説明

ワーク搬送装置とそれを備えた画像形成装置並びにワーク搬送方法

【課題】ワークの周縁部をステージ上に固定できる治具及びワークをステージ上へ効率よく供給できるようにしたワーク搬送装置と方法、並びにそのワーク搬送装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送装置30は、搬入部32に載置されたワーク200を複数の吸着装置54で吸着し、ステージ110へ搬送する第1吸着ユニット50と、ステージ110上のワーク200を複数の吸着装置56で吸着し、搬出部34へ搬送する第2吸着ユニット52と、ステージ110上にセットされ、ワーク200の周縁部を密閉するとともに、ワーク200の周縁部を除く領域を露出させる開口部が形成された固定治具10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等のワークを搬送するワーク搬送装置と方法に関し、更には、画像情報に基づいて変調された光ビームによりワークの描画領域を露光して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばプリント配線基板(以下「ワーク」又は「基板材料」という場合がある)等に配線パターンを形成する画像形成装置としてのレーザー露光装置が知られている。このレーザー露光装置には、画像露光の対象となるプリント配線基板を載置する(ロードする)ステージが備えられ、そのステージを所定の搬送経路に沿って移動させるようになっている。
【0003】
具体的に説明すると、まず、プリント配線基板は、ステージの上面に位置決め載置され、ステージの上面に設けられた多数の孔部からエアーが吸引されることによって、そのステージ上に吸着・保持される。プリント配線基板がステージ上に吸着・保持されたら、そのステージは、所定の速度で副走査方向へ移動し、所定の測定位置において、そのプリント配線基板に設けられた位置合わせ孔(以下「アライメントマーク」という)がCCDカメラによって撮像される。そして、その撮像によって得られたプリント配線基板の位置に合わせて、描画座標系中の描画対象領域を座標変換することにより、画像情報に対するアライメント処理が実行される。
【0004】
アライメント処理の実行後、ステージ上のプリント配線基板は、所定の露光位置において、画像情報に基づいて変調され、ポリゴンミラーにより主走査方向へ偏向されたレーザービームによって、その上面に形成された感光性塗膜が走査、露光処理される。これにより、プリント配線基板上の所定の領域(描画領域)に、画像情報に基づく(配線パターンに対応する)画像(潜像)が形成される。
【0005】
そして、画像(潜像)が形成されたプリント配線基板は、ステージが初期位置に復帰移動した後、そのステージ上から取り出され(アンロードされ)、プリント配線基板が取り除かれたステージは、次のプリント配線基板を露光する工程に移行するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−338432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなレーザー露光装置において、比較的厚さの薄い(例えば、厚さが1mm未満の)プリント配線基板を露光処理する場合がある。この場合には、エアーによる吸引力が強いと、ステージ上に波打つように基板が吸着され、その周縁部が浮き上がってしまうという不具合が発生する。したがって、この場合には、例えば、プリント配線基板の周縁部を補助的に押さえる治具などが設けられる。
【0007】
しかしながら、このような治具を備えていてもステージ上への基板搬入及びステージ上からの基板搬出を効率よく行えるようにする必要がある。つまり、このような治具が設けられていても、プリント配線基板の製造効率ができるだけ低下しないようにすることが望ましい。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、ワークの周縁部をステージ上に固定できる治具及びワークをステージ上へ効率よく供給できるようにしたワーク搬送装置と方法、更には、そのワーク搬送装置を備えた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のワーク搬送装置は、搬入部に載置されたワークを複数の吸着装置で吸着し、ステージへ搬送する第1吸着ユニットと、前記ステージ上のワークを複数の吸着装置で吸着し、搬出部へ搬送する第2吸着ユニットと、前記ステージ上にセットされ、前記ワークの周縁部を密閉するとともに、該ワークの周縁部を除く領域を露出させる開口部が形成された固定治具と、を備え、前記第1吸着ユニット及び前記第2吸着ユニットが、前記固定治具を吸着するために縁端部側に配置された第1吸着装置と、前記開口部から露出している前記ワークを吸着するために中心部側に配置された第2吸着装置と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ワークの周縁部の浮き上がりを押さえる固定治具を、第1吸着ユニット又は第2吸着ユニットにより効率よくステージ上へ供給することができる。
【0011】
また、請求項2に記載のワーク搬送装置は、請求項1に記載のワーク搬送装置において、前記固定治具に、前記第1吸着装置による吸着位置がずれたことを検出できる検出手段を形成したことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1吸着装置により固定治具を吸着した際、その位置ずれを検出することができる。したがって、固定治具がずれたまま搬送されることによって起きるトラブルを防止することができる。
【0013】
更に、請求項3に記載のワーク搬送装置は、請求項1又は請求項2に記載のワーク搬送装置において、少なくとも前記第1吸着装置に、緩衝機構を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1吸着装置により固定治具を吸着した状態で、第2吸着装置によりワークを吸着する際に、その固定治具の厚さ分の高さ位置の違いを吸収することができる。
【0015】
そして、本発明に係る請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のワーク搬送装置と、前記ステージを所定の搬送経路に沿って移動させる移動機構と、前記移動機構によって移動させるステージ上のワークのアライメントマークを検出する測定部と、前記ステージ上のワークの前記周縁部を除く領域を、前記測定部の検出結果によりアライメント処理された画像情報に基づいて変調された光ビームにより露光し、該領域に画像を形成する露光部と、を有することを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、上記のようなワーク搬送装置を備えているので、ステージに対するワーク及び固定治具の供給を効率よく行うことができる。また、その固定治具により、ワークが確実にステージ上に固定されるので、そのワークに対して正確に画像を形成することができる。
【0017】
また、請求項5に記載のワーク搬送装置は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記固定治具を吸着するモードと吸着しないモードへ切り替える切替手段を有することを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、固定治具を必要とするワークと、固定治具を必要としないワークの両方に対して露光処理を実行することができる。
【0019】
更に、本発明に係る請求項6に記載のワーク搬送方法は、搬入部に載置されたワークを複数の吸着装置で吸着し、ステージへ搬送する第1吸着ユニットと、前記ステージ上のワークを複数の吸着装置で吸着し、搬出部へ搬送する第2吸着ユニットと、前記ステージ上にセットされ、前記ワークの周縁部を密閉するとともに、該ワークの周縁部を除く領域を露出させる開口部が形成された固定治具と、を備えたワーク搬送方法であって、前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの縁端部側に配置された第1吸着装置で、前記固定治具を吸着し、前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの中心部側に配置された第2吸着装置で、前記開口部から露出している前記ワークを吸着し、該ワーク及び前記固定治具を前記ステージへ載置又は前記ステージから除去することを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ワークの周縁部の浮き上がりを押さえる固定治具を、第1吸着ユニット又は第2吸着ユニットにより効率よくステージ上へ供給することができる。
【0021】
