説明

二重ポンプパワー制御を有する双光増幅器

光通信システムを増幅する装置が提供され、そこでは、それぞれが1個の光増幅器および少なくとも2個のポンプレーザを有する1つ以上の増幅器モジュールが、複数の制御モジュールから光学的に分離されている。各制御モジュールは、1個またはそれ以上の増幅器モジュール内の単一のポンプレーザを制御する。このようにして、制御モジュールは、増幅器モジュールを動作不能にすること無しに取り外せ、各増幅器モジュール内の複数のポンプレーザは、前記ポンプレーザの1個が故障しても効果的な動作が可能である。各モジュール内のポンプレーザはマスタ−スレーブ関係により制御され、マスタポンプレーザは出力全体を最適化するように調整され、スレーブレーザはレーザのパワー出力を一致させるように調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長距離光通信システムにおける光信号の増幅に関する。
【背景技術】
【0002】
光送信システムにおいて、入力と出力の両方の信号は、適切な信号強度を保証するために、ラインターミナル装置(LTE)において増幅される。エルビウムをドープしたファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器は、現在この目的を達成するために広く使用されている。光信号がEDFAを通過する時、ポンプがエルビウムの原子の励起を生じる波長に印加され、その結果光信号の増幅が行われる。このための適切なレーザが広く利用可能であり、集積された制御電子回路がこれまでも設けられている。
【0003】
これまで、潜水艦LTEで使用される高信頼性の光増幅器を設計する場合、ポンプレーザおよびそれに関係する電子回路は、1回の故障に対する冗長性を有するように二重にされていた。それらは置き換えも可能である。それらは集積されているので、ポンプまたはその制御電子回路のいずれかの故障は、両方の置き換えを必要とした。ポンプレーザは、明らかにEDFAに光学的に接続されていなければならないため、光ファイバを取り外す必要があり、大きな安全上の問題が発生する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、光通信信号を増幅する装置が提供され、それは、
それぞれが1個の光増幅器および少なくとも2個のポンプレーザを有する1つ以上の増幅器モジュールと、
それぞれが前記1つ以上の増幅器モジュールの1個のポンプレーザの出力を制御するように構成された少なくとも2個の個別の制御モジュールと、を備える。
【0005】
個別の制御モジュールが単一の増幅器モジュール内のポンプレーザを制御するから、本発明によれば、装置を動作不能にせずに、制御モジュールを取り外すこと(例えば、置き換えまたは更新)を可能にするという効果がある。実際、各ポンプレーザがその光増幅器だけを駆動するのを可能にし、制御モジュールの取り外しは装置の出力に重大な影響を有さないようにすることが望ましい。さらに、制御モジュールは増幅器モジュールから光学的に分離されていることが望ましく、それにより制御モジュールの取り外しはレーザの安全上の問題を生じない。
【0006】
各増幅器モジュール内のポンプレーザは、同一の波長において動作することが望ましい。さらに、好適な実施形態では、各ポンプレーザの出力は、対応するポンプレーザを有する増幅器モジュールの光増幅器において、協働方向(光通信信号の方向)ポンピングおよび対向方向(光通信信号の方向と逆の方向)ポンピングのモード間で共有される。それにより、もし1個の光増幅器モジュール内のポンプレーザの1つ以上が機能を停止しても、関係する増幅器モジュール内の協働および対向ポンピングモードの比率には影響しない。
【0007】
好適な実施形態では、本発明は2個の増幅器モジュールを備え、各増幅器モジュールは2個のポンプレーザを備える。望ましくは、この実施形態は2個の制御モジュールを備える。
【0008】
本発明の好適な実施形態は、冗長性のためにそれぞれが二重のポンプレーザを有する2個の独立した光増幅器(EDFAs)が、置き換え可能でホット切り換え可能な電子制御モジュールの組みを使用することを可能にする。各制御モジュールは、各増幅器から1個のポンプレーザを管理し、これにより単一の制御モジュールは両方の増幅器を制御可能である。望ましくは、ポンプレーザはオーバーレートされており(すなわち、それらは必要以上に大きなパワーの出力を生成でき)、増幅器の設計寿命は1つの動作中のポンプレーザに丁度合致する。本発明によれば、制御モジュールは、置き換えの容易性のために、ホット切り換え可能である。制御モジュールは、増幅器モジュールから光学的に分離されており、その結果制御モジュールの置き換え中にレーザの安全上の問題は生じない。さらに、光コネクタは損傷し易く(それらはゴミに対して特に高感度である)、そのために制御モジュールとそれの中の増幅器の間の光接続の除去は、システムの信頼性を向上する。
