下水道用配管の補修方法、および下水道用配管構造
【課題】下水の流下特性の低下を抑制することができ、補修の際に熟練した技術を必要とせず、補修に係る時間の短縮を図ることが可能であり、補修箇所の長さに制約の少ない下水用配管の補修方法を提供する。
【解決手段】第1陶管100と第2陶管300との間に位置する破損陶管の全体を除去する。次に、内面が段差無く連続するように、第1陶管100に継手用管20を接合する。次に、第1スライド継手40および第2スライド継手50が接続された補修用管30を、内面が継手用管20および第2陶管300と段差無く連続するように、継手用管20と第2陶管300との間に位置づける。次に、第1スライド継手40を左側にスライドさせ、第2スライド継手50を右側にスライドさせることにより、補修用管30を継手用管20および第2陶管300に接続する。
【解決手段】第1陶管100と第2陶管300との間に位置する破損陶管の全体を除去する。次に、内面が段差無く連続するように、第1陶管100に継手用管20を接合する。次に、第1スライド継手40および第2スライド継手50が接続された補修用管30を、内面が継手用管20および第2陶管300と段差無く連続するように、継手用管20と第2陶管300との間に位置づける。次に、第1スライド継手40を左側にスライドさせ、第2スライド継手50を右側にスライドさせることにより、補修用管30を継手用管20および第2陶管300に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道用配管の補修方法、および下水道用配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水道用配管に陶器製の管(陶管)が使用されている。しかし、陶管は硬くて脆いという性質を有しており、亀裂等が発生しやすい。このように陶管に亀裂等が発生した場合には、下水道用配管の補修が必要となる。陶管の補修方法として、例えば、非特許文献1および特許文献1に記載の補修方法を挙げることができる。
【0003】
図18は、非特許文献1および特許文献1に記載の陶管の補修方法を説明するための説明図である。図18に示すように、これらの文献に記載の補修方法では、まず、堀削孔166を形成し、破損が生じている陶管150を露出させ、その後、陶管150における破損部分を含む一定範囲(図中、両A線で挟まれる範囲)を切断する。
【0004】
そして、陶管150の切断箇所を繋ぐ継手として、陶管補修用継手110を準備する。この陶管補修用継手110は、受口121を有する第1短管部120と、受口131を有する第2短管部130とから構成されており、第2短管部130の内部に第1短管部120がスライド自在に挿通されている。この構成により、陶管補修用継手110は、軸方向に伸縮自在となっている。
【0005】
そして、第2短管部130を第1短管部120に対してスライド移動させることによって陶管補修用継手110の全体の長さを調整し、陶管150の切断端部151、151をそれぞれ差口として、陶管補修用継手110の受口121、131に差し込む。その後、切断端部151、151と受口121、131とをそれぞれ接合剤等を用いて接合した後、陶管補修用継手110を埋め戻す。
【非特許文献1】編者「塩化ビニル管・継手協会」、「JPPFA 下水道用硬質塩化ビニル管 AS19」、平成14年7月1日改正、第15頁
【特許文献1】特開2004−353356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の補修方法では、以下に説明するような課題があった。まず、陶管補修用継手110では、第1短管部120の端部と第2短管部130との間に段差が形成されているため、この段差付近(図18中のX領域。いわゆる「溜まり」部分)に塵や汚泥等が堆積しやすかった。そのため、堆積した汚泥等により、下水の流下特性が低下するおそれがあった。
【0007】
また、陶管は、硬くて脆いという特性を有しており、また、かなり大径の陶管を補修する場合もあることから、陶管の一部を切断するという作業自体が困難なものとなってしまう。そのため、このような陶管の切断作業には、施工者に熟練した技術が要求される。
【0008】
さらに、陶管補修用継手110の長さは、陶管補修用継手110を最大限まで伸ばしたときが上限となるように限定されているため、補修可能な長さが限定されてしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、補修後の下水用配管における下水の流下特性の低下を抑制することである。また、本発明の他の目的は、補修の際に熟練した技術を必要とせず、また、補修に係る時間の短縮を図ることができる補修方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、補修箇所の長さの制約を受けにくい補修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る陶管の補修方法は、複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の補修方法であって、補修すべき陶管の全体を、当該補修すべき陶管の一端側に接続されている第1の陶管の開口端部と当該補修すべき陶管の他端側に接続されている第2の陶管の開口端部とから取り除くステップと、前記第1陶管の内径と等しい内径を有する継手用管の一端を、当該継手用管の内面と前記第1陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記第1陶管の開口端部に接続する接続ステップと、一端側および他端側の内径がそれぞれ前記継手用管の内径および前記第2陶管の内径に等しく、長手方向の長さが前記継手用管の他端と前記第2陶管の開口端部との間の距離に略等しい補修用管を準備するステップと、管状の第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の一端側および他端側の外周面側にそれぞれ装着するステップと、前記第1および第2のスライド継手が装着された補修用管を、当該補修用管の内面と前記継手用管の内面とが実質的に段差無く連続し、かつ、当該補修用管の内面と前記第2陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記継手用管と前記第2陶管との間に位置づけるステップと、前記補修用管の一端に装着された前記第1のスライド継手を前記継手用管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記継手用管とを接続するステップと、前記補修用管の他端に装着された前記第2のスライド継手を前記第2陶管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記第2陶管とを接続するステップとを備えた方法である。
【0011】
上記補修方法によれば、補修後の第1陶管から第2陶管に至る間の流路(第1陶管、継手用管、補修用管、および第2陶管の内面)に段差が生じない。そのため、従来のように段差部分に塵や汚泥等が堆積することを防止することができ、下水の流下特性の悪化を抑制することができる。
【0012】
また、陶管補修用継手のみを用いる従来の方法と異なり、上記補修方法では補修用管を用いるので、補修すべき箇所の長さが長くても、除去された陶管の長さに応じた補修用管を別途準備すること(補修用管の長さを適宜に調整すること)により、補修を行うことができる。したがって、上記補修方法によれば、補修箇所の長さの制約を受けにくい。
【0013】
また、上記補修方法によれば、補修すべき陶管(亀裂等により破損している陶管、交換すべき陶管を含む)の全部を除去するので、陶管の一部を切断する必要がない。そのため、陶管の切断に係る熟練した技術を必要とせず、補修作業を簡略化することができる。また、補修作業を簡略化することができるため、補修に係る時間も短縮させることができる。また、第1および第2の陶管の開口端部は、もともと接合部分として設計されている部分であるため、陶管の中途部よりも強度が大きい。従来のように陶管の一部を切断する方法では、陶管の接続部分(継手との接続部分)は陶管の中途部になってしまい、比較的強度の小さい部分となってしまうことがあった。これに対し、上記補修方法によれば、陶管の接続部分は、本来的に強度の高い開口端部となる。そのため、陶管の接続部分の信頼性を向上させることができる。
【0014】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、前記接続ステップは、前記継手用管を前記受口に差し込んだ後に、前記継手用管と前記第1陶管とを接合剤で接合するステップであってもよい。なお、上記継手用管は、一端部に鍔部を有する短管であってもよいし、現場で塩化ビニル管を切断することにより得られるプレーン管でもよい。
