説明

ワーク搬送システム

【課題】設置スペース及び設備コストの抑制が得られるワーク搬送システムを提供する。
【解決手段】ワーク搬入ステーション11、ワーク加工ステーション31、ワーク取外しステーション41が順に配置され、搬送ガイド52に誘導されるガントリーローダ53によってワーク搬入ステーション11からワークWが取付けられたパレットPをワーク加工ステーション31に搬送し、加工されたワークWが取付けられたパレットPをワーク取外しステーション41に搬送するワーク搬送システムにおいて、ワークWが取外された空のパレットPをガントリーローダ53によりワーク取外しステーション41からワーク搬送ステーション11に搬送する。空のパレットPをワーク取外しステーション41からワーク搬入ステーション11に搬送する専用の搬送手段が不要になり、ワーク搬送システムの設置スペース及び設備コストの抑制が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送システムに関し、特に、ワーク搬入ステーションからワークが取付けられたパレットをワーク加工ステーションへ搬送し、更にワーク加工ステーションで加工が施された加工済みのワークが取付けられたパレットからワークを取外すワーク取外しステーションに搬送するワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリーワークフィーダにおいてパレット上に載置されたワークをワーク搬送手段であるガントリーローダによって把持してタレット旋盤等の加工機に搬送し、加工が施されたワークを再びガントリーローダによって製造用コンベアに搬送するワーク搬送システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、ワーク搬送手段によって直接把持して搬送することが困難なワークや直接加工機にセットすることが困難なワークの加工にあたっては、ワークをパレットに取付けるワーク搬入ステーション、パレットに取付けられたワークを加工するワーク加工ステーション、及びワークをパレットから取外すワーク取外しステーションを順に配置し、ワーク搬入ステーションからワーク加工ステーションを経てワーク取外しステーションに至る搬送ガイドに誘導されて移動するワーク保持部、例えばガントリーローダを有するワーク搬送手段を備え、搬送ガイドに誘導されて移動するガントリーローダによって、ワーク搬入ステーションのワーク搬出部からワークが取付けられたパレットをワーク加工ステーションに搬送し、ワーク加工ステーションで加工が施された加工済みのワークが取付けられたパレットをワーク取外しステーションに搬送するワーク搬送システムが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−8144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ワーク搬送システムによると、ワークが取付けられたパレットを、搬送ガイドに誘導されるガントリーローダによってワーク搬入ステーションからワーク加工ステーションに搬送し、ワーク加工ステーションで加工が施されたワークが取付けられたパレットを再びガントリーローダによってワーク取外しステーションに搬送することによって、ワーク搬送手段によって直接把持して搬送することが困難なワークや直接加工機にセットすることが困難なワークであっても加工及び搬送することができる。
【0006】
しかし、ワーク取外しステーションにおいてワークが取外されたパレットを、ワーク搬入ステーションに搬送して回収するためのコンベヤ等の空パレット搬送手段が、ワーク搬送手段とは別に必要となるので、ワーク搬送システム全体が大型化してその設置スペースが増大するとともに、設備コストの増加を招くことが懸念される。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワーク搬送システムの設置スペースを抑制すると共に、設備コストの抑制が得られるワーク搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のワーク搬送システムは、ワーク搬入ステーション、パレットに取付けられたワークを加工するワーク加工ステーション、及びワークをパレットから取外すワーク取外しステーションが順に配置され、上記ワーク搬入ステーションからワーク加工ステーションを経てワーク取外しステーションに至る搬送ガイドに誘導されて移動し、上記ワーク搬入ステーションのワーク搬出部からワークが取付けられたパレットを上記ワーク加工ステーションに搬送し、該ワーク加工ステーションで加工が施された加工済みのワークが取付けられたパレットをワーク取外しステーションに搬送するワーク保持部を有するワーク搬送手段を備えたワーク搬送システムにおいて、上記ワーク搬送手段は、上記ワーク取外しステーションにおいてワークが取外されたパレットを、上記搬送ガイドに誘導されて移動する上記ワーク保持部によって上記ワーク取外しステーションからワーク搬入ステーションの上記ワーク搬出部に搬送することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーク搬送システムにおいて、上記ワーク搬入ステーションは、パレットにワークを取付けるワーク取付け部と、上記ワーク搬出部と、空パレット移送部と、パレット貯留部とを備え、上記ワーク取付け部でワークが取付けられたパレットを該ワーク取付け部から上記ワーク搬出部に搬送する第1パレット搬送手段と、上記ワーク搬送手段によってワーク取外しステーション側から上記ワーク搬出部に搬入された空のパレットをワーク搬出部から空パレット移送部に搬送する空パレット移送手段と、該空パレット移送部に搬入されたパレットを該空パレット移送部から上記パレット貯留部に搬送する第2パレット搬送手段と、上記パレット貯留部に搬入されたパレットを該パレット貯留部から上記ワーク取付け部へ搬送するパレット供給手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2のワーク搬送システムにおいて、上記第1パレット搬送手段は、上流側に上記ワーク取付け部及び下流側に上記ワーク搬出部を備えた第1パレット搬送コンベヤであり、上記第2パレット搬送手段は、上記第1パレット搬送コンベヤに対し平行配置され、かつ上記ワーク搬出部及びワーク取付け部にそれぞれ対応して配置される上流側及び下流側にそれぞれ上記空パレット移送部及びパレット貯留部を備えた第2パレット搬送コンベヤであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3のワーク搬送システムにおいて、上記第1パレット搬送コンベヤは、上記ワーク搬出部の上流側に、該ワーク搬出部に上記パレット1個分の載置スペースを確保して上記ワーク取付け部側から搬送されるパレットの移動を制止及び該制止を解除するパレット制止ストッパを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項のワーク