説明

ロータリー耕耘機

【課題】様々な仕様の自走機に対応できる作業機取付部を備えるロータリー耕耘機を提供する。
【解決手段】トラクタ(自走機)10の後部に取り付け、耕耘爪17で耕作地Gを耕耘し、サイドスキ(作業機)33に備える棒状の被取付部材34の先端を回動自在に取り付ける作業機取付部37を備えるとともに、デプスビーム31Bに支持部材36を取り付け、その支持部材36が被取付部材34の中間部分を回動・スライド自在に支持することによって、サイドスキ33を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走機の後部に取り付け、耕耘爪で耕作地を耕耘するロータリー耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば図8に示すように、従来のロータリー耕耘機115はトラクタ(自走機)110の後部に取り付ける。ロータリー耕耘機115の本体の右側部の本体フレーム116には円筒状の作業機取付部132を着脱自在に取り付ける。
ロータリー耕耘機115にサイドスキ(作業機)133を取り付けるには、サイドスキ133の棒状の被取付部材134の先端を作業機取付部132内に挿入してボルト135などで固定し、被取付部材134を作業機取付部132に固定する。そして、トラクタ110を矢印U方向に前進させて、ロータリー耕耘機115で耕作面Qを耕耘しながら、アゼぎわの溝上げ・アゼ削りなどの残耕処理作業をサイドスキ133にて行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、サイドスキ133を取り付けたロータリー耕耘機115をトラクタ110とは仕様の異なるトラクタの後部に取り付けると、サイドスキ133と耕作面Qとの位置関係が不適当となり、所望の残耕処理作業ができないという問題があった。このため、仕様の異なるトラクタにロータリー耕耘機115を取り付けるたびに着脱自在の作業機取付部132を適当な作業機取付部と交換しなければならず、交換用の作業機取付部を複数種類配備するための保管場所が必要であった。また、作業機取付部132を交換する時間を要するため農作業の効率が悪いという問題もあった。
そこでこの発明の目的は、様々な仕様の自走機に対応できる作業機取付部を備えるロータリー耕耘機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため請求項1に記載の発明は、自走機の後部に取り付け、耕耘爪で耕作地を耕耘するロータリー耕耘機において、
作業機に備える棒状の被取付部材の先端を回動自在に取り付ける作業機取付部を備えるとともに、
デプスビームに支持部材を取り付け、該支持部材が前記被取付部材の中間部分を回動・スライド自在に支持することによって、前記作業機を装着することを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロータリー耕耘機において、前記作業機取付部が円筒状の保持部材を備え、前記被取付部材を前記円筒状の保持部材に挿入して保持することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のロータリー耕耘機において、前記支持部材が、前記デプスビームに取り付けるかぎ状の引掛部と、該引掛部から延設された回動部と、該回動部に対して回動自在に設けられた円筒状の支持部とを備え、
前記被取付部材を前記円筒状の支持部に挿入してスライド自在に支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、作業機に備える棒状の被取付部材の先端を回動自在に取り付ける作業機取付部を備えるとともに、デプスビームに支持部材を取り付け、その支持部材が被取付部材の中間部分を回動・スライド自在に支持することによって、作業機を装着するので、別の自走機をロータリー耕耘機に取り付けた際に、ロータリー耕耘機の姿勢の変化に合わせて、作業機取付部および支持部材が回動、スライドするので、様々な仕様の自走機に対応できる作業機取付部を備えるロータリー耕耘機を提供することができる。また、これまでのように、自走機に合わせた作業機取付部を付け替える必要がなく、農作業を効率よく行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、作業機取付部が円筒状の保持部材を備え、被取付部材を円筒状の保持部材に挿入して保持するので、簡単な構成で作業機を取り付けることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、支持部材が、デプスビームに取り付けるかぎ状の引掛部と、その引掛部から延設された回動部と、その回動部に対して回動自在に設けられた円筒状の支持部とを備え、被取付部材を円筒状の支持部に挿入してスライド自在に支持するので、簡単な構成で様々な仕様の自走機に対応できる作業機取付部を備えるロータリー耕耘機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1はこの発明のロータリー耕耘機に作業機であるサイドスキを取り付けた状態の概略側面図、図2は図1に備えるメインビーム付近の拡大平面図である。
ロータリー耕耘機15の前方にはトラクタ(自走機)10を連結している。トラクタ10の進行方向Zの後部には、トップリンク11と左右一対のロワーリンク12、およびPTO軸13を設ける。トップリンク11および左右一対のロワーリンク12の先端には、ロータリー耕耘機15を取り付ける。なお、PTO軸13にはユニバーサル回動14を介して、ロータリー耕耘機15のギアボックス22を連結する。
