ロールモールド製作装置およびロールモールド作製方法
【課題】ロールモールドを作製するロールモールド製作装置に関し、ロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する。
【解決手段】レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、マスクをロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、電子ビームを発生してマスクを通してロールモールドに照射する電子源と、ロールモールドを一定速度で連続回転させながら電子源から電子ビームをマスクに照射し、マスクを透過した電子ビームをロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射してロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段とを備える。
【解決手段】レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、マスクをロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、電子ビームを発生してマスクを通してロールモールドに照射する電子源と、ロールモールドを一定速度で連続回転させながら電子源から電子ビームをマスクに照射し、マスクを透過した電子ビームをロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射してロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置およびロールモールド作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒あるいは円柱状の押し型を回転して転写するのに使う、ロールモールドの表面にパターンを直接機械加工するのが標準的方法である。パターンが微細になり10μm程度になると機械加工が困難になるためレーザー加工やフォトリソグラフィー加工が用いられる。
【0003】
また、ロールモールドにマスクを近接して位置づけた状態で当該マスク上のパターンを透過した電子線で露光することをステップ状に繰り返し露光する技術がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開平2009−274347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1μm以下の微細パターンの加工には電子ビーム描画技術が必要になるが、それは以下の理由により実際には実用されてはいない。
【0005】
(1)従来の電子ビーム描画装置ではスループットが低い(描画に長時間かかる)
(2)装置が高価であり、生産コストが過大となる。
【0006】
ここで、スループットが低い理由は、使用する電子ビームのサイズが加工すべきパターンの微細さの程度に小さく、広い面積を描画するには膨大な時間を要することにある。また、フォトマスクのパターン描画に使用されている電子ビーム描画装置は高価であるが、比較的スループットが高いとされている。しかし、必要なフォトマスクの描画面積はたかだか225cm平方に過ぎない。ロールモールドは直径10cm、長さ100cmの場合には、3,140cm平方になり、これでもフォトマスクの14倍であって、満足できるスループットは得られないという問題が発生した。
【0007】
また、特許文献1の技術で、ロールモールドに近接させたマスク上のパターンを電子線で露光することをステップ状に繰り返したのでは、やはりスループットが低いと共に連続、断続した長いパターンなどを描画することが困難であるなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するため、前もって所望のパターンを開口配列として加工したマスク(例えばステンシルマスク)を用意し、これを電子線露光用レジストを塗布したロールモールドの表面に近接して配置し、ロールモールドを連続回転させながらマスクの表面に電子ビームを照射し、マスクを透過した電子ビームによりレジストを露光した後、これを現像、エッチング等の処理によってロールモールド表面にパターンを形成することにより、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、(2)したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(3)これにより高スループットを実現し、かつ(4)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現することを目的とする。
【0009】
本発明は、そのために、円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置において、レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、マスクをロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、電子ビームを発生してマスクを通してロールモールドに照射する電子源と、ロールモールドを一定速度で連続回転させながら電子源から電子ビームをマスクに照射し、マスクを透過した電子ビームをロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射してロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段とを備える。
【0010】
この際、電子源から放射された電子ビームを、マスクに照射したり、遮断したりする電子ビームスイッチを設け、断続したパターンを作製するようにしている。
【0011】
また、電子源から放出された電子ビームを、マスク上の所定領域を走査する偏向手段を設けるようにしている。
【0012】
また、ロールステージは、回転可能に保持するロールモールドの回転対象軸の方向に移動可能にするようにしている。
【0013】
また、マスクステージは、マスクをロールモールドの表面に近接して配置した状態で、マスクをロールモールドの面に並行にX方向およびY方向に移動可能にするようにしている。
【0014】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射を開始あるいは停止し、回転方向に断続パターンを作製するようにしている。
【0015】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、マスクステージを移動し、回転方向から直角方向に移動したパターンを作製するようにしている。
【0016】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、マスクステージの移動および電子ビームの照射を開始あるいは停止し、不連続パターンを作製するようにしている。
【0017】
また、マスクあるいはマスク上のパターンをロールモールドの回転対称軸方向に対して所定角度θだけ傾けると共に傾けた角度方向に電子ビームの走査方向を一致させた状態で、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射して不連続パターンを作製するようにしている。
【0018】
また、マスクは、電子ビームが透過する開口を、ロールモールドの回転方向に複数列設けると共に、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射して多重露光あるいは分割露光するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、前もって所望のパターンを開口配列として加工したマスクを用意し、これをレジスト塗布したロールモールドの表面に近接して配置し、ロールモールドを連続回転させながらマスクの表面に電子ビームを一様に照射し、マスクを透過した電子ビームによりレジストを露光してパターンを形成することにより、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(2)これにより高スループットを実現し、かつ(3)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(2)これにより高スループットを実現し、かつ(3)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現した。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の1実施例構造図を示す。
【0022】
図1の(a)は要部構造図を示し、図1の(b)は電子ビーム1がステンシルマスク2の開口20を通過してロールモールド3上のレジストを塗布した面に露光する様子を模式的に示し、図1の(c)は図1の(a)の機構を制御するパソコン51の構成を示す。
【0023】
図1において、電子ビーム1は、図示外(後述する図3参照)の電子源で発生されて集束された電子ビームであって、マスク(ステンシルマスク)2の開口20を照射し、当該開口20を透過した電子ビームをロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光してパターンを作製するためのものである。電子ビーム1の大きさは、マスク2の開口20よりも大きいものであって、当該マスク2の開口20を一度に全部照射できるときは一度に照射し、図示の一度に全部の開口20を照射できないときは当該開口20の列の方向に電子ビーム1を走査して全ての開口20を照射する。これにより、マスク2の開口20のパターンが連続回転するロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光、例えば図示のように回転方向に帯状に露光されることとなる。尚、電子ビーム1を遮断することで、断続したパターンを露光することが可能となる(後述する図3で詳細に説明する)。
【0024】
ステンシルマスク2は、開口20を有する透過型のマスク、例えばステンシルマスクであって、ロールモールド3の回転方向と直角方向に1列あるいは複数列に開口20を設けたものである。開口20の寸法は、数μmから数nmの任意の寸法を持つものであって、例えば電子ビーム露光により予め作製する。
【0025】
ロールモールド3は、円筒あるいは円柱状のモールドであって、表面にレジストを予め塗布してマスク2の開口20を透過した電子ビーム1によって露光して凹凸のパターンを作製する対象のロールモールドである。ロールモールド3は、回転対称に作製し、表面にレジストを塗布し、一定速度で連続回転させると共に、温度などを一定に保持する。図示のロールモールド3は、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1が当該ロールモールド3の表面に塗布したレジストを露光し、図示の回転方向に帯状のパターンを形成する。尚、後述する図3のビームブランカ341によって電子ビーム1を断続することで、断続した帯状のパターンを形成できる。
【0026】
連続パターン4は、マスク2の開口20を通過した電子ビーム1でロールモールド3上に塗布したレジストを露光したときの回転方向に帯状の連続したパターンである。尚、後述する図3のビームブランカ341によって電子ビーム1を断続することで、断続した帯状のパターンを形成できる。
【0027】
PC(パソコン)51は、プログラムに従い各種制御を行う処理装置の例であって、ここでは、交換手段52、安定化手段53、ロール制御手段54、マスク制御手段55、ビーム制御手段56、モールドDB57、マスクDB58、露光DB59、ログDB60、表示装置61、および入力装置62などから構成されるものである。
【0028】
交換手段52は、ステンシルマスク2、ロールモールド3などを交換する制御を行うものである(図2のフローチャートおよびその説明を参照)。
【0029】
安定化手段53は、ロールモールド3を連続回転させ、回転速度、温度などの安定化を図るものである(図2のフローチャートおよびその説明を参照)。
【0030】
ロール制御手段54は、ロールモールド3を一定速度で連続回転させるように安定化するものである。ロールモールド3の回転角度は、当該ロールモールド3に連結(直結)した高精度のエンコーダにより、一定速度で連続回転するときの回転角度を高精度(例えばロールモールド3の表面上で数nm程度の高精度(末尾に記述する)に検出するようにしている。
【0031】
マスク制御手段55は、マスク(ステンシルマスク)2をロールモールド3に近接した状態でX、Y、Z、θ方向に移動させたりなどするものである。
【0032】
ビーム制御手段56は、電子ビーム1をマスク2に照射したり、ビームブランカ341に電圧を印加して遮断したりし、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1をロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光させて連続したパターンや、断続したパターンを露光したりなどするものである(図2から図13参照)。
【0033】
モールドDB57は、ロールモールド3に電子ビーム1を露光するときに必要な情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0034】
・モールド材料:
・モールド形状:
・レジスト条件:レジスト種類、膜厚、電子線感度など
・その他:
マスクDB58は、マスク2の開口20を通過した電子ビーム1をロールモールド3に照射して露光するときに必要な情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0035】
・パターンデータ:CADデータなど
・形状データ:
・走査条件:
・その他:
露光DB59は、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1でロールモールド3に塗布したレジスト上に露光するときの情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0036】
・レジスト条件:
・レジスト感度:
・塗布条件:
・塗布方式:
・レジスト膜厚:
・ベーク条件:
・塗布日時:
・現像条件:
・現像方式:
・ベーク条件:
・現像日時:
・ビーム条件:
・電流量(電子ビーム1の電流量):
・ビーム走査方法:
・ビーム照射時間:
・ブランキング条件:
・ステージ条件:
・回転ステージ:
・回転数:
・直動ステージ:
・X軸:
・Y軸:
・Z軸:
・レーザ干渉計測定位置:
・マスクステージ:
・回転補正ステージ:
・位置決めステージ:
・X軸:
・Y軸:
・Z軸:
・真空条件:
・事前準備条件:
・その他:
ログDB60は、マスク2、ロールモールド3をセットし、ロールモールド3を連続回転させて一定連続回転、一定温度などに安定化し、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1をロールモールド3の表面の塗布したレジストに露光したときの各状態の情報、更に、現像したときの情報などのログを登録して管理するものである。
【0037】
表示装置61は、ロールモールド3にマスク2の開口20を透過した電子ビーム1を照射して露光するときの情報を表示したり、表示させたメニュー上から操作指示などを入力したりなどするものであって、液晶表示装置などである。
【0038】
入力装置62は、各種情報を入力するものであって、例えばマスク、キーボード、タッチパネルなどである。
【0039】
次に、図2のフローチャートの順番に従い、図1の構造の動作を詳細に説明する。
【0040】
図2は、本発明の動作説明フローチャートを示す。
【0041】
図2において、ステップS1(以下「S1」という)は、ステンシルマスクをセットする。これは、図1に示すように、ステンシルマスク2を図示外のマスクステージ11(図2参照)にセットする。詳細な手順を説明すれば、下記の通りである。
【0042】
1.手動交換作業の場合:
(1)図1の装置を収納する図示外の試料室10(図3参照)を大気開放作業を行う。例えば乾燥空気(あるいは窒素)をリーク弁を開放して導入して大気圧にする。
【0043】
(2)マスク2を図示外のマスクステージ11(図3参照)に固定する。
【0044】
(3)マスク2の位置決めを行う。ここでマスク2の位置決めは、下記の項目について少なくとも行う。
【0045】
・パターン回転角度:
・水平度:
・回転軸平行度:
・その他:
ここで、パターン回転角度はマスク2上に作成されたパターンの列方向の回転角度を、ロールモールド3の回転軸方向に対して指定された回転角度(例えば0°、10°など)に設定(調整)する。水平度はマスク上のパターンと、ロールモールド3の表面との水平度を所定範囲内に設定(調整)する。回転軸平行度はマスク2上のパターンと、ロールモールド3の回転軸との平行度を所定範囲内に設定(調整)する。
【0046】
(4)真空排気作業を行う。これは、図1の装置の収納された図示外の試料室10(図3参照)を図示外の真空排気装置で真空排気する。
【0047】
(5)マスク2の温度制御を開始する。これは、(4)で真空排気した後、図1のマスク2を搭載したマスクステージ11(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、マスク、マスクステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(6)マスク2の交換作業を終了する。
【0048】
2.自動交換作業の場合:
