説明

ロータンク設備

【課題】鉢部を容易に認識することができるロータンク設備を提供する。
【解決手段】手洗鉢5は裏側からの光を拡散させながら透過させるように半透明の合成樹脂にて構成されている。側周部の内面には、アルミ箔などよりなる反射材12が設けられている。インナータンク8の蓋9が反射板の機能を有したものとなっている。蓋9と鉢部5aとの間に光を投射するように光源13が設けられている。トイレルーム内に入室するか、又は便器洗浄用フラッシュ操作を行うと、光源13が点灯し、光源13からの光が鉢部5aを拡散しながら透過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備に係り、特に鉢部を照明する機能を備えたロータンク設備に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間などに用便のためにトイレルームに入室したときにトイレルーム内の照明が明るすぎると神経が刺激され眠気が乏しくなることがある。トイレルーム内の照度を低くしてもロータンク手洗鉢の使用を支障なく行うことができるようにするために、特開2001−295344には、ロータンクカバーの上面部に設けられる手洗鉢に光ファイバーよりなる発光部を設けることが記載されている。
【0003】
また、特開2003−155767の0022〜0025段落には、鉢部の裏側に配置したLEDからの光を、鉢部を透過させて吐水口に当てることが記載されている。
【0004】
特開2007−32071には、手洗鉢の最深部の排水口を通して光を吐水流に当てることが記載されている。
【特許文献1】特開2001−295344
【特許文献2】特開2003−155767
【特許文献3】特開2007−32071
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のロータンク設備では、いずれも照明がスポットライト調になり、鉢部を認識しにくい。
【0006】
本発明は、鉢部を容易に認識することができるロータンク設備を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、その一態様において、ロータンク上部をトイレルームの間接照明設備として機能させることができるロータンク設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のロータンク設備は、ロータンクカバーの上面部に手洗用の鉢部が設けられているロータンク設備において、該鉢部の少なくとも一部を鉢部裏側からの光を拡散させて透過させる半透明部とし、該半透明部の裏側に光源又は光源からの光を反射する反射板を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のロータンク設備は、請求項1において、該鉢部の全体が半透明部となっていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のロータンク設備は、請求項2において、さらに鉢部の周囲部も半透明部となっていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のロータンク設備は、請求項1において、鉢部の一部のみが半透明部となっており、半透明部以外は不透明となっているか又は遮光材で覆われていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のロータンク設備は、請求項4において、鉢部の底部付近のみが半透明部となっていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6のロータンク設備は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記半透明部の裏側に配置された反射板がロータンクカバー内の貯水用インナータンクの蓋を兼用していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7のロータンク設備は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記半透明部の裏側に配置された反射板が半透明部の裏面に沿って湾曲しており、半透明部と反射板との間に光を投射するように光源が配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロータンク設備にあっては、鉢部の少なくとも一部に設けられた半透明部が、鉢部裏側からの光を拡散させて透過させるので、トイレルーム内が暗いときには、この半透明部が所謂ぼーっと光った行灯(あんどん)調に光を放つ。このように、鉢部の少なくとも一部が面状に光を放つので、鉢部を容易に認識することができる。また、そのため、手洗いをスムーズに行うことができ、その際の水跳ねも防止される。もちろん、半透明部からの光は柔らかい間接照明調の拡散透過光であり、トイレ使用者の視神経に与える刺激も小さく、眠気を醒ますこともない。