搬送システムにおいて、上記ワーク取外しステーションは、上記ワーク搬送手段により加工済みのワークが取付けられたパレットが搬入される加工済みワーク搬入部と、該パレットからワークを取外すワーク取外し部と、該ワークが取外されたパレットが搬入される空パレット載置部と、上記ワーク搬送手段によってパレットが搬出される空パレット搬出部とを備え、上記加工済みのワークが取付けられたパレットを上記ワーク搬入部から上記ワーク取外し部に搬送する第3パレット搬送手段と、上記空パレット載置部に搬入されたパレットを、該空パレット載置部から空パレット搬出部に搬送する第4パレット搬送手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5の搬送システムにおいて、上記第3パレット搬送手段は、上流側に上記加工済みワーク搬入部及び下流側に上記ワーク取外し部を備えた第3パレット搬送コンベヤであり、上記第4パレット搬送手段は、上記加工済みワーク搬入部の上方を開放した状態で上記第3パレット搬送コンベヤの上方に平行配置されると共に、上記ワーク取外し部側及び上記加工済みワーク搬入部側に対応して配置された上流側及び下流側にそれぞれ上記空パレット載置部及び空パレット搬出部を備えた第4パレット搬送コンベヤであることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項のワーク搬送システムにおいて、上記ワーク加工ステーションには、複数の加工機が配列され、上記ワーク保持部は、上記搬送ガイドに沿って移動するガントリーローダであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明よれば、ワーク搬入ステーションにおいてワークが取り付けられたパレットを、搬送ガイドに誘導されるワーク保持部によってワーク加工ステーションに搬送し、ワーク加工ステーションで加工された加工済みのワークが取り付けられパレットが再び上記搬送ガイドに誘導されるワーク保持部によってワーク取外しステーションに搬送される。そして、ワーク取外しステーションにてワークが取外された空のパレットが上記搬送ガイドに誘導されるワーク保持部によってワーク搬入ステーションのワーク搬出部に搬送される。
【0016】
従って、搬送ガイドに誘導されるワーク保持部が、空のパレットをワーク取外しステーションからワーク搬入ステーションに搬送する空のパレット搬送用の搬送手段を兼備することから、ワーク取外しステーションからワーク搬入ステーションに空のパレットを搬送する専用のコンベヤ等の搬送手段が不要になり、ワーク搬送システムの設置スペースの削減が得られると共に、ワーク搬送システムの簡素化が得られ設備コストを抑制することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ワーク搬入ステーションのワーク取付け部においてパレットにワークが取付けられ、第1パレット搬送手段によりワーク取付け部からワーク搬出部に搬送される。一方、ワーク搬送手段によりワーク搬出部に搬入されたワーク取外しステーション側からの空のパレットは、空パレット移送手段により空パレット移送部に搬送され、第2パレット搬送手段により空パレット移送部からパレット貯留部側に搬送される。そして、このパレット貯留部のパレットは、パレット供給手段によってワーク取付け部に搬送され再びワークが取付けられる。従って、ワークが取付けられたパレット及びワーク搬送手段によって搬入された空のパレットがワーク搬入ステーション内においてスムーズに搬送移動し、作業性の向上及び効率化が得られる。
【0018】
請求項3の発明よれば、第1パレット搬送コンベヤの上流側及び下流側にそれぞれワーク取付け部及びワーク搬出部を備え、第1パレット搬送コンベヤと平行配置された第2パレット搬送コンベヤの上流側及び下流側にそれぞれワーク搬出部及びワーク取付け部に対応して空パレット移送部及びパレット貯留部が隣接配置されることから、ワーク搬出部から空パレット移送部に空のパレットを容易に移動することができると共にパレット貯留部からワーク取付け部にパレットを搬入することができ、パレットへのワークの取付け作業を容易かつスムーズに行うことができる。また、第1パレット搬送コンベヤと第2パレット搬送コンベヤが平面状に平行して配置され、設置スペースを抑制することができる。
【0019】
請求項4の発明よれば、パレット制止ストッパにより、ワーク取付け部側から搬送されるパレットをワーク搬出部にパレット1個分の載置スペースを確保した状態で制止することができる。
【0020】
従って、パレット制止ストッパによってワーク取付部側から搬送されるパレットの移動を制止することによって、ワーク搬送手段によってワーク取外しステーション側からの空のパレットをワーク搬出部に搬入する際に、支障なくワーク搬出部に搬入することができる。これにより、ワーク搬送システムの作業効率の向上を図ることができる。
【0021】
また、第1パレット搬送コンベヤによってワーク取付け部側から搬送されるパレットを、パレット制止ストッパにより制止することにより、ワークが取付けられたパレットを第1パレット搬送コンベヤ上に貯留することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、ワーク取外しステーションの加工済みワーク搬入部に加工済みのワークが取付けられたパレットが搬入され、第3パレット搬送手段によりワーク取外し部に搬送される。そして、ワーク取外し部にて、ワークがパレットから取外された空のパレットが作業者や所定の搬送機械により空パレット載置部に移動され、第4パレット搬送手段により空パレット搬出部まで搬送される。従って、ワーク取外しステーション内の加工済みのワークが取付けられているパレット及び空のパレットの搬送が作業の流れに沿ってスムーズに行われ、ワーク搬送システムの作業効率を向上させることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、第3パレット搬送コンベヤは上流側及び下流側にそれぞれ加工済みワーク搬入部及びワーク取外し部を備え、第3パレット搬送コンベヤの上方に平行配置された第4パレット搬送コンベヤは、ワーク取外し部及び加工済みワーク搬入部側に対応して配置される上流部及び下流部にそれぞれ空パレット載置部及び空パレット搬出部を備えている。従って、ワーク搬送手段によりワークが取付けられたパレットを第3パレット搬送コンベヤの加工済みワーク搬入部に容易に搬入することができ、そのワークが取付けられたパレットを第3パレット搬送コンベヤによりワーク取外し部に搬送し、そこでワークが取外され空のパレットが空パレット載置部に載置される。そして空のパレットは、第4パレット搬送コンベヤにより空パレット搬出部に搬送される。これにより、ワーク取外し部と空パレット載置部が隣接し、空のパレットをワーク取外し部から空パレット載置部に容易に移すことができるので、ワーク取外しステーション上でのパレット搬送作業をスムーズに行うことができる。
【0024】