【0015】
このことにより、第1陶管と継手用管とを堅固に接合することができる。
【0016】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、前記接続ステップは、径方向に弾性力を付与するパッキンを前記継手用管の外周面に嵌め込んだ後、または、前記パッキンを前記第1陶管の受口の内周面に嵌め込んだ後、前記パッキンが前記継手用管の外周面と前記第1陶管の受口の内周面との間に介在するように前記継手用管を前記第1陶管の受口に嵌め込むステップであってもよい。
【0017】
このことにより、第1陶管と継手用管との接続作業を簡略化させることができる。なお、第1および第2のスライド継手を前記補修用管に装着する方法としては特に限定されるものではない。前記第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の外周面側にそれぞれ嵌め込んで装着するようにしてもよいし、第1および第2のスライド継手の内周面側に前記補修用管を差し込んで装着するようにしてもよい。
【0018】
なお、上述した本発明に係る陶管の補修方法によって補修された下水道用配管構造も、本発明に含まれるものである。本発明に係る下水道用配管構造は、開口端部を有する第1の陶管と開口端部を有する第2の陶管との間に介在する下水道用配管構造であって、前記第1陶管の開口端部に接続され、前記第1陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する継手用管と、一端が前記継手用管の他端に当接し、他端が前記第2陶管の開口端部に当接し、前記継手用管の内面と実質的に段差無く連続しかつ前記第2陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する補修用管と、前記継手用管の他端の外周側と前記補修用管の一端の外周側とに装着され、前記継手用管と前記補修用管とを接続する第1のスライド継手と、前記補修用管の他端の外周側と前記第2陶管の開口端部の外周側とに装着され、前記補修用管と前記第2陶管とを接続する第2のスライド継手とを備えたものである。
【0019】
前記第1および第2のスライド継手は、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪が一端側および他端側に設けられたスライド継手であってもよい。
【0020】
これにより、スライド継手を簡易な構成によって実現することができる。
【0021】
前記継手用管は合成樹脂製、とりわけ塩化ビニル製であることが好ましい。また、前記補修用管は合成樹脂管、とりわけ塩化ビニル管であることが好ましい。
【0022】
これにより、合成樹脂製の管は加工および取扱いが容易であるので、補修作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、補修後の下水用配管における下水の流下特性の低下を抑制することができる。また、本発明によれは、補修の際に熟練した技術を必要とせず、また、補修に係る時間の短縮を図ることができる。また、本発明によれば、補修箇所の長さの制約を受けにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、実施形態に係る下水道用配管構造10を示す分解側面図である。図1に示すように、配管構造10は、継手用管20、補修用管30、第1スライド継手40および第2スライド継手50を有している。本実施形態では、これら継手用管20、補修用管30、第1スライド継手40および第2スライド継手50は、塩化ビニル製である。ただし、これらの部材は他の合成樹脂素材によって形成されていてもよく、その他の素材によって形成されていてもよい。
【0026】
図16に示すように、配管構造10は、複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の一部の陶管に置き換えられるものであり、第1の陶管100と第2の陶管300との間に介在する。
【0027】
まず、配管構造10を構成する各部材を順に説明する。図2(a)は、継手用管20の側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した継手用管20を右側からみた正面図である。図3は、継手用管20を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、継手用管20は、補修の際に第1陶管100の受口100aに接続されるものである。図2に示すように、この継手用管20は短管形状を有しており、左右両側に差口21、23がそれぞれ形成されている。左側の差口21は、第1陶管100の受口100aに差し込まれ、右側の差口23は、第1スライド継手40の受口41(図6参照)に差し込まれる。また、左側の差口21には、鍔部22が形成されている。さらに、右側の差口23は、先端部が先細り形状になっている。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の継手用管20は、全体にわたって同じ管内径を有している。したがって、左側の差口21の開口部24の内径と、右側の差口23の開口部25の内径とは、同じ大きさAである。また、継手用管20は、鍔部22を除いて、同じ管外径Bを有している。ただし、継手用管20は、内面が実質的に段差のない連続面であればよく、内径が一定でなくてもよい。
【0029】
図4(a)は、補修用管30の側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示した補修用管30を右側からみた正面図である。また、図5は、補修用管30を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、補修用管30は、継手用管20と第2陶管300の差口300aとの間に配置されるものである。図4に示すように、補修用管30の左右両側には、差口31、33がそれぞれ形成されている。左側の差口31は、第1スライド継手40の受口43(図6参照)に差し込まれる。また、差口31の端面は、継手用管20の差口23の端面に当接する(図16参照)。右側の差口33は、第2スライド継手50の受口51(図8参照)に差し込まれる。また、差口33の端面は、第2陶管300の差口300aの端面に当接する(図16参照)。なお、差口31、33は共に、先端部が先細り形状になっている。
【0030】
図5に示すように、補修用管30は、全体にわたって同じ内径を有している。したがって、左側の差口31の開口部34の内径と、右側の差口33の開口部35の内径とは、同じ大きさである。補修用管30の内径は、継手用管20の管内径Aと同じである。また、補修用管30は、全体にわたって同じ管外径を有している。したがって、差口31の外径と差口33の外径も同じ大きさである。補修用管30の外径は、継手用管20の外径Bと同じである。
【0031】
図6(a)は、第1スライド継手40の側面図であり、図6(b)は、図6(a)に示した第1スライド継手40を右側からみた正面図である。また、図7は、第1スライド継手40を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、この第1スライド継手40は、継手用管20と補修用管30とを接続するためのものである。図6に示すように、第1スライド継手40は短管形状を有しており、左右両側に受口41、43がそれぞれ形成されている。左側の受口41には、継手用管20の右側の差口23(図2参照)が差し込まれる。また、右側の受口43には、補修用管30の左側の差口31が差し込まれる。
【0032】
図6および図7に示すように、第1スライド継手40の受口41、43の近傍には、ゴム輪受容部46、47が、外側に突出するようにそれぞれ形成されている。これらゴム輪受容部46、47は、第1スライド継手40の管内の内周面に沿って環状に形成されている。そして、これらゴム輪受容部46、47には、環状のゴム輪48、49がそれぞれ固定されている。ゴム輪48、49は、その一部がゴム輪受容部46、47に形成された窪みに嵌まり込んでいる。このように、ゴム輪48、49が窪みに嵌まり込むように取り付けられていることによって、継手用管20および補修用管30上で第1スライド継手40を軸方向にスライド移動させても、ゴム輪48、49がゴム輪受容部46、47から離脱してしまうことを防止することができる。
【0033】
