説明

ワイヤ駆動式ロボット

【課題】 駆動源を可動部に搭載することなく複数方向への移動に対して正確で且つ迅速な制御を行い得る小型のワイヤ駆動式ロボットの提供。
【解決手段】 XθZ駆動方式のワイヤ駆動式ロボットにおいて、ロボットアームを旋回させるθ回転手段を備える昇降ベースと、昇降ベースの昇降軌道をZ軸方向に規制する昇降ガイドと、昇降ガイドを支持する走行ベースと、走行ベースの走行軌道をZ軸と直角なX軸方向に規制する走行ガイドと、走行ガイドを支持するベースフレームと、昇降ベースにZ軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のZ軸駆動手段と、走行ベースにX軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のX軸駆動手段と、
からなり、Z軸駆動手段及びX軸駆動手段の昇降駆動源及び走行駆動源をベースフレームに備えることを特徴とするワイヤ駆動式ロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤとプーリを利用したワイヤ駆動方式を採用したロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組立・加工や搬送等に利用されるロボットは、そのアームに対し、サーボ制御等で各関節の駆動制御や走行・昇降・回転制御を行い、所望の動作を発生させるものである。
しかし、その様に多くの複雑な動きをさせるには、比較的規模の大きな重量の嵩むアームとならざるを得ず、制御に要する駆動源のトルクや部品も自ずと高い出力や強度が求められることとなる。
【0003】
アームを構成する各可動部を軽量化するには、駆動源を可動部に搭載しないことが効果的であり、ベルト(例えば下記特許文献1参照)やワイヤ(例えば下記特許文献2参照)を介してチャック等の加工ツールへ動力を伝える手法が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2506918号公報
【特許文献2】特開2005−40888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の方法は、いずれも駆動源を可動部に搭載していない点で共通するが、いずれも、駆動方向が水平方向に限られている。
従って、他の方向への駆動に際してはそれぞれ駆動方向を別途備える必要がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、駆動源を可動部に搭載することなく複数方向への移動に対して正確で且つ迅速な制御を行い得る小型のワイヤ駆動式ロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為になされた本発明によるワイヤ駆動式ロボットは、XθZ駆動方式を採用し、ロボットアームを旋回させるθ回転手段を備える昇降ベースと、昇降ベースの昇降軌道をZ軸方向に規制する昇降ガイドと、昇降ガイドを支持する走行ベースと、走行ベースの走行軌道をZ軸と直角なX軸方向に規制する走行ガイドと、走行ガイドを直接的又は間接的に支持するベースフレームと、昇降ベースにZ軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のZ軸駆動手段と、走行ベースにX軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のX軸駆動手段と、からなり、Z軸駆動手段及びX軸駆動手段の昇降駆動源及び走行駆動源をベースフレームに備えることを特徴とする。
【0008】
前記Z軸駆動手段は、走行ベースに、左右一対の伝動プーリをZ軸及びX軸と垂直な回転軸で略同じ高さに支持すると共に、昇降ベースに、上下一対の受動プーリをZ軸及びX軸と垂直な回転軸で略上下に重なる位置に支持し、昇降駆動源のシャフトに固定した原動プーリに螺旋状に巻き付けた昇降ワイヤの一端を引き出し、例えば、ベースフレームの左端部又は右端部等、走行軌道の始端部に支持した第一プーリ(Z軸揺動プーリ)に掛け、続いて、走行ベースの走行軌道の始端側に支持した伝動プーリに下から掛けた後に、前記昇降ベースの上受動プーリに掛け、更に、走行ベースの走行軌道の終端側に支持した伝動プーリに下から掛け、例えば、ベースフレームの右端部又は左端部等、走行軌道の終端部に締結する一方、昇降駆動源のシャフトに固定した原動プーリに螺旋状に巻き付けた走行ワイヤの他端を引き出し、例えば、ベースフレームの左端部又は右端部等、走行軌道の始端部に支持した第二プーリ(Z軸固定プーリ)に掛け、続いて、走行ベースの走行軌道の始端側に支持した伝動プーリに上から掛けた後に、前記昇降ベースの下受動プーリに掛け、更に、走行ベースの走行軌道の終端側に支持した伝動プーリに上から掛け、例えば、ベースフレームの右端部又は左端部等、走行軌道の終端部に締結してなるものを採用することができる。