また、請求項7に記載のワーク搬送方法は、請求項6に記載のワーク搬送方法において、前記第2吸着ユニットの第1吸着装置によってステージ上の固定治具を吸着するとともに、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置によって搬入部上のワークを吸着し、その後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬出部側へ移動して、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置が吸着を解除することにより、前記ワークをステージ上に載置し、次いで、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬入部側へ移動して、前記第2吸着ユニットの第1吸着装置が吸着を解除することにより、前記固定治具をステージ上に載置し、該固定治具によって前記ワークの周縁部を密閉することを特徴としている。
【0022】
そして、請求項8に記載のワーク搬送方法は、請求項6に記載のワーク搬送方法において、前記第1吸着ユニットの第1吸着装置によってステージ上の固定治具を吸着した後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬入部側へ移動し、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置によって搬入部上のワークを吸着し、その後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬出部側へ移動して、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置が吸着を解除することにより、前記ワークをステージ上に載置するとともに、前記第1吸着ユニットの第1吸着装置が吸着を解除することにより、前記固定治具をステージ上に載置し、該固定治具によって前記ワークの周縁部を密閉することを特徴としている。
【0023】
請求項7又は請求項8に記載の発明によれば、第1吸着ユニット又は第2吸着ユニットにより、固定治具を効率よくステージ上へ供給することができる。
【0024】
また、請求項9に記載のワーク搬送方法は、請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のワーク搬送方法において、前記固定治具が、ワークの位置決め部材により前記ステージ上に位置決め載置され、その後、前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの第1吸着装置によって吸着されることを特徴としている。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、ワークの位置決め部材を固定治具の位置決め部材として兼用できる。したがって、固定治具の位置決めが容易にできる。また、別途固定治具用の位置決め部材を用意する必要がないので、コストの増加を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、ワークの周縁部をステージ上に固定できる治具及びワークをステージ上へ効率よく供給できるようにしたワーク搬送装置と方法、更には、そのワーク搬送装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。図1は本発明に係る画像形成装置としての一例を示すレーザー露光装置の概略斜視図である。また、図2は基板(ワーク)搬送装置とレーザー露光装置を示す概略斜視図であり、図3は同じく概略平面図である。そして、図4は固定治具の概略斜視図と概略断面図であり、図5はステージと基板材料と固定治具の概略斜視図、図6は同じく概略側断面図である。なお、図1において、矢印Mを幅方向、矢印Sを搬送方向とし、矢印Sと反対の方向を走査方向とする。
【0028】
[レーザー露光装置の構成]
まず最初に、レーザー露光装置100について説明する。図1で示すように、このレーザー露光装置100は、6本の脚部104に支持された矩形厚板状の設置台102を備えている。設置台102の上面には、長手方向(搬送方向)に沿って2本のガイドレール106が配設されており、これら2本のガイドレール106上には、ガイド部108を介して矩形平板状のステージ110が設けられている。
【0029】
ステージ110は、長手方向がガイドレール106の延設方向(搬送方向)を向くように配置され、ガイドレール106及びガイド部108によって設置台102上を任意の移動機構によって往復移動可能に支持されている。すなわち、例えばモーター114及びボールねじ112等の移動機構によって、ガイドレール106に沿って所定の速度で往復移動するように構成されている。
【0030】
ステージ110の上面には、露光対象物となる矩形平板状の基板材料200が、図8(A)で示すような位置決め部材26により、所定の位置に位置決めされた状態で載置される。また、このステージ110の上面には、図5で示すように、複数の孔部110Aが穿設されている。
【0031】
そして、図6で示すように、ステージ110の内部が負圧供給源(図示省略)によって負圧とされることにより、孔部110Aからエアーが吸引され、その吸引力によって基板材料200がステージ110の上面に吸着・保持されるようになっている。なお、ステージ110上には、孔部110Aの外方側に矩形枠状に溝部110Bが形成されており、この溝部110B内に形成された複数の小孔からもエアーが吸引されるようになっている。
【0032】
また、基板材料200の厚さが、例えば1mm未満であり、エアーの吸引力によって波打つようにステージ110上に吸着されて、その周縁部が浮き上がってしまう場合には、図5乃至図7で示すように、上面(非接触面)が黒色とされた固定治具10(後述)をステージ110上にセットして、基板材料200の周縁部における浮き上がりを防止し、基板材料200がステージ110の上面に確実に固定されるように補助する。なお、このとき、固定治具10は、孔部110A及び溝部(小孔)110Bによって、ステージ110上に吸着・保持される。
【0033】
また、基板材料200には、その被露光面上の描画領域における露光位置の基準を示すアライメントマーク(図示省略)が複数設けられている。このアライメントマークは、例えば円形の貫通孔によって構成され、基板材料200の周縁部を除く四隅近傍にそれぞれ1個ずつ計4個配設される。
【0034】
設置台102の中央部には、ステージ110の移動経路を跨ぐように略「コ」字状のゲート116が設けられている。ゲート116は、両端部がそれぞれ設置台102に固定されており、ゲート116を挟んで、一方の側には基板材料200を露光する露光ヘッド(露光部)120が設けられ、他方の側には基板材料200に設けられたアライメントマークを撮影する複数(例えば4台)のCCDカメラ(測定部)118が設けられている。
【0035】
したがって、基板材料200がステージ110の移動に伴ってCCDカメラ118の下方を通過する際に、そのCCDカメラ118によるアライメントマークの測定が行われる。すなわち、各CCDカメラ118は、基板材料200のアライメントマークが所定の撮影位置に至ったタイミングで、ストロボ光源を発光させ、基板材料200へ照射したストロボ光の基板材料200上面での反射光を、レンズを介してカメラ本体に入力させることにより、そのアライメントマークを撮影する。
【0036】
また、ステージ110を移動させるための移動機構(モーター114及びボールねじ112)、CCDカメラ118、露光ヘッド120等は、これらを制御するコントローラー130に接続されている。このコントローラー130により、ステージ110は所定の速度で移動するように制御され、CCDカメラ118は所定のタイミングで基板材料200のアライメントマークを撮影するように制御され、露光ヘッド120は所定のタイミングで基板材料200を露光するように制御される。
【0037】
露光ヘッド120は、m行n列(例えば2行4列)の略マトリックス状に配列されている。そして、図10(B)で示すように、露光ヘッド120による露光エリア122は、例えば搬送方向(走査方向)を短辺とする矩形状に構成されている。したがって、基板材料200には、その搬送方向への移動動作に伴って、露光ヘッド120毎に帯状の露光済み領域202が走査方向に形成される(図10(A)参照)。
【0038】
また、帯状の露光済み領域202が搬送方向(走査方向)と直交する幅方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッド120の各々は、配列方向に所定間隔(露光エリア122の長辺の自然数倍)ずらして配置されている。このため、例えば第1行目の露光エリア122間で露光できない部分は、第2行目の露光エリア122により露光することができる。
【0039】
各露光ヘッド120は、それぞれ入射されたレーザービームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子としてのデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)(図示省略)を備えている。このDMDは、データ処理部とミラー駆動制御部を備えた上記コントローラー130に接続されている。
【0040】
コントローラー130のデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド120毎にDMDの制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。また、ミラー駆動制御部では、データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド120毎にDMDにおける各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。
