説明

代かき作業機の耕深表示装置

【課題】代かき作業時に耕深を一定にすることができる耕深表示装置を提供する。
【解決手段】耕深表示装置40は、機体5に回転自在に支持された耕耘ロータ13の上部を覆うシールドカバー13と、この後部に上下方向に回動自在に配設されて耕耘ロータ13により耕耘された耕土を整地する第1整地板11と、この後部に上下方向に回動自在に配設されて耕土表面を均平にする第2整地板12とを備える代かき作業機1に設けられる。耕深表示装置40は、一端側が機体5に回動自在に接続されて他端側が第2整地板12に回動自在に接続され、耕耘ロータ13により耕耘された耕土の耕深に応じた第1整地板11に対する第2整地板12の回動に伴って上下方向に回動自在な揺動アーム42と、揺動アーム42の回動に応じて耕深を表示する耕深表示部50とを有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する第1整地板の後部に上下方向に回動自在に設けられて耕土表面を均平にする第2整地板を備える代かき作業機の耕深表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような第1整地板の後部に第2整地板を備える代かき作業機は、一般的に走行可能な走行機体の後部に三点リンク連結機構を介して昇降可能に連結されて、走行機体の前進走行とともに進行しながら代かき作業を行う。代かき作業機の昇降操作は、走行機体に搭乗した作業者が走行機体に設けられた操作スイッチによって行われる。
【0003】
この代かき作業機によって代かき作業を行う場合、圃場の耕盤に凹凸があると、走行機体が上下方向に移動するに伴って代かき作業機も上下方向に移動して、耕耘ロータによって耕耘された耕土の耕深が変化する。この耕深の変化は、稲の生育に悪影響を与える。
【0004】
そこで、代かき作業時に、耕盤の凹凸に応じて、走行機体に搭乗した作業者が操作スイッチを操作して代かき作業機の上下位置調整を行うことで、耕深を一定にすることができる。しかしながら、代かき作業は圃場に水を入れて行う作業であるため、水の多少によって実際の耕深を見誤って、耕深を一定にすることができなくなる虞がある。
【0005】
そこで、ロータリ作業体の上部を覆うローターカバーの前端部に耕深の目安となる耕深確認ゲージを設けた代かき作業機が提案されている(特許文献1参照)。この耕深確認ゲージは、その進行方向前側が上方から下方に行くに従い後方に後退させた形状を有している。この耕深確認ゲージにより、代かき作業時にローターカバー端部より下方に突設したゲージ面が未代かき土壌面に没入した量により、ロータリ作業体の耕深寸法を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−330181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来の耕深確認ゲージは、ゲージ面が未代かき土壌面に没入した量を走行機体に搭乗した作業者が視認するものである。このため、圃場に入れられた水の多少によって、作業者がゲージ面の未代かき土壌面への没入量を見誤る虞がある。このゲージ面の没入量を見誤ると、作業者による耕耘ロータの位置調整も誤った調整となり、耕深を一定にすることができなくなる。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、代かき作業時に、耕耘ロータの位置調整が正確に行われて耕深を一定にすることができる代かき作業機の耕深表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明の代かき作業機の耕深表示装置は、機体に回転自在に支持された耕耘ロータの上部を覆うカバー部と、該カバー部の後部に上下方向に回動自在に配設されて耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する第1整地板と、該第1整地板の後部に上下方向に回動自在に配設されて耕土表面を均平にする第2整地板とを備える代かき作業機の耕深表示装置であって、一端側が機体に回動自在に接続されて他端側が第2整地板に回動自在に接続され、耕耘ロータにより耕耘された耕土の耕深に応じた第1整地板に対する第2整地板の回動に伴って上下方向に回動するリンク機構部と、リンク機構部の回動に応じて耕深を表示する耕深表示部とを有してなることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また本発明のリンク機構部は、一端側が機体に回動自在に設けられて他端側が機体進行方向後側に延びて上下方向に揺動可能な揺動アームと、該揺動アームの他端部と第2整地板の上面との間に接続された連結ロッドとを有し、耕深表示部は、機体に設けられて耕深の複数の異なる程度を示す記号が表示された表示板と、揺動アームに一端側が回動自在に接続され他端側が表示板に表示された複数の記号に沿って移動自在に支持された指針アームとを有してなることを特徴とする(請求項2)。