また、第3パレット搬送コンベヤと第4パレット搬送コンベヤを上下に平行配置することにより、第3パレット搬送コンベヤ及び第4パレット搬送コンベヤの設置スペースを削減することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、既存の搬送ガイド及びガントリーローダにより容易にワーク搬送手段を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1は実施の形態におけるワーク搬送システム1の全体側面図、図2はワーク搬入ステーション11の平面図、図3はワーク取外しステーション41の側面図である。
【0027】
本実施の形態におけるワーク搬送システム1は、ワーク搬入ステーション11と、ワーク加工ステーション31と、ワーク取外しステーション41が順に配列されている。
【0028】
更にワーク搬入ステーション11においてワークWが取り付けられたパレットPをワーク加工ステーション31に搬送し、ワーク加工ステーション31で加工が施された加工済みのワークWが取付けられたパレットPをワーク加工ステーション31からワーク取外しステーション41に搬送し、かつワーク取外しステーション41でワークWが取外された空のパレットPをワーク取外しステーション41からワーク搬入ステーション11に搬送するワーク搬送手段51を備えている。
【0029】
次に、ワーク搬入ステーション11、ワーク加工ステーション31、ワーク取外しステーション41、ワーク搬送手段51を順に説明する。
【0030】
図1及び図2を参照してワーク搬入ステーション11について説明する。ワーク搬入ステーション11は、加工すべきワークWが搬入されるワーク搬入部12と、上流側にワーク取付け部16A及び下流側にワーク搬出部16Bを有する第1パレット搬送手段となる第1パレット搬送コンベヤ16、及びこの第1パレット搬送コンベヤ16に対して隣接して平行配置され、上流側に空パレット移送部21A及び下流側にパレット貯留部21Bを有する第2パレット搬送手段となる第2パレット搬送コンベヤ21を備えている。
【0031】
ワーク搬入部12は、上流側にワーク投入位置13Aを有する第1ワーク搬入コンベヤ13と、第1ワーク搬入コンベヤ13の下流側に連続し、上流側にワーク投入位置14A及び下流側にワーク貯留部14Bを有する第2ワーク搬入コンベヤ14とが平面視略L字状に配置され、第1ワーク搬入コンベヤ13の上流側にワーク押動装置15が配設されている。
【0032】
第1ワーク搬入コンベヤ13は平行配置された一対のローラ支持枠13a間に複数のローラ13bが回転自在に軸支されたローラコンベヤによって形成されている。第2ワーク搬入コンベヤ14も同様に平行配置された一対のローラ支持枠14a間に複数のローラ14bが回転自在に軸支された駆動式のローラコンベヤによって形成され、かつ下流端にストッパ14cが形成されている。
【0033】
ワーク押動装置15は、第1ワーク搬入コンベヤ13の上流側に第1ワーク搬入コンベヤ13の搬送方向と同方向に延在して配置された油圧シリンダ15a及びこの油圧シリンダ15aの収縮位置から伸長位置への伸長動作によってワーク投入位置13Aに投入されたワークWを、第1ワーク搬入コンベヤ13の上を押動して第2ワーク搬入コンベヤ14のワーク投入位置14Aに供給し、収縮動作によってワーク投入位置14Aの上流端に退避する押出板15bを備えている。
【0034】
第1パレット搬送コンベヤ16は、上流端が第2ワーク搬入コンベヤ14の下流端に近接或いは当接配置されると共に、平行配置された一対のローラ支持枠16a間に複数のローラ16bが回転自在に軸支された駆動式のローラコンベヤによって構成されている。ワーク搬出部16Bの下流端となる第1パレット搬送コンベヤ16の下流端にパレット停止ストッパ17が形成されている。
【0035】
ワーク取付け部16Aの下流側に、このワーク取付け部16Aに1個のパレットPのみが載置可能な載置スペースを確保してワーク取付け部16Aに載置されたパレットPを係止及び係止を解除するパレット係止ストッパ18が配設されている。このパレット係止ストッパ18は、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータによって昇降する板状のストッパ18aを有し、ストッパ18aがローラ16b間から突出する上昇位置においてワーク取付け部16Aに投入されたパレットPをワーク取付け部16Aに保持し、ローラ16b間に下降して退避する下降位置においてワーク取付け部16Aからワーク搬出部16B側へのパレットPの移動を許容する。
【0036】
また、ワーク搬出部16Bの上流側に、このワーク搬出部16Bに1個のパレットPのみが載置可能な、即ち1個のパレットPのみが載置可能な載置スペースを確保して、ワーク取付け部16A側から移動するパレットPの移動を制止及び制止を解除するパレット制止ストッパ19が配設されている。このパレット制止ストッパ19は、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータによって昇降する板状のストッパ19aを有し、ストッパ19aがローラ16b間から突出する上昇位置においてワーク取付け部16A側からワーク搬出部16B側に移動するパレットPを制止し、ローラ16b間に下降して退避する下降位置においてワーク搬出部16B側へのパレットPの移動を許容する。
【0037】
第1パレット搬送コンベヤ16と平行配置される第2パレット搬送コンベヤ21は、平行配置された一対のローラ支持枠21a間に複数のローラ21bが回転自在に軸支された駆動式のローラコンベヤによって構成されている。パレット貯留部21Bの下流端となる第2パレット搬送コンベヤ21の下流端にパレット停止ストッパ22が形成されている。
【0038】
第1パレット搬送コンベヤ16の下流位置と第2パレット搬送コンベヤ21の上流位置との間にワーク搬出部16Bから空パレット移送部21AにパレットPを移送する空パレット移送手段25が配置されている。また、第2パレット搬送コンベヤ21の下流位置と第1パレット搬送コンベヤ16の上流位置との間にパレット貯留部21Bからワーク取付け部16AにパレットPを移送するパレット供給手段28が配設されている。
【0039】
空パレット移送手段25は、パレット昇降部26とパレット押動部27を有し、パレット昇降部26は、第1パレット搬送コンベヤ16と第2パレット搬送コンベヤ21に亘ってこれら第1パレット搬送コンベヤ16及び第2パレット搬送コンベヤ21の幅方向に延在して各ローラ16b間及び21b間に配置されて対向する一対のローラ支持枠26a及び各ローラ支持枠26aに回転自在に支持されたローラ26bを有し、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータによってローラ支持枠26a及びローラ26bをローラ16b間及び21b間から上昇して突出し、或いは各ローラ16b間及び21b間に下降して退避する。また、パレット押動部27は、第1パレット搬送コンベヤ16の下流端から第2パレット搬送コンベヤ21の上流端に亘って第1パレット搬送コンベヤ16及び第2パレット搬送コンベヤ21の幅方向に延在するガイドレール27aと、ガイドレール27aに往復動自在に保持されたスライダ27bに支持された押動板27cと、押動板27cを第1パレット搬送コンベヤ16の幅方向に押動するアクチュエータ、例えば油圧シリンダ27dを有している。