(1)マスク交換台にセットする。これは、図1のマスク2を図示外の交換台にセットする。
【0049】
(2)(1)で交換台にセットされたマスクをマスクホルダに固定する。
【0050】
(3)マスク事前洗浄・除電処理等を実施する(大気側)。これは、(2)でマスクホルダに固定されたマスク2を、大気圧(あるいは減圧中)で紫外線などを照射して当該マスク2の表面、開口20の部分などの汚れを除去する。
【0051】
(4)マスク交換室を開放する。
【0052】
(5)マスク交換室に搬送する。
【0053】
(6)マスク交換室を真空排気する。これら(4)から(6)は、(1)から(3)で大気中で汚れなどを除去した後、マスクホルダに固定されたマスク2を、マスク交換室を開放して搬送し、閉めた後に真空排気する。
【0054】
(7)マスク洗浄・除電処理等を実施する(真空内)。これは、(6)で真空排気された後のマスクホルダに固定されたマスク2を、真空中(あるいは減圧中)に紫外線や電子線などを照射して当該マスク2の表面、開口20の部分の汚れを除去する。
【0055】
(8)マスクステージに搬送する。
【0056】
(9)マスクをステージに固定する。これら(8)、(9)は、(7)でマスク交換室内でマスクホルダに固定したマスク2の汚れを除去した後、試料室10との間の弁を開いてマスクホルダに固定したマスク2を、図1の図示外の試料室10内のマスクステージ11(図2参照)に搬送して固定し、図1のマスク2の状態にする。
【0057】
(10)マスクの位置決めを行う。ここでマスクの位置きめは、上述した1の(3)に記載した下記の項目について少なくとも行う。
【0058】
・パターン回転角度:
・水平度:
・回転軸平行度:
・その他:
(11)マスクの温度制御を開始する。これは、(10)の後、図1のマスク2を搭載したマスクステージ11(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、マスク、マスクステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(12)マスクの交換作業を終了する。
【0059】
S2は、レジスト付ロールモールドをセットする。これは、図1に示すように、予めレジストの塗布したロールモールド3を、図示外のロールステージ12(図4参照)にセットする。詳細な手順を説明すれば、下記の通りである。
【0060】
1.手動交換作業の場合:
(1)図1の装置を収納する図示外の試料室10(図3参照)を大気開放作業を行う。例えば乾燥空気(あるいは窒素)をリーク弁を開放して導入して大気圧にする。
【0061】
(2)ロールモールド3を図示外のロールステージ12(図3参照)に固定する。
【0062】
(3)ロールモールド3の位置決めを調整を行う。ここでロールモールド3の位置決め調整は、下記の項目について少なくとも行う。
【0063】
・回転時の真円度:「
・直動軸の振れ量:
・直動軸の平行度:
・その他:
ここで、回転時の真円度は、ロールモールド3を回転対称軸で回転させたときの真円度が所定範囲に設定(調整)する(真円度が所定範囲内にないと、ロールモールド3の表面のレジスト面と、マスク2との間の距離が許容範囲外となり、マスク2上のパターンの露光に悪影響を与える)。直動軸の振れ量、直動軸の平行度は、ロールモールド3を固定したロールステージ12をX方向、Y方向に移動(X方向用、Y方向用の直動用モータ13(図3)で移動)したときの振れ量、平行度が所定範囲内になるように設定(調整)する。尚、移動量などは、図示外のレーザ干渉計で精密に測定する。
【0064】
(4)真空排気作業を行う。これは、図1の装置の収納された図示外の試料室10(図3参照)を図示外の真空排気装置で真空排気する。
【0065】
(5)ロールモールド3の温度制御を開始する。これは、(4)で真空排気した後、図1のロールモールド3を搭載したロールステージ12(図3)などを所定温度範囲に保持するように温度制御を行う。
【0066】
(6)ロールモールド3の交換作業を終了する。
【0067】
2.自動交換作業の場合:
(1)レジスト付ロールモールド3を図示外の交換台にセットする。
【0068】
(2)(1)で交換台にセットされたロールモールド3を図示外のチャッキングホルダに固定する。
【0069】
(3)ロールモールド3の事前洗浄・除電処理等を実施する(大気側)。これは、(2)でチャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、大気圧(あるいは減圧中)で紫外線などを照射して当該ロールモールド3の表面などの汚れを除去する。
【0070】
(4)ロールモールド交換室を開放する。
【0071】
(5)ロールモールド交換室に搬送する。
【0072】
(6)ロールモールド交換室を真空排気する。これら(4)から(6)は、(1)から(3)で大気中で汚れなどを除去した後、チャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、ロールモールド交換室を開放して搬送し、閉めた後に真空排気する。
【0073】
(7)ロールモールド洗浄・除電処理等を実施する(真空内)。これは、(6)で真空排気された後のチャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、真空中(あるいは減圧中)に紫外線などを照射して当該ロールモールド3の表面などの汚れを除去する。
【0074】
(8)ロールステージに搬送する。
【0075】
(9)ロールモールド3をロールステージに固定する。これら(8)、(9)は、(7)でロールモールド交換室内でチャッキングホルダに固定したロールモールド3の汚れを除去した後、試料室10との間の弁を開いてチャッキングホルダに固定したロールモールド3を、図1の図示外の試料室10内のロールステージ12(図3参照)に搬送して固定し、図1と同様の状態にする。
【0076】
(10)ロールモールド3の位置決めを行う。ここでロールモールド3の位置きめは、上述した1の(3)に記載した下記の項目について少なくとも行う。
【0077】
・回転時の真円度:「
・直動軸の振れ量:
・直動軸の平行度:
・その他:
(11)ロールモールド3の温度制御を開始する。これは、(10)の後、図1のロールモールド3を搭載したロールステージ12(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、ロールモールド3、ロールステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(12)ロールモールド3の交換作業を終了する。
【0078】
S3は、露光事前準備:回転速度の安定化を行う。これは、露光事前準備のうちの「回転速度の安定化」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該回転速度の安定化に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0079】
(1)温度センサ・振動センサ・エンコーダ・レーザー干渉計等を初期化する。これは、図1の装置で、露光を開始する前に、温度、振動、ロールモールド3の回転角度、マスクステージ11、ロールステージ12の移動量を精密測定するレーザー干渉計などを全て初期化などを行う。例えば初期設定値あるいは予め設定した値に設定したり、ホームポジションや所定基準点などをもとに校正したりなどを行う。
【0080】
(2)ステージの温度測定を開始し、所定範囲内で一定に保持されているか確認する。
【0081】
(3)ステージの振動測定を開始し、ステージ(マスクステージ11、ロールステージ12など(図3参照)の振動が所定範囲内かチェックする。
【0082】
(4)真円度及び直動軸の振れ量の測定を開始し、ロールモールド3を回転させたときの真円度、ロールモールド3やマスク2を移動させたときの振れ量、平行度などをチェックして所定範囲内かチェックする。
【0083】
(5)モータの回転を開始し、所定の一定速度内に収まっているかチェックする。
【0084】
(6)「回転速度の安定化」作業を終了する。
【0085】
S4は、露光事前準備:真空環境の改善を行う。これは、露光事前準備のうちの「真空環境の改善」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該真空環境の改善に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0086】
(1)真空排気を開始する。
【0087】
(2)真空度の測定(初期状態)を行う。
【0088】
(3)コンタミ防止処理を開始する。コンタミ防止処理としては、例えば
(3−1)残留ガス分析を実施(Q-Mass)し、許容範囲の残留ガスかチェックする。
【0089】
(3−2)コンタミ除去用ガス(酸素・オゾン等)のマスフローメータによる導入及び真空度の調整する。
【0090】
(3−3)プラズマ洗浄、DUV洗浄、エキシマレーザー励起洗浄等を開始する。これら(3−2)、(3−3)でロールモールド3、マスク2、およびホルダなどの汚染物質を除去する。
【0091】
(3−4)残留ガス分析を実施(Q-Mass)する。(3−1)から(3−3)の作業後に、残留ガス分析して許容範囲内かチェックなどする。
【0092】
(4)コンタミ防止処理を終了する。
【0093】
(5)残留ガス分析を確認(Q-Mass)する。
【0094】
(6)「真空環境の改善」作業を終了する。
【0095】
S5は、露光事前準備:温度の安定化を行う。これは、露光事前準備のうちの「温度の安定化」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該温度の安定化に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0096】
(1)温度センサ及び振動センサのデータ収集を開始する。
【0097】
(2)測定結果のリアルタイム解析を開始する。
【0098】
(3)結果データの表示および蓄積データとの比較を行う。これは、(1)、(2)で温度センタ、振動センサでリアルタイムに収集したロールモールド3(ホルダ、ロールステージ12))、マスク2(ホルダ、マスクステージ11)などの温度、振動のデータをもとに電子ビーム露光するに必要な条件(所定温度範囲、所定振動範囲内など)を充足するか比較し、充足か否かを判定する。
【0099】
(4)「温度の安定化」作業を終了する。
【0100】
S6は、露光事前準備:マスクの姿勢制御を行う。これは、露光事前準備のうちの「マスクの姿勢制御」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該マスクの姿勢制御に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0101】
(1)マスクアライメントマークの検出及び回転角度の検出する。これは、マスク2に予めマーキングしてある複数のアライメントマークを検出し、マスク2の位置およびマスク2の回転角度を検出する。
【0102】
(2)マスクステージ11の直動軸の移動方向とロールモールド3の取り付け角度の検出を行う。これは、マスクステージ11(図3)の直動軸の移動方向に対するロールモールド3の取り付け角の検出を行なう。
【0103】
(3)回転角度を算出し、補正量を算出する。(2)で検出した、マスクステージ11(図3)の直動軸の移動方向に対するロールモールド3の取り付け角を検出し、回転角度を算出し、マスクステージ11に対する補正量を算出する。
【0104】
(4)マスクステージ11による補正・調整を実施する。これにより、マスクステージ11により、マスク2をロールモールド3に対して正しい位置、角度(回転角度)に補正・調整した位置、回転合わせを行うことが可能となる。
【0105】
(5)「マスクの姿勢制御」を終了する。
【0106】
S7は、露光事前準備:電子ビームの条件設定する。これは、露光事前準備のうちの「電子ビームの条件設定」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該電子ビームの条件設定に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0107】
(1)指示された加速電圧ファイルを選択する。これは、操作開始時に管理者が指定(あるいはデフォルトで指定)された電子ビームの加速電圧ファイルを選択する。
【0108】
(2)照射ビーム条件の調整を行う。
【0109】
(2−1)試料室10(図3)内あるいは鏡筒31(図3)内の任意の場所の電子ビーム1の軸上に、ファラディーカップを移動し、当該電子ビーム1の電流測定を開始する。
【0110】
(2−2)最大電流値になるように鏡筒31の電子源32、集束レンズ33、対物レンズ、軸合わせコイルなどのビームアライメントを実施する。
【0111】
(2−3)アライメント終了後、所定の電流値(電子源32のバイアス、集束レンズ33、対物レンズの絞りの口径などを選択して所定の電流)を設定する。
【0112】
(2−4)電子ビームを遮断した後(図3のビームブランカ341に電圧を印加して電子ビームを遮断した後)、ファラディーカップを軸外に移動する。
【0113】
(2−5)照射ビーム条件の調整を終了する。
【0114】
(3)露光用ビーム電流の微調整を行う。
【0115】
(3−1)透過ビーム電流検出器の位置に移動する。これは、電子ビームを、偏向コイルで偏向し、透過ビーム電流検出器の位置に当該電子ビームが入射して検出できるようにする。
【0116】
(3−2)ステンシルマスク2の透過ビーム電流を測定する。
【0117】
(3−3)透過ビーム電流が最大になるように走査ビームアライメントを実施する。
【0118】
(3−4)露光ビーム電流を検出、露光感度を算出する。
【0119】
(3−5)電子ビームを遮断(ビームブランカ341に電圧を印加して遮断)し、露光用ビーム条件の微調整を終了する。
【0120】
(4)「電子ビームの条件設定」を終了する。
【0121】
S8は、露光位置座標に移動する。
【0122】
S9は、露光位置か判別する。これらS8、S9は、S1とS2でマスク2およびロールモールド3をそれぞれのマスクステージ11、ロールステージ12にセットし、S3からS7で事前準備(回転速度の安定化、真空環境の改善、温度の安定化、マスクの姿勢制御、電子ビームの条件設定)を終了したので、これから電子ビーム1による露光を開始するために、露光位置座標に移動する作業として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0123】
(1)電子ビームを遮断して、指示された露光位置に移動動作を開始する。これは、図3のビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断し、指示された露光位置に、ロールモールド3(ロールステージ12)、マスク2(マスクステージ11)の移動動作を開始する。
【0124】
(2)ステージ移動が停止後、位置座標及び振動状態を確認する。これは、(1)で移動動作を開始したステージ(ロールステージ12、マスクステージ11)の移動が停止し、指定された位置座標に移動完了し、振動が所定範囲内に収まっているか判別する(尚、この状態では、既述したS3からS7の処理(作業)により、ロールモールド3は一定速度で安定的に回転、ロールモールド3、マスク2などは一定温度に保持などされている)。
【0125】
(3)「露光位置に移動」を終了する。
【0126】
以上の作業(処理)を終了し、露光位置に到達していると判明した場合には、S9のYESとなり、S10に進む。一方、NOの場合には、S8、S9を繰り返す。
【0127】
S10は、露光開始する。これは、S9のYESで露光位置に到達しかつ振動が所定範囲内と判明したので、電子ビーム1の露光を開始する(図3のビームブランカ341に印加した電圧をOFFにし、電子ビーム1がマスク2の開口20を透過してロールモールド3の表面に塗布したレジストを露光開始する)、即ち下記の項目について少なくとも行う。
【0128】
(1)電気的なビームブランカ341を動作維持状態で、電子ビーム1をONにする。
【0129】
(2)振動状態を確認する。
【0130】
(3)回転角度原点を検出し角度カウンターの計測を開始、又は回転エンコーダによる角度検出を開始する。
【0131】
(4)ロールモールド3の回転速度を確認する。
【0132】
(5)ロールモールド3の露光開始角度を検出、指示がない場合は任意位置で開始する。
【0133】
(6)電子ビーム走査と露光開始位置を同期させる。
【0134】
(7)ビームブランカ341を解除して、露光開始する。
【0135】
(8)所定の露光時間までビーム照射を実施する。
【0136】
S11は、露光終了する。
【0137】
S12は、露光継続か判別する。YESの場合には、次の露光位置に移動し、S9に戻り繰り返す。NOの場合には、終了する。ここでは、S11、S12の作業として、例えば下記の項目について少なくとも行う。
【0138】
(1)露光所定時間の経過と露光開始角度検出を実施する。
【0139】
(2)ビームブランカ341を動作させ、電子ビーム1を遮断する。
【0140】
(3)ロールモールド3の回転動作を停止する。
【0141】
(4)露光終了を確認する。
【0142】
(5)露光継続の場合(S12のYESの場合)には、次の露光位置に移動する。
【0143】
(6)それ以外(S12のNOの場合)には、露光作業を終了する。
【0144】