【0011】
また本発明の耕深表示部は、機体に設けられて耕深の複数の異なる程度を表示する複数のランプが配設された表示板と、揺動アームの回動角度を検出する角度検出手段と、角度検出手段により検出された揺動アームの回動角度に応じて表示板の対応するランプを点灯させるランプ制御部とを有してなることを特徴とする(請求項3)。
【0012】
また本発明の代かき作業機は、走行可能な走行機体に装着されて該走行機体の走行とともに進行し、走行機体に設けられたコントローラによって作動が制御され、耕深表示部は、耕深を表示可能な表示部と、揺動アームの回動角度を検出する角度検出手段と、角度検出手段により検出された揺動アームの回動角度に応じた耕深を表示部に表示させる表示制御部とを有し、表示部は、コントローラに設けられていることを特徴とする(請求項4)。
【0013】
さらに本発明の表示部は、第2整地板によって土寄せ作業を行うことが可能な土寄せ位置に第2整地板が位置している旨の表示を行うことを特徴とする(請求項5)。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わる代かき作業機の耕深表示装置によれば、上記特徴を有することで、代かき作業時に、耕耘ロータの位置調整が正確に行われて耕深を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる耕深表示装置が搭載された代かき作業機の側面側の構造図を示す。
【図2】この耕深表示装置が搭載された代かき作業機の平面図を示す。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる耕深表示装置の表示部の平面図を示す。
【図4】耕深が比較的に浅いときの耕深表示装置の作動を説明するための代かき作業機の側面側の構造図を示す。
【図5】耕深が比較的に深いときの耕深表示装置の作動を説明するための代かき作業機の側面側の構造図を示す。
【図6】きわめて浅い耕深又は代かき作業機1が走行機体の三点リンク連結機構を介して大きく持ち上げられた状態の代かき作業機の側面側の構造図を示す。
【図7】第2整地板が土寄せ位置にあるときの耕深表示装置の作動を説明するための代かき作業機の側面側の構造図を示す。
【図8】本発明の第2実施形態に係わる耕深表示装置が搭載された代かき作業機の側面側の構造図を示す
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。本実施形態は、代かき作業機のうち作業機本体の両側に左右の作業体が折り畳み且つ展開可能な代かき作業機を例にして説明する。先ず、本発明に係わる耕深表示装置を説明する前に、代かき作業機について、図1(側面側構造図)及び図2(平面図)を用いて説明する。
【0017】
代かき作業機1は、図1及び図2に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の前進走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、機体前進方向に対して左右方向の中央部に配置された作業機本体2と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左作業体20L及び右作業体20Rとを備え、作業機本体2、左作業体20L、右作業体20Rによって3分割構造になっている。
【0018】
作業機本体2は、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構が連結されて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸6aを備えたギアボックス6が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸6aに伝達されるようになっている。
【0019】
主フレーム3の左右両端部には伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9が垂設され、伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の下部間には多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータ13が回転自在に支持されている。主フレーム3内には伝動機構が設けられ、この伝動機構が伝動フレーム(チェーンケース)8内の伝動機構と連結されて、入力軸6aに伝達された動力がこれらの伝動機構を介して作業機本体2の耕耘ロータ13と左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータに伝達されて、作業機本体2の耕耘ロータ13と左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータを所定方向に回転させるように構成されている。
