体とともに円筒室内に封じ込める蓋と、を有する。円筒室の内壁面には、ロータ本体の外周面と僅かなギャップを形成するように、中心線に沿って凸状の仕切りが形成されている。ベーンは、円筒室の内壁面と僅かなギャップを形成するように、ロータ本体の外周面から円筒室の内壁面側に向かって突出して形成されている。このベーンには、ロータの回転方向と垂直な一方の側面(第一の側面と呼ぶ)から他方の側面(第二の側面と呼ぶ)へと繋がる流路が形成されている。また、ベーンの先端面(円筒室の内壁面と対向する面)には、円筒室の内壁面との間のギャップを埋めるシール部材が取り付けられている。そして、このシール部材は、ベーンの回転方向において第二の側面側から流路の開閉を行う弾性体の逆止弁を備えている。
【0004】
以上のような構成において、特許文献1に記載のロータリダンパは、ベーンの第一の側面から第二の側面へ向かう方向(正転方向)に回転させる力がロータに加わると、円筒室内の粘性流体によって逆止弁がベーンの第二の側面に押し付けられて、流路が逆止弁で塞がれる。これにより、粘性流体の移動が、円筒室の仕切りとロータ本体の外周面との間の僅かなギャップを介してのみに制限されて、ベーンの第二の側面側の粘性流体に対する圧力が高まり、強い制動トルクが発生する。一方、ベーンの第二の側面から第一の側面へ向かう方向(逆転方向)に回転させる力がロータに加わると、ベーンの第一の側面側の粘性流体が、流路に流入して逆止弁を押し上げて流路を開放する。したがって、粘性流体の移動がベーンに形成された流路においても行われるため、ベーンの第一の側面側の粘性流体に対する圧力は高くならず、このため、弱い制動トルクが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−301272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ロータリダンパは、ケース、ベーンを備えたロータ、ロータを粘性流体とともにケース内に封じ込めるため蓋等の様々な部品を組み付けた構造となっており、ベーンをケース内面および蓋の裏面と摺接させながら、ロータが粘性体で充填されたケース内を回転することにより、制動力を得ている。このため、ロータリダンパにおいて、各部品の組み付け誤差、ベーンのケース内面および蓋の裏面との摺接により発生する摩耗等により、ベーン外周面とケース内周面との間の径方向、およびベーン上面と蓋の裏面との間、ベーン下面とケース底面との間の軸方向に、好ましくない隙間が発生する場合がある。したがって、所望の強い制動力を得るためには、これらの好ましくない隙間をできるだけなくして密閉空間を形成する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1に記載のロータリダンパのように、シール部材を用いることで、ベーン外周面とケース内周面との間の径方向の隙間をある程度なくすことは可能であるが、ベーン上面と蓋の裏面との間、ベーン下面とケース底面との間の軸方向の隙間をなくすことは困難である。このため、軸方向の隙間に起因して、所望の強い制動トルクを得られない可能性がある
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータリダンパにおいて、加えられた回転力に対して、より強い制動トルクを発生させることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、充填された粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパにおいて、この回転力が強くなって粘性流体の圧力が増すほど、円筒室の仕切りおよびロータのベーンにより区切られる領域間の遮断性を向上させる手段を設けた。
【0009】
例えば、本発明は、充填された粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパであって、
上面が開口され、前記粘性流体が充填された円筒室を備えるケースと、
前記円筒室に収容され、前記円筒室の中心線の方向に移動可能に配置された可動板と、
前記回転力により、前記ケースに対して前記円筒室の中心線周りに相対的に回転するように前記円筒室に収容されたロータと、
前記円筒室の上面側に取り付けられ、前記ロータおよび前記可動板を前記粘性流体とともに前記円筒室内に封じ込めるための蓋と、を有し、
前記円筒室の内壁面には、
先端面が前記ロータの外周面と近接する凸状の仕切りが形成されており、
前記ロータの外周面には、
先端面が前記円筒室の内壁面と近接するベーンが形成されており、
前記可動板は、
前記仕切りによって区切られる領域を塞ぐように、前記蓋と前記ベーンとの間、あるいは前記円筒室の底面と前記ベーンとの間に配置され、前記仕切りおよび前記ベーンにより区切られる領域のうち、前記ケースに対して前記ロータを第一の回転方向に相対的に回転させた場合に当該領域内の前記粘性流体が加圧される領域側に第一の貫通孔が形成されており、
前記粘性流体は、
前記ケースに対して前記ロータを前記第一の回転方向に相対的に回転させた場合に、前記第一の貫通孔を介して、当該可動板と前記蓋の下面とにより区切られる領域、あるいは当該可動板と前記円筒室の底面とにより区切られる領域である調圧領域へ移動して、当該可動板を前記ベーンに押し付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータリダンパにおいて、回転力が強くなって粘性流体の圧力が増すほど、円筒室の仕切りおよびロータのベーンにより区切られる領域間の遮断性が向上するので、加えられた回転力に対して、より強い制動トルクを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(A)および図1(B)は、本発明の第一実施の形態に係るロータリダンパ1の概略構成を示す外観図および部分断面図である。
【図2】図2は、ロータリダンパ1の部品展開図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、ケース11の上面図、正面図、および底面図であり、図3(D)は、図3(A)に示すケース11のA−A断面図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、蓋14の上面図、正面図、および底面図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、ロータ12の上面図、正面図、および側面図であり、図5(D)は、図5(B)に示すロータ12のB−B断面図であり、図5(E)は、図5(D)のA部分の拡大図である。
【図6】図6(A)および図6(B)は、可動板15a、15bの上面図、正面図であり、図6(C)は、図6(A)に示すC−C断面図である。
【図7】図7(A)〜図7(C)は、本発明の第一実施の形態に係るロータリダンパ1の動作原理を説明するための図である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、本発明の第一実施の形態に係るロータリダンパ1の動作原理を説明するための図である。
【図9】図9(A)および図9(B)は、本発明の第二実施の形態に係るロータリダンパ2の概略構成を示す外観図および部分断面図である。
【図10】図10は、ロータリダンパ2の部品展開図である。
【図11】図11(A)および図11(B)は、可動板25a、25bの上面図、正面図であり、図11(C)および図11(D)は、図11(A)に示すD−D断面図、E−E断面図であり、図11(E)は、図11(D)のB部分の拡大図であり、図11(F)は、図11(E)のF−F断面である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、本発明の第二実施の形態に係るロータリダンパ2の動作原理を説明するための図である。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、本発明の第二実施の形態に係るロータリダンパ2の動作原理を説明するための図である。