【0009】
例えば、ベースフレームの左右いずれか一端部等、走行軌道の始端部に定着した定軸受けと、当該定軸受けを構成する左右支持板の間隙で揺動する動軸受けとからなり、前記定軸受けに前記第二プーリを回転自在に支持し、前記動軸受けに前記第一プーリを回転自在に支持し、前記定軸受けは、支持板の内面から間隙に向けて突出する上下二本の支軸を備え、前記動軸受けは、前記上下二本の支軸が遊嵌する同じ方向に開口した軸受けを備え、例えば、前記動軸受けの上部を、走行軌道の始端部に圧縮バネを通したボルト等で走行軌道の終端部へ向けて弾性的に付勢する等、当該動軸受けを昇降ワイヤを張る方向に付勢して支持し、前記動軸受けの傾きを検出する姿勢センサを備える伸び検出機構を具備する構成としても良い。
【0010】
前記X軸駆動手段は、前記走行駆動源のシャフトに固定した原動プーリに螺旋状に巻き付けた走行ワイヤの一端を引き出し、例えば、ベースフレームの右端部又は左端部等走行軌道の終端部に支持した第三プーリ(右中継プーリ)に掛け、続いて、例えば、左端部又は右端部等、走行軌道の始端部に支持した第四プーリ(X軸揺動プーリ)に掛けた後に、前記走行ベースに走行ワイヤの一端を締結する一方、前記走行駆動源のシャフトに固定した原動プーリに螺旋状に巻き付けた走行ワイヤの他端を引き出し、例えば、ベースフレームの右端部又は左端部等、走行軌道の終端部に支持した第五プーリ(右中継プーリ)に掛け、続いて前記走行ベースに走行ワイヤの他端を締結してなるものを採用することができる。
【0011】
例えば、ベースフレームの左右いずれか一端部等、走行軌道の始端部に定着した定軸受けと、当該定軸受けを構成する左右支持板の間隙で揺動する動軸受けとからなり、前記動軸受けに前記第四プーリを回転自在に支持し、前記定軸受けは、支持板の内面から間隙に向けて突出する上下二本の支軸を備え、前記動軸受けは、前記上下二本の支軸が遊嵌する同じ方向に開口した軸受けを備え、例えば、前記動軸受けの上部を、前記走行軌道の始端部に圧縮バネを通したボルト等で前記走行軌道の終端部へ向けて弾性的に付勢する等、当該動軸受けを走行ワイヤを張る方向に付勢して支持し、前記第一プーリを前記動軸受けの傾きを検出する姿勢センサを備える伸び検出機構を具備する構成としても良く、前記定軸受けに前記第二プーリを回転自在に支持し、前記動軸受けに前記第一プーリを回転自在に支持した伸び検出機構と一体的に構成しても良い。
【0012】
前記走行ワイヤ又は昇降ワイヤに張力を与える引っ張り部材と、当該引っ張り部材に締結された走行ワイヤ又は昇降ワイヤの端部を保持する固定部材と、当該固定部材の保持領域において走行ワイヤ又は昇降ワイヤの軌道を変更する軌道変更手段を有する伸び調整機構を備える構成としても良い。
尚、ここで、昇降駆動源及び走行駆動源とは、モータ等の原動機そのものでも良いし、原動機の回転軸に対して減速機やギヤやベルト当を連結した回転シャフトを支持する軸受け部分でも良く、昇降ワイヤや走行ワイヤに対して直接的に動力を加え得るものを言う。
また、昇降、走行、上下、左右、始端・終端、側、天、及び底とは、ベースフレーム上における相対的な位置関係を示したものであって、ベースフレームの固定状態や設計上の便宜に応じて各々の絶対的な方向性等とは異なる場合がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるワイヤ駆動式ロボットは、XθZ駆動方式の採用により、各関節において回転量の制御が必要な多関節アーム(以下多関節アームと略記する)と比べて、各関節におけるアームの軌道を一時的に外す緩衝手法を採ることが容易でありながら、多関節アームに引けをとらない稼動範囲及び精度並びに制御の便宜を得ることができる。加えて、位置決めに際して一のアームに複数のアクチュエータを備える要請も少ないことから、アームの軽量化には極めて都合が良い。
【0014】
更に、走行アームに昇降アームを搭載し、Z軸駆動手段とX軸駆動手段からなる二軸駆動を、ギヤやベルトによる駆動方式ではなくワイヤ駆動方式で行うことにより、走行アーム及び昇降アームの駆動源を、走行ベースの外に置くことができる。また、走行アーム及び昇降アームの駆動源を、走行ベースの外に置くことによって、比較的高速に作用点を移動できる小型ロボットとして構成することも出来、精密な作業を高速で行う際に用いることができるという効果を奏する。
【0015】
また、上記効率の良いプーリの配置及びワイヤの掛け方により、最低限のプーリ及び、考え得る最短のワイヤを以って、小規模・軽量で且つ正確なアームの移動が可能となる。
【0016】
上記伸び検出機構を付設すれば、比較的簡単な構成を以って、Z軸駆動手段とX軸駆動手段のワイヤの伸びを一括して管理することができ、本発明による伸び調整機構を採用すれば、簡単な操作を以って適正な張力をワイヤに対して与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるワイヤ駆動式ロボットの一例を示す要部斜視図である。
