説明

乗用草刈機

【課題】前タイヤにおける走行面からの振動を低減した乗用草刈機を提供する。
【解決手段】走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う電動ローンモワ10において、シャーシ11,11と、シャーシ11の前端部両側に設けられ、それぞれ独立して動作するサスペンション28,28と、それぞれのサスペンション28の下方に設けられた従動式の前タイヤ12,12と、それぞれの前タイヤ12,12の回転中心に固設された前輪軸12A,12Aと、それぞれの前輪軸12A,12Aを支持する前タイヤブラケット17,17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用のローンモア(乗用草刈機)は、走行しながらエンジンなどの動力にてモアブレードを回転させて芝を刈る。このようなローンモアは、シャーシを備え、シャーシの前後の下方には、前タイヤ、後タイヤをそれぞれ備える。後タイヤは、前タイヤよりも大きい直径を有し、後タイヤの上方で、かつ、シャーシの上方には運転席を取り付ける。そして、後タイヤから運転席への振動を緩和させるために後タイヤ上方で、シャーシと運転席との間にはサスペンションを取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−113029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前タイヤからの振動を緩和させるためのサスペンションを設けておらず、走行面からの振動が前タイヤを介して車体に伝達されてしまう。このため、走行面からの振動が運転者へ直接伝達し、不快であるという問題があった。また、走行面からの衝撃が前タイヤを支持する前輪軸や前輪軸を支持する前タイヤブラケットなどへ直接及び、これらの部材の耐久性を低下させてしまうという問題もあった。
【0005】
一方、モータ走行の自動車技術をローンモアに適用するとなると、ローンモアの走行用モータ、モアブレード用モータをそれぞれ制御するためのモータドライバなど電子機器を搭載する必要がある。特に、モアブレード用モータのモータドライバは、レイアウト上、前タイヤ近傍に配置することが想定され、電子機器類を保護するためにも前タイヤを介して伝達される走行面から車体への振動を低減する必要がある。そこでこの発明は、前タイヤにおける走行面からの振動を低減した乗用草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、
車体フレームと、
該車体フレームの前端部両側に設けられ、それぞれ独立して動作するサスペンションと、
該それぞれのサスペンションの下方に設けられた従動式の前輪と、
該それぞれの前輪の回転中心に固設された前輪軸と、
該それぞれの前輪軸を支持する前輪支持部とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗用草刈機において、前記前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、
前記水平回動支持部に前記サスペンションを取り付けることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の乗用草刈機において、前記モアブレードを回転させるブレード用モータと、
該ブレード用モータの回転をコントロールするモータドライバとを備える乗用草刈機であって、
前記モータドライバを前記左右一対のシャーシの前部で、かつ、一対のシャーシの間に配置することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の乗用草刈機において、前記シャーシが前部にて前方に向かって上に傾斜するように形成され、
前記モータドライバを該シャーシに沿って傾斜して設けることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の乗用草刈機において、前記サスペンションがコイルバネを構成要素とすることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、
走行方向の左右両側に沿って一対のシャーシと、
該一対のシャーシの間に備える回動支点と、
該回動支点に対して回動自在であり、かつ、機体の幅方向に延びるビームと、
該ビームを水平に保持するように働く弾性部と、
前輪を走行方向に回転自在に支持する前輪支持部と、
該前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、
前記ビームの両端にそれぞれ前記水平回動支持部を固設することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の乗用草刈機において、前記水平回動支持部の下部に前記ビームを固設する一方、前記水平回動支持部の上部に前記弾性部を掛け渡すことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の乗用草刈機において、前記弾性部が、
受け部材と、
該受け部材内をスライド自在であるスライド部材と、
前記受け部材と前記スライド部材との間に備えられたコイルバネとで構成され、
該コイルバネは、