【図14】図14(A)および図14(B)は、可動板35a、35bの上面図、正面図であり、図14(C)および図14(D)は、図14(A)に示すG−G断面図、H−H断面図であり、図14(E)は、図14(C)のC部分の拡大図であり、図14(F)は、図14(D)のD部分の拡大図である。
【図15】図15(A)〜図15(D)は、本発明の第三実施の形態に係るロータリダンパ3の動作原理を説明するための図である。
【図16】図16(A)〜図15(D)は、本発明の第三実施の形態に係るロータリダンパ3の動作原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
<第一実施の形態>
図1(A)および図1(B)は、本発明の第一実施の形態に係るロータリダンパ1の概略構成を示す外観図および部分断面図であり、図2は、ロータリダンパ1の部品展開図である。
【0014】
図示するように、本実施の形態に係るロータリダンパ1は、ケース11と、ケース11に対して相対的に回転可能にケース11に収容されたロータ(回転体)12と、ケース11に充填された粘性流体(オイル、シリコン等)13と、ロータ12の回転軸120と平行な方向に移動可能な一対の可動板15a、15bと、ロータ12および可動板15a、15bを粘性流体13とともにケース11内に封じ込める蓋14と、ケース11に蓋14を固定するための複数のネジ18と、を有する。また、図1および図2には図示していないが、ロータリダンパ1は、さらに、逆止弁16を有する。
【0015】
図3(A)〜(C)は、ケース11の上面図、正面図、および底面図であり、図3(D)は、図3(A)に示すケース11のA−A断面図である。
【0016】
図示するように、ケース11は、ケース本体112と、ケース本体112の上面119の縁部外周に形成されたフランジ部118と、を備えている。
【0017】
ケース本体112には円筒室(上面119が開口された、円盤状の底面116を有する円筒状の空間)111が形成されている。ロータ12は、円筒形状のロータ本体131とロータ本体131の外周面122に形成された一対のベーン124a、124bとを備え、この円筒室111の中心線110周りに回転するように(円筒室111の中心線110がロータ12の回転軸120となるように)、この円筒室111に収容される。ケース本体112の内周面(円筒室111の側壁面)113には、ロータ本体131の外周面122と側壁面113との間の環状の空間を径方向に仕切るように、ロータ本体131の外周面122に向かって突出した一対の凸状の仕切り115a、115b(先端面114がロータ本体131の外周面122と近接する一対の凸状の仕切り)が、円筒室111の中心線110に沿って円筒室111の底面116から上面119まで形成されている。粘性流体13は、これらの仕切り115a、115bによって仕切られた、ロータ本体131の外周面122と円筒室111の側壁面113との間の領域(図7における111a〜111d)に充填される。また、円筒室111の底面116には、ロータ本体131の一端部(下端部)129aを挿入するための開口部117が形成されている。
【0018】
フランジ部118には複数のネジ穴118aが形成され、フランジ部118に載置された蓋14の貫通孔143aに挿入されたネジ18が、これらのネジ穴118aに締結される。
【0019】
図4(A)〜図4(C)は、蓋14の上面図、正面図、および底面図である。
【0020】
図示するように、蓋14には、円筒室111の底面116の開口部117に対向する位置に、ロータ本体131の上端部129bを挿入するための開口部141が形成されている。また、ケース11のフランジ部118のネジ穴118aに対応する位置には、それらのネジ穴118aに締結されるネジ18を挿入するための貫通孔143aが形成されている。なお、円筒室111内の粘性流体13が外部に漏れないように、Oリング等のシール材を蓋14とケース11との間に介在させて密封性を高めるようにしてもよい。
【0021】
図5(A)〜図5(C)は、ロータ12の上面図、正面図、および側面図、図5(D)は、図5(B)に示すロータ12のB−B断面図、図5(E)は、図5(D)のA部分の拡大図である。
【0022】
図示するように、ロータ本体131には、外部からの回転力をロータ12に伝達するシャフト(不図示)を挿入するための貫通孔121が、ロータ12の回転軸120を中心にして形成されている。そして、ロータ本体131(貫通孔121)の下端部129aは、ケース11の円筒室111の底面116に形成された開口部117に摺動可能に挿入され、ロータ本体131(貫通孔121)の上端部129bは、蓋14の開口部141に摺動可能に挿入される。なお、円筒室111から粘性流体13が外部に漏れないように、Oリング等のシール材を、ロータ本体131の端部129a、129bと、ケース11の開口部117、蓋14の開口部141との間に介在させて密封性を高めるようにしてもよい。
【0023】
ロータ本体131の外周面122には、先端面(円筒室111の側壁面113に対向する面)123が円筒室111の側壁面113と近接するように、円筒室111の側壁面113に向かって突出した一対のベーン(回転翼)124a、124bが、ロータ12の回転軸120に沿って形成されている。ベーン124a、124bは、ベーン124a、124bの下面(円筒室111の底面116と対向する面)125が円筒室111の底面116と当接するようにロータ12を円筒室111に収容した場合に、ベーン124a、125bの上面(蓋14側の面)126と円筒室111の上面119との間に少なくとも可動板15a、15bの厚さt(図6に示す可動板15a、15bの厚さt参照)の間隔があくように形成されている。
【0024】
ベーン124a、124bには、ベーン124a、124bの先端面123と円筒室111の側壁面113との間、ベーン124a、124bの下面125と円筒室111の底面116との間、および、ベーン124a、124bの上面126と蓋14の裏面(ケース11側の面)142との間に形成されるギャップを塞ぐためのリップシール(図2参照)127が取り付けられている。
【0025】
一方のベーン124aには、このベーン124aおよび円筒室111の仕切り115aにより区切られる円筒室111内の領域111a(図7参照)と、このベーン124aおよび円筒室111の仕切り115bにより区切られる円筒室111内の領域111b(図7参照)とを繋ぐ流路(オリフィス)128aが、このベーン124aの一方の側面132aと他方の側面133aとを貫通するように形成されている。同様に、他方のベーン124bには、このベーン124bおよび円筒室111の仕切り115aにより区切られる円筒室111内の領域111c(図7参照)と、ベーン124bおよび円筒室111の仕切り115bにより区切られる円筒室111内の領域111d(図7参照)とを繋ぐ流路128bが、このベーン124bの一方の側面132bと他方の側面133bとを貫通するように形成されている。
【0026】
流路128a、128bの各々には、球状の逆止弁16が内設されている。
【0027】
流路128a、128bは、ベーン124a、124bの一方の側面132a、132b側に形成された円柱状の第一の流路区間1281と、ベーン124a、124bの他方の側面133a、133b側に形成され、第一の流路区間1281よりも径方向流路断面積の大きな円柱状の第二の流路区間1282と、を有する。第一の流路区間1281は、第二の流路区間1282に対して、回転体12を正転方向(本実施の形態ではα方向、図7参照)に回転させた場合に、充填されている粘性流体13が減圧される領域111b、111c(図7参照)側に隣接するように形成されている。第一の流路区間1281と第二の流路区間1282との境界1284にはテーパがつけられている。第二の流路区間1282は、逆止弁16の球径よりも大きな直径を有しており、第一の流路区間1281を開閉する逆止弁16を、粘性流体13の流れ方向にスライド自在に収容する。また、第二の流路区間1282内には、逆止弁16のスライド範囲を規制するためのストッパ1283が、逆止弁16に対して第一の流路区間1281の反対側の端面部付近の位置(逆止弁16よりも、充填されている粘性流体13が加圧される領域111a、111d側の位置)に形成されている。