また、図7に示すように、第1スライド継手40は、ゴム輪受容部46、47が形成されている部分を除いて、全体にわたって同じ管内径を有している。したがって、左側の受口41の開口部44の内径と右側の受口43の開口部45の内径とは、同じ大きさCである。この開口部44、45の内径Cは、継手用管20の差口23の外径B、および、補修用管30の差口31の外径B(図3、図5参照)と同じか、それよりも僅かに大きい。この第1スライド継手40の内部に継手用管20および補修用管30が挿通されるからである。
【0034】
図8(a)は、第2スライド継手50の側面図であり、図8(b)は、図8(a)に示した第2スライド継手50を右側からみた正面図である。また、図9は、第2スライド継手50を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、第2スライド継手50は、補修用管30と第2陶管300の差口300aとを接続するためのものである。図8に示すように、この第2スライド継手50は、内径および外径が段階的に変化する短管形状を有しており、左右両側に受口51、53がそれぞれ形成されている。左側の受口51には、補修用管30(図4参照)の差口33が差し込まれる。また、右側の受口53には、第2陶管300の差口300aが差し込まれる。
【0035】
図8および図9に示すように、第2スライド継手50の受口51、53の近傍には、ゴム輪受容部56、57が、外側に突出するようにそれぞれ形成されている。これらゴム輪受容部56、57は、第2スライド継手50の管内の内周面に沿って環状に形成されている。ゴム輪受容部56には、環状のゴム輪58が固定されており、ゴム輪受容部57には、環状のゴムパッキン59が固定されている。ゴム輪受容部57は、ゴムパッキン59が固定される固定部57aと、固定部57aよりも小径の中段部57bとからなる(図9参照)。この固定部57aと中段部57bとの間には段差が形成されている。このゴムパッキン59は、本発明にいうゴム輪に含まれるものである。ゴム輪58およびゴムパッキン59は、その一部がゴム輪受容部56、57に形成された窪みに嵌まり込んでいる。このように、ゴム輪58およびゴムパッキン59が窪みに嵌まり込むように取り付けられていることによって、補修用管30および第2陶管300上で第2スライド継手50を軸方向にスライド移動させても、ゴム輪58およびゴムパッキン59がゴム輪受容部56、57から離脱してしまうことを防止することができる。
【0036】
図9に示すように、第2スライド継手50では、受口51の開口部54の内径Cと、受口53の開口部55の内径Dとの大きさが異なっており、開口部55の内径Dが、開口部54の内径Cよりも大きくなっている。これは、受口53に差し込まれる第2陶管300の差口300aの外径が、受口51に差し込まれる補修用管30の差口33の外径よりも大きいことによるものである。
【0037】
次に、図10〜図16を参照しながら、本実施形態に係る下水道用配管の補修方法について説明する。
【0038】
(i)破損部分を含む陶管の露出
例えば、図10に示すように、3つの陶管100、200、300が接続されている場合において、中央の陶管200の一部が破損している場合を考える。この場合、まず、掘削を行い、破損部分Zを含む陶管(破損陶管)200の全体を露出させる。なお、陶管の長さは1〜2mが通常で、長くても4m程度であるため、掘削により陶管200の全体を露出させる作業は、大きな困難を伴う作業ではない。
【0039】
(ii)破損部分を含む陶管の除去
破損部分Zを含む陶管200を露出させると、次に、図11に示すように、この陶管200を全て除去する。この陶管200の除去方法は何ら限定されないが、例えば、陶管200の脆い性質を利用し、陶管200を金槌等で砕く方法などを挙げることができる。このように、陶管200の全体を除去する方法を採用することによって、第1陶管100の受口100aや第2陶管300の差口300aなどの施工性の高い部分を、配管構造10に対する接続部分として利用することができる。
【0040】
(iii)継手用管の接合
破損部分Zを含む陶管200を除去すると、次に、図12に示すように、露出した第1陶管100の受口100aに、継手用管20の差口21を差し込み、継手用管20の鍔部22と、陶管100の接合端面100bとを当接させた後、接合剤60を用いて第1陶管100と継手用管20とを接合させる。なお、第1陶管100の内径と、継手用管20の内径とは同じ大きさであるため、陶管100と継手用管20との接続部分に段差は生じない。すなわち、第1陶管100の内面と継手用管20の内面とは、実質的に段差無く連続する。
【0041】
(iv)補修用管の準備
次に、継手用管20と第2陶管300との間の距離Lに応じた長さの補修用管30を準備する。補修用管30として、予め規格化された長さの管を用いてもよいが、現場において所定長さの管を切断すること、または、所定長さの管を接着剤等によって接合すること等によって、上記長さLの補修用管30を作成することも可能である。本実施形態では、補修用管30は塩化ビニルによって形成されているので、そのような切断または接合による長さ調整は極めて容易である。
【0042】
(v)補修用管に対するスライド継手の接続
次に、図13に示すように、補修用管30に第1スライド継手40と第2スライド継手50とをそれぞれ取り付けて、これらを一体化させる。具体的には、第1スライド継手40の右側の受口43に、補修用管30の左側の差口31を差し込むとともに、第2スライド継手50の左側の受口51に、補修用管30の右側の差口33を差し込む。このとき、上述したように、補修用管30の両側の差口31、33は共に、先端部が面取りされて先細り形状になっているため、第1スライド継手40の受口43および第2スライド継手50の受口51に差し込み易くなっている。
【0043】
(vi)補修用管の位置決め
次に、図14および図15に示すように、第1スライド継手40および第2スライド継手50と一体化された補修用管30を、継手用管20と第2陶管300との間に位置づける。すなわち、補修用管30を、陶管200の代わりに配置する。なお、この際、補修用管30の左側端面および継手用管20の右側端面、並びに、補修用管30の右側端面および第2陶管300の左側端面は、それぞれ当接した状態となる。また、補修用管30の内面と継手用管20の内面、並びに、補修用管30の内面と第2陶管300の内面は、それぞれ実質的に段差無く連続する。
【0044】
(vii)スライド継手による接続
次に、第1スライド継手40を左方向にスライド移動させるとともに、第2スライド継手50を右方向にスライド移動させる。これにより、図16に示すように、第1スライド継手40の左側の受口41に継手用管20の右側の差口23が差し込まれるとともに、第2スライド継手50の右側の受口53に第2陶管300の差口300aが差し込まれる。
【0045】
このとき、第1スライド継手40のゴム輪48により継手用管20が径方向内向きに押圧されるとともに、ゴム輪49により補修用管30が径方向内向きに押圧される。これにより、第1スライド継手40によって継手用管20と補修用管30とが接続固定される。
【0046】
また、第2スライド継手50のゴム輪58により補修用管30が径方向内向きに押圧されるとともに、ゴムパッキン59により第2陶管300が径方向内向きに押圧される。これにより、第2スライド継手50によって補修用管30と第2陶管300とが接続固定される。
【0047】
(viii)埋め戻し
上記(vii)の工程が終了すると、最後に、(i)の工程にて掘削した箇所を埋め戻す。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、破損陶管200の全体を除去し、破損陶管200の代わりに継手用管20および補修用管30を設けることによって、第1陶管100から第2陶管300に至る流路の内面に段差が生じないようにした。そのため、従来のように段差部分に塵や汚泥等が堆積することを防止することができる。したがって、補修後の下水道用配管において、下水の流下特性の悪化を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、破損陶管200の全部を除去することとしたので、従来技術のように陶管の一部を切断する必要がない。そのため、陶管の切断に係る熟練した技術を必要とせず、補修作業を簡略化することができる。また、陶管の切断のための専用の切断装置も不要である。さらに、補修作業を簡略化することができるため、補修に係る時間も短縮させることができる。
【0050】