以上によって、マスク2、ロールモールド3をマスクステージ11、ロールステージ12にセット(S1、S2)し、露光事前準備として、回転速度の安定化(S3)、真空環境の改善(S4)、温度の安定化(S5)、マスクの姿勢制御(S6)、電子ビームの条件設定(S7)などを行い、マスク2、ロールモールド3を露光位置に移動させた後、ロールモールド3の回転に同期してマスク2の開口20を透過した電子ビーム1を当該ロールモールド3の所定位置に帯状に1回転あるいは複数回転(この場合は数回から数百回の重複露光)することにより、ロールモールド3の表面に塗布したレジストに応じた必要な露光量(感度などに応じた必要な露光量)を露光することが可能となる。尚、回転する方向に断続するロールモールド3上のパターンの露光や、マスク2上の複数パターンを組み合わせてある1つの完成したロールモールド3上のパターンの露光は、後述する図3から図13参照。以下順次詳細に説明する。
【0145】
図3は、本発明の1実施例構造図を示す。この図3は、図1の原理構造図を、走査型電子顕微鏡に適用した例であって、電子ビーム1を発生、集束、偏向、結像、遮断などする鏡筒31、マスク2やロールモールド3を真空中に収納する試料室10、および図示外の、マスク、ロールモールドの交換室、真空排気装置、パソコンなどから構成される要部の1実施例構造図を示す。
【0146】
図3において、鏡筒31は、電子ビーム1を発生、集束、偏向、遮断などするものであって、ここでは、電子源32、集束レンズ33、ビームブランキング電源41、ビームブラカ341、ビーム走査電源35、偏向コイル36、対物レンズ37などから構成されるものである。
【0147】
電子ビーム1は、電子源32から放出された電子ビームであって、所定電圧(例えば数KVないし数十KV程度の電圧)で加速した電子ビームである。
【0148】
電子源32は、電子ビーム1を放出する電子銃などから構成されるものである。
【0149】
集束レンズ33は、電子源32から放出された電子ビーム1を集束するものである。
【0150】
ビームブランキング電源34は、ビームブランカ341に電圧を印加したり、遮断したりし、電子ビーム1をONあるいはOFFに制御する電源である。
【0151】
ビームブランカ341は、電圧が印加された場合に集束レンズ33で集束された電子ビーム1を軸外に偏向して遮断したり、電圧が遮断された場合に電子ビーム1を軸上を通過させたりし、電子ビーム1をONあるいはOFFに制御するためのもの(電極など)である。
【0152】
ビーム走査電源35は、偏向コイル(偏向電極)36に供給する電圧あるいは電流を制御するものであって、電子ビーム1を走査したり、所定位置に位置合わせしたりするためのものである。
【0153】
偏向コイル(偏向電極)36は、ビーム走査電源35から供給された電流あるいは電圧により、電子ビーム1を偏向、ここでは、図示のように2段偏向してマスク2の上方からほぼ垂直に電子ビーム1を照射したり、照射した状態で走査したりなどするものである。
【0154】
対物レンズ37は、集束レンズ33で集束された電子ビーム1を、マスク2の上の開口20に所定サイズで照射するためのものである。尚、対物レンズ37は集束レンズ33で所望の電子ビームをマスク2の上の開口20に照射可能なときはなくてもよい。
【0155】
試料室10は、マスク2、ロールモールド3などを収納する真空排気可能な容器であって、ここでは、内部に、マスクステージ11、マスクステージモータ112、ロールステージ12、直動ステージ121、直動用モータ13、ロール回転用モータ14、エンコーダ15、図示外のレーザ干渉計などが収納されるものである。
【0156】
マスクステージ11は、マスク2を固定するステージであって、マスク2を固定した状態でロールモールド2に対して所定距離に調整したり、マスク2の位置を平面内で移動したり、回転したりし、マスク2をロールモールド3に対して位置調整するためのものである。
【0157】
マスクステージ電源111は、マスクステージモータ112を駆動制御するものである。
【0158】
マスクステージモータ112は、マスクステージ11をX方向、Y方向、更に、必要に応じてロールモールド3との距離を調整するために移動制御したりなどするためのものである。
【0159】
ロールステージ12は、ロールモールド3を固定するステージであって、ロールモールド3を固定した状態で回転させたり、平面内(X方向、Y方向)で移動したりするためのものである。
【0160】
直動ステージ121は、ロールモールド3を軸方向に直動させるステージである。
【0161】
直動用モータ13は、ロールステージ12を軸方向に直動させるモータである。
【0162】
ロール回転用モータ14は、ロールモールド3を一定速度で回転させるものである。
【0163】
エンコーダ15は、ロールモールド3の回転対称軸に連結し、当該ロールモールド3の回転角度を精密にリアルタイムに検出するものであって、末尾に記述するように、ロールモールド3の表面で数nm程度に相当する角度分解能を有するものであって、ロールモールド3を一定速度で連続回転させた状態で検出するものである。
【0164】
次に、図4のフローチャートの順番に従い、図3のロールモールド3に図示のように回転方向に断続したパターンを露光するときの処理を詳細に説明する。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、当該断続した帯状のパターンを露光するときの要部を当該図4で説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0165】
図4において、S21は、ビーム走査方向の角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図4では、図3のロールモールド3上に回転方向に断続したパターンを露光する構成の場合であるので、ここでは、電子ビーム1の走査の開始の角度か判別する。例えば図3のロールモールド3に連結したエンコーダ15で検出した角度が、マスク2上のパターンを、ロールモールド3上に塗布したレジスト上に照射する角度になったか(角度に到達したか)を判別する。YESの場合には。S22に進む。NOの場合には、S21を繰り返し待機する。
【0166】
S22は、ビームONする。これは、S21のYESで、電子ビーム1をマスク2の開口20に照射する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を照射し(ビームONし)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始する。
【0167】
S23は、ビーム走査終了の角度か判別する。これは、S22でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始した後、当該ロールモールド3の回転方向のビーム走査終了角度となったか判別する。YESの場合には、S24に進む。NOの場合には、S23を繰り返し待機する。
【0168】
S24は、ビームOFFにする。これは、S22で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始した後、S23のYESで、ビームOFFする回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S21からS24を繰り返す。
【0169】
以上のS21からS24により(必要に応じて繰り返すことにより)、図3のロールモールド3の回転方向に図示のような帯状の断続したパターンを1回転について露光あるいは露光に必要なだけ複数回転について多重露光することにより、ロールモールド3の回転方向に断続した帯状のパターンを露光することが可能となる。
【0170】
図5は、本発明の他の実施例構造図(その2)を示す。この図5は、ロールモールド3に塗布したレジスト上に、回転方向にジグザグの帯状のパターンを露光する場合の構造図を示し、図3の構造とほぼ同じであるので、図3の構造の説明を参照。
【0171】
次に、図6のフローチャートの順番に従い、図5のロールモールド3に図示のように回転方向にジグザグのパターンを露光するときの処理を詳細に説明する。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、当該回転方向にジグザグの帯状の連続したパターンを露光するときの要部を当該図5で説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0172】
図6において、S31は、マスクを移動する角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図6では、図5のロールモールド3上に回転方向にジグザグした連続したパターンを露光する構成の場合であるので、ここでは、マスク2を移動する角度か判別する。例えば図5のロールモールド3に連結したエンコーダ15で検出した角度が、マスク2上のパターンを移動する角度となったか(角度に到達したか)を判別する。YESの場合には。S32に進む。NOの場合には、S31を繰り返し待機する。
【0173】
S32は、ビームONする。これは、S31のYESで、電子ビーム1をマスク2を移動する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を照射し(ビームONし)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始する。
【0174】
S33は、マスクを停止する角度か判別する。これは、S22でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始すると共に連続してマスクを移動した後、当該ロールモールド3の回転角度がマスクの一定走査を停止する角度となったか判別する。YESの場合には、S34に進む。NOの場合には、S33を繰り返し待機する。
【0175】
S34は、ビームOFFにする。これは、S32で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始すると共にマスク2を一定方向に連続移動させた後、S33のYESで、ビームOFFする回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S31からS34を繰り返す。
【0176】
以上のS31からS34により(必要に応じて繰り返すことにより)、図5のロールモールド3の回転方向に図示のような帯状にジグザグの連続したパターンを1回転について露光あるいは露光に必要なだけ複数回転について多重露光することにより、ロールモールド3の回転方向にジグザグの連続した帯状のパターンを露光することが可能となる。尚、ロールモールド3の回転方向にジグザグの断続した帯状のパターンを露光するときは、既述した図3、図4で説明した手順を重畳適用することにより露光することができる。
【0177】
図7は、本発明の説明図(その3)を示す。マスク2上の開口20が複数ある場合(図7では8個の例を示す)に、マスク2上の複数の開口20を一度に全部を、電子ビーム1で照射すれば、マスク2上の複数の開口20のパターンが近接配置したロールモールド3に塗布したレジスト上に、マスク2上のパターンの並び通りに露光される。しかし、電子ビーム1が全部の開口20を一度に照射できなく、例えば走査、例えば図7の(b)に示すように、左から右の方向に、ロールモールド3の回転に追従して一定速度で走査した場合、ロールモールド2の上には右下方向に開口20のパターンが露光されることとなってしまう。
【0178】
そこで、本発明では、図7の(c)に示すように、マスク2上の開口20の並びの角度θ0を、右上方向に角度に持たせておき、上述した図7の(b)と同一条件(ロールモールド3の回転速度に同期して一定速度で電子ビーム1をマスク2上の開口20を左から右方向に走査した場合には、当該図7の(c)に示すように、ロールモールド3上に平行なパターンが露光される。以下詳細に説明する。
【0179】
マスク2の開口20の列をロールモールド3の回転軸と平行から傾けると露光点のずれは変化し、図7の(c)に示す、ある角θoで配置することにより任意の傾きθの配列の露光が可能となる。
【0180】
詳細に説明すれば、図7の(a)に示すように、
・ビーム走査の(鋸歯状波の)周波数F
・ビーム走査の振幅L(cm)
・ビーム走査の速度 Vs=LF
・ロールの回転数 N(rpm)
・ロールの半径 R(cm)
・ロール表面の回転速度 Vr=2pN/60
・更に、マスクパターン配列の傾き角 θo=Vr/Vs - θ=(2pN)/(60LF) - θ
とすれば、ロールモールド3上に露光されるパターン配列の傾きをθとすると、マスク2のパターンの配列の傾き角θ0は、下式(1)で表される。
【0181】
θ0=V1/Vs−θ=(2πN)/(60LF)−θ ・・・・(式1)
また、具体例について計算すると例えば下記の表1に示すようになる。
【0182】
【表1】
【0183】
尚、電子ビーム1のサイズは、図7の(b),(c)では、マスク2上のパターンの開口20の1つを覆うサイズとしたが、これに限られず、複数の開口20を覆うサイズにしてもよい。複数の開口20を覆う場合には、電子ビーム1の走査方向は図7の(c)に示す、右上方向に角度θ0に必ずしもしなくてもよい。つまり、例えば図7の(c)で横方向に電子ビーム1を走査しても全部のマスク2の開口20の部分を照射できる場合には、電子ビーム1の走査方向を傾ける必要はない。
【0184】
図8は、本発明の説明図(その4)を示す。これは、マスク2のパターンの開口20を2列(更に3列以上の複数列も可)に並べた例を示す。この図8の開口20を2列に並べて同期して露光することにより、露光時間を半分にできる。更に、3列以上の複数列にしたときも、同様にこれら同期して複数列の開口20を重複露光することにより、複数列分の1に露光時間を削減できる。
図8の(a)はマスク2のパターンの開口20の2列を平行(ロールモールド3の軸に平行)に配置して同期露光する例を示し、図8の(b)は開口20の2列を角度θ傾けて同期露光する例を示す。
【0185】
図8の(a)の場合には、マスク2のパターンの開口20の1列目と、2列目とが同じロールモールド3上の同一場所に露光するように、当該ロールモールド3の回転角度を検出して電子ビーム1をマスク2上を右から左方向に一定速度で走査しつつ同期露光を行うと、図示のように右下がりのパターンがロールモールド3の上に露光される。
【0186】
図8の(b)の場合には、マスク2のパターンの開口20の1列目、2列目とが角度θ0だけ右上方向に傾けて作製してあるため、同期露光した場合には、図示のように、マスク2の開口20の1列目、2列目が図示のパターンのように露光されることとなる(図8の(a)のように、露光開始、露光終了の場所で露光されたパターンの列(開口20によって露光されたパターンの列)が傾くことがない)。
【0187】
図9は、本発明の説明図(その5)を示す。この図9は、ロールモールド3の回転角度をエンコーダ15で読み取り、この信号に同期して電子ビーム1の走査を開始し、ロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する様子を模式的に示す。この際、mTs > Tr とすることにより、ロールモールド3の1回転ごとに露光点をずらすような露光(図9の(c)のように複数回転で全体のパターンを露光、ここでは、6回転で全体のパターンを露光)することも可能である。
【0188】
図9の(b)はロールモールド3の回転毎に同じ位置にマスク2上のパターンの開口20を露光(同期露光)する様子を模式的に示し、図9の(c)はロールモールド3の回転毎に所定ピッチTPだけ進ませた位置にマスク2上のパターンの開口20を露光することを繰り返す様子(6回転毎に同じ場所を露光する様子)を模式的に示す。
【0189】
詳細に説明すれば、図9の(a)の上段に示すように定義すると、下段に示すように、TS(ビーム走査周期)、Tr(ロール周期)、Tp(パターンピッチ(図9の(c)のTp参照)を算出できる(図9の(a),(b)中の符号の場所を参照)。
【0190】
以上のように、ロールモールド3の回転角度をエンコーダ15で正確に検出し、回転角度に同期して電子ビーム1を走査することにより、図9の(b)のようにマスク2上のパターンの開口20を通過した電子ビーム1でロールモールド3上に塗布したレジスト上に露光したり、更に、回転毎にTpだけずらすことを繰り返す(図9の(c)では6回転(N回転)繰り返すことにより図9の(c)に示すように1/6(1/N)の回転方向の間隔でパターンを露光することが可能となる。
【0191】
次に、図10のフローチャートに従い、既述した図7、図8、図9の露光手順を詳細に説明する。
【0192】
図10は、本発明の動作説明フローチャート(図7、図8、図9)を示す。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、回転に同期して電子ビーム1を走査しつつマスク2上のパターンの開口20を露光してロールモールド3上にパターンを形成(露光)するときの要部を当該10のフローチャートをもとに既述した図7、図8、図9の処理を詳細に説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0193】
図10において、S41は、マスクパターンの角度とビーム走査角度を一致させる。これは、既述した図7から図9で、1列あるいは複数列のマスク2上のパターンを形成する開口20の列の角度と、電子ビーム1で走査する角度とを一致させる。尚、電子ビーム1のサイズが大きくて横方向に走査したときに全部(あるいは複数)の開口20を露光可能なときは当該電子ビーム1は一致させる必要はない。
【0194】
S42は、ビーム走査開始の角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図10では、図7から図9で、エンコーダ15で検出したロールモールド3の回転角度が、電子ビーム1を露光する角度になったか判別する。YESの場合には。S43に進む。NOの場合には、S42を繰り返し待機する。