【0028】
図6(A)および図6(B)は、可動板15a、15bの上面図、正面図であり、図6(C)は、図6(A)に示すC−C断面図である。
【0029】
図示するように、一方の可動板15aは、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られた円筒室111内の領域111e(図7参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111eを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12のベーン124aの上面126との間に配置されている(図1および図2参照)。同様に、他方の可動板15bは、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られた円筒室111内の領域111f(図7参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111fを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12のベーン124bの上面126との間に配置されている(図1および図2参照)。
【0030】
また、可動板15a、15bが蓋14の裏面142と当接する位置まで移動した場合でも、可動板15a、15bの上面(蓋14側の面)154と蓋14の裏面142との間にギャップ(調圧領域111g、111h、図7参照)が形成されるように、可動板15a、15bは、扇形状の平板部材からなるベース部材150と、ベース部材150の上面154側の外周部全体に、上方に突出するように形成された縁部151と、を有し、縁部151に囲まれた凹部の領域(上面領域)155が形成されている。ベース部材150の下面153から縁部151の上面156までの厚さtは、ベース部材150の厚さt1よりも大きい厚さを有している。なお、可動板15a、15bの縁部151と、円筒室111の側壁面113、仕切り115a、115b、およびロータ12の外周面122とのギャップから粘性流体13が移動しないように、可動板15a、15bの縁部151にリップシール等を取り付けて密封性を高めるようにしてもよい。
【0031】
また、可動板15a、15bの上面領域155には、ロータ12を正転方向(本実施の形態ではα方向、図7参照)に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d(図7参照)側の縁部151近傍に第一の貫通孔152が形成されている。
【0032】
つぎに、ロータリダンパ1の動作原理を説明する。図7(A)〜(C)および図8(A)〜(C)は、ロータリダンパ1の動作原理を説明するための図である。
【0033】
図7(A)に示すように、ケース11に対してロータ12が正転方向(本実施の形態ではα方向)に相対的に回転した場合、図7(B)に示すように、粘性流体13の圧力により、逆止弁16が、第一の流路区間1281と第二の流路区間1282との境界1284まで第二の流路区間1282内をスライドして、第一の流路区間1281を塞ぐ。これにより、流路128a、128bが閉口する。
【0034】
この結果、図7(C)に示すように、円筒室111内において、仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124a、124bにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および領域111dと領域111cとの間における粘性流体13の流路128a、128bを介しての移動が制限される。これにより、加圧される側の領域111a、111d内の粘性流体13の圧力が高まる。
【0035】
また、図7(C)に示すように、加圧された領域111aから、粘性流体13が、可動板15aの第一の貫通孔152を介して、可動板15aの上面領域155と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111gに流入する。このため、可動板15aのベース部材150の上面154側の方が、可動板15aのベース部材150の下面153側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板15aのベース部材150の上面154側の調圧領域111gの圧力が、可動板15aのベース部材150の下面153側の圧力より高くなる。これにより、可動板15aがベーン124aの上面126に押し付けられ、ベーン124aの上面126と可動板15aのベース部材150の下面153との密着性が向上する。
【0036】
同様に、加圧された領域111dからも、粘性流体13が、可動板15bの第一の貫通孔152を介して、可動板15bの上面領域155と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111hに流入する。このため、可動板15bのベース部材150の上面154側の方が、可動板15bのベース部材150の下面153側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板15bのベース部材150の上面154側の調圧領域111hの圧力が、可動板15bのベース部材150の下面153側の圧力より高くなる。これにより、可動板15bがベーン124bの上面126に押し付けられ、ベーン124bの上面126と可動板15bのベース部材150の下面153との密着性が向上する。
【0037】
したがって、円筒室111内において、仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124a、124bにより区切られる領域111aと領域11bとの間、および領域111dと領域111cとの間の遮断性がさらに向上して、加圧される側の領域111a、111dから、減圧される側の領域111b、111cへの粘性流体13の移動がより制限され、加圧される側の領域111a、111d内の粘性流体13の圧力がより高まって、より強い制動トルクが発生する。
【0038】
一方、図8(A)に示すように、ケース11に対してロータ12aが逆転方向(本実施の形態ではβ方向)に相対的に回転した場合、図8(B)に示すように、粘性流体13の圧力により、逆止弁16が、第一の流路区間1281と第二の流路区間1282との境界1284から離れ、ストッパ1283に当接するまで第二の流路区間1282内をスライドする。これにより、流路128a、128bが開口する。この結果、図8(C)に示すように、粘性流体13は、流路128a、128bを介して、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124a、124bにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および領域111dと領域111cとの間を自由に移動する。
【0039】
これにより、加圧される側の領域111b、111c内の粘性流体13の圧力が高くならずに、弱い制動トルクが発生する。
【0040】
以上、本発明の第一実施の形態を説明した。
【0041】
本実施の形態では、円筒室111内に充填された粘性流体13の流路128a、128b経由での移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパ1において、この回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性をさらに向上させるようにしている。
【0042】