ところで、従来のように、陶管を切断し、その切断部分に継手を接続する方法では、陶管の接続部分(すなわち切断部分)の強度が弱くなりがちであった。これに対し、本実施形態では、陶管を切断する工程がなく、後に継手用管20や補修用管30と接続される部分は、もともと他の陶管と接続される部分(第1陶管100の受口100aおよび第2陶管300の差口300a)であり、本来的に強度の大きな部分である。そのため、本実施形態によれば、陶管に関して、施工性の高い接合面を得ることができ、接続部分の信頼性を向上させることができる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、継手だけでなく、補修用管30を用いることとしたので、補修すべき箇所の長さが長くても、補修用管30の長さを適宜に選定することによって、補修を行うことが可能となる。したがって、補修箇所の長さの制約を受けにくい。
【0052】
本実施形態において、補修用管30は、合成樹脂によって形成されている。そのため、補修用管30を切断等する作業は、陶管を切断等する作業と比較して、かなり容易である。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1陶管100の受口100aに、継手用管20の差口21を差し込んだ後に、第1陶管100と継手用管20とを接合剤60により接合するようにしている。このように、先に継手用管20を第1陶管100に固定させておくことにより、後の工程において、第1スライド継手40および第2スライド継手50を一体化させた補修用管30を所定位置に位置づけることが容易になる。
【0054】
本実施形態では、スライド継手40,50として、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪48,49,58,59を備えた管状のスライド継手を用いている。そのため、管同士を段差が生じないように接続するスライド継手を、簡易な構成によって実現することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、接合剤60を用いて継手用管20と第1陶管100とを接合する場合について説明したが、継手用管20と第1陶管100との接続方法としてはこれに限定されず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、図17に示すように、継手用管20と第1陶管100との間に介在して径方向に弾性力を付与するパッキン、例えばUパッキン70を用いて継手用管20と第1陶管100とを接続するようにしてもよい。接続に際しては、Uパッキン70を継手用管20の外周面に嵌め込んだ後、継手用管20を第1陶管100の受口に差し込んでもよく、あるいは、Uパッキン70を第1陶管100の受口の内周面に嵌め込んだ後、継手用管20を第1陶管100の受口に差し込んでもよい。これにより、継手用管20と第1陶管100との接続作業を簡単化することができる。なお、Uパッキン70の他、Lパッキン、Vパッキン、Oリング等の各種のパッキンを用いて継手用管20と陶管100とを接続することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、下水道用配管の補修方法、および下水道用配管構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係る下水道用配管構造の構成部材を示す分解側面図である。
【図2】(a)は継手用管の側面図であり、(b)は継手用管の正面図である。
【図3】継手用管の縦断面図である。
【図4】(a)は補修用管の側面図であり、(b)は補修用管の正面図である。
【図5】補修用管の縦断面図である。
【図6】(a)は第1スライド継手の側面図であり、(b)は第1スライド継手の正面図である。
【図7】第1スライド継手の縦断面図である。
【図8】(a)は第2スライド継手の側面図であり、(b)は第2スライド継手の正面図である。
【図9】第2スライド継手の縦断面図である。
【図10】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図11】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図12】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図13】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図14】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図15】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図16】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図17】継手用管と第1陶管との接続方法の変形例を示す図である。
【図18】従来技術に係る下水道用配管の補修方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10 下水道用配管構造
20 継手用管
30 補修用管
40 第1スライド継手
50 第2スライド継手
100 第1陶管
200 破損陶管
300 第2陶管
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道用配管の補修方法、および下水道用配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水道用配管に陶器製の管(陶管)が使用されている。しかし、陶管は硬くて脆いという性質を有しており、亀裂等が発生しやすい。このように陶管に亀裂等が発生した場合には、下水道用配管の補修が必要となる。陶管の補修方法として、例えば、非特許文献1および特許文献1に記載の補修方法を挙げることができる。
【0003】
図18は、非特許文献1および特許文献1に記載の陶管の補修方法を説明するための説明図である。図18に示すように、これらの文献に記載の補修方法では、まず、堀削孔166を形成し、破損が生じている陶管150を露出させ、その後、陶管150における破損部分を含む一定範囲(図中、両A線で挟まれる範囲)を切断する。
【0004】
そして、陶管150の切断箇所を繋ぐ継手として、陶管補修用継手110を準備する。この陶管補修用継手110は、受口121を有する第1短管部120と、受口131を有する第2短管部130とから構成されており、第2短管部130の内部に第1短管部120がスライド自在に挿通されている。この構成により、陶管補修用継手110は、軸方向に伸縮自在となっている。
【0005】
そして、第2短管部130を第1短管部120に対してスライド移動させることによって陶管補修用継手110の全体の長さを調整し、陶管150の切断端部151、151をそれぞれ差口として、陶管補修用継手110の受口121、131に差し込む。その後、切断端部151、151と受口121、131とをそれぞれ接合剤等を用いて接合した後、陶管補修用継手110を埋め戻す。
【非特許文献1】編者「塩化ビニル管・継手協会」、「JPPFA 下水道用硬質塩化ビニル管 AS19」、平成14年7月1日改正、第15頁
【特許文献1】特開2004−353356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の補修方法では、以下に説明するような課題があった。まず、陶管補修用継手110では、第1短管部120の端部と第2短管部130との間に段差が形成されているため、この段差付近(図18中のX領域。いわゆる「溜まり」部分)に塵や汚泥等が堆積しやすかった。そのため、堆積した汚泥等により、下水の流下特性が低下するおそれがあった。
【0007】
また、陶管は、硬くて脆いという特性を有しており、また、かなり大径の陶管を補修する場合もあることから、陶管の一部を切断するという作業自体が困難なものとなってしまう。そのため、このような陶管の切断作業には、施工者に熟練した技術が要求される。
【0008】