【0040】
そして、パレット昇降部26のローラ支持枠26a及びローラ26bが各ローラ16b間及び21b間に退避した下降位置から上昇位置に上昇して突出させることにより第1パレット搬送コンベヤ16のワーク搬出部16Bに載置されたパレットPが持ち上げられ、パレット押動部27の油圧シリンダ27bの伸縮動作により押動板27cを実線で示す後退位置から二点鎖線で示す前進位置に移動させることによりパレットPがローラ26b上を第2パレット搬送コンベヤ21の空パレット移送部21Aの上方位置まで押動する。該位置でパレット昇降部26のローラ支持枠26a及びローラ26bを下降させて各ローラ16b間及び21b間に退避することによってパレットPが第2パレット搬送コンベヤ21の空パレット移送部21A上にパレットPが載置される。
【0041】
パレット供給手段28は、第1パレット搬送コンベヤ16と第2パレット搬送コンベヤ21に亘ってこれら第1パレット搬送コンベヤ16及び第2パレット搬送コンベヤ21の幅方向に延在して各ローラ16b間及び21b間に配置されて対向する一対のローラ支持枠28a及び各ローラ支持枠28aに回転自在に支持されたローラ28bを有し、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータによってローラ支持枠28a及びローラ28bをローラ16b間及び21b間の下降位置から上昇して突出し、或いはこの上昇位置から各ローラ16b間及び21b間の下降位置に退避する。そして、ローラ支持枠28a及びローラ28bが各ローラ16b間及び21b間に退避した下降位置から上昇位置に上昇させることにより第2パレット搬送コンベヤ21のパレット貯留部21Bに載置されたパレットPが持ち上げられ、例えば作業者によってパレットPをローラ28b上に沿って第1パレット搬送コンベヤ16のワーク取付け部16Aの上方まで移動させることができる。該位置でローラ支持枠28a及びローラ28bを下降位置に下降させて各ローラ16b間及び21b間に退避することによってパレットPが第1パレット搬送コンベヤ16のワーク取付け部16Aに載置される。
【0042】
ワーク加工ステーション31は、図1に示すように、複数、本実施の形態では、4つのタレット旋盤等の第1〜第4加工機32−1〜32−4が列設されている。これら第1〜第4加工機32−1〜32−4に、ワーク搬送手段51によってワークWが取付けられたパレットPが順次搬送されてセットされ、各加工機32−1〜32−4によって順に加工を施す。より詳細には、先ず第1加工機32−1にワークWが取付けられたパレットPが搬入されてセットされ、第1加工機32−1でワークWに加工が施され、続いて第1加工機32−1で加工が施されたワークWは、そのワークWが取付けられパレットPと共に第2加工機32−2に搬送され、第2加工機32−2において再び加工が施される。同様に順に第3加工機32−3、第4加工機32−4に搬送され、第3加工機32−3及び第4加工機32−4においても加工される。
【0043】
次に、図1及び図3を参照してワーク取外しステーション41について説明する。ワーク取外しステーション41は、ワーク加工ステーション31側に上流側が位置しワーク加工ステーション31から離れる側に下流側が位置して配設された第3パレット搬送手段となる第3パレット搬送コンベヤ42と、ワーク加工ステーション31側を下流側として第3パレット搬送コンベヤ42の上方に第3パレット搬送コンベヤ42に対して平行配置された第4パレット搬送手段となる第4パレット搬送コンベヤ45を備えている。
【0044】
第3パレット搬送コンベヤ42は、上流側にワーク加工ステーション31において加工が施された加工済みのワークWが取付けられたパレットPが搬入される加工済みワーク搬入部42A、及び下流側にパレットPからワークWを取り外すワーク取外し部42Bを有し、平行配置された一対のローラ支持枠42a間に複数のローラ42bが回転自在に軸支された駆動式のローラコンベヤによって形成され、下流端にストッパ43が形成されている。ワーク取外し部42Bの上流側に、このワーク取外し部42Bに1個のパレットPのみが載置可能な、即ち1個のパレットPのみが載置可能な載置スペースを確保して加工済みワーク搬入部42A側から移動するパレットPの移動を制止及び制止を解除するパレット制止ストッパ44が配設されている。このパレット制止ストッパ44は、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータによって昇降する板状のストッパ44aを有し、ローラ42b間から上昇して突出するストッパ44aによって加工済みワーク搬入部42A側からワーク取外し部42B側に移動するパレットPを制止し、ストッパ44aがローラ42b間に下降して退避することによってワーク取外し部42B側へのパレットPの移動を許容する。
【0045】
このパレット制止ストッパ44のストッパ44aを上昇位置に保持し、加工済みワーク搬入部42A側からワーク取外し部42B側に移動するパレットPを制止することによって、加工済みのワークWが取付けられたパレットP、即ちワーク取外し部42Bで未だワークWが取外されていないパレットPを第3パレット搬送コンベヤ43上に貯留しておくことができる。
【0046】
第3パレット搬送コンベヤ42の上方に平行配置される第4パレット搬送コンベヤ45は、上流側にワーク取外し部42BでワークWが取外された空のパレットPが投入される空パレット載置部45Aを有すると共に、下流側に空パレット搬出部45Bを有し、平行配置された一対のローラ支持枠45a間に複数のローラ45bが回転自在に軸支された駆動式のローラコンベヤによって形成され、下流端にストッパ46が形成されている。
【0047】
また、第3パレット搬送コンベヤ42における加工済みワーク搬入部42Aの上方は第4パレット搬送コンベヤ45によって覆われることなく開放されており、ワークWが取付けられたパレットPの上方からの搬入を容易にしている。同様に第3パレット搬送コンベヤ42のワーク取外し部42Bの上方も、第4パレット搬送コンベヤ45によって覆われることなく開放されており、ワーク取外し部42BにおいてパレットPから取外されたワークWを容易に搬出すると共に、ワーク取外し部42Bから空パレット載置部45Aへの空パレットPの移載作業を容易にしている。
【0048】
また、ワーク搬入テーション11に配置された第1パレット搬送コンベヤ16のワーク搬出部16B、ワーク加工ステーション31に配置された第1〜第4の各加工機32−1〜32−4、及びワーク取外しステーション41に配置された第3パレット搬送コンベヤ42の加工済みワーク搬入部42A、第4パレット搬送コンベヤ45の空パレット搬出部45Bは平面視略直線状に配置されている。