【0041】
各露光ヘッド120におけるDMDの光入射側には、マルチビームをレーザー光として出射する照明装置126から引き出されたバンドル状の光ファイバー124が接続されている。照明装置126は、その内部に複数の半導体レーザーチップから出射されたレーザー光を合波して光ファイバーに入力する合波モジュールが複数個設置されている。各合波モジュールから延びる光ファイバーは、合波したレーザー光を伝搬する合波光ファイバーであって、複数の光ファイバーが1つに束ねられてバンドル状の光ファイバー124として形成されている。
【0042】
[レーザー露光装置の作用]
次に、以上のような構成のレーザー露光装置100の作用について説明する。なお、レーザー露光装置100により画像露光を行う基板材料(ワーク)200としては、プリント配線基板や液晶表示素子等のパターンを形成(画像露光)する材料としての基板や、ガラスプレート等の表面に感光性エポキシ樹脂等のフォトレジストを塗布、又はドライフィルムの場合はラミネートしたものなどが挙げられる。
【0043】
まず、図2、図3で示す基板搬送装置30(後述)によって、基板材料200がステージ110の上面に位置決め載置されると、その基板材料200は、孔部110Aからのエアーの吸引によりステージ110の上面に吸着・保持される。
【0044】
このとき、基板材料200が、例えば1mm未満の薄い基板で、エアーの吸引力によりその周縁部が浮き上がってしまう場合には、後述する固定治具10をステージ110上にセットして、その固定治具10により基板材料200の周縁部を押さえる。このとき、固定治具10は孔部110A及び溝部(小孔)110Bからのエアーの吸引力により、ステージ110上に吸着・保持される。
【0045】
こうして、基板材料200(及び固定治具10)をステージ110の上面に吸着・保持(固定)したら、ステージ110が搬送方向へ移動し始め、基板材料200がCCDカメラ118によるアライメント検出工程及び露光ヘッド120による露光工程へと搬送される。すなわち、オペレーターがコントローラー130の指示入力手段から露光開始の入力操作を行うことにより、レーザー露光装置100の露光動作が開始される。
【0046】
まず、コントローラー130により移動機構(モーター114及びボールねじ112)が制御され、基板材料200(及び固定治具10)を上面に吸着・保持したステージ110が、ガイドレール106に沿って搬送方向に一定速度で移動を開始する。このステージ110の移動開始に同期して、又は基板材料200の先端が各CCDカメラ118の真下に達する少し手前のタイミングで、各CCDカメラ118はコントローラー130により制御されて作動を開始する。
【0047】
すなわち、例えば基板材料200の移動方向下流側(前端側)の角部近傍に設けられた2個のアライメントマークが、各CCDカメラ118におけるレンズの光軸上(CCDカメラ118の真下)に達すると、各CCDカメラ118は、所定のタイミングでストロボ光源を発光し、各アライメントマークを撮影する。そして、撮影された画像データ(基準位置データ)は、コントローラー130のデータ処理部へ出力される。
【0048】
データ処理部は、入力された各アライメントマークの画像データ(基準位置データ)から判明する画像内におけるアライメントマークの位置及びアライメントマーク間のピッチ等と、そのアライメントマークを撮影したときのステージ110の位置及びCCDカメラ118の位置から、演算処理によって、ステージ110上における基板材料200の位置ずれ、移動方向に対する傾き、寸法精度誤差等を把握し、基板材料200の被露光面に対する適正な露光位置を算出する。
【0049】
ここで、露光パターンに応じた画像データは、コントローラー130内のメモリーに一旦記憶されている。したがって、露光ヘッド120による画像露光時に、そのメモリーに記憶されている露光パターンの画像データに基づいて生成する制御信号を、上記した適正な露光位置に合わせ込んで画像露光する補正制御(アライメント)を実行する。なお、この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0050】
こうして、各CCDカメラ118によるアライメントマークの測定(撮影)が完了すると、ステージ110は移動機構(モーター114及びボールねじ112)の駆動により、ガイドレール106に沿って露光位置へ移動する。そして、基板材料200はステージ110の移動に伴い、露光ヘッド120の下方を搬送方向下流側へ移動し、被露光面の描画領域が露光開始位置に達すると、各露光ヘッド120はレーザービームを照射して基板材料200の被露光面(描画領域)に対する画像露光を開始する。
【0051】
すなわち、コントローラー130のメモリーに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド120毎に制御信号が生成される。この制御信号には、補正制御(アライメント)により、アライメント測定した基板材料200に対する露光位置ずれの補正が加えられている。そして、ミラー駆動制御部は、生成及び補正された制御信号に基づいて各露光ヘッド120毎にDMDのマイクロミラーの各々をオン・オフ制御する。
【0052】
照明装置126の光ファイバー124から出射されたレーザー光がDMDに照射されると、DMDのマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザー光が、レンズ系により基板材料200の被露光面上に結像される。つまり、照明装置126から出射されたレーザー光が画素毎にオン・オフされて、基板材料200がDMDの使用画素数と略同数の画素単位で露光される。なお、このとき、固定治具10が設けられていても、その上面は黒色とされているので、照射されたレーザー光の反射が防止される。
【0053】
そして、基板材料200がステージ110と共に一定速度で移動されることにより、基板材料200が露光ヘッド120によってステージ110の移動方向(搬送方向)と反対の方向、即ち走査方向に露光され、各露光ヘッド120毎に帯状の露光済み領域202が形成される(図10(A)参照)。露光ヘッド120による基板材料200への画像露光が完了すると、ステージ110は移動機構(モーター114及びボールねじ112)により、搬送方向と逆の方向(走査方向)へ移動し、基板材料200が載置された初期位置に復帰する。
【0054】
ステージ110が初期位置へ復帰移動すると、エアーの吸引による吸着(及び固定治具10による固定状態)が解除され、図2、図3で示す基板搬送装置30(後述)によってステージ110の上面から基板材料200が取り除かれる。そして、ステージ110の上面から取り除かれた基板材料200は、図示しない機外の搬送コンベアへ搬送され、次工程へ搬送される。
【0055】
[固定治具の構成]
次に、以上のようなレーザー露光装置100等の画像形成装置において使用される固定治具10について詳細に説明する。この固定治具10は、図4(A)で示すように、中央に開口部12が穿設された額縁状に形成され、基板材料200の周縁部を除く描画領域が、その開口部12から露出可能になっている。
【0056】
固定治具10の開口部12を除く部位は基板材料200の周縁部(所望とする描画領域外)を押さえる押さえ部14とされており、この押さえ部14は、材質の異なる部材が複数積層されて構成されている。すなわち、図4(B)で示すように、この押さえ部14は、基板材料200との非接触面側(上面側)から順に、剛性部材16、弾性部材18、易剥離部材20が貼着されて構成されている。
【0057】
剛性部材16の一例としてはアルミニウム等の金属が挙げられる。また、弾性部材18の一例としては硬度の比較的低いゴム等が挙げられる。更に、易剥離部材20の一例としてはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックが挙げられる。なお、この易剥離部材20は、剛性部材16及び弾性部材18に比べて厚さが非常に薄いので、図4(B)以外では、図示を省略している。
【0058】
また、図8(A)で示したように、位置決め部材26は、ステージ110の中心に向く側が左右対称の階段状に切り欠かれており、それぞれ基板材料200のサイズ変動に対応できるようになっている。すなわち、この切欠部28は、最も内方側の切欠部28Aで最も小さい基板材料200を位置決めできるようになっており、それよりも外方側の切欠部28B、28Cで、それよりも順に大きい基板材料200をそれぞれ位置決めできるようになっている。
【0059】
なお、固定治具10の外形サイズは、ステージ110に形成された溝部(小孔)110Bで吸着できるサイズとされている。換言すれば、ステージ110上に載置される最大基板材料200の外形サイズと同一とされている。したがって、固定治具10をステージ110上に位置決め載置する際には、位置決め部材26をステージ110の搬送方向端部側の所定位置へ移動させ、切欠部28Cに固定治具10の搬送方向側の短辺を突き当てて(合致させて)位置決めすればよく、これによって、その固定治具10をステージ110上に容易に位置決め載置(セット)することができる。