【0009】
1個またはそれ以上の制御モジュールは、増幅器モジュールの実効ゲインを測定するように構成される。これにより、制御モジュールが、増幅器のゲインがユーザにより望まれたようになることを自動的に保証する。
【0010】
制御モジュールはリンクされ、制御モジュール間で状態インジケータを送ることが可能であることが望ましい。このように、(例えば、ポンプレーザの出力をバランスするために)制御モジュールの対等の制御が可能である。
【0011】
好適な実施形態においては、各制御モジュールは、(異なる増幅器モジュール内のそれぞれにおける)複数のポンプレーザを制御するように構成される。各ポンプレーザの論理制御は別々であるが、同一の制御回路が複数のポンプレーザのために使用され、それにより利用できる電子回路の使用を最適化する。
【0012】
単一の双増幅器光学アセンブリィ内で各EDFAを有する二重ポンプレーザを結合し、そしてホット切り換え可能な分離した電子制御モジュールを有することにより、次に説明する改良が可能になる。
【0013】
(1)光ファイバが制御モジュールの置き換えの間接触されない。これによりレーザの安全上の問題を生じない。
【0014】
(2)ポンプレーザの過レーティングが、1個のポンプレーザの故障が増幅器の設計寿命を下げないことを保証する。
【0015】
(3)制御モジュールの置き換えまたは更新が非常に容易である。
【0016】
(4)制御モジュールは、非常に小型に簡単に作ることができ、熱放散およびパワー消費を低減して、信頼性を向上する。
【0017】
(5)2個の増幅器は、集積されたレーザモジュール内に含まれる制御電子回路の4個の組みよりむしろ2個の制御モジュールにより制御できる。
【0018】
(6)「ブラックボックス」の増幅器モジュールが使用でき、それにより調達および開発の両方が簡単になる。
【0019】
(7)増幅器は関係する制御モジュールの置き換え又は更新の間動作を続行する。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、複数のそれぞれの制御モジュールにより制御される複数のポンプレーザを使用して、光増幅器のゲインを調整する方法であって、
前記制御モジュールのうちどれがマスタ制御モジュールであるか選択するステップと、
前記マスタ制御モジュールに関係する前記ポンプレーザの動作パラメータを、前記光増幅器のゲインが所定の理想値に等しくなる点に向かって調整するステップと、
残りの前記ポンプレーザのそれぞれの前記動作パラメータを、すべての前記ポンプレーザの前記動作パラメータが等しくなる点に向かって調整するステップと、を備える方法。
【0021】
望ましくは、動作パラメータはポンプレーザに印加される入力電流である。しかし、動作パラメータはポンプレーザの出力であってもよい。
【0022】
望ましくは、残りのポンプレーザのそれぞれの出力を調整することは、残りのポンプレーザのそれぞれの動作パラメータを、マスタ制御モジュールに関係するポンプレーザの動作パラメータに向かって調整することを備える。
【0023】
本発明の第2の態様は、両方のポンプレーザで出力が実質的に等しいことを保証するが、同時に光増幅器の出力はユーザにより望まれたようになることを保証する。その結果、各ポンプレーザの寿命は、最大化される。代わりに、これは、1個の光増幅器および複数のポンプレーザを備える集積された増幅器モジュールが、光増幅器部品自体の寿命に少なくとも実質的に等しい期待寿命で作るのを可能にする。
【0024】
本発明の題3の態様によれば、第2の態様の方法を実現するコンピュータ実行可能コードを備えるコンピュータプラグラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の例が、付属の図面を参照して詳細に説明される。
【0026】