【0049】
次に図1乃至図3を参照してワーク搬送手段51について説明する。ワーク搬送手段51は、ワーク搬入ステーション11に配置された第1パレット搬送コンベヤ16のワーク搬出部16Bの上方からワーク加工ステーション31の第1〜第4加工機32−1〜32−4の上方を経てワーク取外しステーション41に配置された第4パレット搬送コンベヤ45の空パレット搬出部45Bの上方に達して延在するレール状の搬送ガイド52と、搬送ガイド52に誘導されて仮想線53aで示すワーク搬送部16Bの上方となる上流端位置Aと実線で示す空パレット搬出部45Bの上方となる下流端位置Bとの間を往復動するワーク保持部となるガントリーローダ53を備えている。
【0050】
ガントリーローダ53は、搬送ガイド52に誘導されてワーク搬入ステーション11側からワーク取外しステーション41側への前進方向F及びワーク取外しステーション41側からワーク搬入ステーション11側への後進方向Rへ移動する走行体54と、走行体54に設置されて上下方向に延在する軸を中心に回転可能に支持された回転体55と、回転体55に昇降可能に垂下された一対の第1、第2の昇降ロッド56a、56bと、第1、第2の昇降ロッド56a、56bの下端に設けられてパレットPをクランプ及びアンクランプ動作する第1、第2のクランプ57a、57bとを備えている。回転体55の回転によって、走行体54に対する第1昇降ロッド56aと第2昇降ロッド56bの相互位置を切り替えることができる。
【0051】
更に、図示は省略するが走行体54を搬送ガイド52に沿って移動させる走行用アクチュエータ、回転体55を回転駆動する回転体アクチュエータ、第1、第2の昇降ロッド56a、56bを昇降する昇降用アクチュエータ、第1、第2のクランプ57a、57bをクランプ及びアンクランプ動作するクランプ用アクチュエータの各アクチュエータを有する。このように構成されたワーク搬送手段51の詳細な作動は、ワーク搬送システム1の作動と共に後述する。
【0052】
また、ワーク搬入ステーション11、ワーク加工ステーション31、ワーク取外しステーション41及びワーク搬送手段51の各部を作動する各アクチュエータ及び予め設定された作動条件に従って各アクチュエータを作動制御する作動制御装置を備えるが、説明の簡略化を図るため説明を省略する。
【0053】
次に、このように構成されたワーク搬送システム1の作動を説明する。
【0054】
ワーク搬送システム1の作動に際し、予めワーク搬入ステーション11に配置された第2パレット搬送コンベヤ21のパレット貯留部21Bに載置されたパレットPを先頭に第2パレット搬送コンベヤ21上に複数の空のパレットPが載置され、第1パレット搬送コンベヤ16に配置されたパレット係止ストッパ18のストッパ18aが上昇位置に、パレット制止ストッパ19のストッパ19aが下降位置に保持して準備する。
【0055】
そして、ワーク搬入ステーション11のワーク搬入部12に配置された第1ワーク搬入コンベヤ13のワーク投入位置13Aに図示しないワーク投入装置等によってワークWが投入される。次に、ワーク押動装置15の油圧シリンダ15aの伸長動作により収縮位置から伸長位置に移動する押出板15bによりワーク投入位置13AのワークWを第2ワーク搬入コンベヤ14のワーク投入位置14Aに押動し、油圧シリンダ15aは収縮動作して押出板15bを収縮位置に退避させる。第2ワーク搬入コンベヤ14のワーク投入位置14Aに投入されたワークWは、ローラ14b上を滑動して下流のストッパ14cに当接して係止されてワーク貯留部14B上に保持される。この第1ワーク搬入コンベヤ13のワーク投入位置13Aへのワーク投入及びワーク押動装置15によるワークWの押動は予め設定された間隔で繰り返され、ワーク貯留部14Bへのワーク供給は周期的に繰り返される。
【0056】
ここで、パレット供給手段28は、下降位置からローラ支持枠28a及びローラ28bを上昇位置に上昇させる。この上昇により第2パレット搬送コンベヤ21のパレット貯留部21BにあるパレットPが各ローラ28bによって持ち上げられる。
【0057】
作業者はパレット供給手段28のローラ28b上のパレットPを第1パレット搬送コンベヤ16のワーク取付け部16Aの上方に引き寄せる。しかる後、パレット供給手段28のローラ支持枠28a及びローラ28bを下降位置に退避させる。この下降によりパレットPがワーク取付け部16A上に載置され、該位置にパレット係止ストッパ18によって保持される。一方、第2パレット搬送コンベヤ21上のパレットPは第2パレット搬送コンベヤ21上を滑動してパレット貯留部21Bに供給される。
【0058】
ワーク取付け部16Aに供給された空のパレットPに第2ワーク搬入コンベヤ14のワーク貯留部14B上のワークWを組み付ける。パレットPにワークWを組み付けた後、パレット係止ストッパ18のストッパ18aを上昇位置から下降位置に下降させる。ストッパ18aの下降により係止が解除されたワーク取付け部16AのパレットPは、第1パレット搬送コンベヤ16のローラ16b上を滑動して下流のパレット停止ストッパ17に当接して移動が規制されワーク搬出部16B上に供給される。
【0059】
ワーク搬出部16BにワークWが組み付けられたパレットPが供給されると、ワーク搬出部16Bの上流側に配置されたパレット制止ストッパ19のストッパ19aを上昇位置に上昇させてワーク取付け部16A側からのパレットPがワーク搬出部16B内に進入するのを阻止する。一方、ワーク取付け部16AにおけるパレットPへのワークWの組み付けは周期的に繰り返され、ワークWが取付けられた過剰のパレットPはパレット制止ストッパ19によって移動が規制されて第1パレット搬送コンベヤ16上に一時的に貯留される。
【0060】
ワーク搬出部16B上のワークWが取付けられたパレットPは、破線53aで示す上流端位置Aに待機するガントリーローダ53の下降する昇降ロッド、例えば第1の昇降ロッド56aの下端に設けられた第1のクランク57aによってクランプされ、昇降ロッド56aの上昇動作によりワーク搬出部16Bから持ち上げられてワーク搬入ステーション11から搬出される。
【0061】
ワークWが取付けられたパレットPをクランプしたガントリーローダ53は、搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されてワーク加工ステーション31の第1加工機32−1の上方位置M1で停止する。そして、第1の昇降ロッド56aの下降動作により下降する第1のクランプ57aにクランプされたパレットPを第1加工機32−1にセットし、アンクランプして第1の昇降ロッド56a及び第1のクランプ57aを上昇させる。パレットPがセットされた第1加工機32−1はワークWの加工を開始し、ワークWに予め設定された加工を施す。
【0062】