前記受け部材の外周に固設された受け部材ストッパーと、前記スライド部材の外周に固設されたスライド部材ストッパーとに当接するように設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、車体フレームと、その車体フレームの前端部両側に設けられ、それぞれ独立して動作するサスペンションと、そのそれぞれのサスペンションの下方に設けられた従動式の前輪と、そのそれぞれの前輪の回転中心に固設された前輪軸と、そのそれぞれの前輪軸を支持する前輪支持部とを備えるので、前タイヤが受ける走行面からの振動がサスペンションによって吸収され、車体に伝達されることを防止する。したがって、前タイヤにおける走行面からの振動を低減した乗用草刈機を提供することができる。これによって、運転者への走行面からの衝撃も緩和することができ、快適に運転することができる。さらに、走行面から前タイヤへの衝撃がサスペンションによって緩和されるので、前タイヤを支持する前輪軸や前輪支持部などへ衝撃が直接及ぶのを防止することができ、これらの部材の耐久性を向上させることができる。また、例えば、乗用草刈機のモアブレードがモータ駆動であって、そのモータドライバを前タイヤ近傍に配置するような場合、前タイヤを介して伝達される走行面からの振動を低減することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、水平回動支持部にサスペンションを取り付けるので、別途、サスペンションを設けるための部材を必要とせず、簡単な構成の乗用草刈機を提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、モアブレードを回転させるブレード用モータと、そのブレード用モータの回転をコントロールするモータドライバとを備える乗用草刈機であって、モータドライバを左右一対のシャーシの前部で、かつ、一対のシャーシの間に配置するので、サスペンションを左右の前輪で独立して設けることによって開いたスペースを有効に使用することができる。すなわち、モータドライバをフロントアクスル間に設けることが可能で、車高を低く抑えることができ、乗降が容易で、かつ、前方の視界の良好な乗用草刈機を提供することができる。また、低床化によって車体の重心を低く抑えることができ、安定走行を可能とする乗用草刈機を提供することができる。さらに、左右独立のサスペンションとしたことで、機体の幅方向にわたって左右の前輪を繋ぐフレーム類やこのフレーム類とリンクしたサスペンションを設ける必要がなく、機体の前面に何も障害物がない状態にすることができる。この状態において、モータドライバを左右一対のシャーシの前部で、かつ、一対のシャーシの間に配置するので、走行中に前方より冷却風を取り入れやすい構造とすることができる。したがって、モータドライバの冷却効率のよい乗用草刈機を提供することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、シャーシが前部にて前方に向かって上に傾斜するように形成され、モータドライバをそのシャーシに沿って傾斜して設けるので、モータドライバを一対のシャーシ間に配置しながら、乗用草刈機の全長を短く抑えることができる。乗用草刈機の全長を短くすることで、ホイルベースを短くすることができ、旋回半径を小さくすることができる。これによって、乗用草刈機の作業性を向上させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、サスペンションがコイルバネであるので、簡単な部材でサスペンションを構成することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、走行方向の左右両側に沿って一対のシャーシと、その一対のシャーシの間に備える回動支点と、その回動支点に対して回動自在であり、かつ、機体の幅方向に延びるビームと、そのビームを水平に保持するように働く弾性部と、前輪を走行方向に回転自在に支持する前輪支持部と、その前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、ビームの両端にそれぞれ水平回動支持部を固設するので、前タイヤが受ける走行面からの振動が弾性部によって吸収され、車体に伝達されることを防止する。したがって、前タイヤにおける走行面からの振動を低減した乗用草刈機を提供することができる。これによって、運転者への走行面からの衝撃も緩和することができ、快適に運転することができる。さらに、走行面から前タイヤへの衝撃が弾性部によって緩和されるので、前タイヤを支持する前輪軸や前輪支持部などへ衝撃が直接及ぶのを防止することができ、これらの部材の耐久性を向上させることができる。また、例えば、乗用草刈機のモアブレードがモータ駆動であって、そのモータドライバを前タイヤ近傍に配置するような場合、前タイヤを介して伝達される走行面からの振動を低減することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、水平回動支持部の下部にビームを固設する一方、水平回動支持部の上部に弾性部を掛け渡すので、正面視で矩形の構造を形成することができ、簡単な構成によって剛性のある構造を実現した弾性部を提供することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、弾性部が、受け部材と、受け部材内をスライド自在であるスライド部材と、受け部材とスライド部材との間に備えられたコイルバネとで構成され、コイルバネは、受け部材の外周に固設された受け部材ストッパーと、スライド部材の外周に固設されたスライド部材ストッパーとに当接するように設けられるので、簡単な構成で弾性部を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の乗用草刈機の一例としての、電動ローンモアの右側面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その要部右側面図である。