具体的には、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られる領域111eを塞ぐように、可動板15aを、蓋14の裏面142とロータ12のベーン124aの上面126との間に配置するとともに、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られる領域111fを塞ぐように、可動板15bを、蓋14の裏面142とロータ12のベーン124bの上面126との間に配置した。ここで、可動板15a、15bには、仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124a、124bにより区切られる領域111a〜111dのうち、ロータ12を正転方向に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111dに繋がる第一の貫通孔152が形成されている。このため、ロータ12を正転方向に回転させた場合、粘性流体13が、第一の貫通孔152を介して、可動板15a、15bの上面領域155と蓋14の裏面142とにより区切られる調圧領域111g、111hへ移動する。これにより、可動板15a、15bのベース部材150の上面154側の方が、可動板15a、15bのベース部材150の下面153側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板15a、15bのベース部材150の上面154側の調圧領域111g、111fの圧力が、可動板15a、15bのベース部材150の下面153側の圧力より高くなる。したがって、可動板15a、15bがロータ12のベーン124a、124bの上面126に押し付けられ、ロータ12のベーン124a、124bの上面126と可動板15a、15bのベース部材150の上面154との密着性が向上する。
【0043】
このため、本実施の形態によれば、回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性をさらに向上させることが可能となるため、加えられた回転力に対してより強い制動トルクを発生させることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、ロータ12のベーン124a、124bに、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124a、124bにより区切られる領域111aと領域111dとの間、および領域111dと領域111cとの間を繋ぐ流路128a、128bが形成されており、これらの流路128a、128bには、ロータ12の正転方向の回転に対して流路128a、128bを閉口し、ロータ12の逆転方向の回転に対して流路128a、128bを開口する逆止弁16が内設されている。
【0045】
このため、本実施の形態によれば、ケース11に対してロータ12を正転方向に相対的に回転させる回転力が加えられた場合にのみ、強い制動トルクを発生させることのできる一方向性のロータリダンパ1を実現することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、可動板15a、15bを蓋14の裏面142とロータ12のベーン124a、124bの上面126との間に配置したが、本発明はこれに限定されない。可動板15a、15bを円筒室111の底面116とロータ12のベーン124a、124bの下面125との間に配置してもよい。あるいは、蓋14の裏面142とロータ12のベーン124a、124bの上面126との間、および円筒室111の底面116とベーン124a、124bの下面125との間の双方に配置するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、ロータ12のベーン124a、124bに流路128a、128bを形成し、これらの流路128a、128bに逆止弁16を内設したが、本発明はこれに限定されない。ケース11の円筒室111の仕切り115a、115bに流路128a、128bを形成し、これらの流路128a、128bに逆止弁16を内設してもよい。
【0048】
また、本実施の形態において、流路128a、128bおよびこれらの流路128a、128bに内設する逆止弁16を省略してもよい。この場合、ロータ12が逆転方向(β方向)に回転すると、加圧される側の領域111b、111c内の粘性流体13が、可動板15a、15bを押し上げて、可動板15a、15bの下面153とロータ12のベーン124a、124bの上面126との間にギャップを形成し、このギャップを介して、減圧される側の領域111a、111dに移動する。これにより、加圧される側の領域111b、111c内の粘性流体13の圧力が高くならずに、弱い制動トルクが発生する。
【0049】
<第二実施の形態>
図9(A)および図9(B)は、本発明の第二実施の形態に係るロータリダンパ2の概略構成を示す外観図および部分断面図であり、図10は、ロータリダンパ2の部品展開図である。
【0050】
図示するように、本実施の形態に係るロータリダンパ2は、ケース11と、ケース11に対して相対的に回転可能にケース11に収容されたロータ(回転体)12aと、円筒室111に充填された粘性流体13と、ロータ12の回転軸120と平行な方向に移動可能な一対の可動板25a、25bと、ロータ12aおよび可動板25a、25bを粘性流体13とともに円筒室111内に封じ込める蓋14と、ケース11に蓋14を固定するための複数のネジ18と、を有する。また、図9および図10には図示していないが、ロータリダンパ2は、さらに逆止弁26を有する。
【0051】
ここで、ケース11、粘性流体13、蓋14およびネジ18は、第一実施の形態に係るロータリダンパ1で用いたものと同じものである。また、ロータ12aは、ベーン124a、124bに流路128a、128bが形成されていない点を除き、第一実施の形態に係るロータリダンパ1で用いたロータ12と同じである。したがって、以下においては、これらについての説明を省略する。
【0052】
図11(A)および図11(B)は、可動板25a、25bの上面図、正面図、図11(C)および図11(D)は、図11(A)に示すD−D断面図、E−E断面図、図11(E)は、図11(D)のB部分の拡大図、そして、図11(F)は、図11(E)のF−F断面図である。
【0053】
図示するように、一方の可動板25aは、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られた円筒室111内の領域111e(図12参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111eを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124aの上面(蓋14側の面)126との間に配置されている(図9および図10参照)。同様に、他方の可動板25bは、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られた円筒室111内の領域111f(図12参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111fを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124bの上面126との間に配置されている(図9および図10参照)。
【0054】
また、可動板25a、25bが蓋14の裏面142と当接する位置まで移動した場合でも、可動板25a、25bの上面(蓋14側の面)254と蓋14の裏面142との間にギャップ(調圧領域111g、111h、図12参照)が形成されるように、可動板25aは、扇形状の平板部材からなるベース部材250と、ベース部材250の上面254側の外周部全体に、上方に突出するように形成された縁部251と、を有し、縁部251に囲まれた凹部の領域(上面領域)257が形成されている。ベース部材250の下面253から縁部251の上面258までの厚さtは、ベース部材150の厚さt1よりも大きい厚さを有している。なお、可動板25a、25bの縁部251と、円筒室111の側壁面113、仕切り115a、115b、およびロータ12aの外周面122とのギャップから粘性流体13が移動しないように、可動板25a、25bの縁部251にリップシール等を取り付けて密封性を高めるようにしてもよい。
【0055】
