説明

ロータリ耕耘装置

【課題】ベベルギア機構2、2aを介して動力伝動されるロータリ駆動軸3と動力入力軸4とを軸支するケーシング5の上部に注油口12を開設し、該注油口12にブリーザ孔13a付きの注油栓13を設けたロータリ耕耘装置1において、ブリーザ孔13aから潤滑油が炉移出するのを防止する。
【解決手段】ケーシング5内に、注油口12から下方に続く状態で横向きになった第一の開口14と、縦向きになった第二の開口14ことを分岐形成することで、ベベルギア機構2、2aによって飛散する潤滑油の飛沫が直接注油口12に達することがないようにしながら、該第一の開口に入り込んだ潤滑油を前期第二の開口14bから流れ落ちるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の牽引作業車に牽引されて耕耘作業をするためのロータリ耕耘装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のロータリ耕耘装置においては、ベベルギア機構を介して互いに動力伝動されるロータリ駆動軸と動力入力軸とをケーシングで軸支しているが、該ケーシングには、これらベベルギア機構等の機械部品の潤滑のため潤滑油(オイル)が充填されている。そしてケーシングの上部には注油口が開設されているが、該注油口には、前記充填された潤滑油(オイル)の油温変化に対応させるためブリーザ孔を有する注油栓を設けていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭63−2404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで前記従来のものは、単にケーシング上部に穿設した注油口を注油栓で塞ぐだけであったから、作業時、回転するギアによって激しく拡散されて飛散する潤滑油の飛沫が注油栓に達し、潤滑油がブリーザ孔から漏出してしまうという問題がある。そこで図4に示す如く、注油口12の下方に続く状態で断面略L字形になっていて横向きの開口14をケーシング5に形成し、これによって飛散する潤滑油が直接注油栓に当たらないようにすることが提唱される。ところがこのようにした場合、激しく飛散する潤滑油が開口14内においてブリッジ状になって入り込み、該入り込んだ潤滑油が油温の上昇によって注油栓にまで達してブリーザ孔からの油漏れ発生を防ぎきれない惧れがあり、ここに本発明が解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、ベベルギア機構を介して動力伝動されるロータリ駆動軸と動力入力軸とを軸支するケーシングの上部に注油口を開設し、該注油口にブリーザ孔付きの注油栓を設けて構成されるロータリ耕耘装置において、前記ケーシング内に、注油口の下方に続く状態で、横向きになった第一の開口と縦向きになった第二の開口とが分岐形成されていることを特徴とするロータリ耕耘装置である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明とすることで、注油口から下方に続く状態で横向きになった第一の開口によってベベルギアで激しく拡散される潤滑油の飛沫が直接注油口に達しないようにしたものでありながら、該開口内に浸入した潤滑油は、注油口下方に形成の縦向きの第二の開口から流れ出ることになって注油栓にまで達することがなく、この結果、潤滑油がブリーザ孔から漏出してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次ぎに、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図中、1はトラクタ等の牽引走行車に牽引されて耕耘作業をするサイドロータリ方式のロータリ耕耘装置であって、該ロータリ耕耘装置1は、ベベルギア機構2、2aを介して互いに動力伝動される動力入力軸3とロータリ駆動軸4とを軸支するケーシング5を備えて構成されているが、ロータリ駆動軸4の先端は、ロータリ耕耘装置1の左右方向一側に設けたチエンケース6に軸支されている。チエンケース6内は、ロータリ駆動軸4の動力をチエン伝動機構7を介してロータリ軸8に伝動するように構成され、ロータリ軸8に設けた耕耘爪9の回転によって圃場の耕耘をするようになっていること等は何れも従来とおりである。尚、図中、10はチエンケース6とは反対側に設けられるサイドプレート、11はロータリ駆動軸4を被覆すべくケーシング5とチエンケース6とのあいだに設けられる駆動軸ケースである。
【0007】
前記ケーシング5の上部には、ロータリ駆動軸4が軸支されるとは反対側(サイドプレート10側)に位置して注油口12が介設され、該注油口12には、ブリーザ孔13aが上端部に開設された注油栓13が着脱自在に設けられている。14、14bは注油口12から下方に続く状態でケーシング5内に分岐形成された第一、第二の開口であって、第一の開口14は、ロータリ駆動軸4に設けたベベルギア2aの回転軌跡よりも上方外方に位置する状態で該ベベルギア2aの回転軌跡に略沿った傾斜状態で、かつベベルギア2aに対向する側が開口する横向きに形成されていて、その下側片14aによってベベルギア2aで激しく攪拌された潤滑油の飛沫が直接注油口12に飛散するのを防止できるようになっている。さらに注油口12の下方(本実施の形態では直下)には、前記第一の開口14から分岐される状態で縦向きの第二の開口14bが開設されていて、該第一の開口14内に入り込んだ潤滑油をここから排出できるようになっている。
【0008】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、耕耘作業時、ベベルギア2aによって激しく攪拌された潤滑油の飛沫は、横向きの第一の開口14を形成している下側片14aがあることによって直接注油口12に飛散することがなく、このため該直接飛散した潤滑油がブリーザ孔13aに達して漏出することを回避できるが、さらに第一の開口14に入り込んだ潤滑油は、注油口12の下方に分岐形成された前記縦向きの第二の開口14bから流れ出ることになって、注油口12に達してしまうことが回避され、これによって潤滑油がブリーザ孔13aから漏出してしまうことをさらに高く防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ロータリ耕耘装置の一部を省略した部分断面正面図である。
【図2】ケーシング部位の縦断面背面図である。
【図3】ケーシング部分の立て断面側面図である。
【図4】本発明に至る以前のケーシング部位の縦断面背面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 ロータリ耕耘装置
3 動力入力軸
4 ロータリ駆動軸
5 ケーシング
12 注油口
13 注油栓
13a ブリーザ孔
14 第一の開口
14a 下側片
14b 第二の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベベルギア機構を介して動力伝動されるロータリ駆動軸と動力入力軸とを軸支するケーシングの上部に注油口を開設し、該注油口にブリーザ孔付きの注油栓を設けて構成されるロータリ耕耘装置において、前記ケーシング内に、注油口の下方に続く状態で、横向きになった第一の開口と縦向きになった第二の開口とが分岐形成されていることを特徴とするロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−244223(P2007−244223A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68757(P2006−68757)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】