説明

ロードポート装置

【課題】 大型化によって重量が増加したドアに対して、ドア駆動機構に対する過負荷の発生を防止してドアの停止位置の再現性を確保可能なロードポート装置を提供する。
【解決手段】 ドア駆動機構においてドアを開口部形成面に垂直な方向に駆動するドア駆動機構を、カムフォロアを0°から180°に回動可能なロータリーシリンダと、該ロータリーシリンダの回転軸に垂直な面内に該カムフォロアを収容可能で鉛直方向に延在するカム溝を有するスライダと、から構成し、該スライダによってドアを支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置間に移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、付随するドア開閉用の駆動機構に特徴を有するロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ちサイドベースと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置テーブルと、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部を開放、閉鎖すると共に、開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避或いは該空間への侵入をさせられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−047839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造工程においては、生産性の向上等を目的として、用いるウエハの大口径化が進められている。このため、前述したポッド、微小空間、及び処理装置内部の空間各々も大型化され、これに伴ってロードポート装置における開口部の拡大とそれに伴うドアの大型化も要請される。この様なドアの大型化によって、ドアの重量は増加し、更にドア駆動機構もドア重量に対応可能な起動力が必要となる。ここで、従来からあるドア駆動機構としては、特許文献1に開示されるサーボモータとボールネジ等からなる構造が知られている。
【0006】
ここで、ドア等の重量が増加した場合、必然的に駆動機構に求められる駆動力も大きくなる。しかし、このような駆動力の大きなモータを用い、直接的にドアの駆動を為した場合、例えば位置制御上の問題が生じると、ギア等に過負荷が生じてしまい極端な場合にはドア、ドア駆動機構等が破損する可能性も存在する。また、例えばポッドロード時にドアとポッドとが当接する構成の場合、先の過負荷の問題を考慮するとドア或いはポッドに精度の高い位置制御が求められる。この場合、駆動力の大きさはドア等の停止位置精度を高める上ではマイナス因子となり得るので、従来とは異なった停止位置制御の確立も求められる。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、大型化したドアの開閉動作を確実に実行可能であって、異常時においても構成物に過負荷を生じさせない駆動機構を有し且つ精度の高いドアの開口部開閉動作を可能とするロードポート装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、半導体処理装置の取付け面に取り付けられて被処理物が挿脱される開口部を形成し、取付け面に対して半導体処理装置の外部側に配置された密閉容器たるポッドの蓋を開閉することにより、開口部を介してのポッド内に対する被処理物の挿脱の実施を可能とするロードポート装置であって、ポッドが載置可能な載置テーブルと、載置テーブルに載置された状態のポッドの蓋を保持可能であって、取付け面に対して半導体処理装置の内部側から開口部の開閉を行うドアと、ドアを支持し、ドアに対して開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、を有し、ドア駆動機構は、所定の軌跡で移動可能であって所定の軌跡の一方の端部と他方の端部とを結ぶ直線に対して所定の交差角度で交差する方向に延在するカム溝を有してドアを支持するスライダと、カム溝と係合するカムフォロアを支持してカムフォロアから離れた位置に配置される回転軸を回転中心としてカムフォロアを所定の角度範囲で回転動作をさせる駆動源と、を有し、駆動源の回転軸はスライダと向かい合うことを特徴としている。
【0009】
なお、上述したロードポート装置にあって、前記所定の角度範囲の両端において、前記所定の交差角度は直角であり、前記カムフォロアの前記回転動作の軌跡の接線は前記所定の軌跡の一方の端部と他方の端部とを結ぶ前記直線に対して直交することが好ましい。
【0010】