【図4】その要部平面図である。
【図5】その要部平面図である。
【図6】サスペンションの拡大斜視図である。
【図7】図6の張出部を取り除いた斜視図である。
【図8】(a)は図7から支持部と圧縮バネを取り除いた斜視図、(b)は支持部の斜視図、(c)はバネケースの斜視図、(d)はバネ受の斜視図である。
【図9】サスペンションの動きを示すための図であり、左側は平坦な走行面を走行するとき、右側は突起がある走行面を走行するときの図である。
【図10】この発明の乗用草刈機の別の例としての電動ローンモアの要部拡大右側面図である。
【図11】その平面図である。
【図12】その斜視図である。
【図13】(a)はサスペンションの主要部を示す斜視図、(b)は支持軸およびバネ軸の斜視図、(c)はビームの斜視図である。
【図14】(a)は平坦な走行面を走行するときの図、(b)は左タイヤが突起に乗り上げた状態の図、(c)は右タイヤが突起に乗り上げた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1,2には、それぞれこの発明の乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア10の平面図と左側面図を示す。電動ローンモア10は、左右一対のフレーム状のシャーシ11と、シャーシ11の下方に、一対の前タイヤ(従動式の前輪)12と、一対の後タイヤ13とを備える。また、前タイヤ12と後タイヤ13との間には、モアデッキ14を備える。モアデッキ14は略楕円状の縁のある皿型で、皿の底面を上にして備える。モアデッキ14の内側には、不図示のモアブレード(草刈刃)を、その長径方向に2つ並べて備える。このモアブレードの回転中心には、それぞれ草刈用モータ(モアブレード用モータ)15,15を取り付ける。なお、モアデッキ14は、その短径方向を(電動ローンモア10の直進方向より)やや右側に傾けて設けられる。すなわち、右側のモアブレードの回転中心は、左側のそれと比べて、直進方向でやや後方となる。
【0024】
シャーシ11の上には、本体カバー20を被せる。本体カバー20は、シャーシ11全体を覆うものである。後タイヤ13のやや前方で本体カバー20上には、運転席21を設ける。運転席21の左右側方には、電動ローンモア10の走行操作をするための走行操作レバー22,22をそれぞれ備える。右の走行操作レバー22のさらに外側には、モアデッキ14の地面からの高さを調節するためのモアデッキ昇降操作レバー(昇降操作レバー)24を備える。運転席21の左右それぞれの下方には冷却口26A,26Aを、運転席21の前側の下方には、冷却口26Bを設ける。冷却口26A,26Bは、後述するバッテリー25を冷却するための空気を取り入れるためのものであり、本体カバー20に形成された開口である。また、運転席21の後方には排気口27を2つ設ける。排気口27,27は、冷却口26A,26Bから取り入れられた空気が車体内を通過して排出されるためのものであり、本体カバー20に形成された開口である。
【0025】
なお、電動ローンモア10は、草刈りに加えて、走行も電動モータによってまかなうものであり、一対の後タイヤ13,13の内側にそれぞれ走行用モータ16を備え、この走行用モータ16によって後タイヤ13,13を駆動させる(なお、後タイヤ13,13のホイール内にそれぞれホイールモータを備えてもよい)。
【0026】
前述の2つの草刈用モータ15および2つの走行用モータ16の電力は、同一のバッテリーから供給される。バッテリー25は、本体カバー20内で、運転席21の下方に6つ備える。詳しくは、バッテリー25を、後タイヤ13,13のアクスル間で、かつ、シャーシ11の上に(電動ローンモア10の直進方向に対して)3つ並べて備え、それら3つのバッテリー25の前後に、これらと直角に1つずつ備える。さらに、後タイヤ13,13の後方で、かつ、シャーシ11の下方に、走行方向と直角にバッテリー25を1つ備える。これら6つのバッテリー25は、不図示のブラケットを介してシャーシ11に取り付けられている。なお、バッテリー25は3個を直列に接続して1セットとし、この例では、これを2セット備える。したがって、バッテリー25の数は3個であってもよい。その場合には、シャーシ11の上に(電動ローンモア10の直進方向に対して)3つ並べるものとする。
【0027】
左後タイヤ13のフェンダーには、バッテリー25を充電する際にプラグを差し込むための給電口28を備える。給電口28は、本体カバー20に蓋付の開口である。給電口28にはプラグを備え、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んで、バッテリー25を充電する。バッテリー25とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
【0028】
バッテリー25の上には、不図示のモータドライバ(制御部)を備える。このモータドライバは、電動ローンモア10の走行用モータ16を制御するものである。モータドライバは、走行操作レバー22の傾動量(後述)に応じて走行用モータ16の回転方向および回転速度を制御する。このモータドライバは、走行用モータ16の制御に加えて、バッテリー25の微小な電圧の変動を補正する役割も担っている。一方、草刈用モータ15の回転制御を行う別のモータドライバを前タイヤ12,12の間の上方で、かつ、シャーシ11,11の間に配置する(このモータドライバは後述する符号MDである)。なお、草刈用モータ15の回転は、走行用モータ16の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
