説明

一眼レフカメラのファインダー内表示装置

【課題】光学ファインダーを有する一眼レフカメラにおいて、走査型画像表示装置を用いて、一眼レフカメラとしての性能を満足できる画像を表示可能なファインダー内表示装置を提供する。
【解決手段】光源31と、光源31からの光束を走査する走査手段33を有し、光源31を走査手段33による走査に同期して変調することで被走査面であるピント板面10b上に情報を表示し、その情報を接眼光学系12〜15を介して撮影者が観察可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラのファインダー内に種々の表示を行うための表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より一眼レフカメラのファインダー内表示装置においては、撮影レンズによる被写体像に測距範囲や測光範囲、撮影画面サイズ等の情報を重ねて表示する視野枠内表示と、ファインダー視野の周辺部にシャッタースピードや絞り値、フィルムカウンタ等の情報を表示する視野枠外表示があり、それら表示のために多種多様な装置が提案されており、例えば、特許文献1においては、焦点板とペンタプリズムの間に液晶表示装置を設けたものがある。
【0003】
また現在、撮影光学系によって結像された被写体像をCCDやCMOS等の撮像素子を利用して電気信号に光電変換し、これにより得られた撮像信号を記録媒体等に記録するように構成されたデジタルカメラが広く普及している。このようなデジタルカメラには撮像素子によって取得された画像を表示するためのモニタが設けられているが、屋外等の明るい場所での視認性が悪いため、モニタとは別にファインダーも設けられている。そのファインダーは画像を表示するために画像表示装置を用いた電子ビューファインダーとなっていることが多い。その場合、撮影情報等のファインダー内表示も電子ビューファインダーを構成する画像表示装置により表示されている。そのため、全ての情報は視野枠内に被写体像に重ねられて表示されている。
【0004】
電子ビューファインダーの画像表示装置としては、一般的に、透過型液晶、反射型液晶、有機EL素子などのいわゆるフラットパネルと呼ばれる2次元表示素子を使用している。これら2次元表示素子を接眼光学系と組み合わせ、表示画像を虚像として観察するように構成されたものが数多く提案されている。
【0005】
しかし近年、撮像素子の高画素化による画質向上に伴い、電子ビューファインダーもより高精細な画像が要求されているが、フラットパネルにおいて、高解像度を達成するためには、必要な画素数分を製作しなければならず、画素数が増えた分だけ画素欠陥が増加したり、フラットパネルの大きさに対して相対的に画素の大きさが小さくなり製造が困難になるなどの問題があった。
【0006】
また電子ビューファインダーは光学ファインダーに比べて、画素数が少ないため表示画像が粗い、応答性が遅いため動きのある被写体がスムーズに表示されないといった問題があるため、高画質や連写性能、動体追従性能が求められるデジタル一眼レフカメラには採用されず、従来と同様の光学ファインダーが設けられている。そのため、ファインダー内表示装置も従来と同様の表示装置が設けられている。
【特許文献1】特開平6−250264号公報
【特許文献2】特開2003−29197号公報
【特許文献3】特開平7−175005号公報
【特許文献4】特開平8−334723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のファインダー内表示装置では画像の表示ができないため、デジタルカメラの優位点である「撮影直後にその場で撮影済み画像が確認できる」機能がファインダーでは得られず、視認性の悪いモニタでしか得られない。また動画の撮影もファインダーでは行えない。
【0008】
そこで画像を表示するためにファインダー内表示装置に電子ビューファインダーに用いられている画像表示装置を使用したとしても一眼レフカメラとしての性能を満足できない。
【0009】
一方、特許文献2において、2次元表示素子を用いずに走査手段を使った画像表示装置が開示、提案されている。
【0010】
ここで走査型画像表示装置の構成の概略を説明する。図6は、走査型画像表示装置の構成を示すものである。光源101から発光した光束は、集光光学系102を介して不図示の走査手段の偏向面103bに入射する。偏向面103bは、入射した光束を反射するようになっている。偏向面103bは、基板103aに形成された2つのトーションバー103x、103yにより支えられている。偏向面103bは、トーションバー103x、103yを軸として、揺動するように構成されており偏向面103bが傾斜することにより反射光を偏向する。光源101からの光は、所望の面104上に集光するようになっており、偏向面103bの傾斜に伴って光源101からの光束は、面104上を走査することになる。付番105、106は、被走査面上の走査線の例を示したものであり、この走査型画像表示装置は、被走査面上をラスタスキャンするようになっている。線105は、ラスタスキャンにおける水平走査線の例を表しており、線106は帰線を表している。このラスタスキャンと光源101の変調のタイミングを同期させることで、被走査面104中の有効エリア107中に所望の画像を表示する。