さらに、陶管補修用継手110の長さは、陶管補修用継手110を最大限まで伸ばしたときが上限となるように限定されているため、補修可能な長さが限定されてしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、補修後の下水用配管における下水の流下特性の低下を抑制することである。また、本発明の他の目的は、補修の際に熟練した技術を必要とせず、また、補修に係る時間の短縮を図ることができる補修方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、補修箇所の長さの制約を受けにくい補修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る陶管の補修方法は、複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の補修方法であって、補修すべき陶管の全体を、当該補修すべき陶管の一端側に接続されている第1の陶管の開口端部と当該補修すべき陶管の他端側に接続されている第2の陶管の開口端部とから取り除くステップと、前記第1陶管の内径と等しい内径を有する継手用管の一端を、当該継手用管の内面と前記第1陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記第1陶管の開口端部に接続する接続ステップと、一端側および他端側の内径がそれぞれ前記継手用管の内径および前記第2陶管の内径に等しく、長手方向の長さが前記継手用管の他端と前記第2陶管の開口端部との間の距離に略等しい補修用管を準備するステップと、管状の第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の一端側および他端側の外周面側にそれぞれ装着するステップと、前記第1および第2のスライド継手が装着された補修用管を、当該補修用管の内面と前記継手用管の内面とが実質的に段差無く連続し、かつ、当該補修用管の内面と前記第2陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記継手用管と前記第2陶管との間に位置づけるステップと、前記補修用管の一端に装着された前記第1のスライド継手を前記継手用管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記継手用管とを接続するステップと、前記補修用管の他端に装着された前記第2のスライド継手を前記第2陶管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記第2陶管とを接続するステップとを備えた方法である。
【0011】
上記補修方法によれば、補修後の第1陶管から第2陶管に至る間の流路(第1陶管、継手用管、補修用管、および第2陶管の内面)に段差が生じない。そのため、従来のように段差部分に塵や汚泥等が堆積することを防止することができ、下水の流下特性の悪化を抑制することができる。
【0012】
また、陶管補修用継手のみを用いる従来の方法と異なり、上記補修方法では補修用管を用いるので、補修すべき箇所の長さが長くても、除去された陶管の長さに応じた補修用管を別途準備すること(補修用管の長さを適宜に調整すること)により、補修を行うことができる。したがって、上記補修方法によれば、補修箇所の長さの制約を受けにくい。
【0013】
また、上記補修方法によれば、補修すべき陶管(亀裂等により破損している陶管、交換すべき陶管を含む)の全部を除去するので、陶管の一部を切断する必要がない。そのため、陶管の切断に係る熟練した技術を必要とせず、補修作業を簡略化することができる。また、補修作業を簡略化することができるため、補修に係る時間も短縮させることができる。また、第1および第2の陶管の開口端部は、もともと接合部分として設計されている部分であるため、陶管の中途部よりも強度が大きい。従来のように陶管の一部を切断する方法では、陶管の接続部分(継手との接続部分)は陶管の中途部になってしまい、比較的強度の小さい部分となってしまうことがあった。これに対し、上記補修方法によれば、陶管の接続部分は、本来的に強度の高い開口端部となる。そのため、陶管の接続部分の信頼性を向上させることができる。
【0014】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、前記接続ステップは、前記継手用管を前記受口に差し込んだ後に、前記継手用管と前記第1陶管とを接合剤で接合するステップであってもよい。なお、上記継手用管は、一端部に鍔部を有する短管であってもよいし、現場で塩化ビニル管を切断することにより得られるプレーン管でもよい。
【0015】
このことにより、第1陶管と継手用管とを堅固に接合することができる。
【0016】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、前記接続ステップは、径方向に弾性力を付与するパッキンを前記継手用管の外周面に嵌め込んだ後、または、前記パッキンを前記第1陶管の受口の内周面に嵌め込んだ後、前記パッキンが前記継手用管の外周面と前記第1陶管の受口の内周面との間に介在するように前記継手用管を前記第1陶管の受口に嵌め込むステップであってもよい。
【0017】
このことにより、第1陶管と継手用管との接続作業を簡略化させることができる。なお、第1および第2のスライド継手を前記補修用管に装着する方法としては特に限定されるものではない。前記第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の外周面側にそれぞれ嵌め込んで装着するようにしてもよいし、第1および第2のスライド継手の内周面側に前記補修用管を差し込んで装着するようにしてもよい。
【0018】
なお、上述した本発明に係る陶管の補修方法によって補修された下水道用配管構造も、本発明に含まれるものである。本発明に係る下水道用配管構造は、開口端部を有する第1の陶管と開口端部を有する第2の陶管との間に介在する下水道用配管構造であって、前記第1陶管の開口端部に接続され、前記第1陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する継手用管と、一端が前記継手用管の他端に当接し、他端が前記第2陶管の開口端部に当接し、前記継手用管の内面と実質的に段差無く連続しかつ前記第2陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する補修用管と、前記継手用管の他端の外周側と前記補修用管の一端の外周側とに装着され、前記継手用管と前記補修用管とを接続する第1のスライド継手と、前記補修用管の他端の外周側と前記第2陶管の開口端部の外周側とに装着され、前記補修用管と前記第2陶管とを接続する第2のスライド継手とを備えたものである。
【0019】
前記第1および第2のスライド継手は、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪が一端側および他端側に設けられたスライド継手であってもよい。
【0020】
これにより、スライド継手を簡易な構成によって実現することができる。
【0021】
前記継手用管は合成樹脂製、とりわけ塩化ビニル製であることが好ましい。また、前記補修用管は合成樹脂管、とりわけ塩化ビニル管であることが好ましい。
【0022】
これにより、合成樹脂製の管は加工および取扱いが容易であるので、補修作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、補修後の下水用配管における下水の流下特性の低下を抑制することができる。また、本発明によれは、補修の際に熟練した技術を必要とせず、また、補修に係る時間の短縮を図ることができる。また、本発明によれば、補修箇所の長さの制約を受けにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、実施形態に係る下水道用配管構造10を示す分解側面図である。図1に示すように、配管構造10は、継手用管20、補修用管30、第1スライド継手40および第2スライド継手50を有している。本実施形態では、これら継手用管20、補修用管30、第1スライド継手40および第2スライド継手50は、塩化ビニル製である。ただし、これらの部材は他の合成樹脂素材によって形成されていてもよく、その他の素材によって形成されていてもよい。
【0026】
図16に示すように、配管構造10は、複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の一部の陶管に置き換えられるものであり、第1の陶管100と第2の陶管300との間に介在する。
【0027】