【0020】
伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の上部間には耕耘ロータ13の上部を覆うシールドカバー10が設けられている。このシールドカバー10の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後側が斜め下方へ延びる第1整地板11が取り付けられ、第1整地板11の後端部によって耕土表面が平らに整地される。第1整地板11の後端部には、第2整地板12が上下方向に回動自在に取り付けられ、この第2整地板12によって圃場の耕土表面が平らに整地される。
【0021】
作業機本体2の左右両端部には、シールドカバー10の上方位置に前後方向に延びる軸部14が設けられ、この軸部14を中心として左作業体20L、右作業体20Rが上下方向に回動自在に設けられている。これら左作業体20L及び右作業体20Rは、作業者によって作業機本体2の上方に折り畳まれる格納位置と、作業機本体2の側方に展開される展開位置Ptとの間を移動する。
【0022】
左作業体20L、右作業体20Rは、左右対称の構造であり、左作業体20Lで説明すると、左右両側に側部フレーム22L、23Lが配設され、これらの側部フレーム22L、23Lの下部間には耕耘ロータが回転自在に支持され、側部フレーム左22L、23Lの上部間には耕耘ロータの上部を覆うシールドカバー左24Lが設けられている。シールドカバー左24Lの後端部には、第1整地板左26Lが上下方向に回動自在に取り付けられ、第1整地板左26Lの後端部に第2整地板左28Lが上下方向に回動自在に取り付けられている。
【0023】
第1整地板左26L及び第2整地板左28Lは、左作業体20Lの展開姿勢時に、作業機本体2の第1整地板11及び第2整地板12に接合して、第1整地板左26L及び第2整地板左28Lに設けられた連結部材30,31を介して連結され、左作業体20Lの折り畳み姿勢時には、連結部材30,31の連結が解除されて第1整地板左26L及び第2整地板左28Lが作業機本体2の外端部から離反して第1整地板11及び第2整地板12との接合が解除されるようになっている。
【0024】
次に、図1及び図3を用いて代かき作業機1に設けられた耕深表示装置40について説明する。耕深表示装置40は、作業機本体2に設けられた第2整地板12の上下方向の回動に伴って上下方向に移動自在なリンク機構部41と、リンク機構部41の移動に応じて耕深を表示する耕深表示部50とを有してなる。
【0025】
リンク機構部41は、ギアボックス6の後部に一端部が回動自在に接続されて他端側が機体進行方向後側に延びて上下方向に揺動可能な揺動アーム42と、揺動アーム42の他端部と第2整地板12の上面との間に接続された連結ロッド44とを有してなる。即ち、揺動アーム42は連結ロッド44を介して第2整地板12に接続されている。揺動アーム42の一端部はギアボックス6の後部に横方向に延びる軸部43を回動支点として回動自在に接続されている。連結ロッド44の両端部は、揺動アーム42及び第2整地板12に対して回動自在に接続されている。このため、第2整地板12が上下方向に回動すると、連結ロッド44を介して揺動アーム42が軸部43を回動支点として上下方向に回動する。
【0026】
耕深表示部50は、耕深の複数の異なる程度を表示する数字や文字が直線状に間隔を有して表示されてギアボックス6の上方に配設された表示部51と、揺動アーム42に一端側が回動自在に接続され他端側が表示部51に表示された複数の数字等に沿って移動自在に支持された指針アーム55とを有してなる。
【0027】
表示部51は、長方形状に形成されてギアボックス6の上方に前後方向に延びている。表示部51の表面には、その後側から前側に向かって文字と複数の数字が記載されている。本実施例では、表示部51の後側に「土寄せ」の文字が記載され、この文字よりも前側の位置に「1」の数字が記載され、「1」の文字よりも前側に「2」、「3」、「4」の数字が前後方向に所定間隔を有して記載されている。文字とこれに隣接する数字との間及び隣接する数字間には、表示部51の幅方向に延びる仕切り線Lが表示されている。この表示部51は、走行機体90に搭乗した作業者が目視で表示部51の表面に記載された数字等を視認し易いように走行機体側に斜めに傾いた状態で設けられている。
【0028】
「土寄せ」の文字は、第2整地板12が土寄せ可能な姿勢(図6参照)にあることを示す文字である。数字の「1」、「2」、「3」、「4」は、耕深の程度を示す文字であり、数字が大きくなるほど、耕深が深くなることを表している。なお、耕深の程度を表すものは、数字に限るものではなく、記号、図形、文字でもよい。