【0011】
基板103aはたとえばSi基板で製作されており、偏向面103bには、入射光束を高い反射率で反射するように金属反射膜、誘電体反射膜が形成されている。走査手段の駆動には、Si基板103aに半導体プロセスにより作製された不図示の電磁アクチュエータ、静電気アクチュエータなどを形成することで駆動することができる。
【0012】
この走査型画像表示装置では上記で説明したように、光源からの光束の走査と光源からの光束とを同期をとって変調するように構成されており、フラットパネルに見られるような画素というものがないため、画素欠陥が原理的に起こらない。さらに、画素間の境目というものがないため、非常に高精彩な画像を得ることができる。
【0013】
また一方、半導体プロセスの進歩に伴い微小機械システム(Micro Electro Mechanical System:MEMS)技術により、小型軽量でありながら高速の走査手段を作ることが可能となった。こうした技術を鑑みた技術として、特許文献3や特許文献4等が半導体プロセスを用いて製造された走査手段として、開示、提案されている。上記説明では走査手段の偏向面103bを設けた基板103aはSi基板としていたが、このMEMSを用いることによりフラットパネルよりも格段に応答性の速い走査型画像表示装置ができる。
【0014】
そこで本発明は、光学ファインダーを有する一眼レフカメラにおいて、走査型画像表示装置を用いて、一眼レフカメラとしての性能を満足できる画像を表示可能なファインダー内表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ファインダー内に情報表示可能な一眼レフカメラにおいて、光源と、前記光源からの光束を走査する走査手段と、を有し、前記光源を前記走査に同期して変調することで被走査面上に情報を表示し、かつ前記被走査面上の情報を接眼光学系を介して撮影者が観察可能とすることを特徴とする。この構成によれば、走査型画像表示装置を用いて、一眼レフカメラとしての性能を満足できる画像を表示可能なファインダー内表示装置が実現できる。
【0016】
請求項2の発明は、前記被走査面が焦点板面であることを特徴とする。この構成によれば、請求項1記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【0017】
請求項3の発明は、前記光源と、前記走査手段が、撮影レンズが交換可能な一眼レフカメラの撮影レンズマウントに装着可能なように構成されていることを特徴とする。この構成によれば、走査型画像表示装置が着脱可能な請求項1又は2記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【0018】
請求項4の発明は、前記接眼光学系が視度調整可能に構成されており、前記接眼光学系の視度をプラス側へ移動可能とすることを特徴とする。この構成によれば、前記走査面上の情報をファインダー外に投影可能な請求項1〜3いずれか記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、請求項1の発明は、走査型画像表示装置を用いることにより、一眼レフカメラとしての性能を満足できる画像を表示可能なファインダー内表示装置が実現できる。
【0020】
請求項2の発明は、前記被走査面を焦点板面としたことにより、請求項1記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【0021】
請求項3の発明は、走査型画像表示装置が着脱可能な請求項1又は2記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【0022】
請求項4の発明は、前記接眼光学系を視度調整可能に構成し、前記接眼光学系の視度をプラス側へ移動させることにより、前記走査面上の情報をファインダー外に投影可能とした請求項1〜3いずれか記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は第1の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの要部断面図である。
【0025】
1はカメラ本体、2は後述の撮影レンズ3をカメラ本体1に着脱可能とするためのマウントで、各種信号を通信したり、駆動電源を供給するためのインターフェイスを有する。3は交換可能な撮影レンズで、内部にフォーカスレンズ群、ズームレンズ群4を有している。各レンズ群は便宜上1枚のレンズで図示したが、実際には多数のレンズから構成されている。5はハーフミラーで構成された主ミラーで、カメラの動作状態に応じて回動可能となっており、被写体をファインダーで観察時は撮影光路へ斜設され、撮影レンズ2からの光束を折り曲げて後述のファインダー光学系へ導き、露光時は撮影光路から退避して、撮影レンズ3からの光束を後述の撮像素子7へ導いている。6はシャッター、7はCCDやCMOS等の撮像素子である。