【0029】
前タイヤ12,12はそれぞれ、前輪軸を介して前タイヤブラケット(前輪支持部)17に従動回転自在に取り付けられている。前タイヤブラケット17は、サスペンション28を介してシャーシ11に対して水平方向に回動自在に取り付けられている。これら2つの前タイヤブラケット17,17は、シャーシ11,11に対してそれぞれ独立に上下動および水平回動する。
【0030】
走行操作レバー22は傾動可能に設けられ、運転者がこれを前に倒すと走行用モータ16が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー22が後に倒されると走行用モータ16は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー22の傾動度合いによって走行用モータ16の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー22を大きく前(後)に倒すと、走行用モータ16が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー22を小さく前(後)に倒すと、走行用モータ16が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転者は、走行操作レバー22,22を前後に適宜操作することで、直後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0031】
そして、右側の走行操作レバー22の端部には、モアデッキ14内の2つのモアブレードの回転をON、OFFする草刈スイッチ23を設ける。草刈スイッチ23は、リミット型のスイッチを用い、運転者が指で押下するとONとなり、再度押下するとOFFとなる。
【0032】
左右のシャーシ11の略中央部には、モアデッキ14を昇降させるためのデッキ支持アーム18の一端を回動自在に取り付ける。デッキ支持アーム18の他端は、ステー19aを介してモアデッキ14に取り付けられている。なお、ステー19aはモアデッキ14の表面に溶接などで固設されている。また、デッキ支持アーム18は、ステー19aに対して回動自在に取り付けられている。なお、デッキ支持アーム18の回動中心は、シャーシ11との連結部である。このデッキ支持アーム18は、不図示のリンク機構を介して、モアデッキ昇降操作レバー24に連結されている。一方、モアデッキ14の前側には、別のステー19bが固設されている。このステー19bには、シャフトSの一端が取り付けられている。シャフトSの他端は、不図示のステーを介して車体裏面側に取り付けられている。
【0033】
なお、本体カバー20に一体に形成されたステップSTは、運転席21の運転者が座ったときに足を置くためのものである(ステップSTは、運転者が電動ローンモア10に乗車、降車する際に足を掛けるためのものでもある)。本体カバー20は、シャーシ11,11を上から覆うように設けられるものであり、ステップSTは、電動ローンモア10の前側部分に設けられる。このため、シャーシ11が電動ローンモア10の前端部にて前方に向かって上(斜め前方)に傾斜するのに沿うようにして、ステップSTの前端部を前方に向かって上(斜め前方)に傾斜するように形成される。すなわち、ステップSTの前端部の表面は、運転席21側に向かって傾いて形成されているので、運転者が運転席21に座ったとき、ステップSTの前端部に快適に足を載せることができる。
【0034】
図3〜5にはこの例の要部を示す。電動ローンモア10の車体の前端部には、2つの草刈用モータ15,15の駆動をそれぞれコントロールするためのモアモータドライバMD,MDを内装する。詳しくは、一対のシャーシ11,11の前端部(すなわち、電動ローンモア10の前端部)が前方(電動ローンモア10の前進方向)に向かって上方に傾斜して形成されており、この部分において、シャーシ11,11の間にドライバ収納部を備える。ドライバ収納部は、上面部32、前面部33、底部35、側部34にて囲まれた部分である。なお、左右のモアモータドライバMD,MDはそれぞれ、左右の草刈用モータ15,15(すなわち、左右のモアブレード)に対応している。なお、モータドライバMDは前方に向かって上方に傾斜して形成されることに限定されず、水平に載置されてもよい。
【0035】
上面部32は、矩形の鉄板を山折り、谷折りに屈曲させて3パートを構成する。3パートは、それぞれ、前部32A、後部32B、そして、前端部32Cとなる。前端部32Cには貫通孔を形成し、ボルトB1にて前面部33に固設する。後部32Bには、貫通孔を形成し、ボルトB2にてデッキ板31に固設する。なお、デッキ板31は左部、中央部、右部の3つのパートがボルトによって連結されて構成されている。デッキ板31は、シャーシ11,11の間に渡しかけられてボルトB5によってシャーシ11,11と固定される。なお、上面部32の前部32Aは、シャーシ11の形状に沿うように、(後部32Bに対して)斜め前方(電動ローンモア10の前進方向)に向かって屈曲して形成されている。
【0036】