或いは、本発明に係るロードポート装置は、半導体処理装置の取付け面に取り付けられて被処理物が挿脱される開口部を形成し、取付け面に対して半導体処理装置の外部側に配置された密閉容器たるポッドの蓋を開閉することにより、開口部を介してのポッド内に対する被処理物の挿脱の実施を可能とするロードポート装置であって、ポッドが載置可能な載置テーブルと、載置テーブルに載置された状態のポッドの蓋を保持可能であって、取付け面に対して半導体処理装置の内部側から開口部の開閉を行うドアと、ドアを支持し、ドアに対して開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、を有し、ドア駆動機構は、ドアを支持し、鉛直方向に延在するカム溝を有し、且つ水平方向に移動可能なスライダと、カム溝と係合するカムフォロアを有してカムフォロアとは異なる位置に配置される回転軸を回転中心としてカムフォロアを所定の角度範囲で回転移動させるロータリーシリンダからなる駆動源と、を有し、所定の角度範囲は回転軸に対して水平0°から鉛直上方90°を通過して更に水平180°に至る範囲であることを特徴としている。
【0011】
なお、上述したロードポート装置にあっては、ロータリーシリンダをドアの進退方向に沿って位置調整可能なロータリーシリンダ位置調整機構を更に有することが好ましい。或いは、所定の角度範囲の両端において、カム溝の延在方向及びカムフォロアの回転動作の軌跡の接線は、ドア駆動機構がドアに開口部の開閉動作を行わせる際のスライダの動作方向と直交することが好ましい。更に、カム溝は所定の軌跡に対して交差し、カムフォロアが所定の角度範囲の両端にある際にカムフォロアはカム溝の下方の端部に位置することが好ましい。
【0012】
上述したロードポート装置にあっては、更には、前述したスライダ及びロータリーシリンダは、ドア駆動機構において、取付け面に垂直な方向にドア駆動する第一のドア駆動ユニットを構成し、ドア駆動機構は第一のドア駆動ユニットを支持すると共に第一のドア駆動ユニットによるドアの駆動方向とは異なる方向に前記第一のドア駆動ユニットを駆動する第二のドア駆動ユニットを更に有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドアの駆動異常時においても、ドア駆動機構等に過負荷が加わることを無くすることが可能となる。また、ドアの停止位置制御が容易であり、従来構成とは異なり駆動源が停止した場合であっても外力に抗してその停止位置を保持することが可能となる。更に、ドアの開閉時において、動作端での移動速度が低く且つ動作途中での移動速度を高くすることとなり、ドアの駆動速度を容易に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るロードポート装置にポッドを載置してこれらを側面から見た状態の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す構成に関して、説明容易化のためにドアを除いた状態を半導体装置側取付け面側から見た場合の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示す構成における第一び第二の駆動ユニットについて、主要部構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】図1に示す構成における第一及び第二の駆動ユニットについて、主要部構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるロードポート装置に関し、ポッド2を載置テーブル上に載置した状態を側面から見た場合の概略構成を示している。また、図2は、該ロードポート装置に関して、説明容易化のためにドアを除いた状態を上述した取付け面側から見た場合の概略構成を示す斜視図である。図3は第一のドア駆動ユニット33及び第二のドア駆動ユニット35を一部透視化して拡大して示した図、図4は第一のドア駆動ユニット33から第一の駆動源38を除き且つ該第一の駆動ユニット33が配置される方向から第一のドア駆動ユニット33及び第二のドア駆動ユニット35を見た場合の拡大図を示している。本形態におけるロードポート装置1は、I形プレート11、メインベース13、載置テーブル15、ドア17、及びドア駆動機構19を有する。なお、実際の構成では、ドア駆動機構19、及び載置テーブル15に付随するポッド駆動機構25を覆って、これらからの発塵の飛散を防止する不図示のカバーが載置テーブル15の下部に配置される。当該カバーはこれら構成を収容する密閉空間を形成する。また、前述した開口部が設けられる取付け面を有する半導体処理装置については、本実施形態と直接的な関係を有さないことからここでの図を用いた説明は省略する。なお、以下で述べる取付け面は、上述した半導体処理装置内部の微小空間と外部空間とを連通させる壁の一面であって、内部が前述した微小空間となる該半導体処理装置の外部側に向かう面である。本発明に係るロードポート装置は、半導体処理装置の筐体の外面である該取付け面に対して、接続部材等を介して取付け、固定される。
【0016】
次に個々の構成について説明する。メインベース13は板状体からなり、取付け面と当接して該取付け面に固定される断面I字形の接続プレート11によって、該取付け面から垂直に突き出すように支持される。一対のメインベース13は、各々の間に配置されて両端部が各々に接触する棒状の連結シャフト23によって一体化される。メインベース13は、載置テーブル15及びドア駆動機構19を支持する。ドア駆動機構19等は、向かい合った一対のメインベース13の間に配置される。載置テーブル15は、メインベース13に固定されるテーブル固定部27、該テーブル固定部27に支持されるポッド駆動機構25、及び該ポッド駆動機構25に支持されるポッド支持テーブル29を有する。ポッド2はポッド支持テーブル29上に載置、固定される。ポッド駆動機構25は、ポッド支持テーブル29を不図示の開口部に対して垂直な方向Mに沿って移動させ、これによりポッド2を開口部に対して接近或いは離間させる。