【0060】
また、図示しないが、固定治具10は、基板材料200のサイズ変動に対応して、開口部12の大きさが異なるものが使用される。つまり、開口部12の大きさが異なる固定治具10が複数用意されて、基板材料200のサイズ変動に対応できるようになっている。したがって、固定治具10を使用して露光処理をする場合には、ステージ110上に載置可能な最大サイズの基板材料200よりも小さいサイズの基板材料200のみが対象となる。
【0061】
また、上記したように、押さえ部14(剛性部材16)の上面(非接触面)は黒色とされることが好ましい。このような構成にすると、開口部12から露出している基板材料200の被露光面(描画領域)に対して、露光ヘッド120から照射されるレーザー光の反射を防止することができる。また、基板材料200の周縁部に接触しない上面側(非接触面側)が、剛性部材16とされていると、固定治具10のハンドリング性(取扱性)が良好となる。つまり、ステージ110上へ固定治具10を位置決め載置(セット)する作業が容易にできる。
【0062】
何れにしても、基板材料200及び固定治具10をステージ110上に位置決め載置したら、又は位置決め載置しつつ、図6で示すように、ステージ110の内部が負圧とされて多数の孔部110A及び溝部(小孔)110Bからエアーが吸引されることにより、基板材料200及び固定治具10がステージ110上に吸着・保持される。
【0063】
そして、これにより、基板材料200の周縁部を押さえる押さえ部14の弾性部材18が、図6、図7で示すように撓み変形して、その周縁部を好適に密閉する(密閉度が向上される)。したがって、基板材料200が、例えば1mm未満の薄い基板で、エアーの吸引力により、その周縁部が浮き上がってしまうような場合でも、その周縁部(描画領域外)を固定治具10により確実に押さえる(固定する)ことができる。よって、基板材料200に正確に画像を形成することができる。
【0064】
なお、固定治具10を位置決めした後、位置決め部材26はステージ110上から取り除かれる。また、このように基板材料200を位置決めする位置決め部材26によって固定治具10を位置決め載置することができるので、別途固定治具10を位置決めするための位置決め部材が必要とされない。したがって、コスト的にも好ましいものとなっている(コストの増加が防止されている)。
【0065】
更に、基板材料200に対する画像形成後、固定治具10をステージ110上から取り外すときには、易剥離部材20によって、基板材料200から容易に剥離することができる。したがって、基板材料200が固定治具10にくっついて一緒に外されてしまうような不具合も発生しない。
【0066】
[基板搬送装置の構成]
次に、以上のような固定治具10を備えたレーザー露光装置100へ基板材料200を搬入し、かつレーザー露光装置100から露光済みの基板材料200を搬出する基板搬送装置30について説明する。
【0067】
図2、図3で示すように、レーザー露光装置100のステージ110が移動する搬送方向と直交する左右両側で、かつステージ110の移動方向(搬送方向)始端側(ロード・アンロード位置)には、それぞれローダー(搬入部)32とアンローダー(搬出部)34が、そのステージ110に隣接して配置されている。今、図2、図3において、基板材料200が右(矢印Rで示す)から搬入され、左(矢印Lで示す)から搬出されると仮定すると、右側がローダー32となり、左側がアンローダー34となる。
【0068】
ローダー32には、一対のローラー36に巻回された無端ベルト38が配設されており、機外から搬送されて来た基板材料200をその無端ベルト38上に受け止めるようになっている。なお、無端ベルト38上に搬入された基板材料200は、その無端ベルト38上で、図示しない位置決め手段により位置決めされる構成である。
【0069】
また、アンローダー34にも、一対のローラー37に巻回された無端ベルト39が配設されており、その無端ベルト39上に載置された露光済みの基板材料200をアンローダー34から機外の搬送コンベア(図示省略)へ搬送するようになっている。なお、ローダー32及びアンローダー34は、図示のものに限定されるものではなく、例えば無端ベルト38、39の代わりに、複数のローラーを並設して構成してもよい。
【0070】
ローダー32、ステージ110、アンローダー34の上方には、ステージ110の移動方向(搬送方向)と直交する方向(幅方向)に、一対のガイドレール46がフレーム44を介して架設されており、そのガイドレール46に、第1走行体40と第2走行体42が、それぞれ移動可能に支持されている。
【0071】
また、ガイドレール46の隣には、ボールねじ48が、そのガイドレール46と平行に架設されている。すなわち、ボールねじ48の一端には、そのボールねじ48を正逆方向に回転駆動する駆動モーター47が取り付けられており、その駆動モーター47がフレーム44に支持されている。そして、ボールねじ48の他端が、ベアリング等の軸受け(図示省略)を備えた支持ステー49に支持されている。
【0072】
また、第1走行体40の搬送方向側には、ねじ孔(図示省略)を有するガイド部材41が延設されており、このガイド部材41のねじ孔(図示省略)にボールねじ48が螺合している。したがって、第1走行体40は、駆動モーター47によってボールねじ48が正逆方向に回転することにより、ガイド部材41を介してガイドレール46に沿って幅方向に往復移動可能となる構成である。
【0073】
なお、ボールねじ48は、ステージ110上まで延設されていれば充分である。すなわち、第2走行体42は、後述する連結手段60によって第1走行体40と連結することにより一体で移動するため、第1走行体40を移動させる距離だけ、ボールねじ48が延伸されていれば足りる。また、第1走行体40及び第2走行体42を移動させる手段は、このような構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0074】
第1走行体40には、第1吸着ユニット50が昇降自在に取り付けられており、第2走行体42には、第2吸着ユニット52が昇降自在に取り付けられている。各吸着ユニット50、52は、それぞれの取付板51、53に複数の吸着装置54、56が同一高さになるように垂設されて構成されており、各吸着装置54、56の上部には、エアー吸引用のチューブ55、57(図11参照)が接続されている。
【0075】
各吸着装置54、56の先端(下端)に設けられた合成樹脂製の吸盤84、86(図9参照)は、側面視で同一高さになっており、底面視でその中央には、チューブ55、57と連通する開口(図示省略)が穿設されている。したがって、チューブ55、57を介して吸盤84、86の先端からエアーが吸引されることにより、基板材料200及び固定治具10の吸着が可能となる構成である。
【0076】
また、取付板51、53は、図示しないLMガイドと駆動モーターからなる昇降機構58、59によって昇降移動可能となっている。したがって、基板材料200の厚さの変化にも、柔軟に対応可能である。なお、この昇降機構58、59は独立して駆動できるように構成されている。
【0077】
また、図2、図3、図11、図12で示すように、第1走行体40と第2走行体42は、連結手段60によって着脱自在に連結されるようになっている。すなわち、第1走行体40の上面には、被連結部材62が第2走行体42側に張り出すように設けられ、第2走行体42の上面には、連結部材64が第1走行体40側に張り出すように設けられている。
【0078】
連結部材64の先端には、上方へ回動可能に枢支される回動部66が設けられ、連結部材64の下面には、回動部66の下方への回動を阻止する支持プレート(図示省略)が第2走行体42から延設されている。回動部66の上面には、正面視略「コ」字状をなす把手70が突設されており、回動部66の先端には平面視略T字状をなす係合部72が延設されている。この係合部72が、被連結部材62の先端に形成された平面視略T字状をなす溝部74(図12参照)に嵌合するようになっている。
【0079】
また、被連結部材62の下面には、溝部74内に嵌入した係合部72が下方に脱落するのを防止する支持プレート(図示省略)が第1走行体40から延設されている。そして、この支持プレートには、図示しないセンサーが設けられており、係合部72が溝部74に嵌合したこと、及び係合部72が溝部74から外れたことを検出できるようになっている。
【0080】
また、被連結部材62の上面には、略円柱状の操作部68に固定されて、水平方向に回動可能とされた略楕円形板状のストッパー76が設けられている。このストッパー76は、操作部68を回動させることにより、他端が溝部74に嵌合された係合部72の上面へ張り出すように構成されており、不用意に係合部72が上方に回動して溝部74から外れるのを防止するようになっている。なお、このストッパー76に対しても図示しないセンサーが配設されており、ストッパー76の回動位置が判別されるようになっている。
【0081】
[吸着装置の構成]