【0195】
S43は、ビームONする。これは、S42のYESで、電子ビーム1をマスク2のパターンの開口20に照射開始する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を走査照射し(ビームONにして走査照射し)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の回転角度の場所に露光を開始する。
【0196】
S44は、ビーム走査終了の角度か判別する。これは、S43でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に走査照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始すると共に連続して電子ビーム1を走査した後、当該ロールモールド3の回転角度が電子ビーム1の走査終了の角度か判別する。YESの場合には、S45に進む。NOの場合には、S44を繰り返し待機する。
【0197】
S45は、ビームOFFにする。これは、S43で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所から露光開始すると共に電子ビーム1をマスク2の一定方向に連続移動させた後、S43のYESで、ビームOFFする電子ビームの回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S42からS45を繰り返す。
【0198】
以上のS41からS45により(必要に応じて繰り返すことにより)、図7から図9のロールモールド3の回転方向に図示のような断続のパターンを1回転について露光したり、露光に必要なだけ複数回について多重露光したり、更に、露光位置を回転毎に少しずつづらして複数回転で同じ場所を露光および更に必要な回数だけ繰り返したりすることにより、図7から図9に示す、ロールモールド3の回転方向に断続したパターンを露光することが可能となる。
【0199】
図11は本発明の説明図(その6−1、マスク)を示し、図12は本発明の説明図(その6−2、ロールモールド)を示す。これら図11、図12は、図11のマスク2上のパターンの開口20の4列(露光しようとするパターンを分割した部分パターン(分割パターン)の4列)を用い、これらをそれぞれの位置に露光(4回の分割露光)して合成した6角形状(亀形状)のパターン(図12)を、ロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する例を模式的に示す。この分割露光は、マスク2が透過型を採用するために、閉パターンの内部に他のパターンがある場合には形成不可(内部の他のパターンを保持するものがないので形成不可)であるので、当該パターンを作製可能なパターンに分割した分割パターン(部分パターン)をそれぞれの位置に分割露光して合成することにより、元のパターンを露光するときに特に便利である。
【0200】
図11において、aは、ビーム1走査中の円筒表面(ロールモールド3の円筒表面)の回転量であって、例えば図11の4列の分割パターンのうちの、例えば1列目の分割パターンの左から右方向に電子ビーム1で一定速度で走査したときに、当該ロールモールド3の円筒表面の回転量である。ここでは、1つのパターン(6角形状のパターン)を図示のように、4つの分割パターンに分割してそれぞれの位置に露光して合成することで、1つのパターンをロールモールド3に塗布したレジスト上に露光している。以下処理方法を詳細に説明する。
【0201】
(1)ロールモールド3の1回転目:図11の第1列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第1列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”1”に示すように、分割パターンがaの回転量毎にロールモールド3に、1回転に渡って繰り返し露光される。尚、図12の”1”・・・などに示す露光された分割パターンは、説明を簡単にするために水平方向に表示する。もし露光された分割パターンを完全に水平方向にするには、図11の第1列目の分割パターンを上方向に傾けて作製(図11のaに相当した分だけ、図7の(c)のθ0傾けて作製)し、電子ビーム1で走査して露光したときに図12の”1”で水平となるようにすればよい。以下説明を簡単にするために、水平方向になるとして説明する。
(2)ロールモールド3の2回転目:(1)と同様に、図11の第2列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第2列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”2”に示すように、第2列目の分割パターンが追加露光され、1回転に渡って繰り返し露光される。
【0202】
(3)同様に、ロールモールド3の3回転目、4回転目:(2)と同様に、図11の第3列目、第4列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第3列目、第4列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”3”、”4”に示すように、第3列目、第4列目の分割パターンが順次追加露光され、1回転に渡って繰り返し露光される。
【0203】
以上によって、1周分の分割パターン(図11の第1列目から第4列目の分割パターン)の露光により、1つのパターンの露光が完成したこととなる。
【0204】
(4) そして、同様に、2周目、3周目・・・・と、必要な露光量が得られるまで繰り返すことにより、図12の”N”のパターンが露光されることとなる。
【0205】
(5)尚、図12の”1”、”2”、”3”、”4”・・・・は、第1列目の分割パターン、第2列の分割パターン、第3列の分割パターン、第4列の分割パターン・・・という順番に最初の露光を遅れて露光したために各先頭の部分に次の分割パターンが露光されていないが、これは、各列の分割パターンを先頭から露光開始するように露光開始角度を制御、あるいは図11のマスク2上の分割パターンの第1列目から第4列目を逆にして第4列目、第3列目、第2列目、第1列目の順番に作製して上から順番に露光開始するようにすればよい。
【0206】
図13は、本発明のSRM回転角同期露光方法の説明図を示す。ここで、エンコーダ15、鏡筒31は、既述した図3などと同一であるので説明を省略する。
【0207】
次に、回転角に同期して電子ビームをロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する方法を、以下詳細に説明する。
【0208】
(1)エンコーダ15は図3に示すようにロールモールド3に連結され、当該ロールモールド3は一定速度で連続回転されているので、回転角度を正確に検出することができる。エンコーダ15は、原点リセット信号をカウンタ151に送出して当該カウンタ151を1回転の原点毎にリセットしてカウントを再スタートさせ、エンコーダ15から送出されるパルスをカウントする。カウンタ151として、公知のbinary rate multiplierを用いることで、当該パルスの整数倍だけでなく、更に当該パルスの小数点周期の検出(設定)も可能である(公知技術)。
【0209】
(2)カウンタ151には、図1のPC51が例えば下記をセットする。
【0210】
・周期:No,
・ビームON時間:Nb
ここで、周期Noは、露光パターン周期θp、エンコーダ回転角Δθとするとき、No=θp/Δθとして算出する。
【0211】
(3)カウンタ151が、(2)でセットされた周期Noとなったときに、ブランキング信号をBeam Blinking Generator152に出力し、Blanker Amp153で増幅して鏡筒31のブランカ341に所定の電圧を印加あるいは電圧を遮断(0V)し、電子ビーム1をビームON時間Nbで指定された時間だけ当該電子ビームを透過させて、マスク2のパターンの開口20を照射する。この際、同時に、カウンタ151は、スキャン信号をScan Generator154に出力し、Def Amp155で増幅して鏡筒31の偏向コイル(偏向板)36にスキャン電流/電圧を印加し、電子ビーム1をマスク2のパターンの開口20上を走査し、開口20を透過した電子ビーム1でロールモールド3に塗布したレジストに露光する。そして、これらを繰り返すことにより、マスク2上のパターンの開口20を透過した電子ビームを、ロールモールド3に塗布したレジスト上に繰り返し露光することが可能となる。
【0212】
(3)ここで、エンコーダ15、マスク2などとの関係を詳細に説明すると、
(3−1)第1に、マスク2上を走査する電子ビーム1は、等速回転するエンコーダ15の出力に同期させた鋸波状波形(スキャン波形)を偏向コイル(偏向板)36に供給して偏向させることにより、ロールモールド3の回転角度と、電子ビーム1によるマスク2上のパターンの開口20の走査とを精密に同期化する。この同期化により、エンコーダ15から出力されるパルスの整数倍だけではなく、等速回転するロールモールド3のパルス間を分割した角度位置を精密に検出して同期化することが可能となる。例えば、公知のSIGNUM角度位置決めエンコーダでは、図13の(A)で示すエントリのSi−FN−0417−B1に、6700万点/1回転(2の26乗相当)の測定が可能である(”ロータリエンコーダ用誤差測定回路の高度化”、電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 105(444), 15-20, 2005-11-23 電子情報通信学会を参照)。
【0213】
(3−2)次に、第2に、同時に、ロールモールド3の回転ずれ、軸方向の位置を精密にリアルタイムに検出(光干渉計などで検出)し、検出結果をもとマスク2を搭載したマスクステージ11のロール軸に対する傾き、軸方向のずれをリアルタイムに補正し、ロールモールド3とマスク2との傾きおよび軸方向のずれを精密に所定範囲内にリアルタイムに保持するように調整する。
【0214】
以上によって、マスク2、ロールモールド3、電子ビーム1の位置や角度の関係の同期化を図ることにより、マスク2のパターンの開口20の列を、所望のロールモールド3に塗布したレジスト上に精密に露光(多重露光、分割露光)することが可能となる。
【0215】
図14は、SIGNUMエンコーダーデータシート(FANUCシリアル)例を示す。これは、既述した図3などのエンコーダ15の例を示し、図14の(A)のエントリのインタフェースでは、上記したように、等速回転(例えば最高150回転/分の等速回転)させたエンコーダ15では、角度分解能として6700万点/1回転が可能である。これを、例えば100mm直径のロールモールド3に塗布したレジスト上にパターンを露光するときに使用すれば、レジスト上での分解能は、2rπ/6700万=100×3.14/6700万=4.68nmとなる。したがって、現状の上記エンコーダ15を用いて5nm程度のパターンを露光(多重露光、分割露光)することが可能となる。更に、角度分解能の向上した改良型などを用いれば、更に数nm程度の精度で露光も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明の原理構造図である。
【図2】本発明の動作説明フローチャートである。
【図3】本発明の1実施例構造図(その1)である。
【図4】本発明の動作説明フローチャート(その1、図3)である。
【図5】本発明の他の実施例構造図(その2)である。
【図6】本発明の動作説明フローチャート(その2、図5)である。
【図7】本発明の説明図(その3)である。
【図8】本発明の説明図(その4)である。
【図9】本発明の説明図(その5)である。
【図10】本発明の動作説明フローチャート(図7、図8、図9)である。
【図11】本発明の説明図(その6−1、マスク)である。
【図12】本発明の説明図(その6−2、ロールモールド)である。
【図13】本発明のSRM回転角同期露光方法の説明図である。
【図14】SIGNUMエンコーダーデータシート(FANUCシリアル)例である。
【符号の説明】
【0217】
1:電子ビーム
10:試料室
11:マスクステージ
111:マスクステージ電源
112:マスクステージモータ
12:ロールステージ
121:直動ステージ
13:直動用モータ
14:ロール回転モータ
15:エンコーダ
2:マスク(ステンシルマスク)
20:開口
3:ロールモールド
31:鏡筒
32:電子源
33:集束レンズ
34:ビームブランキングD年限
341:ビームブランカ
35:ビーム走査電源
36:偏向コイル(偏向板)
37:対物レンズ
4:連続パターン
51:PC(パソコン)
52:交換手段
53:安定化手段
54:ロール制御手段
55:マスク制御手段
56:ビーム制御手段
57:モールドDB
58:マスクDB
59:露光DB
60:ログDB
61:表示装置
62:入力装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置およびロールモールド作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒あるいは円柱状の押し型を回転して転写するのに使う、ロールモールドの表面にパターンを直接機械加工するのが標準的方法である。パターンが微細になり10μm程度になると機械加工が困難になるためレーザー加工やフォトリソグラフィー加工が用いられる。
【0003】
また、ロールモールドにマスクを近接して位置づけた状態で当該マスク上のパターンを透過した電子線で露光することをステップ状に繰り返し露光する技術がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開平2009−274347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1μm以下の微細パターンの加工には電子ビーム描画技術が必要になるが、それは以下の理由により実際には実用されてはいない。
【0005】
(1)従来の電子ビーム描画装置ではスループットが低い(描画に長時間かかる)
(2)装置が高価であり、生産コストが過大となる。
【0006】
ここで、スループットが低い理由は、使用する電子ビームのサイズが加工すべきパターンの微細さの程度に小さく、広い面積を描画するには膨大な時間を要することにある。また、フォトマスクのパターン描画に使用されている電子ビーム描画装置は高価であるが、比較的スループットが高いとされている。しかし、必要なフォトマスクの描画面積はたかだか225cm平方に過ぎない。ロールモールドは直径10cm、長さ100cmの場合には、3,140cm平方になり、これでもフォトマスクの14倍であって、満足できるスループットは得られないという問題が発生した。
【0007】
また、特許文献1の技術で、ロールモールドに近接させたマスク上のパターンを電子線で露光することをステップ状に繰り返したのでは、やはりスループットが低いと共に連続、断続した長いパターンなどを描画することが困難であるなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するため、前もって所望のパターンを開口配列として加工したマスク(例えばステンシルマスク)を用意し、これを電子線露光用レジストを塗布したロールモールドの表面に近接して配置し、ロールモールドを連続回転させながらマスクの表面に電子ビームを照射し、マスクを透過した電子ビームによりレジストを露光した後、これを現像、エッチング等の処理によってロールモールド表面にパターンを形成することにより、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、(2)したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(3)これにより高スループットを実現し、かつ(4)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現することを目的とする。
【0009】
本発明は、そのために、円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置において、レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、マスクをロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、電子ビームを発生してマスクを通してロールモールドに照射する電子源と、ロールモールドを一定速度で連続回転させながら電子源から電子ビームをマスクに照射し、マスクを透過した電子ビームをロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射してロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段とを備える。
【0010】
この際、電子源から放射された電子ビームを、マスクに照射したり、遮断したりする電子ビームスイッチを設け、断続したパターンを作製するようにしている。
【0011】
また、電子源から放出された電子ビームを、マスク上の所定領域を走査する偏向手段を設けるようにしている。
【0012】
また、ロールステージは、回転可能に保持するロールモールドの回転対象軸の方向に移動可能にするようにしている。
【0013】
また、マスクステージは、マスクをロールモールドの表面に近接して配置した状態で、マスクをロールモールドの面に並行にX方向およびY方向に移動可能にするようにしている。