【0017】
ドア駆動機構19は、ドアアーム31を介してドア17を支持する。ドア駆動機構19は、ドア17の開口部に向かう第一の方向D1に沿った駆動を行う第一のドア駆動ユニット33、及び該第一の方向に対して異なる第二の方向D2に沿ってドア17を駆動する第二のドア駆動ユニット35を有する。なお、本形態では第二の方向は第一の方向に対して直交する方向であって、第一の方向は水平方向に、且つ第二の方向は鉛直方向に設定される。第一のドア駆動ユニット33は、一対の第一のガイドレール37、第一の駆動源38、第一のスライダ43、第一のカムフォロア47を有する。一対の第一のガイドレール37の各々は、第一の方向D1に沿って延在して第二のスライダ53に固定され、第一のスライダ43を第一の方向D1に沿って摺動可能に支持する。第一のスライダ43はドアアーム31を実際に支持しており、該第一のスライダ43の第一の方向D1に沿った移動に応じてドアアーム31及びドア17の開口部に対する開閉動作が為される。
【0018】
また、第一のスライダ43は、第一の方向D1に対して直交する方向に延在して配置される第一のカム溝43aを有する。第一のカムフォロア47は第一のカム溝43aに挿貫される。第一のカムフォロア47は第一の駆動源38によって回動可能に支持されており、該第一の駆動源38による第一のカムフォロア47の回転軸は第一のスライダ43に対向する。また、この回転軸は第一のカムフォロア47から離れた位置に配置され、回転軸の回転に応じて該第一のカムフォロア47は該回転軸の周りを回転、所謂公転移動する。ここで、該回転軸が対向するスライダ43における対向領域を該回転軸に垂直な平面とした場合、該平面はカム溝47が延在し、且つ第一のカムフォロア47によって該カム溝47が移動する平面の領域に対応する。なお、本実施形態では第一の駆動源38として、所謂加圧空気等によって動作するロータリーシリンダを用いている。また、第一の駆動源38は一対の第一のガイドレール37が固定されている第二のスライダ53に対してL字型アーム及びネジ等から構成される第一の締結手段49によって固定されている。なお、該締結手段は第一の駆動源38の第一のガイドレール37に対する固定位置が調整可能とされており、第一の駆動源38の第一の駆動源位置調整機構としても機能する。
【0019】
次に、第一のドア駆動ユニット33の実際の動作について述べる。図3において実線で示される状態は、ドア17が開口部を閉鎖する位置に停止した状態での第一のドア駆動ユニット33を示す。この時、第一の駆動源38であるロータリーシリンダは、回転角度0°の状態にあり、第一のカムフォロア47は第一のカム溝43aの図中下端部に位置する。この状態では、第一のカムフォロア47は回転軸に対して水平な位置となっている。ドア17を開口部から第一の方向D1(方向M)に沿って離間させる場合、第一の駆動源38は第一のカムフォロア47を図1或いは図4における第一の回転方向R1に沿って回動させる。第一のカムフォロア47が第一のカム溝43aに挿貫された状態でこの回動動作が為される。従って、該回動の際に第一のカムフォロア47は第一のカム溝43a内で下端−上端−下端の移動を為し、当該移動に応じて第一のスライダ43を第一の方向D1に沿って移動させる。なお、第一の駆動源38が回転角度180°に至ると、第一のカムフォロア47は第一のカム溝43aの下端に至る。
【0020】
本形態では、上述したように、第一の駆動源38の回転軸を、第一のスライダ43に対向する位置に配置している。より詳細には、第一のカム溝43a、具体的にはその両内周面がドア17の進退方向即ち第一のスライダ47の移動方向に対して直交し、更には、ロータリーシリンダの回転軌跡に関して回転角度0°及び180°の位置における接線もドア17の進退方向と直交することとしている。これにより、ドア17の進退における両動作端の各々で、ドア17が第一の方向D1に沿った意図しない動作を防止することが可能となる。即ち、回転角度範囲0°及び180°の各々が第一のスライダ43の動作端部に対応することとなり、該第一のスライダ43、ひいてはドア17の停止精度を向上し、安定的に停止させることが容易となる。また、第一のカムフォロア47の回転方向R1及びその逆方向の移動軌跡における動作において、その動作の第一の方向D1に沿った速度成分に応じて、第一のスライダ43が移動することとなる。従って、第一のスライダ43は、移動範囲における両端の停止位置より最も離れた中央位置で最も早く移動し、両端の停止位置に近づくにつれて移動速度が低下することとなる。このため、停止異常が生じ易い停止位置近傍でのドア17の動作が安定的に行われる。また、回転軸と第一のカム溝43aとの位置関係より、第一のカムフォロア47の移動軌跡の半径を小さく抑えることが可能となり、第一の駆動源38のトルクを大きく用いることが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態において、第一の駆動源38としてロータリーシリンダを用いている。