まず、配管構造10を構成する各部材を順に説明する。図2(a)は、継手用管20の側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した継手用管20を右側からみた正面図である。図3は、継手用管20を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、継手用管20は、補修の際に第1陶管100の受口100aに接続されるものである。図2に示すように、この継手用管20は短管形状を有しており、左右両側に差口21、23がそれぞれ形成されている。左側の差口21は、第1陶管100の受口100aに差し込まれ、右側の差口23は、第1スライド継手40の受口41(図6参照)に差し込まれる。また、左側の差口21には、鍔部22が形成されている。さらに、右側の差口23は、先端部が先細り形状になっている。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の継手用管20は、全体にわたって同じ管内径を有している。したがって、左側の差口21の開口部24の内径と、右側の差口23の開口部25の内径とは、同じ大きさAである。また、継手用管20は、鍔部22を除いて、同じ管外径Bを有している。ただし、継手用管20は、内面が実質的に段差のない連続面であればよく、内径が一定でなくてもよい。
【0029】
図4(a)は、補修用管30の側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示した補修用管30を右側からみた正面図である。また、図5は、補修用管30を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、補修用管30は、継手用管20と第2陶管300の差口300aとの間に配置されるものである。図4に示すように、補修用管30の左右両側には、差口31、33がそれぞれ形成されている。左側の差口31は、第1スライド継手40の受口43(図6参照)に差し込まれる。また、差口31の端面は、継手用管20の差口23の端面に当接する(図16参照)。右側の差口33は、第2スライド継手50の受口51(図8参照)に差し込まれる。また、差口33の端面は、第2陶管300の差口300aの端面に当接する(図16参照)。なお、差口31、33は共に、先端部が先細り形状になっている。
【0030】
図5に示すように、補修用管30は、全体にわたって同じ内径を有している。したがって、左側の差口31の開口部34の内径と、右側の差口33の開口部35の内径とは、同じ大きさである。補修用管30の内径は、継手用管20の管内径Aと同じである。また、補修用管30は、全体にわたって同じ管外径を有している。したがって、差口31の外径と差口33の外径も同じ大きさである。補修用管30の外径は、継手用管20の外径Bと同じである。
【0031】
図6(a)は、第1スライド継手40の側面図であり、図6(b)は、図6(a)に示した第1スライド継手40を右側からみた正面図である。また、図7は、第1スライド継手40を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、この第1スライド継手40は、継手用管20と補修用管30とを接続するためのものである。図6に示すように、第1スライド継手40は短管形状を有しており、左右両側に受口41、43がそれぞれ形成されている。左側の受口41には、継手用管20の右側の差口23(図2参照)が差し込まれる。また、右側の受口43には、補修用管30の左側の差口31が差し込まれる。
【0032】
図6および図7に示すように、第1スライド継手40の受口41、43の近傍には、ゴム輪受容部46、47が、外側に突出するようにそれぞれ形成されている。これらゴム輪受容部46、47は、第1スライド継手40の管内の内周面に沿って環状に形成されている。そして、これらゴム輪受容部46、47には、環状のゴム輪48、49がそれぞれ固定されている。ゴム輪48、49は、その一部がゴム輪受容部46、47に形成された窪みに嵌まり込んでいる。このように、ゴム輪48、49が窪みに嵌まり込むように取り付けられていることによって、継手用管20および補修用管30上で第1スライド継手40を軸方向にスライド移動させても、ゴム輪48、49がゴム輪受容部46、47から離脱してしまうことを防止することができる。
【0033】
また、図7に示すように、第1スライド継手40は、ゴム輪受容部46、47が形成されている部分を除いて、全体にわたって同じ管内径を有している。したがって、左側の受口41の開口部44の内径と右側の受口43の開口部45の内径とは、同じ大きさCである。この開口部44、45の内径Cは、継手用管20の差口23の外径B、および、補修用管30の差口31の外径B(図3、図5参照)と同じか、それよりも僅かに大きい。この第1スライド継手40の内部に継手用管20および補修用管30が挿通されるからである。
【0034】
図8(a)は、第2スライド継手50の側面図であり、図8(b)は、図8(a)に示した第2スライド継手50を右側からみた正面図である。また、図9は、第2スライド継手50を軸心線を含む面で切った縦断面図である。図16に示すように、第2スライド継手50は、補修用管30と第2陶管300の差口300aとを接続するためのものである。図8に示すように、この第2スライド継手50は、内径および外径が段階的に変化する短管形状を有しており、左右両側に受口51、53がそれぞれ形成されている。左側の受口51には、補修用管30(図4参照)の差口33が差し込まれる。また、右側の受口53には、第2陶管300の差口300aが差し込まれる。
【0035】
図8および図9に示すように、第2スライド継手50の受口51、53の近傍には、ゴム輪受容部56、57が、外側に突出するようにそれぞれ形成されている。これらゴム輪受容部56、57は、第2スライド継手50の管内の内周面に沿って環状に形成されている。ゴム輪受容部56には、環状のゴム輪58が固定されており、ゴム輪受容部57には、環状のゴムパッキン59が固定されている。ゴム輪受容部57は、ゴムパッキン59が固定される固定部57aと、固定部57aよりも小径の中段部57bとからなる(図9参照)。この固定部57aと中段部57bとの間には段差が形成されている。このゴムパッキン59は、本発明にいうゴム輪に含まれるものである。ゴム輪58およびゴムパッキン59は、その一部がゴム輪受容部56、57に形成された窪みに嵌まり込んでいる。このように、ゴム輪58およびゴムパッキン59が窪みに嵌まり込むように取り付けられていることによって、補修用管30および第2陶管300上で第2スライド継手50を軸方向にスライド移動させても、ゴム輪58およびゴムパッキン59がゴム輪受容部56、57から離脱してしまうことを防止することができる。
【0036】
図9に示すように、第2スライド継手50では、受口51の開口部54の内径Cと、受口53の開口部55の内径Dとの大きさが異なっており、開口部55の内径Dが、開口部54の内径Cよりも大きくなっている。これは、受口53に差し込まれる第2陶管300の差口300aの外径が、受口51に差し込まれる補修用管30の差口33の外径よりも大きいことによるものである。
【0037】
次に、図10〜図16を参照しながら、本実施形態に係る下水道用配管の補修方法について説明する。
【0038】
(i)破損部分を含む陶管の露出
例えば、図10に示すように、3つの陶管100、200、300が接続されている場合において、中央の陶管200の一部が破損している場合を考える。この場合、まず、掘削を行い、破損部分Zを含む陶管(破損陶管)200の全体を露出させる。なお、陶管の長さは1〜2mが通常で、長くても4m程度であるため、掘削により陶管200の全体を露出させる作業は、大きな困難を伴う作業ではない。
【0039】
(ii)破損部分を含む陶管の除去
破損部分Zを含む陶管200を露出させると、次に、図11に示すように、この陶管200を全て除去する。この陶管200の除去方法は何ら限定されないが、例えば、陶管200の脆い性質を利用し、陶管200を金槌等で砕く方法などを挙げることができる。このように、陶管200の全体を除去する方法を採用することによって、第1陶管100の受口100aや第2陶管300の差口300aなどの施工性の高い部分を、配管構造10に対する接続部分として利用することができる。
【0040】
(iii)継手用管の接合
破損部分Zを含む陶管200を除去すると、次に、図12に示すように、露出した第1陶管100の受口100aに、継手用管20の差口21を差し込み、継手用管20の鍔部22と、陶管100の接合端面100bとを当接させた後、接合剤60を用いて第1陶管100と継手用管20とを接合させる。なお、第1陶管100の内径と、継手用管20の内径とは同じ大きさであるため、陶管100と継手用管20との接続部分に段差は生じない。すなわち、第1陶管100の内面と継手用管20の内面とは、実質的に段差無く連続する。
【0041】
(iv)補修用管の準備