【0014】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射を開始あるいは停止し、回転方向に断続パターンを作製するようにしている。
【0015】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、マスクステージを移動し、回転方向から直角方向に移動したパターンを作製するようにしている。
【0016】
また、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、マスクステージの移動および電子ビームの照射を開始あるいは停止し、不連続パターンを作製するようにしている。
【0017】
また、マスクあるいはマスク上のパターンをロールモールドの回転対称軸方向に対して所定角度θだけ傾けると共に傾けた角度方向に電子ビームの走査方向を一致させた状態で、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射して不連続パターンを作製するようにしている。
【0018】
また、マスクは、電子ビームが透過する開口を、ロールモールドの回転方向に複数列設けると共に、ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、エンコーダから読み取った角度に同期して、電子ビームをマスクに照射して多重露光あるいは分割露光するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、前もって所望のパターンを開口配列として加工したマスクを用意し、これをレジスト塗布したロールモールドの表面に近接して配置し、ロールモールドを連続回転させながらマスクの表面に電子ビームを一様に照射し、マスクを透過した電子ビームによりレジストを露光してパターンを形成することにより、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(2)これにより高スループットを実現し、かつ(3)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、(1)照射する電子ビームのサイズが成形されるパターンの微細さを決めることなく、パターンの微細さはマスクに加工された開口のサイズによることとなり、したがって照射ビームの形状は大きくかつ大電流化が可能となり、(2)これにより高スループットを実現し、かつ(3)電子ビームの制御は従来の電子描画装置に比較しきわめて簡単であり低コストを実現した。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の1実施例構造図を示す。
【0022】
図1の(a)は要部構造図を示し、図1の(b)は電子ビーム1がステンシルマスク2の開口20を通過してロールモールド3上のレジストを塗布した面に露光する様子を模式的に示し、図1の(c)は図1の(a)の機構を制御するパソコン51の構成を示す。
【0023】
図1において、電子ビーム1は、図示外(後述する図3参照)の電子源で発生されて集束された電子ビームであって、マスク(ステンシルマスク)2の開口20を照射し、当該開口20を透過した電子ビームをロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光してパターンを作製するためのものである。電子ビーム1の大きさは、マスク2の開口20よりも大きいものであって、当該マスク2の開口20を一度に全部照射できるときは一度に照射し、図示の一度に全部の開口20を照射できないときは当該開口20の列の方向に電子ビーム1を走査して全ての開口20を照射する。これにより、マスク2の開口20のパターンが連続回転するロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光、例えば図示のように回転方向に帯状に露光されることとなる。尚、電子ビーム1を遮断することで、断続したパターンを露光することが可能となる(後述する図3で詳細に説明する)。
【0024】
ステンシルマスク2は、開口20を有する透過型のマスク、例えばステンシルマスクであって、ロールモールド3の回転方向と直角方向に1列あるいは複数列に開口20を設けたものである。開口20の寸法は、数μmから数nmの任意の寸法を持つものであって、例えば電子ビーム露光により予め作製する。
【0025】
ロールモールド3は、円筒あるいは円柱状のモールドであって、表面にレジストを予め塗布してマスク2の開口20を透過した電子ビーム1によって露光して凹凸のパターンを作製する対象のロールモールドである。ロールモールド3は、回転対称に作製し、表面にレジストを塗布し、一定速度で連続回転させると共に、温度などを一定に保持する。図示のロールモールド3は、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1が当該ロールモールド3の表面に塗布したレジストを露光し、図示の回転方向に帯状のパターンを形成する。尚、後述する図3のビームブランカ341によって電子ビーム1を断続することで、断続した帯状のパターンを形成できる。
【0026】
連続パターン4は、マスク2の開口20を通過した電子ビーム1でロールモールド3上に塗布したレジストを露光したときの回転方向に帯状の連続したパターンである。尚、後述する図3のビームブランカ341によって電子ビーム1を断続することで、断続した帯状のパターンを形成できる。
【0027】
PC(パソコン)51は、プログラムに従い各種制御を行う処理装置の例であって、ここでは、交換手段52、安定化手段53、ロール制御手段54、マスク制御手段55、ビーム制御手段56、モールドDB57、マスクDB58、露光DB59、ログDB60、表示装置61、および入力装置62などから構成されるものである。
【0028】
交換手段52は、ステンシルマスク2、ロールモールド3などを交換する制御を行うものである(図2のフローチャートおよびその説明を参照)。
【0029】
安定化手段53は、ロールモールド3を連続回転させ、回転速度、温度などの安定化を図るものである(図2のフローチャートおよびその説明を参照)。
【0030】
ロール制御手段54は、ロールモールド3を一定速度で連続回転させるように安定化するものである。ロールモールド3の回転角度は、当該ロールモールド3に連結(直結)した高精度のエンコーダにより、一定速度で連続回転するときの回転角度を高精度(例えばロールモールド3の表面上で数nm程度の高精度(末尾に記述する)に検出するようにしている。
【0031】
マスク制御手段55は、マスク(ステンシルマスク)2をロールモールド3に近接した状態でX、Y、Z、θ方向に移動させたりなどするものである。
【0032】
ビーム制御手段56は、電子ビーム1をマスク2に照射したり、ビームブランカ341に電圧を印加して遮断したりし、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1をロールモールド3の表面に塗布したレジストに露光させて連続したパターンや、断続したパターンを露光したりなどするものである(図2から図13参照)。
【0033】
モールドDB57は、ロールモールド3に電子ビーム1を露光するときに必要な情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0034】
・モールド材料:
・モールド形状:
・レジスト条件:レジスト種類、膜厚、電子線感度など
・その他:
マスクDB58は、マスク2の開口20を通過した電子ビーム1をロールモールド3に照射して露光するときに必要な情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0035】
・パターンデータ:CADデータなど
・形状データ:
・走査条件:
・その他:
露光DB59は、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1でロールモールド3に塗布したレジスト上に露光するときの情報を登録したものであって、例えば下記の情報を登録したものである。
【0036】
・レジスト条件:
・レジスト感度:
・塗布条件:
・塗布方式:
・レジスト膜厚:
・ベーク条件:
・塗布日時:
・現像条件:
・現像方式:
・ベーク条件:
・現像日時:
・ビーム条件:
・電流量(電子ビーム1の電流量):
・ビーム走査方法:
・ビーム照射時間:
・ブランキング条件:
・ステージ条件:
・回転ステージ:
・回転数:
・直動ステージ:
・X軸:
・Y軸:
・Z軸:
・レーザ干渉計測定位置:
・マスクステージ:
・回転補正ステージ:
・位置決めステージ:
・X軸:
・Y軸:
・Z軸:
・真空条件:
・事前準備条件:
・その他:
ログDB60は、マスク2、ロールモールド3をセットし、ロールモールド3を連続回転させて一定連続回転、一定温度などに安定化し、マスク2の開口20を透過した電子ビーム1をロールモールド3の表面の塗布したレジストに露光したときの各状態の情報、更に、現像したときの情報などのログを登録して管理するものである。
【0037】
表示装置61は、ロールモールド3にマスク2の開口20を透過した電子ビーム1を照射して露光するときの情報を表示したり、表示させたメニュー上から操作指示などを入力したりなどするものであって、液晶表示装置などである。
【0038】
入力装置62は、各種情報を入力するものであって、例えばマスク、キーボード、タッチパネルなどである。
【0039】
次に、図2のフローチャートの順番に従い、図1の構造の動作を詳細に説明する。
【0040】
図2は、本発明の動作説明フローチャートを示す。
【0041】
図2において、ステップS1(以下「S1」という)は、ステンシルマスクをセットする。これは、図1に示すように、ステンシルマスク2を図示外のマスクステージ11(図2参照)にセットする。詳細な手順を説明すれば、下記の通りである。
【0042】
1.手動交換作業の場合:
(1)図1の装置を収納する図示外の試料室10(図3参照)を大気開放作業を行う。例えば乾燥空気(あるいは窒素)をリーク弁を開放して導入して大気圧にする。
【0043】
(2)マスク2を図示外のマスクステージ11(図3参照)に固定する。
【0044】
(3)マスク2の位置決めを行う。ここでマスク2の位置決めは、下記の項目について少なくとも行う。
【0045】
・パターン回転角度:
・水平度:
・回転軸平行度:
・その他:
ここで、パターン回転角度はマスク2上に作成されたパターンの列方向の回転角度を、ロールモールド3の回転軸方向に対して指定された回転角度(例えば0°、10°など)に設定(調整)する。水平度はマスク上のパターンと、ロールモールド3の表面との水平度を所定範囲内に設定(調整)する。回転軸平行度はマスク2上のパターンと、ロールモールド3の回転軸との平行度を所定範囲内に設定(調整)する。
【0046】
(4)真空排気作業を行う。これは、図1の装置の収納された図示外の試料室10(図3参照)を図示外の真空排気装置で真空排気する。
【0047】
(5)マスク2の温度制御を開始する。これは、(4)で真空排気した後、図1のマスク2を搭載したマスクステージ11(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、マスク、マスクステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(6)マスク2の交換作業を終了する。
【0048】
2.自動交換作業の場合:
(1)マスク交換台にセットする。これは、図1のマスク2を図示外の交換台にセットする。
【0049】
(2)(1)で交換台にセットされたマスクをマスクホルダに固定する。
【0050】
(3)マスク事前洗浄・除電処理等を実施する(大気側)。これは、(2)でマスクホルダに固定されたマスク2を、大気圧(あるいは減圧中)で紫外線などを照射して当該マスク2の表面、開口20の部分などの汚れを除去する。
【0051】
(4)マスク交換室を開放する。
【0052】
(5)マスク交換室に搬送する。
【0053】
(6)マスク交換室を真空排気する。これら(4)から(6)は、(1)から(3)で大気中で汚れなどを除去した後、マスクホルダに固定されたマスク2を、マスク交換室を開放して搬送し、閉めた後に真空排気する。
【0054】
(7)マスク洗浄・除電処理等を実施する(真空内)。これは、(6)で真空排気された後のマスクホルダに固定されたマスク2を、真空中(あるいは減圧中)に紫外線や電子線などを照射して当該マスク2の表面、開口20の部分の汚れを除去する。
【0055】
(8)マスクステージに搬送する。
【0056】
(9)マスクをステージに固定する。これら(8)、(9)は、(7)でマスク交換室内でマスクホルダに固定したマスク2の汚れを除去した後、試料室10との間の弁を開いてマスクホルダに固定したマスク2を、図1の図示外の試料室10内のマスクステージ11(図2参照)に搬送して固定し、図1のマスク2の状態にする。
【0057】
(10)マスクの位置決めを行う。ここでマスクの位置きめは、上述した1の(3)に記載した下記の項目について少なくとも行う。
【0058】
・パターン回転角度:
・水平度:
・回転軸平行度:
・その他:
(11)マスクの温度制御を開始する。これは、(10)の後、図1のマスク2を搭載したマスクステージ11(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、マスク、マスクステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(12)マスクの交換作業を終了する。
【0059】
S2は、レジスト付ロールモールドをセットする。これは、図1に示すように、予めレジストの塗布したロールモールド3を、図示外のロールステージ12(図4参照)にセットする。詳細な手順を説明すれば、下記の通りである。
【0060】
1.手動交換作業の場合:
(1)図1の装置を収納する図示外の試料室10(図3参照)を大気開放作業を行う。例えば乾燥空気(あるいは窒素)をリーク弁を開放して導入して大気圧にする。
【0061】
(2)ロールモールド3を図示外のロールステージ12(図3参照)に固定する。
【0062】
(3)ロールモールド3の位置決めを調整を行う。ここでロールモールド3の位置決め調整は、下記の項目について少なくとも行う。
【0063】
・回転時の真円度:「
・直動軸の振れ量:
・直動軸の平行度:
・その他:
ここで、回転時の真円度は、ロールモールド3を回転対称軸で回転させたときの真円度が所定範囲に設定(調整)する(真円度が所定範囲内にないと、ロールモールド3の表面のレジスト面と、マスク2との間の距離が許容範囲外となり、マスク2上のパターンの露光に悪影響を与える)。直動軸の振れ量、直動軸の平行度は、ロールモールド3を固定したロールステージ12をX方向、Y方向に移動(X方向用、Y方向用の直動用モータ13(図3)で移動)したときの振れ量、平行度が所定範囲内になるように設定(調整)する。尚、移動量などは、図示外のレーザ干渉計で精密に測定する。
【0064】
(4)真空排気作業を行う。これは、図1の装置の収納された図示外の試料室10(図3参照)を図示外の真空排気装置で真空排気する。
【0065】
(5)ロールモールド3の温度制御を開始する。これは、(4)で真空排気した後、図1のロールモールド3を搭載したロールステージ12(図3)などを所定温度範囲に保持するように温度制御を行う。
【0066】
(6)ロールモールド3の交換作業を終了する。
【0067】
2.自動交換作業の場合:
(1)レジスト付ロールモールド3を図示外の交換台にセットする。
【0068】
(2)(1)で交換台にセットされたロールモールド3を図示外のチャッキングホルダに固定する。
【0069】
(3)ロールモールド3の事前洗浄・除電処理等を実施する(大気側)。これは、(2)でチャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、大気圧(あるいは減圧中)で紫外線などを照射して当該ロールモールド3の表面などの汚れを除去する。
【0070】
(4)ロールモールド交換室を開放する。
【0071】
(5)ロールモールド交換室に搬送する。
【0072】
(6)ロールモールド交換室を真空排気する。これら(4)から(6)は、(1)から(3)で大気中で汚れなどを除去した後、チャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、ロールモールド交換室を開放して搬送し、閉めた後に真空排気する。
【0073】
(7)ロールモールド洗浄・除電処理等を実施する(真空内)。これは、(6)で真空排気された後のチャッキングホルダに固定されたロールモールド3を、真空中(あるいは減圧中)に紫外線などを照射して当該ロールモールド3の表面などの汚れを除去する。
【0074】
(8)ロールステージに搬送する。
【0075】
(9)ロールモールド3をロールステージに固定する。これら(8)、(9)は、(7)でロールモールド交換室内でチャッキングホルダに固定したロールモールド3の汚れを除去した後、試料室10との間の弁を開いてチャッキングホルダに固定したロールモールド3を、図1の図示外の試料室10内のロールステージ12(図3参照)に搬送して固定し、図1と同様の状態にする。
【0076】
(10)ロールモールド3の位置決めを行う。ここでロールモールド3の位置きめは、上述した1の(3)に記載した下記の項目について少なくとも行う。
【0077】
・回転時の真円度:「
・直動軸の振れ量:
・直動軸の平行度:
・その他:
(11)ロールモールド3の温度制御を開始する。これは、(10)の後、図1のロールモールド3を搭載したロールステージ12(図3)を所定温度範囲に保持するように温度制御を行い、ロールモールド3、ロールステージを一定温度に保持するように温度制御を行う