これにより、モータ制御等の電気的な位置制御の場合のような異常時の過負荷の発生は防止できるが、これをモータ制御としても停止位置精度の向上等の効果は得られる。また、本形態では、第一の方向D1は水平方向であって、第一のスライダ43は水平方向に移動することとしている。しかし、本発明はこれに限定されず、第一の方向D1が水平方向に対して傾いた構成であっても良い。この場合、第一のカム溝43aが水平面に交差しており、第一のカム溝43aの下方、好ましくは下方端部が第一の駆動源38の回転動作における0°及び180°に対応していれば良い。これにより、重力が作用する第一のカムフォロア47を第一のカム溝43aの下端面にて規制することが可能となり、例えば所謂エア抜け等によって第一の駆動源38たるロータリーシリンダからの付勢がなくなった場合であっても、第一のスライダ43及びドア17はその停止位置を保持する。
【0022】
また、本発明では、上述した第一の駆動源位置調整機構(49)によって、第一のスライダ43及び第一の駆動源38の第一のガイドレール37に対する保持位置が調整可能となっている。本発明では、ドア17の第一の方向D1における動作範囲は、第一のカムフォロア47の回転半径によって規定される。従って、該第一の駆動源位置調整機構によってドア17の停止位置を調整した場合であっても、その動作範囲は常に一定となる。ロードポート装置1が取付けられる半導体処理装置側の微小空間内部にはウエハ搬送用のロボット等が配置され、該微小空間内に許容されるドア17の動作領域も厳密に規定される。しかし、本発明の場合、ドア17の動作範囲はドア17の停止位置に応じて一義的に決まるため、ドアの停止位置を設定する際に従来構成において必要であって、ドア停止のための複雑な動作パラメータの変更は一切必要なくなる。
【0023】
次に、第二のドア駆動ユニット35について説明する。第一二のドア駆動ユニット35は、一対の第二のガイドレール39、該一対の第二のガイドレール39に挟まれて第二の方向D2に沿って駆動可能に配置されるロッドレスシリンダからなる第第二の駆動源40、及び前述した第二のスライダ53を有する。第二の駆動源40であるロッドレスシリンダは、一対の第二のガイドレール39の延在方向である第二の方向D2(本形態では鉛直方向)に沿って第二のスライダ53を昇降移動させる。前述したように第二のスライダ53は一対の第一のガイドレール37を支持しており、第二のスライダ53の昇降移動によって、ドアアーム31及びドア17の鉛直方向(第二の方向D2に沿う方向)の移動が行われる。なお、第二のドア駆動ユニット35の構成に関しては本実施形態の態様に限られず、公知の直動駆動系によって種々の構成より構築することが可能である。また、前述した第一のドア駆動ユニット33に準じた構成とすることも可能である。
【0024】
また、上述した実施形態において、第一のドア駆動ユニット33について、第一のスライダ43は水平方向に直線的に延在する第一のガイドレール37上を移動することとしている。しかし、例えば、該第一のガイドレール37を円弧状に形成し、第一のスライダ43が円弧状の軌跡等を描いて移動する構成としても良い。微小空間内には所謂ダウンフローが形成されているが、このような円弧状の軌跡を描かせることにより、ドア17をより早く開口部下方に移動させることが可能となり、該ダウンフローをドア17の存在が乱すことによって塵等がポッド内部に移送される可能性を低減することができる。従って、本発明に係るスライダは、所定の軌跡に沿って移動可能であるとされることが好ましい。
【0025】
また、この場合、第一のカム溝43aは第一のスライダ43が移動する際の所定の軌跡の一方の停止端と他方の停止端とを結ぶ直線に対して、所定の交差角度を有して交差するように延在すれば良い。軸中心の回転力を供する第一の駆動源38を用い、その回転軸を第一のスライダ47と対向させ、更に回動時の所定の角度範囲の両端角を第一のスライダ43の動作端と一致させることで、本発明の好適な効果は得られる。また、第一のカム溝43aを水平面と交差するように延在させ、且つ所定の角度範囲における両端角において第一のカム溝43aの下端に第一のカムフォロア47が位置する構成とすることにより、上述したように第一の駆動源38の動作異常時においても、外力に抗した状態にて第一のスライダ43を容易に停止状態に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:ロードポート装置、 2:ポッド、 11:I形プレート、 13:メインベース、 15:載置テーブル、 17:ドア、 19:ドア駆動機構、 23:連結シャフト、 25:ポッド駆動機構、 27:テーブル固定部、 29:ポッド支持テーブル、 31:ドアアーム、 33:第一のドア駆動ユニット、 35:第二のドア駆動ユニット、 37:第一のガイドレール、 38:第一の駆動源、 39:第二のガイドレール、 40:第二の駆動源、 43:第一のスライダ、 43a:第一のカム溝、 47:第一のカムフォロア、 49:第一の締結手段、 53:第二のスライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置の取付け面に取り付けられて被処理物が挿脱される開口部を形成し、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の外部側に配置された密閉容器たるポッドの蓋を開閉することにより、前記開口部を介しての前記ポッド内に対する前記被処理物の挿脱の実施を可能とするロードポート装置であって、