前面部33は、鉄製で、縦断面視にて、2段階に折れ曲げて、天面33A、中間面33B、前面33Cにて構成される。前面部33は、(電動ローンモア10の)幅方向に沿うように形成され、前面33Cの下部には、スリット(空気取入部)33SLが形成されている。このスリット33SLは、モアモータドライバMDを冷却するために、走行時に車体前方より冷却風を取り入れやすくするためのものである。前面部33は、幅方向の両側に取付部を一体に備える。取付部には貫通孔を形成し、ボルトにてシャーシ11の前端の上面に固設する。また、前面33Cには貫通孔を形成し、ボルトB4にて底部35の前端の取付フラップ35Aに固設する。この前面部33は、タイヤブラケット17,17を回転自在に支持するサスペンション28,28の間に備えられる(タイヤブラケット17には、前輪軸12Aを介して、前タイヤ12が回転自在に取り付けられている)。サスペンション28は、円筒部281、圧縮バネ282、バネケース283、張出部284、バネ軸285、バネ受286などからなる(詳細は後述)。そして、バネケース283の後面283Bはシャーシ11の先端11Fと溶接によって固定されている。
【0037】
底部35は、矩形の鉄板を中央部にて湾曲させるとともに、前端を折り曲げて取り付け代としての取付フラップ35Aを形成し、また、後端を折り曲げて取り付け代としての取付フラップ35Bを形成する。取付フラップ35Aには貫通孔を設け、ボルトB4を介して前面部33に取り付ける。一方、取付フラップ35Bには貫通孔を設け、ボルトB5を介して、シャーシ11の底面に取り付ける。
【0038】
なお、側部34は、鉄板で形成され、上面部32と底部35との隙間を塞ぐように略鉛直に設けられている。
【0039】
モアモータドライバMDは、底板35上に載置されるとともに、両外側が固定板によって固定されている。モアモータドライバMDは、水平面から電動ローンモア10の前進方向の斜め上方に向けて所定の角度をもって傾斜して備えられる(すなわち、モアモータドライバMDを載置する部分の底部35が水平面から所定の角度だけ斜め上方に向けて傾斜して形成される。この角度は、シャーシ11が前端部にて前方に向かって上に傾斜する角度とほぼ同じである)。モアモータドライバMDの前面には、これを冷却するためのファンFが取り付けられる。
【0040】
図6〜8には、サスペンション28の詳細を示す。サスペンション28は、円筒部281、圧縮バネ(コイルバネ)282、バネケース283、張出部284、バネ軸285、バネ受286、ブラケット支持軸287、支持部288などで構成されている。
【0041】
円筒部(水平回動支持部)281は、鉄製の円筒で構成され、その上下端は、円板状の閉塞部281Aにてカバーされる。円筒部281内には、その中心で、かつ、その長手方向に沿ってブラケット支持軸287を配設する。このブラケット支持軸287は、略コの字状に鉄板を折り曲げて形成されたタイヤブラケット17の天面にその裏側からボルトで固設されている。閉塞部281Aは、円筒部281の内周に嵌るように形成されるとともに、その中心には、ブラケット支持軸287を回動自在に貫通させるための貫通孔が形成されている。なお、ブラケット支持部287には外周に沿って溝が形成され、閉塞部281Aは、ブラケット支持軸287を回動自在に、かつ、上下に移動不能に支持する。この閉塞部281Aは、円筒部281に溶接などで固定される。円筒部281の側面の中央よりやや下部には貫通孔を設ける。この貫通孔は、円筒部281の軸心線に対して反対側の位置にも形成される。この貫通孔には、後述するようにボルトBT3を取り付ける。
【0042】
円筒部281の上部外周には、張出部284を溶接などで固設する。張出部284は矩形の鉄板片を加工した後、断面視で略門型(逆U字)状となるように折り曲げ、その天面には貫通孔を設ける。さらに、円筒部281に固設する側の張出部284は、円筒の横断面形状に沿って切り欠きを設ける。張出部284の天面に形成された貫通孔には、バネ軸285を貫通させる。この貫通孔とバネ軸285の外周との間には一定の隙間を設けるものとする。
【0043】
バネ軸285の上端には、2つのボルトBT1をネジつけるための雄ねじが形成されている。ボルトBT1は、張出部284が上昇したときにストッパーの役割をして、バネ軸285から張出部284が抜け落ちるのを防ぐためのものである。したがって、通常状態では、ボルトBT1と張出部284との間には所定の隙間が設けられている。
【0044】
バネケース283は、背面283A、側面283B,283B、底面283Cで構成される。これらは、1つの鉄板を加工した後、隣接する面同士が略直角となるように折り曲げて形成される。背面283Aには2つの貫通孔H1を形成し、2つの側面283Bにはそれぞれ貫通孔H2を1つずつ形成し、底面283Cにはバネ軸285を挿入するための貫通孔H3を形成する。バネケース283の上面には、上面部288を取り付ける。なお、バネケース283は、シャーシ11の先端11F(図3)に溶接などで固設されている。
【0045】
上面部288は、背面288A、側面288B,288B、天面288Cとで構成される。これらは、1つの鉄板を加工した後、隣接する面同士が略直角となるように折り曲げて形成される。背面288Aには2つの貫通孔H5を形成し、2つの側面288Bにはそれぞれ貫通孔H4を1つずつ形成し、天面288Cにはバネ軸285を挿入するための貫通孔H6を形成する。天面288Cの下面側で、かつ、貫通孔H6の外周に沿った位置には、短円筒状の段部288Dを溶接などで固設する。段部288Dは外側部(アゴ部)と、外側部よりも高さの高い内側部の2段状に形成される。なお、段部288Dの外側部には、圧縮バネ282の上端が当接する。また、段部288Dの内側部には、圧縮バネ282の内側を嵌めつけて圧縮バネ282がずれることを内側より防止する。