【0026】
10は撮影レンズ3の一次結像面に配置された焦点板で、入射面10aにはフレネルレンズ(集光レンズ)が設けられ、射出面10bには被写体像(ファインダー像)が結像している。11はファインダー視野枠、12はペンタプリズムで、焦点板10に結像した被写体像を正立正像に補正している。13、14は接眼レンズ、15は保護レンズ、16はファインダー光学系の視度を調整するためのレバーで、カム16aが接眼レンズ14に設けられた連動軸14aと嵌合しており、レバー16を操作すると接眼レンズ14が光軸方向に移動し、接眼レンズ13との間隔が変化することで視度が調整される。
【0027】
20はサブミラーで、主ミラー5を透過した光束を折り曲げて後述の焦点検出ユニット21へ導いている。21は焦点検出ユニットで、周知の位相差方式により焦点検出を行っている。25は液晶モニタである。
【0028】
31は入力信号に対して変調される光源、32は集光光学系、33は入射した光束を2次元方向にラスタスキャンできる2次元走査手段で、内部に走査デバイス33aを有している。34は瞳結像用光学系である。
【0029】
ここで走査手段33について説明する。図2は走査手段33内に設けられた反射型の走査デバイス33aである。走査デバイス33aは半導体プロセスで製造された微小機械システム(MEMS)である。光源31からの光束を偏向する偏向面33bは、トーションバー33xをねじれ軸として共振往復揺動運動し、また更に、トーションバー33yを軸として往復揺動運動するように構成されている。この2つの揺動運動は不図示の電磁アクチュエータで駆動する。
40はファインダーを観察する瞳である。
【0030】
図3は第1の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの構成を示すブロック図である。
【0031】
50はカメラ部の制御とカメラ全体の制御を行うCPU、51は画像データの各種制御を行うメモリコントローラ、52は各種制御を行うための設定・調整データ等を格納しているEEPROMである。53はカメラを操作したり、撮影のための各種設定を行う操作SW、54は撮影レンズ3とCPU50の間で各種信号を通信したり、後述の電源61から撮影レンズ3へ駆動電源を供給するためにマウント2に設けられたマウントインターフェイス、55はフォーカスレンズ群4を駆動するフォーカス駆動回路、56は不図示の絞りを駆動する絞り駆動回路、57は主ミラー5とシャッター6を駆動するミラー・シャッター駆動回路、58は焦点検出ユニット21内に設けられたAFセンサ、60は電源61の電圧を各回路に必要な電圧に変換するDC/DCコンバータである。
【0032】
70は撮像素子7から出力される画像信号をサンプルホールド及び自動ゲイン調整するCDS(相関2重サンプリング)/AGC(自動ゲイン調整)回路、71はCDS/AGC回路70のアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器、72はTG(タイミング発生)回路で、撮像素子7に駆動信号、CDS/AGC回路70にサンプルホールド信号、A/D変換器71にサンプルクロック信号を供給する。ここで、メモリコントローラ51が撮像素子7から出力される画像信号をCDS/AGC回路70、A/D変換器71を経て受けて、コントラスト検出方式により被写体像の焦点検出を行うことが可能である。
【0033】
73はA/D変換器71でデジタル変換された画像等を一時的に記録するためのSDRAM、74は画像をY/C(輝度信号/色差信号)分離、ホワイトバランス補正、γ補正等を行う画像処理回路、75は画像をJPEG等の形式に従って圧縮したり、圧縮された画像の伸張を行う画像圧縮/伸張回路である。76は画像を記録保存するためのメディア35とのI/F(インターフェイス)、78はSDRAM73やメディア35に記録された画像をLCD25に表示するために画像をアナログ信号に変換するD/A変換器である。
【0034】
80はファインダー内に表示する画像や撮影情報の入力信号に基づいて、光源31を変調する変調制御回路、81は走査デバイス33aを駆動するためのMEMS駆動回路である。
【0035】
続いて、ファインダーで画像や撮影情報を観察する時の一連の動作を説明する。まず今までの一眼レフカメラと同様に撮影時、ファインダーで被写体と撮影情報を観察する場合について説明する。
【0036】
撮影レンズ3を通過した光束は主ミラー5で折り曲げられて焦点板10の射出面10bに被写体像として結像される。その被写体像はファインダー視野枠11、ペンタプリズム12、接眼レンズ13、14、保護レンズ15を通過し、撮影者の瞳40で観察される。
【0037】