図1は、潜水艦の光通信で使用される光増幅器の従来の構造の概略図である。図から分かるように、2個のポンプレーザが冗長性のために設けられている。各ポンプレーザおよびそれに関係する制御電子回路は、光ファイバ接続により光増幅器に接続されている個別のモジュールとして集積されている。レーザまたはその制御電子回路の置き換えは、光接続を妨害することに含まれるレーザの安全上の問題によるだけでなく、レーザを搬送する光ファイバのゴミに対する非常に影響されやすい特性により、結局両方の置き換えになるとともに、それを非常に困難にする。置き換えプロセス中にファイバに入るゴミがあるので、モジュールの置き換えのパフォーマンスは厳しい危険にさらされる。手入れが必要になる結果として、従来のシステムにおけるレーザまたはその制御電子回路の置き換えは、時間を要し、そのために費用がかかる。
【0027】
最近、ポンプレーザの信頼性において非常な改善がなされた。さらに、ポンプレーザの寿命は、最大パワーより低いパワーで動作している時には長くなっており、さらに典型的には各増幅器に2個のポンプを設けることにより、システムにおける信頼性も増加している。従って、適切な規格のポンプレーザが使用されるならば、代表的には潜水艦の光増幅器に使用する上での設計上の寿命要求を満足するポンプレーザの組みを作ることが現在では可能である。
【0028】
それにもかかわらず、制御電子回路は代表的な増幅器の要求より信頼性が不足している。従来のシステムではレーザと制御電子回路は集積されているので、ポンプレーザは増幅器寿命中に不必要にしばしば置き換えられる。
【0029】
本発明は、ポンプレーザとその制御電子回路を分離することにより、この問題を解決し、電子回路を分離して置き換えられるようにする。更に、その改善された信頼性により、ポンプレーザはEDFAと集積されて、集積増幅器モジュールになる。このようなモジュールは必要な光経路のすべてを含み、外部の光接続の必要を無くす。従って、制御電子回路はどのようなレーザの安全上の問題も生ぜずに置き換えられる。
【0030】
図2から図4は、本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態では、2個の増幅器モジュールと2個の制御モジュールが単一の回路パック上に集積されている。各増幅器モジュールは、EDFAと2個のポンプレーザを有し、単一増幅器モジュール内の各ポンプレーザは別の制御モジュールにより制御される。従って、制御モジュールは各増幅器モジュール内の単一のポンプレーザを制御する。ポンプレーザは1個でEDFAを制御できるように作られているが、2個のレーザを設けることにより、その寿命を増加させ、冗長にすることを可能にする。それにもかかわらず、単一の制御モジュールの除去または故障は、いずれかの増幅器モジュールを不能状態にはしないことを理解すべきである。
【0031】
従って、本発明は、すべての光経路を悪響無しに取り除くだけでなく、増幅器の性能を低下させずに、増幅器制御回路を置き換えるシステムを提供する。
【0032】
図で説明される実施形態は、本発明の実現できる唯一の構成ではないことが理解されるであろう。例えば、各増幅器モジュール内に2個より多いポンプレーザを設けたり、単一の回路パック上にいくつかの増幅器モジュールを設けることもできる。さらに、好適な実施形態の制御モジュールは複数のポンプレーザを制御する電子回路を分け合って使用するが、各ポンプレーザの制御回路は全体としては独立であることが理解されるべきである。しかし、すべての場合において、各ポンプレーザの論理制御は分離される。特に、必要であれば、各ポンプレーザごとに分離された制御モジュールを採用することが可能である。この点に関して唯一の必要事項は、所定の増幅器モジュールにおける各ポンプレーザは、別々に置き換え可能な制御回路により制御されなければならないことである。
【0033】
制御モジュールは、増幅器モジュールとの簡単な電気的なインターフェースを有する。これにより、小型で簡単なマイクロプロセッサに基づく簡単な制御モジュールが簡単に提供できる。簡単さは、信頼性を向上し、放熱を低減する。
【0034】
各制御モジュールは、増幅器モジュールから増幅器の入出力パワー測定値およびポンプパワー測定値を受け取る。各制御モジュールは、各ポンプのパワーを(そのバイアス電流を変化させることにより)調整でき、増幅器出力パワー全体またはゲインを制御する。制御モジュールは、各増幅器の2個のポンプが入力電流またはパワーを等しく分け合うことを保証するように協働する。
【0035】
図3は、制御モジュール間のインターフェースを、増幅器およびそのポンプと一緒に示す。各制御モジュールは、ほかの制御モジュールがポンプを平衡にする(バランスさせる)ように、ほかの制御モジュールによって管理されるポンプのある属性へアクセスする。いずれにしろ、制御モジュールはそれぞれの間で関連するポンプ属性を送ってポンプをバランスさせられる。
【0036】
