説明

ワイパーブレード

【課題】 凍結防止を図りつつかつリフィールのみの交換を可能な構造とした場合であっても、リフィールの保持の確実化を図ることのできる自動車用のワイパーブレードを提供するワイパーブレードを提供する。
【解決手段】 本発明のワイパーブレード1は、長手方向に沿って延びてリフィール5を着脱可能に保持するリフィール挿入溝20が下部に形成された長尺形状の冬用フラットブレード本体4に、長手方向に沿って延びて払拭面に対するリフィール5の接触力を均等化するバーティブラ6が埋設され、冬用フラットブレード本体4の上部に冬用フラットブレード本体4をワイパーアームに装着するホルダー8が取り付けられ、冬用フラットブレード本体4にはリフィール挿入溝20を形成するリフィール保持枠21が一体成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパーアームに装着されてウインドウガラスのガラス面を払拭するのに用いられるワイパーブレードの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用のワイパーブレードには、凍結対策として、長尺状の冬用フラットブレード本体と払拭部を有するリフィールとを一体化し、冬用フラットベース本体の内部に長尺状のバーティブラ(心材)を埋設させた構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このものでは、冬用フラットブレード本体とリフィールとが一体化されているので、部品点数の削減を図ることができると共に、バーティブラにより払拭性能を確保しながら、凍結防止を図ることができる。
【特許文献1】特開平9−39743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の自動車用のワイパーブレードでは、バーティブラを埋設した冬用フラットブレード本体の製造が必ずしも容易ではなく、その製造の際にコストがかかるという不都合がある。
【0005】
更に、冬用フラットブレード本体とリフィールとが一体であるので、リフィールの交換を単体では行うことができず、リフィールの交換の際に必ず冬用フラットブレード本体と共に行わなければならないという問題があり、ユーザーにとっては必ずしも経済的ではないという不都合がある。
【0006】
そこで、冬用フラットベース本体にその長手方向に沿って延びる挿入孔を形成してこの挿入孔にバーティブラを挿入する構造とすると共に、その冬用フラットブレード本体の下部にその長手方向に沿って延びるリフィール挿入溝を形成する構造とし、リフィールを冬用フラットブレード本体の端部から着脱可能に挿入してこの冬用フラットブレード本体に保持させる構造のものが提案されている(特願2003−198054号)。
【0007】
このものによれば、凍結防止を図りつつも、リフィールが摩耗したときにはリフィールのみを取り外して交換できるという長所がある。
【0008】
ところが、このものには、冬用フラットブレード本体そのものに、リフィールを保持させる機能をもたせているので、リフィールの保持力が足りず、リフィール挿入溝が形成されている下部が払拭中に開いてリフィールが脱落するおそれがあり、なお改善する余地が残っている。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、凍結防止を図りつつかつリフィールのみの交換を可能な構造とした場合であっても、リフィールの保持の確実化を図ることのできるワイパーブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のワイパーブレードは、長手方向に沿って延びてリフィールを着脱可能に保持するリフィール挿入溝が下部に形成された長尺形状の冬用フラットブレード本体に、長手方向に沿って延びて払拭面に対する前記リフィールの接触力を均等化するバーティブラが埋設され、前記冬用フラットブレード本体の上部に該冬用フラットブレード本体をワイパーアームに装着するホルダーが取り付けられ、前記冬用フラットブレード本体には前記リフィール挿入溝を形成するリフィール保持枠が一体成形されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載のワイパーブレードは、前記冬用フラットブレード本体にその長手方向に沿って延びて前記バーティブラを挿入する挿入孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のワイパーブレードは、前記リフィール保持枠にその長手方向に沿って延びて前記バーティブラを挿入する挿入孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リフィール挿入溝を形成するリフィール保持枠を冬用フラットブレード本体に一体に形成したので、凍結防止を図りつつかつリフィールのみの交換を可能な構造とした場合であっても、リフィールの保持の確実化を図ることができるという効果を奏する。
【0014】
特に、請求項3に記載の発明によれば、リフィール保持枠にバーティブラの挿入孔を形成したので、バーティブラによりリフィール保持枠そのものの剛性の向上を図ることができ、より一層リフィールの保持の確実化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係わるワイパーブレードの発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0016】
図1、図2において、1はワイパーブレードである。このワイパーブレード1は、図3に示すワイパーアーム2に装着されて例えばフロントガラスのガラス面3を払拭するのに用いられる。
【0017】