【0016】
なお、この半透明部の鉢部を大きくすれば(例えば鉢部の全体とすれば)、鉢部の範囲を一層明確に認識することができる。また、鉢部の周囲部分についても半透明部とすれば、鉢部及びその周囲部からの光でトイレルーム内が行灯調に間接照明されることになる。
【0017】
ただし、本発明では、鉢部の一部のみを半透明部としてもよく、例えば鉢部の底部付近のみを半透明部としてもよい。このようにすれば、トイレ使用者が無意識のうちに鉢部の中央に手を差し出すようになる。
【0018】
本発明では、半透明部に対し光源からの光を直に当ててもよく、反射板を介して当ててもよい。反射板をインナータンクの蓋と兼用させた場合には、部材点数の削減によるコスト低減を図ることができる。
【0019】
反射板を鉢部裏面に沿って湾曲させ、半透明部と反射板との間に光を投射するように光源を配置した場合には、鉢部の裏面の広い範囲に満遍なく光を当てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るロータンク設備を備えた洋風便器の斜視図、第2図は手洗鉢の前後方向縦断面図である。
【0021】
洋風便器1の後部上面にロータンクカバー2が設置され、このロータンクカバー2の前部に便座3と便蓋4とが上下方向回動可能に取り付けられている。このロータンクカバー2の上側に手洗鉢5が設置されている。この手洗鉢5の後縁中央から上方に手洗吐水部6が立設され、この手洗吐水部6の先端側の下面に吐水口7が設けられている。手洗鉢5の鉢部5aは、下方に向って凹陥した凹所よりなり、その最深部(最底部)に流出口5bが設けられている。ロータンクカバー2内にインナータンク8が設置され、該インナータンク8に蓋9が被せられている。蓋9には、流出口5bから落下する水をインナータンク8の内壁面に注ぎかけるように案内するための導水部9aが設けられている。
【0022】
図示は省略するが、このインナータンク8内に規定水位まで注水するようにボールタップが設けられている。このボールタップの1次側はフレキホースを介して止水栓へ接続されている。
【0023】
ボールタップの2次側に吐水口7への給水用のチューブ10が接続されている。このチューブ10の先端は、インナータンク8の後部から上方に立ち上がるように蓋9の後部に係止されているが、インナータンク8に係止されてもよい。
【0024】
前記手洗吐水部6の吐水口7に給水接続管11の先端が連結されている。この給水接続管11の後端はチューブ10の上端に対し、上方から着脱自在に嵌合している。
【0025】
この実施の形態では、手洗鉢5は裏側からの光を拡散させながら透過させるように半透明の合成樹脂にて構成されている。手洗鉢5は、例えば、フィラーの少なくとも一部としてガラスパウダーを配合したアクリル等の合成樹脂にて構成される。ただし、手洗鉢5の構成材料はこれに限定されない。手洗鉢5の半透明部の光の透過率は20〜48%特に25〜40%が好適である。
【0026】
手洗鉢5は、凹形状の鉢部5aと、該鉢部5aの上縁に連なる上面部5tと、該上面部5tの外縁に連なり、下方に垂下する側壁部5cとを有している。この手洗鉢5の側壁部5cの内面にはアルミ箔などよりなる反射材12が接着などにより設けられている。なお、反射材12を設ける代りに、金属メッキを施したりメタリック塗料を塗布することにより側壁部5cの内面に反射層を設けてもよい。
【0027】
この実施の形態では、蓋9の上面にはアルミ等の箔を貼ったり、上記の如きメッキやメタリック塗装を施すことにより反射層が形成され、蓋9が反射板の機能を有したものとなっている。なお、蓋9それ自体をアルミ等で構成することにより反射板として機能させてもよい。
【0028】
この蓋9と鉢部5aとの間に光を投射するように光源13が設けられている。光源13としては発光ダイオード特に白色発光ダイオードが好適であるが、これに限定されるものではなく、蛍光管などであってもよい。この実施の形態では、光源13は蓋9に支持されているが、手洗鉢5に支持されてもよい。
【0029】
この光源13は、制御回路(図示略)によって発光作動制御が行われる。この制御回路は、トイレルーム内の人を検知すると光源13を発光作動させるよう構成されてもよく、便器洗浄用フラッシュハンドル又はスイッチが操作されたときに所定時間(例えば吐水口7から吐水が行われている間)だけ光源13を発光作動させるものであってもよい。
【0030】
このように構成されたロータンク設備にあっては、トイレルーム内に入室するか、又は便器洗浄用フラッシュ操作を行うと、光源13が点灯し、光源13からの光が鉢部5aを拡散しながら透過する。この鉢部5aが光拡散性半透明部となっているので、この透過光は柔らかい間接照明調の光であり、鉢部5aがぼーっと明るくなる。これにより、手洗いしようとする人は、鉢部5aの位置を容易に認識し、吐水口7の下方に手をスムーズに差し出すことができ、水跳ねも防止される。この透過光は柔らかいものであるから、視神経への刺激が小さく、眠気を醒ますこともない。