再び、ガントリーローダ53は搬送ガイド52に沿って後進方向Rに誘導されて上流端位置Aに移動する。しかる後、第1パレット搬送コンベヤ16のワーク搬出部16Bの上流側に配置されたパレット制止ストッパ19のストッパ19aを下降位置に下降させる。ストッパ19aの下降により係止が解除された第1パレット搬送コンベヤ16上のワークWが取付けられたパレットPが滑動して1個のパレットPがワーク搬出部16B上に搬送供給される。そしてストッパ19aは再び上昇位置に上昇してワーク取付け部16A側からワーク搬出部16B内にパレットPが進入するのを阻止する。
【0063】
ワーク搬出部16B上のパレットPは、上流端位置Aに待機するガントリーローダ53の下降する第1の昇降ロッド56aの下端に設けられた第1のクランク57aによってクランプされ、第1の昇降ロッド56aの上昇動作によりワーク搬出部16Bから持ち上げられてワーク搬入ステーション11から搬出される。
【0064】
パレットPをクランプしてガントリーローダ53は、再び搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されてワーク加工ステーション31の第1加工機32−1の上方位置M1で停止する。そして、第2の昇降ロッド56bの下降動作により下降する第2のクランプ57bにより第1加工機32−1によって加工が施されたワークWが取付けられたパレットPをクランプし、第2の昇降ロッド57bを上昇してパレットPを第1加工機32−1から搬出する。しかる後、回転体55の回転により第2の昇降ロッド56bと第1の昇降ロッド56aの相互位置を入れ替える。そして第1の昇降ロッド56aを下降し、第1のクランク57aにクランプされたワークWが取付けられたパレットPを第1加工機32−1にセットし、アンクランプして第1の昇降ロッド56a及び第1のクランプ57aを上昇させる。パレットPがセットされた第1加工機32−1は再びワークWの加工を開始する。
【0065】
ガントリーローダ53は、第1加工機32−1の上方位置M1から搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されて第2加工機32−2の上方位置M2で停止する。そして第2の昇降ロッド56bを下降し、第2のクランク57bにクランプされたワークWが取付けられたパレットPを第2加工機32−2にセットし、アンクランプして第2の昇降ロッド56b及び第2のクランプ57bを上昇させる。パレットPがセットされた第2加工機32−2はワークWの加工を開始し、ワークWに予め設定された加工を施す。
【0066】
同様に搬送ガイド52に沿って往復動するガントリーローダ53でワーク搬出部16Bから第1加工機32−1にワークWが取付けられたパレットPを搬送し、ガントリーローダ53の第2のクランプ57bで第1加工機32−1から加工済みのワークWが取付けられたパレットPを搬出し、第1のクランプ57aでクランプされたワークWが取り付けられたパレットPを第1加工機32−1にセットして加工する。そして、ガントリーローダ53は、第1加工機32−1の上方位置M1から搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されて第2加工機32−2の上方位置M2で停止し、第1のクランプ57aで第2加工機32−2から加工済みのワークWが取付けられたパレットPを搬出し、次いで、第2のクランプ57bでクランプされたワークWが取り付けられたパレットPを第2加工機32−2にセットして、第2加工機32−2でワークWに加工が施される。
【0067】
更に、ガントリーローダ53は、第2加工機32−2の上方位置M2から搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されて第3加工機32−3の上方位置M3で停止し、第1のクランプ57aでクランプされたワークWが取り付けられたパレットPを第3加工機32−3にセットして、第3加工機32−3でワークWに加工が施される。
【0068】
同様に、搬送ガイド52に沿って往復動するガントリーローダ53により、ワーク搬出部16Bから第1加工機32−1へのワークWが取付けられたパレットPの搬送が第1のクランプ57aによって行われ、第1加工機32−1から加工済みのワークWが取付けられたパレットPの第2加工機32−2への搬送が第2のクランプ57bによって行われ、更に第2加工機32−2から加工済みのワークWが取付けられたパレットPの第3加工機32−3への搬送が第1のクランプ57aによって行われる。
【0069】
そして、第3加工機32−3における加工済みのワークWが取付けられたパレットPの搬出が第2のクランプ57bにより行われ、次いで、第1のクランプ57aでクランプされたワークWが取り付けられたパレットPを第3加工機32−3にセットして、第3加工機32−3でワークWに加工が施される。
【0070】
更に、ガントリーローダ53は、第3加工機32−3の上方位置M3から搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されて第4加工機32−4の上方位置M4で停止し、第2のクランプ57bでクランプされたワークWが取り付けられたパレットPを第4加工機32−4にセットして、第4加工機32−4でワークWに加工が施される。
【0071】
このように順次第1加工機32−1〜第4加工機32−4にワークWが取付けられたパレットPがセットされて順次加工され、第4加工機32−4で最終的な加工が施された加工済みのワークWが取付けられたパレットPは、第4加工機32−4の上方位置M4におけるガントリーローダ53の下降する第1の昇降ロッド56aの下端に設けられた第1のクランプ57aによってクランプされ、第1の昇降ロッド56aの上昇によって第4加工機32−4から搬出される。
【0072】
しかる後、ガントリーローダ53は第4加工機32−4の上方位置M4から搬送ガイド52に沿って前進方向Fに誘導されて下流端位置B、即ちワーク取外しステーション41における第3パレット搬送コンベヤ42の加工済みワーク搬入部42Aの上方と第4パレット搬送コンベヤ45の空パレット搬出部45Bの上方とに跨る位置であって、第1のクランプ57aが加工済みワーク搬入部42Aに対向すると共に第2のクランプ57bが空パレット搬出部45Bに対向する位置で停止する。そして、ガントリーローダ53の第1の昇降ロッド56aを下降させ、第1のクランプ57aがアンクランプして加工済みのワークWが取付けられたパレットPを第3パレット搬送コンベヤ42の加工済みワーク搬入部42Aに搬入する。しかる後、第1の昇降ロッド56aは上昇する。
【0073】
ワーク取外しステーション41においては、第3パレット搬送コンベヤ42の加工済みワーク搬入部42Aに投入されたパレットPが第3パレット搬送コンベヤ42のローラ42b上を滑動し、下流側のストッパ43に当接してワーク取外し部42Bに停止する。ワーク取外し部42BにおいてパレットPから加工済みのワークWを取外し、ワークWを次の工程に搬出する。一方、ワークWが取外された空のパレットPは、上方の第4パレット搬送コンベヤ45の空パレット載置部45Aに移送されて載置する。
【0074】
空パレット載置部45Aに載置されたパレットPは、第4パレット搬送コンベヤ45のローラ45b上を滑動して下流側のストッパ46に当接して空パレット搬出部45Bに停止して保持される。