【0029】
指針アーム55は、表示部51の幅方向一方側(左側)に沿って前後方向に延び、その後端部には、揺動アーム側へ突出する軸部56が設けられている。この軸部56は揺動アーム42に設けられた孔部42aに摺動可能に挿入されている。
【0030】
指針アーム55の前端部には表示部51に表示された文字等を指し示す指針57が取り付けられている。指針57は、円柱状に形成されて先端部が凸状に形成され、指針アーム55の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で指針アーム55に取り付けられている。
【0031】
指針57は、ギアボックス6に固定された案内板59の案内孔59aに挿入されて案内孔59aに沿って表示部51の表面の上方を移動する。案内板59は、指針アーム55の右側に沿って配置されてギアボックス6上に固定され、案内板59の右側上部には表示部51が前後方向に延びて固着されている。表示部51よりも上方の案内板59には表示部51の表面に沿って延びる長孔状の案内孔59aが設けられている。案内孔59aは、円柱状に形成された指針57が移動できるような幅を有している。このため、揺動アーム42が軸部43を回動支点として上下方向に回動すると、指針アーム55が前後方向に移動して指針57を案内孔59aに沿って前後方向に移動させる。
【0032】
次に、耕深表示装置40の指針57が指し示す数字(1〜4)と耕耘ロータ13による耕土の耕深Dとの関係を、図4及び図5を用いて説明する。耕深表示装置40は、図4に示すように、耕耘ロータ13による耕土の耕深Dが浅い場合(図面ではD=約100mm)には、第1整地板11は圃場表面Haに対して角度θ(図面ではθ=約44°)を有して傾く。この第1整地板11の回動に伴って第2整地板12は第1整地板11に対して回動して、第2整地板12は第1整地板11に対して角度α(図面ではα=約136°)を有して圃場表面Haに接地する。また、第2整地板12の回動に伴って連結ロッド44を介して揺動アーム42が上下方向に回動して、指針57が数字の「2」〜「3」の間を指し示す。
【0033】
これに対し、耕深Dが比較的に深い場合(図面ではD=約200mm)には、図5に示すように、第1整地板11は、図4の場合と比較して、より上方へ回動して圃場表面Haに対して角度θよりも小さな角度θ'(図面ではθ'=約23°)を有して傾く。この第1整地板11の回動に伴って第2整地板12は、第1整地板11に対して角度α'(図面ではα'=約156°)を有して圃場表面Haに接地する。また、第2整地板12の回動に伴って連結ロッド44を介して揺動アーム42が上下方向に回動して,指針57が数字の「3」〜「4」の間を指し示す。
【0034】
このように、本願発明の耕深表示装置40は、耕深Dの深さに応じて第1整地板11に対して第2整地板12が回動し、この第2整地板12の回動に伴って揺動アーム42が上下方向に回動して指針57を前後方向に移動させる。このため、走行機体90に搭乗した作業者が耕深表示装置40の耕深表示部50の指針57で示された数字を目視で確認することで、正確な耕深を知ることができる。従って、代かき作業中に指針57が大きな数字側(数字の4側)にずれた場合には、作業者は、耕深が浅くなるように三点リンク連結機構を介して代かき作業機1を持ち上げるための操作をする。また代かき作業中に指針57が小さい数字側(数字の1側)にずれた場合には、作業者は、耕深が深くなるように三点リンク連結機構を介して代かき作業機1を下方に降ろす操作をする。従って、代かき作業時の耕深を一定にすることができる。
【0035】
次に、代かき作業機1によって土寄せ作業を行う場合の耕深表示装置40の作動について、図6及び図7を用いて説明する。ロック装置61は、揺動アーム42の後端部に一端が回動自在に接続され、他端がギアボックス6から前方側へ突出するマスト7側に延びる規制アーム62と、マスト7の後部に回動自在に設けられたフック63と、規制アーム62の上端部に設けられフック63を係止する係止突起部64と、フック63に接続されてフック63を係止突起部64に係止及び係止解除する操作レバーの一部65とを有してなる。
【0036】
図6は、きわめて浅い耕深又は代かき作業機1が走行機体の三点リンク連結機構を介して大きく持ち上げられた状態を示す。土寄せ作業を行う場合には、図6に示す操作レバーの一部65を図中左方向(進行方向から見て後方側)へ回動させると、フック63はこの回動支点Oを中心として回動し、フック63の端面に当接されて下げ止めされていた規制アーム62の係止突起部64は、図7に示すように、フック63の内面63aに摺接しながら後方側へ移動する。これにより、揺動アーム42をロック状態にして第2整地板12の進行方向に対する前後方向への回動を規制する。
【0037】