次に、第1吸着ユニット50及び第2吸着ユニット52に設けられている吸着装置54、56について説明する。なお、説明の便宜上、吸着装置54について説明するが、吸着装置56についても同様である。図8(B)で示すように、吸着装置54は、取付板51に複数個取り付けられている。
【0082】
具体的には、吸着装置54は、固定治具10を吸着できるように、取付板51の縁端部側に8個、対向する辺においては等間隔になるように取り付けられ、かつ、固定治具10の開口部12を通って(固定治具10の開口部12から露出している)基板材料200を吸着できるように、取付板51の中心部側に4個、略等間隔になるように取り付けられている。
【0083】
なお、以下において、これら吸着装置54を区別して説明する際には、取付板51の縁端部側に取り付けられている吸着装置54を「第1吸着装置54A」とし、取付板51の中心部側に取り付けられている吸着装置54を「第2吸着装置54B」とする。したがって、取付板53の縁端部側に取り付けられている吸着装置56は「第1吸着装置56A」となり、取付板53の中心部側に取り付けられている吸着装置56は「第2吸着装置56B」となる。
【0084】
図9で示すように、吸着装置54は、エアー吸引用の貫通孔(図示省略)が穿設されているパイプ80を有し、そのパイプ80の下端近傍の外周面にはフランジ82が一体的に突設されている。そして、そのフランジ82よりも下側のパイプ下端には、合成樹脂製の吸盤84が取り付けられており、その吸盤84の中央には、パイプ80の貫通孔と連通する開口(図示省略)が穿設されている。
【0085】
パイプ80の上端には、チューブ55を接続するための連結部材88が設けられており、連結部材88の内部には、パイプ80の貫通孔と連通する導通孔(図示省略)が形成されている。また、チューブ55の端部には、内部に導通孔が形成された接続部材78が取り付けられており、この接続部材78が連結部材88と連通接続されるようになっている。これにより、吸盤84に形成された開口からのエアーの吸引が可能となる構成である。
【0086】
また、パイプ80にはストッパー部材90が挿嵌されている(ストッパー部材90にパイプ80が挿通されている)。このストッパー部材90は、パイプ80の外径と略等しい内径を有する筒部92と、筒部92の上端に一体的に形成され、筒部92の外径よりも大径とされた円板状の回動操作部93と、筒部92の下端に固着され、取付板51の取付孔(図示省略)に挿通係止される矩形板状の係止プレート96とで構成されている。
【0087】
更に、このストッパー部材90の筒部92には押さえ部材94が挿嵌されている(押さえ部材94に筒部92が挿通されている)。この押さえ部材94は、取付板51の取付孔に挿通不能となるような大きさの円板状に形成されており、その中心に穿設された貫通孔(図示省略)の直径(内径)は、筒部92の外径と略同一とされている。
【0088】
そして更に、回動操作部93と押さえ部材94との間の筒部92には、押さえ部材94を常時係止プレート96側へ付勢する第1コイルばね95が挿嵌されており、係止プレート96とフランジ82との間のパイプ80には、ストッパー部材90(係止プレート96)を常時連結部材88側(上方)へ付勢する第2コイルばね98が挿嵌されている。
【0089】
以上のような構成の吸着装置54によれば、第2コイルばね98により、吸盤84の高さ方向の移動を許容できる。つまり、この吸着装置54は、高さ方向の緩衝機構を備えている。したがって、縁端部側に配設された第1吸着装置54Aの吸盤84が固定治具10を吸着していても、中心部側に配設された第2吸着装置54Bの吸盤84により基板材料200を吸着する際には、第1吸着装置54Aの吸盤84が第2コイルばね98の付勢力に抗して上方に移動し(固定治具10の厚さ分の高さ位置の違いを吸収し)、第2吸着装置54Bの吸盤84による基板材料200の吸着を許容する構成である。
【0090】
[固定治具、基板搬送装置及び吸着装置の作用]
次に、以上のような構成の固定治具10、基板搬送装置30及び吸着装置54、56の一連の作用について説明する。まず、最初に、第1走行体40と第2走行体42との連結を解除する。すなわち、被連結部材62側において、操作部68を回してストッパー76を係合部72の上面から退避させ、連結部材64側の把手70を把持して回動部66を上方に回動し、係合部72を溝部74内から取り外す。この状態は、センサーの検出結果がコントローラー130の表示部128に表示されることによって確認できる。
【0091】
こうして、連結部材64と被連結部材62との連結が解除されたら、第1吸着ユニット50(第1走行体40)をローダー32側へ、第2吸着ユニット52(第2走行体42)をアンローダー34側へ移動させる。つまり、第1吸着ユニット50(第1走行体40)は、駆動モーター47によってボールねじ48を回転させることにより移動させ、第2吸着ユニット52(第2走行体42)は、手動により移動させる。
【0092】
第2走行体42は、第1走行体40との連結が解除されると、ガイドレール46に沿ってフリーに移動できるため、人手で簡単に移動させることができる。この状態を図11、図12で示す。なお、第1吸着ユニット50(第1走行体40)が既にローダー32の上方に位置している場合には、第2吸着ユニット52(第2走行体42)のみを移動させることは言うまでもない。
【0093】
こうして、第1吸着ユニット50及び第2吸着ユニット52を移動させたら、手動により、固定治具10をステージ110上に位置決め載置する。すなわち、図8(A)で示すように、基板材料200用の位置決め部材26に形成された切欠部28(最大サイズ用の切欠部28C)を利用して固定治具10をステージ110上へ位置決め載置する。このとき、ステージ110の上方には、第1吸着ユニット50及び第2吸着ユニット52が存在しておらず、固定治具10の上面側(非接触面側)は剛性部材16とされているので、固定治具10をセットする作業が人手で容易にできる。
【0094】
ステージ110上に固定治具10をセットしたら、第1走行体40と第2走行体42とを連結する。すなわち、把手70を把持して回動部66を下方へ向けて回動し、係合部72を溝部74内に嵌入させる。そして、操作部68を回してストッパー76を係合部72の上面に介在させる。なお、連結手段60が確実に連結されたか否かも、各センサーの検出結果がコントローラー130の表示部128に表示されることによって把握できるので、連結不良が生じた状態での誤操作を回避することができる。
【0095】
こうして、第1走行体40と第2走行体が連結されたら、コントローラー130によって第1走行体40の移動及び各吸着ユニット50、52の吸着動作を制御する。ここで、固定治具10をステージ110上に載置又はステージ110上から除去する場合、第1吸着ユニット50により吸着・搬送する場合と、第2吸着ユニット52により吸着・搬送する場合の2通り考えられる。そこで、まず最初に、第2吸着ユニット52によって固定治具10を吸着・搬送する場合について、図13乃至図16を基に説明する。
【0096】
ローダー32の無端ベルト38上に最初の基板材料200が搬入され、図示しない位置決め手段によって位置決めされたら、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、その取付板51に設けられている中心部側の第2吸着装置54Bの吸盤84が、先端開口からエアーが吸引されることにより基板材料200を吸着する。そして、それと同時に、第2吸着ユニット52の取付板53が昇降機構59によって下降し、その取付板53に設けられている縁端部側の第1吸着装置56Aの吸盤86が、先端開口からエアーが吸引されることにより固定治具10の上面を吸着する。
【0097】
第2吸着装置54Bが基板材料200を吸着・保持したら、取付板51が昇降機構58によって上昇し、かつ、第1吸着装置56Aが固定治具10を吸着・保持したら、取付板53が昇降機構59によって上昇する。この状態を図13(A)で示す。そして、その後、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、第1走行体40がガイドレール46に沿ってステージ110側(アンローダー34側)へ移動する。このとき、第2走行体42は第1走行体40と連結手段60によって連結されているので、第2走行体42も第1走行体40と一体になってアンローダー34側へ移動する。
【0098】
第1吸着ユニット50がステージ110の上方に移動して停止すると(ボールねじ48の回転が停止すると)、その取付板51が昇降機構58によって下降し、ステージ110上に基板材料200を載置する。そして、第2吸着装置54Bの吸盤84において、エアーの吸引を停止し、基板材料200に対する吸着を解除する。この状態を図13(B)で示す。
【0099】
こうして、ステージ110上に基板材料200が載置されたら、第1吸着ユニット50の取付板51は所定の高さまで昇降機構58によって上昇し、その後、第1走行体40がローダー32側へ(初期位置へ)復帰移動する。このとき、第2吸着ユニット52は、固定治具10を吸着したまま、ガイドレール46に沿ってステージ110の上方へ移動する。
【0100】