また、可動板25a、25bの上面領域257には、ロータ12aを正転方向(本実施の形態ではα方向、図12参照)に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d(図12参照)側の縁部251近傍に、第一の貫通孔252が形成されている。
【0056】
また、可動板25a、25bの上面領域257には、ロータ12aを正転方向(本実施の形態ではα方向、図12参照)に回転させた場合に粘性流体13が減圧される領域111b、111c(図12参照)側の縁部251近傍に、第二の貫通孔255が形成されている。そして、可動板25a、25bの上面領域257には、第二の貫通孔255を開閉できるように、板状の逆止弁26をスライド可能に保持するガイド部材256が形成されている。
【0057】
つぎに、ロータリダンパ2の動作原理を説明する。図12(A)〜(C)および図13(A)〜(C)は、ロータリダンパ2の動作原理を説明するための図である。
【0058】
図12(A)に示すように、ケース11に対してロータ12aが正転方向(本実施の形態ではα方向)に相対的に回転した場合、図12(B)および図12(C)に示すように、加圧された領域111aから、粘性流体13が、可動板25aの第一の貫通孔252を介して、可動板25aの上面領域257と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111gに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板25aのガイド部材256に保持されている逆止弁26が可動板25aの第二の貫通孔255に押し付けられ、可動板25aの第二の貫通孔255が閉口する。このため、可動板25aのベース部材250の上面254側の方が、可動板25aのベース部材250の下面253側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板25aのベース部材250の上面254側の調圧領域111gの圧力が、可動板25aのベース部材250の下面253側の圧力より高くなる。これにより、可動板25aがロータ12aのベーン124aの上面126に押し付けられ、ロータ12aのベーン124aの上面126と可動板25aのベース部材250の下面253との密着性が向上する。
【0059】
同様に、加圧された領域111dから、粘性流体13が、可動板25bの第一の貫通孔252を介して、可動板25bの上面領域257と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111hに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板25bのガイド部材256に保持されている逆止弁26が可動板25bの第二の貫通孔255に押し付けられ、可動板25bの第二の貫通孔255が閉口する。このため、可動板25bのベース部材250の上面254側の方が、可動板25bのベース部材250の下面253側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板25bのベース部材250の上面254側の調圧領域111hの圧力が、可動板25bのベース部材250の下面253側の圧力より高くなる。これにより、可動板25bがロータ12aのベーン124bの上面126に押し付けられ、ベーン124bの上面126と可動板25bのベース部材250の下面253との密着性が向上する。
【0060】
この結果、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性が向上して、加圧される側の領域111a、111dから、減圧される側の領域111b、111cへの粘性流体13の移動がより制限され、加圧される側の領域111a、111d内の粘性流体13の圧力がより高まって、より強い制動トルクが発生する。
【0061】
一方、図13(A)に示すように、ケース11に対してロータ12aが逆転方向(本実施の形態ではβ方向)に相対的に回転した場合、図13(B)および図13(C)に示すように、加圧された領域111b内の粘性流体13が、可動板25aのガイド部材256に保持されている逆止弁26を押し上げ、可動板25aの第二の貫通孔255を介して、可動板25aの上面領域257と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111gに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板25aの第一の貫通孔252を介して領域111aに移動する。同様に、加圧された領域111c内の粘性流体13が、可動板25bのガイド部材256に保持されている逆止弁26を押し上げ、可動板25bの第二の貫通孔255を介して、可動板25bの上面領域257と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111hに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板25bの第一の貫通孔252を介して領域111dに移動する。
【0062】
これにより、加圧される側の領域111b、111c内の粘性流体13の圧力が高くならずに、弱い制動トルクが発生する。
【0063】
以上、本発明の第二実施の形態を説明した。
【0064】
本実施の形態では、円筒室111内に充填された粘性流体13の調圧領域111g、111h経由での移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパ2において、この回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性を向上させるようにしている。
【0065】
具体的には、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られる領域111eを塞ぐように、可動板25aを、蓋14の裏面142とロータ12のベーン124aの上面126との間に配置するとともに、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られる領域111fを塞ぐように、可動板25bを、蓋14の裏面142とロータ12のベーン124bの上面126との間に配置した。ここで、可動板25a、25bには、ロータ12aを正転方向に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d側に第一の貫通孔252が形成され、減圧される領域111b、111c側に第二の貫通孔255が形成されている。また、可動板25a、25bの上面領域257には、第二の貫通孔255を開閉する逆止弁26が設けられている。
【0066】
そして、ケース11に対してロータ12aを正転方向に相対的に回転させた場合に、粘性流体13が、第一の貫通孔252を介して、可動板25a、25bの上面領域257と蓋14の裏面142とにより区切られる調圧領域111g、111hへ移動し、逆止弁26を第二の貫通孔255に押し付けて第二の貫通孔255を塞ぐ。このため、可動板25a、25bのベース部材250の上面254側の方が、可動板25a、25bのベース部材250の下面253側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板25a、25bのベース部材250の上面254側の調圧領域111g、111fの圧力が、可動板25a、25bのベース部材250の下面253側の圧力より高くなる。これにより、可動板25a、25bがロータ12aのベーン124a、124bの上面126に押し付けられ、ベーン124a、124bの上面126と可動板25a、25bのベース部材250の下面253との密着性が向上する。
【0067】
このため、本実施の形態によれば、回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性が向上するので、加えられた回転力に対してより強い制動トルクを発生させることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、可動板25a、25bの各々に、ケース11に対するロータ12aの正転方向の相対回転に対して第二の貫通孔255を閉口し、ケース11に対するロータ12aの逆転方向の相対回転に対して第二の貫通孔255を開口する逆止弁26を設けている。