【図2】本発明によるワイヤ駆動式ロボットのZ軸駆動手段の一例を示す裏側から観た斜視図である。
【図3】本発明によるワイヤ駆動式ロボットのX軸駆動手段の一例を示す裏側から観た斜視図である。
【図4】本発明によるワイヤ駆動式ロボットにおける走行ベースの背板の一例を示す裏側から観た拡大図である。
【図5】本発明によるワイヤ駆動式ロボットの原動プーリにおけるワイヤの巻き付け構造の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明によるワイヤ駆動式ロボットの原動プーリにおけるワイヤの巻き付け構造の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明によるワイヤ駆動式ロボットにおける伸び検出機構の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明によるワイヤ駆動式ロボットにおける伸び検出機構の一例を示す分解斜視図である。
【図9】本発明によるワイヤ駆動式ロボットにおける伸び検出機構の動作例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるワイヤ駆動方式のロボットの実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示す実施の形態は、XθZ駆動方式を採用したロボットアーム6(θ方向への旋回、その旋回軸と垂直なX軸方向への直線移動、及びその旋回軸と平行なZ軸方向への直線移動からなる駆動方式)のロボットである。
【0019】
本実施の形態におけるXθZ駆動方式は、θ回転手段(図1参照)1と、ワイヤ駆動方式によるZ軸駆動手段(図2参照)2とX軸駆動手段(図3参照)3とで構成され、θ回転手段1であるモータ等及びモータで駆動する縦シャフト1aを、ワイヤ駆動の昇降ベース4に搭載し、当該昇降ベース4を、ワイヤ駆動の走行ベース5に搭載したものである。
本実施の形態では、モータで駆動する縦シャフト1aにロボットアーム6の基端部を固定することにより、縦シャフト1aに固定したロボットアーム6の上下左右への移動、及び旋回を可能とする。
【0020】
本実施の形態のロボットアーム6を固定した縦シャフト1aは、θ回転手段1から鉛直方向に備える。
本実施の形態のθ回転手段1は、昇降ベース4にステー1bを介して固定されたモータ、及びその回転軸に連結する減速器等を備え、減速器で回転速度の制御(減速)を受けた回転軸を縦シャフト1aとする(図1参照)。
【0021】
昇降ベース4は、所謂自動制御の下、ベースフレーム7に渡し掛けた上下走行ガイド(X軸方向へのガイド)8a,8bに対して摺動可能に装着したものである(図1参照)。
ベースフレーム7は、左側板7a及び右側板(図示省略)と、それを垂直に起立させる様に支える底板(図示省略)とからなる。
左側板7a及び右側板は、その前方下部及び後方上部に一対の上下走行ガイド8a,8bを相互に平行となる様に支持する。
【0022】
走行ベース5は、基板5aの後方に背板5bを垂直に立設したものである(図1参照)。
背板5bは、その上部に、上走行ガイド8aを挿通する上支持部5cを備え、当該背板5bの中間部の同じ高さに、Z軸駆動手段2を構成する左右一対の伝動プーリ10a,10bをX軸方向及びZ軸方向に対して垂直な回転軸で支持する(図1乃至図3参照)。
更に、背板5bは、走行ワイヤ11の両端を支持する二つのワイヤ固定機構12a,12bを備える(図3及び図4参照)。当該ワイヤ固定機構12a,12bは、そこへ固定された走行ワイヤ11を介してX軸駆動手段3による走行力を受けることとなる。
【0023】
基板5aは、その前部に、下走行ガイド8bを挿通する下支持部5dを備え、その奥行きの中間部に、基板5aの表面から垂直に起立する左右一対の昇降ガイド(Z軸方向へのガイド)9,9を備える(図1及び図2参照)。
昇降ガイド9,9は、その上部を、背板5bの上部に前方へ迫出す形で固定した天板5eで支持する。
【0024】
昇降ベース4は、昇降ベース本体4aと、前記Z軸駆動手段2から昇降力を受ける受動体4bを一体に備えてなる。
昇降ベース本体4aは、昇降ガイド9,9が挿通する支持部4c,4cを備え、その前面に前記ステー1bを固定するベース面を備える(図1及び図2参照)。
受動体4bは、Z軸駆動手段2を構成する上下一対の受動プーリ13a,13bをX軸方向及びZ軸方向に対して垂直な回転軸で支持する。
前記昇降ベース本体4aの支持部4c,4cが備える各ガイド孔の間に、当該受動体4bを固定することを以って昇降ベース4は一体となる。
【0025】
上記走行ベース5の昇降ガイド9,9に、昇降ベース4を装着することで、受動体4bは、昇降ワイヤ14を介してZ軸駆動手段2による昇降力を受け、一対の左右伝動プーリ10a,10bに挟まれた空間で、昇降ガイド9,9に規制された軌道を昇降することとなる。
【0026】