第2吸着ユニット52がステージ110の上方へ移動して停止すると(ボールねじ48の回転が停止すると)、その取付板53が昇降機構59によって下降し、ステージ110上に載置されている基板材料200の上方から固定治具10を載置する。そして、第1吸着装置56Aの吸盤86において、エアーの吸引を停止し、固定治具10に対する吸着を解除する。この状態を図14(A)で示す。
【0101】
また、このとき、ステージ110上に形成された孔部110A及び溝部(小孔)110Bからエアーが吸引されることにより、基板材料200及び固定治具10がステージ110上に吸着・保持される。そして、これにより、基板材料200の周縁部が固定治具10の押さえ部14により密閉される(図6、図7参照)。なお、固定治具10を解放した取付板51は昇降機構58により所定の高さまで上昇する。
【0102】
また、ステージ110上に載置された基板材料200の周縁部を固定治具10によって密閉したら、そのステージ110は搬送方向へ移動し、CCDカメラ118によるアライメント処理及び露光ヘッド120による露光処理が実行される。すなわち、上記したように、基板材料200のアライメントマークがCCDカメラ118によって検出され、画像情報に基づく画像が露光ヘッド120によって露光され、プリント配線基板の配線パターン等の潜像(画像)が基板材料200の描画領域に形成される。
【0103】
基板材料200に対する露光処理が完了すると、ステージ110は基板材料200が載置された初期位置(ロード・アンロード位置)へ復帰移動する。また、このとき既に、ローダー32の無端ベルト38上には、次の基板材料200が載置されている。この状態を図14(B)で示す。ステージ110が初期位置(ロード・アンロード位置)へ復帰移動すると、ステージ110上の固定治具10及び基板材料200が、それぞれ第2吸着ユニット52の第1吸着装置56A及び第2吸着装置56Bによって吸着される。
【0104】
すなわち、第2吸着ユニット52の取付板53が昇降機構59によって下降し、それに設けられている縁端部側の第1吸着装置56Aの吸盤86が、先端開口からエアーが吸引されることにより、ステージ110上の固定治具10を吸着し、続いて中心部側の第2吸着装置56Bの吸盤86が、先端開口からエアーが吸引されることにより、ステージ110上の露光済みの基板材料200を吸着する。
【0105】
このとき、第1吸着装置56Aの吸盤86は、第2コイルばね98によって高さ方向へ移動するので、開口部12から露出している基板材料200を第2吸着装置56Bによって確実に吸着することができる。こうして、第1吸着装置56Aによって固定治具10を吸着し、第2吸着装置56Bによって基板材料200を吸着したら、取付板53は、昇降機構59により、所定高さまで上昇する。
【0106】
なお、昇降機構59の上昇に伴い、ステージ110の孔部110A及び溝部(小孔)110Bから上方に向かってエアーを吹き出させ、固定治具10をステージ110上から除去しやすくするような構成としてもよい。また、これと同時に、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、それに設けられている中心部側の第2吸着装置54Bの吸盤84が、先端開口からエアーが吸引されることにより、ローダー32上の新しい未露光の基板材料200を吸着して、所定高さ上昇している。この状態を図15(A)で示す。
【0107】
第2吸着ユニット52が露光済みの基板材料200及び固定治具10を吸着・保持し、第1吸着ユニット50が新しい未露光の基板材料200を吸着・保持すると、第1走行体40が、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、ステージ110側(アンローダー34側)へ移動する。このとき、第2走行体42は第1走行体40と連結手段60によって連結されているので、第2走行体42も第1走行体40と一体になってアンローダー34側へ移動する。
【0108】
第1走行体40がステージ110の上方に移動して停止すると(ボールねじ48の回転が停止すると)、上記したように、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、基板材料200をステージ110上に載置する。そして、第2吸着装置54Bの吸盤84において、エアーの吸引を停止して、基板材料200に対する吸着を解除し、再度所定高さ上昇する。
【0109】
一方、第2走行体42、即ち第2吸着ユニット52がアンローダー34の上方に移動すると、昇降機構59によって取付板53が下降し、基板材料200を無端ベルト39上に載置する。つまり、中心部側の第2吸着装置56Bの吸盤86においてのみ、エアーの吸引を停止して、基板材料200に対する吸着を解除する。
【0110】
そして、基板材料200を解放した第2吸着ユニット52の取付板53は、固定治具10を吸着・保持したまま所定高さ上昇する。この状態を図15(B)で示す。なお、アンローダー34の無端ベルト39上に載置された基板材料200は、図示しない機外の搬送コンベアへ搬送され、次工程へ搬送される。
【0111】
一方、固定治具10を吸着・保持した状態の第2吸着ユニット52は、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、再度ステージ110の上方へ移動する。この状態を図16(A)で示す。その後、その取付板53が昇降機構59によって下降し、ステージ110上に載置されている基板材料200の上方から固定治具10を載置する。そして、第1吸着装置56Aの吸盤86において、エアーの吸引を停止し、固定治具10に対する吸着を解除する。この状態を図16(B)で示す。
【0112】
なお、このとき、ステージ110上に形成された孔部110A及び溝部(小孔)110Bからエアーが吸引されることにより、基板材料200及び固定治具10がステージ110上に吸着・保持される。これにより、基板材料200の周縁部が固定治具10の押さえ部14により密閉される(図6、図7参照)。こうして、固定治具10がステージ110上にセットされたら、ステージ110が搬送方向に移動することにより、上記と同様にアライメント処理及び露光処理が実行され、以降、上記と同様な作業を繰り返すことにより、基板材料200が順次処理される。
【0113】
次に、第1吸着ユニット50によって固定治具10を吸着・搬送する場合について図17乃至図20を基に説明する。まず、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、第1走行体40がステージ110側(アンローダー34側)へ移動し、第1吸着ユニット50がステージ110の上方へ移動する。
【0114】
そして、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、その取付板51に設けられている縁端部側の第1吸着装置54Aの吸盤84が、先端開口からエアーが吸引されることにより固定治具10を吸着し、再度所定高さまで上昇する。この状態を図17(A)で示す。
【0115】
その後、第1走行体40がローダー32側へ移動し、固定治具10をローダー32の上方に配置するが、このとき既に、ローダー32の無端ベルト38上には、最初の基板材料200が搬入され、図示しない位置決め手段によって位置決めされている。したがって、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、その取付板51に設けられている中心部側の第2吸着装置54Bの吸盤84が、先端開口からエアーが吸引されることにより基板材料200を吸着する。この状態を図17(B)で示す。
【0116】
なお、このとき、第1吸着装置54Aの吸盤84は、第2コイルばね98によって高さ方向へ移動するので、開口部12から露出している基板材料200を第2吸着装置54Bによって確実に吸着することができる。こうして、第1吸着ユニット50によって固定治具10及び基板材料200を吸着・保持したら、取付板51が昇降機構58によって所定高さまで上昇する。
【0117】
そして、その後、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、第1走行体40がガイドレール46に沿ってステージ110側(アンローダー34側)へ移動する。このとき、第2走行体42は第1走行体40と連結手段60によって連結されているので、第2走行体42も第1走行体40と一体になってアンローダー34側へ移動する。この状態を図18(A)で示す。
【0118】
第1吸着ユニット50がステージ110の上方に移動して停止すると(ボールねじ48の回転が停止すると)、その取付板51が昇降機構58によって下降し、ステージ110上に基板材料200を載置するとともに、固定治具10を載置する。この状態を図18(B)で示す。そして、第2吸着装置54B及び第1吸着装置54Aの吸盤84において、エアーの吸引を停止し、基板材料200及び固定治具10に対する吸着を解除する。
【0119】
また、このとき、ステージ110上に形成された孔部110A及び溝部(小孔)110Bからエアーが吸引されることにより、基板材料200及び固定治具10がステージ110上に吸着・保持される。そして、これにより、基板材料200の周縁部が固定治具10の押さえ部14により密閉される(図6、図7参照)。なお、基板材料200及び固定治具10を解放した取付板51は所定の高さまで昇降機構58によって上昇する。