図4は、本発明の実施形態の機械的な配置を示す。制御モジュールは電子部品のみを保持するので、この配置は簡単である(増幅器モジュールと制御モジュールの間に電気的なインターフェースがあるだけである)。制御モジュール31は、回路パックの前側から引き出し可能で、置き換えは数秒で行える。すべての光部品は回路パックの主部分にあり、制御モジュールの置き換えによっては影響されない。
【0037】
制御モジュールは、各増幅器モジュール内のポンプレーザを、マスタ/スレーブ配置で動作させる。マスタは増幅器全体のゲイン/パワーを(ポンプパワーを制御することにより)維持し、スレーブは(バイアス電流または出力パワーのいずれかを使用して)ポンプをバランスさせ、ポンプレーザを同じように変化させる。
【0038】
制御モジュールの調整を容易にするために、複数の状態インジケータが、制御モジュール間で送られる。制御モジュール間で送られる観察された指示は、(制御装置が差し込まれているかを示す)インジケータの存在を含む。これは基本的なことではないが、制御装置が有効でない理由を示すのに有効である。さらに、指示は、(制御装置が適切に動作していることを示す)動作インジケータ、制御装置が増幅器のマスタまたはスレーブとして動作しているかを示す定常および常習の状態メッセージ、および増幅器ポンプが自動制御中であるかを示す定常および常習の状態メッセージを含む。例えば本発明の電子回路またはレーザに重大な故障が発生して非常事態が検出されると、制御モジュールは(通常の自動制御よりむしろ)手動制御を採用する。さらに、レーザはどのような理由(例えば光ファイバは破壊されたというような安全上の理由)でも停止(シャットダウン)されるべきで、制御モジュールはレーザポンプを自動制御から外す。
【0039】
各制御モジュールは、ほかのモジュールが以下の環境下で動作しているものとみなす。すなわち、各制御モジュールは、ほかのモジュールが存在し、ほかのモジュールが動作しており(その動作インジケータがオン)、そしてほかの制御装置が通常状態メッセージを送っている、とみなす。
【0040】
状態インジケータは、高速応答を可能にするために、制御モジュール間で高速レートで送られる。可能な最速応答時間は、レーザポンプに印加される信号を制御する増幅器制御ループの繰り返しレートであることは明らかである。
【0041】
どのポンプレーザがマスタとして動作しているかは、制御モジュール間の選択で決定される。もしそこに疑念があれば、すべてのポンプレーザは、たとえポンプがバランスされていなくても、選択が完了して増幅器ゲイン/パワーが維持されることを保証するまで、マスタとして動作する。たまたま1つがスレーブになる。マスタ/スレーブ選択は各増幅器で独立に行われる。
【0042】
選択は、マスタが既に存在していることを識別し、もしそれを検出したならばスレーブの役割を採用する、という簡単なアルゴリズムにより制御される。もし最初に両方の制御モジュールがマスタの役割を採用していたならば、一方のモジュールは引き下がるようにバイアスされてスレーブになり、他方はマスタとして維持するようにバイアスされる。もし制御装置にXとYのラベルが付されており、Y制御装置が引き下がるようにバイアスされるならば、各制御装置により行われる例示のアルゴリズムは、以下のように表現される。
【0043】
もしほかの制御モジュールが動作していなければ、この制御モジュールはマスタである。
【0044】
もしこの制御モジュールが自動制御モードであれば、そしてほかの制御モジュールが自動制御モードでなければ、この制御モジュールはマスタである。
【0045】
もしこの制御モジュールが自動制御モードでなく、そしてほかの制御モジュールが自動制御モードであれば、この制御モジュールはスレーブである。
【0046】
もし両方の制御モジュールがマスタであることを主張すれば、この状態は所定の時間期間で終了し、そしてこれがYモジュールであれば、この制御モジュールはスレーブであり、そうでなければこの制御モジュールはマスタである。
【0047】
もしほかの制御モジュールがスレーブであれば、この制御モジュールはマスタである。
【0048】
そうでなければ、この制御モジュールはスレーブである。
【0049】
上記のことから、もし制御装置間のリンクが故障したなら、両方の制御装置がマスタとして動作するのは明らかである。これは、増幅器のゲインがそのままで、ポンプレーザのバランスが保証されないと考えられる。
【0050】
1つの実施形態では、マスタ制御モジュールは共通PID(Proportional, Integral, Derivative)制御ループアルゴリズムを使用する。増幅器出力パワーは、制御される変数であるが、ポンプバイアス電流は制御変数である。もし増幅器が一定ゲインモードであれば、所望の出力パワーが増幅器入力パワーと所望のゲインから計算される。