本実施の形態のX軸駆動手段3は、その走行駆動源3aたるモータを前記ベースフレーム7における底板の右端に固定して備え、以下の構成を有する(図3参照)。
即ち、当該走行駆動源3aのシャフトに固定した原動プーリ3bに螺旋状に巻き付けた走行ワイヤ11の一端を引き出し、最寄り(右側)の側板に支持した同軸同径の一対の右中継プーリの一方(第三プーリ)15、続いて反対側(左側)の側板7aに支持したX軸揺動プーリ(第四プーリ)16に掛けた後に、前記背板5bが備える一方のワイヤ固定機構12aに走行ワイヤ11の一端を締結する。
更に、前記原動プーリ3bに螺旋状に巻き付けた走行ワイヤ11の他端を引き出し、最寄り(右側)の側板に支持した同軸同径の一対の他方の右中継プーリ(第五プーリ)17、続いて前記背板5bが備える他方のワイヤ固定機構12bに締結する(図3及び図4参照)。
【0027】
原動プーリ20は、その巻取り面に走行駆動源3a又は昇降駆動源2aの回転方向に沿った螺旋溝(図示省略)と、原動プーリ20の中央部をその回転軸に対して直角に貫通するピン孔20aと、ロック孔20bを備えることが望ましい(図5参照)。
前記ロック孔20bは、当該ピン孔20aに挿通するワイヤ固定ピン18の離脱止めとして機能するロックネジ19を挿通する孔である。
ピン孔20aとロック孔20bとは、原動プーリ20の内部で、ワイヤ固定ピン18の直径の約1/3から約1/4程度だけ抵触する様に交差する位置関係で設定する。
【0028】
ワイヤ固定ピン18は、原動プーリ20に螺旋状に巻き付ける走行ワイヤ11又は昇降ワイヤ14の中間部を挿通すべく、当該ワイヤ固定ピン18の長手方向に対して直角に貫通するワイヤ孔18aを備える(図6参照)。
【0029】
ワイヤ固定ピン18は、埋没時においてロック孔20bと面する部分に、当該ロック孔20bに挿通されたロックネジ19の側面と接するテーパー面18bを備える。当該テーパー面18bは、ワイヤ孔18aの全体が原動プーリ20の表面から露出している場合には、ロック孔20に捩じ込まれたロックネジ19の先端が当該テーパー部18bに当接し、ロックネジ19がロック孔20bに進入するに従って、ロックネジ19の側面がテーパー18bを圧してワイヤ固定ピン18を押し下げ、テーパー面18bがロックネジ19の側面と接するに至った時に、ワイヤ孔18aの一部が原動プーリ20の表面から埋没する様な傾斜及び範囲に設定されている。
【0030】
本実施の形態では、X軸駆動手段3の駆動源に採用され、ワイヤ孔18aに走行ワイヤ11を通したワイヤ固定ピン18を原動プーリ3bのピン孔20aに装填しロックネジ19を締めると、ワイヤ固定ピン18が原動プーリ20内に埋没して走行ワイヤ11の中間部を固定する。続いて、走行ワイヤ11のワイヤ固定ピン18に固定された部分を始点として、当該始点を境とする二方に巻かれた走行ワイヤ11のうちの一方の巻き量が増加すれば他方の巻き量が減少する様に走行ワイヤ11を巻き付ける(図6参照)。
【0031】
以上の構成により、走行駆動源3aが正転逆転を行うことによって、その回転量に応じたX軸方向への走行が可能となり、ワイヤの中間部を滑り無く確実に保持することが可能となり、位置決めの精度向上に寄与することとなる。
当該ワイヤ巻取り機構は、X軸駆動手段3のみならず、Z軸駆動手段2の昇降駆動源2aのシャフトに用いることができる。
【0032】
本実施の形態のZ軸駆動手段2は、その昇降駆動源2aたるモータを前記ベースフレーム7における底板の左端に固定して備え、以下の構成を有する。
即ち、当該昇降駆動源2aのシャフトに固定した原動プーリ2bに螺旋状に巻き付けた昇降ワイヤ14の一端を引き出し、最寄り(左側)の側板7aの下位に支持したZ軸揺動プーリ(第一プーリ)21に掛け、続いて背板5bの左側に支持した左伝動プーリ10aに下から掛けた後に、前記受動体4bが備える上受動プーリ13aに掛け、更に背板5bの右側に支持した右伝動プーリ10bに下から掛け、反対側(右側)の側板が備えるワイヤ固定機構22に締結する(図2参照)。
【0033】
加えて、前記昇降駆動源2aのシャフトに固定した原動プーリ2bに螺旋状に巻き付けた昇降ワイヤ14の他端を引き出し、最寄り(左側)の側板7aの上位に支持したZ軸固定プーリ(第二プーリ)23に掛け、続いて背板5bの左側に支持した左伝動プーリ10aに上から掛けた後に、前記受動体4bが備える下受動プーリ13bに掛け、更に背板5bの右側に支持した右伝動プーリ10bに上から掛け、右側の側板が備えるワイヤ固定機構22に締結する。
【0034】
以上の構成により、昇降駆動源2aが正転逆転を行うことによって、その回転量に応じた昇降ベース4のZ軸方向への昇降が可能となる。
本実施の形態では、上記X軸揺動プーリ16、並びにZ軸固定プーリ23及びZ軸固定プーリ21を構成要素とする走行ワイヤ11及び昇降ワイヤ14の伸び検出機構24と、前記X軸伸び調整機構25及びZ軸伸び調整機構26を備える(図2乃至図4、及び図7乃至図9参照)。