【0120】
ステージ110上に載置された基板材料200の周縁部が固定治具10によって密閉されたら、そのステージ110は搬送方向へ移動し、CCDカメラ118によるアライメント処理及び露光ヘッド120による露光処理が実行される。すなわち、上記したように、基板材料200のアライメントマークがCCDカメラ118によって検出され、画像情報に基づく画像が露光ヘッド120によって露光され、プリント配線基板の配線パターン等の潜像(画像)が基板材料200の描画領域に形成される。
【0121】
基板材料200に対する露光処理が完了すると、ステージ110は基板材料200が載置された初期位置(ロード・アンロード位置)へ復帰移動する。すると、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、ステージ110上の固定治具10のみを、その縁端部側の第1吸着装置54Aによって吸着し、再度所定の高さまで上昇する。
【0122】
なお、昇降機構58の上昇に伴い、ステージ110の孔部110A及び溝部(小孔)110Bから上方に向かってエアーを吹き出させ、固定治具10をステージ110上から除去しやすくするような構成としてもよい。また、このとき既に、ローダー32の無端ベルト38上には、次の新しい未露光の基板材料200が載置されている。この状態を図19(A)で示す。
【0123】
こうして、固定治具10のみを第1吸着ユニット50が吸着・保持したら、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、第1走行体40がローダー32側へ移動する。そして、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、それに設けられている中心部側の第2吸着装置54Bの吸盤84が、先端開口からエアーが吸引されることにより、ローダー32上の新しい未露光の基板材料200を吸着する。
【0124】
なお、このときも、第1吸着装置54Aの吸盤84は、第2コイルばね98によって高さ方向へ移動するので、開口部12から露出している基板材料200を第2吸着装置54Bによって確実に吸着することができる。
【0125】
また、これと同時に、第2吸着ユニット52の取付板53が昇降機構59によって下降し、それに設けられている中心部側の第2吸着装置56Bの吸盤86が、先端開口からエアーが吸引されることにより、ステージ110上の露光済みの基板材料200を吸着する。この状態を図19(B)で示す。その後、第1吸着ユニット50の取付板51及び第2吸着ユニット52の取付板53は、それぞれ昇降機構58、59によって所定の高さまで上昇する。
【0126】
第2吸着ユニット52が露光済みの基板材料200を吸着・保持し、既に固定治具10を吸着・保持している第1吸着ユニット50が新しい未露光の基板材料200を吸着・保持すると、第1走行体40が、駆動モーター47によってボールねじ48が回転することにより、ステージ110側(アンローダー34側)へ移動する。このとき、第2走行体42は第1走行体40と連結手段60によって連結されているので、第2走行体42も第1走行体40と一体になってアンローダー34側へ移動する。この状態を図20(A)で示す。
【0127】
第1走行体40がステージ110の上方に移動して停止すると(ボールねじ48の回転が停止すると)、第1吸着ユニット50の取付板51が昇降機構58によって下降し、基板材料200をステージ110上に載置するとともに、固定治具10をステージ110上に載置する。そして、第2吸着装置54B及び第1吸着装置54Aの吸盤84において、エアーの吸引を停止して、基板材料200に対する吸着を解除する。
【0128】
一方、第2吸着ユニット52がアンローダー34の上方に移動すると、昇降機構59によって取付板53が下降し、基板材料200を無端ベルト39上に載置する。そして、中心部側の第2吸着装置56Bの吸盤86において、エアーの吸引を停止して、基板材料200に対する吸着を解除し、その後、取付板53が所定高さまで上昇する。この状態を図20(B)で示す。なお、アンローダー34の無端ベルト39上に載置された基板材料200は、図示しない機外の搬送コンベアへ搬送され、次工程へ搬送される。
【0129】
他方、基板材料200及び固定治具10がセットされたステージ110は搬送方向に移動し、上記と同様にアライメント処理及び露光処理が実行される。以降、このような動作を繰り返し行うことにより、基板材料200が順次処理される。
【0130】
なお、第1吸着ユニット50で固定治具10を吸着・搬送する場合でも、第2吸着ユニット52で固定治具10を吸着・搬送する場合でも、全ての基板材料200の処理が終了した後は、上記と同様に、第1走行体40と第2走行体42との連結を解除して、ステージ110上から人手により固定治具10を取り出せばよい。
【0131】
[固定治具の変形例]
次に、固定治具10の変形例について説明する。図21で示すように、この固定治具10の各縁端部には、ステージ110上で最も外側に穿設されている孔部110Aが略1列分だけ露出するような切欠部22(検出手段)が形成されている。このような構成にすると、固定治具10の位置が許容範囲以上ずれてしまった場合には、最も外側の孔部110A及び溝部(小孔)110Bからのエアーの吸引力(負圧力)が変化して、基板材料200に対する吸着不良が発生するので、それによって、固定治具10の位置ずれが容易に認識(検出)できる。
【0132】
更に、固定治具10において、各吸着ユニット50、52の縁端部(コーナー部)側の第1吸着装置54A、56Aが吸着する部位に、吸盤84、86よりも若干大径な円形の溝部24(検出手段)を形成してもよい。このような溝部24を形成すれば、固定治具10に対する吸盤84、86の吸着位置がずれた場合には、その溝部24により吸盤84、86の吸着力(エアーの吸引力)が不充分となって、基板材料200に対する吸着不良が発生するので、それによって、固定治具10に対する吸盤84、86の位置ずれが容易に認識(検出)できる。したがって、固定治具10がずれたまま搬送されることによって起きるトラブルを防止することができる。
【0133】
その他、コントローラー130には、固定治具10を使用する場合と使用しない場合とに切り替えられる切替手段としてのモード切替スイッチ132が備えられている。したがって、このレーザー露光装置100は、厚さが異なる基板材料200に対して柔軟に対応することができる。つまり、このレーザー露光装置100は、固定治具10を使用しない基板材料200の場合には、その処理タクトを変化させることなく(最も短いタクトタイムで)、露光処理が実行できる。
【0134】
また更に、このレーザー露光装置100では、未露光の基板材料200を自動的に吸着してローダー32からステージ110上へ搬送する第1吸着ユニット50と、露光済みの基板材料200を自動的に吸着してステージ110上からアンローダー34へ搬送する第2吸着ユニット52を一体的に移動可能としているので、両方の作業を同時に行うことができる。したがって、ステージ110に対する基板材料200及び固定治具10の搬入・搬出のタクトタイムを最短にできる。
【0135】
また、第1吸着ユニット50を釣支する第1走行体40と、第2吸着ユニット52を釣支する第2走行体42との連結を必要に応じて解除し、両者を別々に移動可能としたので、ステージ110上への人手による固定治具10の搬入・搬出時に、第1吸着ユニット50及び第2吸着ユニット52を邪魔にならない位置へ移動させることができる。よって、その固定治具10の搬入・搬出作業を容易に行うことができる。なお、連結手段60の構成は図示のものに限定されるものではなく、任意の構成を採用できる。
【0136】
また、第1走行体40は、基板材料200をステージ110上に載置する第1吸着ユニット50を支持し、第2走行体42は、基板材料200をステージ110上から取り除く第2吸着ユニット52を支持するので、第1走行体40にのみ、ボールねじ48や駆動モーター47等で構成された駆動手段が作用している。
【0137】
つまり、ローダー32からステージ110上へ基板材料200を載置する作業には、位置精度が必要であるが、ステージ110からアンローダー34へ基板材料200を載置する作業には、それほど高い位置精度が必要とされない場合がある。換言すれば、第2走行体42は、連結部材64(回動部66)と被連結部材62との間に多少のがたつきがあっても、ステージ110からアンローダー34まで移動可能とされていればよい。
【0138】
したがって、第1走行体40にのみ、ボールねじ48が螺合するガイド部材41が設けられており、これによって、第1吸着ユニット50を精度よく移動させることができる。すなわち、基板材料200を一定の誤差範囲内で、その面中心がステージ110の面中心と一致するように載置することができる。また、このような構成により、ボールねじ48の配設距離が短くて済む利点もある。
【0139】
以上、何れにしても、本発明によれば、ステージ110上にエアーの吸引力によって吸着した際に、周縁部が浮き上がってしまうような厚さの薄い(例えば1mm未満の)基板材料200であっても、固定治具10により、その周縁部を確実に押さえる(固定する)ことができる。したがって、CCDカメラ118によるアライメント処理を好適に実行することができ、露光ヘッド120による露光処理も好適に実行することができる。つまり、このような基板材料200に対して、正確に画像を形成することができる。