【0051】
スレーブは、そのポンプ制御に対してポンプレーザにおける使用をバランスさせるように小さな調整を行う。上記のように、調整は、ポンプレーザの出力レベルまたはそれらを駆動するバイアス電流のレベルに基づいて行われる。集積されたポンプ増幅器モジュール内の電子的なポンプ出力測定デバイスの必要を無くすために、印加されるバイアス電流レベルを採用することが望ましい。さらに、レーザ出力より信頼性があり正確である電流の測定を行う方が一般的には容易である。
【0052】
各調整は、2つのレベルを一致させる究極の目的で、スレーブのポンプレベルをマスタのポンプレベルに送る。参照レベルとして出力パワーよりむしろバイアス電流を使用するさらなる利点は、各レーザのエージング(寿命)レートにおける差からきている。そのような筋書きの下で、レーザのパワー出力の一致は、使用されたレーザをほかよりもより高い電流で駆動する効果を有し、それにより2個のレーザのエージングレートにおける更なる差異を小さくする。
【0053】
スレーブでの調整は、マスタのパワー制御ループによる実質的に検出されて補正される増幅器出力ゲインにおいて小さな誤差を生じる。各調整の大きさは、非常に小さく設定され、増幅器パワー/ゲインにおける衝撃(急激な変化)を無視できるようにする。
【0054】
もしポンプまたは制御モジュールが故障するか取り外されたら、残りの動作中の制御装置/ポンプの組みは、増幅器の限界制御を行い(もしマスタでなければマスタになり)、ポンプパワーをほかのポンプの損失を補償するように増加させる。置き換え制御モジュールが加えられると、それはスレーブの役割であると仮定され、各増幅器の2個のポンプが再びバランスするまでポンプを調整する。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、スレーブはポンプレーザ間のバランスと同様に、出力パワーに対していくらか制御を行う。これはマスタが故障した時の応答時間を改善するが、それは適切な増幅出力を保証する前にスレーブがそれを直接検出する必要がないためである。しかし、もしスレーブが入力全体に対して感度がよすぎるならば、マスタとスレーブにより測定された増幅器出力間のどのような差も見つけられて、ポンプ間の継続したアンバランス(不平衡)を生じる。従って、もしスレーブが出力パワーをすこしでも制御するならば、大きなデッドゾーン(不感帯)を伴う。目標と実際の間のパワーの誤差がデッドゾーン内である時、スレーブはポンプをバランスさせる。
【0056】
スレーブ/マスタの関係は、増幅システム当たり2個のポンプを例として上記に説明したが、各増幅器においてより多くのレーザを設けることも考慮されることが重要である。本発明によれば、3個以上のポンプレーザが存在する時、1個だけがマスタとして制御され、残りのレーザはスレーブである(各スレーブはマスタとバランスすることを目指す)。
【0057】
3個以上の制御モジュールを備える実施形態では、各制御モジュールの状態指示は、ほかの制御モジュールの全てに送られる。これは多重ドロップリンク(すなわち、残りのモジュールにより受信される1つのモジュールからの単一送信リンク)または利用可能な通信バスで行われる。どのようなリンクも冗長性のために二重にされることが望ましい。
【0058】
2個の制御モジュールより多い場合の動作を説明するために、1個がマスタである3個の制御モジュールで動作するシステムを考える。もし2個のスレーブの出力がマスタの出力の両側にあれば、それらはマスタ出力に向けて調整され、それらは類似のレートで調整され、マスタ出力は変化しないと考えられる。逆に、マスタの出力がスレーブ出力の1つに等しければ、ほかのスレーブはそれ自体でマスタ出力に向けて調整し、マスタ出力を低下させ(全体の出力を維持する)、そして再び前の状態になる。最後に、もし両方のスレーブ出力がマスタ出力の一方の側にあれば、それらは明らかに両方共マスタに向かって調整し、その結果マスタはそれらに向かって調整する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、代表的な従来技術の光増幅器の概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態の二重増幅回路パックの概略図である。
