説明

一軸型耕耘機用収納ケース

【課題】一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納した状態でも、容易に移動できるようにする。
【解決手段】走行軸に兼用される耕耘軸2を備えた一軸型耕耘機1の収納に用いられ、当該一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納する収納ケース13であって、一軸型耕耘機1は、機体走行方向に対する後方部位に、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒10を備える一方、収納ケース13は、機体走行方向に対する前方部位に、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行軸に兼用される耕耘軸を備えた一軸型耕耘機の収納に用いられ、当該一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納する収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納する収納ケースが知られている。例えば、特許文献1、2に示される収納ケースは、上方が開口した箱状に形成されており、一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納する際には、一軸型耕耘機を持ち上げ、収納ケースの上方開口部を介して、耕耘軸部を収納ケース内に収納するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4031935号公報
【特許文献2】特許第4139251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に示される収納ケースでは、一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納した状態で移動することを何ら考慮しておらず、移動に際しては、一軸型耕耘機及び収納ケースを持ち上げる必要があるので、移動時の作業性に劣り、特に、機体重量が重い中型、大型クラス(例えば、25kg以上)の一軸型耕耘機に適用した場合、一人だけでは収納状態の一軸型耕耘機を移動させることができなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行軸に兼用される耕耘軸を備えた一軸型耕耘機の収納に用いられ、当該一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納する収納ケースであって、前記一軸型耕耘機は、機体走行方向に対する後方部位に、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒を備える一方、前記収納ケースは、機体走行方向に対する前方部位に、一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納した状態でも、移動用車輪を用いて容易に移動することができる。しかも、移動用車輪は、抵抗棒と反対側に設けられているので、抵抗棒を外さなくても、機体の抵抗棒側を持ち上げれば、移動用車輪を用いて容易に移動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態(収納口カバー開)を示す収納ケースの前方斜視図である。
【図2】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態(収納口カバー開)を示す収納ケースの後方斜視図である。
【図3】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態(収納口カバー閉)を示す収納ケースの前方斜視図である。
【図4】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態(収納口カバー閉)を示す収納ケースの後方斜視図である。
【図5】収納ケース(収納口カバー開)の斜視図である。
【図6】(A)〜(D)は収納ケース(収納口カバー開)の平面図、正面図、側面図及び背面図である。
【図7】収納ケース(収納口カバー閉)の斜視図である。
【図8】(A)〜(D)は収納ケース(収納口カバー閉)の平面図、正面図、側面図及び背面図である。
【図9】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納される過程を示す第二実施形態に係る収納ケースの前方斜視図である。
【図10】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納される過程を示す第二実施形態に係る収納ケースの後方斜視図である。
【図11】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態を示す第二実施形態に係る収納ケースの前方斜視図である。
【図12】一軸型耕耘機の耕耘軸部が収納された状態を示す第二実施形態に係る収納ケースの後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4において、1は一軸型耕耘機であって、該一軸型耕耘機1は、走行軸に兼用される耕耘軸2を備えた歩行型の耕耘機であり、耕耘軸2を軸支するミッションケース3と、ミッションケース3から後方上方に向けて延出する折り畳み自在なハンドル4と、ミッションケース3の上方に搭載されるガスエンジン5とを備えて構成されている。
【0009】
ガスエンジン5は、ガスボンベ保持部6にセットされるカセット型のガスボンベ(図示せず)から供給されるガスを燃料として動作するように構成されている。そして、ガスエンジン5が発生する動力は、ベルトカバー7内のベルト伝動機構(図示せず)を介してミッションケース3に入力される。ベルトカバー7内のベルト伝動機構は、ベルトテンションクラッチを構成しており、ハンドル4の左側に設けた主クラッチレバー8の操作に応じて動力伝動を入り切り可能である。また、ハンドル4の右側には、ガスエンジン5の回転数を調節するためのアクセルレバー9が設けられている。
【0010】
耕耘軸2には、耕耘軸2の回転に応じて圃場を耕耘する複数の耕耘爪2aが取付けられている(以下、耕耘軸2及び耕耘爪2aを耕耘軸部と称する)。また、機体走行方向に対する後方部位には、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒10が設けられており、この走行抵抗で機体走行を抑制することにより適度な耕深が得られるようになっている。
【0011】
一軸型耕耘機1は、耕耘軸部の上方を覆うフェンダ11を備えている。フェンダ11は、ミッションケース3から左右に張り出すように設けられ、耕耘土の飛散を防いでいる。また、フェンダ11の前端部には、機体を持ち上げるための把手部12が設けられている。
【0012】
図1〜図8において、13は収納ケースであって、該収納ケース13は、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納するためのものであり、耕耘軸部の上方を覆う上面部13aと、耕耘軸部の下方を覆う下面部13bと、耕耘軸部の前方を覆う前面部13cと、耕耘軸部の後方を覆う後面部13dと、耕耘軸部の左側方を覆う左側面部13eと、耕耘軸部の右側面部を覆う右側面部13fとを備えるボックス形状となっている。