【0069】
このため、本実施の形態によれば、ロータ12aを正転方向に回転させる回転力が加えられた場合にのみ、強い制動トルクを発生させることのできる一方向性のロータリダンパ2を実現することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、可動板25a、25bを蓋14の裏面142と、ロータ12aのベーン124a、124bの上面126との間に配置したが、本発明はこれに限定されない。可動板25a、25bを円筒室111の底面116と、ロータ12aのベーン124a、124bの下面125との間に配置してもよい。あるいは、蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124a、124bの上面126との間、および円筒室111の底面116とロータ12aのベーン124a、124bの下面125との間の双方に配置するようにしてもよい。
【0071】
<第三実施の形態>
上記の第一および第二実施の形態では、正転方向の回転に対してのみ強い制動トルクを発生させる一方向性のロータリダンパ1、2について説明した。これに対し、本実施の形態では、正逆転双方向の回転に対して強い制動トルクを発生させる双方向性のロータリダンパ3について説明する。
【0072】
本実施の形態に係るロータリダンパ3が、図9に示す第二実施の形態に係るロータリダンパ2と異なる点は、可動板25a、25bに代えて可動板35a、35bを設けたことである。その他の構成は第二実施の形態に係るロータリダンパ2と同じであるため、以下においては、それらについての詳細な説明を省略する。
【0073】
図14(A)、(B)は、可動板35a、35bの上面図、正面図であり、図14(C)、(D)は、図14(A)に示すG−G断面図、H−H断面図であり、図14(E)は、図14(C)のC部分の拡大図であり、図14(F)は、図14(D)のD部分の拡大図である。
【0074】
図示するように、一方の可動板35aは、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られる円筒室111内の領域111e(図15参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111eを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124aの上面126との間に配置されている。同様に、他方の可動板35bは、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られる円筒室111内の領域111f(図15参照)と同じ扇形の板状部材であり、この領域111fを塞ぐように蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124bの上面126との間に配置されている。
【0075】
また、可動板35a、35bが蓋14の裏面142と当接する位置まで移動した場合でも、可動板35a、35bの上面(蓋14側の面)354と蓋14の裏面142との間にギャップ(調圧領域111g、111h、図15参照)が形成されるように、可動板35a、35bは、扇形状の平板部材からなるベース部材350と、ベース部材350の上面354側の外周部全体に、上方に突出するように形成された縁部351と、を有し、縁部351に囲まれた凹部の領域(上面領域)358が形成されている。ベース部材350の下面353から縁部351の上面359までの厚さtは、ベース部材350の厚さt1よりも大きい厚さを有している。なお、可動板35a、35bの縁部351と、円筒室111の側壁面113、仕切り115a、115b、およびロータ12aの外周面122とのギャップから粘性流体13が移動しないように、縁部351にリップシール等を取り付けて密封性を高めるようにしてもよい。
【0076】
また、可動板35a、35bの上面領域358には、ロータ12aを正転方向(本実施の形態ではα方向、図15参照)に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d(図15参照)側の縁部351近傍に、第一の貫通孔352が形成されている。そして、可動板35a、35bの上面領域358の領域111a、111d側の縁部351近傍には、第一の貫通孔352を開閉できるように、板状の逆止弁36aをスライド可能に保持するガイド部材357が形成されている。
【0077】
また、可動板35a、35bの上面領域358には、ロータ12aを正転方向(本実施の形態ではα方向、図15参照)に回転させた場合に粘性流体13が減圧される領域111b、111c(図15参照)側の縁部351近傍に、第二の貫通孔355が形成されている。そして、可動板35a、35bの上面領域358の領域111b、111c側の縁部351近傍には、第二の貫通孔355を開閉できるように、板状の逆止弁36bをスライド可能に保持するガイド部材356が形成されている。
【0078】
つぎに、ロータリダンパ3の動作原理を説明する。図15(A)〜図15(D)および図16(A)〜(D)は、ロータリダンパ3の動作原理を説明するための図である。
【0079】
図15(A)に示すように、ケース11に対してロータ12aが正転方向(本実施の形態ではα方向)に相対的に回転した場合、図15(B)〜図15(D)に示すように、加圧された領域111a内の粘性流体13が、可動板35aのガイド部材357に保持されている逆止弁36aを押し上げて、可動板35aの第一の貫通孔352から、可動板35aの上面領域358と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111gに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板35aのガイド部材356に保持されている逆止弁36bが可動板35aの第二の貫通孔355に押し付けられ、可動板35aの第二の貫通孔355が閉口する。このため、可動板35aのベース部材350の上面354側の方が、可動板35aのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35aのベース部材350の上面354側の調圧領域111gの圧力が、可動板35aのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、可動板35aがロータ12aのベーン124aの上面126に押し付けられ、ロータ12aのベーン124aの上面126と可動板35aのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0080】
同様に、加圧された領域111d内の粘性流体13が、可動板35bのガイド部材357に保持されている逆止弁36aを押し上げて、可動板35bの第一の貫通孔352から、可動板35bの上面領域358と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111hに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板35bのガイド部材356に保持されている逆止弁36bが可動板35bの第二の貫通孔355に押し付けられ、可動板35bの第二の貫通孔355が閉口する。このため、可動板35bのベース部材350の上面354側の方が、可動板35bのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35bのベース部材350の上面354側の調圧領域111hの圧力が、可動板35bのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、可動板35bがロータ12aのベーン124aの上面126に押し付けられ、ロータ12aのベーン124bの上面126と可動板35bのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0081】