(12)ロールモールド3の交換作業を終了する。
【0078】
S3は、露光事前準備:回転速度の安定化を行う。これは、露光事前準備のうちの「回転速度の安定化」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該回転速度の安定化に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0079】
(1)温度センサ・振動センサ・エンコーダ・レーザー干渉計等を初期化する。これは、図1の装置で、露光を開始する前に、温度、振動、ロールモールド3の回転角度、マスクステージ11、ロールステージ12の移動量を精密測定するレーザー干渉計などを全て初期化などを行う。例えば初期設定値あるいは予め設定した値に設定したり、ホームポジションや所定基準点などをもとに校正したりなどを行う。
【0080】
(2)ステージの温度測定を開始し、所定範囲内で一定に保持されているか確認する。
【0081】
(3)ステージの振動測定を開始し、ステージ(マスクステージ11、ロールステージ12など(図3参照)の振動が所定範囲内かチェックする。
【0082】
(4)真円度及び直動軸の振れ量の測定を開始し、ロールモールド3を回転させたときの真円度、ロールモールド3やマスク2を移動させたときの振れ量、平行度などをチェックして所定範囲内かチェックする。
【0083】
(5)モータの回転を開始し、所定の一定速度内に収まっているかチェックする。
【0084】
(6)「回転速度の安定化」作業を終了する。
【0085】
S4は、露光事前準備:真空環境の改善を行う。これは、露光事前準備のうちの「真空環境の改善」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該真空環境の改善に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0086】
(1)真空排気を開始する。
【0087】
(2)真空度の測定(初期状態)を行う。
【0088】
(3)コンタミ防止処理を開始する。コンタミ防止処理としては、例えば
(3−1)残留ガス分析を実施(Q-Mass)し、許容範囲の残留ガスかチェックする。
【0089】
(3−2)コンタミ除去用ガス(酸素・オゾン等)のマスフローメータによる導入及び真空度の調整する。
【0090】
(3−3)プラズマ洗浄、DUV洗浄、エキシマレーザー励起洗浄等を開始する。これら(3−2)、(3−3)でロールモールド3、マスク2、およびホルダなどの汚染物質を除去する。
【0091】
(3−4)残留ガス分析を実施(Q-Mass)する。(3−1)から(3−3)の作業後に、残留ガス分析して許容範囲内かチェックなどする。
【0092】
(4)コンタミ防止処理を終了する。
【0093】
(5)残留ガス分析を確認(Q-Mass)する。
【0094】
(6)「真空環境の改善」作業を終了する。
【0095】
S5は、露光事前準備:温度の安定化を行う。これは、露光事前準備のうちの「温度の安定化」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該温度の安定化に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0096】
(1)温度センサ及び振動センサのデータ収集を開始する。
【0097】
(2)測定結果のリアルタイム解析を開始する。
【0098】
(3)結果データの表示および蓄積データとの比較を行う。これは、(1)、(2)で温度センタ、振動センサでリアルタイムに収集したロールモールド3(ホルダ、ロールステージ12))、マスク2(ホルダ、マスクステージ11)などの温度、振動のデータをもとに電子ビーム露光するに必要な条件(所定温度範囲、所定振動範囲内など)を充足するか比較し、充足か否かを判定する。
【0099】
(4)「温度の安定化」作業を終了する。
【0100】
S6は、露光事前準備:マスクの姿勢制御を行う。これは、露光事前準備のうちの「マスクの姿勢制御」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該マスクの姿勢制御に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0101】
(1)マスクアライメントマークの検出及び回転角度の検出する。これは、マスク2に予めマーキングしてある複数のアライメントマークを検出し、マスク2の位置およびマスク2の回転角度を検出する。
【0102】
(2)マスクステージ11の直動軸の移動方向とロールモールド3の取り付け角度の検出を行う。これは、マスクステージ11(図3)の直動軸の移動方向に対するロールモールド3の取り付け角の検出を行なう。
【0103】
(3)回転角度を算出し、補正量を算出する。(2)で検出した、マスクステージ11(図3)の直動軸の移動方向に対するロールモールド3の取り付け角を検出し、回転角度を算出し、マスクステージ11に対する補正量を算出する。
【0104】
(4)マスクステージ11による補正・調整を実施する。これにより、マスクステージ11により、マスク2をロールモールド3に対して正しい位置、角度(回転角度)に補正・調整した位置、回転合わせを行うことが可能となる。
【0105】
(5)「マスクの姿勢制御」を終了する。
【0106】
S7は、露光事前準備:電子ビームの条件設定する。これは、露光事前準備のうちの「電子ビームの条件設定」、即ち、マスク2をロールモールド3に近接して配置、かつロールモールド3を一定速度で回転させた状態で、電子ビームをマスク2の開口20に照射して透過した電子ビームでレジストを塗布したロールモールド3の表面に露光する際に、当該電子ビームの条件設定に必要な事前準備として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0107】
(1)指示された加速電圧ファイルを選択する。これは、操作開始時に管理者が指定(あるいはデフォルトで指定)された電子ビームの加速電圧ファイルを選択する。
【0108】
(2)照射ビーム条件の調整を行う。
【0109】
(2−1)試料室10(図3)内あるいは鏡筒31(図3)内の任意の場所の電子ビーム1の軸上に、ファラディーカップを移動し、当該電子ビーム1の電流測定を開始する。
【0110】
(2−2)最大電流値になるように鏡筒31の電子源32、集束レンズ33、対物レンズ、軸合わせコイルなどのビームアライメントを実施する。
【0111】
(2−3)アライメント終了後、所定の電流値(電子源32のバイアス、集束レンズ33、対物レンズの絞りの口径などを選択して所定の電流)を設定する。
【0112】
(2−4)電子ビームを遮断した後(図3のビームブランカ341に電圧を印加して電子ビームを遮断した後)、ファラディーカップを軸外に移動する。
【0113】
(2−5)照射ビーム条件の調整を終了する。
【0114】
(3)露光用ビーム電流の微調整を行う。
【0115】
(3−1)透過ビーム電流検出器の位置に移動する。これは、電子ビームを、偏向コイルで偏向し、透過ビーム電流検出器の位置に当該電子ビームが入射して検出できるようにする。
【0116】
(3−2)ステンシルマスク2の透過ビーム電流を測定する。
【0117】
(3−3)透過ビーム電流が最大になるように走査ビームアライメントを実施する。
【0118】
(3−4)露光ビーム電流を検出、露光感度を算出する。
【0119】
(3−5)電子ビームを遮断(ビームブランカ341に電圧を印加して遮断)し、露光用ビーム条件の微調整を終了する。
【0120】
(4)「電子ビームの条件設定」を終了する。
【0121】
S8は、露光位置座標に移動する。
【0122】
S9は、露光位置か判別する。これらS8、S9は、S1とS2でマスク2およびロールモールド3をそれぞれのマスクステージ11、ロールステージ12にセットし、S3からS7で事前準備(回転速度の安定化、真空環境の改善、温度の安定化、マスクの姿勢制御、電子ビームの条件設定)を終了したので、これから電子ビーム1による露光を開始するために、露光位置座標に移動する作業として、ここでは、下記の項目について少なくとも行う。
【0123】
(1)電子ビームを遮断して、指示された露光位置に移動動作を開始する。これは、図3のビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断し、指示された露光位置に、ロールモールド3(ロールステージ12)、マスク2(マスクステージ11)の移動動作を開始する。
【0124】
(2)ステージ移動が停止後、位置座標及び振動状態を確認する。これは、(1)で移動動作を開始したステージ(ロールステージ12、マスクステージ11)の移動が停止し、指定された位置座標に移動完了し、振動が所定範囲内に収まっているか判別する(尚、この状態では、既述したS3からS7の処理(作業)により、ロールモールド3は一定速度で安定的に回転、ロールモールド3、マスク2などは一定温度に保持などされている)。
【0125】
(3)「露光位置に移動」を終了する。
【0126】
以上の作業(処理)を終了し、露光位置に到達していると判明した場合には、S9のYESとなり、S10に進む。一方、NOの場合には、S8、S9を繰り返す。
【0127】
S10は、露光開始する。これは、S9のYESで露光位置に到達しかつ振動が所定範囲内と判明したので、電子ビーム1の露光を開始する(図3のビームブランカ341に印加した電圧をOFFにし、電子ビーム1がマスク2の開口20を透過してロールモールド3の表面に塗布したレジストを露光開始する)、即ち下記の項目について少なくとも行う。
【0128】
(1)電気的なビームブランカ341を動作維持状態で、電子ビーム1をONにする。
【0129】
(2)振動状態を確認する。
【0130】
(3)回転角度原点を検出し角度カウンターの計測を開始、又は回転エンコーダによる角度検出を開始する。
【0131】
(4)ロールモールド3の回転速度を確認する。
【0132】
(5)ロールモールド3の露光開始角度を検出、指示がない場合は任意位置で開始する。
【0133】
(6)電子ビーム走査と露光開始位置を同期させる。
【0134】
(7)ビームブランカ341を解除して、露光開始する。
【0135】
(8)所定の露光時間までビーム照射を実施する。
【0136】
S11は、露光終了する。
【0137】
S12は、露光継続か判別する。YESの場合には、次の露光位置に移動し、S9に戻り繰り返す。NOの場合には、終了する。ここでは、S11、S12の作業として、例えば下記の項目について少なくとも行う。
【0138】
(1)露光所定時間の経過と露光開始角度検出を実施する。
【0139】
(2)ビームブランカ341を動作させ、電子ビーム1を遮断する。
【0140】
(3)ロールモールド3の回転動作を停止する。
【0141】
(4)露光終了を確認する。
【0142】
(5)露光継続の場合(S12のYESの場合)には、次の露光位置に移動する。
【0143】
(6)それ以外(S12のNOの場合)には、露光作業を終了する。
【0144】
以上によって、マスク2、ロールモールド3をマスクステージ11、ロールステージ12にセット(S1、S2)し、露光事前準備として、回転速度の安定化(S3)、真空環境の改善(S4)、温度の安定化(S5)、マスクの姿勢制御(S6)、電子ビームの条件設定(S7)などを行い、マスク2、ロールモールド3を露光位置に移動させた後、ロールモールド3の回転に同期してマスク2の開口20を透過した電子ビーム1を当該ロールモールド3の所定位置に帯状に1回転あるいは複数回転(この場合は数回から数百回の重複露光)することにより、ロールモールド3の表面に塗布したレジストに応じた必要な露光量(感度などに応じた必要な露光量)を露光することが可能となる。尚、回転する方向に断続するロールモールド3上のパターンの露光や、マスク2上の複数パターンを組み合わせてある1つの完成したロールモールド3上のパターンの露光は、後述する図3から図13参照。以下順次詳細に説明する。
【0145】
図3は、本発明の1実施例構造図を示す。この図3は、図1の原理構造図を、走査型電子顕微鏡に適用した例であって、電子ビーム1を発生、集束、偏向、結像、遮断などする鏡筒31、マスク2やロールモールド3を真空中に収納する試料室10、および図示外の、マスク、ロールモールドの交換室、真空排気装置、パソコンなどから構成される要部の1実施例構造図を示す。
【0146】
図3において、鏡筒31は、電子ビーム1を発生、集束、偏向、遮断などするものであって、ここでは、電子源32、集束レンズ33、ビームブランキング電源41、ビームブラカ341、ビーム走査電源35、偏向コイル36、対物レンズ37などから構成されるものである。
【0147】
電子ビーム1は、電子源32から放出された電子ビームであって、所定電圧(例えば数KVないし数十KV程度の電圧)で加速した電子ビームである。
【0148】
電子源32は、電子ビーム1を放出する電子銃などから構成されるものである。
【0149】
集束レンズ33は、電子源32から放出された電子ビーム1を集束するものである。
【0150】
ビームブランキング電源34は、ビームブランカ341に電圧を印加したり、遮断したりし、電子ビーム1をONあるいはOFFに制御する電源である。
【0151】
ビームブランカ341は、電圧が印加された場合に集束レンズ33で集束された電子ビーム1を軸外に偏向して遮断したり、電圧が遮断された場合に電子ビーム1を軸上を通過させたりし、電子ビーム1をONあるいはOFFに制御するためのもの(電極など)である。
【0152】
ビーム走査電源35は、偏向コイル(偏向電極)36に供給する電圧あるいは電流を制御するものであって、電子ビーム1を走査したり、所定位置に位置合わせしたりするためのものである。
【0153】
偏向コイル(偏向電極)36は、ビーム走査電源35から供給された電流あるいは電圧により、電子ビーム1を偏向、ここでは、図示のように2段偏向してマスク2の上方からほぼ垂直に電子ビーム1を照射したり、照射した状態で走査したりなどするものである。
【0154】
対物レンズ37は、集束レンズ33で集束された電子ビーム1を、マスク2の上の開口20に所定サイズで照射するためのものである。尚、対物レンズ37は集束レンズ33で所望の電子ビームをマスク2の上の開口20に照射可能なときはなくてもよい。
【0155】
試料室10は、マスク2、ロールモールド3などを収納する真空排気可能な容器であって、ここでは、内部に、マスクステージ11、マスクステージモータ112、ロールステージ12、直動ステージ121、直動用モータ13、ロール回転用モータ14、エンコーダ15、図示外のレーザ干渉計などが収納されるものである。
【0156】
マスクステージ11は、マスク2を固定するステージであって、マスク2を固定した状態でロールモールド2に対して所定距離に調整したり、マスク2の位置を平面内で移動したり、回転したりし、マスク2をロールモールド3に対して位置調整するためのものである。
【0157】
マスクステージ電源111は、マスクステージモータ112を駆動制御するものである。
【0158】
マスクステージモータ112は、マスクステージ11をX方向、Y方向、更に、必要に応じてロールモールド3との距離を調整するために移動制御したりなどするためのものである。
【0159】
ロールステージ12は、ロールモールド3を固定するステージであって、ロールモールド3を固定した状態で回転させたり、平面内(X方向、Y方向)で移動したりするためのものである。
【0160】
直動ステージ121は、ロールモールド3を軸方向に直動させるステージである。
【0161】
直動用モータ13は、ロールステージ12を軸方向に直動させるモータである。
【0162】
ロール回転用モータ14は、ロールモールド3を一定速度で回転させるものである。
【0163】
エンコーダ15は、ロールモールド3の回転対称軸に連結し、当該ロールモールド3の回転角度を精密にリアルタイムに検出するものであって、末尾に記述するように、ロールモールド3の表面で数nm程度に相当する角度分解能を有するものであって、ロールモールド3を一定速度で連続回転させた状態で検出するものである。
【0164】
次に、図4のフローチャートの順番に従い、図3のロールモールド3に図示のように回転方向に断続したパターンを露光するときの処理を詳細に説明する。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、当該断続した帯状のパターンを露光するときの要部を当該図4で説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0165】
図4において、S21は、ビーム走査方向の角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図4では、図3のロールモールド3上に回転方向に断続したパターンを露光する構成の場合であるので、ここでは、電子ビーム1の走査の開始の角度か判別する。例えば図3のロールモールド3に連結したエンコーダ15で検出した角度が、マスク2上のパターンを、ロールモールド3上に塗布したレジスト上に照射する角度になったか(角度に到達したか)を判別する。YESの場合には。S22に進む。NOの場合には、S21を繰り返し待機する。
【0166】
S22は、ビームONする。これは、S21のYESで、電子ビーム1をマスク2の開口20に照射する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を照射し(ビームONし)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始する。
【0167】