【0046】
バネケース283の下部内側にはバネ受286を(バネ軸285に対して)上下移動自在に備える。バネ受286は、底面286A、側面286B,286Bで構成される。これらは、1つの鉄板を加工した後、隣接する面同士が略直角となるように折り曲げて形成される。底面286Aの中央部にはバネ軸285を挿入するための貫通孔H8を形成し、2つの側面286Bには、それぞれ貫通孔H7を形成する。底面286Aの上面側で、かつ、貫通孔H8の外周に沿った位置には、短円筒状の段部286Cを溶接などで固設する。段部286Cは外側部(アゴ部)と、外側部より高さの高い内側部の2段状に形成される。なお、段部286Cの外側部には、圧縮バネ282の下端が当接する。また、段部286Cの内側部には、圧縮バネ282の内側を嵌めつけて圧縮バネ282がずれることを内側より防止する。
【0047】
バネ受286の貫通孔H8とバネケース283の貫通孔H3とが合致するように配置して、ここに上方よりバネ軸285を貫通させた後、留部材285Aによってバネ軸285の下端を底面283Cの下面側に固定する。そして、圧縮バネ282をバネ軸285に上方より差し込む。そして、上面部288をバネ軸285に貫通させ、上面部288の側面288B,288Bの貫通孔H4,H4をそれぞれ、バネケース283の側面286B,286Bの貫通孔H7,H7に合わせてボルトBT3で上面部288とバネケース283とを固定する。さらに、上面部288の背面288Aの貫通孔H5,H5をそれぞれ、バネケース283の背面283Aの貫通孔H1,H1に合わせてボルト(不図示)で上面部288とバネケース283とを固定する。そして、上面部288より上方に突出しているバネ軸285をボルトBT2などによって上面部288に固定する。バネ軸285の所定箇所には、ボルトBT2をネジ留めるための雄ネジが形成されている。
【0048】
そして、張出部284をバネ軸285に貫通させ、上方よりボルトBT1,BT1を取り付ける。一方、バネ受286の貫通孔H4,H4と、円筒部281の貫通孔とを合わせ、ボルトBT3,BT3にてバネ受286と円筒部281とを固定する。なお、バネケース283の背面283Aはシャーシ11の先端11Fに溶接で固定する。
【0049】
このように構成されたサスペンション28を用いると、電動ローンモア10の走行時に走行面に突起P(地面からの高さh)があって前タイヤ12が上昇するような場合、図9に示すように、前タイヤ12の上昇分hに連動して、前タイヤブラケット17もhだけ上昇する。すると、前タイヤブラケット17上に配置されているサスペンション28の円筒部281がhだけ押し上げられる。円筒部281にはバネ受286が固設されているので、バネ受286もhだけ上昇する。バネ受286には圧縮バネ282の下端が当接しているので、バネ受286は、圧縮バネ282の弾性力に抗してhだけ圧縮バネ282を縮める。円筒部281に固設されている張出部284もバネ軸285に沿ってhだけ上昇する。ここで、突起Pの地面からの高さhが、ボルトBT1と張出部284との間の隙間L以内であれば、張出部284はボルトBT1に当接することがない。
【0050】
一方、突起Pの地面からの高さhがボルトBT1と張出部284との間の隙間Lよりも大きい場合には、張出部284はボルトBT1に当接して、それ以上上昇することができなくなる。このため、突起Pを乗り越える際の全ての上昇分をサスペンション28で吸収することができず、車体に振動が伝達してしまう。したがって、ボルトBT1と張出部284との間の隙間Lを大きく確保することで大きな突起にも対応でき、電動ローンモア10の車体に振動を伝えることがなくなる。しかし、ボルトBT1と張出部284との間の隙間Lを大きく確保するとストロークが長くなり、バネ軸285を長く設定しなければならず、電動ローンモア10の前タイヤ12付近の本体カバー20を上方に向けて膨らませて形成する必要がある。
【0051】
なお、圧縮バネ282に代えてあらゆる弾性部材を用いてもよい。
【0052】
図10〜13にはこの発明の別の例を示す。この例の電動ローンモア100は、サスペンション128を備える。サスペンション128は、円筒部(水平回動支持部)129、圧縮バネ(コイルバネ)132、支持軸(スライド部材)131、バネ軸(受け部材)134、保持部130R,130L、ストッパー(スライド部材ストッパー)133S、ストッパー(受け部材ストッパー)134S、ビーム138などで構成されている(圧縮バネ132、支持軸131、バネ軸134で弾性部を構成する。弾性部は、ビーム138を水平に保持するように機能する。また、ビーム138は、電動ローンモア100(機体)の幅方向に延びている)。また、左右のシャーシ11の前端にはそれぞれ、取付部150,150を溶接によって固設する。なお、電動ローンモア100の上記以外の構成は、前の例の電動ローンモア10と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
取付部150は矩形の鉄板を加工し、コの字状に折り曲げるとともに天面を形成してなる。そして、天面に貫通孔を設けて上面部32の前端部32CにボルトB1によって固定するとともに、底部35の前部に載置する。
【0054】