【0011】
このギアボックス22内にて、ユニバーサル回動14の回転方向が変えられ、円筒状のメインビーム21内のシャフトの一端に取り付けられたギア42cがチェーンケース50内にてチェーン43に動力を伝達し、このチェーン43に係合する不図示のギアと直結された爪軸17aが回転することによって爪軸17aの外周面に突設された耕耘爪17が回転するようになっている。
耕耘爪17の回転する上方にはロータリーカバー18を備え、そのロータリーカバー18の後端にはリヤカバー19が回動部20を介して回動自在に連結されている。
【0012】
ロータリーカバー18には、伸縮自在のアジャストロッドが取り付けられている。一方、アジャストロッドはアッパーアーム29に回動自在に取り付けられている。さらに、アジャストロッドの一端にはハンドル25を延設する。
したがって、ハンドル25を回転操作することによってアジャストロッドが伸縮してロータリーカバー18を爪軸17aを中心に前後回動するように構成され、耕深に合わせてロータリーカバー18が位置調整をすることができるようになっている。
【0013】
リヤカバー19の後端にはハンガーロッド26の下端が回動自在に軸支されている。一方、ロータリーカバー18の後部表面には左右両側にロッドステー27が後斜め上方に向けて設けられ、そのロッドステー27の上端部にハンガーロッド26の上部が回動軸28の周りに回動自在に、かつハンガーロッド26の長さ方向に摺動自在に支持されている。また、ハンガーロッド26の外周には不図示のコイルバネが巻きつけられ、リヤカバー19を下方(図1において反時計回り)に付勢している。
【0014】
また、メインビーム21の幅方向略中央の上部外周に設けられたV字状のアッパーアーム29の一端には、トラクタ10のトップリンク11が取り付けられる。さらに、アッパーアーム29の別の一端には、アジャストスクリュー30の一端が回動自在に取り付け、そのアジャストスクリュー30の一端に調整ハンドル32を取り付ける。なお、デプスビーム31Aの一端は、メインビーム21から延設した2つのステー21aにそれぞれピン31aを介して回動自在に取り付けられる。そして、調整ハンドル32を回転させることによって、アジャストスクリュー30が伸縮し、円柱状のデプスビーム31Aがピン31aを中心として回動するように構成されている。
なお、ロータリーカバー18の後側部にサイドカバーを取り付けたり、リヤカバー19の後端にサイドアンダーカバーを取り付けたりしてもよい。
以上説明したロータリー耕耘機15の構成は、従来から公知の技術によるものと同様である。
【0015】
ところで、ロータリー耕耘機15の本体フレーム16の外側面には、作業機取付部37を回動自在に設ける。作業機取付部37は、円筒状の保持部材52と、その保持部材52の外周面に開孔して保持部材52の直径方向に取り付けたネジなどの固定部材35、保持部材52を本体フレーム16に回動自在に取り付ける回動部材38とからなる。
【0016】
また、2つのステー21aにそれぞれ取り付けられ、平行に設けられた2つのデプスビーム31Aの後端に、2つのデプスビーム31Aに直交する方向に四角筒状のデプスビーム31Bをネジ止めなどによって固設する。このデプスビーム31Bの本体フレーム16側には、支持部材36を着脱自在に取り付ける。
【0017】
図3(a)は図1,2に示す支持部材36付近の拡大側面図、図3(b)は図3(a)のA矢視平面図、図4(a)は図3(b)のB矢視断面図、図4(b)は図3(b)のC矢視断面図である。
支持部材36は、略コの字状の断面を有する板状の引掛部36A1と、その引掛部36A1に連続して設けられた中空で四角柱形状の回動部36A2と、その回動部36A2の中空部分36AAに回動自在に備えられた回動バー36Bと、その回動バー36Bの一端に溶接などによって固設された円筒状の支持部36Cなどから構成されている。
なお、回動バー36Bの他端は封止部材36B1によって回動バー36Bが中空部分36AAから抜け落ちないように構成されている。また、回動バー36Bは中空部分36AA内を回動自在となるように設けられている。
引掛部36A1は、デプスビーム31Bに取り付けたとき容易に脱落しないように、コの字の開口部分の寸法を、デプスビーム31Bの取付幅より若干狭くかつ、弾力性を持って形成する。そして取り付ける際は、この開口部分を開くようにして取り付ける。
支持部36C内には、後述するサイドスキ(作業機)のパイプ状の被取付部材34を挿入する。なお、被取付部材34は支持部36C内を摺動自在となっている。
【0018】
次に、このように構成されたロータリー耕耘機15にサイドスキ33を取り付けて、ロータリー耕耘機15で耕作面Gを耕耘しながら、アゼぎわの溝上げ・アゼ削りなどの残耕処理作業を行う手順を図1〜4を参照しつつ、図5(a),(b)を用いて説明する。
まず、支持部材36をデプスビーム31Bの本体フレーム16側に取り付ける。詳しくは、引掛部36A1の開口部分を広げて、デプスビーム31Bにはさむようにして取り付ける。次に、支持部材36の支持部36Cに形成された中空部分36AAにサイドスキ33の被取付部材34を先端から貫通し、さらに被取付部材34の先端を保持部材52の中空部分に挿入する。そして、被取付部材34の先端を固定部材35にて固定し、サイドスキ33をロータリー耕耘機15に取り付ける(図5(a))。
【0019】
そして、調整ハンドル32を回転させてデプスビーム31Aをピン31aを支点として下方に回動させる。これによってデプスビーム31Aの後端に取り付けられたデプスビーム31Bも下方に回動する。なお、被取付部材34は、支持部材36を介してデプスビーム31Bに取り付けられるとともに保持部材52を介して本体フレーム16に取り付けられている。