【0075】
空パレット搬出部45Bに保持された空のパレットPは、下流端位置Bに待機するガントリーローダ53の第2の昇降ロッド56bを下降させ、第2の昇降ロッド56bの下端に設けられた第2のクランプ57bによってクランプされ、第2の昇降ロッド56aの上昇によって持ち上げて空パレット搬出部45Bから搬出する。
【0076】
しかる後、空のパレットPを第2のクランプ57bでクランプしたガントリーローダ53は、搬送ガイド52に沿って後進方向Rに誘導されて上流端位置A、即ちワーク搬入ステーション11の第1パレット搬送コンベヤ16の下流側に設けられたワーク搬出部16Bの上方に移動して停止する。なお、このとき、ワーク搬出部16Bには、パレット制止ストッパ19のストッパ19aによってワーク取付け部16A側からのパレットPの進入が阻止されており、パレットPは存在しない。
【0077】
そして、上流端位置Aにおいて、ガントリーローダ53の第2の昇降ロッド56bを下降し、第2のクランプ57bをアンクランプして、パレット制止ストッパ19のストッパ19aによってワーク取付け部16A側からのパレットPの進入が阻止されたワーク搬出部16B上に、空のパレットPを供給する。アンクランプ後、第2の昇降ロッド56は上昇する。
【0078】
なお、次回のワーク搬出部16Bから第1加工機32−1へのワークWが取付けられたパレットPの搬送は、ガントリーローダ53の第2のクランプ57bによって行われるが、回転体55の回転により第2の昇降ロッド56bと第1の昇降ロッド56aの相互位置を入れ替えて第1のクランプ57aにより開始するようにしてもよい。
【0079】
その後、パレット昇降部26のローラ支持枠26a及びローラ26bが各ローラ16b間及び21b間から上昇してワーク搬出部16Bに載置された空のパレットPが持ち上げられ、パレット押動部27の油圧シリンダ27bの収縮動作により押動板27cを実線で示す後退位置から二点鎖線で示す前進位置に移動させることによりパレットPがローラ26b上を第2パレット搬送コンベヤ21の空パレット移送部21Aの上方位置まで押動する。そして、パレット昇降部26のローラ支持枠26a及びローラ26bを再び下降させて各ローラ16b間及び21b間に退避させてパレットPを第2パレット搬送コンベヤ21の空パレット移送部21A上に載置する。しかる後、パレット押動部27の油圧シリンダ27bの伸長動作により押動板27cを前進位置から後退位置に移動させる。空パレット移送部21Aに載置されたパレットPは、第2パレット搬送コンベヤ21のパレット貯留部21B側に搬送される。
【0080】
このようなワーク搬入ステーション11のワーク取付け部16Aにおいてパレット供給手段28から供給される空のパレットPに、ワーク搬入部12から供給されるワークWを取付け、搬送ガイド52に誘導されるガントリーローダ53によってワーク搬出部16BからワークWを取付けたパレットPをワーク加工ステーション31の第1〜第4の各加工機32−1〜32−4に搬送し、各加工機32−1〜32−4で順次加工された加工済みのワークWが取付けられたパレットPをワーク取外しステーション41に搬送し、ワーク取外しステーション41でワークWが取外された空のパレットPを、ガントリーローダ53によってワーク搬入ステーション11に搬送するサイクルを繰り返す。
【0081】
従って、本実施の形態によるワーク搬送システム1によると、ワーク搬入ステーション11からワーク加工ステーション31の上方を経てワーク取外しステーション41に亘って配置された搬送ガイド52に誘導されて、ワーク搬入ステーション11からワークWが取付けられたパレットPをワーク加工ステーション31及びワーク取外しステーション41に搬送するガントリーローダ53によって、ワーク取外しステーション41でワークWが取外された空のパレットPをワーク取外しステーション41からワーク搬入ステーション11に搬送するので、搬送ガイド52及びガントリーローダ53により形成されたワーク搬送手段51がワーク取外しステーション41でワークWが取外された空のパレットPをワーク搬入ステーション11に環流させ回収するパレット搬送手段を兼備し、ワーク取外しステーション41からワーク搬入ステーション11に空のパレットPを搬送する専用のコンベヤ等のパレット搬送手段を配設する必要がなくなり、ワーク搬送システム1の設置スペースの削減が得られると共に、ワーク搬送システム1の簡素化が得られ設備コストを抑制することができる。
【0082】
また、ワーク搬入ステーション11において、ワーク取付け部16AでパレットPにワークWが取付けられ、第1パレット搬送コンベヤ16によりワワーク搬出部16Bに搬送する一方、ワーク取外しステーション41側からワーク搬送手段51によってワーク搬出部16Bに搬入された空のパレットPは、空パレット移送手段25によりワーク搬出部16Bから空パレット移送部21Aに搬送され、第2パレット搬送コンベヤ21により空パレット移送部21Aからパレット貯留部21Bまで搬送されて、ワークWが取付けられたパレットP及びワーク搬送手段51によって搬入された空のパレットPがワーク搬入ステーション11内においてスムーズに搬送移動される。また、第1パレット搬送コンベヤ16と第2パレット搬送コンベヤ21が平行配置され、第1パレット搬送コンベヤ16のワーク取付け部16A及びワーク搬出部16Bに対応して第2パレット搬送コンベヤ21のパレット貯留部21B及び空パレット移送部21Aが隣接配置されることから、ワーク搬出部16Bから空パレット移送部21Aに空のパレットPを容易に移動できると共に、空のパレットPをパレット貯留部21Bからワーク取付け部16Aへ容易に移すことができ、パレットPへのワークWの取付け作業を容易かつスムーズに行うことができる。
【0083】
パレット制止ストッパ19によってワーク取付部16A側からワーク搬出部16Bに搬送されるパレットPの移動を制止することによって、ワーク搬送手段51によってワーク取外しステーション41側からの空のパレットPをワーク搬出部16Bに搬入する際に、支障なくワーク搬出部16Bに搬入することができる。
【0084】
また、第1パレット搬送コンベヤ16と第2パレット搬送コンベヤ21を平面状に平行近傍に配置することで、ワーク搬入ステーション11の高さが抑制できて設置スペースを抑制することができる。
【0085】
ワーク取外しステーション41において、加工済みのワークWが取付けられたパレットPが加工済みワーク搬入部42Aに搬入され、第3パレット搬送コンベヤ42によりワーク取外し部42Bに搬送され、ワーク取外し部42BにおいてワークWが取外された空のパレットPを空パレット載置部45Aに移動し、第4パレット搬送コンベヤ45により空パレット搬出部45Bまで搬送されるので、ワーク取外しステーション41内の加工済みのワークWが取付けられているパレットPと、空のパレットPとの搬送がスムーズに行われ、作業効率の向上が得られる。更に、第3パレット搬送コンベヤ42と第4パレット搬送コンベヤ45を上下に平行配置することにより、第3パレット搬送コンベヤ42及び第4パレット搬送コンベヤ45の設置スペースを削減することができる。