円筒部129は、タイヤブラケット(前輪支持部)17のやや上方に設けられる。円筒部129は、鉄製の円筒で構成され、その上下端は、円板状の閉塞部129Aにてカバーされる。円筒部129内には、その中心で、かつ、その長手方向に沿ってブラケット支持軸287を配設する。このブラケット支持軸287は、タイヤブラケット17の天面にその裏側からボルトで固設されている。閉塞部129Aは、円筒部129の内周に嵌るように形成されるとともに、その中心には、ブラケット支持軸287を回動自在に貫通させるための貫通孔が形成されている。ブラケット支持軸287には、外周に沿って溝が形成され、閉塞部129Aはブラケット支持軸287を回動自在に、かつ、上下移動可能に支持する。この閉塞部129Aは、円筒部129に溶接などで固定される。
【0055】
円筒部129,129はそれぞれ保持部130R,130Lと溶接などで固設されている。なお、円筒部129の保持部130R,130Lとの接触部分は、所定の幅で平面状に加工され固設しやすいようになっている。保持部130Rは、矩形の鉄板をコの字状に折り曲げて3面を形成してなる。3面の中央に位置する面には円筒部129を固設し、残りの2面にはそれぞれ向き合う位置に、貫通孔を上下に1つずつ形成する。上側の貫通孔にはピン135Rを嵌めつけて固定する。また、下側の貫通孔130RHにはピン136Rを回動自在に挿入する。保持部130Lは、保持部130Rと同様に構成される。すなわち、矩形の鉄板をコの字状に折り曲げて3面を形成してなる。3面の中央に位置する面には円筒部129を固設し、残りの2面にはそれぞれ向き合う位置に、貫通孔を上下に1つずつ形成する。上側の貫通孔にはピン135Lを嵌めつけて固定する。また、下側の貫通孔130LHにはピン136Lを回動自在に挿入する。
【0056】
圧縮バネ132は、ストッパー133S,134Sの間に備える。ストッパー133Sは、支持軸131の後部に固設する。ストッパー133Sは、いずれも鉄製の短円柱である段部133SA,133SBとで構成される。段部133SAの外径は、バネ軸134の外径とほぼ同じに形成される。段部133SBの外径は、圧縮バネ132の外径と同じかそれより大きく形成される。段部133SA,133SBの中心付近にはそれぞれ貫通孔を設け、鉄製の支持軸131を貫通させて溶接などで固定する。
【0057】
ストッパー134Sは鉄製の短円柱で、バネ軸134の前部に固設する。ストッパー134Sの外径は、バネ軸134の外径と同じかそれより大きく形成される。また、ストッパー134Sの中心付近には貫通孔を設け、鉄製のバネ軸134を貫通させて溶接などで固定する。
【0058】
なお、バネ軸134の後部には、その軸芯に沿って孔を形成する。この孔には、支持軸131の後端部が摺動自在に挿入される。支持軸131は、バネ軸134に対して左右に移動できるように、通常状態で所定の長さ分だけバネ軸134内に挿入された状態となっている。すなわち、支持軸131がバネ軸134から抜け落ちないように十分な余裕をもって挿入されている。
【0059】
支持軸131の先端には、鉄製の円筒状の回動支持部131Eの側面を溶接などで固定する。回動支持部131Eの内周径は、ピン135Rの外径よりも大きく形成する。バネ軸134の先端には鉄製の円筒状の回動支持部134Eの側面を溶接などで固定する。回動支持部134Eの内周径は、ピン135Lの外径よりも大きく形成される。
【0060】
ビーム138は、矩形の鉄板を加工し、コの字状に折り曲げて形成する。折り曲げて向かい合った両端の面の中央には貫通孔138MHを、両端には、それぞれ、貫通孔138RH,138LHを形成する。なお、貫通孔138MHの内径はピン(回動支点)139の外径よりも大きく形成される(ピン139は、2つのシャーシ11,11の中間に備え、かつ、ピン139の軸芯は電動ローンモア100の走行方向となるようにする)。また、貫通孔138RH,138LHの内径はそれぞれピン136R,136Lの外径より大きく形成される。
【0061】
そして、圧縮バネ132をバネ軸134に通してから、支持軸131をバネ軸134に嵌めつける。このとき、圧縮バネ132は所定量だけ圧縮した状態で取り付けるものとする(このときのバネ長をMとする)。さらに、回動支持部131E,134Eにそれぞれピン135R,135Lを挿入して、ピン135R,135Lを保持部130R,130Lに固設する。一方、保持部130R,130Lの下端内側にはビーム138を渡し、貫通孔130RHと貫通孔138RHとを合わせてピン136Rを挿入するとともに、貫通孔130LHと貫通孔138LHとを合わせて、ピン136Lを挿入することでサスペンション128を構成する。
【0062】
ピン139をブラケット140と貫通孔138MHとの間に挿入することで、サスペンション128を車体に回動自在に固定する。なお、サスペンション128の回動支点は、ピン139である。ブラケット140は、矩形の鉄板を所定の箇所で折り曲げて形成される。ブラケット140の一端は、前面部33の前面33Cに溶接などで固定される。一方、ブラケット140の他端は、底部35に溶接などで固定される。ブラケット140には、ステー142を介してシャフトSの一端を回動自在に取り付ける。なお、符号141はブラケット140を支持するステーであり、一端がブラケット140に、他端が底部35にそれぞれ溶接などで固定される。
【0063】
なお、この例では前の例と同様に草刈用モータ15のモータドライバMDを底部35上に載置している。
【0064】