したがって、デプスビーム31A,31Bが回動すると、デプスビーム31A,31Bに取り付けられた被取付部材34の中間部がピン31aを中心として矢印R方向に回動する。この被取付部材34の中間部が回動するのに連れて、保持部材52に取り付けられた被取付部材34の先端が回動部材38を回動中心として矢印R方向に回動する。
【0020】
なお、この回動動作による回動中心は、デプスビーム31A,31Bの回動中心であるピン31aと、保持部材52の回動中心である回動部材38との2点があるため、支持部36C内を被取付部材34が矢印L方向にスライドするとともに、回動バー36Bが中空部分36AA内で回動することによって、デプスビーム31A,31Bと保持部材52との回動によるゆがみを解消するようになっている。
このように、調整ハンドル32を回転させてサイドスキ33の底部33bが耕作面Gに当接するように調節する。
【0021】
ところで、この発明のロータリー耕耘機15のデプスビーム31Bの端部には、図6に示すように、引き出し状の収納部55を設けてもよい。この収納部55は、引出部55Bおよび蓋部55Aとから構成される。
また、引出部55Bは、図7(a),(b)に示すように間仕切りを施したり、円筒状に形成してもよい。
【0022】
以上、説明したように、この発明のロータリー耕耘機15は、トラクタ(自走機)10の後部に取り付け、耕耘爪17で耕作地Gを耕耘し、サイドスキ(作業機)33に備える棒状の被取付部材34の先端を回動自在に取り付ける作業機取付部37を備えるとともに、デプスビーム31Bに支持部材36を取り付け、その支持部材36が被取付部材34の中間部分を回動・スライド自在に支持することによって、サイドスキ33を装着するものである。また、作業機取付部37が円筒状の保持部材52を備え、被取付部材34を円筒状の保持部材52に挿入して保持するものである。さらに、支持部材36が、デプスビーム31Bに取り付けるかぎ状の引掛部36A1と、その引掛部36A1から延設された回動部36A2と、その回動部36A2に対して回動自在に設けられた円筒状の支持部36Bとを備え、被取付部材34を円筒状の支持部36Bに挿入してスライド自在に支持するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明のロータリー耕耘機にサイドスキを取り付けた状態の概略側面図である。
【図2】図1のメインビーム付近の拡大平面図である。
【図3】(a)は図1の支持部材付近の拡大側面図、(b)は(a)のA矢視平面図である。
【図4】(a)は図3(b)のB矢視断面図、(b)は図3(b)のC矢視断面図である。
【図5】(a),(b)は、調整ハンドルを回転させてサイドスキを回動させる様子を説明するための図である。
【図6】デプスビームの端部に備える収納部の斜視図である。
【図7】(a),(b)は図6の収納部の別の例を示す斜視図である。
【図8】従来のロータリー耕耘機にサイドスキを取り付けた状態の概略側面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 トラクタ(自走機)
11 トップリンク
12 ロワーリンク
13 PTO軸
14 ユニバーサル回動
15 ロータリー耕耘機
16 本体フレーム
17 耕運爪
17a 爪軸
18 ロータリーカバー
19 リヤカバー
19a 反射部(反射部材)
20 回動部
21 メインビーム
21a ステー
22 ギアボックス
24 アジャストロッド
25 調整ハンドル
26 ハンガーロッド
27 ロッドステー
29 アッパーアーム
30 アジャストスクリュー
31A,31B デプスビーム
32 調整ハンドル
33 サイドスキ(作業機)
33b 底面
34 被取付部材
35 固定部材(作業機取付部)
36 支持部材
36AA 中空部分
36A1 引掛部
36A2 回動部
36B 回動バー
36B1 封止部材
36C 支持部
37 作業機取付部
38 回動部材(作業機取付部)
42c ギア
43 チェーン
50 チェーンケース
52 保持部材(作業機取付部)
55 収納部
55A 蓋部
55B 引出部
G 耕作面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機の後部に取り付け、耕耘爪で耕作地を耕耘するロータリー耕耘機において、
作業機に備える棒状の被取付部材の先端を回動自在に取り付ける作業機取付部を備えるとともに、
デプスビームに支持部材を取り付け、該支持部材が前記被取付部材の中間部分を回動・スライド自在に支持することによって、前記作業機を装着することを特徴とする、ロータリー耕耘機。
【請求項2】
前記作業機取付部が円筒状の保持部材を備え、前記被取付部材を前記円筒状の保持部材に挿入して保持することを特徴とする、請求項1に記載のロータリー耕耘機。
【請求項3】
前記支持部材が、前記デプスビームに取り付けるかぎ状の引掛部と、該引掛部から延設された回動部と、該回動部に対して回動自在に設けられた円筒状の支持部とを備え、
前記被取付部材を前記円筒状の支持部に挿入してスライド自在に支持することを特徴とする、請求項1に記載のロータリー耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−166754(P2006−166754A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361343(P2004−361343)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】