【0035】
前記伸び検出機構24は、走行ワイヤ11及び昇降ワイヤ14の弛み及び断線を検知すると共に、ワイヤ11,14により移動する駆動体(走行ベース5及び昇降ベース4)が衝突などにより過負荷を受けた場合を検知する機構である。
本実施の形態の前記伸び検出機構24は、ベースフレームの左端部(左右を適宜入れ替えても良い)に定着した定軸受けと、当該定軸受けを構成する左右支持板の間隙で揺動する動軸受けとからなる。
【0036】
前記定軸受けは、相離隔して平行に向かい合う一対の支持板27,27からなる。
当該一対の支持板27,27の間に、前記Z軸固定プーリ23を回転自在に支持すると共に、各支持板27,27の上部に、その間に配置した動軸受けの揺動角を検出する為の姿勢センサ28,28を各々備える。
当該一対の左右支持板27,27は、それらの内側の相互に対向する位置に、上下二本の支軸29a,29bを突設し、両支持板27,27の中間点にZ軸固定プーリ23の支軸の両端を支持する軸受け30を備える。
【0037】
動軸受けは、前記一対の支持板27,27の間において、当該支持板との間隔を一定に維持した安定した揺動が出来る様に配置した相隣接するX軸検知板31a及びZ軸検知板31bとで構成される。
前記X軸検知板31a及びZ軸検知板31bは、各々対抗する位置に軸受け32を備え、当該軸受け32で当該X軸検知板31aとZ軸検知板31bとの間に渡し掛けた一本の水平軸を支持し、当該水平軸で、X軸揺動プーリ16とZ軸揺動プーリ21を各々独立して回転し得る様に支持する(図7及び図8参照)。
【0038】
また、当該X軸検知板31a及びZ軸検知板31bは、前記上下二本の支軸29a,29bが遊嵌する軸受け33a,33bを同じ方向に開口して備えると共に、両検知板31a,31bの中間点に、前記Z軸固定プーリ23の支軸との干渉を回避する逃げ部33cを前記軸受け33a,33bと同じ方向に開口して備える(図8参照)。
【0039】
当該X軸検知板31a及びZ軸検知板31bは、その上部をくの字状に直角に折り曲げて吊り片34a,34bを形成し、当該吊り片34a,34bのガイド孔を通して左側の側板7aの外面に吊り、且つ前記吊り片34a,34bをボルト35a,35bのネジ入れ量で各々の揺動の最大量を調整する。更に、本実施の形態では、当該ボルト35a,35bのうち、少なくとも一方のボルト35a又は35bと、そのボルト35a又は35bが挿通する吊り片34a又は34bとの間に圧縮バネ36を介在し、当該X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの上部を、当該左側の側板7aの外面(右側の側板の方向)へ向けて付勢する。当該圧縮バネ36の強度調整と、当該圧縮バネ36に挿通するボルト35a又は35bの締め具合で検知荷重を調整することができる。
【0040】
当該X軸検知板31a及びZ軸検知板31bは、その上端に前記姿勢センサ28,28の検出対象たる被検出部37,37を、それらの揺動に応じて当該姿勢センサ28,28の出力が変化する様に備える(図9参照)。
本実施の形態における前記姿勢センサ28は、X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの揺動方向に沿ってオン/オフ二つの状態を検出するリミットスイッチであって、前記被検出部37は、当該リミットスイッチの検出部28aを押圧するカム部である。
【0041】
本実施の形態の伸び検出機構24は、以上の如く構成され、Z軸駆動手段2における昇降ワイヤ14の張りが強くなれば、当該昇降ワイヤ14によってZ軸揺動プーリ21は、左側の側板7aに向けて引寄せられ、X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの揺動の支点は下の支軸29bとなる(図9(C)参照)。
一方、Z軸駆動手段2における昇降ワイヤ14の張りが弱くなれば、Z軸揺動プーリ21に対する引寄せる力が弱まり、Z軸検知板31bの、上部は圧縮バネ36により当該左側の側板7aに押し付けられ、下部は、前記圧縮バネ36によって左側の側板7aから離隔する方向へ揺動し、その際、X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの揺動の支点は上の支軸29aとなる(図9(D)参照)。
【0042】
この様に、X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの揺動に際して、それらの支点は、当該X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの揺動に応じ、それらの軸受け33a,33bに掛かる上下二本の支軸29a,29bのいずれかに交番する。そして、その都度、X軸検知板31a及びZ軸検知板31bの検出部28aは、被検出部37の位置に応じた出力を当該姿勢センサ28から得ることができる(図9参照)。