次に、継手用管20と第2陶管300との間の距離Lに応じた長さの補修用管30を準備する。補修用管30として、予め規格化された長さの管を用いてもよいが、現場において所定長さの管を切断すること、または、所定長さの管を接着剤等によって接合すること等によって、上記長さLの補修用管30を作成することも可能である。本実施形態では、補修用管30は塩化ビニルによって形成されているので、そのような切断または接合による長さ調整は極めて容易である。
【0042】
(v)補修用管に対するスライド継手の接続
次に、図13に示すように、補修用管30に第1スライド継手40と第2スライド継手50とをそれぞれ取り付けて、これらを一体化させる。具体的には、第1スライド継手40の右側の受口43に、補修用管30の左側の差口31を差し込むとともに、第2スライド継手50の左側の受口51に、補修用管30の右側の差口33を差し込む。このとき、上述したように、補修用管30の両側の差口31、33は共に、先端部が面取りされて先細り形状になっているため、第1スライド継手40の受口43および第2スライド継手50の受口51に差し込み易くなっている。
【0043】
(vi)補修用管の位置決め
次に、図14および図15に示すように、第1スライド継手40および第2スライド継手50と一体化された補修用管30を、継手用管20と第2陶管300との間に位置づける。すなわち、補修用管30を、陶管200の代わりに配置する。なお、この際、補修用管30の左側端面および継手用管20の右側端面、並びに、補修用管30の右側端面および第2陶管300の左側端面は、それぞれ当接した状態となる。また、補修用管30の内面と継手用管20の内面、並びに、補修用管30の内面と第2陶管300の内面は、それぞれ実質的に段差無く連続する。
【0044】
(vii)スライド継手による接続
次に、第1スライド継手40を左方向にスライド移動させるとともに、第2スライド継手50を右方向にスライド移動させる。これにより、図16に示すように、第1スライド継手40の左側の受口41に継手用管20の右側の差口23が差し込まれるとともに、第2スライド継手50の右側の受口53に第2陶管300の差口300aが差し込まれる。
【0045】
このとき、第1スライド継手40のゴム輪48により継手用管20が径方向内向きに押圧されるとともに、ゴム輪49により補修用管30が径方向内向きに押圧される。これにより、第1スライド継手40によって継手用管20と補修用管30とが接続固定される。
【0046】
また、第2スライド継手50のゴム輪58により補修用管30が径方向内向きに押圧されるとともに、ゴムパッキン59により第2陶管300が径方向内向きに押圧される。これにより、第2スライド継手50によって補修用管30と第2陶管300とが接続固定される。
【0047】
(viii)埋め戻し
上記(vii)の工程が終了すると、最後に、(i)の工程にて掘削した箇所を埋め戻す。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、破損陶管200の全体を除去し、破損陶管200の代わりに継手用管20および補修用管30を設けることによって、第1陶管100から第2陶管300に至る流路の内面に段差が生じないようにした。そのため、従来のように段差部分に塵や汚泥等が堆積することを防止することができる。したがって、補修後の下水道用配管において、下水の流下特性の悪化を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、破損陶管200の全部を除去することとしたので、従来技術のように陶管の一部を切断する必要がない。そのため、陶管の切断に係る熟練した技術を必要とせず、補修作業を簡略化することができる。また、陶管の切断のための専用の切断装置も不要である。さらに、補修作業を簡略化することができるため、補修に係る時間も短縮させることができる。
【0050】
ところで、従来のように、陶管を切断し、その切断部分に継手を接続する方法では、陶管の接続部分(すなわち切断部分)の強度が弱くなりがちであった。これに対し、本実施形態では、陶管を切断する工程がなく、後に継手用管20や補修用管30と接続される部分は、もともと他の陶管と接続される部分(第1陶管100の受口100aおよび第2陶管300の差口300a)であり、本来的に強度の大きな部分である。そのため、本実施形態によれば、陶管に関して、施工性の高い接合面を得ることができ、接続部分の信頼性を向上させることができる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、継手だけでなく、補修用管30を用いることとしたので、補修すべき箇所の長さが長くても、補修用管30の長さを適宜に選定することによって、補修を行うことが可能となる。したがって、補修箇所の長さの制約を受けにくい。
【0052】
本実施形態において、補修用管30は、合成樹脂によって形成されている。そのため、補修用管30を切断等する作業は、陶管を切断等する作業と比較して、かなり容易である。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1陶管100の受口100aに、継手用管20の差口21を差し込んだ後に、第1陶管100と継手用管20とを接合剤60により接合するようにしている。このように、先に継手用管20を第1陶管100に固定させておくことにより、後の工程において、第1スライド継手40および第2スライド継手50を一体化させた補修用管30を所定位置に位置づけることが容易になる。
【0054】
本実施形態では、スライド継手40,50として、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪48,49,58,59を備えた管状のスライド継手を用いている。そのため、管同士を段差が生じないように接続するスライド継手を、簡易な構成によって実現することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、接合剤60を用いて継手用管20と第1陶管100とを接合する場合について説明したが、継手用管20と第1陶管100との接続方法としてはこれに限定されず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、図17に示すように、継手用管20と第1陶管100との間に介在して径方向に弾性力を付与するパッキン、例えばUパッキン70を用いて継手用管20と第1陶管100とを接続するようにしてもよい。接続に際しては、Uパッキン70を継手用管20の外周面に嵌め込んだ後、継手用管20を第1陶管100の受口に差し込んでもよく、あるいは、Uパッキン70を第1陶管100の受口の内周面に嵌め込んだ後、継手用管20を第1陶管100の受口に差し込んでもよい。これにより、継手用管20と第1陶管100との接続作業を簡単化することができる。なお、Uパッキン70の他、Lパッキン、Vパッキン、Oリング等の各種のパッキンを用いて継手用管20と陶管100とを接続することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、下水道用配管の補修方法、および下水道用配管構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係る下水道用配管構造の構成部材を示す分解側面図である。
【図2】(a)は継手用管の側面図であり、(b)は継手用管の正面図である。
【図3】継手用管の縦断面図である。
【図4】(a)は補修用管の側面図であり、(b)は補修用管の正面図である。
【図5】補修用管の縦断面図である。
【図6】(a)は第1スライド継手の側面図であり、(b)は第1スライド継手の正面図である。
【図7】第1スライド継手の縦断面図である。
【図8】(a)は第2スライド継手の側面図であり、(b)は第2スライド継手の正面図である。
【図9】第2スライド継手の縦断面図である。
【図10】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図11】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図12】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図13】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図14】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図15】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図16】下水道用配管の補修の際の手順を説明するための図である。
【図17】継手用管と第1陶管との接続方法の変形例を示す図である。