【0013】
収納ケース13の後面部13dには、開閉自在な収納口13gが構成されている。本実施形態では、収納口13gの下端部にヒンジ14を介して収納口カバー15を設け、ヒンジ14を支点とする収納口カバー15の上下回動操作にもとづいて収納口13gを開閉させるが、収納口カバー15は、観音開き式としてもよいし、着脱式としてもよい。
【0014】
このような収納ケース13によれば、収納口13gを開けた状態で一軸型耕耘機1を前進させながら、その耕耘軸部を収納ケース13内に収納することが可能となる。これにより、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納する際に、一軸型耕耘機1を持ち上げる必要がなくなるので、中型、大型クラスの一軸型耕耘機1であっても、容易に収納や取り出しを行うことができる。しかも、後面部13dの収納口13gは、収納口カバー15で閉じることができるので、収納ケース13内に落下した泥などがケース外にこぼれる不都合もない。
【0015】
また、収納口カバー15には、開閉に際して一軸型耕耘機1の本体や抵抗棒10との干渉を避けるための切欠き部15aが形成されている。このようにすると、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納する際に、いちいち抵抗棒10を取り外す必要がなくなるので、収納時の作業性をさらに向上させることができる。
【0016】
また、収納ケース13の上面部13aには、一軸型耕耘機1の本体を導き入れるための切欠き部13hが形成されている。そして、収納ケース13に一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した場合、収納ケース13の上面部13aがフェンダ11の上方にオーバーラップするようになっている。このようにすると、フェンダ11を利用して収納ケース13を一軸型耕耘機1に一体的に保持することができる。つまり、収納ケース13に耕耘軸部を収納した状態で一軸型耕耘機1を持ち上げると、上面部13aがフェンダ11に係合することにより、収納ケース13も一体的に持ち上げられることになる。その結果、一軸型耕耘機1と収納ケース13との間に別途連結具を設ける場合に比べ、部品点数の削減やコストダウンを図ることが可能になる。
【0017】
また、収納ケース13の前端部には、収納ケース13に一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納したとき、把手部12を収納ケース13外に突出させるための把手突出孔13iが形成されている。このようにすると、収納ケース13に耕耘軸部を収納した状態であっても、把手部12を利用して一軸型耕耘機1を容易に持ち上げることができる。
【0018】
また、収納ケース13には、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪16が設けられている。移動用車輪16は、例えば、左右一対の二輪式とされると共に、収納ケース13の前後何れかに設けられ、移動時には、移動用車輪16の他側を持ち上げることにより、移動用車輪16を利用して一軸型耕耘機1を容易に移動させることが可能になるが、ここで、一軸型耕耘機1は、機体走行方向に対する後方部位に抵抗棒10を備える一方、収納ケース13は、機体走行方向に対する前方部位に移動用車輪16を備えるようにしてある。このようにすると、移動用車輪16を抵抗棒10と反対側に設けることにより、抵抗棒10を外さなくても、機体の抵抗棒10側を持ち上げれば、移動用車輪16を用いて容易に移動することが可能になる。
【0019】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行軸に兼用される耕耘軸2を備えた一軸型耕耘機1の収納に用いられ、当該一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納する収納ケース13であって、一軸型耕耘機1は、機体走行方向に対する後方部位に、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒10を備える一方、収納ケース13は、機体走行方向に対する前方部位に、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪16を備えるので、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した状態でも、移動用車輪16を用いて容易に移動することができる。しかも、移動用車輪16は、抵抗棒10と反対側に設けられているので、抵抗棒10を外さなくても、機体の抵抗棒10側を持ち上げれば、移動用車輪16を用いて容易に移動することが可能になる。
【0020】
次に、本発明の第二実施形態に係る収納ケースについて、図9〜図12を参照して説明する。
【0021】
これらの図に示すように、第二実施形態の収納ケース13は、左右に分割形成された一対の分割ケース13L、13Rを備え、左右外側方から耕耘軸部を覆うように一軸型耕耘機1に装着される点が前記実施形態と相違している。このような収納ケース13によれば、第一実施形態と同様に、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納する際に、一軸型耕耘機1を持ち上げる必要がなく、その結果、中型、大型クラスの一軸型耕耘機1であっても、容易に収納や取り出しを行うことができる。しかも、一軸型耕耘機1が、機体走行方向に対する後方部位に、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒10を備える一方、収納ケース13が、機体走行方向に対する前方部位に、一軸型耕耘機1の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪16を備えることにより、前記第一実施形態と同様、抵抗棒10を外さなくても、機体の抵抗棒10側を持ち上げれば、移動用車輪16を用いて容易に移動することが可能になる。
【符号の説明】
【0022】
1 一軸型耕耘機
2 耕耘軸
3 ミッションケース
4 ハンドル
5 ガスエンジン
10 抵抗棒
13 収納ケース
16 移動用車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行軸に兼用される耕耘軸を備えた一軸型耕耘機の収納に用いられ、当該一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納する収納ケースであって、
前記一軸型耕耘機は、機体走行方向に対する後方部位に、圃場に接触して走行抵抗を発生させる抵抗棒を備える一方、前記収納ケースは、機体走行方向に対する前方部位に、一軸型耕耘機の耕耘軸部を収納した状態で移動するための移動用車輪を備えることを特徴とする一軸型耕耘機用収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−273545(P2010−273545A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126313(P2009−126313)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】