【0043】
即ち、走行ワイヤ11及び昇降ワイヤ14に対して、ともに適正な張りが生じている場合には、上下の支軸29a,29bのいずれもが、前記軸受け33a,33bの最深部において支持され、被検出部37は、検出部28aを押圧し、この状態における出力を正常信号とする(図9(A)(B)参照)。
【0044】
一方、ロボットアーム6に対して過度な負荷がかかり、走行ワイヤ11又は昇降ワイヤ14のいずれかの張力が過度に増加した場合には、下の支軸29bが動軸受けの揺動の支点となり、被検出部37による、検出部28aの押圧が解除され、この状態における出力を異常信号とする(図9(C)参照)。
逆に、走行ワイヤ11又は昇降ワイヤ14の切断等によっていずれかのワイヤが過度に弛んだ場合には、上の支軸29aが動軸受けの揺動の支点となり、被検出部37による、検出部28aの押圧が解除され、この状態における出力を異常信号とする(図9(D)参照)。
これらの出力の変化を用いて、アラームの鳴動や、所定の処理のトリガといった処理を行なわせることができる。
【0045】
上記の如く、当該X軸検知板31aとZ軸検知板31bとの間に渡し掛けた一本の水平軸を以ってX軸揺動プーリ16とZ軸揺動プーリ21を回転自在に支持する構成となっていることによって、昇降ワイヤ14又は走行ワイヤ11のいずれか一方の異常に対して、他方への支障をも緩和する方向へ揺動する構成となっている。
【0046】
前記X軸伸び調整機構25及びZ軸伸び調整機構26は、走行ワイヤ11又は昇降ワイヤ14に弛みが生じた時に、走行ワイヤ11又は昇降ワイヤ14を適正な張力に調整するものである。
【0047】
伸び調整機構は、ワイヤに張力を与える引っ張り部材と、当該引っ張り部材に締結されたワイヤの端部を保持する固定部材と、当該固定部材の保持領域においてワイヤの軌道を変更する軌道変更手段を備える。
【0048】
本実施の形態のX軸伸び調整機構25は、前記走行ベース5の背板5bが備えるワイヤ固定機構12a,12bの一方と一体的に備えられる(図4参照)。
本実施の形態のX軸伸び調整機構25は、走行ワイヤ11の端部をその先端部に挟んで保持する二枚の固定板39a,39bと、両固定板39a,39bを相互に定着し一体化する締付ネジ41aと、当該固定板39aと螺合し、当該二枚の固定板39a,39bの間において走行ワイヤ11をその先端部で押える加圧ネジ41bと(固定部材)、一体化した固定板39a,39bの揺動の支点となる支点ネジ40と、一体化した固定板39a,39bの基端部に締結され、一体化した固定板39a,39bの揺動を走行ワイヤ11に張力を与える方向へ付勢する引っ張りバネ38と(引っ張り部材)からなる。
【0049】
本実施の形態の引っ張りバネ38は、背板5bの裏面の下位に水平に配置し、当該背板5bの右端に一端部を固定し、当該引っ張りバネ38の他端部と一体化した固定板39a,39bの基端部を連結する。
本実施の形態の前記支点ネジ40は、下位固定板(背板5bに密着する方)39bに上位固定板39aを定着する為のネジ山、及び水平に走る走行ワイヤ11の軌道を変更させるべく走行ワイヤ11の端部を誘導する円弧状の周面を備える(軌道変更手段)。
本実施の形態では、当該支点ネジ40の周面と固定板39a,39bの内面を以って走行ワイヤ11を下方へ直角に曲げ、当該走行ワイヤ11の端部を前記加圧ネジ41bで固定している。
【0050】
本実施の形態のX軸伸び調整機構25は、支点ネジ40を緩めると、引っ張りバネ38によってその強さに応じた張力が走行ワイヤ11に加えられる。その張力を維持しつつ支点ネジ40を締めることによって、固定板39a,39bの揺動が制止され、引っ張りバネ38によって加えられた走行ワイヤ11の好適な張力が維持されることとなる。
【0051】
本実施の形態のZ軸伸び調整機構26は、昇降駆動源2aとは反対側(右側)の側板に固定した前記ワイヤ固定機構22と一体的に備えられる(図2参照)。
即ち、本実施の形態のZ軸伸び調整機構26は、昇降ワイヤ14の一端を締結する引っ張りバネ42と(引っ張り部材)、当該引っ張りバネ42に締結された昇降ワイヤ14の端部を保持する固定ブロック43及び固定板44と、当該固定ブロック43及び固定板44に昇降ワイヤ14を固定する力を加える加圧ネジ45bと、当該固定ブロック43と固定板44を相互に定着し一体化する二本の締付ネジ45a,45aとからなる(固定部材)。
【0052】
本実施の形態のZ軸伸び調整機構26は、右側の側板における外側であって前記X軸伸び調整機構25と略同じ高さに固定する。
当該Z軸伸び調整機構26は、ワイヤ固定機構22の下方に、引っ張りバネ42を鉛直方向に配置し、当該引っ張りバネ42の上端に、ワイヤ固定機構22から延出した昇降ワイヤ14の一端部を長さの調整が可能な様に連結すると共に、引っ張りバネ42の下端を前記右側の側板に固定したものである。
【0053】
本実施の形態における長さの調整は、昇降ワイヤ14と引っ張りバネ42の上端とを、ワイヤフックリング48を介して連結することによって実現する。