このように構成された電動ローンモア100が走行する様子を図14(a)〜(c)に示す。電動ローンモア100が平坦な地面を走行するときは(図14(a))、圧縮バネ132は設定時の長さMとなっている。また、サスペンション128は水平に置かれている。電動ローンモア100の左側の前タイヤ12が高さg1の突起P´に乗り上げると(図14(b))、左側の円筒部129は右側の円筒部129に比べて高さg1だけ高くなる。このとき、サスペンション128は、ピン139(回動支点)を中心として左側が高くなるようにして傾く。また、支持軸131は図中で右側に移動(すなわち、バネ軸134から抜け出る方向に移動)し、これによってストッパー133S,134S間が拡がり、圧縮バネ132は延びて長さM´となる。次に、電動ローンモア100の右側の前タイヤ12が高さg2の突起P´´に乗り上げると(図14(c))、右側の円筒部129は左側の円筒部129に比べて高さg2だけ高くなる。このとき、サスペンション128は、ピン139を中心として右側が高くなるようにして傾く。また、支持軸131は図中で右側に移動(すなわち、バネ軸134から抜け出る方向に移動)し、これによってストッパー133S,134S間が拡がり、圧縮バネ132は延びて長さM´´となる。このようにして、前タイヤ12,12は、走行面の起伏に追随することができ、走行面からの振動を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明の乗用草刈機は、芝刈りに限定されるものではなく、草を刈るためのあらゆる作業に適用しうる。また、駆動源は、モータに限定されるものではなく、エンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10,100 電動ローンモア(乗用草刈機)
11 シャーシ
12 前タイヤ
12A 前輪軸
14 モアデッキ
15 草刈用モータ(モアブレード用モータ)
16 走行用モータ
17 タイヤブラケット(前輪支持部)
28,128 サスペンション
33 前面部
33C 前面
33SL スリット
129,281 円筒部(水平回動支持部)
129A,281A 閉塞部
130R,130L 保持部
131 支持軸(スライド部材)
132,282 圧縮バネ(コイルバネ)
133S ストッパー(スライド部材ストッパー)
134 バネ軸(受け部材)
134S ストッパー(受け部材ストッパー)
135R,135L 保持軸
138 ビーム
139 ピン(回動支点)
283 バネケース
284 張出部
285 バネ軸
286 バネ受
287 ブラケット支持軸
288 支持部
F ファン
MD モアモータドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、
車体フレームと、
該車体フレームの前端部両側に設けられ、それぞれ独立して動作するサスペンションと、
該それぞれのサスペンションの下方に設けられた従動式の前輪と、
該それぞれの前輪の回転中心に固設された前輪軸と、
該それぞれの前輪軸を支持する前輪支持部とを備えることを特徴とする、乗用草刈機。
【請求項2】
前記前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、
前記水平回動支持部に前記サスペンションを取り付けることを特徴とする、請求項1に記載の乗用草刈機。
【請求項3】
前記モアブレードを回転させるブレード用モータと、
該ブレード用モータの回転をコントロールするモータドライバとを備える乗用草刈機であって、
前記モータドライバを前記左右一対のシャーシの前部で、かつ、一対のシャーシの間に配置することを特徴とする、請求項1に記載の乗用草刈機。
【請求項4】
前記シャーシが前部にて前方に向かって上に傾斜するように形成され、
前記モータドライバを該シャーシに沿って傾斜して設けることを特徴とする、請求項3に記載の乗用草刈機。
【請求項5】
前記サスペンションがコイルバネを構成要素とすることを特徴とする、請求項1に記載の乗用草刈機。
【請求項6】
走行しながらモアブレードの回転によって草刈を行う乗用草刈機において、
走行方向の左右両側に沿って一対のシャーシと、
該一対のシャーシの間に備える回動支点と、
該回動支点に対して回動自在であり、かつ、機体の幅方向に延びるビームと、
該ビームを水平に保持するように働く弾性部と、
前輪を走行方向に回転自在に支持する前輪支持部と、
該前輪支持部を水平方向に回動自在に保持する水平回動支持部とを備える乗用草刈機であって、
前記ビームの両端にそれぞれ前記水平回動支持部を固設することを特徴とする、乗用草刈機。
【請求項7】
前記水平回動支持部の下部に前記ビームを固設する一方、前記水平回動支持部の上部に前記弾性部を掛け渡すことを特徴とする、請求項6に記載の乗用草刈機。
【請求項8】
前記弾性部が、
受け部材と、
該受け部材内をスライド自在であるスライド部材と、
前記受け部材と前記スライド部材との間に備えられたコイルバネとで構成され、
該コイルバネは、
前記受け部材の外周に固設された受け部材ストッパーと、前記スライド部材の外周に固設されたスライド部材ストッパーとに当接するように設けられることを特徴とする、請求項7に記載の乗用草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−239732(P2011−239732A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115104(P2010−115104)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】