【図3】図3は、本発明の1つの実施形態におけるポンプレーザと制御モジュールの間のインターフェースの概略図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態の二重増幅回路パックの機械的な配置図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信信号を増幅する装置であって、
それぞれが1個の光増幅器および少なくとも2個のポンプレーザを有する1個またはそれ以上の増幅器モジュールと、
それぞれが前記1個またはそれ以上の増幅器モジュールの1個のポンプレーザの出力を制御するように構成された少なくとも2個の個別の制御モジュールと、を備える装置。
【請求項2】
各ポンプレーザの前記出力は、前記ポンプレーザを有する前記増幅器モジュールの前記光増幅器において、協働ポンピングおよび対向ポンピングのモード間で共有される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
2個の増幅器モジュールを備え、各増幅器モジュールは2個のポンプレーザを有する請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
丁度2個の制御モジュールを備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは、前記増幅器モジュールから光学的に分離されている請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御モジュールの1個またはそれ以上は、1個またはそれ以上の増幅器モジュールの実効ゲインを測定するように構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御モジュールはリンクされ、制御モジュール間で状態インジケータを送ることが可能である請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
各制御モジュールは、複数のポンプレーザを制御するように構成されている請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記光増幅器は、エルビウムをドープしたファイバ増幅器(EDFA)である請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
各制御モジュールは、前記装置から個別に取り外し可能である請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
複数のそれぞれの制御モジュールにより制御される複数のポンプレーザを使用して、光増幅器のゲインを調整する方法であって、
前記制御モジュールのうちどれがマスタ制御モジュールであるか選択するステップと、
前記マスタ制御モジュールに関係する前記ポンプレーザの動作パラメータを、前記光増幅器のゲインが所定の理想値に等しくなる点に向かって調整するステップと、
残りの前記ポンプレーザのそれぞれの前記動作パラメータを、すべての前記ポンプレーザの前記動作パラメータが等しくなる点に向かって調整するステップと、を備える方法。
【請求項12】
前記動作パラメータは前記ポンプレーザに印加される入力電流である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作パラメータは前記ポンプレーザの出力である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記残りのポンプレーザのそれぞれの出力を調整するステップは、前記残りのポンプレーザのそれぞれの前記動作パラメータを、前記マスタ制御モジュールに関係する前記ポンプレーザの前記動作パラメータに向かって調整することを備える請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピュータが実行可能なコードを備えるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−503835(P2009−503835A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523441(P2008−523441)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002752
【国際公開番号】WO2007/012829
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506179273)エクステラ コミュニケーションズ リミティド (4)
【Fターム(参考)】