【0086】
また、搬送ガイド52及び搬送ガイド52に誘導されて移動するガントリーローダ53によりワーク搬送手段51を構成することによって、既存のガントリーローダを備えた搬送手段を転用することが可能なり、ワーク搬送手段の設備コストを抑制することができる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ワーク搬送手段51を搬送ガイド52及び搬送ガイド52に誘導されて移動するガントリーローダ53によって構成したが、他の搬送手段によって構成することができる。また、上記実施の形態では、パレット供給手段28によってパレット貯留部21Bから持ち上げられたパレットPを作業者がワーク取付け位置16A側に引き寄せたが、押圧手段によりパレットPを機械的にパレット貯留部21B側からワーク取付け部16Aに移動するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施の形態にかかるワーク搬送システムの全体側面図である。
【図2】ワーク搬入ステーションの平面図である。
【図3】ワーク取外しステーションの側面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ワーク搬送システム
11 ワーク搬入ステーション
12 ワーク搬入部
16 第1パレット搬送コンベヤ(第1パレット搬送手段)
16A ワーク取付け部
16B ワーク搬出部
17 パレット停止ストッパ
18 パレット係止ストッパ
19 パレット制止ストッパ
21 第2パレット搬送コンベヤ(第2パレット搬送手段)
21A 空パレット移送部
21B パレット貯留部
22 パレット停止ストッパ
25 空パレット移送手段
27 パレット押動部
28 パレット供給手段
31 ワーク加工ステーション
32−1〜32−4 第1〜第4加工機
41 ワーク取外しステーション
42 第3パレット搬送コンベヤ(第3パレット搬送手段)
42A 加工済みワーク搬入部
42B ワーク取外し部
44 パレット制止ストッパ
45 第4パレット搬送コンベヤ(第4パレット搬送手段)
45A 空パレット載置部
45B 空パレット搬出部
51 ワーク搬送手段
52 搬送ガイド
53 ガントリーローダ(ワーク保持部)
P パレット
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬入ステーション、パレットに取付けられたワークを加工するワーク加工ステーション、及びワークをパレットから取外すワーク取外しステーションが順に配置され、上記ワーク搬入ステーションからワーク加工ステーションを経てワーク取外しステーションに至る搬送ガイドに誘導されて移動し、上記ワーク搬入ステーションのワーク搬出部からワークが取付けられたパレットを上記ワーク加工ステーションに搬送し、該ワーク加工ステーションで加工が施された加工済みのワークが取付けられたパレットをワーク取外しステーションに搬送するワーク保持部を有するワーク搬送手段を備えたワーク搬送システムにおいて、
上記ワーク搬送手段は、
上記ワーク取外しステーションにおいてワークが取外されたパレットを、上記搬送ガイドに誘導されて移動する上記ワーク保持部によって上記ワーク取外しステーションからワーク搬入ステーションの上記ワーク搬出部に搬送することを特徴とするワーク搬送システム。
【請求項2】
上記ワーク搬入ステーションは、
パレットにワークを取付けるワーク取付け部と、
上記ワーク搬出部と、
空パレット移送部と、
パレット貯留部とを備え、
上記ワーク取付け部でワークが取付けられたパレットを該ワーク取付け部から上記ワーク搬出部に搬送する第1パレット搬送手段と、
上記ワーク搬送手段によってワーク取外しステーション側から上記ワーク搬出部に搬入された空のパレットをワーク搬出部から空パレット移送部に搬送する空パレット移送手段と、
該空パレット移送部に搬入されたパレットを該空パレット移送部から上記パレット貯留部に搬送する第2パレット搬送手段と、
上記パレット貯留部に搬入されたパレットを該パレット貯留部から上記ワーク取付け部へ搬送するパレット供給手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送システム。
【請求項3】
上記第1パレット搬送手段は、上流側に上記ワーク取付け部及び下流側に上記ワーク搬出部を備えた第1パレット搬送コンベヤであり、
上記第2パレット搬送手段は、上記第1パレット搬送コンベヤに対し平行配置され、かつ上記ワーク搬出部及びワーク取付け部にそれぞれ対応して配置される上流側及び下流側にそれぞれ上記空パレット移送部及びパレット貯留部を備えた第2パレット搬送コンベヤであることを特徴とする請求項2に記載のワーク搬送システム。
【請求項4】
上記第1パレット搬送コンベヤは、
上記ワーク搬出部の上流側に、該ワーク搬出部に上記パレット1個分の載置スペースを確保して上記ワーク取付け部側から搬送されるパレットの移動を制止及び該制止を解除するパレット制止ストッパを備えたことを特徴とする請求項3に記載のワーク搬送システム。
【請求項5】
上記ワーク取外しステーションは、
上記ワーク搬送手段により加工済みのワークが取付けられたパレットが搬入される加工済みワーク搬入部と、
該パレットからワークを取外すワーク取外し部と、
該ワークが取外されたパレットが搬入される空パレット載置部と、
上記ワーク搬送手段によってパレットが搬出される空パレット搬出部とを備え、
上記加工済みのワークが取付けられたパレットを上記加工済みワーク搬入部から上記ワーク取外し部に搬送する第3パレット搬送手段と、
上記空パレット載置部に搬入されたパレットを、該空パレット載置部から空パレット搬出部に搬送する第4パレット搬送手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項6】
上記第3パレット搬送手段は、上流側に上記加工済みワーク搬入部及び下流側に上記ワーク取外し部を備えた第3パレット搬送コンベヤであり、
上記第4パレット搬送手段は、上記加工済みワーク搬入部の上方を開放した状態で上記第3パレット搬送コンベヤの上方に平行配置されると共に、上記ワーク取外し部側及び上記加工済みワーク搬入部側に対応して配置された上流側及び下流側にそれぞれ上記空パレット載置部及び空パレット搬出部を備えた第4パレット搬送コンベヤであることを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送システム。
【請求項7】
上記ワーク加工ステーションには、複数の加工機が配列され、
上記ワーク保持部は、上記搬送ガイドに沿って移動するガントリーローダであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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