この図7に示す状態が土寄せ状態であり、このとき指針57は図中もっとも左側(進行方向から見て後方側)へ移動することで表示部51の「土寄せ」を指し示している。この状態で走行機体の三点リンク連結機構を介して代かき作業機1を下げ、走行機体を前進させると、第1整地板11及び第2整地板12が圃場の土を走行機体進行方向へ寄せていくことができる。
【0038】
このように、耕深表示装置40は、第2整地板12によって土寄せ作業を行うことが可能な土寄せ位置に第2整地板12が位置しているときに、指針57が表示部51に記載の「土寄せ」を指し示すので、土寄せ作業が可能かどうかを確認することができ、また、作業者が走行機体90から降りて第2整地板12の状態を確認する必要がなくなり、土寄せ作業時の第2整地板12の状態確認作業を容易にすることができる。
【0039】
なお、前述した実施形態の耕深表示装置40は、耕深に応じて第2整地板12の回動作を、機械的に指針57を移動させる直線運動に変換するように構成されたものを示したが、図8に示すように、耕深表示装置70は、揺動アーム42の回動角度をポテンショメータ71で測定し、ポテンショメータ71の測定値に応じて耕深に対応する耕深表示部に設けられたランプ73a、73b、73c、73d、73e、73fを点灯させるように構成されたものでもよい。即ち、耕深表示装置70は、ポテンショメータ71と複数のランプ73a、73b、73c、73d、73e、73fを有した表示部72とを有してなる。
【0040】
表示部72は、走行機体90に搭乗した作業者側を向くように斜め後側に傾斜した状態でマスト7に取り付けられた基板74と、基板74の表面側に配設された複数のランプ73a、73b、73c、73d、73e、73fと、ポテンショメータ71により検出された揺動アーム42の回動角度に応じてランプ73a〜73fを点灯させるランプ制御部75とを有してなる。
【0041】
基板74は、長方形状に形成されて上下方向に延びて設けられている。複数のランプ73a、73b、73c、73d、73e、73fは、基板74上に上下方向に所定距離を有して配設されている。本実施例では、6個のランプが基板74上に配設されている。ランプは発光可能なものであればよく、具体的には、LED、電球等である。
【0042】
これらのランプ73a〜73fのうち基板74の上から1番目及び2番目のランプ73a、73bは、前述した「土寄せ」の文字に対応し、上から3番目のランプ73cは前述した「1」の数字に対応し、上から4番目のランプ73d、は前述した「2」の数字に対応し、上から5番目のランプ73eは前述した「3」の数字に対応し、上から6番目のランプ73fは前述した「4」の数字に対応する。
【0043】
なお、上から1番目及び2番目のランプ73a、73bの横の基板74には、「土寄せ」の文字が記載されている。また上から3番目のランプ73cの横の基板74には、「1」の数字が記載され、上から4番目のランプ73dの横の基板74には、「2」の数字が記載され、上から5番目のランプ73eの横の基板74には、「3」の数字が記載され、上から6番目のランプ73eの横の基板74には、「4」の数字が記載されている。
【0044】
これらのランプ73a〜73fは、耕深に応じて点灯し、耕深Dが浅い場合(図面ではD=約100mm)には、前述した数字の「2」、「3」に対応する上から4番目及び5番目のランプ73d、73eが点灯する。また耕深Dが深い場合(図面ではD=約200mm)には、前述した数字の「3」、「4」に対応する上から5番目及び6番目のランプ73e、73fが点灯する。
【0045】
耕深に応じたランプ73c、73d、73e、73fの点灯方法は前述した方法に限るものではなく、耕深Dが浅い場合には、前述した数字の「1」、「2」、「3」に対応する上から3番目、4番目及び5番目のランプ73c、73d、73eが点灯するようにしてもよい。また耕深Dが深い場合には、前述した数字の「1」、「2」、「3」、「4」に対応する上から3番目、4番目、5番目及び6番目のランプ73c、73d、73e、73fが点灯するようにしてもよい。
【0046】
このように、耕深表示装置70はポテンショメータ71と複数のランプ73a〜73fを有した表示部72とを有して構成されることで、機械的に指針57を移動させる場合と比較して、夜間における視認性UPを図ることができる。
【0047】
また、前述した実施形態の代かき作業機1は、作業機本体2に対して左作業体20L及び右作業体20Rを手動で回動させるものであるが、これらの作業体を電動で回動させるようにしてもよい。この場合には、作業機本体2と左作業体20L及び右作業体20との間に電動式油圧シリンダを設け、このシリンダを伸縮させることで、作業機本体2に対して左作業体20L及び右作業体20Rを回動させる。電動式油圧シリンダの伸縮制御は、作業者が搭乗する走行機体90の運転席の近くに設けられたコントローラによって行われる。
【0048】