【0031】
この実施の形態では、反射板機能を有する蓋9を設けていると共に、反射材12を設けているので、光源13からの光の多くが鉢部5aを透過し、効率よく照明を行うことができる。
【0032】
<別の実施の形態>
本発明では、第3図のように、専用の反射板15を設けてもよい。この反射板15は鉢部5aの裏面に沿って湾曲しており、反射板15と鉢部5aとの間には略一定の隙間があいている。この隙間に光を投射されるように光源13が設置されている。なお、反射板15及び光源13はインナータンクの蓋に支持されてもよく、手洗鉢5に支持されてもよい。反射板15には、流出口5bから落下してくる水を下方に通すための開口15aが設けられている。
【0033】
この第3図のように反射板15を設けると、光源13からの光を満遍なく鉢部5aの裏側に当て、鉢部5aからの発光照明のムラを小さくすることができる。
【0034】
反射板15は、金属板であってもよく、反射層を設けた樹脂板などであってもよい。
【0035】
本発明では、鉢部5aを半透明部とし、その他の部分は不透明材で構成したり、反射材等の遮光材で覆ってもよい。この一例に係る手洗鉢を第4図に示す。第4図の通り、鉢部5aのうちAで示す比較的広い範囲を半透明部としてもよく、Bで示すような鉢部の底部付近の狭い範囲のみを半透明部としてもよい。このBのように鉢部の底部付近のみを半透明部とした場合には、無意識のうちに鉢部5aの中央に手を差し出すようになり、手に吐出口7からの吐出流が当たり易くなる。
【0036】
図示はしないが、本発明では第1,2図において側壁部5cの反射材12を設けず、光源13からの光が側壁部5cや手洗鉢5の上縁部からも散乱透過されるようにしてもよい。
【0037】
このようにすれば、手洗鉢5全体がぼんやりとした行灯の如く散乱光を放つようになり、トイレルーム内を間接照明調の柔らかい光で照明することができる。
【0038】
図示の光源13の配置は一例であり、光源13の個数や位置は、必要とされる照度や鉢部の形状等を勘案して適宜設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態に係るロータンク設備を備えた洋風便器の斜視図である。
【図2】ロータンク上部及び手洗鉢の縦断面図である。
【図3】別の実施の形態を示す断面図である。
【図4】さらに別の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 ロータンクカバー
5,5A 手洗鉢
5a 鉢部
7 吐水口
8 インナータンク
9 インナータンク蓋
12 反射材
13 光源
15 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータンクカバーの上面部に手洗用の鉢部が設けられているロータンク設備において、
該鉢部の少なくとも一部を鉢部裏側からの光を拡散させて透過させる半透明部とし、該半透明部の裏側に光源又は光源からの光を反射する反射板を配置したことを特徴とするロータンク設備。
【請求項2】
請求項1において、該鉢部の全体が半透明部となっていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項3】
請求項2において、さらに鉢部の周囲部も半透明部となっていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項4】
請求項1において、鉢部の一部のみが半透明部となっており、半透明部以外は不透明となっているか又は遮光材で覆われていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項5】
請求項4において、鉢部の底部付近のみが半透明部となっていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記半透明部の裏側に配置された反射板がロータンクカバー内の貯水用インナータンクの蓋を兼用していることを特徴とするロータンク設備。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記半透明部の裏側に配置された反射板が半透明部の裏面に沿って湾曲しており、半透明部と反射板との間に光を投射するように光源が配置されていることを特徴とするロータンク設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133168(P2010−133168A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311103(P2008−311103)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】