即ち、ワイヤ固定機構22から延出した余剰の昇降ワイヤ14の一端部を、ワイヤ締結金具47の孔に通し、更に、引っ張りバネ42の上端フックと連結したワイヤフックリング48に当該昇降ワイヤ14を巻いて折り返すと共に、前記ワイヤ締結金具47の他の孔に通し、引っ張りバネ42の伸びが昇降ワイヤ14に所望の張りを与える適正量となるまで昇降ワイヤ14の端部を引き上げることにより行なう(引っ張りバネ42が適正長となる位置に目印等をつける)。ワイヤ締結金具47の孔がワイヤフックリング48の直径よりも短い距離に近接していれば、ワイヤ締結金具47をワイヤフックリング48へ引寄せることによって、ワイヤ締結金具47における昇降ワイヤ14の通過が制止され、昇降ワイヤ14の有効長を容易に調整し固定することが出来る。
【0054】
本実施の形態においては、前記固定ブロック43は、上面を略平坦な面とし、当該上面に定着する固定板44は、裏面に昇降ワイヤ14の軌道を規制すべく、昇降ワイヤ14の径(約1mmから約5mm程度)と同等若しくはそれよりも僅かに浅い保持溝46を備える(軌道変更手段)。
本実施の形態では、前記保持溝46に沿って昇降ワイヤ14を裏側へ向けて直角に誘導し(図2参照)、更に、固定ブロック43の裏面(ベースフレーム7の裏側に面する面)に沿って下方へ誘導し、その端部を引っ張りバネ42の上端に連結する。尚、本実施の形態における固定ブロック43の上面と裏面との境目にある角は、昇降ワイヤ14に負担を与えない様に円筒の側面状に面取りがなされる。
【0055】
本実施の形態のZ軸伸び調整機構26は、加圧ネジ45bを緩めると、引っ張りバネ42によってその強さに応じた張力が加えられる。
昇降ワイヤ14が弛んだ場合には、加圧ネジ45bを緩めてから、ワイヤ締結金具47に通された余剰の昇降ワイヤ14の長さを、引っ張りバネ42が所定の伸びとなる様に調整し、再び加圧ネジ45bを締めることによって昇降ワイヤ14が好適な張力で維持されることとなる。
【0056】
本実施の形態のロボットアーム6は、前記縦シャフト1aに基端部が直接固定され縦シャフト1aを軸として回転制御を受ける。
上記構造を基礎として、当該ロボットアーム6の先端部には、例えば、支持孔を設ける等して、プーリとベルトを介して回転力を受けることができる作業用のチャックを装着し、作業対象を支持するプラットフォーム等を適宜付設することにより、使用目的に応じたロボットとして構成する。
【符号の説明】
【0057】
1 θ回転手段,1a 縦シャフト,1b ステー,
2 Z軸駆動手段,2a 昇降駆動源,2b 原動プーリ(Z軸駆動手段),
3 X軸駆動手段,3a 走行駆動源,3b 原動プーリ(X軸駆動手段),
4 昇降ベース,4a 昇降ベース本体,4b 受動体,4c 支持部,
5 走行ベース,
5a 基板,5b 背板,5c 上支持部,5d 下支持部,5e 天板,
6 ロボットアーム,
7 ベースフレーム,7a 側板(左),
8a 上走行ガイド,8b 下走行ガイド,
9 昇降ガイド,
10a 左伝動プーリ,10b 右伝動プーリ,
11 走行ワイヤ,
12a ワイヤ固定機構(X軸),12b ワイヤ固定機構(X軸),
13a 上受動プーリ,13b 下受動プーリ,
14 昇降ワイヤ,
15 右中継プーリ(第三プーリ),
16 X軸揺動プーリ(第四プーリ),
17 右中継プーリ(第五プーリ),
18 ワイヤ固定ピン,18a ワイヤ孔,18b テーパー部,
19 ロックネジ,
20 原動プーリ,20a ピン孔,20b ロック孔,
21 Z軸揺動プーリ(第一プーリ),
22 ワイヤ固定機構(Z軸駆動手段),
23 Z軸固定プーリ(第二プーリ),
24 伸び検出機構,
25 X軸伸び調整機構,
26 Z軸伸び調整機構,
27 支持板,
28 姿勢センサ,28a 検出部,
29a 支軸,29b 支軸,
30 軸受け(支持板),
31a X軸検知板,31b Z軸検知板,
32 軸受け(X軸検知板,Z軸検知板),
33a 軸受け,33b 軸受け,33c 逃げ部,
34a 吊り片(X軸),34b 吊り片(Z軸),
35a ボルト(X軸),35b ボルト(Z軸),
36 圧縮バネ,
37 被検出部,
38 引っ張りバネ(X軸)
39a 固定板,39b 固定板,
40 支点ネジ,41a 締付ネジ,41b 加圧ネジ,
42 引っ張りバネ(Z軸),43 固定ブロック,44 固定板,
45a 締付ネジ,45b 加圧ネジ,
46 保持溝,47 ワイヤ締結金具,48 ワイヤフックリング,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XθZ駆動方式のワイヤ駆動式ロボットにおいて、
ロボットアームを旋回させるθ回転手段(1)を備える昇降ベース(4)と、
当該昇降ベース(4)の昇降軌道をZ軸方向に規制する昇降ガイドと、
当該昇降ガイドを支持する走行ベース(5)と、