前記ポッドが載置可能な載置テーブルと、
前記載置テーブルに載置された状態の前記ポッドの前記蓋を保持可能であって、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の内部側から前記開口部の開閉を行うドアと、
前記ドアを支持し、前記ドアに対して前記開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、を有し、
前記ドア駆動機構は、所定の軌跡で移動可能であって前記所定の軌跡の一方の端部と他方の端部とを結ぶ直線に対して所定の交差角度で交差する方向に延在するカム溝を有して前記ドアを支持するスライダと、前記カム溝と係合するカムフォロアを支持して前記カムフォロアから離れた位置に配置される回転軸を回転中心として前記カムフォロアを所定の角度範囲で回転動作させる駆動源と、を有し、
前記駆動源の前記回転軸は前記スライダと向かい合うことを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記所定の角度範囲の両端において、前記所定の交差角度は直角であり、前記カムフォロアの前記回転動作の軌跡の接線は前記所定の軌跡の一方の端部と他方の端部とを結ぶ前記直線に対して直交することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記カム溝は前記所定の軌跡に対して交差し、前記カムフォロアが前記所定の角度範囲の両端にある際に前記カムフォロアは前記カム溝の下方の端部に位置することを特徴とする請求項1或いは2の何れかに記載のロードポート装置。
【請求項4】
半導体処理装置の取付け面に取り付けられて被処理物が挿脱される開口部を形成し、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の外部側に配置された密閉容器たるポッドの蓋を開閉することにより、前記開口部を介しての前記ポッド内に対する前記被処理物の挿脱の実施を可能とするロードポート装置であって、
前記ポッドが載置可能な載置テーブルと、
前記載置テーブルに載置された状態の前記ポッドの前記蓋を保持可能であって、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の内部側から前記開口部の開閉を行うドアと、
前記ドアを支持し、前記ドアに対して前記開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、を有し、
前記ドア駆動機構は、前記ドアを支持し、鉛直方向に延在するカム溝を有し、且つ水平方向に移動可能なスライダと、前記カム溝と係合する前記カムフォロアを有して前記カムフォロアとは異なる位置に配置される回転軸を回転中心として前記カムフォロアを所定の角度範囲で回転移動させるロータリーシリンダからなる駆動源と、を有し、
前記所定の角度範囲は前記回転軸に対して水平0°から鉛直上方90°を通過して更に水平180°に至る範囲であることを特徴とするロードポート装置。
【請求項5】
前記ロータリーシリンダを前記ドアの進退方向に沿って位置調整可能なロータリーシリンダ位置調整機構を更に有することを特徴とする請求項4に記載のロードポート装置。
【請求項6】
前記所定の角度範囲の両端において、前記カム溝の延在方向及び前記カムフォロアの前記回転動作の軌跡の接線は、前記ドア駆動機構が前記ドアに前記開口部の開閉動作を行わせる際の前記スライダの動作方向と直交することを特徴とする請求項4或いは5の何れかに記載のロードポート装置。
【請求項7】
前記カム溝は前記所定の軌跡に対して交差し、前記カムフォロアが前記所定の角度範囲の両端にある際に前記カムフォロアは前記カム溝の下方の端部に位置することを特徴とする請求項4乃至6の何れか一に記載のロードポート装置。
【請求項8】
前記スライダ及び前記駆動源は、前記ドア駆動機構において、前記取付け面に垂直な方向に前記ドア駆動する第1のドア駆動ユニットを構成し、前記ドア駆動機構は前記第1のドア駆動ユニットを支持すると共に前記第一のドア駆動ユニットによる前記ドアの駆動方向とは異なる方向に前記第1のドア駆動ユニットを駆動する第2のドア駆動ユニットを更に有することを特徴とする請求項1乃至7何れか一に記載のロードポート装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−59979(P2012−59979A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202676(P2010−202676)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】