それと同時に撮影者が操作SW53で設定し、EEPROM52に格納されているシャッタースピードや絞り値等の撮影情報が変調制御回路80へ入力され、光源31を変調しながら発光する。光源31から発光された光束は集光光学系32によりビーム化され、走査手段33へ入射し、走査デバイス33aにより反射、偏向されて射出され、瞳結像用光学系34に入射する。瞳結像用光学系34は光束を被走査面に結像するように構成されており、瞳結像用光学系34より射出された光束は主ミラー5を透過し、被走査面である焦点板10の射出面10bに結像する。ここで走査デバイス33aをMEMS駆動回路81により駆動すると、光束が走査され射出面10bに結像する位置も走査される。光源31の変調と走査デバイス33aの走査特性の同期をとって制御することにより、射出面10bに撮影情報像が表示される。また走査デバイス33aは光束が結像する位置がファインダー視野枠11の外側になるように制御されている。この撮影情報像を被写体像と同様にファインダー視野枠11、ペンタプリズム12、接眼レンズ13、14、保護レンズ15を経て、瞳40で観察する。
【0038】
これらの動作によりファインダーを瞳40で観察すると、視野枠内に被写体像、視野枠外に撮影情報が同時に観察できる。
【0039】
次にデジタルカメラと同様に撮影直後、ファインダーで撮影済みの画像を観察する場合について説明する。
【0040】
撮影(露光)時に撮影レンズ3からの光束を撮像素子7へ導くため、主ミラー5は撮影光路から退避している。従って、射出面10bには被写体像が結像されておらず、瞳40でファインダーを観察しても何も観察されない状態となっている。
【0041】
その状態において、SDRAM73から直前に撮影された画像が変調制御回路80へ入力され、光源31を変調しながら発光する。光源31から発光された光束は集光光学系32によりビーム化され、走査手段33へ入射し、走査デバイス33aにより反射、偏向されて射出され、瞳結像用光学系34に入射する。瞳結像用光学系34は光束を被走査面に結像するように構成されており、瞳結像用光学系34より射出された光束は主ミラー5を透過し、被走査面である焦点板10の射出面10bに結像する。ここで走査デバイス33aをMEMS駆動回路81により駆動すると、光束が走査され射出面10bに結像する位置も走査される。光源31の変調と走査デバイス33aの走査特性の同期をとって制御することにより、射出面10bに画像が表示される。また走査デバイス33aは光束が結像する位置がファインダー視野枠11の内側になるように制御されている。この画像はファインダー視野枠11、ペンタプリズム12、接眼レンズ13、14、保護レンズ15を通過し、瞳40で観察される。
【0042】
これらの動作によりファインダーを瞳40で観察すると、視野枠内に直前に撮影された画像が観察できる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、走査型画像表示装置を用いることで、一眼レフカメラとしての性能を満足できる画像を表示可能なファインダー内表示装置が実現できる。また、被走査面を焦点板面としたことにより、一眼レフカメラの構成を有効活用したファインダー内表示装置が実現できる。
【0044】
本実施形態において光源31は、撮影情報の表示のみを考慮すれば単色光のLED等を使用しても良いが、画像の表示を考慮するならば、赤、緑、青の光を独立に発光するLED等の光源を色合成手段により組み合わせた構成とし、画像信号に基づいて独立に各色の光源の発光特性を制御することで、画像をカラー化した方が良い。
【0045】
上記説明においては撮影直後に撮影画像を観察可能なようにしているが、メディア35に記録された複数の画像を観察者が自由なタイミングで観察可能としても良い。その際には、画像を焦点板10に表示する直前に主ミラー5を撮影光路から退避させる。
【0046】
また上記説明は静止画撮影の場合で、動画撮影やミラーアップ撮影の場合には、常に主ミラー5を撮影光路から退避し撮像素子7から出力される画像信号を直接、変調制御回路80へ入力することで、撮像素子7で得られている動画像を直接ファインダーで観察可能としても良い。
【0047】
更に、上記説明においては撮影情報表示は、視野枠外に表示するように構成していたが、視野枠内の被写体像に重ねて表示するようにしても構わないし、視野枠内外の両方に表示するようにしても良い。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。図4は第2の実施形態に係る一眼レフカメラの要部断面図である。なお図1と同一機能のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
8は銀塩フィルム、30はマウント2に着脱可能に構成された走査型画像表示装置、41はスクリーンである。通常この一眼レフカメラのマウント2には撮影レンズ3を着けて撮影を行うが、本実施形態では走査型画像装置30が着けてある。
【0050】
図5は第2の実施形態に係る一眼レフカメラの構成を示すブロック図である。なお図3と同一機能のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
59は銀塩フィルム8を巻き上げ、巻き戻しするためのフィルム給送回路である。第1の実施形態ではデジタル一眼レフカメラであったためカメラ内部に画像表示に必要なメモリコントローラ51等が設けられていたが、本実施形態では画像表示に必要な回路等は全て走査型画像装置30内部に設けられ、マウントインターフェイス54経由でカメラ本体1内部のCPU50と各種信号通信を行っている。