当該走行ベース(5)の走行軌道をZ軸と直角なX軸方向に規制する走行ガイドと、
当該走行ガイドを支持するベースフレームと、
前記昇降ベース(4)にZ軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のZ軸駆動手段(2)と、
前記走行ベース(5)にX軸方向への駆動力を与えるワイヤ駆動方式のX軸駆動手段(3)と、からなり、
前記Z軸駆動手段(2)及びX軸駆動手段(3)の昇降駆動源及び走行駆動源をベースフレームに備えることを特徴とするワイヤ駆動式ロボット。
【請求項2】
前記Z軸駆動手段(2)は、走行ベース(5)に、左右一対の伝動プーリ(10a,10b)をZ軸及びX軸と垂直な回転軸で支持すると共に、昇降ベース(4)に、上下一対の受動プーリ(13a,13b)をZ軸及びX軸と垂直な回転軸で支持し、
前記昇降駆動源のシャフトに固定した原動プーリ(2b)に螺旋状に巻き付けた昇降ワイヤ(14)の一端を引き出し、走行軌道の始端部に支持した第一プーリ(21)に掛け、続いて走行ベース(5)の走行軌道の始端側に支持した伝動プーリ(10a)に下から掛けた後に、前記昇降ベース(4)の上受動プーリ(13a)に掛け、更に走行ベース(5)の走行軌道の終端側に支持した伝動プーリ(10b)に下から掛け、走行軌道の終端部に締結する一方、
当該昇降駆動源のシャフトに固定した原動プーリ(2b)に螺旋状に巻き付けた昇降ワイヤ(14)の他端を引き出し、走行軌道の始端部に支持した第二プーリ(23)に掛け、続いて走行ベース(5)の走行軌道の始端側に支持した伝動プーリ(10a)に上から掛けた後に、前記昇降ベース(4)の下受動プーリ(13b)に掛け、更に走行ベース(5)の走行軌道の終端側に支持した伝動プーリ(10b)に上から掛け、走行軌道の終端部に締結してなることを特徴とする前記請求項1に記載のワイヤ駆動式ロボット。
【請求項3】
走行軌道の始端部に定着した定軸受けと、当該定軸受けを構成する左右支持板(27,27)の間隙で揺動する動軸受けとからなり、
前記定軸受けに前記第二プーリ(23)を回転自在に支持し、
前記動軸受けに前記第一プーリ(21)を回転自在に支持し、
前記定軸受けは、支持板(27,27)の内面から間隙に向けて突出する上下二本の支軸(29a,29b)を備え、
前記動軸受けは、前記上下二本の支軸(29a,29b)が遊嵌する同じ方向に開口した軸受け(33a,33b)を備え、
前記走行軌道の始端部に、動軸受けの上部を、前記走行軌道の終端部へ向けて付勢して支持し、
前記動軸受けの傾きを検出する姿勢センサ(28)を備える伸び検出機構を具備することを特徴とする前記請求項2に記載のワイヤ駆動式ロボット。
【請求項4】
前記X軸駆動手段(3)は、
前記走行駆動源のシャフトに固定した原動プーリ(3b)に螺旋状に巻き付けた走行ワイヤ(11)の一端を引き出し、走行軌道の終端部に支持した第三プーリ(15)に掛け、続いて走行軌道の始端部に支持した第四プーリ(16)に掛けた後に、前記走行ベース(5)に当該走行ワイヤ(11)の一端を締結する一方、
前記走行駆動源のシャフトに固定した原動プーリ(3b)に螺旋状に巻き付けた走行ワイヤ(11)の他端を引き出し、走行軌道の終端部に支持した第五プーリ(17)に掛け、続いて前記走行ベース(5)に当該走行ワイヤ(11)の他端を締結してなることを特徴とする前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のワイヤ駆動式ロボット。
【請求項5】
前記走行軌道の始端部に定着した定軸受けと、当該定軸受けを構成する左右支持板(27,27)の間隙で揺動する動軸受けとからなり、
前記動軸受けに前記第四プーリ(16)を回転自在に支持し、
前記定軸受けは、支持板(27,27)の内面から間隙に向けて突出する上下二本の支軸(29a,29b)を備え、
前記動軸受けは、前記上下二本の支軸(29a,29b)が遊嵌する同じ方向に開口した軸受け(33a,33b)を備え、
前記走行軌道の始端部に、当該動軸受けの上部を、前記走行軌道の終端部へ向けて付勢して支持し、
当該動軸受けの傾きを検出する姿勢センサ(28)を備える伸び検出機構を具備することを特徴とする前記請求項4に記載のワイヤ駆動式ロボット。
【請求項6】
前記走行ワイヤ(11)又は昇降ワイヤ(14)に張力を与える引っ張り部材と、当該引っ張り部材に締結された走行ワイヤ(11)又は昇降ワイヤ(14)の端部を保持する固定部材と、当該固定部材の保持領域において走行ワイヤ(11)又は昇降ワイヤ(14)の軌道を変更する軌道変更手段を有する伸び調整機構を備える前記請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のワイヤ駆動式ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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