この結果、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性が向上して、加圧される側の領域111a、111dから減圧される側の領域111b、111cへの粘性流体13の移動がより制限され、加圧される側の領域111a、111d内の粘性流体13の圧力がより高まって、強い制動トルクが発生する。
【0082】
一方、図16(A)に示すように、ケース11に対してロータ12aが逆転方向(本実施の形態ではβ方向)に相対的に回転した場合、図16(B)〜図16(D)に示すように、加圧された領域111b内の粘性流体13が、可動板35aのガイド部材356に保持されている逆止弁36bを押し上げて、可動板35aの第二の貫通孔355から、可動板35aの上面領域358と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111gに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板35aのガイド部材357に保持されている逆止弁36aが可動板35aの第一の貫通孔352に押し付けられ、可動板35aの第一の貫通孔352が閉口する。このため、可動板35aのベース部材350の上面354側の方が、可動板35aのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35aのベース部材350の上面354側の調圧領域111gの圧力が、可動板35aのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、可動板35aがロータ12aのベーン124aの上面126に押し付けられ、ロータ12aのベーン124aの上面126と可動板35aのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0083】
同様に、加圧された領域111c内の粘性流体13が、可動板35bのガイド部材356に保持されている逆止弁36bを押し上げて、可動板35bの第二の貫通孔355から、可動板35bの上面領域358と蓋14の裏面142との間に形成される調圧領域111hに移動する。そして、粘性流体13の圧力により、可動板35bのガイド部材357に保持されている逆止弁36aが可動板35bの第一の貫通孔352に押し付けられ、可動板35bの第一の貫通孔352が閉口する。このため、可動板35bのベース部材350の上面354側の方が、可動板35bのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35bのベース部材350の上面354側の調圧領域111hの圧力が、可動板35bのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、可動板35bがロータ12aのベーン124aの上面126に押し付けられ、ロータ12aのベーン124bの上面126と可動板35bのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0084】
この結果、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性が向上して、加圧される側の領域111b、111cから、減圧される側の領域111a、111dへの粘性流体13の移動がより制限され、加圧される側の領域111b、111c内の粘性流体13の圧力がより高まって、強い制動トルクが発生する。
【0085】
以上、本発明の第三実施の形態を説明した。
【0086】
本実施の形態でも、上記第二実施の形態と同様、円筒室111内に充填された粘性流体13の調圧領域111g、111h経由での移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパ3において、この回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性を向上させるようにしている。
【0087】
具体的には、円筒室111の仕切り115aの一方の径方向側面132aと、仕切り115bの他方の径方向側面133bとにより区切られる領域111eを塞ぐように、可動板35aを、蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124aの上面126との間に配置するとともに、円筒室111の仕切り115aの他方の径方向側面132bと、仕切り115bの一方の径方向側面133aとにより区切られる領域111fを塞ぐように、可動板35bを、蓋14の裏面142とロータ12aのベーン124bの上面126との間に配置した。ここで、可動板35a、35bには、ロータ12aを正転方向に回転させた場合に粘性流体13が加圧される領域111a、111d側に第一の貫通孔352が形成され、減圧される領域111b、111c側に第二の貫通孔355が形成されている。また、可動板35a、35bの上面領域358には、第一の貫通孔352を開閉する逆止弁36a、および、第二の貫通孔355を開閉する逆止弁36bが設けられている。
【0088】
そして、ケース11に対してロータ12aを正転方向に相対的に回転させた場合に、粘性流体13が、逆止弁36aを押し上げ、第一の貫通孔352を介して、可動板35a、35bの上面領域358と蓋14の裏面142とにより区切られる調圧領域111g、111hへ移動し、逆止弁36bを第二の貫通孔355に押し付けて第二の貫通孔355を塞ぐ。このため、可動板35a、35bのベース部材350の上面354側の方が、可動板35a、35bのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35a、35bのベース部材350の上面354側の調圧領域111g、111fの圧力が、可動板35a、35bのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、可動板35a、35bがロータ12aのベーン124a、124bの上面126に押し付けられ、ベーン124a、124bの上面126と可動板35a、35bのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0089】
また、ケース11に対してロータ12aを逆転方向に相対的に回転させた場合に、粘性流体13が、逆止弁36bを押し上げ、第二の貫通孔355を介して、可動板35a、35bの上面領域358と蓋14の裏面142とにより区切られる調圧領域111g、111hへ移動し、逆止弁36aを第一の貫通孔352に押し付けて第一の貫通孔352を塞ぐ。このため、可動板35a、35bのベース部材350の上面354側の方が、可動板35a、35bのベース部材350の下面353側よりも、加圧された粘性流体13の圧力を受ける面積が大きくなり、可動板35a、35bのベース部材350の上面354側の調圧領域111g、111fの圧力が、可動板35a、35bのベース部材350の下面353側の圧力より高くなる。これにより、調圧領域111g、111h内の粘性流体13の圧力が高まって、可動板35a、35bがベーン124a、124bの上面126に押し付けられ、ベーン124a、124bの上面126と可動板35a、35bのベース部材350の下面353との密着性が向上する。
【0090】
このため、本実施の形態によれば、回転力が強くなって粘性流体13の圧力が増すほど、円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12のベーン124aにより区切られる領域111aと領域111bとの間、および円筒室111の仕切り115a、115bおよびロータ12aのベーン124bにより区切られる領域111dと領域111cとの間の遮断性が向上するので、加えられた回転力に対してより強い制動トルクを発生させることができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、ロータ12aを正逆いずれの方向に回転させる回転力が加えられた場合でも、強い制動トルクを発生させることのできる双方向性のロータリダンパ3を実現することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、可動板35a、35bを蓋14の裏面142とベーン124a、124bの上面126との間に配置したが、本発明はこれに限定されない。可動板35a、35bを円筒室111の底面116とベーン124a、124bの下面125との間に配置してもよい。あるいは、蓋14の裏面142とベーン124a、124bの上面126との間、および円筒室111の底面116とベーン124a、124bの下面125との間の双方に配置するようにしてもよい。