【図18】従来技術に係る下水道用配管の補修方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10 下水道用配管構造
20 継手用管
30 補修用管
40 第1スライド継手
50 第2スライド継手
100 第1陶管
200 破損陶管
300 第2陶管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の補修方法であって、
補修すべき陶管の全体を、当該補修すべき陶管の一端側に接続されている第1の陶管の開口端部と当該補修すべき陶管の他端側に接続されている第2の陶管の開口端部とから取り除くステップと、
前記第1陶管の内径と等しい内径を有する継手用管の一端を、当該継手用管の内面と前記第1陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記第1陶管の開口端部に接続する接続ステップと、
一端側および他端側の内径がそれぞれ前記継手用管の内径および前記第2陶管の内径に等しく、長手方向の長さが前記継手用管の他端と前記第2陶管の開口端部との間の距離に略等しい補修用管を準備するステップと、
管状の第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の一端側および他端側の外周面側にそれぞれ装着するステップと、
前記第1および第2のスライド継手が装着された補修用管を、当該補修用管の内面と前記継手用管の内面とが実質的に段差無く連続し、かつ、当該補修用管の内面と前記第2陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記継手用管と前記第2陶管との間に位置づけるステップと、
前記補修用管の一端に装着された前記第1のスライド継手を前記継手用管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記継手用管とを接続するステップと、
前記補修用管の他端に装着された前記第2のスライド継手を前記第2陶管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記第2陶管とを接続するステップと、
を備えた下水道用配管の補修方法。
【請求項2】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、
前記接続ステップは、前記継手用管を前記受口に差し込んだ後に、前記継手用管と前記第1陶管とを接合剤で接合するステップである、請求項1に記載の下水道用配管の補修方法。
【請求項3】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、
前記接続ステップは、径方向に弾性力を付与するパッキンを前記継手用管の外周面に嵌め込んだ後、または、前記パッキンを前記第1陶管の受口の内周面に嵌め込んだ後、前記パッキンが前記継手用管の外周面と前記第1陶管の受口の内周面との間に介在するように前記継手用管を前記第1陶管の受口に嵌め込むステップである、請求項1に記載の下水道用配管の補修方法。
【請求項4】
開口端部を有する第1の陶管と開口端部を有する第2の陶管との間に介在する下水道用配管構造であって、
前記第1陶管の開口端部に接続され、前記第1陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する継手用管と、
一端が前記継手用管の他端に当接し、他端が前記第2陶管の開口端部に当接し、前記継手用管の内面と実質的に段差無く連続しかつ前記第2陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する補修用管と、
前記継手用管の他端の外周側と前記補修用管の一端の外周側とに装着され、前記継手用管と前記補修用管とを接続する第1のスライド継手と、
前記補修用管の他端の外周側と前記第2陶管の開口端部の外周側とに装着され、前記補修用管と前記第2陶管とを接続する第2のスライド継手と、
を備えた下水道用配管構造。
【請求項5】
前記第1および第2のスライド継手は、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪が一端側および他端側に設けられたスライド継手である、請求項4に記載の下水道用配管構造。
【請求項6】
前記継手用管および前記補修用管は合成樹脂からなる、請求項4または5に記載の下水道用配管構造。
【請求項1】
複数の陶管が順次接続されてなる下水道用配管の補修方法であって、
補修すべき陶管の全体を、当該補修すべき陶管の一端側に接続されている第1の陶管の開口端部と当該補修すべき陶管の他端側に接続されている第2の陶管の開口端部とから取り除くステップと、
前記第1陶管の内径と等しい内径を有する継手用管の一端を、当該継手用管の内面と前記第1陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記第1陶管の開口端部に接続する接続ステップと、
一端側および他端側の内径がそれぞれ前記継手用管の内径および前記第2陶管の内径に等しく、長手方向の長さが前記継手用管の他端と前記第2陶管の開口端部との間の距離に略等しい補修用管を準備するステップと、
管状の第1および第2のスライド継手を、前記補修用管の一端側および他端側の外周面側にそれぞれ装着するステップと、
前記第1および第2のスライド継手が装着された補修用管を、当該補修用管の内面と前記継手用管の内面とが実質的に段差無く連続し、かつ、当該補修用管の内面と前記第2陶管の内面とが実質的に段差無く連続するように、前記継手用管と前記第2陶管との間に位置づけるステップと、
前記補修用管の一端に装着された前記第1のスライド継手を前記継手用管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記継手用管とを接続するステップと、
前記補修用管の他端に装着された前記第2のスライド継手を前記第2陶管側にスライドさせることによって、前記補修用管と前記第2陶管とを接続するステップと、
を備えた下水道用配管の補修方法。
【請求項2】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、
前記接続ステップは、前記継手用管を前記受口に差し込んだ後に、前記継手用管と前記第1陶管とを接合剤で接合するステップである、請求項1に記載の下水道用配管の補修方法。
【請求項3】
前記第1陶管の開口端部は、径方向外向きに広がった受口からなり、
前記接続ステップは、径方向に弾性力を付与するパッキンを前記継手用管の外周面に嵌め込んだ後、または、前記パッキンを前記第1陶管の受口の内周面に嵌め込んだ後、前記パッキンが前記継手用管の外周面と前記第1陶管の受口の内周面との間に介在するように前記継手用管を前記第1陶管の受口に嵌め込むステップである、請求項1に記載の下水道用配管の補修方法。
【請求項4】
開口端部を有する第1の陶管と開口端部を有する第2の陶管との間に介在する下水道用配管構造であって、
前記第1陶管の開口端部に接続され、前記第1陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する継手用管と、
一端が前記継手用管の他端に当接し、他端が前記第2陶管の開口端部に当接し、前記継手用管の内面と実質的に段差無く連続しかつ前記第2陶管の内面と実質的に段差無く連続する内面を有する補修用管と、
前記継手用管の他端の外周側と前記補修用管の一端の外周側とに装着され、前記継手用管と前記補修用管とを接続する第1のスライド継手と、
前記補修用管の他端の外周側と前記第2陶管の開口端部の外周側とに装着され、前記補修用管と前記第2陶管とを接続する第2のスライド継手と、
を備えた下水道用配管構造。
【請求項5】
前記第1および第2のスライド継手は、径方向内向きに押圧力を付与するゴム輪が一端側および他端側に設けられたスライド継手である、請求項4に記載の下水道用配管構造。
【請求項6】
前記継手用管および前記補修用管は合成樹脂からなる、請求項4または5に記載の下水道用配管構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−278020(P2007−278020A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108814(P2006−108814)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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