【0140】
また、本発明によれば、その固定治具10を、第1吸着ユニット50又は第2吸着ユニット52により、効率よくステージ110上に載置(供給)することができるとともに、ステージ110上から除去することができる。なお、本発明に係る基板搬送装置30及びレーザー露光装置100は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】レーザー露光装置の概略斜視図
【図2】基板搬送装置とレーザー露光装置を示す概略斜視図
【図3】基板搬送装置とレーザー露光装置を示す概略平面図
【図4】(A)固定治具の概略斜視図、(B)(A)のX−X線矢視概略断面図
【図5】ステージと基板材料と固定治具を示す概略斜視図
【図6】ステージに吸着された基板材料と固定治具を示す概略断面図
【図7】ステージに吸着された基板材料と固定治具を示す一部拡大概略斜視図
【図8】(A)ステージ上に位置決めされた固定治具を示す概略平面図、(B)吸着ユニットに取り付けられた吸着装置の配置状態を示す概略平面図
【図9】吸着ユニットに取り付けられた吸着装置の概略側面図
【図10】(A)露光ヘッドによる露光領域を示す概略平面図、(B)露光ヘッドの配列パターンを示す概略平面図
【図11】吸着ユニットをステージの上方から排除した状態を示す概略側面図
【図12】吸着ユニットをステージの上方から排除した状態を示す概略平面図
【図13】第2吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図14】第2吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図15】第2吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図16】第2吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図17】第1吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図18】第1吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図19】第1吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図20】第1吸着ユニットによって固定治具を吸着・搬送する工程を示す概略側面図
【図21】固定治具の変形例を示す概略平面図
【符号の説明】
【0142】
10 固定治具
12 開口部
14 押さえ部
16 剛性部材
18 弾性部材
20 易剥離部材
22 切欠部(検出手段)
24 溝部(検出手段)
26 位置決め部材
28 切欠部
30 基板搬送装置(ワーク搬送装置)
32 ローダー(搬入部)
34 アンローダー(搬出部)
40 第1走行体
42 第2走行体
50 第1吸着ユニット
52 第2吸着ユニット
54 吸着装置
54A 第1吸着装置
54B 第2吸着装置
56 吸着装置
56A 第1吸着装置
56B 第2吸着装置
84 吸盤
86 吸盤
95 第1コイルばね
98 第2コイルばね(緩衝機構)
100 レーザー露光装置(画像形成装置)
110 ステージ
112 ボールねじ(移動機構)
114 モーター(移動機構)
118 CCDカメラ(測定部)
120 露光ヘッド(露光部)
130 コントローラー
132 モード切替スイッチ(切替手段)
200 基板材料(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入部に載置されたワークを複数の吸着装置で吸着し、ステージへ搬送する第1吸着ユニットと、
前記ステージ上のワークを複数の吸着装置で吸着し、搬出部へ搬送する第2吸着ユニットと、
前記ステージ上にセットされ、前記ワークの周縁部を密閉するとともに、該ワークの周縁部を除く領域を露出させる開口部が形成された固定治具と、
を備えたワーク搬送装置であって、
前記第1吸着ユニット及び前記第2吸着ユニットは、
前記固定治具を吸着するために縁端部側に配置された第1吸着装置と、
前記開口部から露出している前記ワークを吸着するために中心部側に配置された第2吸着装置と、
を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記固定治具に、前記第1吸着装置による吸着位置がずれたことを検出できる検出手段を形成したことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
少なくとも前記第1吸着装置に、緩衝機構を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のワーク搬送装置と、
前記ステージを所定の搬送経路に沿って移動させる移動機構と、
前記移動機構によって移動させるステージ上のワークのアライメントマークを検出する測定部と、
前記ステージ上のワークの前記周縁部を除く領域を、前記測定部の検出結果によりアライメント処理された画像情報に基づいて変調された光ビームにより露光し、該領域に画像を形成する露光部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記固定治具を吸着するモードと吸着しないモードへ切り替える切替手段を有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
搬入部に載置されたワークを複数の吸着装置で吸着し、ステージへ搬送する第1吸着ユニットと、
前記ステージ上のワークを複数の吸着装置で吸着し、搬出部へ搬送する第2吸着ユニットと、
前記ステージ上にセットされ、前記ワークの周縁部を密閉するとともに、該ワークの周縁部を除く領域を露出させる開口部が形成された固定治具と、
を備えたワーク搬送方法であって、
前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの縁端部側に配置された第1吸着装置で、前記固定治具を吸着し、前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの中心部側に配置された第2吸着装置で、前記開口部から露出している前記ワークを吸着し、該ワーク及び前記固定治具を前記ステージへ載置又は前記ステージから除去することを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項7】
前記第2吸着ユニットの第1吸着装置によってステージ上の固定治具を吸着するとともに、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置によって搬入部上のワークを吸着し、その後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬出部側へ移動して、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置が吸着を解除することにより、前記ワークをステージ上に載置し、次いで、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬入部側へ移動して、前記第2吸着ユニットの第1吸着装置が吸着を解除することにより、前記固定治具をステージ上に載置し、該固定治具によって前記ワークの周縁部を密閉することを特徴とする請求項6に記載のワーク搬送方法。
【請求項8】
前記第1吸着ユニットの第1吸着装置によってステージ上の固定治具を吸着した後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬入部側へ移動し、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置によって搬入部上のワークを吸着し、その後、第1吸着ユニット及び第2吸着ユニットが搬出部側へ移動して、前記第1吸着ユニットの第2吸着装置が吸着を解除することにより、前記ワークをステージ上に載置するとともに、前記第1吸着ユニットの第1吸着装置が吸着を解除することにより、前記固定治具をステージ上に載置し、該固定治具によって前記ワークの周縁部を密閉することを特徴とする請求項6に記載のワーク搬送方法。
【請求項9】
前記固定治具は、ワークの位置決め部材により前記ステージ上に位置決め載置され、その後、前記第1吸着ユニット又は前記第2吸着ユニットの第1吸着装置によって吸着されることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のワーク搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−52137(P2007−52137A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236146(P2005−236146)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】