【0093】
また、上記の第一ないし第三実施の形態に係るロータリダンパ1〜3では、円筒室111に一対の仕切り115a、115bを設けるとともに、ロータ12、12aに一対のベーン124a、124bを設けた場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。円筒室111に形成された仕切りと同数のベーンがロータ12、12aに形成されていればよく、それらの数は限定されない。この場合、仕切りと同数の可動板が必要となる。
【0094】
また、上記の第一ないし第三実施の形態に係るロータリダンパ1〜3は、例えば自動車、鉄道車両、航空機、船舶等で用いられるリクライニング機能付きの座席シートに広く適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1〜3:ロータリダンパ11:ケース、12、12a:ロータ、13:粘性流体、14:蓋、15a、15b:可動板、16:逆止弁、25a、25b:可動板、26:逆止弁、35a、35b:可動板、36a、36b:逆止弁、110:円筒室111の中心線、111:円筒室、112:ケース本体、113:ケース本体112の内周面(円筒室111の側壁面)、114:仕切り115a、115bの先端面、115a、115b:仕切り、116:円筒室111の底面、117:円筒室111の開口部、118:フランジ部、118a:フランジ部118のネジ穴、119:ケース本体112の上面、120:ロータ12、12aの回転軸、121:ロータ12、12aの貫通孔、122:ロータ12、12aの外周面、123:ベーン124a、124bの先端面、124a、124b:ベーン、125:ベーン124a、124bの下面、126:ベーン124a、124bの上面、127:リップシール、128a、128b:流路、129a:ロータ12、12aの下端部、129b:ロータ12、12aの上端部、131:ロータ本体、132a、132b:仕切り115aの側面、133a、133b:仕切り115bの側面、141:蓋14の開口部、142:蓋14の裏面、143a:蓋14の貫通孔、150:可動板15a、15bのベース部材、151:ベース部材150の縁部、152:可動板15a、15bの第一の貫通孔、153:ベース部材150の下面、154:ベース部材150の上面、155:可動板15a、15bの上面領域、250:可動板25a、25bのベース部材、251:ベース部材250の縁部、252:可動板25a、25bの第一の貫通孔、253:ベース部材250の下面、254:ベース部材250の上面、255:可動板25a、25bの第二の貫通孔、256:逆止弁26のガイド部材、257:可動板25a、25bの上面領域、350:可動板35a、35bのベース部材、351:ベース部材350の縁部、352:可動板35a、35bの第一の貫通孔、353:ベース部材350の下面、354:ベース部材350の上面、355:可動板35a、35bの第二の貫通孔、356:逆止弁36bのガイド部材、357:逆止弁36aのガイド部材、358:可動板35a、35bの上面領域、1281:第一の流路区間、1282:第二の流路区間、1283:逆止弁16のストッパ、1284:第一の流路区間と第二の流路区間との境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填された粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパであって、
上面が開口され、前記粘性流体が充填された円筒室を備えるケースと、
前記回転力により、前記ケースに対して前記円筒室の中心線周りに相対的に回転するように、前記円筒室に収容されたロータと、
前記円筒室に収容され、前記円筒室の中心線の方向に移動可能に配置された可動板と、
前記円筒室の上面側に取り付けられ、前記ロータおよび前記可動板を前記粘性流体とともに前記円筒室内に封じ込めるための蓋と、を有し、
前記円筒室の内壁面には、
先端面が前記ロータの外周面と近接する凸状の仕切りが形成されており、
前記ロータの外周面には、
先端面が前記円筒室の内壁面と近接するベーンが形成されており、
前記可動板は、
前記仕切りによって区切られる領域を塞ぐように、前記蓋と前記ベーンとの間、あるいは前記円筒室の底面と前記ベーンとの間に配置され、前記仕切りおよび前記ベーンにより区切られる領域のうち、前記ケースに対して前記ロータを第一の回転方向に相対的に回転させた場合に当該領域内の前記粘性流体が加圧される領域側に第一の貫通孔が形成されており、
前記粘性流体は、
前記ケースに対して前記ロータを前記第一の回転方向に相対的に回転させた場合に、前記第一の貫通孔を介して、当該可動板と前記蓋とにより区切られる領域、あるいは当該可動板と前記円筒室の底面とにより区切られる領域である調圧領域へ移動して、当該可動板を前記ベーンに押し付ける
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリダンパであって、
前記仕切りおよび前記ベーンの少なくも一方には、前記仕切りおよび前記ベーンにより区切られる領域間を繋ぐ流路が形成されており、
前記粘性流体の圧力により、前記ケースに対する前記ロータの前記第一の回転方向の相対的な回転に対して前記流路を閉口し、前記ケースに対する前記ロータの前記第一の回転方向とは逆の第二の回転方向への相対的な回転に対して前記流路を開口する逆止弁をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項3】
請求項1に記載のロータリダンパであって、
前記可動板は、
前記仕切りおよび前記ベーンにより区切られる領域のうち、前記ケースに対して前記ロータを前記第一の回転方向に相対的に回転させた場合に当該領域内の前記粘性流体が減圧される領域側に第二の貫通孔が形成されており、
前記粘性流体の圧力により、前記ケースに対する前記ロータの前記第一の回転方向への相対的な回転に対して前記第二の貫通孔を閉口し、前記ケースに対する前記ロータの前記第二の回転方向への相対的な回転に対して前記第二の貫通孔を開口する第一の逆止弁をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項4】
請求項3に記載のロータリダンパであって、
前記粘性流体の圧力により、前記ケースに対する前記ロータの前記第一の回転方向への相対的な回転に対して前記第一の貫通孔を開口し、前記ケースに対する前記ロータの前記第二の回転方向への相対的な回転に対して前記第一の貫通孔を閉口する第二の逆止弁をさらに有し、
前記ケースに対して前記ロータを前記第一の回転方向に回転させた場合に、前記粘性流体は、前記第二の逆止弁を開口させ、前記第一の貫通孔を介して前記調圧領域へ移動し、前記第一の逆止弁により前記第二の貫通孔が閉口された当該調圧領域内に留まって、当該可動板を前記ベーンの上面あるいは下面に押し付け、
前記ケースに対して前記ロータを前記第二の回転方向に相対的に回転させた場合に、前記粘性流体は、前記第一の逆止弁を開口させ、前記第二の貫通孔を介して前記調圧領域へ移動し、前記第二の逆止弁により前記第一の貫通孔が閉口された当該調圧領域内に留まって、当該可動板を前記ベーンの上面あるいは下面に押し付ける
ことを特徴とするロータリダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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