【0052】
続いて、ファインダーに画像を表示する時の一連の動作を説明する。走査型画像装置30に設けられた不図示のSWを操作すると、メディア35に記録された画像が変調制御回路80へ入力され、光源31を変調しながら発光する。光源31から発光された光束は集光光学系32によりビーム化され、走査手段33へ入射し、走査デバイス33aにより反射、偏向されて射出され、瞳結像用光学系34に入射する。瞳結像用光学系34は光束を被走査面に結像するように構成されており、瞳結像用光学系34より射出された光束は主ミラー5により折り曲げられて、被走査面である焦点板10の射出面10bに結像する。ここで走査デバイス33aをMEMS駆動回路81により駆動すると、光束が走査され射出面10bに結像する位置も走査される。光源31の変調と走査デバイス33aの走査特性の同期をとって制御することにより、射出面10bに画像が表示される。また走査デバイス33aは光束が結像する位置がファインダー視野枠11の内側になるように制御されている。
【0053】
この状態において瞳40でファインダーを観察すると、画像がファインダー視野枠11、ペンタプリズム12、接眼レンズ13、14、保護レンズ15を経て観察できる。
【0054】
ここで、レバー16を操作しファインダーの視度をプラス側へ調整すると、焦点板10に表示されている画像がスクリーン41上へ投影され、ファインダー外で観察可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、走査型画像表示装置を着脱可能とした一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。また、接眼光学系の視度をプラス側へ移動させることにより、走査面上の情報をファインダー外に投影可能とした一眼レフカメラのファインダー内表示装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、デジタル一眼レフカメラの要部断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、走査デバイスの斜視図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、デジタル一眼レフカメラの構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る、一眼レフカメラの要部断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る、一眼レフカメラの構成を示すブロック図
【図6】従来の走査型画像表示装置の基本構成を示す概略図
【符号の説明】
【0057】
1 カメラ本体
2 マウント
3 撮影レンズ
7 撮像素子
8 銀塩フィルム
10 焦点板
10b 射出面(被走査面)
11 ファインダー視野枠
13、14 接眼レンズ
16 レバー
30 走査型画像装置
31 光源
32 集光光学系
33 走査手段
33a 走査デバイス
34 瞳結像用光学系
35 メディア
40 瞳
41 スクリーン
50 CPU
51 メモリコントローラ
52 EEPROM
54 マウントインターフェイス
73 SDRAM
80 変調制御回路
81 MEMS駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダー内に情報表示可能な一眼レフカメラにおいて、光源と、前記光源からの光束を走査する走査手段と、を有し、前記光源を前記走査に同期して変調することで被走査面上に情報を表示し、かつ前記被走査面上の情報を接眼光学系を介して撮影者が観察可能とすることを特徴とする一眼レフカメラのファインダー内表示装置。
【請求項2】
前記被走査面が焦点板面であることを特徴とする請求項1記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置。
【請求項3】
前記光源と、前記走査手段が、撮影レンズが交換可能な一眼レフカメラの撮影レンズマウントに装着可能なように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置。
【請求項4】
前記接眼光学系が視度調整可能に構成されており、前記接眼光学系の視度をプラス側へ移動させることにより、前記走査面上の情報をファインダー外に投影可能とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の一眼レフカメラのファインダー内表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−259078(P2006−259078A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74788(P2005−74788)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】