S23は、ビーム走査終了の角度か判別する。これは、S22でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始した後、当該ロールモールド3の回転方向のビーム走査終了角度となったか判別する。YESの場合には、S24に進む。NOの場合には、S23を繰り返し待機する。
【0168】
S24は、ビームOFFにする。これは、S22で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始した後、S23のYESで、ビームOFFする回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S21からS24を繰り返す。
【0169】
以上のS21からS24により(必要に応じて繰り返すことにより)、図3のロールモールド3の回転方向に図示のような帯状の断続したパターンを1回転について露光あるいは露光に必要なだけ複数回転について多重露光することにより、ロールモールド3の回転方向に断続した帯状のパターンを露光することが可能となる。
【0170】
図5は、本発明の他の実施例構造図(その2)を示す。この図5は、ロールモールド3に塗布したレジスト上に、回転方向にジグザグの帯状のパターンを露光する場合の構造図を示し、図3の構造とほぼ同じであるので、図3の構造の説明を参照。
【0171】
次に、図6のフローチャートの順番に従い、図5のロールモールド3に図示のように回転方向にジグザグのパターンを露光するときの処理を詳細に説明する。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、当該回転方向にジグザグの帯状の連続したパターンを露光するときの要部を当該図5で説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0172】
図6において、S31は、マスクを移動する角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図6では、図5のロールモールド3上に回転方向にジグザグした連続したパターンを露光する構成の場合であるので、ここでは、マスク2を移動する角度か判別する。例えば図5のロールモールド3に連結したエンコーダ15で検出した角度が、マスク2上のパターンを移動する角度となったか(角度に到達したか)を判別する。YESの場合には。S32に進む。NOの場合には、S31を繰り返し待機する。
【0173】
S32は、ビームONする。これは、S31のYESで、電子ビーム1をマスク2を移動する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を照射し(ビームONし)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始する。
【0174】
S33は、マスクを停止する角度か判別する。これは、S22でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始すると共に連続してマスクを移動した後、当該ロールモールド3の回転角度がマスクの一定走査を停止する角度となったか判別する。YESの場合には、S34に進む。NOの場合には、S33を繰り返し待機する。
【0175】
S34は、ビームOFFにする。これは、S32で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所に露光を開始すると共にマスク2を一定方向に連続移動させた後、S33のYESで、ビームOFFする回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S31からS34を繰り返す。
【0176】
以上のS31からS34により(必要に応じて繰り返すことにより)、図5のロールモールド3の回転方向に図示のような帯状にジグザグの連続したパターンを1回転について露光あるいは露光に必要なだけ複数回転について多重露光することにより、ロールモールド3の回転方向にジグザグの連続した帯状のパターンを露光することが可能となる。尚、ロールモールド3の回転方向にジグザグの断続した帯状のパターンを露光するときは、既述した図3、図4で説明した手順を重畳適用することにより露光することができる。
【0177】
図7は、本発明の説明図(その3)を示す。マスク2上の開口20が複数ある場合(図7では8個の例を示す)に、マスク2上の複数の開口20を一度に全部を、電子ビーム1で照射すれば、マスク2上の複数の開口20のパターンが近接配置したロールモールド3に塗布したレジスト上に、マスク2上のパターンの並び通りに露光される。しかし、電子ビーム1が全部の開口20を一度に照射できなく、例えば走査、例えば図7の(b)に示すように、左から右の方向に、ロールモールド3の回転に追従して一定速度で走査した場合、ロールモールド2の上には右下方向に開口20のパターンが露光されることとなってしまう。
【0178】
そこで、本発明では、図7の(c)に示すように、マスク2上の開口20の並びの角度θ0を、右上方向に角度に持たせておき、上述した図7の(b)と同一条件(ロールモールド3の回転速度に同期して一定速度で電子ビーム1をマスク2上の開口20を左から右方向に走査した場合には、当該図7の(c)に示すように、ロールモールド3上に平行なパターンが露光される。以下詳細に説明する。
【0179】
マスク2の開口20の列をロールモールド3の回転軸と平行から傾けると露光点のずれは変化し、図7の(c)に示す、ある角θoで配置することにより任意の傾きθの配列の露光が可能となる。
【0180】
詳細に説明すれば、図7の(a)に示すように、
・ビーム走査の(鋸歯状波の)周波数F
・ビーム走査の振幅L(cm)
・ビーム走査の速度 Vs=LF
・ロールの回転数 N(rpm)
・ロールの半径 R(cm)
・ロール表面の回転速度 Vr=2pN/60
・更に、マスクパターン配列の傾き角 θo=Vr/Vs - θ=(2pN)/(60LF) - θ
とすれば、ロールモールド3上に露光されるパターン配列の傾きをθとすると、マスク2のパターンの配列の傾き角θ0は、下式(1)で表される。
【0181】
θ0=V1/Vs−θ=(2πN)/(60LF)−θ ・・・・(式1)
また、具体例について計算すると例えば下記の表1に示すようになる。
【0182】
【表1】
【0183】
尚、電子ビーム1のサイズは、図7の(b),(c)では、マスク2上のパターンの開口20の1つを覆うサイズとしたが、これに限られず、複数の開口20を覆うサイズにしてもよい。複数の開口20を覆う場合には、電子ビーム1の走査方向は図7の(c)に示す、右上方向に角度θ0に必ずしもしなくてもよい。つまり、例えば図7の(c)で横方向に電子ビーム1を走査しても全部のマスク2の開口20の部分を照射できる場合には、電子ビーム1の走査方向を傾ける必要はない。
【0184】
図8は、本発明の説明図(その4)を示す。これは、マスク2のパターンの開口20を2列(更に3列以上の複数列も可)に並べた例を示す。この図8の開口20を2列に並べて同期して露光することにより、露光時間を半分にできる。更に、3列以上の複数列にしたときも、同様にこれら同期して複数列の開口20を重複露光することにより、複数列分の1に露光時間を削減できる。
図8の(a)はマスク2のパターンの開口20の2列を平行(ロールモールド3の軸に平行)に配置して同期露光する例を示し、図8の(b)は開口20の2列を角度θ傾けて同期露光する例を示す。
【0185】
図8の(a)の場合には、マスク2のパターンの開口20の1列目と、2列目とが同じロールモールド3上の同一場所に露光するように、当該ロールモールド3の回転角度を検出して電子ビーム1をマスク2上を右から左方向に一定速度で走査しつつ同期露光を行うと、図示のように右下がりのパターンがロールモールド3の上に露光される。
【0186】
図8の(b)の場合には、マスク2のパターンの開口20の1列目、2列目とが角度θ0だけ右上方向に傾けて作製してあるため、同期露光した場合には、図示のように、マスク2の開口20の1列目、2列目が図示のパターンのように露光されることとなる(図8の(a)のように、露光開始、露光終了の場所で露光されたパターンの列(開口20によって露光されたパターンの列)が傾くことがない)。
【0187】
図9は、本発明の説明図(その5)を示す。この図9は、ロールモールド3の回転角度をエンコーダ15で読み取り、この信号に同期して電子ビーム1の走査を開始し、ロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する様子を模式的に示す。この際、mTs > Tr とすることにより、ロールモールド3の1回転ごとに露光点をずらすような露光(図9の(c)のように複数回転で全体のパターンを露光、ここでは、6回転で全体のパターンを露光)することも可能である。
【0188】
図9の(b)はロールモールド3の回転毎に同じ位置にマスク2上のパターンの開口20を露光(同期露光)する様子を模式的に示し、図9の(c)はロールモールド3の回転毎に所定ピッチTPだけ進ませた位置にマスク2上のパターンの開口20を露光することを繰り返す様子(6回転毎に同じ場所を露光する様子)を模式的に示す。
【0189】
詳細に説明すれば、図9の(a)の上段に示すように定義すると、下段に示すように、TS(ビーム走査周期)、Tr(ロール周期)、Tp(パターンピッチ(図9の(c)のTp参照)を算出できる(図9の(a),(b)中の符号の場所を参照)。
【0190】
以上のように、ロールモールド3の回転角度をエンコーダ15で正確に検出し、回転角度に同期して電子ビーム1を走査することにより、図9の(b)のようにマスク2上のパターンの開口20を通過した電子ビーム1でロールモールド3上に塗布したレジスト上に露光したり、更に、回転毎にTpだけずらすことを繰り返す(図9の(c)では6回転(N回転)繰り返すことにより図9の(c)に示すように1/6(1/N)の回転方向の間隔でパターンを露光することが可能となる。
【0191】
次に、図10のフローチャートに従い、既述した図7、図8、図9の露光手順を詳細に説明する。
【0192】
図10は、本発明の動作説明フローチャート(図7、図8、図9)を示す。尚、図1のロールモールド3に図示のように回転方向に連続した帯状のパターンを露光するときの処理は、既述した図2を用いて詳細に説明したので、回転に同期して電子ビーム1を走査しつつマスク2上のパターンの開口20を露光してロールモールド3上にパターンを形成(露光)するときの要部を当該10のフローチャートをもとに既述した図7、図8、図9の処理を詳細に説明する。他の処理などは、図2のものと同一であるので説明を省略する。
【0193】
図10において、S41は、マスクパターンの角度とビーム走査角度を一致させる。これは、既述した図7から図9で、1列あるいは複数列のマスク2上のパターンを形成する開口20の列の角度と、電子ビーム1で走査する角度とを一致させる。尚、電子ビーム1のサイズが大きくて横方向に走査したときに全部(あるいは複数)の開口20を露光可能なときは当該電子ビーム1は一致させる必要はない。
【0194】
S42は、ビーム走査開始の角度か判別する。これは、既述した図2のS8に続けて行う処理であって、当該図10では、図7から図9で、エンコーダ15で検出したロールモールド3の回転角度が、電子ビーム1を露光する角度になったか判別する。YESの場合には。S43に進む。NOの場合には、S42を繰り返し待機する。
【0195】
S43は、ビームONする。これは、S42のYESで、電子ビーム1をマスク2のパターンの開口20に照射開始する角度になったと判明したので、ビームブランカ341に電圧を印加して電子ビーム1を遮断していたものを当該印加を中止し、電子ビーム1によりマスク2の開口20を走査照射し(ビームONにして走査照射し)、透過した電子ビーム1をロールモールド3の所定の回転角度の場所に露光を開始する。
【0196】
S44は、ビーム走査終了の角度か判別する。これは、S43でビームONして電子ビーム1をマスク2の開口20に走査照射して透過した当該電子ビームをロールモールド3の塗布したレジスト上に露光開始すると共に連続して電子ビーム1を走査した後、当該ロールモールド3の回転角度が電子ビーム1の走査終了の角度か判別する。YESの場合には、S45に進む。NOの場合には、S44を繰り返し待機する。
【0197】
S45は、ビームOFFにする。これは、S43で、ビームONし、電子ビーム1をロールモールド3の所定の角度の場所から露光開始すると共に電子ビーム1をマスク2の一定方向に連続移動させた後、S43のYESで、ビームOFFする電子ビームの回転角度に到達したので、ビームブランカ341に電圧を印加し、電子ビーム1がマスク2の開口20を照射するのを遮断する。そして、S42からS45を繰り返す。
【0198】
以上のS41からS45により(必要に応じて繰り返すことにより)、図7から図9のロールモールド3の回転方向に図示のような断続のパターンを1回転について露光したり、露光に必要なだけ複数回について多重露光したり、更に、露光位置を回転毎に少しずつづらして複数回転で同じ場所を露光および更に必要な回数だけ繰り返したりすることにより、図7から図9に示す、ロールモールド3の回転方向に断続したパターンを露光することが可能となる。
【0199】
図11は本発明の説明図(その6−1、マスク)を示し、図12は本発明の説明図(その6−2、ロールモールド)を示す。これら図11、図12は、図11のマスク2上のパターンの開口20の4列(露光しようとするパターンを分割した部分パターン(分割パターン)の4列)を用い、これらをそれぞれの位置に露光(4回の分割露光)して合成した6角形状(亀形状)のパターン(図12)を、ロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する例を模式的に示す。この分割露光は、マスク2が透過型を採用するために、閉パターンの内部に他のパターンがある場合には形成不可(内部の他のパターンを保持するものがないので形成不可)であるので、当該パターンを作製可能なパターンに分割した分割パターン(部分パターン)をそれぞれの位置に分割露光して合成することにより、元のパターンを露光するときに特に便利である。
【0200】
図11において、aは、ビーム1走査中の円筒表面(ロールモールド3の円筒表面)の回転量であって、例えば図11の4列の分割パターンのうちの、例えば1列目の分割パターンの左から右方向に電子ビーム1で一定速度で走査したときに、当該ロールモールド3の円筒表面の回転量である。ここでは、1つのパターン(6角形状のパターン)を図示のように、4つの分割パターンに分割してそれぞれの位置に露光して合成することで、1つのパターンをロールモールド3に塗布したレジスト上に露光している。以下処理方法を詳細に説明する。
【0201】
(1)ロールモールド3の1回転目:図11の第1列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第1列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”1”に示すように、分割パターンがaの回転量毎にロールモールド3に、1回転に渡って繰り返し露光される。尚、図12の”1”・・・などに示す露光された分割パターンは、説明を簡単にするために水平方向に表示する。もし露光された分割パターンを完全に水平方向にするには、図11の第1列目の分割パターンを上方向に傾けて作製(図11のaに相当した分だけ、図7の(c)のθ0傾けて作製)し、電子ビーム1で走査して露光したときに図12の”1”で水平となるようにすればよい。以下説明を簡単にするために、水平方向になるとして説明する。
(2)ロールモールド3の2回転目:(1)と同様に、図11の第2列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第2列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”2”に示すように、第2列目の分割パターンが追加露光され、1回転に渡って繰り返し露光される。
【0202】
(3)同様に、ロールモールド3の3回転目、4回転目:(2)と同様に、図11の第3列目、第4列目の分割パターンに、電子ビーム1を左から右方向に一定速度で走査しつつ照射することを繰り返す(この際、1走査毎にロールモールド3はaだけ回転する)と、当該第3列目、第4列目の分割パターンを透過した電子ビーム1がロールモールド3に塗布したレジスト上に、図12の”3”、”4”に示すように、第3列目、第4列目の分割パターンが順次追加露光され、1回転に渡って繰り返し露光される。
【0203】
以上によって、1周分の分割パターン(図11の第1列目から第4列目の分割パターン)の露光により、1つのパターンの露光が完成したこととなる。
【0204】
(4) そして、同様に、2周目、3周目・・・・と、必要な露光量が得られるまで繰り返すことにより、図12の”N”のパターンが露光されることとなる。
【0205】
(5)尚、図12の”1”、”2”、”3”、”4”・・・・は、第1列目の分割パターン、第2列の分割パターン、第3列の分割パターン、第4列の分割パターン・・・という順番に最初の露光を遅れて露光したために各先頭の部分に次の分割パターンが露光されていないが、これは、各列の分割パターンを先頭から露光開始するように露光開始角度を制御、あるいは図11のマスク2上の分割パターンの第1列目から第4列目を逆にして第4列目、第3列目、第2列目、第1列目の順番に作製して上から順番に露光開始するようにすればよい。
【0206】
図13は、本発明のSRM回転角同期露光方法の説明図を示す。ここで、エンコーダ15、鏡筒31は、既述した図3などと同一であるので説明を省略する。