走行機体90にコントローラが設けられる代かき作業機1の場合には、図2に示すように、耕深表示装置70の表示部72をコントローラ80に設けてもよい。
【0049】
このように、走行機体90に設けられたコントローラ80に表示部72を設けることで、走行機体90に搭乗した作業者は、後方を振り向くことなく表示部72を視認することができる。このため、作業者は進行方向前側を向いた状態で代かき作業の耕深を一定にするための操作(代かき作業機1の昇降操作)を行うことができる。従って、後方を振り向きながら代かき作業機1の昇降操作を行う必要がなくなり、耕深を一定にするための操作性を向上させることができる。
【0050】
また、前述した実施形態では、左作業体20L、右作業体20Rが作業機本体2に対して折り畳み可能な構造の代かき作業機1を例にしたが、左作業体20L、右作業体20Rを無くした代かき作業機でもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 代かき作業機
5 機体
10 シールドカバー(カバー部)
11 第1整地板
12 第2整地板
13 耕耘ロータ
40、70 耕深表示装置
42 揺動アーム
44 連結ロッド
50 耕深表示部
51,72 表示部
55 指針アーム
71 ポテンションメータ(角度検出手段)
73a、73b、73c、73d、73e、73f ランプ
75 ランプ制御部(表示制御部)
80 コントローラ
90 走行機体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に回転自在に支持された耕耘ロータの上部を覆うカバー部と、該カバー部の後部に上下方向に回動自在に配設されて前記耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する第1整地板と、該第1整地板の後部に上下方向に回動自在に配設されて耕土表面を均平にする第2整地板とを備える代かき作業機の耕深表示装置であって、
一端側が前記機体に回動自在に接続されて他端側が前記第2整地板に回動自在に接続され、前記耕耘ロータにより耕耘された耕土の耕深に応じた前記第1整地板に対する前記第2整地板の回動に伴って上下方向に回動するリンク機構部と、
前記リンク機構部の回動に応じて耕深を表示する耕深表示部と
を有してなることを特徴とする代かき作業機の耕深表示装置。
【請求項2】
前記リンク機構部は、一端側が前記機体に回動自在に設けられて他端側が機体進行方向後側に延びて上下方向に揺動可能な揺動アームと、該揺動アームの他端部と前記第2整地板の上面との間に接続された連結ロッドとを有し、
前記耕深表示部は、前記機体に設けられて耕深の複数の異なる程度を示す記号が表示された表示板と、前記揺動アームに一端側が回動自在に接続され他端側が前記表示板に表示された複数の記号に沿って移動自在に支持された指針アームとを有してなることを特徴とする請求項1に記載の代かき作業機の耕深表示装置。
【請求項3】
前記耕深表示部は、前記機体に設けられて耕深の複数の異なる程度を表示する複数のランプが配設された表示板と、
前記揺動アームの回動角度を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段により検出された前記揺動アームの回動角度に応じて前記表示板の対応するランプを点灯させるランプ制御部と
を有してなることを特徴とする請求項1に記載の代かき作業機の耕深表示装置。
【請求項4】
前記代かき作業機は、走行可能な走行機体に装着されて該走行機体の走行とともに進行し、前記走行機体に設けられたコントローラによって作動が制御され、
前記耕深表示部は、耕深を表示可能な表示部と、前記揺動アームの回動角度を検出する角度検出手段と、前記角度検出手段により検出された前記揺動アームの回動角度に応じた耕深を前記表示部に表示させる表示制御部とを有し、
前記表示部は、前記コントローラに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の代かき作業機の耕深表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記第2整地板によって土寄せ作業を行うことが可能な土寄せ位置に前記第2整地板が位置している旨の表示を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の代かき作業機の耕深表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205519(P2012−205519A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72403(P2011−72403)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】