このワイパーブレード1は、図2に示すように、冬用フラットブレード本体4と、リフィール5と、バーティブラ6と、キャップ7と、ホルダー8とから大略構成されている。冬用フラットブレード本体4は長尺形状を呈し、エラストマー材料から構成されている。リフィール5はゴム製であって冬用フラットブレード本体4の延びる方向に延びる長尺形状とされている。このリフィール5は払拭部9と冬用フラットブレード本体4に保持される保持部10とを有し、払拭部9と保持部10とは首部11により連結されている。冬用フラットブレード本体4にはその上部中央部分が取り付け部13とされ、この取り付け部13にホルダー8が装着される。
【0018】
ホルダー8は、長方形状の底壁14と、この底壁14から起立された一対の縦壁15、15と、底壁14の長手方向両端部に一体に形成されかつ冬用フラットブレード本体4の断面外形に沿う形状の取り付け片部16、16と、一対の縦壁15、15に掛け渡されてワイパーアーム2のU字形状のフック(図示を略す)が着脱可能に取り付けられるクリップ17とから大略構成されている。
【0019】
その取り付け片部16、16には挿通孔18、18がそれぞれ形成され、冬用フラットブレード本体4には、この挿通孔18、18に対応して挿通孔19、19が形成されている。
【0020】
バーティブラ6は、リフィール5と略同一長を有する金属製の板から形成され、弓なりの形状に湾曲されている。このバーティブラ6は冬用フラットブレード本体4に埋設されるもので、リフィール5のフロントガラスのガラス面3に対する接触力を分散させて均等化する役割を果たす。
【0021】
その冬用フラットブレード本体4には、図4に拡大して示すように、リフィール挿入溝20を形成するリフィール保持枠21が一体成形されている。このリフィール保持枠21は例えば熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン(P.P)、ポリフェニレンオキサイド(P.P.O)、変成P.P.O(ノリル)等の材料が用いられている。
【0022】
その冬用ブレード本体4には、そのリフィール保持枠21の上部に、その長手方向に沿って延びてバーティブラ6を挿入する挿入孔22が形成されている。貫通孔19、19は図5に示すようにそのリフィール保持枠21と挿入孔22との間に位置している。キャップ7は冬用フラットブレード本体4の各端部の外形状と大略同一の形状を有する。
【0023】
このワイパーブレード1は例えば以下に説明する工程を経て組み立てられる。
【0024】
まず、冬用フラットブレード本体4の一端部側からバーティブラ6を挿入孔22に挿入し、リフィール5を同様にしてリフィール保持枠21のリフィール挿入溝20に挿入して保持させる。次に、キャップ7を冬用フラットブレード本体4の両端部に装着する。
【0025】
ついで、ホルダー8の底壁14を取り付け部13にあてがって、挿通孔18、18と挿通孔19、19とを対向させ、リベット31、31をこの挿通孔18、19に挿通して、カシメ手段によりホルダー8を冬用フラットブレード本体4に固定する。
【0026】
このものによれば、リフィール挿入溝20を形成するリフィール保持枠21を冬用フラットブレード本体4に一体に形成したので、フラットブレード本体4の下部が払拭中に開き気味になるおそれを防止できることになり、従って、凍結防止を図りつつかつリフィール5のみの交換を可能な構造とした場合であっても、リフィール5の保持の確実化を図ることができる。
【0027】
図6は本発明に係わるワイパーブレード1の他の実施例を示し、この実施例では、リフィール保持枠21にバーティブラ6の挿入孔22が形成されている。このものでは、バーティブラ6によりリフィール保持枠21そのものの剛性の向上を図ることができるので、より一層リフィール5の保持の確実化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係わるワイパーブレードの外観形状を示す図である。
【図2】図1に示すワイパーブレードの分解斜視図である。
【図3】図1に示すワイパーブレードをワイパーアームに装着してガラス面を払拭している状態を示す側面図である。
【図4】図1の矢印A−A線に沿う断面図である。
【図5】図1の矢印B−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明に係わるワイパーブレードの他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1…ワイパーブレード
4…冬用フラットブレード本体
5…リフィール
6…バーティブラ
8…ホルダー
20…リフィール挿入溝
21…リフィール保持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びてリフィールを着脱可能に保持するリフィール挿入溝が下部に形成された長尺形状の冬用フラットブレード本体に、長手方向に沿って延びて払拭面に対する前記リフィールの接触力を均等化するバーティブラが埋設され、前記冬用フラットブレード本体の上部に該冬用フラットブレード本体をワイパーアームに装着するホルダーが取り付けられ、前記冬用フラットブレード本体には前記リフィール挿入溝を形成するリフィール保持枠が一体成形されていることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記冬用フラットブレード本体にはその長手方向に沿って延びて前記バーティブラを挿入する挿入孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記リフィール保持枠にはその長手方向に沿って延びて前記バーティブラを挿入する挿入孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−76464(P2006−76464A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263390(P2004−263390)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】