【0207】
次に、回転角に同期して電子ビームをロールモールド3に塗布したレジスト上に露光する方法を、以下詳細に説明する。
【0208】
(1)エンコーダ15は図3に示すようにロールモールド3に連結され、当該ロールモールド3は一定速度で連続回転されているので、回転角度を正確に検出することができる。エンコーダ15は、原点リセット信号をカウンタ151に送出して当該カウンタ151を1回転の原点毎にリセットしてカウントを再スタートさせ、エンコーダ15から送出されるパルスをカウントする。カウンタ151として、公知のbinary rate multiplierを用いることで、当該パルスの整数倍だけでなく、更に当該パルスの小数点周期の検出(設定)も可能である(公知技術)。
【0209】
(2)カウンタ151には、図1のPC51が例えば下記をセットする。
【0210】
・周期:No,
・ビームON時間:Nb
ここで、周期Noは、露光パターン周期θp、エンコーダ回転角Δθとするとき、No=θp/Δθとして算出する。
【0211】
(3)カウンタ151が、(2)でセットされた周期Noとなったときに、ブランキング信号をBeam Blinking Generator152に出力し、Blanker Amp153で増幅して鏡筒31のブランカ341に所定の電圧を印加あるいは電圧を遮断(0V)し、電子ビーム1をビームON時間Nbで指定された時間だけ当該電子ビームを透過させて、マスク2のパターンの開口20を照射する。この際、同時に、カウンタ151は、スキャン信号をScan Generator154に出力し、Def Amp155で増幅して鏡筒31の偏向コイル(偏向板)36にスキャン電流/電圧を印加し、電子ビーム1をマスク2のパターンの開口20上を走査し、開口20を透過した電子ビーム1でロールモールド3に塗布したレジストに露光する。そして、これらを繰り返すことにより、マスク2上のパターンの開口20を透過した電子ビームを、ロールモールド3に塗布したレジスト上に繰り返し露光することが可能となる。
【0212】
(3)ここで、エンコーダ15、マスク2などとの関係を詳細に説明すると、
(3−1)第1に、マスク2上を走査する電子ビーム1は、等速回転するエンコーダ15の出力に同期させた鋸波状波形(スキャン波形)を偏向コイル(偏向板)36に供給して偏向させることにより、ロールモールド3の回転角度と、電子ビーム1によるマスク2上のパターンの開口20の走査とを精密に同期化する。この同期化により、エンコーダ15から出力されるパルスの整数倍だけではなく、等速回転するロールモールド3のパルス間を分割した角度位置を精密に検出して同期化することが可能となる。例えば、公知のSIGNUM角度位置決めエンコーダでは、図13の(A)で示すエントリのSi−FN−0417−B1に、6700万点/1回転(2の26乗相当)の測定が可能である(”ロータリエンコーダ用誤差測定回路の高度化”、電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 105(444), 15-20, 2005-11-23 電子情報通信学会を参照)。
【0213】
(3−2)次に、第2に、同時に、ロールモールド3の回転ずれ、軸方向の位置を精密にリアルタイムに検出(光干渉計などで検出)し、検出結果をもとマスク2を搭載したマスクステージ11のロール軸に対する傾き、軸方向のずれをリアルタイムに補正し、ロールモールド3とマスク2との傾きおよび軸方向のずれを精密に所定範囲内にリアルタイムに保持するように調整する。
【0214】
以上によって、マスク2、ロールモールド3、電子ビーム1の位置や角度の関係の同期化を図ることにより、マスク2のパターンの開口20の列を、所望のロールモールド3に塗布したレジスト上に精密に露光(多重露光、分割露光)することが可能となる。
【0215】
図14は、SIGNUMエンコーダーデータシート(FANUCシリアル)例を示す。これは、既述した図3などのエンコーダ15の例を示し、図14の(A)のエントリのインタフェースでは、上記したように、等速回転(例えば最高150回転/分の等速回転)させたエンコーダ15では、角度分解能として6700万点/1回転が可能である。これを、例えば100mm直径のロールモールド3に塗布したレジスト上にパターンを露光するときに使用すれば、レジスト上での分解能は、2rπ/6700万=100×3.14/6700万=4.68nmとなる。したがって、現状の上記エンコーダ15を用いて5nm程度のパターンを露光(多重露光、分割露光)することが可能となる。更に、角度分解能の向上した改良型などを用いれば、更に数nm程度の精度で露光も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明の原理構造図である。
【図2】本発明の動作説明フローチャートである。
【図3】本発明の1実施例構造図(その1)である。
【図4】本発明の動作説明フローチャート(その1、図3)である。
【図5】本発明の他の実施例構造図(その2)である。
【図6】本発明の動作説明フローチャート(その2、図5)である。
【図7】本発明の説明図(その3)である。
【図8】本発明の説明図(その4)である。
【図9】本発明の説明図(その5)である。
【図10】本発明の動作説明フローチャート(図7、図8、図9)である。
【図11】本発明の説明図(その6−1、マスク)である。
【図12】本発明の説明図(その6−2、ロールモールド)である。
【図13】本発明のSRM回転角同期露光方法の説明図である。
【図14】SIGNUMエンコーダーデータシート(FANUCシリアル)例である。
【符号の説明】
【0217】
1:電子ビーム
10:試料室
11:マスクステージ
111:マスクステージ電源
112:マスクステージモータ
12:ロールステージ
121:直動ステージ
13:直動用モータ
14:ロール回転モータ
15:エンコーダ
2:マスク(ステンシルマスク)
20:開口
3:ロールモールド
31:鏡筒
32:電子源
33:集束レンズ
34:ビームブランキングD年限
341:ビームブランカ
35:ビーム走査電源
36:偏向コイル(偏向板)
37:対物レンズ
4:連続パターン
51:PC(パソコン)
52:交換手段
53:安定化手段
54:ロール制御手段
55:マスク制御手段
56:ビーム制御手段
57:モールドDB
58:マスクDB
59:露光DB
60:ログDB
61:表示装置
62:入力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置において、
レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、当該ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、
電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、
前記マスクを前記ロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、
電子ビームを発生して前記マスクを通して前記ロールモールドに照射する電子源と、
前記ロールモールドを一定速度で連続回転させながら前記電子源から電子ビームを前記マスクに照射し、当該マスクを透過した電子ビームを当該ロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射して当該ロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段と
を備えたことを特徴とするロールモールド作製装置。
【請求項2】
前記電子源から放射された電子ビームを、前記マスクに照射したり、遮断したりする電子ビームスイッチを設け、前記断続したパターンを作製することを特徴とする請求項1記載のロールモールド作製装置。
【請求項3】
前記電子源から放出された電子ビームを、前記マスク上の所定領域を走査する偏向手段を設けたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のロールモールド作製装置。
【請求項4】
前記ロールステージは、回転可能に保持するロールモールドの回転対象軸の方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項5】
前記マスクステージは、マスクをロールモールドの表面に近接して配置した状態で、当該マスクを前記ロールモールドの面に並行にX方向およびY方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項6】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームを前記マスクに照射を開始あるいは停止し、回転方向に断続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項7】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記マスクステージを移動し、回転方向から直角方向に移動したパターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項8】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記マスクステージの移動および前記電子ビームの照射を開始あるいは停止し、不連続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項9】
前記マスクあるいはマスク上のパターンをロールモールドの回転対象軸方向に対して所定角度θだけ傾けると共に当該傾けた角度方向に前記電子ビームの走査方向を一致させた状態で、前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームをマスクに照射して不連続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項10】
前記マスクは、電子ビームが透過する開口を、前記ロールモールドの回転方向に複数列設けると共に、前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームをマスクに照射して多重露光あるいは分割露光することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項11】
円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作方法において、
レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、当該ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、
電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、
前記マスクを前記ロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、
電子ビームを発生して前記マスクを通して前記ロールモールドに照射する電子源とを備え、
前記ロールモールドを一定速度で連続回転させながら前記電子源から電子ビームを前記マスクに照射し、当該マスクを透過した電子ビームを当該ロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射して当該ロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する
ことを特徴とするロールモールド作製方法。
【請求項1】
円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作装置において、
レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、当該ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、
電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、
前記マスクを前記ロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、
電子ビームを発生して前記マスクを通して前記ロールモールドに照射する電子源と、
前記ロールモールドを一定速度で連続回転させながら前記電子源から電子ビームを前記マスクに照射し、当該マスクを透過した電子ビームを当該ロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射して当該ロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する手段と
を備えたことを特徴とするロールモールド作製装置。
【請求項2】
前記電子源から放射された電子ビームを、前記マスクに照射したり、遮断したりする電子ビームスイッチを設け、前記断続したパターンを作製することを特徴とする請求項1記載のロールモールド作製装置。
【請求項3】
前記電子源から放出された電子ビームを、前記マスク上の所定領域を走査する偏向手段を設けたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のロールモールド作製装置。
【請求項4】
前記ロールステージは、回転可能に保持するロールモールドの回転対象軸の方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項5】
前記マスクステージは、マスクをロールモールドの表面に近接して配置した状態で、当該マスクを前記ロールモールドの面に並行にX方向およびY方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項6】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームを前記マスクに照射を開始あるいは停止し、回転方向に断続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項7】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記マスクステージを移動し、回転方向から直角方向に移動したパターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項8】
前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記マスクステージの移動および前記電子ビームの照射を開始あるいは停止し、不連続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項9】
前記マスクあるいはマスク上のパターンをロールモールドの回転対象軸方向に対して所定角度θだけ傾けると共に当該傾けた角度方向に前記電子ビームの走査方向を一致させた状態で、前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームをマスクに照射して不連続パターンを作製することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項10】
前記マスクは、電子ビームが透過する開口を、前記ロールモールドの回転方向に複数列設けると共に、前記ロールモールドの回転角度を読み取るエンコーダを設け、当該エンコーダから読み取った角度に同期して、前記電子ビームをマスクに照射して多重露光あるいは分割露光することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のロールモールド作製装置。
【請求項11】
円筒あるいは円柱状の回転体の表面に所望の凹凸のパターンを有するロールモールドを作製するロールモールド製作方法において、
レジストを表面に塗布した円筒あるいは円柱状の回転体であるロールモールドを、当該ロールモールドの回転対称軸の周りに回転可能に保持するロールステージと、
電子ビームが透過する1つあるいは複数の開口パターンを有するマスクと、
前記マスクを前記ロールモールドの表面に近接して配置して保持するマスクステージと、
電子ビームを発生して前記マスクを通して前記ロールモールドに照射する電子源とを備え、
前記ロールモールドを一定速度で連続回転させながら前記電子源から電子ビームを前記マスクに照射し、当該マスクを透過した電子ビームを当該ロールモールドのレジストを塗布した円筒あるいは円柱状の表面に照射して当該ロールモールド表面に回転方向に連続あるいは断続したパターンを作製する
ことを特徴とするロールモールド作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−12682(P2013−12682A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145886(P2011−145886)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591012668)株式会社ホロン (63)
【出願人】(000116736)旭化成エンジニアリング株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591012668)株式会社ホロン (63)
【出願人】(000116736)旭化成エンジニアリング株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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